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特殊メイクカフェ1-1~猫

  人伝いに知ったお仕事は、ちょっとエッチだけど、相手は女性だし、顔バレは絶対にしないと言う。但し、最低半月は拘束されると言う。

  仕事とお金に困っていた私は、それに飛びついた。今思えば、人伝いにと言うには話が出来すぎていた気がする。

  面接は一日がかりというから、大変だ。しかし、それを乗り越えれば、満足行ける額の収入が得られる。恐らく、半月だけで、一般的な同年代の倍以上は稼げるのだ。

  そんなわけで、指定の場所で合流して、やや分かりにくい立地にある雑居ビルへと辿り着いた。

  面接してくれたのは、スタバなんかでバイトリーダーをやっていそうな風貌の女性であった。ナンというか、人当たりはいいが、付き合いづらそうな感じである。

  何はともあれ、収入の方が大事とばかりに、話には食い付いた。

  仕事の内容は、全身特殊メイクをして、女性を接客すると言う仕事らしい。

  なるべく、その動物になりきって貰うと言う。そして、そんな動物にお客さんがエッチな悪戯をするらしい。

  「まぁ、それぐらいなら」

  と、私は乗る気になったら、「じゃぁ、この日に来てくださいね。半月間は用事空けられますよね?」と迫れた。

  実際、用事なんて一つもなかったのに、スマホで確認するフリをして、そして、「大丈夫です」と答えた。考えれば、即答以外の答え方は恥ずかしかったのではないか? と考えてしまうが、もう、仕方のないことであった。

  これが、お店の人に説明を受けて、たかだか小一時間の出来事だった。

  「あれ?」と思ったら、そこから型どりが入るのだという。

  通された一室には、もう、準備万端という状態で、「ああ、なるほど、最初から拒否権はなかったのね」と気付いた。まぁ、どの道やる気なんだから、いいかと思い直し、促されるまま、型どりに入る。

  素っ裸にされる。拒否権はない。

  スタッフは六名ほどいたが、全員女性であった。とはいえ、初対面の人に真っ裸を見せるのは恥ずかしい。

  とは言え、引き返せる道でもなさそうなので、意を決して裸になる。

  シャワーを丹念に浴びて準備が整うと、スタッフは親切に導いてくれる。

  髪を結わえ、ゴムで出来たスイムキャップを被る。

  そして、目の前には棺桶状のベッドがあった。

  ベッドというか、底には固まり掛けのシリコンゲルが入っていて、型どりには丁度よい状況になっていたのだ。

  ゲルは冷たいと思っていたが、意外に人肌ほどあった。

  何はともあれ、そこに、身体を沈める。

  「力を抜いてね」

  と言われるが、そうも言っていられない。だが、「力はいってると、最後まで力入れ続けなくちゃいけないから大変だよ」と言われ、勤めてリラックスすることにした。うん、矛盾しているのは分かっている。

  ベッドには、身体の半分ほどが沈んだ。ちゃんと計算してあるという。

  コレが固まるまで、暫く待たねばならない。

  暇な時間が流れ、いつの間にか寝ていた。

  次に起きたときには、身体に油が満遍なく塗られているときであった。

  おっぱいから、アソコまでもう、ベタベタに塗られた。

  「離型剤だからね」と言われたが、よく分からないので、そのままにした。

  若干、手つきがエロいが、私が濡れたら型は台無しになるので、そこまでの事はしてこなかった。いや、でも、やっぱりみんな変態だろ……

  その次は、シリコンを流し込まれる。

  鼻にチューブが通され、顔まで全部流し込まれた。

  流石に怖いのだが、しかし、暴れても仕方ないと我慢する。

  それにしても、全身が何かに密着される感じは、何か気持ちのいいもののように感じる。重さで、身体は動かない気がする。否、動かそうと思えば何とかなるのだろうが、そう言う気力をなくしてくれる重力だった。

  このまま、何処かに流されやしないかと思いつつ、意識は遠のく。

  気付いたら、棺桶は歯車とか機械的にごちゃごちゃしたモノで、立ち上がらされていた。

  何事もいきなりだから驚く。

  棺桶が剥がされる音がする。そして、それが外されると、もうあとは、離型剤のお陰で、型はするりと半分半分になったのだ。

  面接は午前中からだったが、気付けばもう深夜であった。

  そこからは暫く待たされる事になる。

  まぁ、先払いのお金があるので、焦燥感はあったが、しかし、連絡はちょこちょこ取っていたし、期日には必ず間に合わせると言っていたので、それを信じておいた。

  さて、当日だ。

  持ち物は特に必要ないと言われた。特殊メイクをしたら、スマホなんて触れないし、下着とかも必要ないからだ。脱いだ服はクリーニングしてくれると言うから、本当に、必要なモノは一つもなかったのだ。

  アパートの管理会社には、半月間旅行に出掛けるといい、そして、ガスの元栓を閉めて、ブレーカーを落として家を出た。

  親しい友達にも、話は伝えたから、変な噂は立たないだろう。いやしかし、半月も拘束される仕事なんて、あんましマトモな仕事と思われないだろうけど。(実際にそうだし)

  。何はともあれ、例の雑居ビルだ。

  先ずは見学させて貰えるのかと思ったが、そんなことは全然なかった。

  いきなり、メイク室に放り込まれて、真っ裸にされるところから始まった。

  全身特殊メイクなんて、どんだけ時間が掛かるのだろうと思ったが、意外にそうでもなかった。

  一つ目に、全身タイツのような毛皮を着せられた。

  この毛皮、実に伸縮性がよくて、首から足を入れ、手を入れ、あっという間に、三毛猫の体毛が生えてしまったのだ。

  次に指の第一関節と第二関節を曲げたところで、グローブを取り付けられた。

  クッションの入ったふかふかのグローブで、肉球も付いている。

  指はその状態で固定されたので、もう、これから先は、一人では何も出来ない状態になるのだ。

  同時進行で、女性器と肛門周りの植毛だ。先のタイツ、この二箇所はスリットになっていて、排尿排便は出来るようになっているという。とは言え、この部分を適当にしていると、尿や便が中に入って大変なことになると言う。

  だから、そこを特殊な接着剤で固定した上で、境目の部分を上手く誤魔化すのだという。

  事実、完成した股間は、真っ裸と紙一重だと言うのに、全くそんなものなどないように見えた。

  「広げれば見えるんだけどねぇ」

  スタッフは悪戯っぽく囁いたが、しかし、実際に手を触れるまではしなかった。

  次に頭だ。

  これも、伸縮性のあるマスクで出来ていて、上唇と下唇のそれぞれの上に、猫らしい造形が作られていた。

  これも、境目を上手く誤魔化していき、付け歯とカラコン、そしてウィッグを固定して完成となった。

  素早いとは言え、ここで三時間だ。

  そして、最後に忠告を受ける。

  「このメイク、お金掛かっているし、一度脱ぐと使い物にならないから、本当にどうしようもない状態にならない限り、脱いだら駄目だからね。あと、この部屋を出たら、もう、人間扱いしませんから、猫になりきってください」

  この言葉は、今までのおちゃらけた雰囲気とは一線を画していた。「あ、コレはマジなんだな」と胆を冷やした瞬間である。

  しかし、そんな覚悟とは無関係に、扉は開けられたのだ。

  そこには、実際、様々な動物がいた。そして、一目見て、どいつもこいつも、なりきっている感が凄かったのだ。

  ナンというか、人間のオーラを感じさせなかったのだ。

  ぼーっと突っ立ったまま……と言いたいが、ドアを空ける前に、「猫だから」と座らされたので、四つん這いのような状態で、その光景に見とれていたのだ。

  何はともあれ、私は、この瞬間からミケ(実に安直な名前だが)として、半月を過ごすことになるのだ。

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