匂い立つ汚れた獅子おっさんがノンケだった普通の俺を獣に堕とした、その後の話

  燦々と降り注ぐ太陽の光が眩しい。真っ青な色が広がる空には、巨大な入道雲が綺麗なほどに天へと伸びていた。

  照らされたアスファルトは火をかけたフライパンのように熱く、反射する熱は人間でさえも滝汗を流させるほど。半袖なんかでは物足りないぐらいの気温が最近では当たり前になっていたこの現代において、毛皮を持つ獣人たちにとってはかなりの問題になっている。

  そんな地獄のような場所にも関わらず、陽光に焼かれた道路の居座るのは数名の雄獣人たち。真夏なのにも関わらず分厚いジーンズ素材のツナギを纏い、ご丁寧にヘルメットまで被って片側の車線を遮って支配している。

  工事現場なのだから当たり前なのだが、車から見れば外の暑さを考えてもかなり危険に思えるだろう。だがそれが彼らの仕事であり、ただの日常に過ぎなかった。

  巨木の幹のような上腕を見せて腕まくりをしている熊獣人に、上半身だけ脱いで薄汚れた白地のタンクトップを見せる虎獣人、律儀に交通整理を行っているハイエナ獣人…その誰もが、自身に与えられた仕事を黙々と全うしていた。

  かくいう俺もその一人である。獅子獣人となり逞しくなった体を酷使しては大量の汗を垂らして仕事に励んでいた。手持ち削岩機をヒビの入ったコンクリートに押し付けて地面を抉り、脆くなった道路を復活させるための基盤を作る。

  道路工事は文字通り大変なことには変わりないのだが、たくさんの人が毎日使うものを再生させるということだと先輩に教えられてからは、大きな責任と誇りを持てるようになった。

  街ゆく人たちを横目に見ながらの力仕事も、少しずつではあるが身についてきたと思う。高層ビルの立ち並ぶ風景は初めこそ見慣れなかったが、回数をこなすごとに自然と受け入れられていった。

  周りの獣人たちもみな優しくて、何かヘマをやらかしても笑って受け入れたり、誤魔化してくれたりして。ある種の部活のような雰囲気に俺はすぐに馴染んでいくことができた。

  そして………

  「……んっ、あっ、うっ…」

  ギシギシと使い古された床が軋む音が耳を打つ。それに応じて俺の体も沈み、尻穴に挿入された熱い肉が深く入り込んでくる。

  「今日もっ、よく働いてきたなぁ千晶っ…!」

  「あっ、ありがとうございます…! 宍戸さっ、あんっ!!」

  部屋を満たすのは胃がもたれてしまいそうなほどに濃い雄と、汗と、精液特有の生臭いニオイ。その濃さは異常とも言えるほど強く、素人がドアを開ければたちまち失神してしまうだろう。

  育ち盛りの青く苦々しい若さから出るものではなく、雄の獣人として長年生きてきた者にしか放つことのできない強烈な麝香だった。

  毛皮一本一本の根元に凝縮された汗は皮脂の汚れを存分に吸い取り、熱を帯びて蒸発する。その瞬間に発生する成分はまるで錬金術でしか生み出せないかのような独特のニオイを放ち、獣としての本能を強制的に呼び覚まさせる。

  「仕事もずいぶん慣れてきたようで嬉しいぜ。まあ、予想通りコッチの方が好きだってことは分かるんだけどな」

  真正面にいるのは、俺が勤めている建設会社の社長。俺の人生を変えてくれた恩人だ。彼は10年以上を費やして鍛え上げられた逞しい体を酷使し、気持ちよさそうに激しく腰を振っていた。

  その腰捌きは熟練を超えるもので、挿入されて1分も経たないうちにピンポイントを掌握された俺は情けなく喘いでしまう。

  「ひあぁ! そ、そんなことはないですよっ! というか、宍戸さんが上手すぎて……」

  「嬉しいこと言うじゃねぇか? んじゃご褒美だ、存分に嗅いで味わっていいぞ…!」

  「わぁっ、ん゛むう゛っ!!!」

  息が上がったばかりの俺に覆い被さってきた社長の巨体。思わず目を瞑るも鼻先に触れたのはぐっしょりと濡れた社長の腋毛であり、すぐさま地肌まで到達したのを理解した俺は本能で息を大きく吸う。

  「ふがっ、ン゛っ……んむぁあ…!」

  鼻腔から始まり、脊髄を通じて脳が感じ取ったのは一瞬の絶頂感。つまるところ射精と同価値の快感だった。

  この瞬間だけはいつも、間違いなく俺の五感は嗅覚しか機能していないだろう。考えることを放棄させるほどに強烈な彼の体臭は、いつもこうやって俺を堕落の底へと落とすのだ。

  まるで麻薬同然だった。例外なく発情を促され、体全体が性感帯になってしまったと錯覚してしまうほどに、俺の気分は一瞬で最高点まで酩酊していた。

  そんな俺は目の前の皮膚にむしゃぶりつき、一心不乱に汗を舐め取っていく。ぴりっとした味が頬を刺激し、付着していた垢もろとも摂取した。

  「はぁっ、はぁ、あむっ…宍戸さんのワキ汗、めっちゃうまいです…! 止められないです…っ!」

  「よしよし、いい子だぜ。さーて、それじゃあ俺のくっせぇザーメンはどこに欲しいか言ってみろ…?」

  誘うような、獲物を舐め回すような唸り声が耳元を覆う。時折現れる壮年らしさを含んだ言い回しは呪文にも似て、ぞくりとした鋭い悦びを感じていた俺は懇願するように叫んだ。

  「た、たてがみに…鬣にお願いしますっ!!」

  「よぅし分かった!!」

  ビクビクと胎内で蠕動し合図を送る宍戸さんのチンポがずるりと引き抜かれ、泡立った体液に塗れた肉の槍が俺の体へと向けられる。

  根元を掴むその手は白い垢が付着している。先ほど俺のを弄った時についたものだろうと考えるだけで、自分が少しずつ宍戸さんのように汚れている実感が湧いてしまう。

  「イくぞ千晶っ!! 全身で受け止めろよ!!」

  宍戸さんの明朗な声と共に目の前で白濁が爆ぜる。ホースから飛び出したように宙を舞いながら俺の上半身へと降り注いで行く雄汁は、生命のエネルギーをそのまま持っているかのように温かく、大量だった。

  おおかたは鬣に、それ以外は体や床、さらには壁まで。初めて交わったあの時とは大違いの暴発ぶりだが、年中性交祭りで暮らしている中年の雄獣人ならば、プライベートな空間なんて全く気にしなくなるのだろう。

  壁や床にできた斑点模様や世界地図のようなシミがその証拠だった。

  セックスにもすっかり順応したとはいえ、俺にとってのゴールは中出しではない。もちろんそれも気持ちがいいしさせてくれることもあるが、何よりもこうして宍戸さん、ひいては他の獣人たちの精液を全身にぶっかけられる方が何倍も嬉しかった。

  「っはぁ、はぁっ…あー出た出た。ったく、本当に好きモンだなぁお前はよ」

  「えへへ、今日も最っ高です宍戸さん…! ありがとうございます!」

  マズルについた黄ばんだ精液を掬って口へと放り込む。何度も味わった濃厚な雄ザーメンの味は、今の俺にとって最高の蜜となっていた。

  その流れで鬣や体全体に飛び立った宍戸さんの白濁を慈しむようにじっくりと塗り広げていく。ボディーオイルのように馴染みの良いそれは汗でぐっしょりと濡れた俺の毛皮を包み、むわりとした芳醇な雄のニオイが皮下へと浸透していく。

  「んはぁぁ…やっぱり宍戸さんのザーメンはニオイも味も濃くて凄いです…」

  「千晶も完全にその体に慣れたようで嬉しいぜ。それに1日に3回以上も出せればもう立派な雄獣人よ、ガハハハ!」

  その言葉に自分が獣人としてすっかり変わってしまったという実感を得るも、鼻腔を突き抜ける強烈な雄のニオイが明瞭な思考をさせてくれない。ヒクヒクと何度も反応してしまう獣人の鼻は、今では慣れたとはいえやはり危険な器官でもあった。

  「けど、この仕事もしっかり休まなきゃ体壊すからな。今日もマッサージしてやるよ」

  「えっ、そ、そんな大丈夫ですよ! 社長の手を煩わせる訳には…んひゃっ!?」

  「何言ってんだ。社長として現場に出れない俺ができんのはこれくらいなんだよ、気にすんなって!」

  宍戸さんは見かけ以上に優しい人で、俺がどれだけ申し訳ないからと断っても絶対に宍戸さん自ら労わってくれる。ちょうど良い強さのオイルマッサージは情けない声が漏れてしまうほど心地良く、仕事で蓄積した筋肉痛がみるみるうちに解けていくのだ。

  申し訳ないとは言いつつも、密かにそれを期待してしまう自分もいた。

  濃厚な獅子ザーメンを使ってのマッサージは言わずもがな興奮してしまうもので、俺はその間にも情けなく白濁を撒き散らしていた。もちろんそれを制止する人なんて誰もおらず、宍戸さんもまた俺の子種を体に馴染ませては恍惚な表情を浮かべてくれる。

  これが宍戸さんとの営みの中で最も幸せな瞬間だった。もっと強く濃いニオイを求めて、俺はこの人と夜を共にするのだろう。

  時には他の同僚たちとも交わりながら。

  「よし、じゃあ次は千晶が跨っていいぞ」

  「ええっ!? 流石にそんなことは…!」

  「心配すんな! それに尻を使うんじゃねぇよ、コレでお前が気持ち良くなるんだ…な?」

  躊躇いつつも宍戸さんの腹筋へと尻を乗せた俺に差し出されたのは、豊満でありながら強かな筋肉を携えた獅子獣人の胸板。鬣に隠れて中心は見えないが、それでもその屈強さを示すには十分過ぎるほどの盛り上がりだ。

  おじさんとはいえつい最近まで現場作業員として酷使されていたような肉体は衰えを知らず、マシュマロのようなハリを持つ双丘に俺のチンポが包まれる。次の瞬間、俺の体はビクンと激しく震えてしまった。

  「んっ! あっ、えっ…!? すご、社長の胸っ…きもちいぃ……」

  「ガハハッ、今だって筋トレだけは欠かしてねぇからな。これでたっぷり可愛がってやるから、存分にチンポ汁ぶちまけていいぞ!!」

  むっちりとしながらも抱擁感のある感触はさながらオナホのようだが、宍戸さんにしか出せない味というものが俺の肉棒をこそばゆく刺激していた。一度も洗ったことのない胸毛から生み出された大量の垢、それらが砂粒のように包皮や亀頭せとまとわりついてくるのだ。

  じゃりじゃりとした感覚がしっかり分かるほどなのは宍戸さんだからこそであり、それを俺が独り占めしているとなると興奮度は格段に上がる。

  剥けた皮と膨張する内側の海綿体にこびりついた汗の結晶は、俺が腰を前後するたびに再び包皮の中へと包まれている。宍戸さんの汚れを俺が受け継ぐような形での鬣パイズリが行われ、ボサボサの毛束に包まれた屈強な胸板へと我慢汁がとめどなく溢れていく。

  「んんっ、うあっ…! し、宍戸さんっ…俺もう、イっちゃいそうです…っ!!」

  「おぅしイけイけ!! 俺の胸で思いっきりぶっ放して俺を汚してみろッ!!」

  「あっあっ、ぐうぅっ、イきます!! イ゛っぎますッッ!!」

  俺は枷の外れた人形のように、ただ一心不乱に射精した。肉棒を刺激する胸板の甘い感触も、塩を振りかけられたように汚れた股座も、そこから香る途轍もない雄獣臭も、全てが俺の絶頂を促してくれる。

  挟まれた胸板から覗く肉棒はビクビクと痙攣し、先端から大量の精液を吹き出している。白い線を引いて向かうのは宍戸さんの首から上。

  鼻先やマズルはもちろん、しっかり鬣にまで白い斑点が付着している。その量はもはや人間なんかでは比にならないほど多く、白獅子とのハーフにでもなってしまいそうな勢いだ。

  赤らめた顔のままの宍戸さんは口元についた俺のザーメンを舌で掬い取り、「うめぇな」と一言呟いてはニチャニチャとわざとらしく口を開けて咀嚼途中の子種を見せつけてくる。

  その光景だけでもう一度興奮してしまった俺はラストスパートをかけて激しく擦り、今度は鈴口を天に向けて射精した。脳が弾け飛んでしまいそうなほどの快感に尻尾がピンと伸び、口の端からヨダレが溢れた。

  宙に浮かんではぼたぼたと宍戸さんの全身に降り注ぎ、今度は俺がその液体を丁寧に塗り込んでいく。20年以上も年上なのにしっかりとした筋肉と脂肪の付き具合をした体は、なんとも言えない塗り心地だ。

  天国にでもいるかのような心地だ。幸せだった。こんな気持ちのいい生活があったなんて、拾ってくれた宍戸さんに感謝しても仕切れないぐらいだ。

  「はぁーっ、はぁーっ、ふはぁっ……。宍戸さん…気持ちよかった、です……」

  「へへっ、たくさん出したじゃねぇか…やっぱ若いモンはこうでなくちゃな! こっち来い、キスしようぜ」

  「あっ、ンンッ…!! むふっ、んっ、くちゅ…」

  互いのザーメンを口に含んだ俺と宍戸さんは、両腕で抱き締め合ってひたすらに貪った。宍戸さんの体はどこを舐めても汗の味がして、それは舌だとしても同じだ。

  苦味の強い白唾液を交換し、毛繕いをするようにお互いの鬣を舐め合う。ピリピリと麻痺してしまいそうなほどに塩辛い宍戸さんの王者の印は汗と脂に覆われ、とうの昔に役目を終えている。

  いや、それよりは新たな役割を担っていると考えた方がいいだろうか。むしろそのツヤは羨ましいほどに煌びやかで、どこを舐めても美味しい雄の味がするのだ。

  俺も早くそうなりたいが、そう焦らなくてもいいぞと宍戸さんは優しく諭してくれた。

  だから俺は、この今という時間をとにかく楽しむことを目標としていた。宍戸さんとだけでなく、他の獣人たちとも体を交えることで肉欲を満たし、同時に体臭を濃くしていく毎日。

  そしてその日々は、振り返る暇もなくあっという間に過ぎていったのだった。

  [newpage]

  「ただいま戻りましたー!」

  「おう、おかえり!!」

  時は移ろい、蝉時雨の勢いも衰えたが、まだ茹るような暑さは残る季節。今日は非番だった俺は会社に残した軽い作業を終え、宍戸さんの待つ寮へと戻ってきた。

  俺の鬣は今日もたっぷりと汗を吸い込んでいるだろう。髭なんかより途方もない毛量を誇る首周りにまとわりつくベタつきが、その実感をより強くさせていた。

  中へ足を進めると、使い古された扇風機からなけなしの涼風を受けている全裸姿の獅子獣人の姿が。

  

  ぱたぱたと尻尾で床を叩きながら風を受ける様子は大きな猫のようで、おっさんながらも不思議な愛らしさを感じてしまう。いくら現場で気温に鍛え上げられているとは言え、暑いものは暑いのだ。それは俺だって同じだし、きっと他の獣人たちもそうなのだろう。

  戻ってきた俺に気づいた宍戸さんは、不思議がるような表情をして話しかけた。

  「そういや千晶、最近ずっとそれ着てるよなぁ。そんなモン着て暑くねぇのか?」

  「あ、これですか? サウナスーツって言って、着てるとサウナみたいに汗をかけるんですよ」

  これは俺が先月購入したものだ。スポーツウェアにも似た素材で、よく減量中のボクサーが着るようなイメージだろうか。

  機密性の高い生地は悪く言えば通気性が悪く、それ故にすぐ汗をかきやすい仕組みになっている。もちろん水分補給などはしっかりしなければならないが、それ相応に大量の汗がかけるという事でもある。

  「もともとは代謝を上げるためのもので、ダイエット目的の人が使うんですけど。その、俺の場合はというか…」

  「ほーう……。お前、本当に前とは別人になっちまったらしいな?」

  俺の目的を察したらしい彼は、わしゃわしゃと頭を撫でた。大きな手が鬣をかくたびに痴垢が宙を舞うが、お互いにそんなことなど気にしない。

  太い指がスーツの上から体をまさぐり、股間へと伸び、いやらしく撫で回してくる。既に始まっていたらしい[[rb:艶 > あで]]やかな時間は、いつも通りの静寂に包まれていた。

  前のチャックがゆっくりと開けられていく。シャツすら着ていない獣体が晒され、就職してから半年近く、一度も水浴びをした事がない不浄の毛束が顔を覗かせる。

  「んおぉっ…! なかなかのモンだなこりゃ」

  開いたスーツの隙間から溢れ出た俺の体臭に鼻をヒクつかせた宍戸さんが、ひっそりと独り言のように呟く。乾いたスルメのように鋭いニオイは、俺の体から出たとは思えないものだったと我ながら思う。

  とはいえまだまだこの会社での経験は浅いし、体を交えた回数も周りに比べれば多くはない。

  だからこそ会社の中で最上位である宍戸さんからのお墨付きを貰うことは、俺にとってこの上ない幸せだ。むわりと部屋中を漂い始めた自分のニオイに、俺もまた股間の血流が増していく。

  そのまま引き寄せられるように宍戸さんは俺へと近づき、まだ半開きの状態のスーツにマズルを突っ込む。いきなりの行動に驚いてしまったが、抱き寄せる力が強く抵抗などできない。

  そして、眼下にいる獅子獣人は俺の胸元で思いっきり息を吸い込んだ。

  「すうぅうぅ……んほぉおお…ッ……!!」

  既に全裸の獅子は背中を震わせ、盛り上がった背筋を唸らせて恍惚なため息を漏らした。生温く湿った吐息は俺の胸元を濡らし、それだけで体が奥から火照り出す。

  尾骨の先から生えた社長の尻尾が嬉しそうにゆらゆらと揺れていたのを見た俺は、ようやく自らの体臭が宍戸さんを喜ばせるほどまでに至れたのだろうかと嬉しかった。

  当の本人はたっぷりと息を吸い終わったのか、満足げな表情を浮かべて妖しく笑いかけた。

  「フゥウーーッ……っし、じゃあ今日もやるか」

  いつも通り、けれど毎回その始まりは一番最初にセックスを教えてもらった時のような、そんな新鮮さを覚えてしまう。

  今日は俺が宍戸さんをリードしてみようかなんて柄にもないことを考えていたその時、ガラリと部屋の扉が開く音がした。

  「お邪魔するぜ旦那ァ……ってクッッセェ!! なんだこの部屋!? やっぱライオンコンビにゃまだまだ敵わねぇな!!」

  「やべぇなコレ、俺もうニオイだけで勃ってきたんだが…」

  「キンタマパンパンで我慢できないっスよ親方っ、早く入りましょうよっ!」

  まるで自分の部屋のようにぞろぞろと足並み揃えて入ってくるのは、今日が現場の担当だった人たちだろう。玄関からでも分かる仕事終わりの香ばしいニオイの密度から、おおかたほぼ全員がやってきたらしい。

  いい雰囲気だったのにと思うかもしれないが、むしろその逆である。みんなで気持ち良くなろうというのがこの会社の良い所であり、ムードよりも楽しさを重視する人が多い。

  2人だけでヤりたい時も気持ちを察してくれるけど、基本的には大人数だ。

  最初に部屋へと足を踏み入れたのは、俺も良く知る気概の良い熊獣人の親方。次いでよく現場監督を任されることが多い恰幅の良い猪獣人、そして年の近い先輩コンビの筋骨隆々な虎獣人とハイエナ獣人など、多種多様な獣人たちが総勢10人ほど一気に押しかけてきた。

  多種多様な種族がいる中で唯一共通しているといえば、全員が湯呑みをしていないことだろうか。衣食住を行うための部屋は一気に発展場へと様変わりし、目も眩むような雄のニオイが充満し始めていた。

  「おうおうすっかり旦那のお気に入りだなぁ寺松ゥ! 今日は非番か?」

  「あぐっ!? は、はい、そうです…っ!」

  「ったく、あんまハメ外すなよ佐熊。おめぇは力の加減が下手なんだからよ」

  社長と同年代に見える猪獣人の猪原さんが、腕組みをしながら諭すように呟く。俺が初めて担当した現場を監督してくれていた人でもあり、一見寡黙に見えるが周りからの信頼はかなり厚い。

  そんなこの人も言動だけなら冷静に見えるが、着ているツナギは誰よりも汚れ、特に股間の部分が酷く黒ずんでいるあたり…相当な好き者ということが見て取れる。

  「ところで寺松が着てんの何だ? 新しい服か?」

  「ああいや、これはその……」

  俺は再びサウナスーツの説明をすると、他の獣人たちは感心するように話を聞いてくれた。同時に、そこまでニオイを強めようとするヤツも珍しいという反応ももらった。

  言われてみれば、そうかもしれない。それは俺が元人間だからこそなのか、味わった衝撃を敵わぬ物とするのではなく、自分のものにしたいという欲望の方が強かったのだろう。

  試行錯誤の日々はいつの間にか皆に知れ渡っており、そのおかげもあって仲良くなれた。次第に、俺も元人間であるということを理解してもらっていた。

  懐が広いというか、そんな俺を真っ先に受け入れてくれたのがこの佐熊さんというわけだ。

  そんな軽い忠告を受けた彼だが、部屋の淫熱に浮かされたその目の輝きは既に臨戦態勢をとっていることを示していた。胸元から股下まで伸びたツナギのチャックを降ろし、俺と同じように汗ばんだ素肌を晒していく。

  「それにしてもすんげぇニオイでよぉ…もうビンビンなんだが、頼んでいいか?」

  「じゃ、じゃあ俺やります。宍戸さん、いいですか?」

  「おう。好きにしていいぞ」

  「んじゃあ俺社長とヤりたいっス!!」

  宍戸さんを独り占めすることに成功した若いハイエナ獣人は、仲の良い虎獣人やその他の何人かを引き連れて別室へと向かっていた。

  

  まだスーツを完全に脱ぎ終わっていないままの俺は、改めて佐熊さんのチンポを目の前にする。缶ビールのように中太りした肉の塊は黒ずみ、根元に浮き出る血管の太さと言ったらない。使い込まれてなだらかな曲線を描く亀頭は、目を見張るほど見事な肉厚っぷりだった。

  スンスンと鼻を鳴らし、重厚な熊チンポのニオイを堪能する。ひと嗅ぎしただけで全身に血が巡り、たまらず肉棒を口へと放り込んだ。

  さすがは熊獣人といったところか、その存在感はいつ咥えても凄まじい。口を最大限に開けてもギリギリで、その圧迫感が堪らなく欲情を煽る。

  舌の上に広がる塩辛い肉棒の味を堪能しつつ、俺は慣れた喉使いで奉仕する。

  「ん゛っ、お゛ぉっ、おっふぅ……。なあ、前から言いたかったんだけどよ、お前普段からエロいニオイさせてるの気づいてっか?」

  「……ふぇっ?」

  「入ってからまだ間もねぇってのに雄臭ぇニオイプンプンさせやがって、お前に教える時だけチンポを抑えるのに必死だったんだぜ…?」

  肉欲の芽を少しずつ出し始めていた熊は、出し入れする腰の強度を強めていく。火傷しそうなほどに熱い包皮から感じるのは海水のような塩味と、ほろほろと柔く崩れる白い垢。

  宍戸さんと同じように洗わずに蓄積された固形物を舌先でこそぎ落とせば、両手で掴んだ腰がぶるるっと一際激しく反応する。俺はこの動きが奉仕してる実感があって堪らなく好きだ。

  鼻から突き抜ける腐ったチーズのような刺激臭はもはや臭いなどとは微塵も思わなくなり、今では酒のツマミのようになくてはならない存在となっている。

  「どうだ、美味ぇか? 俺が1週間じっくり貯めたチンカスだぜ、味わってくれよな……」

  「んっ、ぶっ、うぶっ…! はむ、んうっ…!」

  スピードを増していく出し入れは容赦なく口内を拡げ、息を吸う度に濃厚な淫臭が脳天を突き刺していく。

  とめどなく溢れる佐熊さんの我慢汁が口の中で弾け飛ぶ。精液でもないのに味もニオイも十分に濃く、ゴクゴクと喉越しの良い液体が食道を潤してくれる。

  何より自分の体臭が他の獣人たちを昂らせていたとは思ってもいなかった俺は、その嬉しさも相まって気分は最高潮にまで達しそうだった。

  ますます早くなっていくピストン運動は大量の体液を俺の顔に撒き散らし、開発されきった喉輪がボコボコと熊チンポの形に変形する。根元まで咥えた時に感じる股座のニオイは強烈で、ずっと陰毛の中に突っ込んでいたくなるほどだ。

  だが限界を悟ったらしい佐熊さんは俺の後頭部を乱暴に、しかし元からあった優しさも持ち合わせた掴み方でラストスパートを仕掛ける。

  この瞬間の俺は生きたオナホとしての役割となり、鼻や口から大量の我慢汁を吹き出しながら奉仕していた。

  「フッ、ぐっ、お゛ほぉっ! チンポ気持ちいいぜぇっ! そろそろイくぞ寺松っ、ぶっかけていいよなッ!!?」

  「ッッぶっはぁああっ!! はっ、はいっ! 俺に、全部ザーメンぶっかけてください! 精液まみれにしてくださいっ!!」

  ずるりと勢いよく抜けた熊チンポはぬらぬらと妖しい艶を放ち、触らずとも激しい痙攣を繰り返していた。俺は佐熊さんではなく目の前にある性器に懇願するように惚けた声を発し、宙を仰ぐ。

  「そぉらイくぞぉッ!! 特濃熊汁ぶっかけてやるからなっ! たっぷり受け取れっ!! イくイくイくっ…イ゛ッぐうぅうッッ!!!」

  熊の絶叫と共に吐き出された白濁。ビュルビュルと濁った音が聞こえてきそうなほどの水圧を誇る液体は一直線に俺へと飛び、熱い粘液が顔や体に付着するのを感じる。鶏卵大の睾丸によって製造された濃厚な熊汁は、下界へと解き放たれた瞬間から強烈な淫臭を放っていた。

  温かく芳醇なニオイを放つ精液に意識が蕩けていくような気がする。俺の体中に付着した黄ばんだ子種の斑点は、自分が別の生き物になったかのような錯覚を起こさせる。

  嗅ごうとしなくとも勝手に入り込んでくる精液特有の刺激臭に包まれ、下腹部が熱を帯びた。あまりの濃さとニオイに行き過ぎた幸福感が爆発し、気付かぬうちに射精していたらしい。

  だがそんなことは、ニオイと快感を完璧に紐付けられてしまった俺たちにとってはもはや当たり前なことだ。佐熊さんの我慢汁たっぷりザーメンを体に受けた俺は、その高級なオイルを持て余さぬようしっかりと塗り込んだ。

  筋肉の隆起に沿って、腋や股座などのニオイが濃い部分へ馴染ませて、そして脂艶の光る鬣は特に念入りに。白く濁った雄汁美容液はみるみるうちに皮膚へと浸透していき、俺の体はまた一つアップデートされた。

  「ハァッ、ハァッ、フゥーーッ!! やっぱぶっかけんのが一番アガるなぁ!」

  「佐熊さん、めっちゃ溜まってたんですね…」

  「なぁに、まだまだ出し足りねぇよ。それより寺松もずいぶんエッチが上手くなりやがって、若モンの成長ってのは早ぇもんだな!」

  溜めていた1発を放ってスッキリした様子の佐熊さんは汗だくになりながら腰を下ろす。股間を見ればまだまだ余裕たっぷりな肉棒が顔を見せているが、次を控えている人がいるのを分かっているのだろう。

  「そいじゃ、今度は俺と付き合ってもらおうかね」

  案の定、その人は既に屹立させた愚息をぶらぶらと遊ばせながら俺へと近づいてきた。切り株のように色褪せた黄土色の皮膚とほどよく肥えたビール腹を携え、中肉中背と言った体型に、臍から下まで伸びた剛毛は無造作に暴れている。

  かといってその肉体はだらしない訳でもなく、鍛え挙げられた腕や肩周りの筋肉はもちろん、内側にもしっかりと搭載されているはずだろう。

  下顎から生えた牙は今も威厳を保ち、立派に現場監督として俺やみんなを支えてくれている猪原さんだ。

  「サウナスーツとは、意外とお前もかなりの好き者なんだな。正直驚いたよ」

  「あ、はは……」

  気だるげに淡々と呟く猪原さんの姿は、いつも外で働いている時とそこまで変わらない。仕事熱心なのは間違いないのだが、どことなく話しかけづらい雰囲気もあるだろう。しかし今は状況が状況で、ぐちゅぐちゅと透明な液に濡れた獣根を弄りながらでは何の説得力もない。

  おそらく俺なんかよりこの人の方がずっと好きモノだろうし。単にやらしいことが好きな猪おじさんそのものだ。だからこそこの人のギャップは、それなりに興奮するものがあった。

  「でもま、嫌いじゃないぜ。俺もクサいのは好きだからな」

  「わ、うぶっ…!」

  心なしか嬉しそうな微笑を浮かべた彼は、典型的な張り型チンポを俺のマズルに乗せる。勃起も完全ではないのにどろどろと溢れ出てくる先走りが鼻先を伝い、先ほどの佐熊さんとは全く異なるガツンと脳内を貫くような刺激臭が鼻腔を満たす。

  小便や精液が濃縮された尋常ではないほどのニオイに一瞬目が眩みかけた。軽くひと舐めしただけで雄獣人を体現したようなエグさと塩味が口いっぱいに広がり、舌先に強烈な痺れが走る。

  おそらく1か月弱は洗っていないだろう…最高だ。この人はきっと宍戸さんの次にヤバい。

  「俺ぁ周りよりガマン汁が多くて自分でも処理に困ってたんだが、お前が来てくれてからその心配が無くなって嬉しいんだ。見た感じ咥えるよりもかけられるほうが好きそうだからな、口開けて待ってろよ」

  多少のサディスト気味を感じるその言動でも違和感すら感じず、俺は無言で口を開いて待った。頭上で行われるのは無造作な亀頭の舞踊、乱暴に振り回される鈴口からは押し出されるように大量の我慢汁が飛び散り、俺の顔や体へと降りかかっていく。

  まるで雄汁のシャワーだ。強烈な淫臭と粘稠性が追加された熱水に、俺の体が洗われていくようだった。

  一頻り排出を終えた猪原さんは、しゃぶらせずに俺の尻を使うらしい。それに加えてこんなことを提案してきた。

  「そのスーツで体臭仕上げてんなら、それ自体もクサくしちまえばいいって訳だ。ならそれを下に敷いて、その上で色々と楽しめばいいんじゃねぇか?」

  「な、なるほど…ですね…」

  言われたとおり、スーツをレジャーシートのように床に広げる。その上に座る佐熊さんと、その股座に顔を突っ込んだ俺、そして突き上げた尻を掴む猪原さんの構図ができあがる。文字通りの3Pとなり、挟まれた俺は上と下の口を塞がれることとなった。

  思わぬ形で参戦することになった佐熊さんだが、頬のすぐ横でヒクヒクと蠢き涙を流す肉棒からは歓喜の感情しか読み取れなかった。

  「うっし、挿れるぞ」

  先端で少し慣らしただけで広がってしまうように開発されてしまった俺の尻に、躊躇もなくズブズブと入り込んでいく猪原さんのチンポ。その太さと圧迫感を実感すると共に、肉壁を抉られる感覚が下腹部からじんわりと広がっていく。

  挿入されただけで意識を失いそうにまで陥っていた俺は、本能のままに動く体を制御できずにただ呆けてしまっていた。

  「お゛ぉ……今日もしっかりトロットロだ、何回経験してもスゲェな。さすがは社長に叩き込まれてるだけはあるぜ」

  「ん゛んっ……ふぐっ、むぅ…!」

  「まさかここまでの素質があったなんてなぁ! やっぱ社長の慧眼に狂いはねぇってことなんだな」

  嬉々とした声で俺の顔に垢まみれのチンポを擦り付ける熊と、尻穴へテンポよく肉槍を打ち付ける猪。その間に挟まれた獅子の俺は、王者の風格など微塵もない痴態を晒し続けた。不潔極まりない現場作業員の汗粒はぼたぼたと滴り落ち、俺のスーツに数多の斑点を作っていく。

  「んっ、んっ! あ、ぎぃっ…!!」

  「ふっ、ぐっ、お゛ォ゛っ…! まずは上澄みからだっ、しっかり受け止めろよっ!!」

  言い終わるよりも先に猪原さんは最奥まで肉棒を突き刺す。抉られた前立腺が悲鳴をあげ、俺は一足先に絶頂の波に飲み込まれた。真下にあるスーツへ向かって自身の白濁が飛び散っていく最中、尻穴を熱い液体が満たしていく感覚に再び快感が襲い来る。

  佐熊さんよりも精力の強い猪原さんのザーメンは容易く俺の直腸の容量を超え、塞がれていたはずの接合部からごぽごぽと溢れ出していくのが分かった。見なくとも黄ばんだ精液が垂れ落ちていくのを想像するだけで尻が窄まり、余計に搾乳を促してしまう。

  次いで2発目を用意していた佐熊さんからも口内射精を受け、上下の口がしっかりとザーメンに染め上げられていく。強すぎる雄と精液の生臭さに板挟みとなった俺は、体内がザーメンで貫通してしまうのではという錯覚すら覚えていた。

  未だ抜く気配のないチンポは俺の中を堪能しながら、鼻息を荒くした猪原さんは低い声で呟く。

  「う゛……んおお゛ッ、ふううーっ……。たまんねぇケツだぜ全く…」

  「ま、まだ続き、できますよ…」

  すっかり色づいた気分に侵されていた俺は、ほぼ無意識の状態で再選を申し出ていた。無論この2人がそれに乗らないはずがなく、夕方から始まった淫らな宴はさらに盛況することとなった。

  いつの間にか別室にいたはずの宍戸さんたちも加わり、文字通りの雄獣乱交パーティーに様変わりした。俺だけではなく順番にウケ役が回り、誰かのチンポを舐めては精液を浴び、尻に注ぎ込まれ、自分も誰かにぶっかける。

  滓まみれの汗臭い雄チンポに囲まれては様々な手法でミルクを搾り取り、その味を口移しで共有したりもした。

  汗を汗で洗い流し、精液を精液で塗りつぶす。夢のような乱痴気騒ぎによって充満した淫臭は社員寮の一部屋では抑え切ることができずに寮全体にまで広がり、ニオイを嗅ぎつけた他の社員たちも皆こぞって参戦する流れにまでなった。

  だが、これでいいのだろう。気持ち良ければそれでいい、それで明日また頑張れるのなら問題ない。この会社はそういう人たちの集まりなのだから、気にする必要なんてないのだ。

  右も左も分からないほどの異様な盛り上がりとなった肉欲の祭りは、2、3日は絶対に消えることがないであろう強烈な雄の淫臭を俺たちに植え付けるように、夜更け近くまで続いたのだった。

  ─────

  「ふぅっ、ふうっ、うう、んっ……あっ…!」

  入社からさらに数か月後。年末年始の忙しさももうすぐそこに迫る時期のこと。俺は1人、薄暗い部屋の中で静かに甘い吐息を漏らしていた。

  今日はあいにく宍戸さんは出張だ。あの人も淫らなことが大好きとはいえ会社の社長でもあるため、お留守番になることもしばしばある。しかしだからこそ、俺はその時に初めて自分自身の成長を実感することができるのだ。

  「はぁ、はぁっ……すうぅ……ふはぁあぁ…」

  以前のように刺激を求めて自身の愚息を激しく擦ることはせず、知覚よりも嗅覚の比率を上げて行う自慰が常識となった。鼻の穴をめいっぱい広げて吸い込む汚れた空気は思考を霞ませ、恍惚とした吐息がひとりでに漏れてしまう。

  優しくゆっくりと肉棒を刺激しつつ、初めて獣人になった時より遥かに毛量の増えた鬣にマズルを埋める。途方もないほど汚れてしまったそこは雄のニオイを生み出す永久機関となっており、いつでも新鮮な淫臭を提供してくれるようになっていた。

  少しでも息を吸えば鼻腔や脳が吹っ飛んでしまいそうなほどの腐卵臭が全身を愛撫し、背筋から光の速さで広がっていく。ニオイを快感として完全に刷り込まれた多幸感に自然と口元が綻んでしまう。まるで麻薬同然の効果を示す俺の体臭は、様々な獣人たちとの営みのおかげで培われたものに他ならない。

  もちろん、仕事以外でほとんど脱ぐことのなかったサウナスーツも一役買っているはずだ。あれは汗を流すために体臭の予防にも役立つというが、俺の場合はその逆だっただろう。

  何しろ俺にはもう、スーツを買った時点で予防すべき体臭などなかったのだろうから。いくら代謝を良くしようが、宍戸さんたちによって汚染された体のニオイは汗なんかでは洗い流せないのだ。

  「くせぇっ、くせぇよ俺の鬣…っ! ヤベッ、もうっ……出っ!!!」

  自己暗示をかけるように自分のニオイで喘いでいた俺は、あまりの興奮にろくに扱くこともなく絶頂する。ビュウビュウと黄ばんだ壁に放射されていく白濁の勢いは凄まじく、見ている俺すらも爽快に思えるほどだ。ニオイだけでイける体へと着実に近づいていた俺は、獣人の肉体の神秘に溺れかけていた。

  どうして今まで知らなかったんだ、自らの体臭で興奮して射精する悦びを。風呂なんて一生入るものか、雨だって浴びたくはない。

  「はあっ、はぁっ、んはぁっ…ニオイやばすぎんだろ、俺……」

  今更遅すぎるのに自分の体の変化を呟いてしまうのも、人間と言う前の姿を持っていたが故なのだろうか。

  だがこれで終わりではない。宍戸さんの言っていた通り俺自身がオカズになることは十分身に染みているが、人間の頃よりも数十倍に増した精力と欲望が理性をいとも容易く圧し潰し、さらなる快感を求めて体が勝手に動いてしまうのだ。

  「えーっと、確かここに……あった!」

  部屋のタンスにしまってあった小さな箱を取り出す。蓋を開ければ、その中には黄ばんだ子種を閉じ込めたたくさんのゴム袋が入っていた。以前乱交パーティーをした時に誰かの提案で保管したものを部屋に置くことになったのが始まりだ。ざっと見る限りでも10個以上はあるだろうか。

  飲んでもよし、浴びても良し、本番でほぐすために尻へ塗り込んでも良しの万能ローション。密封されているというのに開けただけでくらくらするニオイなのだ、中身を解き放つ瞬間を想像するだけでヨダレが垂れてしまう。

  まずは佐熊さんのから。結び目を摘んで持ち上げるとたぷんたぷんと重たそうに揺れ、混ざり合う濁りが何とも言えないグラデーションを醸し出している。俺はそれを頭上に持ち上げ、発達した獣人の爪で引っ掻いた。1ミリ以下の膜は力を入れずとも簡単に破れ、中から溢れ出した熊の精液が満遍なく顔に降りかかっていく。

  今ここにはいないが、確かに佐熊さんのザーメンのニオイだ。マズルに流れた粘液を舐めれば甘くて蕩けそうな味が味蕾を刺激し、全て顔にぶちまけてしまったことを少し後悔した。

  だがそれでもいい、俺は洗顔をするようにその粘液を塗り広げていく。むわりと香る芳醇な雄熊の匂いが鼻腔を満たし、幸せな気分に浸れたところで追加のザーメンを探す。

  「これ考えた人天才すぎるな……。それじゃあ次は…」

  デパートで安売りしていた高級食材を品定めするように、それぞれのゴム袋を吟味しては破いていく。時には2つ一緒に、時には体ではなく口の中へと放り込んで、箱に入っていた袋全てを使った。最後に残った宍戸さんの特濃ザーメンは3つも用意されており、俺は鬣、体、チンポにしっかりと塗り込んでは弄り倒し、再び絶頂した。

  間髪入れずに先日猪原さんから渡されたジップロックを開く。中には半年履き潰されてボロボロになった黒ずみ褌と穴あき靴下が入っていた。

  褌をマズルに巻き、靴下をチンポに被せて再び優しく弄り回す。褌から漂うニオイは佐熊さんとは全く異なり、重ったるすぎて吐き気すら覚えそうだったが、それがまた俺の興奮をどうしようもなく搔き立てる。

  布越しにチンポを弄る感覚も手で行うものとはまた違った悦楽を感じ、本能に振り回されるように俺は嬌声を上げた。

  「う゛ッ、お゛ッ…やべやべやべっ、またイぐ!! イ゛ッ…イっぐうぅ゛う゛ッッ……!!」

  ゾクゾクと体中を血液のように迸る愉悦が思考回路を焼き切り、ろくな休息もないまま当然のように射精してしまう。さっきよりも威力は増し、気付けば覆いをしていたはずの穴あき靴下は遠くへと吹き飛んでいた。

  誰がどう見ても尋常ではない光景に極まりないが、止められないものはしょうがない。

  3連続絶頂を経た俺の精神は平常心を失い、半ば放心状態で呆けていた。それでもニオイだけでなんとか意識を保ち、自分が仕事中によく使うタオルを使って大量に付着していた精液や汗を拭き取る。

  粘つきも強くなかなか取れてくれなかったが、何度か繰り返してそれなりに浴びる前に近づけられただろう。

  壁にもたれかかって拭いたばかりのタオルを尻尾の先にある毛束に当て、汚れを尻尾へと移すように擦り付けていく。最近になって尻尾の扱いに慣れてきた俺は、この部分もよく使うようになっていた。

  糊が固まったように所々毛羽立っている所はあるが、それでも亀頭を包み込むくらいの毛量はあるため、よく相手のチンポを弄っている。

  そのまま射精してくれるなら大歓迎だ、尻尾まで雄臭くなればそれこそ完璧に全身くまなく満たされるから。

  事実少しずつその成果は出ており、今ではすっかり精液特有のニオイを醸し出すまでになっていた。それはすなわち、持ち主である俺にとっても喜ばしいことでもある。

  ゆらゆらと目前で揺らせば、お香のように柔らかな淫臭が鼻先をくすぐる。朧げだった意識が覚醒し始め、腰の奥から淡い熱が湧き上がる。

  興奮するだけで滲み出るようになった腋汗を水分補給を兼ねて舐め取れば、みるみるうちに精気が養われていく。

  条件反射でトロトロと流れ出る我慢汁は床を濡らし、鈍い痛みを発していたチンポも少しは回復したようだ。

  もはや自分か、もしくは誰のものなのかすら分からないまでに精液で重ね塗りされた手のひらで掴み、ゆっくりと扱き始める。

  「んっ、くっ…ふっ、ぐうっ…!」

  少しずつ息が荒くなっていく。浅くなる呼吸は部屋の中のニオイを吸い込み、肺胞の隅々までもが廃れていく感覚がする。

  依存症にも似た欲望は本能を暴走させ、俺はついに自らの鬣の中へとマズルを突っ込ませた。

  1日も欠かすことなく精液を染み込ませてきた、仕事で流した汗を吸収し続けた、俺がこの体の中で最も一番誇れる場所。

  「───ん゛ン゛ッ゛ッ!!!!!?!!」

  そこは言葉にせずとも、嗅ぐだけで絶頂と同等の快感を与えてくれる異次元の性器となっていた。嗅覚さえあればいつでも気持ちよくなれるその魔窟は想像通り、いやそれ以上にドギツいニオイを篭らせてくれていた。

  密林よりも鬱蒼と濡れて湿り、陰毛よりも太く立派な毛を無数に生やし、1ヵ月洗わなかった股座よりも濃く刺激的な雄臭を孕んだその空間は、まさに獅子獣人の俺だけに与えられた特権。

  唯一無二の聖域だ。

  「んはぁ、はぁっ、ふぅーっ、すうぅ……はふぅっ…」

  申し訳ないが他の人には嗅がせたくない。そう思えるほどまでに素晴らしく熟成された毛束の深海に潜り、何度も何度も息を吸っては吐いてを繰り返す。

  このままでは嗅覚が、いや脳までもが壊れてしまう。奥深くも蠱惑的な獣のニオイが、俺を快楽の沼へと突き落としていく。しかし止めるなんて選択肢は無かった、それを考えること自体が愚かな行為だ。

  「はぁっ、はぁあっ、んぁあクッセェ…! 鬣やべぇっ、雄のニオイヤベェッ…! ぶっ飛んじまうぅっ…!!」

  悪魔に取り憑かれたかのように独り言を繰り返す。ぐちゅぐちゅとチンポを擦る音と、汚らしい浅速呼吸の音だけが鼓膜を叩いている。

  微かに残る聴覚を残し、五感の中で嗅覚だけが異常に機能していた。瞬きすらも忘れていた俺は、無我夢中で腕を酷使する。

  朝起きて夜眠るように、体内に常識として組み込まれたニオイに対する快感機構の歯車が回る、回る、回る。

  気が狂いそうなほどに快楽物質が生成され、ひたすらに性欲に獣人になるこの時間。

  形容し難い幸せが思考回路を切断し、ただニオイのことしか考えられなくなっていく。

  

  「はっふっ、ン゛っ…ふぐぅう…っ! はぁ、はぁっ、すーーっ……ンはぁあっ…!」

  もはや人語すら忘れかけそうなほど危うい状態だった。だがそれは、俺がただ快楽だけを貪れているという証でもあった。

  あまりの興奮に胸が張り裂けそうだった。センズリをこく手に力が籠り、ビクビクと膨張し震える肉棒は限界を迎えている。鬣に埋まっているマズルをさらに奥まで突き進ませ、最深部に待ち構える凄まじい悪臭を勢いよく吸い込む。

  その瞬間、俺の意識は弾け飛んだ。

  「お、お゛っ、んお゛っイぐ……っ!! イ゛ッ゛ッ……んぐン゛ンンンッッ!!!」

  もはや言葉すら発することすらできなかった。ニオイでイったのか手コキによる刺激でイったのかも分からない。ただ感じるのは尿道を拡張する勢いで駆け上っていく俺のザーメンと、それが外へと放出されていく絶大な快感。千切れる寸前まで引き延ばされた意識は宙を舞い、白目を剥いて口から声にならない声を漏らしていた。

  視界が定まらない。呼吸が止まっている気がする。鼻の奥にこびりついて消えない自らのニオイが、容赦なく脳内を犯してくる。

  それに伴い射精は起こり、無意識に、勝手に上を向いた俺のチンポからビュービューと壊れたように放たれていく。部屋のあちらこちらに飛び散った俺の子種は、宍戸さんや佐熊さんたちと見劣りしないほどに濃く、強靭な粘性を持っていた。

  止まらない、止められない射精。絶頂を終えても自分の体臭がオカズとなり、快感のトリガーとなってしまっている以上、しばらくこのループから抜け出すことができない。少しでも顔を動かせば、顎の下に生えた鬣の中から劇物を吸い込んでしまう。

  ニオイに突き動かされた体は肉棒にまとわりつく粘液を手に取り、しっかりと全身に馴染ませる。なんて幸せなひとときだろうかと、自然と柔らかな笑顔がこぼれていく。

  最後に鬣を丁寧に仕上げ、指の隙間にびっしり付いた恥垢をぺろぺろと舐め取った。結晶化しているその主成分はもはや汗なのか精液なのかも分からないほど汚れ切ってしまっているのだろうが、それでこそ鬣に塗り込んだ甲斐があったと感慨深く感じる。

  これからもこの鬣だけは丁寧に手入れを施し、いずれはあの人のように真っ黒で雄らしい色を纏うまでに育てていきたい。俺の胸元が真っ黒に変色した姿を想像するだけで、全身の血流が増していく気がした。

  「すうっ……んはぁあぁ……」

  腋、尻尾、チンポ、会陰、そして鬣。汚れの溜まりやすい部分から生まれた雄の雫を堪能し終えた俺は、四肢を投げ出して茶ばんだ布団に倒れ込んだ。

  あまりの幸福感に今日はもうお腹いっぱいだ。だけどこれで、明日の仕事はいつもより数倍も頑張れる。

  俺はこれからも、ますます臭く汚くなっていくのだろう。だがそれは雄獣人にとって、いやこの建設会社で働く獣人たちにとって紛れもなく誇りあるものであり、俺が俺であるための証明でもあった。

  一生涯この仕事を続けていきたい。彼女や趣味なんていらない。宍戸さんと並ぶくらいのニオイになるまでたくさんセックスをして、たくさんぶっかけ合って、嗅いだだけでイかせてしまうくらいに強い体臭を手に入れるんだ。

  望まずに得てしまったと思っていた獣人の生活は、こんなにも代え難いものになるなんて思わなかった。人生がここまで満ち足りていいのかと思ってしまうレベルだが、せっかくならばありがたく受け取ることにしよう。

  そうして俺も、宍戸さんも、他の皆も楽しく過ごせればそれでいい。

  体から湯気のように沸き立ち続ける自らのニオイに股間を硬くさせながら、俺はこの先に待つ魅惑的な未来に胸を膨らませるのだった。