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その15にゃん:伝説の魔法猫少女☆

  ここは人間の世界とは違う、魔法猫少女達の住む世界。

  今日も悪い魔法猫少女を懲らしめる仲良し姉妹が活躍しています。

  「魔法猫少女みや☆」

  「魔法猫少女ここ!」

  「2人で懲らしめちゃうんだから☆」

  「覚悟だよ!」

  魔法猫少女界におけるみやちゃんとここちゃんは、人間界で言う正義のヒーロー……いや、ヒロイン的な存在でした。

  特にみやちゃんは魔力が物凄く高くて強く、嘗て存在した猫少女界の神の生まれ変わりなのでは、と噂される程でした。

  一方、ここちゃんも持ち前の能力を活かして、みやちゃん程の強さはないものの悪者退治に協力します。

  姉妹手を取り合って悪者を懲らしめる彼女達は、もはや猫少女界でも一目置かれる存在でした。

  「今日も悪を懲らしめたね☆ お姉ちゃん!」

  「うん、みやちゃん!」

  「みや達、最強のコンビかもしれないね!? お姉ちゃんの能力も凄いから助かるよ☆」

  「そう……なのかな。みやちゃん、本当にここの能力、凄いと思う?」

  「うん! だって魔力が高いみやだって、そんな能力使えないものね!? 妹としてお姉ちゃんの事、誇りに思ってる☆」

  「そっか……ありがと、みやちゃん」

  ここちゃんはみやちゃんに「ニコッ」と笑ってみせました。

  そんなお姉ちゃんを見て、みやちゃんは「にぱあ☆」と笑顔を返します。

  「でも最近の機密機関って、それ程機能しないのかなー? ここ達がやらないと、まともに悪を懲らしめる事すらもできないなんてねー」

  「多分機密機関が機能しないと言うより、悪い事する猫少女達が力を付け過ぎているのかもね!?」

  「そうなんだー?」

  「うん、みやは魔力が高いから相手の魔力の強さが分かるけど、最近の悪い子達は結構強い猫少女も多いよ!?」

  「それでもここ達姉妹に掛かれば、ちょちょいのちょいだけどね!」

  悪に立ち向かう猫少女界の強い正義のヒロイン、みやちゃんとここちゃん。

  彼女達がこの世界の治安を守っているから、皆も安心して暮らせるのです。

  「そういえば機密機関にね、最近水色の子が入ったんだ!」

  「新しい猫少女が入ったんだ? コードネームは何て言うの?」

  「にこちゃんって言ってたよ? 名前の通り、すっごくにこにこしていて笑顔がステキな子だった☆」

  「みやちゃんはもう会ってるんだねー? ここは多分今後も……会わせてもらえる事はないのかな」

  「大丈夫だいじょーぶ! 機密機関の情報はみやが受けるし、きちんとお姉ちゃんにも回すから☆」

  「ここのこの能力、ほんと厄介だな……」

  「そんな事ないよ! 心の声を聞いてごらんー? ってステキだと思うよ!」

  褒めるみやちゃんに対して、ここちゃんは黙り込んでしまいました。

  「……ま、元気出して! ほら、お魚せんべい上げるから☆」

  「うん、ありがと……ばりぼり」

  「これ美味しいね!? みや、止まらなくなっちゃうよ! ばりぼり」

  「あははー、ほんと病み付きになるよねー。ばりぼり」

  こんな感じで2人は仲良く、猫少女界の悪に立ち向かい治安を守ります。

  [newpage]

  ある日、みやちゃんは機密機関と連絡を取る為にメンバーと接触しました。

  「にこちゃん! もう機密機関には慣れた!?」

  「あははー、僕、まだまだダメダメでねぇ……先輩や同僚にも舐められてばかりなんだよねぇ」

  「そっかそっか☆ まだ入り立てだし仕方ないんじゃないかな!?」

  「いつもにこにこしてるのがダメなのかなぁ、あははー……」

  にこちゃんはにこにこしながら笑顔を絶やさず、みやちゃんとお話をします。

  「にこちゃんの笑顔はステキだよ☆ 自分の長所、活かそうよ!」

  「そ、そうかなぁ? みやちゃん、ありがとぉ」

  「みやは本当の事を言っただけ☆」

  魔法猫少女は名前の通り、魔法が使える猫少女です。

  この世界に住む者達は皆魔法猫少女、だから皆それぞれ何かしらの「魔法能力」が使えます。

  みやちゃんは猫少女達の気配や性質を感じ取れる能力、にこちゃんは笑顔の能力、そしてここちゃんは……心を読み取れる能力。

  猫少女ごとに能力は個性みたいなもので、常時発動してしまう子も居れば制御できる子も居ます。

  にこちゃんは常時発動してしまう子のようで、笑顔の能力持ちだからなのかいつでもにこにこ笑顔です。

  一説によると魔力が高い者程、能力は自身で制御しやすいようで……?

  「にこちゃんの魔法の笑顔は個性だよ! みや、にこにこ笑顔って大好き☆」

  みやちゃんは「にぱあ☆」と笑います。

  「うん、ありがとぉ。でもこの笑顔のせいで舐められちゃうのだとしたらぁ、僕、どうすればいいかなぁ?」

  「きちんとにこちゃんも機密機関の一員として役に立つんだ! って所を見せてあげればいいと思う☆」

  「そっかぁ、うん、そうだねぇ。僕。頑張ってみるよぉ」

  「うん、頑張って☆ はい、これ上げる!」

  「お魚せんべいだぁ。僕、大好物なんだよぉ、ありがとぉ。ばりぼり」

  そしてようやく、にこちゃんは本題に入ります。

  「それで今回の機密機関からの指令なんだけどねぇ、非常に厄介な悪い奴が巷で噂になってるんだよぉ。突然襲撃される子が多いみたいでさぁ」

  「へー、悪い奴って次から次に出てくるねー!?」

  「それで調査してもらった上でぇ、もし必要な場合は懲らしめて欲しいんだぁ。いつも通り検挙は僕達の機関が行うからねぇ」

  「うん、分かった☆ 早速お姉ちゃんと一緒に向かってみるよ!」

  「うん、お願いだよぉ」

  にこちゃんはにこにこしながら、悪を懲らしめに行くみやちゃんを見送りました。

  [newpage]

  「と言う訳で、まずは調査からだってさ☆」

  「うん、じゃあ行こうか。みやちゃん!」

  魔法猫少女姉妹、みやちゃんとここちゃんコンビの出動です。

  「で、どうもこの辺りで最近魔法猫少女が襲撃される、って事件が相次いでるんだって!」

  「そっか、じゃあまずはみやちゃんの能力で、いつも通り察知からだね!」

  「うん、みややってみる☆」

  みやちゃんは能力を使い、一定範囲内の猫少女達の気配と性質を探ります。

  「どう? みやちゃん、何か変わった気配はある?」

  「うーん、今のところは特に感じないねー!?」

  「そっかー、じゃあまだ傍に居ないのかな? かな!?」

  「でも毎日のように襲撃事件が相次いでるんだよね!?」

  「ここ達が黙ってはいないのに、そんなに堂々とやる理由って何だろう?」

  ここちゃんが考えていると……。

  「あ、みやちゃん。あっちの方から助けを求める声が聞こえる……誰か困っているみたい!」

  「え、そうなの!?」

  「うん、助けて、私を助けてって……」

  「じゃあ向かってみよう! 襲撃魔は現れたら向かえばいいものね☆」

  みやちゃん達は一旦、ここちゃんが心の声をキャッチした方へ向かいました。

  「ねえあなた、どうしたの?」

  「あ、みやちゃんとここちゃん……良かった、私に気付いてくれた。あの、私を助けて欲しいんです……」

  「何か困っているのかな? かな!?」

  「実は私の能力、自分でも制御できないもので……それで困っているの」

  「へー、そうなんだ? 色々な能力持ちの子が居るものね!?」

  「みやちゃん、この子の能力について何か分かる?」

  「今は発動していないみたいだし、みやにはどんな性質なのか分からないよー?」

  強い能力持ちのみやちゃんでも、全てが万能と言う訳ではないのです。

  発動前の能力を知る、と言う事はさすがに難しいようで……。

  「……え?」

  「お姉ちゃん、どうしたの!?」

  「この子の心の声が……いやあああ、やめてえええ……!」

  「ここちゃん!? 大丈夫!?」

  その直後、助けを求めた子も様子がおかしくなり……。

  「あ、ダメ、もう抑えられない……私、発作出ちゃう……」

  助けを求めた猫少女はそう言うとうずくまり……。

  ここちゃんが相当怯える程の事とは……。

  一体彼女は心の中で、何を言っていたのでしょうか……?

  「何が起こっているの!? お姉ちゃんもあなたも大丈夫!?」

  「私、ねここって言うの……どうか私を助けて、止めて……うぅっ!」

  ねここと名乗った猫少女。

  彼女はうずくまりながらみやちゃんに訴え掛けると、様子が一転して……。

  「はっ!? ここちゃん逃げて! この子、アグレッシブの能力持ちだよ!?」

  「うぅっ……み、みやちゃん……」

  ここちゃんは何を聞いたのか、動揺を隠せないようです。

  「ここちゃん大丈夫!? しっかり! ねここちゃんの攻撃、来るよ!?」

  「ど、どうにか……しっかりしないと……!」

  ねここちゃんはポケットからナイフ型に変形したステッキを取り出します。

  もはやステッキと言うより……鋭い凶器です。

  「破壊してやる……愛なんて破壊してやるんだ」

  アグレッシブ化して豹変したねここちゃん。

  彼女はナイフ型ステッキをぶん回し、2人に襲い掛かります。

  「そっか、きっと巷で噂の襲撃事件はねここちゃんの仕業だったんだね!?」

  「どうもそうみたいね……この子、どうも愛が憎いみたい」

  2人は攻撃を交わしながら、ここちゃんが読み取った事を伝えます。

  「この子、お母さんの事を殺している……この能力が原因で、お母さんを殺しちゃったんだって!」

  「え!? そ、そうなの!? ……そんな」

  「愛していた猫少女から暴力を振るわれるようになって、それで愛を踏みにじられたのがきっかけで能力に目覚めて……愛を憎む子になってしまったみたい」

  「じゃあ愛を壊したくて皆を襲撃してるのかな!?」

  「そうみたい……可哀相」

  ここちゃんは心から読み取った事を伝えました。

  「でも、だからって……無関係な猫少女達を襲っていい理由にはならないよ!」

  「そうだよね……この子、正気に戻せないかな……」

  「少なくとも、みや達の力じゃ無理みたい。こんな時に愛の能力の猫少女でも居れば……」

  一部の能力には相性があるようで、いくら強い姉妹でもアグレッシブ持ちのねここちゃんを救う事はできないようです。

  「みや達にできるのは抑える事のみ。後は被害がこれ以上広がらないようにする事」

  「愛を感じる……2人から物凄く強い愛をね!? ああ壊したい、壊したい……殺してしまいたい程の愛を感じるよ!?」

  『ガン! ガン! ガーン!』

  「お姉ちゃん、バリアを張っても不利みたいだよ……この子、ステッキが物理型だからバリアも突き破ってきそうだよ!?」

  みやちゃんはバリアを張って凌いでいましたが、アグレッシブねここはまるでガラスを割ろうとするかのように、ステッキ型ナイフでガンガンとバリアを叩きます。

  これではきっと、みやちゃんのバリアが割れてしまうのも時間の問題でしょう。

  「お姉ちゃん、どうにかならない!?」

  「ここは心を読む能力に特化しているし、できる事はバリアを張るくらいだもの……相手の行動を伝える以外は無理だよー!」

  「じゃあここちゃん、ダブルバリアでどうにか凌げないかな!?」

  「うん……やるだけやってみよう」

  みやちゃんのバリア内に居たここちゃんも加勢し、バリアの層を分厚くします。

  「愛なんて……壊してやるんだ!」

  『パリーン!』

  「ああ! 上のバリアが壊されちゃった!」

  ナイフ型ステッキの物理攻撃により、みやちゃんのバリアは呆気なく粉々に砕け散りました。

  もうここちゃんの張ったバリアしか残っておらず、しかも耐久はみやちゃんに比べて弱めです。

  「ねえ、そんな悲しい事言わないで……」

  「うるさい。黙れ。お前達に何が分かるんだ」

  「ここちゃん、この子何か言ってるの!?」

  「愛なんて所詮ただの幻想って……皆上辺だけの偽物でしかない、って……」

  「うん、確かにみや達、そういう事を言う子の考えは分からないよ。理解したくもないもん! ぷんぷん!」

  「みやちゃん、そんな言い方は……」

  『ガンガン! ガシンガシン!』

  「みやちゃん、このままじゃバリアも割られてやられちゃうよ!? 一発大きい魔法を撃ち込むしか……」

  「でもだからって、愛が偽物なんて事はない。偽物だったら……みや達姉妹の愛は、一体何だって言うんだろうね!?」

  みやちゃんはアグレッシブねここの言う事を真っ向から否定しました。

  「愛なんて消えてしまえばいいんだ。私が全て破壊してやる……殺したいくらいの愛だものね!?」

  『ガーン! パリーン!』

  「ああ、バリアが……!」

  ここちゃんは急いでバリアを張り直そうとします。が、間に合わず……。

  『ザシュッ!』

  「お姉ちゃん! 大丈夫!?」

  「痛い……」

  ここちゃんを襲ったナイフは軽くほっぺを擦れました。

  ただ、軽く擦れただけでも結構大きな傷口が開き、かなりのダメージを負ってしまったようです。

  「みやちゃん、早く大きい魔法で仕留めて倒して……」

  「ダメ、この子は倒せない。みや達は……正義を守る魔法猫少女でしょ!?」

  「でも、みやちゃん……どうにかしないと。ここ達がやられちゃうよ!?」

  「この子は愛している子に裏切られて、それでこんな能力を持っちゃって、愛を憎む子になっちゃったんだもの。何だかそれ、純粋な悪とは違う気がする……」

  「だからってお姉ちゃん、この子のやっている事を肯定できる訳では……」

  「分かってる、だから最初に言った通り。みや達ができる事は……抑える事のみだよ! 行くよ!? ねここちゃん!」

  「黙れと言った筈だ。愛を信じる奴なんて……殺してやるんだから!」

  アグレッシブねここは攻撃の手を速め、本気でみやちゃんを倒しに掛かります。

  しかしみやちゃんは猫少女の力で俊敏に避けて、間合いを詰めると一気に……。

  『ぎゅっ』

  「え……」

  「確かにねここちゃんにとっての愛は、幻想だったのかもしれない。でもあるよ、みやのここに……。きちんと愛はあるから」

  みやちゃんはねここちゃんの事をぎゅーっと抱きしめ、少しでも彼女を落ち着かせようとします。

  「みやちゃん、アグレッシブ化した子を諭そうだなんて……逃げて! みやちゃんまでもやられちゃうよ……ねここちゃん、ずっと心で憎い憎い憎いって……」

  「愛なんて憎いだけなんだ……失せろ!」

  『カキン!』

  「なっ……!」

  ねここちゃんがナイフで刺そうとした所、みやちゃんは瞬時に魔法弾でナイフを弾き飛ばしました。

  「これでもう愛を壊す事なんてできないね。そもそも愛を壊す必要なんてさ、最初からないんだよ」

  「だけど私は……愛に裏切られて、踏みにじられて、そのせいでこんな能力までも持っちゃって……ママまでも殺してしまって」

  「お母さんの事は同情するよ。そればかりはやり直せないけど……でも、これからいくらでも愛に触れる事はできるもの」

  「だけど、もしまた裏切られたら……踏みにじられたら……そう考えると怖いもの! だから愛なんて無くなってしまえば……」

  「……! ねここちゃん! お母さんの声が聞こえるよ!? お母さんがねここちゃんに伝えてって……!」

  「え、ママが……?」

  ここちゃんの能力は心を読み取れる事。

  たとえそれが死んだ者の声だとしても……ここちゃんがキャッチする事さえできれば、声を聞いて届ける事もできるのです。

  そう、ここちゃんは本人の意思に関係無く、常時他人の声が聞こえるのだから……。

  「お母さん、凄く謝ってる。自分が殺されたせいで、ねここちゃんに苦しくてツラい思いをさせちゃったって……」

  「ママ……そんな。ママのせいじゃない……悪いのはあの猫少女だもの……」

  「あの猫少女……たまちゃんを紹介したお母さんが悪かった、って。凄く申し訳無さそうに謝ってる……」

  「たまちゃん……? 何だかその名前、みやも聞いた事があるような……」

  どうやらこのねここちゃんの愛する子とは、たまちゃんと言う猫少女だったようです。

  そのたまちゃんに暴力を振るわれるようになって、愛を踏みにじられて、それがきっかけでアグレッシブの能力を持ってしまったようで……。

  しかし猫少女のたまちゃんと言う子……ただ偶然に名前が同じなだけ、なのでしょうか?

  「ママは悪くない、ママ、ごめんなさい……ごめんなさい……」

  「どうにか落ち着いたかな……?」

  「うん、大丈夫そうだね……痛たた……」

  ここちゃんはほっぺの痛みを気にしながらも、みやちゃんと共にホッとしていました。

  [newpage]

  その後は先にここちゃんを返し、みやちゃんは機密機関と接触してねここちゃんの身柄を引き渡します。

  ここちゃんは本人が望まずとも心の声が聞こえてしまう為、万が一機密機関の情報が漏れたらまずい……と。

  そのような理由で機密機関との直接的な接触を禁止されているのです。

  「みやちゃん、お手柄だったねぇ。ここちゃんにもぉ、お礼言っておいてねぇ」

  「うん、にこちゃん! さ、ねここちゃん、もう安心だよ。機密機関で保護してもらえば、愛の猫少女にも接触させてもらえるだろうから」

  「うんー、そうすればきっとぉ、君の心も愛で満たされて穏やかになると思うよぉ。君を本当の意味で助けられると思うんだぁ」

  「ありがとう、私を助けてくれて……そしてごめんなさい、能力の暴走で多くの猫少女達を襲撃してしまって……」

  「自分で制御が利かないなら仕方ないんじゃないかな!? その分、お母さんに心配掛けないようにこれからやり直せばいいんだよ! お母さん、向こうからきちんと見てるだろうからさ☆」

  「うぅっ……ママ、ごめんなさい……本当にごめんなさい……私、能力を克服していい子になります……」

  「ねここちゃんの事はぁ、あとはこっちに任せてねぇ。さ、ねここちゃん、安心してあの人に着いて行ってねぇ。手荒な事はしないからねぇ」

  にこちゃんはねここちゃんの身柄を、更に上の職位の者へと引き渡します。

  ねここちゃんは機密機関の者に引き取られ、これでもう一安心でしょう。

  「そういえばにこちゃん、猫少女のたまちゃんって知ってる? みや、何だか聞いた事ある気がするんだけどさー」

  「猫少女のたまちゃん……あ、知ってるよぉ。奴の事だよねぇ? 僕、機密機関へ入ってから1番最初に教えられた名前だよぉ」

  「奴? どんな子なのか分かる?」

  「奴……たまちゃんはねぇ、自分の目的の為なら手段を択ばない、機密機関でも特別指名手配している極悪非道の魔法猫少女なんだよぉ」

  「特別指名手配の極悪非道な魔法猫少女……うん、ありがとう。みや、覚えておくよ。特徴とかは分かる?」

  「それが機密機関でも分からないんだぁ。一般の猫少女に扮してこの世界に溶け込んでいる、そうなぁ……?」

  「だから特別指名手配を掛けてるんだね!? みや達でも、見つけるのは難しいかな!?」

  「どうだろうー、その扮するのが能力のうちならばぁ、みやちゃんの力で察知できる可能性はあるんじゃないかなぁ? でも実際はどうなんだろうねぇ?」

  「どうにかみや達、極悪非道な魔法猫少女……奴、たまちゃんを捕まえる事に協力できればいいんだけどね」

  自分の目的の為なら手段を択ばない、詳細不明の極悪非道な魔法猫少女……たまちゃん。

  彼女は一体何者なのか、この世界における最上位の機密機関ですらも謎なのです。

  [newpage]

  (あの頃のにこちゃん、まだにこにこだったよね……みやがこっちで会ったら雰囲気変わってたけど、何があったのだろう?)

  「みやちゃん? ほら、卵焼き食べなよ」

  「あたしが全部食べるんだにゃー!」

  「お兄ちゃん、さすがにそんなに全部食べ切れる訳なんてないでしょ……」

  「みやちゃんは因縁の敵にゃんだにゃ! みやちゃんに上げるくらいにゃらあたしが奪うんだにゃあ!」

  たまちゃんは卵焼きを独り占めしようとしていました。

  「あのー、私も卵焼き、欲しいな……」

  「ねこちゃんには上げるにゃ! いつもあたしの為に協力してくれて感謝にゃもの」

  「お兄ちゃん、別にみやちゃんは因縁の敵じゃないでしょ……確かに一時期戦ってた時期はあったけどさ」

  みやちゃんはたまちゃんを見て、考えていました。

  (手段を択ばない極悪非道の魔法猫少女、たまちゃん……名前が偶然同じなだけ? でも、にこちゃんがこっちの世界に居ると言う事は……やっぱり、奴って……)

  「おーい、みやちゃーん? どうしたの? 珍しく黙り込んじゃって」

  「あ、ごめんごめん! 何でもないよ☆ 卵焼きもーらい☆」

  「あー! あたしの卵焼き取ったにゃあ! 噛み付いてやるにゃあー!」

  「お兄ちゃん、どうどう……卵焼き、皆の物だからね……」

  (きっとみやの能力が100%戻ればはっきり分かる。でもそれはきっと、奴が現れる時……)

  色々と思い出した正義の魔法猫少女みやちゃんは、たまちゃんに疑惑を抱いていました……。

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