暗躍編 第四話 勇者の粗相

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  ダイン触手によって完全に緊縛されたリエルは、全く抵抗出来ないまま呑まれて行く。

  男で全く心を許せないダインに呑み込まれるのは、アーキアの時に比べて遥かに恐ろしく、勇者と言われたリエルでも恐怖で失禁してしまうぐらいだった。

  七実 「あれ、何か臭いますね、あ、リエルが嬉ションしてますよ、はしたない牝犬ですね」

  恐怖から来る生理現象を七実が楽しそうに茶化す、七実とてそれが恐怖からの行いだとは解っているが、ダインに危害を与えようとした存在への憎しみはまだ消え去って居ない様だ。

  真夏 「はしたないというか、臭い牝犬ですよとても凄い臭いがしてますよ」

  遊魔達は顔を顰めてリエルの行いを貶めて行く、だが、それに対して救いの手が延ばされる。

  ダイン 「遊魔カプセルの液体は血液よりも濃度が濃いですから、リエル体内の尿が凝縮されてしまったのでしょう、ですが安心して下さい、私はリエルが汚物に塗れたとしても見捨てませんから」

  意外にもリエルはその言葉を嬉しく思ってしまう、何もせずに自分を嘲るアーキアに絶望したリエルは、ちょっとダインに擁護されただけで好意的に感じてしまった。

  ダインはただ事実を述べているだけだが、裏切って何もしてくれない親友よりもリエルは救いを感じてしまったのだ。

  アーキア 「でもさ、こんなところでお漏らししたら、ダイン様を汚しちゃうじゃん、ダイン様は許してもアキは許せないかな」

  ダイン 「ですが尻尾カプセルの中で失禁する者も多いですからそれに比べればマシですよ、それに寛容さは上に立つ者に求められる資質ですから」

  真夏 「ダイン様は解りますけど牝遊魔は同列ですよね」

  

  ダイン 「人間とは遊魔にとって赤子の様なモノです、赤子なら大目に見れますよね」

  アーキア 「リィはダイン様の寛大さに感謝しないと」

  七実 「いえ、ダイン様は変態ですから美少女の尿はむしろ御褒美なんですよね」

  ダイン 「まぁ、興味の有る物質では有りますが、特に異形であるリエルの分泌物はどれも調べるに値しますよね」

  真夏 「だから呑み込むんですか、色々搾り取るのに都合良さそうです」

  ダインの一見優しそうな言葉に救われた思いだったリエルは裏切られたと感じていた、リエルが勝手にダインの言葉を良く解釈して好意的に感じただけだったが思いの外落胆は大きい。

  だが、研究素材としてのリエルはダインとって大切な存在である事は事実で、お仕置きという言葉は使われたもののダインのリエルへの扱いは丁寧な物で不思議な感覚に包まれながら、肉壁にも包まれて行くのであった。

  真夏 「リエルも観念した様ですね、意外とあっさりと呑まれてしまいました」

  ダイン 「暴れない方が賢明ですからね、肌に触れる部分は鋭くなっていて変に動くと刺さるんですよ、始めこそリエルも抵抗していましたが、理解すると大人しくなっていましたよ」

  七実 「なる程、従順にしてると乱暴はされないと解らせるんですね、ダイン様らしいやり方です」

  真夏 「ダイン様って従う者にはお優しいですから、その優しさが解らずに抵抗するなんて愚かなだけですから痛い目に遭って当然ですね」

  ニア 「ダイン様を困らせても何もいい事無いにゃ、素直に遊魔にされた方がいいにゃ」

  七実 「でも人間が相手の実力を理解するって大変ですよ、此処じゃ魔力差で解りますけど」

  ダイン 「そう言えばリエルはいかにも腕力型の異形でしたが魔力は高いんですよね、伝承に有った化け物とは魔術にも長けていたんですか」

  アーキア 「いや、普通に強いだけで魔術に長けてるって話は無かったよね、リィは向こうの世界で魔力が急激に増したんだけど、まさかあんな姿に成っているとはビックリだよ」

  ダイン 「私の世界では異形はもっと身体的変化を伴い、強靭化してましたがリエルは魔力が増大していたわけですか、益々興味深いですね」

  真夏 「それこそ人種の差が有るんじゃ無いですか、ファナの世界の異形は魔力が高いと言ってましたし」

  ダイン 「まぁ、道を極めれば見える事も有るでしょう、私達遊魔としてはこの世界に根付く事を優先しましょう」

  七実 「ダイン様好みの巨大ロボットも有りますからね、おまけに混沌大陸とか楽しそうですよ、探検に行ってみたいですよね」

  ダイン 「その為には本拠地を定める必要が有りますよね、ティアスの話だとテガスを私の領地として画策している様ですから、このテガスの工房を進化させていきますよ」

  真夏 「ですがこの世界の物流は水運が基本ですから、材料を調達するのが遅いですよね」

  ダイン 「まぁよく有るファンタジーの馬車流通よりは進んでるんでしょうが現代日本の感覚からすれば大変ですよね、マギガントの輸送の為に水運を発達させたんでしょうけど」

  七実 「いっそのことマギガント作れる巨大戦艦でも飛ばせばいいんですよ」

  ダイン 「まるで元祖異世界召喚のアニメですね、ですがアニメの世界と違って建造するのに何十年か掛かりますよね」

  七実 「確かにあのアニメは戦力拡大が早過ぎますよね、初めは騎馬隊を空中戦艦で運んでドヤ顔してたのに」

  ダイン 「確かにああいう世界観は良かったですが視聴者受けが悪かったそうですよ、進んだ作品は視聴者を置き去りにしますから」

  真夏 「また変な方向に話が進んでますよね、どの道遊魔が技術革新しないとこの世界の技術の進歩は遅いですから、マギガントなんて三百年前から有るのにそれ程進歩して無いって工員の人が言ってましたよ、何でも昔のマギガントは天翔ける処女が標準装備だった様です」

  ダイン 「生産技術が拡大されて数が増えたんでしょうか」

  真夏 「作業用の需要で生産された様です、張り巡らされた運河はマギガントを使って掘ったと聞きました」

  ダイン 「王都でティアスも言ってましたね、国民の為には頑丈なゾッフォが良いと、確かに巨人を戦闘に使うよりは作業に使った方が有効的ですよ」

  真夏 「遊魔が所持するマギガントを増やす事は、大規模な土木作業が行えるという事ですか」

  ダイン 「ですがマギガントの存在で、巨城を作る意味は有りませんよ、やはりこの世界には浮遊する船が良いと思います、私的に到達までのスケジュールも考えてますし、明日から作業を始めますよ、最初は処女じゃなくても飛べるマギガントです」

  七実 「さっき宿題にされたヤツですね、完成が楽しみですよ」

  真夏 「植物油を使った魔道タービンの試作も行っていますから、魔鋼が万能なので素材で困る事は全く有りませんよね」

  ダイン 「はい、地球の科学ならチタンなどの軽量金属を精錬する必要が有りますが、工業的な素材は殆ど魔鋼で何とかなりますからね」

  愛耶 「ダイン様楽しそうですね、アイヤは科学には疎いのでよく解りませんけど、アイヤは食事の方面でダイン様を満足させてみせます」

  ダイン 「正直、愛耶のやっている事が一番役立つんですよね、食事は一日に何時か有りますから」

  七実 「おやつの時間も有りますからね、アレが有るおかげか食生活に不満は有りませんよね」

  ダイン 「糖分は脳の働きに不可欠ですから、アイヤは遊魔の科学も支えていますね」

  ニア 「アイヤが褒められるのは嬉しい事にゃ、ニアも森で色々と食べられそうな物を取ってるにゃ」

  愛耶 「ニアは香草とか探すのが上手いんですよ、昨日持って来たのはテガスのメイド達も知らない物でしたが、とても肉料理に合う物だったんですよ」

  ダイン 「遊魔の尻尾で試せば例え毒であっても問題有りませんからね、ニアは森での仕事を任せましたよ」

  ここに来て幾許かの時を過ごした事で、遊魔達は自分の才能を活かしてダインに貢献する方法を見出し初めている、例え小さな事でもダインは知識の収集を大切にしており、ニアの森遊びといった一見娯楽の様な事でもダインは咎める事などしないのだ。

  そして、いつの間にかアーキアのカプセルと連結していたダインの尻尾カプセルはファービとリエルを同じ液槽に並べて、怪しげなオブジェクトを更に奇妙なモノへと進化させている。

  七実 「ダイン様の尻尾が凄い事になってますよ、アーキアの尻尾と合体出来ちゃうんですね」

  ダイン 「元々遊魔になって増えた部分は私由来のモノですからね、尻尾は特に遊魔細胞同士なのでこういう事は全く問題無いんですよ」

  真夏 「なかなか興味深い対比ですね二人ともマナ達とは違う世界の戦士ですし、狩る者と狩られる者なわけですから」

  ダイン 「アーキアの世界では私達の様な存在が知られていたんですか?」

  アーキア 「さっきも言った様に化け物の話はあるからね、でも、優れた魔術師って人間超えた化け物だったから、殆ど魔術師の仕業で押し通るんだよ」

  ダイン 「アーグルの魔族ぐらい表に出ていないと噂で片付けられてしまうんですか、それはそれで面白味に欠けますね」

  アーキア 「魔術師が何処までの力を持っているのかがはっきりして無かったから、優秀な魔術師の家族はホムンクルスって噂が立つからね」

  真夏 「アーキアの世界では人口生命も生み出せていたんですか?」

  アーキア 「そう主張する魔術師も居たって事かな、明確に証拠を示た事は無いって言われてたから、でも同時に完全に否定も出来ないとも言われてたし、例えば魔術で複製体を作れたら、それはホムンクルスにもなるから」

  ダイン 「つまり異形や化け物も魔術なら有りえるって考えですね」

  アーキア 「魔力に優れた人間は魔術万能論を唱えるからね、そして魔術師は特権階級だから、それが常識になっちゃうんだよ」

  真夏 「魔術が使えても人は愚かだという事ですね」

  ダイン 「仕方有りませんよ、人間で得られる知識は真理とは程遠いですから」

  七実 「かなり上から目線の言葉ですけど、実際そうですよね人間の行いは歯痒くてストレス溜まりますから、でもこのアーグルは地球と違って遊魔の力で上手く導けそうですよね」

  真夏 「はい、人類滅ぼす程の兵器も確認出来ていませんし、何よりアーグル人は地球人より賢いですから」

  ダイン 「それは私も感じますね、この世界では多数決では有りませんから、マギガントで協定戦を行う事によって、知性の優秀さが決定打になっていると思います」

  真夏 「ゾッフォの性能は対して変わっていませんが、生産技術は年代で向上してますからね、そして、上位機種はメンテナンスの度に性能が向上してますよ」

  ダイン 「戦力ではあるが、作業用として割り切っているところが有りますからね、代わりにポナリアとフーティアの熱の入れようは凄いですよね」

  七実 「リエルのフーティアを調べてみましたが、明らかにリエル用に調整されてましたからね、恐ろしい順応速度ですよ、まぁダイン様から比べるとかすみますけど」

  ダイン 「まぁ私は生体で試してみたりしてますからね、ティアスには着脱式強化パーツ俗に言うフルアーマーとか試してみましたし」

  七実 「心躍る言葉ですよよ、ちゃんとパージも出来ますよね?」

  ダイン 「当然です、ですが余り重量物では無いのでそれ程意味は無いんですよ」

  七実 「カッコよければ良いと思います、それにティアスのフルアーマーはマギガント用の為の実験なんですよね?」

  ダイン 「確かにその意図も有りますが、七実ならば嬉しいですよね」

  七実 「もちろんです、ワザと攻撃受けたくなりますよ」

  ダインと七実のやりとりを他の遊魔達は羨ましそうに聞いている、地球コンテンツで学習する事の出来ないアーグルに置いて、趣味が合って知識を共有出来る七実はダインをちゃんと理解出来る存在としての価値を高めつつある、それは眷属遊魔平等の原則から少し逸脱してしまう事ではあるが、生き生きと話すダインを目にしては誰も不平など唱える事など出来なかった。

  おまけ

  遊魔細胞 遊魔は複数形態を持つが、どの形態でも人間の身体より生じた遊魔細胞の成長によってなり立っている。

  俗に言う獣人型は耳の大型化と尻尾と体毛などで獣人要素を表しているが、耳以外は遊魔細胞が付与された形になっている、そして耳は人間の耳が変形しているだけで元の耳の構成素材はちゃんと残っている。

  淫魔形態には尻尾の他にも角や翼を持っているが、これらは遊魔細胞が形作っているモノで元の人間部分が変化したモノでは無い。

  また、追加で生じた部位は融合する事も可能な様で、ダインは中身の入ったアーキアの尻尾を侵蝕して、組み合わせたりもしている。

  この万能細胞は人間の他にもマギガントに使われている魔法生物すら侵蝕する事が可能で、機体運動を制御する神経節を侵蝕する事で短期間に今までとは全く事なった動きを行うエポポ・ゾッフォへの改造なども行えている。