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狂った時代になったもので、税金を滞納した人間から抽選で、人権が失われるのだ。
地球が今の人類を養える力を失った今、どこかの僻地でまとめて殺すか、身の回りで間引いていくかと言う議論の末、後者が選ばれたと言うわけだ。麗しき平等主義である。
死刑制度はこの世界から消え去っているので、生産性の低い人間から去勢すべきかと言う話になった。この狂気の甲論乙駁に対しなけなしの人権感覚を持つさる博士によって獣化薬が開発された。なるほど、人間にならなければ良いのだ。ブラボー、現代のジョゼフ・ギヨタン!
人権感覚は欠如したが、平等主義だけは徹底しているモノだから、金持ちが気に入った人間の税金を代わりに納めると言う事は許されなかった。
贈与税は年間五十万円から課税され、課税率はなんと1000%となっていた。実態のない雇用形態は徹底的に調べられて、違反があれば、最初から納税する能力がないとして、即時獣化が決定される。
私の幼なじみも、失業期間が続き、遂に"赤紙"が届いたのだ。
所定の日までに後見人=買い主を指定し、獣化薬を飲み、獣化後後見人にペットの登録をしろと言う訳である。
後見人が決められない場合や、指定日までに飲まなかった場合は、収容施設で獣化し、その後、オークションで買い主を決める。オークションで決まらないと、暫く施設で管理された後、殺処分を行う事になっている。
幾人の幼なじみが犠牲になったのは知っている。だが、守れなかった。
そして、遂に最愛の彼女である。
同性の私を好きになったのも赤紙の理由かも知れない。
泣きじゃくる彼女をなだめ、後見人になるから心配しないでと言う。
折角だから、家財を処分したお金で最後の旅行をして、おいしいモノを食べた。
塞ぎ込んでいた彼女も、明るい笑顔が戻ってきた。貴方は、その顔が一番素晴らしい。
獣化は私の家で行うことにした。
「サヤちゃん、私、絶対に忘れないからね!」
獣化した後の記憶は定かではない。あると言う噂は聞くが、社会的混乱を恐れてか、政府からは消失すると言われてる。また、これも噂話だが、近頃の獣化薬は記憶を態々消す成分が入っていると言う。全ては国が決めて、国が追求される事のないようにしている。
書類上自分に罪がなければ、人間的な罪などないと信じている愚か者の考える事だ。自分自身の中に道徳の規準がないのだろう。
彼女の必死な訴えを真正面から受け止めて、「私も絶対に忘れないよ! これからも絶対に大切にするから!」と、思いの丈をぶつける。
「じゃぁね、バイバイ」
全裸になったサヤはひと思いに獣化薬を飲んだ。
その直後、「熱い! 胸が熱い!」と訴え、そして転げ回った。
そして、手を見つめながら息を飲む彼女。徐々に犬の足になっていくのだ。
異変に気付き、ぱっと足の方を見れば、こちらも変化が始まっている。
毛が生え、細くなるところは細くなり、太くなるところは太くなる。
指は縮まり、甲の部分が伸びていく。
乳は下に下がっていき、副乳が膨れていく。
髪の毛はばさっと落ち、ケモノの毛が代わりに生えていく。
マズルが伸び、目の位置が顔の横の方へとずれていく。
「やだ! 私犬になんてなりたくな――ウー、グウゥ!」
言葉の途中で、声帯が変化した。喉を押さえ、必死でいるが、「ウー」とか「ワン」しか言えない。瞳で必死に訴えてくる目はもう、涙でいっぱいであった。
座った体勢が維持できなくなり、四つ足になる。
「クーン」と寄ってくる彼女。法的に新しい犬を人間の頃の名前で呼んではいけない。一緒に決めたサキと言う名前で呼ぶことにした。
「サキおいで」
声を掛けると抱きついてきた。顔を舐めるとか言う犬的な事はしない。
「えっちできる?」
聞いてみると、「ワン」と鳴いた。
試しに裸になると、おまんこやお乳を舐めてくれる。私も抱きしめて、彼女のおまんこを慰めてあげた。
習い性は忘れないようだ。
一緒にいれば、きっといいこともあるよ。
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