005-027
ヒューリは遊魔椅子で眠るエリリナに近付いて、その様子をじっくりと観察している、遊魔という同族意識がどこで生じるのかはダインにも解らないが、元々人間の頃からヒューリはそれ程エリリナを嫌ってなかったのかも知れない。
ヒューリ 「寝顔はこんなに可愛いのに・・・」
ダイン 「ヒューリも色々と思うところは有るでしょうが、同じ遊魔ですから直ぐに仲良くなりますよ」
ヒューリ 「別に嫌ってはいませんよ、ああなるのはエゴナで担がれる以上仕方有りませんから、むしろ私が担がれた方が不自然でしたね、覇気が無いとも言われてましたので」
ダイン 「それは操るのに好都合なのでは」
ヒューリ 「ダイン様の登場から、人類圏では変革の気運が高まっていると思うんですよ、でもエゴナには変わりたく無い人が多いので私が選ばれただけですよ」
ダイン 「なるほど、それは面白そうですね、従順だと思っていたヒューリが牙を剥くわけですから」
ヒューリ 「エゴナ国王って武勇に優れていればかなり無茶が出来るんですよ、昔は個人の武勇で協定戦が行われて無茶した国王とかがいましたが・・・今は武力自体を調整しやすいマギガントと、それに付随する女性の優位で王権を抑えてます」
ダイン 「王が話し合いで選ばれるから、個人で戦力を持たない者を王にして調整していたわけですか、でもヒューリはもう個人でダイオーンを所有してますからね」
ヒューリ 「押し立てた有力貴族にも計算外でしょうが、一機では問題無いと思っていると思います」
ダイン 「まぁ人類法を読み解いた限り、一人で五戦に出場する事も可能な様ですからね」
ヒューリ 「はい、ダイオーンさえ有れば、必ずやダインの理想に応えてみます」
ダイン 「期待してますよ、いざとなればこのエリリナも役に立ってくれるでしょう、いろいろと知ってそうですし、騎士としての腕もかなりのものです」
ヒューリ 「エリリナが担がれた最大の要因はそこですから、実際、今日の勝負では私は負けてましたし」
ダイン 「あれは策謀も大きいでしょう」
ヒューリ 「どうでしょう、私は五本の矢を外さない自信は有りましたけど、エリリナもそうだったと思います」
ダイン 「まぁ今日の続きはいつかやってみましょう、となるとエリリナにもダイオーンを用意しないと」
ヒューリ 「エリリナにもですか、私だけの特別な贈り物だと喜んでいたのに」
ダイン 「敵対していた者同士が手を取り合って共通の敵と戦うのは、王道展開ですからね、それに対比される二人で有る以上、一方が持つ物はもう一方にも与えるべきです」
ヒューリ 「私とエリリナは二人でダイン様の美を表現する訳ですか」
ダイン 「一人でも完璧ですよ、でも二人だとより際立ちます、対比する事で産まれる素晴らしさというヤツは確かに存在します、ライバル機のプラモデルはどちらも揃えたいですから、あ、ここでナナなら白と赤ですよねって言われますね」
ヒューリはポカンとしてダインの話を聞いていたが、別に理解出来なくても焦ってはいない、ダインとの関係は今日始まったばかりで、お互いの溝を埋める事も信頼の形成だとちゃんと理解している、そう、こういった部分ではヒューリはダインよりも大人であるのだ。
そして、二人が話し込んでいる間にエリリナの魔進化も着実に進んで、意識を取り戻しつつあった。
エリリナ 「何だか楽しそうだよ、やっぱりダイン様はヒューリが良いんだ」
エリリナに染み付いたヒューリに対する劣等感は遊魔となっても消え去っていない様だった。
ダイン 「いや、抱いた牝の方が愛着は上ですよ」
ヒューリ 「それ、今のヒューリじゃどうにもならない事ですよね」
ダイン 「ご褒美は役目を果たしてからですね、つまりはエゴナの権力を掌握する事、エリリナもちゃんと手伝って貰いますよ」
エリリナ 「当然だよ、有力貴族の裏事情は良く知ってるから」
ヒューリ 「心強い様な不安な様な味方です」
ヒューリの不安は信頼という事では無く、エリリナの暴走の事だ、強引に物事を成し遂げて来たエリリナのは、人の世の中が虚像で何とでもなる事を理解している、そう人間の中にちゃんとした逸材を見抜ける者など殆ど存在せず、強気の対応で押し通せる事をエリリナ自身が証明して来ているのだ。
エリリナ 「でも、このままの身分じゃエリはお役に立てませんよ」
ダイン 「そこはユーマの騎士としての地位を与えます、十分な実力も示されてますから不自然でも無いでしょう、ユーマの騎士ならエゴナの貴族も干渉出来ないでしょう」
ヒューリ 「何だか、エリリナの地位の方が私より優遇されてます、ダイン様の抱いて貰えてその威光に縋れるなんて」
ダイン 「ユーマ騎士など幾らでも居る称号で、エゴナ女王とは比べ物になりませんがね・・・」
ヒューリ 「遊魔の最優先が幸せだって言ってましたよね、処女を保つ必要が有るエゴナ女王よりも、愛して貰える騎士の方が幸せですよ、遊魔の基準ではダイン様との愛が最も尊い事ですから」
エリリナ 「まぁ仕方無いよ、エリもちゃんと支えるから、エゴナを早くダイン様の国にしちゃおうよ、国民もその方が幸福だからね、あ、なんか来る」
エリリナは急にブルブルと震え出すと、表皮の一部が黒く変色して行く、その状態は何かの病の進行にも思え不安を誘う様にも思えるが、エリリナの表情はむしろ歓喜に満ちている。
エリリナ 「いよいよ遊魔に変われる時何だよね、お尻むずむずしてる」
そう言ってエリリナが脚を抱えてお尻を見せると、尾骶骨の有る部分に大きな水膨れが出来ている、黒兎型の遊魔という形状では新たに人体から増える部分は尻尾しか無い。
ヒューリ 「だいぶ育ってますね、尻尾は遊魔の重要部分ですから楽しみです」
ダイン 「色が変わるぐらいでヒューリとそう変わりませんよ、ですが、ヒューリとエリリナの交わりは特に相性が良いでしょう、エリリナの尾マンコ処女はヒューリに奪って貰いましょう」
エリリナ 「えぇー、ダイン様じゃ無いの、でも処女を守るヒューリにはこれぐらいの役得が有るべきだよね」
ダイン 「そういう事です、尻尾の交尾を覚える事で肉体から生じる欲求は解消されるでしょう、肉欲が満たされれば私に対する欲求も我慢出来る筈です、現にティアスは耐えて見せましたから」
ヒューリ 「やはりティアス女王も遊魔なんですね、同じ女王として負けてはいられませんね」
ダインに自らと同じ立場に置かれた先人の話を聞かされて、ヒューリのやる気が満ちて来る、何かの困難を達成して得られる物はより高い価値を見出せる物なのだ。
エリリナ 「もしかしてエリって、ヒュー姉の性処理用の為に遊魔にして貰えたんじゃ」
ダイン 「全く考慮に無かったと言えば嘘ですが、エリリナは遊魔の条件を満たした魅力的な牝ですよ、肉槍の滾りが否定出来ない証拠でも有ります」
ヒューリ 「複雑な心境になる例えですけど、身体の相性って重要ですよね、遊魔に魔進化して抱いて貰った私としては、人のまま求められたエリリナが羨ましいです」
エリリナ 「鍛え方が違うから、華奢なヒュー姉の身体だったら肉槍に壊されてたよ」
ヒューリ 「それは何と無く解ります、ダイン様は牝の身体をちゃんと考えてくれて、先に遊魔へと変えてくれたんですよね」
ダイン 「女体の見極めも重要な要素です、私の目的は壊す事では無く楽しませる事ですから」
エリリナ 「随分と痛い思いをしたけどね」
ダイン 「エリリナのキャラがそうでしたから、生意気な牝は身体で解らせた方が興奮するんですよ」
ダインの披露した変態理論も、魔進化した牝にとっては真理で有る、ヒューリとエリリナはダインの言葉に頷き、ヒューリはエリリナに近寄って尻尾の入った水膨れを触り始めた。
そしてダインもその弾ける感触に興味を唆られて、一緒に触り始める。
エリリナ 「見えないところで触るのは止めて欲しいよ、それもお尻のところだよ」
ヒューリ 「大丈夫です、エリリナのお尻は綺麗で可愛いですから、けど、この黒い尻尾、だいぶ膨らんだのに出て来ませんね」
ダイン 「皮を破る突起とかが有りませんからね、魔族型の尻尾は突き破って伸びてましたけど、黒兎の尻尾はまんまるですから出して上げましょう」
ダインは尖った爪先で延びた皮を挟むと、表皮が裂けて濡れた尻尾が飛び出て来る、ヒューリはそれを両手に掴むと絞り上げて、液体をこし取る。
エリリナ 「え、何だか変な感じだよ、尻尾ってこんなに感じるの」
ヒューリ 「そうなんですよ、これが正に人智を超えた快楽ってやつですね、ヒューリも早く牝の尻尾に挿れてみたいです」
ダイン 「なら、我慢せずに遊魔に成れば良いですよ、幸い耳長の服は脱ぐのが楽ですから」
耳長の衣装はズボンを履いた下半身に着物を羽織る様なスタイルで、着替えが簡単である、木のボタンで二重に止めたりもするが、腰紐だけでも十分に着ることが出来て、ボタンを二重にして生まれる空間は大きなポケットとして使う事も出来る。
そして、ヒューリの胸元からゴトンと短剣が落ちる、そう、胸の薄い耳長女性は胸元のポケットに護身用の短剣を忍ばせる事も多い。
ヒューリ 「別に変な意味なんて有りませんよ、ただ、服の説明を受けている時に入れて貰っていた短剣が残っていただけで」
ダイン 「ヒューリが私を害するとは思っていませんよ、胸元に短剣を忍ばせるとは耳長も用心深いですね、私がフィセーリアを抱いた時は入っていませんでしたが・・・」
エリリナ 「いや、それは当然だよね、交渉相手と同席するのに武器は持たないよ」
ダイン 「そうですよね、私の世界では暗殺の為に魚の内臓や巻いた地図の芯に短剣を隠したという事例も有ります」
ヒューリ 「交渉相手を殺害するんですか、物騒な世界ですね」
ダイン 「相手の有能な人物を暗殺で除去するのは有効な手段ですからね、仮に今の遊魔で私が居なくなれば安定は難しいでしょうね」
ヒューリ 「遊魔の中のダイン様は特別ですから、でもどうなるんでしょう、私はまだ新参で良く解っていませんが、仲良しグループは存在するんですよね?」
ダイン 「どうでしょう、皆んな新しい娘には興味津々ですから、直ぐに交尾をしたがるんですよ、そして交尾をした者同士は情が移る様ですからね」
エリリナ 「それって、ダイン様が消えても上手く行くんじゃないの?」
ダイン 「かも知れません、案外私が居ない方が平和なのかも」
ヒューリ 「エリリナは嫌な事言わないで下さいよ、私はまだ本当に愛して貰ってないのに」
ダイン 「まぁ、人類圏発想では禁忌であろう暗殺は有効な手段です、本当に有能な人材とは替えが効かない者ですから」
エリリナ 「確かにダイン様の変わりなんて無理だよね、遊魔ももう増えなくなるんでしょ、エリが一番妹じゃ嫌だよ」
ヒューリ 「まぁ私にはダイン様に微塵も怨みを抱いていませんから、不満は有りますけどね」
ダイン 「ヒューリに与えた使命は難題でしょうが、成し遂げられると信じてます、困難が有れば遠慮なく頼って下さい、遊魔は遊魔を見捨てませんから」
ダインはそう口にしたが実際どうなるかは解らない、ただ状況予測と事前準備が得意なダインにはそう危機が訪れる事も無い、実際にダインは頭さえ残っていれば遊魔を復活させる事が可能なぐらいの技術を保有しているのだ。
そして、人類圏では人類法を守っている限り、例えザキトス魔族で有っても命が奪われる事はまず有り得ない。
おまけ
協定戦 その始まりは人類法成立時まで遡り、非生産的な戦争行為を抑制する為の手段として導入された。
初期は人対人の対決で行われていたが、極めて武芸の秀でた人物が連戦連勝を重ねた事で方向性が変わる事になる。
実際、人対人の協定戦が行われていた当時は個人対国家などというアンバランスな協定が行われていたりもした、そこでよりバランスを取る為に国家側がマギガントを投入し、武芸がもてはやされていた時代は終焉を迎える。
そして、マギガント同士の戦いが主流になるにつれ、男性より魔力の多い女性騎士の優位が証明され、人類圏では女性優位の社会を形成されたのである。
実は協定戦は、三戦や五戦の勝負であっても同じ人物が参加する事が可能である、これは人対人の戦いが行われて時の名残りで有るが、マギガント同士の戦いが行われる様になってからは廃れている。
これはマギガントは戦闘する度に整備するのが当たり前な為で、動かした後でも整備するのがマギガントと兵器だからだ。