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ヒグマ獣人高校生柔道部男子が痴漢されて我慢する話

  (クソ……はやく、終われよ……っ)

  ヒグマ獣人の高校生、久間里 椿は電車の扉に手を突きながら、帰宅ラッシュのおしくら饅頭のようになっている電車内の混雑に悪態を心の中で吐いた。

  いや、本当はそうではない。

  普段なら、別に帰宅ラッシュもいつものことだ。だからそれに対して苛立ちを覚える事などは無い。ならばなぜ、今日に限って、ただ何かに耐えるように、この混雑の中で暗い町並みを映すガラスに映る自分の顔を睨みつけているのかと言うと。

  「……ッ、ぅ」

  部活帰りの制服姿、椿のその鍛えられた筋肉の上に脂肪が乗ったふくよかな体。そのむっちりとスラックスを押し上げる臀部の曲線が、男の指によって歪んでいる。

  偶然触れている、などではないことは明白だ。何故なら、その太い指は椿の尻肉をパン生地を捏ねるように揉み込んだかと思えば、ズボン越しにその谷間へと指を差し込んでいたのだ。

  偶然でそんな事になるはずがない。

  ――痴漢されている。

  男の自分が男に痴漢されるなんて、なんて事は疑問には思わない。男に欲情する奴がこの世にいることなんて、嫌というほど知っているからだ。

  普段の自分……いや、少し前の自分なら、満員電車の中で痴漢してくる悪人なんて、その手を掴んで適当なホームに連れ出して、押さえ付けてやること位していただろう。

  (……、くそ、なんなんだよ……ッ)

  だが、それは出来ない。

  男の指が椿の尻穴の上を往復しながら、ヒグマの丸く短い尻尾をフサフサと撫でる。その度、ビクンと体を震わせる椿は、飛び出してしまいそうになる声を必死に抑え込んでいた。

  痴漢は椿の汗ばんだ制服に顔を埋めるようにして、荒い息を吐き出している。男の息がかかる部分だけが熱く湿って、ただただ気持ちが悪い。

  だと、いうのに。

  「……キミ、随分敏感なんだねぇ……」

  「ッ、……」

  「お尻と尻尾触られて勃起、しちゃったんだ」

  首筋に息を吹きかけられるような男の小声が、椿の耳に滑り込んでくる。ニタニタと気味の悪い笑みを連想させるような下卑た声。

  嫌悪しか生まない声に、しかし、椿は男の言葉を否定できなかった。電車の扉に押し付けられるようになっている椿のズボンの股座は、今、窮屈に張り詰めていたのだから。

  男に痴漢されて、椿は確かに勃起している。そんな状態で男を引きずりだせるはずもない。

  「真面目そうに見えてやらしいね、そりゃそうか。こんな臭いさせて電車に乗ってんだから」

  いや、それだけならば椿は自分の恥を捨て置いてこの男を警察に突き出していたかも知れない。だが、警察に椿の身辺を探られたくない。ただ警察と接するだけでも、椿にとってはリスクが勝る。とある男に握られている弱み。椿の痴態、そして教師との逢瀬の証拠。もし勘ぐられてしまえば、本当にあの醜聞が周りを巻き込んでばら撒かれるかもしれない。男に付けられた首輪が、男と関係のない場面であっても椿の自由意志を明確に蝕んでいる。

  堪えればいいのだ。という解決策が、なによりも椿から反抗の意志を削いでいる。

  まだ暫くこの満員電車は続く。

  根本を掴むように、それから毛玉を揉み込みながら指先で付け根のあたりを引っ掻かれれば、椿の体に今まで知らなかった快感が弾けていく。

  堪えるように俯き、背筋を走り抜ける快感に跳ねる体を抑え込む。だが、我慢すればいいと思う椿の心を見透かしたように痴漢の手は更に強引に椿の体を弄びにかかっていた。

  「……ぁ、ッ」

  制服の尻尾穴。そこから指が下着すら超えて直接被毛を撫で付ける。と同時に、椿の太ましい体に抱きつくように回された腕が、固く熱り立った欲情の膨らみを撫でつけたのだ。

  誰かに見られるかも知れない。そんな状況ですら無い。真隣でスマホを見ているサラリーマンは、椿の声に僅かに視線を向けるも丸い腹の下で股間を弄られている事には気付かなかったのだろう。スマホの画面へと意識を戻していく。

  「声、我慢しなきゃね。もっと気持ちよくなりたいでしょ?」

  「……んな、わけ……っ」

  押し殺すような声で返すも、スラックスのチャックを下ろされる振動が敏感な若茎を揺らして、椿から言葉を奪い去っていた。ジジと、降ろされていくファスナーの音だけが腰を伝い耳に響く。下着に包まれた椿の陰茎は先端から蜜をボクサーパンツの布地に染みさせながら、解放を待っているようにスラックスの窓から顔だけを覗かせる。

  「ぅ……ぁ」

  「ほら、しずかに」

  ねっとりと粘つくような声で耳元で囁かれる言葉に背筋がゾワリと震える。早く終わってくれ。椿の願いに男の指は尚も、そのヒグマ獣人の体を堪能しようと弄ってきた。

  突き出たペニスの突っ張り。その先走りが滲む先端をクリクリと撫でつけたかと思えば今度はその張り出すカリ首と竿の間あたりを念入りに弄られていく。

  「っ、ッ……ぅ」

  声を押し殺すたびに体に力が籠り、痴漢の手に応えるようにひくひくとペニスが震え上がる。生暖かい肉球が玉袋を揉みしだき、掌で転がすように鈴口を布越しに撫でられれば嫌でも先走りが溢れてしまう。嫌がっているはずだというのに、しかし、その反面、椿は自らの体に溢れ返る快感とそれを求める淫猥な己を自覚してしまう。

  「……苦しそうだね」

  いやだ、嫌だ。周りに気付かれないように首を振るも、男にその真意は伝わらない。あの男に虐げられる恐怖とはまた別種の恐怖が椿の全身を硬く緊張させている。自分の筋肉が他の筋肉を縛るように、動けない。

  いつしか、尻尾を触っていた手も前に回ってきている。そして、その手はベルトへと伸ばされていた。かちゃりと慣れた手付きで痴漢の手はその留め金を外した。

  「そ……っ、れは……」

  冗談じゃない。そう言おうとした椿は、しかし、グリッと腰の後ろに押し当てられた硬い感触に息を呑んだ。それが何かは一瞬で近いできた。ズボン越しに触れる熱く硬い肉の塊。それを腰へと擦りつけられ、痴漢の興奮した息遣いが耳に直接かかる。

  「エロいお尻だね、誘ってたんだろう? こうして欲しいって」

  違う、俺はそんな事していない。そう言いたかった。だが、この満員電車の中で痴漢の男に尻を揉まれて勃起している現状では何を言おうと説得力がない事は明白だった。

  更に言えば、その瞬間あろうことか、その布越しに触れた痴漢の肉欲。その醜い悪逆そのものに貫かれる想像をして、ゾクリとありもしない悦楽に体を疼き上がらせてしまったのだ。

  あってはいけないことだ。

  まるで本当に痴漢男の言う通り、そうされることを望んでいるようじゃないか。

  椿の困惑する思考を更にかき乱すように、張り付いてくるような気持ち悪い笑い声が耳をくすぐる。パンツの腰ゴムを押し上げて、無骨な手が不可侵領域を他愛もなく侵していく。

  膨れ上がった淫欲を、男の手が握りしめた。それだけで肺が空くように敏感な反応を示す肉体に怒りが膨れ上がる。だが、体は動いてはくれやしない。

  「すごく硬いね、被ってる皮は剥けるのかな?」

  「ぅ、……ぃッ」

  「お、全部剥けていくね」

  ゆっくりと先端から根本へと動く痴漢の手。その輪になった指に引っかかって包皮が引き下げられて、ぞり、と布地に亀頭先が擦過する痛みに腰を引く。そうすれば、尻に当てられた痴漢男の剛直が嬉しそうに跳ねる。

  「そんなに誘って、悪い子だ」

  「……っ、ぁう……」

  違う。お前を悦ばせるためじゃない。

  そう歯を食いしばりながら、更に押し付けられる痴漢の腰から逃れるように腰を前に押しやれば、電車の扉に先端が擦れ上がってしまう。その不意打ちに、ヒクリと体が震える。

  「ぁ、くっ……ぅ」

  「……っ、随分と敏感だね」

  だが、既に勃起した椿のペニスは触れられるだけでも刺激が強い。それを痴漢の手に強く握られて擦られればどうなるか。想像に難くない結果に椿の瞳が揺らぐ。

  嫌だ、離せ。そう声を荒らげたくとも、しかしそれも許されない。興奮を隠せない荒い鼻息が椿の肩に染み込んでいく。冷や汗が染み出していく。本来危険を示すための濃い刺激臭すらも、この痴漢男にとっては興奮を掻き立てるエッセンスでしかない。

  エスカレートしていく。

  睾丸の下に潜り込んだ会陰部を撫でつけられる。その度、体がどんどんと熱を持っていく。

  「気持ちいいね、イッちゃいそう?」

  「……ッ、んな、わけ……」

  「そうか、……痴漢になんて、イかされるわけないもんねえ」

  「……あたり、前……だろ……っ」

  椿は反射的に否定する。

  このまま強く擦り上げられてしまえば、情けなく下着の中に精液を吐き出してしまいそうな程、他人から受ける快楽を植え付けられている椿は、しかし、その矜持だけは失っていなかった。

  「これ、何か分かるかい?」

  「……っ、しら、ねえ……」

  「栄養剤だよ」

  睾丸を弄んでいた手が引っ込んだかと思えば、その手は何かを摘んで引き返してきた。椿の手に転がされたそれは、小さなカプセル状の白い塊だった。

  座薬だ。

  まるで重さを感じないそれは、だが、この状況で渡されるものだと考えれば碌でもないものであることは分かる。それを手渡されたという事を疑問に思いながらも、椿はそれを床に捨てようとして。

  「まあ、夜の栄養剤だけどね。……お尻がトロトロになって、硬くて熱いモノが欲しくなっちゃうんだけど……」

  それを阻むように男の手が椿の手首を掴んだ。その力は簡単に振り払える程度だったにも関わらず、椿は囁かれる言葉を待っていた。聞いちゃいけない。聞く意味なんて無い。そう自分で分かっているのに、分かろうとしない自分がいる。

  「痴漢にイかされるはず無いなら、これを挿れても問題ないよね?」

  「……っ」

  そんなはずない。

  今だって数度握り扱かれただけで、この異様な状況に精を吐き出してしまいそうになっていたというのに、そこに更に体を高揚させられて我慢が出来るものか。

  男の挑発に乗ってはいけない。そう考えながらも、椿は座薬を捨てられない。

  惑う中で視線を彷徨わせ、そして、見上げたガラスに映る自分の顔に、椿は愕然とした。

  淫らに憂いていた。

  苦痛に堪えているはずの目はだらしなく蕩け潤んでいて、食いしばっていたはずの口はいつの間にか締まり無く何かを求めるように舌を覗かせている。

  公共の場で、こんな淫猥な面を晒している。信じがたかった。だが、鏡の中の椿は、確かにさらなる快感を求めている。

  「さ、自分で挿れるんだよ」

  「……ぅ、ぁ……っ」

  涙が滲む。

  なんでこんな事をしなきゃいけないのか。そんな思いを浮かべながらも、しかし、椿の中では悦びが渦巻いている。

  悔しい。

  今にも暴れ狂いたいほどの悪感情が燃えたぎっている。だというのに、婬欲に擽られた椿は己を止められはしなかった。

  「くそ……っこの、変態……」

  「そうだねえ、立派な変態だよ、キミは」

  扉で阻まれて前屈みになれない。椿は、ベルトを外されて緩んだ後ろ腰から手を差し込んで、尻尾の下、柔い毛に包まれた双子丘の谷間へと座薬を摘んだ指を潜らせる。

  疼くそこの場所は、探すまでもなく、常にその存在を主張し続けていた。今か、今かと待ちわびるその菊座は、座薬の先端が触れただけで敏感に快楽を奔らせる。

  「……つッ、ぁ」

  少し我慢していてくれと願うほどに、椿の体は彼の意志とは関係なく鋭敏に悦楽を求めてしまう。

  沈めていく。

  その度に痴漢男の手の中で脈打つ屹立が自ら締め上げられて、椿の太い足をガクガクと震え上がらせる。それでも椿は、ゆっくりと確かに座薬を奥へと押し込んでいく。

  ぬぷり、と座薬を押し込む指が窄みに触れる。内壁を進む座薬の感触に、指が追いついて、まるで肛門がペニスの延長に存在する別の器官になってしまったかのような快感が椿の脳を震わせていく。

  こんな所で何をしているのか。

  「ゴホン」

  隣でスマホを見ていたサラリーマンが態とらしく咳払いをする。咄嗟にそちらへと視線を向ければ、睨むような視線と一瞬目が合ったかと思えば、サラリーマンは顔を逸しポケットの中からイヤホンを取り出して耳に嵌めた。

  バレている。

  しかも、椿が被害者なのではなく、この公共の場で自ら陰部を弄び、嬌声を漏らしている変態だと思われている。

  サラリーマンの反応にそうだと理解した瞬間、一気に体が燃え上がる。羞恥心が全身に火を付けたような熱が広がっていく。

  「また一段と硬くなったね、座薬が気持ちよかった?」

  「……っ、ちが……ぁ、……ッ」

  「ほら、先走りもこんなに……ああ、見られて興奮しちゃったんだ」

  グチリ、と下着の中でだくだくと先走りをこぼすペニスを扱かれて、抗議の言葉が拒絶される。首を振るも、それは嘲笑で流されるだけだった。

  「違うわけないよね、座薬挿れた後も、指でお尻イジってるの気付いてない?」

  「……ッ」

  椿は思わず、息を呑んだ。指がびくんと震え、まだ尻肉の窄みに包まれたままだった指を括約筋がきゅうと締め上げる。その感触に、椿は慌てて指を引き抜いていた。

  「エッチだな、キミは……でもほら、我慢しないと」

  と言いながら痴漢は椿の屹立をゆっくりと扱き始めた。上下に男の指が肉棒を擦り上げる度、椿の息はどんどんと荒くなっていく。

  「っ、ぁ……あ、やめろ……」

  「でも気持ちいいんでしょ? どんどん媚薬も効いてくるんだよ」

  違う。気持ちよくなんてない。そう思えば思うほど椿の体は昂ぶっていく。まるで痴漢が口にする通り、本当に自分が変態で我慢の出来ない男なんだと証明するかのようだ。

  もう触るな、そう願っているのに、椿の腰は男の指に欲望を擦りつけていく。

  先走りに濡れたパンツがグチャグチャと音を立てる。その淫音に椿の羞恥心が膨れ上がり、湧き上がる快楽に抗えない。

  「このままイッちゃおうか?」

  違う。そんなこと、出来るはず無い。するはずない。

  そう頭の中で否定を繰り返す間にも、指の動きは速度を増して椿を責め立てる。亀頭を擦られながら強く幹を握られれば、もはや射精を止めることは出来ない。

  媚薬せいだろうか。体がまるで風邪を引いた時のように熱を持っていく。幼い頃、風邪を引いてむしろ妙な活力が湧いてくるように、全身から伝わる快楽がいように引き立てられている。

  「……っ、ぁあッ、やめッ」

  「ほら、声出すから見られちゃってるよ。変態高校生が電車でヌルヌルのパンツ曝け出して、今にもイッちゃいそうなトコロ」

  「ゃ、だ……ぁ……っ俺、……ぁあ」

  声を抑える事も、もはや出来ない。鍛えられた椿の喉は、小声であっても周囲の人の耳が拾うに十分な声量を吐き出していく。

  視線を上げれば、ガラス越しに明るい社内の様子が見える。

  人。

  人、人。

  鋭く、異端者を見つめる視線がガラス越しに、椿に突き刺さっていく。その誰もが、椿の痴態を蔑んでいる。卑しい椿の醜悪を眺めている。

  「んっ、……ぁあ、っ、やだ……やだ、イぎ、たく……な゛ぁ……アッ」

  ボクサーパンツの中で擦り上げられる男の指が更に激しさを増した。裏筋とカリが擦れて、亀頭をグリグリと揉まれる。先走りがパンツに染み込んで、まるで漏らしたかのように濡れてその色を濃くしていく。

  「ほら、イけよ変態」

  そう囁かれた途端に、椿の体が仰け反った。痴漢に弄られるペニスの内側から精液を押し出すように、熱く滾った淫欲が一気に噴き上がる。

  体が宙に飛ぶような開放感、と同時に急速に何処かへと落下していくような浮遊感に苛まれた。

  その瞬間。

  「……ッ!!」

  椿の目の前の扉が開くのと同時に目を覚ました。

  見慣れた最寄り駅のホームだ。椿はいつの間にか手すりを掴んだまま寝入ってしまっていたらしい。

  夢。

  ズボンの中で濡れた感触がないことを確かめた椿は、その体験が自分の脳が想像した出来事だったのだと安堵する、と同時に、羞恥に頬が熱くなる。

  「……っ」

  だが、椿は、それが収まるよりも早く背後から押される感覚に、自分も下りなければいけないと慌てて足を踏み出した。

  ズボンの中で膨れ上がったペニスが足の動きを阻害して、よたよたとよろけた歩き方になる。後ろから電車を下りた人に少し怪訝な目で見られながら、椿は階段を駆け上がりホームのトイレへと駆け込んでいた。

  個室のドアを閉める。

  「はあ、……っ、は……」

  嫌な夢を見た。

  最悪な夢だ。

  そう思いながらも、椿は焦るようにズボンを下ろし、中の雄欲に突っ張ったボクサーブリーフを露にする。ヌルヌルとした液体が前袋の殆どを濡らしている。

  体を弄られて、言葉で詰られる。そんな夢を見て、椿はそこまで淫靡な涎を垂らしているのだ。

  「……ッ」

  下着を下ろして、半剥けの屹立を晒すと、余裕なく便座に腰を下ろした。椿の重い体を受け止めた便座がぎしりと軋み上げるが、椿にそれを省みる余裕はなかった。

  今すぐに、快楽が欲しい。体が疼いている。

  夢の中の出来事のはずなのに、本当に媚薬を体に打ち込まれたような淫欲が椿の思考をかき乱す。

  「ぁ……ッ、ぅ……く」

  指に絡まる先走りが個室の外に漏れ聞こえるんじゃないかと言うほどに、ぐちり、ぬちゅりと、扱き上げる度に音を掻き立てる。頭が真っ白になるような快感。だが、椿の体の疼きはそれだけでは満足してくれそうになかった。

  もっと、もっと、と快楽を知る椿の体は、プライドなんてものを容易く踏みにじり、若い性欲という武器を振りかざして、猥褻な要求を椿に飲み込ませていく。

  「……っ、ぅ」

  便座の隙間から腕を差し込み、椿は自らの雄穴に指を差し込んでいた。夢の中で己がしたように、ゆっくりと中へと沈み込ませていく。

  異物が侵入してくる感覚には、もう慣れたものだ。

  椿はもはや、その違和感を嫌悪ではなく快感として捉えるようにすらなっている。

  誰かが扉の外で足音を立てる。その誰かは、椿の入った個室の前を通り過ぎ、小便器の前へと立ったのだろう。抑えていたのだろう勢いのある水音が、小便器の壁部へとしたたかに打ち付けられる。

  「あ、っ……いや、だ……ッ」

  一瞬過る、妄想。

  その姿も知らぬ男が小便を放出している先に、自分がいたのなら。そんな自分を辱めるような想像に、それでも、興奮してしまう。

  あの男なら、今に個室の扉が開けられて、尿に濡れた鈴口を突き付けて「掃除しろ」と強要してくるだろう。

  顧問の姿を思い浮かべる。こんな所で不健全な行為に浸っている椿を見て、驚きと同時に気遣ってくれるだろうか。懇願すればこの場で自らを犯してくれるだろうか。

  次々と、淫らな妄想が頭の中でよぎっていく。

  「はあ、ッ……ぁ、ッあ……」

  抑え込んだ声が個室の中で密やかに響く。

  小便器に水が流される音。その見知らぬ誰かはそのままトイレを出て行ってしまった。

  荒く息を吐きながら椿は、激しく自らの屹立を擦り上げる。ぐちゅぐちゅと音が響くのも気にせず、せり上がってくる快感の塊を吹き上がらせようと便器下を覗き込むように前屈みになりながら、自らの尻を慰撫しては中へと指を差し入れて己の悦い所を押し潰す。

  「イク、……ッ、く、……ぅッ!」

  前立腺が指で潰れ、椿の腰がまるで爆発するような振動に苛まれたかと思えば、直後、鈴口からは勢いの良い白濁が噴出していた。

  銃口を押し下げて噴射した白濁は、どろりと濃厚な粘りをみせて便器の壁に滴っていた。

  「はあ、……っ、くそ」

  その、汚くこびりつくような迸り。それが淫猥な想像をした己そのものの醜さのようにすら思えて

  絶頂の余韻に浸りながらも椿は立ち上がり、そのままズボンを上げて、それを流水に押しやっていく。数秒、抵抗していたその汚れがやがて水流の強さに押し流されていくのを見終えてから、椿は個室を出て、手洗い場へと足を運ぶ。

  「……」

  鏡を見れば、まるで物足りないと雌のように強請る目をした自分が立っている気がして、鏡像と目を合わせないように手を洗い、椿はトイレを出ていった。

  慌てて引き上げた下着の中で、竿に残っていた白濁がじわりと染み出してくる感覚に、心地悪さを感じながら椿は帰路へとついたのだった。

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