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純朴やんちゃ少年が友達とシャワーを浴びて初体験をする話

  ◇◇◇

  「ぬわー、失敗したー!」

  とつんつん頭の男児が悔しげにシャツを脱ぎ去った。

  あまり筋肉も付いていない少年らしい華奢な上半身は、そのすべすべの肌の至る所に黒い汚れを纏っていた。いや、肌だけではない。むしろ、シャツと半ズボンまでが何かの黒い液体に汚れてしまっていた。

  顔回りなんて特に酷く、無理に拭ったのだろう、擦ったようなあとがくっきりとこびりついてしまっていた。黒髪で分かりにくいが、髪の毛もきっと黒い汚れがついているのだろう。

  「何がしたかったんだよ、陸玖……俺も巻き添えだしさ」

  とやんちゃそうな少年、陸玖が悔しがる様子を隣で見ていたもう一人の男子が、肩を落として溜息をついた。彼も同じように真っ黒に染め上がっていた。

  この黒い液体が何か。小学校でよくある真っ黒な汚れ。といえば、パッと思いつく人も多いだろう。

  墨汁だ。

  書道の授業で使う、ボトルに入った墨汁。

  筆を洗うためのバケツをその中身ごと陸玖がひっくり返し、湊大と諸共に頭から被ってしまったのだ。

  「ごめん、湊大。……でも、あのカメラマンにひと泡吹かせてやらなきゃだったんだよ、アイツ悪者だから」

  なぜそんな事をしたのか。

  それは、書き初めの授業の写真を取りに来た、あの東佐妻というカメラマンをやっつける為だった。本当なら、足をひっかけたふりをして、あのカメラマンに墨汁たっぷりの水で攻撃してやるつもりだったのだが……、その寸前に避けられた挙げ句、すぐ後ろにいた湊大とぶつかって、自分からそれを頭から被る事になってしまった。

  「悪者って、ただのカメラマンさんだろ? あの人に何かされたりしたわけ?」

  「……それは、言えないけど……」

  何をされたのか、といえば。

  陸玖は、あの東佐妻と数人の男達に裸の写真をいっぱい取られたのだ。――それも、ただの裸じゃなくて、お尻もちんちんもくっきり写っているような写真がいっぱい。

  そんな恥ずかしい事言えるはずもない。

  それに、あの時の事を誰にも言っちゃいけないと言われている。

  だれかに言ったら、恥ずかしい写真が皆に見られちゃう、と信じてしまっている陸玖が黙ってしまうと、湊大が不思議そうな顔をしながら「ふうん」と言ったきり気まずい沈黙が狭い空間に流れる。

  その時。

  「ねえ、いつまで喋ってるわけ? 他の子は授業受けてるんだからね」

  「わ……ッ、ちょ、先生!?」

  シャッ! と勢いよくシャワールームのカーテンが開けられて、陸玖は脱ごうとしていたズボンから慌てて手を離し、湊大は脱ぎかけていたシャツをバッと下まで戻す。

  カーテンを開けたのは養護教諭の女性先生だった。彼女はまだ殆ど服を脱いでいない二人に、頭が痛いと言わんばかりに額を押さえながら言った。

  「仲いいのは良いけど、早く脱いでシャワー浴びちゃいなさい。いつまで真っ黒でいるつもり?」

  プールに備え付けのシャワー室。

  本当なら一人用のスペースの所を二人で入っているから、割と手狭になっている。まあそれでも服を脱ぐのには十分なスペースだ。脱ぐのが遅い理由は、狭さではない事は明白だろう。

  時間が経てば、落ちにくくなる。

  だから学校の洗濯機でさっさと洗ってしまおう、という事になったわけだ。

  お漏らしをしてしまったりで保健室には、着替えの体操服や下着が用意されている。その服を準備した養護教諭の先生がついでに洗濯をしてくれる事になっていた。

  「わっ、見るなよ、先生のえっちーッ」

  「はいはい、見ないから早く服寄越しなさい。着替えは籠に入れてるから」

  「わかったから閉めてってば!」

  小学生男子のおふざけにも慣れて動じない養護教諭の先生は、プラスティックの洗濯かごをドンと置くとシャワースペースのカーテンを閉め直した。

  「お母さんに怒られる事は覚悟しときなさいよね?」

  脱いだ服をカーテン越しに洗濯かごに突っ込んだ少年二人に先生はそう言い残し、シャワー室を出ていった。

  再び沈黙が訪れて、陸玖と湊大は互いに顔を見合わせ――

  「ぷっ、ははッ……なんだよその顔、真っ黒……」

  「お前も同じだろ! パンツまで黒くなってんだから!」

  墨まみれの顔で難しい顔をしている互いを見て、いがみ合うのがバカバカしくなって吹き出してしまった。

  「ごめん、巻き添えにしちゃって」

  「いいよ。算数の授業サボれてるし」

  と陸玖の肩に後ろから腕を回しながら、湊大はぴっとりと裸の腰をくっつけ合った。むず痒そうに体を揺すりながら陸玖は抱きついてくる。

  むに、とお尻の間に感じるのは湊大のちんちんに違いないだろう。

  「湊大、お前すぐくっ付くのやめろってー、お尻にちんこ当たってるっての」

  文句を言いながらも、陸玖はそんな友人を振り払うことも無くシャワーのハンドルを捻るのだった。

  ◇◇◇

  二人の少年が壁に備え付けのシャワーヘッドから降り注ぐお湯を浴びている。

  「あったけー」

  と肩を組んでいた湊大が、傍らの陸玖に体重を預けるように、お湯の温かさに気持ちよさそうな声を上げる。狭いシャワーブースの中、一緒にシャワーを浴びているその二人を後ろから見れば、プリプリの張りのある小さなお尻が八百屋の店頭に陳列された桃のように並んでいる。

  水滴を見事に弾く若い肌の小ぶりのお尻達は、まるで落ち物ゲームの同じ色の玉が吸い付くようにくっつきあっていた。それだけ手触りのいい肌を触れ合わせる少年達。

  女の子とは違い、腰も細くすらりと伸びている印象のある体を、友達の前で恥ずかしがることもなく晒している二人を前方から見ると、その滑らかな両脚の付け根に、ぴょこん、という擬音がお似合いの男性器がふるふると二人の僅かな動きを伝達して揺れていた。

  同じ位の背丈の陸玖と湊大。

  男性器――というよりも『おちんちん』という方がしっくり来る二人のそれは、背丈と同じように殆ど変わらない大きさだった。違いがあるとすれば陸玖の方が少し先端の膨らみがあるだろうか。

  だが、気温で簡単に大きさが変わるようなペニスにその程度は誤差でしか無い。

  二人共、高学年だというのに毛の生える気配は一切なく、ツルツルのソーセージのように先端まで皮を被りきっている。性器と呼ばれる理由を知ってはいても、その実感すらまだない。そんな、正しく男児のちんちんでしかなかった。

  「な、陸玖。ちんちんまで墨ついてんだけど」

  「えー、おれは……ついてなーい」

  「……おりゃ」

  「ひゃわ……!? や、やめろよ、湊大っ」

  あんな目にあったというのに、自分が性的な魅力にあふれているとは全く思わないのだろう。腰を突き出してペニスを見せつける陸玖。

  そんな陸玖に悪戯心が芽生えたのか、湊大は濡れて墨汁が滴る髪に手を差し込んだかと思えば、その墨塗れになった手で陸玖のペニスをむんずと掴んだのだ。

  「これで、お前の方が墨まみれだ……!」

  「このやろ、負けるか!」

  急にちんちんを触られた陸玖は、驚きながらも嫌な顔はしない。普通なら手を払い除けるのだろうが、裸の付き合いで気が緩んでいるのだろう。

  掴まれるだけでなく、むにむにと墨を塗り込むように柔らかい竿と玉を揉まれるのをそのままに、陸玖は自分もお返しにと手に墨を付けて湊大のちんちんへと手を伸ばした。

  「ぅわ、やめろって……! く、くすぐったい」

  「先にやったの湊大だろー」

  二人してちんちんを揉み合いっこしながら、墨を擦りつけ合う。狭いシャワーブースで、年端もいかない少年二人が互いのちんちんをむにむにと弄くりあっている。そんな見るものが見れば淫猥な光景。

  とはいえ、二人ともただの小学生だ。そんな遊びもすぐに飽きが来始めるだろう。

  だが、その飽きが来るよりも早く、二人の体に少し変化が起き始めていた。

  「お。陸玖、ボッキしてきた?」

  陸玖の写真撮影の時は、どれだけ触られても大きくなる気配すらなかった陸玖のちんちんは、温かいお湯を浴びているからか、それとも相手が友達でリラックスしているからか。

  湊大の手の中で、蕾のようなそれが少しずつ芯を持ち始めていたのだ。ぴくり、とそれが始まってしまえば、触られる事に慣れていない幼茎はすくすくと育っていき、しまいには手を離せばお腹にピッタリとくっつきそうな程元気に天井へ向かって背伸びをする。

  「湊大が触るからだろー」そんな自分のちんちんを恥ずかしそうに見下ろす陸玖は、口を尖らせながら湊大へと抗議した。「ってか、ヒトの事言えないだろ」

  そう言って陸玖は、自分の手の中で同じように勃起している湊大のちんちんをギュウギュウと握っては緩めてと繰り返す。

  「へへ……バレたか」

  「おれが触ってるんだからバレるに決まってんじゃん。うわ、黒……」

  にへへ、と白状した湊大のペニスを釈放した陸玖は、手を離したそれを見て声を上げた。手についていた墨の濃度が湊大よりも濃かったのだろう。陸玖が墨をこすりつけていたピクピクと可愛らしく震える勃起ペニスは、陸玖のそれよりも黒く汚れていた。

  無駄な脂肪のないほっそりとした腰から鼠径部へのラインへとお湯が滴りおちていき、そして、勃起した可愛らしいペニスの根本で枝分かれして両脚に滴っていく。

  墨に汚れているペニスもシャワーの水滴で少しずつ、銀箔を剥がすクジみたいにその下の本来の薄ピンク色に色づく肌色が見え始めていくのを見ながら、陸玖は勝ち誇った笑みを浮かべていた。

  「へへ、おれの勝ちだな」

  「もっと墨被っておきゃ良かったか……」

  いつの間にか、相手のペニスを黒くする勝負になっていた。しかし、その勝負も決着がついたらしい。後は残った墨を流して体を拭けばシャワーは終わり。

  のはずだったのだが、しかし、その次に湊大が放った言葉によって彼らの勝負はニ番勝負へともつれ込むことになった。

  その言葉とは。

  「でも、ちんこはおれのほうが大きいんじゃない?」

  である。

  湊大は自分の勃起しても先端まで皮が被り切っているペニスの根本を押し込んで、陸玖に見せつける。下腹部を凹ませてちんちんがより長く見えるようにという思惑なのだろう。

  無毛の小さなちんちんを精一杯大きくしてみせるその姿は、どこかレッサーパンダが威嚇する姿に近いのかも知れない。そんな愛らしさと無垢な故に性的な挑発に、陸玖は頬を赤くして口を開いた。

  「んなっ、そんな事ないだろ……! 湊大のよりでかいし!」

  「そうかなー? 陸玖のより一回り大きいと思うんだけどなー」

  と余裕を見せる湊大。

  どちらのそれも、大人のものと比べるとどんぐりの背比べでしかない。だが、二人にとってその僅かな差ですら重要なことなのだ。

  「じゃあ、比べっ子して白黒はっきりさせてやろう」

  そういう事になった。

  ぴんっ、と勃ちあがったペニス。

  その先っちょの、少しだけ膨らんだ未発達な雁首の辺りを指で押さえつけて真横に茎を倒した二人は、それを向かい合わせになりながら横並びにする。

  前後逆にした矢印を二つ重ねたような構図でペニスを密着させる。兜合わせなんて言葉を彼らは知らないのだろうが、その構図は完全にそれに違いなかった。

  自分たちが実はエロい事をしている、なんて事を考えもしないのだろう純朴な少年達は、互いのペニスと自分のそれを見比べてその大きさを競いあっていた。

  「ほら、おれの方がデカいって」

  「そんな事ないだろ、だって湊大のそれ、皮が余ってるだけじゃん。こういうのは中身が大事なんだよ」

  そう言って陸玖は、勃起したペニスの皮をゆっくりと剥くように、先端の膨らみを親指と人差指で摘んで引き下げる。ぐに、と押し下げられた皮に先端に少しだけピンク色の亀頭が顔を出すが、そこから下には皮が引っかかって進まなくなっていた。

  ほんのちょっぴりはみ出ただけの鈴口も、シャワーの水滴に弾かれて痛かったのか、すぐに陸玖は皮で覆い隠してしまう。

  「殆ど剥けねえじゃん」

  「うるさい、そういう湊大は剥けるの?」

  「……まあ、同じくらい、だけど」

  陸玖の指摘に湊大はバツが悪そうな顔をする。そこで張り合わなかった所をみるに、湊大はもしかしたら陸玖のちんちんくらいまで皮を剥くのも痛いのかもしれない。

  「って、今は大きさ比べだっての。おれの方がデカいだろ?」

  そんな予想を裏付けるように、湊大は強引に話を変えていた。

  結論を急ぐような湊大の論調に、しかし陸玖は納得出来ないと首を振って返す。

  「いや、おれの方がデカい。比べ方が分かりづらいんだって。もっとぴったりくっつけてさ」

  「ちょっ、陸玖っ?」

  陸玖はペニスを押し下げていた手を離して、その代わりに湊大の腰を引き寄せる。ペチン、と元気な幼茎が下腹部を叩く音と共に、陸玖と湊大はお互いのお腹の間でビンビンになったペニスを挟み込むようにして密着しあう構図になっていた。

  「あた、当たってるって」

  「なんだよ、いつもは湊大がちんこ当ててきてるだろ」

  「いや、でも、近すぎだって」

  陸玖はなんてことないように言うが、湊大の意見もごもっともだ。

  裸の少年がシャワーブースの中で、完全に抱きつき合っている。しかもその中間には勃起したペニスが二本挟まっていて、完全に兜合わせの状態になっているのだ。近すぎ、だという意見も仕方ない。

  「どうだよ、これで分かるだろ?」

  と陸玖が湊大を真正面から睨む。鼻先が触れ合いそうな距離で湊大はゆっくりと視線を下に下ろす。ピッタリとくっついた腰と腰の間で真上を向く皮かむりの先端が二つ並んでいた。

  たっぷり数秒間、ぴくぴくと脈打つそれをじっと見つめた湊大は、何かを決めたように数回頷いてから顔を上げる。

  「正直、どっちがデカいとか分かんね」

  「……はあ、なんだよそれ」

  肩を竦めながら湊大が告げた判決は、ドローだった。

  溜めに溜めた後の――湊大の方が大きいと言い出したら反発してやろうと考えていた――結果発表に、陸玖は気が抜けてしまう。そのまま、湊大の肩に顎を乗せるようにして脱力したままに呟いた。

  「もっと分かりやすい勝負なかったの」

  「言い出したの陸玖じゃん。なんだろ、ちん毛生えてくるのどっちが早いか、とか?」

  「今、分かんないじゃんそれ」

  抱きついてくる陸玖を支えるようにして、湊大も彼の背中に腕を回す。

  人肌同士で触れ合う機会なんて、小学生といえどもそうそう無いことだ。その心地よさに酔いしれているのか。他の生徒や教師も授業中で誰にも見られる心配がないからか。

  二人は、その華奢で少し男の子らしく骨ばっている体をスリスリと抱き合ったまま擦りつけ合う。肌と肌が擦れる、その真ん中で当然ペニス同士も擦れている。

  「ん……っ」

  と、ふと陸玖が鼻から抜けるような吐息を漏らす。それは明らかに性的な快感を覚えて、抑えきれずに飛び出したあどけない喘ぎ声。

  まだ未熟な少年とはいえ、それでも機能としては着実に男に育っていきつつあるのだろう。

  「……勃起したちんこってさ、こうやって擦ったりすると……なんか、気持ちいいよな」

  「うん、分かる……、なんか、ちんちんの奥のほう……むずむずする」

  さっきまではしゃいでいた声とは違う、未知なる快感に上ずった声。陸玖は、そんな切なげな声で少し恥ずかしそうにしながらも話しかけてくる湊大に、こくりと頷いた。

  二人共、その快感がどこから来るのか。男の本能的に分かっているのかもしれない。互いにペニスを擦り合わせるように、腰をへこへこと動かしあい始めると、シャワーの音に混じって肌同士の間で飛沫を立てる水音がピチャピチャと妙に鮮明に聞こえ始める。

  少年の火照った肌の間で鳴らされる音。そんな肉欲を知らないはずの二人から淫らな音が響く様は倒錯的ですらあった。

  「湊大のちんこ、触っていい?」

  「……さっきは勝手に触ったくせに」

  少し体を離して、陸玖が問いかける。そんな彼に明確な答えは返さなかったが、否定しなかった事が何よりの返事だろう。陸玖もそう受け取ったらしく、ゆっくりと小さな手で二人のペニスを一緒に包み込んでいた。

  きゅう、と細い指が締まっていき、硬くなったペニス同士が硬く締め付けられる。その快感に二人の体は同時にびくん、と震え上がる。

  兜合わせの気持ちよさに、二人は体を洗う事も忘れて、ただただ偶然に知った快楽に浸っている。

  「ちんこ、あったかい……」

  「……ん」

  海綿体に血を集めて膨らんでいる幼い雄茎。それをゆっくりと上下に擦り始めると、ペニスから広がる甘い感覚が二人の背筋をピリピリと走っていくのだろう。

  「んっ、あ……っ」

  陸玖の唇から漏れた高い声。皮かむりの先っぽだけ露出させるように根本まで下がった指の輪っかが、ペニス全体を擦りつけながら、皮を先端に余らせていくように登っていく。そのリズムに合わせて息を震わせる陸玖は、明確にその行為に甘い痺れを感じていた。

  湊大も同じようで、普段出さないだろう声を上げる。その度に顔を赤く染めていくのは、ただ昂ぶっているからか、そんな姿を親友に見せているからか。

  「ひゃ……っ」

  それはどちらも正解なのだろう。

  陸玖に一方的にペニスを刺激されている状況を打破しようとしたのか。それは分からないが、湊大は空いている両手を陸玖の背中側に回したかと思えば、そのぷりっとした張りのあるお尻を撫でるように手の平を押し付ける。

  もし、それが陸玖に一泡吹かせるためにやったことだったとすれば、紛れもなく成功だっただろう。

  「な、なにすんだよ……湊大……っ」

  顔を真っ赤にした陸玖が湊大をにらみつける。

  「柔らかくて、気持ちい……から……、陸玖、おしり、くすぐったい?」

  「く、すぐったい。けど……」

  だが、その問いかけに陸玖は睨むのをすぐに止めていた。その表情は言葉にしないまでも「触りたいなら、別に、触れば良いんじゃん」と言っている。

  その言葉を言わなかったのは、恥ずかしい。ということもあったのだろうが、しかし、すぐに違う理由があったのだと気づく。

  くちゅくちゅ、と音を立てながら束ねたペニスを擦る陸玖。彼は、少し焦るような声色で、気持ちいい感覚の更に先にある、未知の感覚に気が付き始めていたのだ。

  「……おれ、なんか……ちんちんの奥、……なんか、来そう」

  「ん、……おれも」

  二人はそんな言葉を交わし合う。くちゅくちゅと、殆ど閉じきった包皮の先端で泡立つ、シャワーのお湯よりも少し粘つく液体。その正体を二人は保健体育の授業で習っている。

  予感を前に、陸玖はその指の動きを早めていき、湊大はそんな陸玖を更に抱きしめる。二人のお腹の間で勃起したペニスは少年たち自身が今まで知らなかったほど硬く張り詰め、その時を今か今かと待ちわびていた。

  「ん、あ、……なんか、来る……っ」

  「うん……っ、これしゃせい、って奴……かも……」

  湊大の言葉に、陸玖は息を荒くする。

  それと共に二人が感じていたペニスの奥から登ってくるような快感も強くなっていき、それは幼い二人にとって止める方法なんてありはしなかった。ただ暴れるまま振り回される。

  「あ……っ、あ、湊大……っ」

  「うん、陸玖……んっ」

  

  二人の声が重なり合う。そんな二人に襲ってくる未知の感覚への恐怖と期待感に戸惑う。このままこの感覚に身を任せて良いのか、そんな不安も声に滲んでいた。

  だが、それでも擦る指の動きは止めようとしない。

  「く、くる……せーしっ」

  「んあ、やば……っ、おれも……ッ」

  ぶわり、と二人の全身に汗が滲みあがるのを見たような気がする。その瞬間だった。二人は示し合わせたように最後にぎゅっと強く互いを抱きしめ合わせると、同時に全身をビクンッ! と大きく跳ねさせていた。

  恐らく、二人の体の間に挟まって見えなくなった、可愛らしい果実もビクビクと震えているのだろう。互いに抱き合ったまま、全力疾走した後のように肩を上下させる二人。

  「ん、ぁ……」

  陸玖と湊大はどちらともなく、ゆっくりとシャワーブースの床にへなへなと崩れ落ちていった。生まれて始めて感じた絶頂、それに元気を殆ど持っていかれた初体験に力が抜けてしまったのだ。

  自然と体を離した二人だったが、ふと湊大が陸玖のペニスと自分のそれを見比べて口を開いた。

  「……せーし出なかったな」

  全力を振り絞ったのだろう、完全に萎えはじめている二人のペニスや密着していたお腹には、教科書で読んだような白くねばっとした液体は全く付いていなかった。

  シャワーで流れた訳でもないだろう。おしっこのようにペニスの中を何かが通る感覚もなかったのだから。

  「ほんとだ……、じゃあ、今のビクビクっての、なんだったんだろ」

  「分かんない、けど……気持ちよかった」

  少年たちは、空イキという言葉も知らない。ただ、快楽に酔いしれた余韻に浸りながら、ゆっくりと視線を合わせて。

  「……っ、じゃ、じゃあ……墨汁流さないと、な……!」

  「お、おう……そうだな。おれ、隣でぱぱっと流すから……ッ」

  急に今までしていた事が恥ずかしくなって、二人して慌てて顔を反らし合っていた。よろめく足で立ち上がりながら湊大が隣のブースに移動する。

  そして、いままでじゃれ合っていた時間が嘘だったように、素早く墨を流し終えた二人は、そのままそそくさと用意してもらっていた着替えに袖を通してシャワールームを飛び出していった。

  初めてづくしの性体験。その最後に待っていたのは、生まれて初めての賢者タイム。ということだったのかも知れない。

  ◇◇◇

  そんな一部始終を記録した映像をモニターに流しながら、カメラマン――東佐妻は動画の停止ボタンを押した。

  「水泳部の着替えとかが目的だったんだけど……こんなお宝映像がゲットできるなんてなあ……」

  仲睦まじい少年二人に、まるで邪な感情など全てなくなったかのようなホクホク顔を向けながら、東佐妻は動画編集ソフトにそのデータを取り込んでいくのだった。

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