発情期には抗えない

  「あぢぃー…」

  収録帰りで疲れ果てた身体を太陽が容赦無く焼き照らし、みこは家に早く帰りたい一心で熱いアスファルトの上を歩いていた。

  (すいちゃんの日傘…借りとけば良かった……)

  そんな後悔と共にきっと家で涼しげにしているであろう恋人の事を思い浮かべる。

  『みこちも一応アイドルなんだから、日焼けとか気を付けなよー?』

  本格的な夏に入る前にすいせいから言われた言葉を思い返し、余計なお世話だと思っていたあの時の自分を引っ叩いてやりたい。今すぐ日陰に避難したい程の日差しの強さ、朝のニュースで注意喚起も出てたっけ。

  (し、しぬ゛……)

  早く冷房の効いている家でアイスを食べたい、お風呂に入りたい、すいせいと一緒にいたい。

  ぐるぐると渦巻く思考で頭が埋め尽くされ、遠くで揺らめく陽炎を眺めながら家を目指して一歩、また一歩と重い足を進めていった。

  ーーーーーー

  「ただいまぁー…」

  やっとの思いで辿り着いた家の扉を開けて、力の抜けた声で帰りを知らせる。しかしいつものお出迎えはなく、リビングの明かりも付いていない。まだ昼間だし明かりが無くともそこまで気にする事ではないけど、流石に「おかえり」くらいは部屋越しでもいつも言ってくれるものだから何となく心寂しくて。

  「すいちゃーん?……寝てるのかな?」

  朝に弱い彼女は昼を過ぎても起きないことが殆ど。それに昨日は忙しそうにしてたから疲れているのかもしれない。そんな事を思いながら部屋に入ると案の定リビングに彼女の姿は無く、寝室にいる事は間違いないだろう。

  (一応様子見てみるか…)

  少しだけ覗いてからお風呂にでも入ろうと彼女がいるであろう寝室へと向かった。

  ギ……ギシッ…………ギシッ…

  「……ん?」

  しかし寝室に向かう途中で微かに聞こえた音に一旦足を止める。何かが軋むような音、その音の出所は今向かおうとしていた場所…寝室に近づくごとに大きくなっていく。そして忍足で部屋の前まで来て、中を覗き見る様にゆっくりと扉を開けるとーーー

  「あぐるるっ……はぁ、うゔっ……みこ、みこっ……ぐるるっ!」

  ベッドの上で布団に覆い被さりながら尻尾を毛羽立たせ、みこの名を呼び一心不乱に腰を振るすいせいの姿があった。

  「……すい、ちゃん?」

  「ふーぅ゛…はぁ、はぁ……っ?み、こ?」

  困惑から出たみこの声に反応して大きな耳がぴくりと動いたかと思ったら、こちらへ鋭い眼光を向けられて思わず息を呑む。

  「も、もしかして、それって……」

  マウンティングーーー主に上下関係の誇示や支配欲、ストレス発散など様々な要因からくるものだと聞いたことがある。しかしすいせいの行なっている行為は明らかにそれらとは違う……性的興奮による『繁殖行為』からくるものだった。

  「ふぅ…はぁ……ヴルルッ…!」

  「っ……」

  今すぐにでも襲いかかって来そうな勢いで唸り声を上げながらこちらへ身を構えるすいせい、その姿はまるで獲物を捕えようとする野生の狼。尻尾の毛をぶわりと膨らませてみこを威嚇しているようにも見えるが、すいせいはみこにそんな事はしない。

  「[[rb:発情期 > ヒート]]……来ちゃった?」

  「っ……こくっ」

  (やっぱり…)

  半人半獣であるすいせいには定期的に発情期がくる。そのため偶に慰めてやってはいるのだが毎度激しいものだから次の日がお仕事だったりすると発散してあげる事が出来ない時もしばしば…何より最近は“ご無沙汰”だったから我慢が出来なかったのかもしれない。

  「ごめん、辛かったね?」

  「ん、ぅ……」

  頭へ手を置くと尻尾と同じく毛羽立つ耳を後ろに倒して目を瞑るすいせい。そのまま優しく撫でてやればぐるぐると喉を鳴らして揺らめく尻尾、思わず「かわいい…」だなんて思ってしまうがすいせいはきっと辛いはず。

  同棲を始めて今までこんな事をしている所は見た事が無い、きっと今までもみこに負担をかけないよう一人で隠れて発散していたのだろう。思い返してみれば服や下着が無くなっている事は稀にあったけど、いつの間にか元の場所に戻っていたからあまり気にしない様にしていた。

  ーーーそれらから、すいせいの匂いがしている事に気付きながらも。

  「ぐるる……ごめん、なさぃ…」

  「……何で謝るの?」

  「布団、汚しちゃった……それに、こんなところ…見せたくなかった…」

  そう言って垂れ下がる耳と力無くベッドに落ちた尻尾はすいせいの気持ちを分かりやすく教えてくれる。しかしそんな可愛い姿にそぐわず、すいせいの股座でそそり立つそれは時折びく、びく、と跳ね上がって、見ているこちらにも伝わるほど熱を吐き出したそうに張り詰めていた。

  「ううん…こっちこそ我慢させちゃってごめんね?」

  俯きながら少し泣きそうなすいせいの顔を両手で包み込んでこちらを向かせると、熱が籠ったその瞳の中にみこが映って。

  「すいちゃんごめんね…もう少しだけ“待て”出来る?」

  「……っ?」

  本当だったら今すぐにでもしてあげたい所だが、生憎みこは収録帰りに日に当てられて汗をかいてしまっている。一端の乙女たるもの、流石に気にしてしまうからシャワーだけでも浴びさせて欲しい。

  「お風呂に入ってから……沢山してあげる」

  「っ……分かった、待ってる」

  「うん、いい子」

  最後に頭をひと撫でしてから寝室を出ると、扉越しに「……アゥー…クゥーン…」なんて切ない声が聞こえるものだから急いで風呂場へ向かった。

  出来るだけ早く、けれど入念に身体を洗って、入っていたのなんて10分くらい……しかしそれでもすいせいにとっては途轍もなく長い時間のはず。髪も碌に乾かさず下着だけ身に付けて寝室へ足早に向かう。

  「フーッ!…っ……みこ、ち……みこっ…アヴゥ……」

  扉の前まで来れば、必死に我慢しているすいせいの声。

  ーーーこの部屋に入ればきっと朝まで出られない。すいせいが満足するまで“喰われる”んだ。

  「…っ」

  不意に怖くなって少しの緊張と速くなる鼓動、これから待っている行為に果たしてみこは耐えられるのだろうか。

  「すぅー…はぁー…」

  自分を落ち着かせるようにゆっくりと深呼吸をして獣が待っている扉へと手を掛ける。

  「すいちゃん、お待ーーわっ!?」

  しかし扉を開けた途端、身体に走る衝撃と共に抱き抱えられた事を認識し一瞬のうちにしてベッドへ移動させられていた。

  「フーッ、フーッ!」

  そして覆い被さってきたのは牙を剥き出しにして涎を垂らす狼。本当に喰われてしまいそうな程にその風貌は完全に獲物を捕えた『獣』だった。

  「ヴルルルッ…ハァッ゛…!」

  「すいちゃん…」

  今にも噛み付いて来そうな狼の頬を優しく挟んでこちらに引き寄せる。いつもはみこよりも体温が低いすいせいだが、頬から伝わる体温はとても熱くて。

  「ぐ、ぁ……みこっ…も、いいっ?」

  何とか踏みとどまっているすいせい、しかし少し揺れ動く腰はみこのお腹に押し当てられて「早く早く」とせがんでくる。

  「うん、ちゃんといい子に出来たなら…ご褒美あげないとね?」

  「おいで?すいせい」

  [newpage]

  「んあっ……!あっ…あぅっ……っ…!」

  「はぁっ…はぁっ……ヴゥッ!」

  卑猥な水音と嬌声、そして低い唸り声が部屋に鳴り響く。すっかり日は沈み、闇に包まれたこの部屋で二人の情事は今も尚続いていた。

  「っ……みこ、みこっ!」

  「んあっ…まって…すいちゃ……またいくっ……いっちゃっ……あぁっ、ぅ……!」

  すいせいの激しい責めにみこは何度目かも分からない絶頂を迎えた。始めたはいいもののすいせいとみこの体力の差は歴然、何度も吐精している筈なのに中で異様な存在感を放つ肉棒はまだ固さを保ったままみこを穿つ。

  「ヴルルッ……みこっ…」

  「はぁっ…はぁっ……っ、まって…すこし、だけ……休ませてっ……」

  「…さっきちゃんと“待て”した、言う事きいたよ?」

  「っ…それ、言うの…ずるいっ……」

  「ご褒美、沢山くれるんでしょ?」

  「やぁ……んんっ…!」

  すいせいは絶頂の余韻から抜け出せていない柔肉を太く膨らんだ陰茎で掻き分けながらさらに奥へと侵入していく。ごつんっ!と大切な場所を乱暴に突き上げてはそこを執拗に責め立てられて。チカチカと点滅する視界に下半身に蓄積されていくどろりとした快楽から腰を必死に引いても簡単に引きずり戻さるだけ。

  「ひ、ぅ!や、らめっ……いく…いくっ……んんっ……っ!」

  先ほど達したばかりなのにすぐに快楽の波に戻されて、みこは成す術もなくまた絶頂を迎えた。

  「フーッ!フーッ!」

  「いってる…いまいってるのっ…すいせっ……あぁっ!」

  そんなみこの言葉などすいせいにはもう届いていない。みこの足を開かせて子壺の内側にまで入り込もうとする丸い先端がみこの腹を内側から押し上げていく。

  「もっと…もっとっ…」

  「あぐっ…おく、だめっ……それやぁ…すいせっ…も、ゆる、して………ぅ、ぐ……」

  「フーッ…フーッ!」

  すいせいも獣の本能には逆らえないようで息が随分と荒くなっている。みこに覆い被さりながら下腹部を押し込み、齧り付かれた胸の先端は口内で弄ばれて。

  「あぐっ…じゅるっ、ん…ぢゅぅぅ!」

  「ああっ…まってぇ……つよ、い、そんな吸っちゃ……やぁっ…」

  牙が胸に突き刺さって痛いのに気持ちいい。それに、込み上げてくる尿意に似た何かがもう我慢出来そうになくて、ぶるりと全身が震えた。

  「っ!?…でるっ…でちゃうっ、からぁ……やめ、てっ……んんっ!」

  しかしすいせいはそんな反応を見て、追い打ちをかけるかの様にすっかり腫れて剥き出しになった秘芽を親指で擦り上げた。

  「ああっ!?いっしょ、だめっ……んぐっ……やっ……で、る……っ゛!」

  ぷしゃ、ぷしゃっ!

  同時に責められたことで結合部から潮が吹き出しすいせいの腹部を濡らす。そんなみこの姿を見たすいせいはご機嫌そうに尻尾を一振りして口角を上げる。

  「グルグルッ…」

  噛んだところを舐めながら優しく秘芽を撫でられる所為で、なかなか快楽の波から抜け出せない。

  「はぁっ…はぁっ……んぅ…」

  「……体勢変える」

  「っ、ぇ……?」

  そう言って、すいせいはみこの体をうつ伏せにさせてくるが体に力なんて入る訳もなくベッドに身を預けていると、すいせいが腰を持ち上げて自分の方へ持っていきそのまま覆い被さった。

  すいせいにとって一番動きやすい体勢、つまりこれから本気で動くと言うこと。

  やめさせないとーーー壊される。

  「っ…ま、まって…まってっ……」

  「やだ」

  グププッ…

  「ああっ!やっ……またはいっ、て…んぅ!」

  「ッ…やっぱこの体勢……たまんないっ…!」

  先端を挿れた後、歓喜に満ちた声で一気に奥を突き上げるすいせい。こうなってしまえばみこはすいせいが満足するまでただ愛を注がれる他ない。

  「ああっ…いく、いくっ……あぁっ!…っ……やらっ…とまってぇ……も、いってるのぉ…」

  「グルルッ!」

  すいせいは喉を鳴らしながら腰を振って、みこは枕に顔を押し付けて声を抑えながら膨大な快楽に必死に耐えることしかできなかった。

  「ゔーっ!ゔーっ!んんっ!」

  「グルル……声、抑えちゃダメ」

  「んんぅ……っ……や、だっ…」

  「ガヴッ!」

  「ひうっ…!」

  みこの必死の抵抗にひと吠えしたすいせいは、割れ目の上にある秘芯へと再び手を伸ばし上下に擦り上げた。

  「…っ!?やぅっ…あぁ゛っ…!」

  絶頂と共にぱたぱたと飛び散った潮をベッドが受け止めて染みを広げていく。しかしそれでもすいせいは容赦無く最奥を叩き続け、吹き出す潮が止まらない。

  「ふ、ぐぅ……っ…ぁ……いっ…ぅ…あっ、あっ…んんっ…!」

  止まぬ快楽からどうにか逃げようと必死に足でシーツを蹴るも、すいせいが腰を掴んでいるから意味なんてなくて。

  「あぁ…ぅ……ゃ、めて……ずっと、いってる…いってる、からぁ……」

  「グァゥ……ガブッ!」

  「あ、ぐぅ……!」

  それどころか逃げるなと言わんばかりに強めに頸を噛まれ、みこの抵抗は簡単に断ち切られてしまった。頸にズクズクと痛みが走り、快楽で朦朧としていた意識が無理矢理起こされていく。

  「ぐっ、ぅ…すいせ……いたいよぉ…」

  「アグッ……ペロ…ペロッ……」

  痛みに体を震わすみこを今度は労わるように、噛んだところを舐めては鼻を擦り付けてくるすいせい。しかし腰の動きは一向に止めてくれる気配がなく、みこはずっと絶頂から抜け出せていなかった。

  「あ、あゃ……すい、せぃ……」

  「グルル…グルゥ……」

  すいせいは喉を鳴らしながらみこのお腹に腕を回して最奥を突く勢いを加速させていく。

  「ハッ、ハッ…ッ……ガルルルッ゛!」

  そしてすいせいの陰茎の根元が膨らみ恥骨に引っ掛かり抜けなくなったところでまた熱を吐き出した。

  「はぁぁ……ん、あぁ…ぅ…でてる……あつ、い…」

  「フーッ、フーッ!」

  「すいせっ…もう、はいら、な…ぃ」

  「グルッ、グルル」

  首元に擦り寄ってくるすいせいのふさふさの耳がみこの耳を掠めて擽ったい。

  「んぅ…すいせ、っ…」

  「……アゥン」

  「ぅ、ん…?」

  「…クゥーン」

  「…んぅ…どう、したの?」

  「アウゥー…」

  (…甘えられてる?)

  脚に尻尾を巻き付けてくるのは、いつも甘えてくる時のすいせいの癖。しかし今日はどうにも様子がおかしい、尻尾の毛がまだ落ち着いていない。

  「すいせーーっ!?」

  何となく嫌な予感がして名前を呼ぼうとするもそれを遮る様に、ぐち、ぐち、と音を立てて再び始まった抽送が「まだ足りない」とみこに訴えかけて来て。

  「ヴルルッ…」

  「ひ、ぁ……まっへ、も……や、ぅ…」

  ーーーーーーー

  「ぁ゛ぅ…ぁぁ………っぁ」

  「ガヴッ、グルルッ」

  「すい、せ……も…む、り…」

  あれからどれほど経ったのか、みこは意識が朦朧としていた。何度も休むことなく絶頂を続け、何度も中に出されてお腹が重い。

  すいせいは段々と反応が薄くなってきたみこを仰向けに戻してこちらを覗き込んでくるが、ぼんやりと視界に映り込む青色の輪郭がはっきりとしない。そのまま体に蓄積された疲労は眠気となって襲いかかり、瞼が重くなっていく。

  「グルルッ…」

  「ぁぅ…ぁ…」

  「…アゥー」

  しかしみこの頬を軽く叩いてくるすいせいはまだ続きがしたいみたいで。獣の性欲はこんなにも強いのかと抱かれるたびに再認識する。

  「ごめ、ん……も、むりぃ……」

  ーーーごめんすいせい、最後まで付き合ってあげられそうにないや。

  「クゥーン…」

  薄らと視界に映るすいせいは残念そうに耳を下げ、ベットから降りて部屋を出て行ってしまう。

  どこ行くの?置いてかないで……。

  引き止めたくても溜まりに溜まった疲労には勝てなくてーーーそのままみこは目を閉じた。

  [newpage]

  「ん…ぅ…?」

  重い瞼をゆっくりと開けると、外はすっかり明るくなっておりカーテンから漏れる光の眩しさに眉を顰めた。

  「すい、ちゃん…?」

  (服、着てる…シーツも、綺麗にしてくれてある)

  意識を失ったみこは何も身に纏っていなかったはず、と言うことはすいせいが身の回りのことを全てやってくれたと言うこと。しかし肝心なすいせいの姿は無い。

  最後すいせいが寝室を出て行ったところまでしか覚えていない。隣にいてほしくて名前を呼び、彼女の姿を探した。

  「すいちゃん…すいちゃんっ…?」

  体が痛くて動かない分、必死に名前を呼ぶ。喉もガラガラで大きい声が出せないけどそれでも精一杯だった。

  「いないのっ…?」

  何度名前を呼んでも求めている恋人は現れてくれない。怖くなって、声が震える。

  ーーーーーもしかして…出ていっちゃった?

  不意にそんな不安がよぎる。

  みこが最後までしてあげられなくて、飽きて出て行ってしまったのではないか。一度そんなことを思ってしまうと思考がどんどん最悪な方へと向かっていく。

  (やだ、やだっ…)

  怖くて、信じたくなくて、シーツを羽織り重い体に鞭打ってベッドから起き上がる。腰は痛いし足に力は入らないがどうにか壁を伝って歩き寝室を出て、リビングを覗き込む。しかしリビングにもすいせいの姿はなかった。

  「すいちゃ…すいせいっ…」

  (本当にいなくなっちゃったの…?)

  足から力が抜けてペタンッと床に座り込んだ。だんだんと目の前が涙でぼやけていく。

  「やだよぉ…すいせい…すいせぇぇ…っ……」

  そして不安が爆発して涙が溢れ出る。すいせいの名前を呼びながら泣くことしか出来ないでいると慌ただしい足音が近づいてきた。

  「みこち、どうしたのっ!?」

  「ぐすっ、す、すいせい…?」

  顔を上げると目の前にはすいせいが居た。困った顔をしたすいせいはしゃがみ込んでみこに抱きつく。

  「ここまで歩いてきたの?体、痛いよね……とりあえずベッドに戻ろうか」

  「ぐすっ……うん…」

  すいせいはみこを抱き抱えて寝室へ向かい、優しくベッドに降ろした。

  「みこち、泣かないで…どうしたの?」

  「すいちゃんがいなくなっちゃったのかと思って…怖くてっ…」

  「っ…私はいなくなったりしないよ。さっきは洗濯物干してたの、気づかなくてごめんね?」

  「うん、うんっ…」

  ギュッとみこを抱きしめてくれるすいせいからは昨日の荒さは感じられなくて、とても優しくて温かい。背中に腕を回して抱きしめ返すとすいせいの尻尾が嬉しそうに左右に振られる。

  「…不安にさせてごめん」

  「ううん、みこも…すいちゃんに最後まで、させてあげられなかった…から…」

  「っ…!」

  ピコッと耳を立てて驚いた顔ですいせいがみこの顔を覗き込もうとしてくるが、きっと赤くなっているだろう顔を見られたくなくてすいせいの肩口に額を押し付けて隠した。

  「みこち、顔見せて?」

  「……やだ」

  「…ペロッ」

  「んっ!?耳、だめっ…///」

  「ペロペロッ…カプッ」

  「ひゃっ!?///」

  「耳、真っ赤だにぇ(笑)」

  「う、うるせぇ…」

  すいせいはニィッと口角を上げ尖った歯を見せながら、また嬉しそうに尻尾を振る。そして顔を上げてこちらを見てきたと思えばゴロゴロと喉を鳴らしながら頬擦りをしてきた。

  「ふふっ、なぁに?」

  「クゥーン…」

  「なに切ない声出してんのさ」

  「…足りない」

  「………え?」

  「まだ足りない」

  その言葉と同時にベッドに押し倒される。すいせいの綺麗な瞳がみこを捉えており、一気に嫌な予感がした。

  「ちょっと……またする気?」

  「…だめ?」

  「だめ…体、限界だから…」

  「一回だけ」

  「むり…絶対一回じゃ終わらないもんっ…」

  「…おねがい」

  「や、やだっ…」

  「……クゥーン」

  「なっ!?そんな声出してもダメだから!」

  「………」

  少し口をとんがらせたすいせいは、みこの言葉も聞かずに服に手を差し込んで上へ上へと手を這い上がらせる。

  「だめ…すいちゃんっ…」

  「…アゥーン」

  「っ…」

  わざとらしく耳を垂らしたってみこはそんな単純じゃーーー

  「…おねがい、みこ」

  ーーーあぁ、せめて朝ご飯…食べたかったな。