[chapter:まえがき]
この作品は試験的に『同一主人公が様々なシチュエーションで元々の自分とは違うものになってしまう』という短編集のような内容となっています。どういう属性を含むかを章タイトルに書いておくので、自分にあったシチュエーションのものだけ読むことも出来ます。全編R-18ではあるのでそこはご注意ください。
以下、主人公君が異世界に来てしまったきっかけ部分です。よくある異世界転移ものの導入みたいな内容なので飛ばしてしまっても問題は無いです。
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俺の名前はカワル。18歳に成りたての受験生だ。何故こんな挨拶をしているのかというと、突然現れた女神と名乗る女性が名前を教えてください、と問いかけてきたからだ。俺と女神以外存在しない白い空間の中で、女神は俺に質問をしてはうんうんと頷いて何かを確かめている。
「では、本題に移りましょう。カワルさん、あなたは私の不手際によって不幸にも命を落としてしまったのです。誠に申し訳ありませんでした」
そう言われ、記憶が蘇る。確か、学校が終わった帰り道に突然前から狼男みたい生き物が走ってきて――鋭い爪で身体を引き裂かれたのだ。不快感を感じるが吐き気は無い。これはもう肉体が無いということを証明しているようなものだろう。
「あの狼男は私が管理する2つの世界、あなたの住む地球――そしてあなたから見て異世界のチェングリラ。本来繋がるはずは無かったのですが、チェングリラでは魔王と呼ばれる存在と人類の間で大きな争いが起き、世界を維持するためのエネルギーが枯渇してしまったのです。結果、世界の間に綻びが生じ、地球のエネルギーが流出する過程で魔族が地球に流れ着いてしまったのです」
話が壮大すぎて理解が追い付かなかったが、聞く限り非があるのは女神では無く戦争のせいなのでは――そう思ったが、女神は首を振る。
「本来であれば互いの世界は交わらぬもの。それにあなたを巻き込んでしまったのは私の管理不足が原因ですから――」
オホン、と咳払いして女神はこちらに向き直る。
「さて、これからあなたには2つの道があります。1つは元いた地球で新たに生を受けること。そして、もう1つはチェングリラにそのままの姿で転移することです。」
どちらを選んでも、元より良い生活が送れるように祝福がかかります――そう女神が付け加える。もう、元の家族と会えないということなのか。悲しみに包まれるが、ここで悩んでいてもしょうがない。それなら――
「俺はチェングリラに転移したい。元々変わらない日常に飽き飽きしていたところもあるし、今の自分を無くしたくはないし」
そうですか、と女神は呟き俺に手をかざす。次の瞬間、暖かい光に包まれて意識が遠ざかっていく――
「次に目覚めた時、あなたは新たな世界へと降り立っていることでしょう。どうか、幸せな日々を過ごしてください、カワルさん」
その言葉を最後に、俺の意識は途切れた。
[newpage]
[chapter:女剣士カワリア(TSF)]
目を開くと、そこにあったのは見たことも無い街だった。石や木で出来た店が立ち並び、石で舗装された道を鎧を着た大男や紫の服を纏った魔法使い風の女性が歩いている。まさに、ファンタジーの世界へとやってきたという印象を感じた。
「すげえ…これがチェングリラか」
活気ある街を前に、感動に打ち震える。だが、いつまでも感動して立ち止まっている訳にはいかない。情報を得るために、俺は酒場に入ることにした。
「いらっしゃい…おや、見ない顔だな」
酒場のマスターが俺を出迎えてくれる。店内を見渡すと、冒険者のパーティーが次の遠征について議論していたり、壁に貼り付けられている依頼書を選別している新米冒険者らしき姿が確認できる。
「見た感じ、村から出てきた出稼ぎってところか。ならここのシステムを教えてやらんといかんな」
軽く、マスターから冒険者としての手ほどきを受ける。なるほど、冒険者ギルドというものがあって、各街の人が集まるところに依頼を張り出していると。その依頼を受けて達成すれば、お金と知名度を貰えて次の依頼へと進んでいける――まあ、ゲームでもよくあるやつだよな。
「さて、一通り説明したがお前は大した装備も持っていない。採集依頼から始めるのがオススメだな」
装備、という話を聞いてふと着ている服を見てみたが、地球で来ていた学生服などではなく素朴な村人の服のようなものへと変わっていた。女神が気を利かせてくれたのだろう。ただ、確かにこの服だとモンスターと戦うのは無理だろうなあ。
マスターにありがとう、と礼を言って採集依頼を受注する。マスターに善意で貰った魔法の地図を片手に、草原へと向かった。
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それからというものの、俺は破竹の勢いで知名度を上げ、いつしか冒険者パーティーのリーダーとなっていた。立派な髭を蓄え、巧みに術を操りパーティーに有意な状況を作り出す魔術師。体格は小さいが、それを活かして閉所の探索や罠解除を行ってくれる盗賊。癒しの魔術でパーティーを支える回復術師。そして、実戦で鍛え上げた剣技で敵を切り伏せる剣士の俺――その4人でいくつもの苦難を乗り越えてきたのだ。
「で、次の依頼はこれか」
盗賊が依頼書を机の上に置く。依頼書には、『魔王軍の残党を討伐してほしい』という内容が書かれているが、正体は分かっていないらしい。
「むう、ちと遠い場所じゃな。年寄りにはキツイわい」
魔術師が腰を叩きながら不満を漏らす。嘘つけ、昨日若い女性に声をかけて回って元気そうにしてた癖に。
「それよりも長いこと女性の肌を感じられないのが残念ですね。男だけのパーティーだと遠征では補給できなくなってしまいますので」
回復術師はそう言いながら手で胸の形を作っている。何故うちのパーティーは普段いい感じなのに他に人が居ないと下ネタに走るんだ!
「まあいい、さっさと終わらせるぞ!」
依頼書を掴んで足早に酒場を出る。慌てて他の3人も席を立つと後から付いてくる。この依頼を終えたらパーティーの入れ替えでもしよう――そう思いながら、目的地へと向かう。
結果から言えば、依頼は失敗に終わった。魔王の残党――サキュバスは男だけのパーティーでは太刀打ち出来るものではなく、全員魅了され身動きが取れなくなってしまったのだ。
「んー、このまま殺してあげてもいいんだけど――私は自由に生きたいの。殺しちゃったら他の冒険者が地の果てまで追ってきそうだしなあ」
サキュバスが何やらブツブツ呟いている間にも、何とか剣を握ろうとするが指一本動かせない。その様子を見て、サキュバスは何かを閃いたようだ。
「あなた達のことは見逃してあげるわ。生きて帰って私に人を殺す意思が無いことを伝えて」
――誰がそんなことを。声を出そうとするが何も音が出ない。
「もちろん、言うことを聞くとは思っていないから――リーダーのあなたに見せしめとして呪いをかけてあげるわ♡」
サキュバスの言葉が終わると同時に、俺の身体が勢いよく跳ね上がる。体中が弄られる感覚を絶え間なく感じると、次第に変化が表れてきた。服が全て切り裂かれ全身が露わになったかと思えば、勢いよくチンコから精液が吐き出される。精液を一度吐き出すごとに、身体が丸みを帯びて胸が膨らんでいく。短く切り揃えた髪が肩に着くまで伸びると、肌がツルツルしていき色白になる。各所の変化が終わった瞬間、精液の排出が終わりチンコがどんどん小さく、見えなくなっていく。ついには、股間には割れ目のみが鎮座していた。
変化が終わり、身体が自由に動くようになった頃には既にサキュバスの姿は無かった。身体を見回すが、酒場で働いている看板娘の子よりも官能的な体型をしているかもしれない。つい、男には無かった器官を触ってしまうが、男とは違う感触に違和感しか感じない。
「なあこれ…どうしよう」
パーティーの皆に相談するが返事がない。聞こえなかったのかなと思い彼らに近づく――
「こんなの、我慢できねえよ!」
突然、盗賊が俺を押し倒してくる。息遣いが荒く、チンコをはち切れんばかりに勃たせている。まずい、このままでは犯されてしまう。
「まて、俺は男だぞ!魔術師、回復術師!助けてくれ!」
皆は、止めようとするどころか下半身を露出し、じりじりとにじり寄ってくる。まるでサキュバスに魅了されたときのようだ――まさか!?
次の瞬間、新しくできたまんこにゆっくりとチンコが挿入される。異物感を感じて気持ち悪い。何とかして抜こうとするが、力が弱くなってしまったのか盗賊の腕すら振り払うことが出来ない。次第に、盗賊の動きが激しくなっていく。そのうち、異物感と痛み以外に快楽が襲い掛かってきた。激しくなればなるほど快楽がどんどん強まっていく。こんなの、耐えられない――瞬間、盗賊の身体が震え精液が体内に流し込まれる。チンコが引き抜かれ、ようやく終わると思ったその時。魔術師が立て続けに挿入してきたのだ。
「なん、でっ…!」
老人とは思えない力強さと勢いに息が出来なくなる。すると、回復術師が回復の術をかけながら口の中にチンコを突っ込んできた!
「ん~~っ!!!」
口の中に苦みが広がるが、力で押さえつけられ抵抗できない。息が苦しいが術により意識が飛ぼうとすると引き戻されてしまう。数十分ほど行為が行われ続けると、魔術師と回復術師が同時に精液を吐き出してきた。前後に勢いよく精液を流し込まれ正常な思考が出来ない。チンコを引き抜かれ回復の術が止められると
、次第に意識が薄れてきた。正気に戻ったらしき皆が何やら声をかけてきているが、意識は暗闇へと堕ちていった。
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「で、どうしてこうなったんだろう」
宿屋の一室で、精を吐き出し過ぎて倒れる仲間たちを見ながら俺は苦悩する。あれから、街に戻ってサキュバスの報告をして――最高ランクの討伐依頼として張り出されたところまではよかった。術師たちに戻る手段を無いか模索してもらったが、呪いが強く解呪の見込みが立たないことも。力は落ちたけど経験を活かして剣士としての活動は続けられていることも、まだ良かったのだが。
「まさかパーティーの皆に肉体関係を迫られ続けてハーレム状態になるとは思わないじゃんよ」
俺は、剣士カワルから剣士カワリアと名前を変え女としての道を歩み始めていた。かつての仲間は今の恋人であり、その美貌から他にもパーティーへの加入申請という名のラブレターが届いているほどだ。
「確かに、前の人生よりも楽しい人生になったけどさ――」
窓から空を見上げ、叫ぶ。
「こんなの『私』、聞いてないぞーーーっ!」
可愛らしい声が、街中に響き渡る。『彼女』の冒険はまだ始まったばかり、ですね。
[newpage]
[chapter:人狼達の集落にて(transfur)]
目を開くと、そこは藁で造られた簡素な集落だった。周りを見渡すが誰もいない。一体、ここはどこなんだろう。集落内を歩き回ってみるが、生活の痕跡こそ見つかるが人の気配が無い。歩き疲れ、真ん中にあった広場で腰を下ろす。女神が、間違えて変な場所に転移させてしまったのだろうか。色々考えるが、腹が減って考えが纏まらない。
限界が近づいていたその時、大勢の足音がこちらに近づいて来ていることに気が付いた。助かった、集落に住む人達が帰ってきたんだ。これで安心だ、そう思い音が聞こえた方向を確認する。
「――ん?なんか灰色っぽい人達だな」
遠くから近づいてくる集団は皆、灰色の毛皮のようなものを着ているように見える。もっとよく確認しようとしたとき、集団の内の1人がこちらに気づいたようだ。
瞬間、俺の身体は複数人にうつ伏せで拘束されてしまった。50mほども距離があったのに、目で捉えられないほどの速さで近づいてきたのだ。拘束されている部分に何やら動物の毛のような感触と、耳元に獣のような吐息を感じる。
「族長、侵入者を拘束しました」
族長、と呼ばれた人物が目の前に現れる。その姿は、俺を殺した狼男にそっくりだった。驚き、恐怖に震えるが逃げだすことも出来ない。族長が口を開く。
「人間よ、何故このような場所にいる。我らを虐げただけでは飽き足らず、集落まで襲おうというのか!」
問いかけられるが、震えて声も出せない。何度か問いかけてきた後、頭を掻きながら何やら他の狼男に指示を出し始めた。すると、拘束が解けて自由となる。
「お前が、こちらに危害を加えないのであれば。私たちはお前を歓迎しよう、人間の小僧」
族長はそう言うと、こちらに手を差し伸べる。震えはまだ止まらないが、差し出された手を取らないことには生き残れそうにも無い。差し出された手に、そっと手を乗せた。
「分かった。ようこそ、人狼族の集落へ」
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狼男――いや、人狼族の集落に来て5日ほど。最初のうちは身体が震えて言うことを聞かなかったが、優しく接してくれる集落の人々に心を溶かされ抵抗感は無くなっていた。今は客人として丁重にもてなしてもらっている。
「なるほどな、女神って存在は眉唾もんだが別世界から来たっていうのは信じられなくは無い」
――この世界の常識を知らなさすぎるしな。俺の身の上話を聞いて、族長はそう呟く。
「しかしまあ、道を外した者とはいえ我々の一族が迷惑をかけたな」
人狼族は基本的に血の繋がりを大切にし、群れから外れることを嫌うらしい。そんな一族の中でも異端であった群れることを嫌う人狼が、魔王に利用され暴虐の限りを尽くしたとか。その内の1匹があのとき俺を殺したあの人狼だったということらしい。
「気にしていないよ、それよりも助けてもらったお礼がしたいんだ。この集落もまだ再建途中なんだろう?」
俺の言葉に、族長は笑顔を見せる。――俺の辿り着いたこの集落は、戦争によって土地を追い出された人狼族が集結して造られた新しい集落なのだそうだ。族長も、族長という立場が板についているがこう見えてもまだ全然若いらしい。
「客人を働かせるのは申し訳ないが、好意を無碍にすることも出来ん。簡単な仕事を回すように手配しよう。」
こうして俺は、食料の調達や建材の確保など、様々な手助けをすることになったのだ。
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そうして、集落に来て半年が経過した。子供たちからもなつかれ、大人たちからの信頼も厚くなり色々頼まれることが多くなってきた。祝福の影響か手伝いをこなす度に身体が強靭になっていき、今では人狼族に引けを取らないくらいだ。
「よし、来たな」
今日は族長の家に呼ばれていたのだが、何やら神妙な面持ちだ。横には村一番の女性と呼ばれていたフローラという娘も座っている。何の用事なのだろうか。
「今日はお前に頼みがあってな」
頼まれごとには慣れている。何でも言ってくれ――そう族長に告げる。その返事を聞いて族長は話を切り出す。
「このフローラと契りを結んでほしいのだ」
――は?つい声が出てしまったが、フローラは顔を赤らめてもじもじとしている。まさか。
「フローラはお前のことが好きになってしまったみたいでな。それも種族がどうとかではなく、その性格が気に入ったと言っている」
突然のことに、頭が真っ白になる。その様子を見て、族長はため息をつきながら言う。
「人と人狼族の間に子が成せぬことは聞いたことがあるな?だから、その――お前には人狼族になってもらえないかと思ってな」
珍しく族長が歯切れの悪い話し方で告げてくる。それはそうだろう。元ある種族を捨て、別のものとなれと言っているのだから頼みづらいに決まっている。――しばらく考え込んで、ついに俺は答えを出した。
「フローラさん、俺が必ず幸せにします」
集落の人にはお世話になった。まだまだ恩は返し切れてはいない。フローラを見ると、尻尾を大きく振り嬉しそうにしている。
「決意は…堅そうだな。ならば、これを受け入れろ。村のシャーマンが調合した同族化の薬だ」
薬を受け取り、鼻をつまんで一気に飲み干す。苦い。
「…私は邪魔になるから席を外すぞ」
族長が退室し、フローラと2人きりになる。――何のことだ?邪魔になる?
「では、服を脱いでくださいカワル様」
――ああ、そういうことか――言われたとおりに服を脱ぎ、フローラを待つ。フローラも服を脱ぎ、生まれたままの姿になるとフカフカとした手でチンコを握りしめた。
「わあ…人狼族のモノとは全然違いますね」
そのまま、慣れない手つきでチンコを上下に擦り始める。自分の手とは全く違う人狼族の手の感触が気持ちが良い。すぐに射精してしまった。
「すごい…濃厚なものがでましたね。それにもう身体が変わっていっています」
その言葉を聞いて身体を見る。確かに、ツメが伸び、牙が生え、毛が全身から噴き出してくる。変化していく感触とフローラの手の感触が合わさり、再び射精してしまう。
「お顔も変わってきて、尻尾も出来てきましたね」
視界に見えるものは人狼族の鼻だろう。尻尾も、ここからでは見えないが動かそうと思うと自由に動かす感触が伝わってくる。これでもうほとんど人狼族になれただろう。
「では、私に挿入してくださいませ」
フローラが、毛を掻き分けまんこをこちらに向ける。求められては断ることは出来ない。ゆっくりとフローラに挿入していく。
「ああ…カワル様のモノが挿入ってきました…!なんて素晴らしいものをお持ちなのでしょうか」
一心不乱に身体を動かす。動かすたびにフローラがエッチな声を上げるので、さらに興奮が高まっていく。そして、その時はついに訪れた。
「フローラさん、受け止めてくれ!」
勢いよく膣内に射精する。とめどなく精液が流れ、中々止まらない。引き抜こうにも固定されているようで動かせない。そういえば、人間と構造が違うとか、誰かが言ってたな――
「私…幸せです、カワル様」
「俺もだよ…フローラ」
フローラを幸せにするためにも、もっと頑張らなきゃな。そう決意し、すっかり変わってしまった口でフローラへとキスをした。
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人狼族の集落。総勢1000人ほどのこの大きな集落では、人も人狼族も分け隔てなく幸せそうに暮らしていた。その様子を、新しい人狼族の長は満足そうに眺めていた。
「カワル様、そのような格好でいると風邪を引きますよ」
「なあに、『ワシ』がそんな風邪を引くタマじゃないと知っておるだろう、フローラ」
すっかり貫禄の付いたカワルは、フローラと共に平和な楽園を作り出していた。これから先も、この集落は平和の下に繁栄していくだろう。
女神は、その様子を天から微笑みを浮かべて眺めていた。
[newpage]
[chapter:カワール13世の誕生(TFTG、unbirth、産卵)]
目を開くと、そこは岩場に囲まれた山の上だった。空気が薄く、身体を動かすとすぐに疲れてしまい、登ろうにも降りようにも体力が続かなかった。何故、女神はこんなところに――途方に暮れていた時、大きな生き物が空から舞い降りた。
ドスン――という擬音を当てるのが相応しい音と共に、降りてきたのは赤い鱗と白い角を持ったドラゴンであった。まずい、このままでは喰われてしまう。必死に離れようとするが、ドラゴンの前足に踏みつけられ、地面へと押さえつけられてしまった。
「妾の巣に入り込むとは…もしや忌々しいドラゴンスレイヤーではあるまいな」
その言葉に慌てて大きく首を振る。ドラゴンは首を傾げると、何やら匂いを嗅いで何かを確認している。
「確かに、こんな赤子同然のニンゲンがドラゴンスレイヤーであるはずもないか」
――何やら屈辱的なことを言われている気がするが、反論できたものではない。ドラゴンはさらに続ける。
「妾の名はカワール12世。誇り高きレッドドラゴンの血族。お主の名前を申してみよ、ニンゲン」
カワール?俺と名前が非常に似ている。殺されたくないので、正直に自分の名前を告げた。
「ほう…珍しいこともあったものだな。いや待て…これは天啓ではないか?」
何やらカワール12世はブツブツと呟いたかと思うと、俺の拘束を解き巣の奥へと歩いていく。
「この辺に…あったあった!」
カワール12世は何かの宝石を取り出したかと思うと、突然それを飲み込んだ。そして、こちらに向き直ると俺の事を口に咥えてきた。おい、何をする気なんだ――
「なに、お主には妾の可愛い子供になってもらおうかと思うてな」
そう言うと、ドラゴンは急に仰向けとなり、股間に俺を押し付け始めた。押し付けられた場所にあった割れ目が開いていくと、次第に俺の身体が飲み込まれ始める。このまま殺されてしまうのか!?
「阿呆、子供になってもらうと言うとるだろうに」
顔も飲み込まれ、外の様子も自分の様子も分からなくなってくる。暗くて何も見えないし、壁が脈打っていて恐ろしい。
それから、数時間は経ったのだろうか。何の感覚も感じなくなってしまった。触覚も、聴覚も、何も感じられない。ただ、何かに守られているような、不思議な感覚だけは、微かに、感じて――
「フフ、元気に生まれるのですよ。我が子よ」
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唐突に、失っていた感覚が戻ってきた。唸る風の音、何かに包まれているような感覚。何とか身体を動かして何かが無いかを探る。腕で叩くと、俺を包んでいる何かにヒビが入った。よし、もう一度だ。腕を大きく振り、ヒビへと当てる――
パキッ――という音を立て、何かが壊れる。光が中に差し込み、青空が見える。身体をよじりながら、何とか顔を外へと出した。外に見えたのは、先ほどドラゴンと一緒にいた巣と、眠っているお母さんだ。――ん?お母さん?
「おお、目覚めたのか。予定より早いとは、流石は愛しき我が子よ」
その言葉を聞いて、大きな悲鳴を上げてしまう。俺は、俺は――お母さんの子供に、ドラゴンの子供になってしまったのだ。
しばらくして、落ち着いた俺にお母さんが寄り添う。話によると、お母さんが飲み込んだ宝石は他の種族を取り込むことで同族の子供へと生まれ変わらせる秘術がかけられたものらしい。しかし、本来であれば記憶がリセットされるはずの術が、時間の経過より劣化し正常に作用しなかったのでは、と言うのだ。
「なに、妾が必ず守ってやるから安心しなさい」
そういう問題ではない、と言いたいが戻ることはどうあがいても無理らしい。お母さんの暖かさを肌?で感じながら、襲い来る睡魔に耐え切れず眠りに落ちた――
目が覚めた時、お母さんは巣からいなくなっていた。四足で立ち上がると、急に尿意を感じたので巣の隅っこの方へと向かう。えーっと――どうやっておしっこをするんだろう?人間の時とはだいぶ違うからなあ。力を込めて、おしっこを外に出そうとする。すると、普段とは違う感覚と共におしっこが流れてきた。
全部を出し切り身体を震わせる。なんだか、いつもと感覚が違ったなあと思い仰向けになって股間を覗き込む。そこにはお母さんのモノに似た縦筋が走っていた。
「あれ、もしかして中にあるのかな」
前足で何とか割れ目を開いて、中を覗く。おちんこは、中々見つからない。もしかして、もしかして!
2度目の悲鳴。山全体にこだました結果、慌ててお母さんが戻ってくることになったのでした。
『私』こと『カワール13世』は雌のドラゴンの子供になっていました。お母さんに問い詰めると、性別が変わることは普通は無いのだそう。つまり、また術の不具合の影響らしいです。
「雄も雌も変わりませんよ、我が子よ」
だいぶ違う!そう叫んでもお母さんは知らん顔。お母さんの馬鹿!
「何処へ行くのですか、我が子よ!」
『翼で飛び立ち』山の麓を目指す。こんなところ家出してやる。
「嗚呼、産まれたばかりなのに空を飛べるだなんて――じゃなくて、待つのです我が子よ――!」
何とかよろけながら山の麓へと降りました。家出といってもどこに行こう。迷っていると、頭に痛みが走る。殴られたような痛みに、涙が止まらない。後ろから声が聞こえる。
「ほう、小竜とは珍しい。こいつは高く売れるんじゃないか」
悪そうな男の人の声が聞こえる。お母さんが言ってたドラゴンスレイヤーなのかしら。そう考えて、急に怖くなる。死にたくないよ!
「なんだあ?急に泣き出すとは」
男の人に首を掴まれ、持ち上げられる。助けて、助けてお母さん!
突然、風が吹いたかと思ったら男の人が遠くに吹き飛ばされるのが見えました。そして、『私』は誰かの口に咥えられていました。お母さんだ!
「我が子に手を出す不届き者め、万死に値するぞ!」
お母さんは『私』を安全な場所に降ろすと、男の人に向かって炎のブレスを吹きかけました。黒焦げになり倒れる『ニンゲン』。
「怖かったよお母さん…」
お母さんの胸の中で泣いてしまう。それを、お母さんは優しく翼で包み込んでくれた。
「もう、大丈夫ですよ我が子よ。本当に――良かった」
その事件があってから、『私』は家出をすることは無くなった。恐ろしかったけど――あのとき、それ以上にお母さんの優しさを感じたの。だから、親離れするまで目一杯甘えることにしたの!
「いつまでも見守っていますよ、我が子よ」
その言葉を枕にして、『私』は今日も眠るのだった。
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3000年後。名前も忘れ去られた山の頂上にて、1匹の雌ドラゴンが卵を産んでいた。
「もう少し、もう少しで――『妾』もお母さんなのですね」
カワール13世は産み出した卵を眺め、その時を待っている。
「ああ、まだ卵があるのですね――」
そう言うと、股を広げ力む。白いものが股から覗いたかと思うと、勢いよく体外へ排出された。
「ふふ、『妾』は子に恵まれそうですね」
かつて人間であったことを忘れ、雌ドラゴンとしての幸福に包まれるカワル。子供が孵るのは、まだ先のお話。
――天上では、女神がちょっとだけ複雑そうな顔で様子を眺めていた。
「うーん、少し捻じ曲げすぎちゃいました。また、失敗してしまいました。反省、反省――」
[newpage]
[chapter:あとがきという名の設定集]
・カワル君
身長体重共に平均的な高校3年生。不幸な事故という名目で異世界へと転移させられ、異物が現れることで広がる様々な可能性を模索するために利用されていた。名前はそのまま『変わる』から。
・女神
自分の管理していた世界がどちらもうまく管理できないことを、他の神に笑われた怒りで2つの世界を繋げてしまった張本人。チェングリラの人々が『邪神』として崇めているその人。ちなみにこのお話の裏で、地球でも大変なことが起きているが割愛。
・チェングリラ
『シャングリラ』と『チェンジ』を合わせた名称。名前そのままに『変化』を促すような存在が多く、世界のどこかでは誰かがこの瞬間も別の存在へと変化している。
・カワル冒険団
カワルが率いた冒険者のパーティー。命名はカワル。90歳にもなる絶倫魔術師と、持ち前の器用さを性行為に活かす盗賊と、癒しの声質で女性を魅了してきた回復術師から成る。とんでもない連中なのにカワルに付いてきたのは、その腕前と女を知らない初心さをからかいたいと思っていたから。
・族長とフローラ
フローラは族長の異母兄妹であった。族長は本当は交尾を見届けるつもりであったが、情けない姿を見せそうだったので退室した。族長は21歳、フローラは19歳だった。
・カワール12世
カワルと同質の魂がチェングリラで産まれたのが彼女である。つまり、所謂異世界のカワル。自分の歳を忘れてしまうくらい長く生きているが本性を隠しており、実態は非常に乙女なドラゴンである。運命の糸を信じてやまない系。
・ドラゴンスレイヤー?
ただの山賊であったが、勘違いされた挙句消し炭になってしまった。合唱。