7話

  ☆☆☆

  深くかぶったフードから覗く夜の街並みを、地面からほど近い視線で眺めつつ、私はふっと鼻を鳴らした。

  布を敷いてあるとは言え、ブロック畳の凸凹が薄い尻に響き、少し不快だ。

  だけどまあ、今の状況からすればこの程度は我慢してしかるべき。

  「おきゃくさあん、こないですねぇ……」

  そうであったとしても、独り言ちしたくもなる。

  私、名張ぺとらの趣味はオカルト。とりわけ黒魔術や呪いに興味があった。

  実験も兼ねて自らの通うお嬢様学校で恋の悩みや相談をする傍らで、様々な人を巻き込む様な『ちょっとした事件』を何度も何度も起こしてきた。

  そのどれもが結果的には上手くいったし、何より自分が籍を置いている『お嬢様部』なんてふざけた団体の部長は、学園の創設グループのご令嬢でもあったので、お目こぼしをしても貰えた。

  勿論、それは学校が学期内限定での素行を黙認し、成績も一定の水準をキープしさえすればの話だが。

  なので夏季休暇となるとお得意の『商売相手』もとんと居なくなってしまう。

  殆どの生徒が実家に帰るので夏休みの間寮を占領出来るのは有難い事であったが、こうして作ったオカルトグッズを売り捌こうにも何も知らない道行く通行人はなんの興味も示してくれない。

  どれもこれも私の自信作だと言うのに、『効果がない』とすら思われず通り過ぎていくのはショックだった。

  「でもぉ、合宿まで……食い繋がないといけないしなぁ~」

  私はそう呟いて嘆息する。

  『お嬢様部』の夏合宿、せんぱいは強化合宿だなんて言っていたけれど、実際は海に遊びにいくだけ。

  両親からの仕送りも貰ってきた『お礼』もすべて黒魔術の研究に費やしてきた私にとっては、これが正に死活問題。

  豪華な別荘でバカンスと洒落込むには、なんとかしてこの数日を耐えきらなくてはならない。

  私が憂鬱な気持ちを増幅させていると、不意に近付いてくる足音に気が付いた。

  「……お客さんかなぁ?」

  私は声のトーンを落としてそう呟くと、フードを深くかぶり直す。

  やがてふらふらとした千鳥足の男が一人、こちらに興味を示したのかこちらへと寄ってきた。

  天然パーマなのかふわふわの黒髪があっちへこっちへと揺れていて、なんだか羊みたい。

  「う、うう……」

  青年は私に目を止めると、呻くような声を上げた。

  顔面は蒼白で、辺りには酒の臭いが漂ってくる。

  顔が近い、

  どうやら酔っぱらって今にも吐きそうといった感じだ。

  私の座る場所からすぐ行けば公園のトイレだと言うのに、一体どれだけ飲んだのだろう。

  男の数歩離れた所からは友人なのだろうか、大男が怪訝な顔をしてこちらを窺っていた。

  「お兄さん大丈夫ですかぁ?吐くなら、あちらに……」

  私が指差して促すと、男はブンブンと首を横に振った。

  「い、いや……大丈夫……それより何これ?」

  そんな事を言いつつも男はおぼつかない足取りでこちらへ向かってくる。

  そんな様子に私は苦笑しつつ、追い返すのは諦めて営業を再開した。

  「ふふ……今宵は特別にあなた様だけには、わたくしの特別な時間を提供致しましょう」

  私が芝居がかった調子で言うと、男は虚ろな目を少し輝かせたように見えた。

  (あれれ……?)

  これは予想外の反応だ。だが良い兆候でもあった。

  私は自慢の商品をいくつか並べて、男の反応を伺う。

  「へ、へえ……すごいなぁ、綺麗な瓶がいっぱいだあ」

  男は案外興味を示したようだ。

  私はそれが嬉しくて次々と商品を紹介していく。

  「これなんてぇ……絶対おすすめですよぅ~」

  そう言って私が一つの赤い小瓶をかざすと、男は興味深げにそれを見つめた。

  「こ、これは……!?」

  「『惚れ薬』ですぅ。恋するあなた、想い人いるんでしょう?これさえあればイチコロですよぉ?」

  そういつもの文句を言って微笑むと、男は一も二もなくその小瓶を手にした。

  どうやら相当に酔いが回っていたらしい。

  これはやったなと思ったのも束の間、私に赤の小瓶を突き返してくる。

  「ん、買わないんですかぁ?」

  そう尋ねると男は先程以上に青い顔をして首を横に振った。

  「惚れ薬はいらないかなぁ~、お酒だけで十分だもーん」

  男が泥酔した様子でそう言うと、私は眉根を寄せてこう尋ねた。

  「ははぁ……、じゃあもっと面白いのはどうですぅ?例えばぁ……」

  私は商品のラインナップの中から一つ選ぶと、得意げに「これは?」と言って男に見せる。

  それは紫色の瓶に緑色のラベルが貼り付けられた見るからに怪しげな液体だった。

  「これはなんとぉ……淫魔の力を得る事が出来る禁断のジュースでえすぅ~。これを飲めばぁたちまち元気になると言う事ですよぉ……」

  私が自慢げにそう言うと、男は『元気になる』という言葉に反応したのか私の手からその瓶を取り、中の液体を一気に飲み干した。

  「あぁっ!」と思わず声が出るが時既に遅し。

  「詳しい説明がまだだったのにぃ」と嘆いてみるが、もはや後の祭りだ。

  天パは私の言葉が聞こえていないのか、空になった瓶を私に返して「ごちそうさまぁ~」と言うと、財布をポケットから取り出して中身を探り始める。

  だけど、どうした事だろう。青年の挙動はどうもおかしい。

  財布の中身と私の顔を交互に何度も見比べていると、身体を小刻みに震わせながら青年は天パを掻きむしった。

  まるで雪山で遭難し、低温やけどでのたうち回る登山者のように衣服を脱ぎ去っていく。

  明らかに異常な光景に、遠巻きに見ていた大男も愕然とした様子で見守っていた。

  一度も人体実験をしていない最新作のそれは効果覿面のようで、男の肉体は目に見えて変化していく。

  身長が徐々に縮み、ややもするとほっそりとした体型になり始めたかと思うと、青年の顔がどんどん変わっていくのがよく分かった。

  「な、なにこれぇ~……」

  青年が気怠げにぽつりと零した声は、しっとりとしながらも高く澄み渡った少女の様なものに変わっていた。

  私の興奮など露知らず、青年の肉体の変化は加速していく。

  骨格が変化していき、筋肉の量が減少し、頭髪が伸びていって肌の色はみるみる白くなる。

  身体の肉が全て臀部に集まっていき、小ぶりだったお尻はむちむちと肉付いていき、腰回りが縊れていくのがよく分かった。

  コンプレックスを抱えていそうな仮性包茎の男性の象徴はアンバランスなまでに大きく成長し、乳首は肥大化していく。

  「あぁん!」と短い嬌声が響いたかと思うと、まるで童女のように小さくなってしまった青年は辺りに水溜まりを幾つか作りながらくたりとその場に倒れ込んでしまう。

  素晴らしい、予想通りの光景に私は心の中でほくそ笑む。

  「……とまあ~、こんな風にぃ小悪魔的な変化が見込める訳なんですねぇ……」

  その場で寝息を立てる天パの『元』青年を他所に私が得意気に言うと、呆気に取られていた大男は我に返って声を上げた。

  「大丈夫か中山!」

  駆け寄った大男が全裸の『元』青年を揺さぶると「うっ……うぅん……」と苦しそうにうめく。

  「なんなんだこれは。おい」

  大男が私を鋭い眼光で睨みつける。

  「これはそのぉ、そちらの中山?さんが私の商品をぉ間違ってお飲みになられたようでぇ~」

  私の弁明に大男は耳も貸さずに、大男はこの世の終わりのような顔をして『元』青年を見下ろした。

  「中山がこんな姿に……」

  言葉から、この大男も『元』青年と深い縁があるのだろう。

  どこか慈しみや、哀しみすら感じられる様子を見るに『元』青年は随分と慕われていたらしい。

  なんだぁ、『お客さん』はこっちの方だったのか。

  肩を落とす大男を見て私はある事を思いついた。

  とびきりの営業スマイルを張り付けて、私は大男に媚びるように声をかける。

  「これは大変ですねぇ~。私としても大変大変こころが、ああ!本当にお労しい事ですよぅ~」

  私は勿体ぶってそう言うと大男はちらりとこちらを見てから言葉を返す。

  「中山を元に戻せ。その制服、天ノ原学園の生徒だろう」

  興奮のあまりローブから覗く私の制服を見て学校を特定した大男の言葉に、私は

  「ご名答ぉ~、生徒にご家族の方でもいるんですかぁ?」と手を叩く。

  大男は苛立ちをぶつけるように私の手を乱暴に取ると、険しい目つきでこう言った。

  「中山は無事なのか」

  巨大で頑強な肉体のくせして、まるで親とはぐれた子羊のように怯えている。

  震える手は少しでも力を込めれば私の骨など砕けてしまいそうだった。

  「勿論ですぅ~。言うとうりにしておけば、一週間もすれば元通りですからぁ」

  私はそう言って宥めつつ、「でもぉ~」と続ける。

  「それよりぃ、今のこの状況。『お客さん』にはぴったりだと思いますよぉ?」

  「ぴったりとはなんだ」

  大男は私の言葉の意味が分からなかったのか訝しむように聞き返した。

  「そう!そこでこちらの商品!中山さんが間違えて飲んでしまったお詫びを差し引いて1万円で譲りますよぉ~」

  そう言って私は赤い小ぶりの瓶を掲げてみせる。

  大男は私の手を振り払うと、その小瓶に視線を移した。

  「これは……?」

  先程までとは打って変わって、少し乗り気なのが声色から分かった。

  「こちらはですねぇ……うちでもいちばん人気の商品なんですよぉ~」

  そう言うと私は『商品』の説明を始める。

  最初は半信半疑で聞いていた大男も段々と興味を示してきたのか最後には赤い小瓶を手に取ってこう言った。

  「……本当にその通りになるのか?」

  大男がそう尋ねると、私は勿体ぶって頷いた。

  「えぇ~!勿論ですよぉ。それにぃ、私は『良い魔女』なんですからぁ~」

  そう言って微笑むと、大男は「ふん」と小さく鼻を鳴らした。

  こうして私は思わぬ臨時収入を手に入れたのであった。

  それと同時に貴重な『研究対象』も手に入れることが出来た。

  「はーあぁ……これからどうなるかなぁ」

  私はそう言って目の前の空になった紫の小瓶を眺める。

  この淫靡さすら感じる紫が似合う『彼ら』の事を想いながら、私の興奮は瞬時に最高潮に達する。

  「うぇへへへぇ~……お、おぉっ……♡」

  思わず口から歓喜の声が漏れてしまったけれど、今私はひとり。何も恥ずかしがる事はない。

  「さて……と」

  一通りの後始末を終えて辺りを見回す。

  せっかくだから今日は駅前のラーメンをたっぷり食べて帰ろう。

  合宿前、最後になるかもしれない夕食はとびきり豪勢に。

  ☆☆☆

  助手席から望む水平線の景色は、紺碧の絨毯のようにも見える。

  波の音と潮の匂いが風に乗って流れては、車内へと吸い込まれていく。

  俺の隣でハンドルを握るマッチョ男は相変わらず無言だ。

  俺の方も特に会話はなかった。

  まるで新婚旅行に送り出すかのような面持ちの竹中父母と、どこか心ここにあらずと言った風の陽菜ちゃん。

  俺が家から出て行こうとするときにも「気を付けていって来て下さい」の一言だけしか言わなかった。

  それで隣のこの男、竹中と俺の二人きりの車内は見事に静まり返っている。

  無言に耐え切れなくなった俺は、不意に思った事を口にした。

  「おにいちゃ~ん、運転上手だね!カッコいい~!」

  俺の言葉を竹中は無反応で流すと、フロントガラスを見つめたままこう言った。

  「もうすぐ着くぞ」

  言われてあたりを見てみれば、確かに別荘地と思しき景色がちらほらと見え始める。

  車を走らせること数時間、どうやら本当に目的地に着いたようだ。

  「はー……」

  車を降りて俺は思わず感嘆の声を漏らした。

  駐車場から海が見える位置にある豪邸が俺の視界に入り込んできたからだ。

  竹中の実家も中々大きかったが、この別荘は格別である。

  しかも何というか……『洋』の趣が強い気がする。

  「来たのはいいが幸、どうするんだ」

  お嬢様部の合宿先であるここへは俺と竹中の二人でやって来ていた。

  民宿のチェックインまで時間もあるし、この場でなんとか『名張ぺとら』に接触出来ればこの、不自由でしょうがない身体をなんとかして貰えるかもしれない。

  そんな一縷の希望を頼って俺達はここに来たのだ、旅行のついでに。

  「え?特に考えてないけどよ。見ろよこの恰好を」

  そう言うと俺は真っ白なワンピースをひらひらと揺らして見せた。

  リボンのついた大きな麦わら帽子と、白いサンダルはおろしたてだ。

  「……似合うだろ♪どっからどうみても深窓の令嬢じゃねえか」

  俺が得意げにそう言うと、竹中は「フン」と鼻を鳴らした。

  「なんか言えよこの野郎……」

  俺の罵倒など聞こえていないかのように、竹中は顎に手を当てて考え始めた。

  そして「うん」と小さく頷いてから俺に尋ねる。

  「……俺はなんなんだ?行かなくていいなら……車で待っているが」

  その釈然としない答えに、俺は怪訝な面持ちで竹中を見つめてしまう。

  「いや……付いてこいよお前。少しでも『名張ぺとら』の顔分かってんのお前だけなんだからさ」

  そう言うと竹中は「む」と不服そうに唸った。

  なんだかこいつは『魔女』に会うと不都合がありますと言わんばかりの態度で、煮え切らない。

  このわだかまりを解消するためにも、こいつの同伴は必要不可欠だろう。

  (それに何より……)

  俺は竹中の手をそっと握ると、上目使いに奴を見上げながら甘えた声で言う。

  「な、いいだろ?俺一人で会いに行くのは怖いんだ……」

  俺は確かにそう言った。そう、怖い。

  自分が元に戻れないかもしれないからじゃない。

  これはもっと根源的な恐怖だ。

  つまり……俺の心の拠り所がなくなる事が怖い。

  どんな形であれ、元に戻れるならこの淫乱な肉体を手放す事に抵抗はない。

  だけど、元に戻れたら俺はどうなるのか。

  それを考えてしまった瞬間、何故だかとても怖くなったのだ。

  だから『名張ぺとら』に会って、その不安を解消したいというのが本心だ。

  そう、どんな結果になったとしても。

  俺が手を握る力を少し強めると、竹中は目を逸らして「分かった」と短く答えた。

  「さっすがおにいちゃん!話が分かるぅ♪」

  俺は大げさにはしゃいで見せる。

  内心は怯えに震えまくっていたが、それを表に出したら竹中も不安に思うに違いないと思ったからだ。

  (安心しろ中山幸……お前の身体は俺が絶対元に戻してやるからな……!)

  俺は握った手に力を込めて、心中でそう呟いたのだった。

  ☆☆☆

  その巨大な別荘の門の前のインターホンを前に、俺は身震いした。

  いざ近くに来てみれば、中々の大きさの建物だ。

  正直、ここまで大きいとは思っていなかった。

  『お嬢様部』なんてたわけた同好会の合宿にこんな大層な場所を用意するあたり、『お嬢様部』の権力というものが分かる。

  もしかしたら……別荘の中にはプールとか温泉まであるのかもしれない。

  (まぁいいや、早いとこ済ませちまおう)

  俺は門に備え付けられたインターホンを押した。

  ぴぽぱぽぴー……と言う無機質な機械音が敷地内に響くと、程なくして応答が返ってくる。

  「は~い……」

  声の感じからするに少女らしい。

  しかしその声はどこか覇気がなく、むしろ間延びしているようにすら聞こえた。

  「あの……わたくし、『お嬢様部強化合宿』の募集を見て参りました中山と申しますう……」

  俺が名乗ると門の向こう側でガサガサという音が鳴り響き、程なくしてぎぎぃと言う音を立てて巨大な鉄製の門が開いた。

  そこにはメイド服を身にまとった少女が佇んでいた。

  (うおっコスプレ……?)

  俺が思わず呆気に取られていると、少女はこちらに小さく頭を下げた。

  「ようこそいらっしゃいました!募集を見てやってきたのですか?」

  やけにテンションが高く、少し引くくらいのハイテンションでそう聞いてくる。

  「えぇ……はい」

  俺が気圧されたように頷くと、少女はグイグイと身体を寄せてきた。

  「あ~!それはとても僥倖です!本当にありがとうございます!!」

  やたらと強い力で手を握られ、俺は引きつった笑顔で「どうも……」と返した。

  「ささっどうぞ!」

  少女は大きな扉を開き直すと、中へと促した。

  (なんだあ……?)

  不審には思ったものの、この『お嬢様部』の関係者である以上は邪険にする訳にもいかない。

  俺と竹中が別荘の中へと入ると少女は扉を閉じながら改めてこちらに向き直り、スカートの裾をつまんで会釈した。

  「わたくし、『お嬢様部』副部長兼メイドの水無瀬小鳥と申します」

  「あ、これはご丁寧にどうも」

  俺が頭を下げた瞬間。

  水無瀬と名乗った少女がそう言って鼻をひくつかせながら俺の身体を犬のように嗅ぎまわった。

  (え……?なに怖)

  身の危険を感じた俺はそっと距離を取ってから改めて彼女に尋ねた。

  「あ、あの……?何か……?」

  水無瀬さんは俺の顔をまじまじと眺めると、人差し指と中指を頬にあててポーズを取った。

  「男性でいらっしゃる」

  「……え?」

  水無瀬さんの思わぬ言葉に、俺は素っ頓狂な声を出した。

  「あ、あの……わたくし『お嬢様部』の募集を見て合宿に……」

  俺がおずおずとそう弁明すると、水無瀬さんはにっこり笑ってこう返した。

  「ニオイで分かります♪」

  水無瀬さんはそう言うと、こちらに背を向けて奥へと進んでいく。

  「さぁどうぞ!『お嬢様部』強化合宿へ!」

  やけに弾んだ声でそう言う彼女の笑顔は何故かひどく恐ろしいものに見えたのだった。

  ☆☆☆

  いやに豪奢な造りの広間に案内された俺は、ソファーに座りながら縮こまっていた。

  男だと看破されたうえでこんな場所に通されて、ビビらない奴がいるものか。

  「紅茶はいかがですか?クッキーもありますよ」

  水無瀬さんは甲斐甲斐しくこちらにティーカップと皿を差し出す。

  俺は少しだけ中身を確認すると、会釈だけしてそれを受け取る。

  (薬でも入ってんじゃねえだろうな……)

  そんな不安を抱きながらチラリと横目で竹中を見ると、どこかぼんやりとした表情で突っ立つばかりでボディガードのつもりが全くないようだ。

  「竹中……」

  小声でそう呼びかけると、奴はそのまま気もなく返事する。

  「なんだ」

  あー駄目だ全然役に立ちそうにない。

  (いや……いいけどよ)

  俺がそんな事を考えていると、水無瀬さんがしびれを切らしたかのようにこちらへとやって来た。

  そして俺の真横に仁王立ちすると、無言でこちらの顔をグイっと覗き込んできた。

  俺が恐怖に身を竦ませていると、水無瀬さんは大仰な口調でこう言った。

  「いま、部長……お嬢様をお呼びして参りますね」

  水無瀬さんはにっこり笑う。

  「え、えぇ……」

  膝の上に置いたこぶしをきゅっと握る。

  さっきからずっとこの調子で、どうにも調子が狂う。

  このお屋敷と言った様相の別荘はまるで人の気配がなくて、本当に『魔女』がいるのかすら疑わしい。

  正直言って早く用事を済ませて帰りたい気持ちがいっぱいだ。

  (薬は……入ってないよな?)

  俺はティーカップを手に取ってその中身をじーっと眺めると、底に沈殿していた茶色の粉末がふわりと揺れた気がした。

  「お待たせ致しましたわ」

  広間の奥にある重厚な扉が軋みをあげて開かれると、そんな声が聞こえてきた。

  (おっ来たか……?)

  その声に釣られて顔を上げると、またも俺は固まった。

  目の前には美しい少女が立っていた。

  緩くウェーブのかかった金髪と、小柄で華奢な身体つき。

  その全身に纏うドレスは全てが上品かつ上等なもののようで、彼女が動くたびにひらひらと翻って見えるスカートの裾が眩しく煌めいていた。

  ただ頭頂部から数十センチは真っ黒の地毛?が伸びているのは少し間抜けにも思えてしまう。

  (プリン頭のヤンキー……?)

  俺がそう思ったのは無理もない。

  彼女は広間の奥に置かれた豪奢な椅子に腰掛けると、足を組み替えてからこちらに向かって笑みを作った。

  「ようこそいらっしゃったわね『お嬢様部』へ。わたくし、部長の花山院華音と申しますわ」

  上品でいて、それでいて少しとげがあるような喋り方だ。

  (こういうのが気位が高いっていうんだろうな)

  そんな事を思っていると、水無瀬さんがおずおずと彼女に語りかけた。

  「あの……部長、こちらの方が強化合宿の募集を見てやってきた男性の方で……」

  すると花山院華音はチラリと俺と竹中の方へと視線を投げかけると、静かに答えた。

  「当部では男女の別、学校内外の関係者の選り好みは致しません。来るものは拒まず、去る者は追わずが方針ですわ」

  お嬢様はそうキッパリ言うと、再び俺に視線を戻して微笑んだ。

  「……小鳥さん。少し外してくださらないかしら」

  花山院華音は水無瀬さんにそう告げると、彼女は何か言いたげではあったが一礼して下がり、部屋の外の扉から外へと出て行った。

  花山院華音は彼女が出て行くのを確認すると、脱力したかのように小さく息をついて椅子にもたれかかった。

  「ふぅ……つかれたぁ~」

  それだけ呟くと、彼女は優雅な動作で俺の方へと向き直った。

  「すみません……『部活』中はああしていないとうるさいんですよ」

  先ほどの高圧的な態度が嘘のように、華音と名乗った少女はしおらしくそう謝った。

  「いえ、お気になさらず……」

  俺がそう言うと華音はホッとした表情で背もたれに身を預けたのが分かった。

  (なんだか思ったより話が出来そうで良かったな……メイドの方と大違いだ)

  俺がそんな事を考えていると、彼女は言葉を続ける。

  「まったくもう……『お嬢様部』なんて名乗らせておいて、やっているのはこんな変な事ばかりで。夏休み中くらいゴロゴロさして欲しいのにい」

  そう言って口をとがらせる華音さんは、ようやく年相応の少女に見えた。

  俺はホッとする、と同時に彼女のその不満そうな横顔が少しだけ可愛いなと思ってしまった。

  「『変な事』とは?」

  俺がそう尋ねると、華音さんはピンと人差し指を立てた。

  「それです!今日見学に来ていただいた『お嬢様部』強化合宿……。表向きは令嬢としての立ち振る舞いを鍛えるという事になっているのですが……」

  そう言うと、彼女は深いため息をついた。

  「お恥ずかしい話、わたくしが所属する『お嬢様部』は部活動があまり活発ではなくて……。この合宿もわたくしを含めて三人しかいないんですよ」

  そう言うと、華音さんは少し自嘲気味に笑った。

  (まぁ……こんな立派な別荘持ってるとこみると、金持ちなんだろうな)

  俺はそんな事思いながら話の続きを聞く。

  「だからこれは夏休みに少しでも遊べるように私が計画したのですが……水無瀬さんは部員の募集も兼ねて勝手にホームページに合宿の参加者を募っていたみたいで……まさか本当に見学で訪れる人がいるなんて思いもよりませんでした」

  華音さんはそう言うと、小さく息をついて俺と竹中を交互に眺める。

  「ええと……それでその、おふたりはどういったご用件で……?見学で来たとか、先ほど仰っていたような気がしますが」

  華音さんがおずおずとそう尋ねてきて、俺は少しだけ戸惑う。

  (あ~……どう答えたもんかなぁ)

  竹中は依然ぼんやりとした表情を崩さないままなので、仕方なく俺が答えてやる。

  「実はそちらの部員の『名張ぺとら』さんに御用が……」

  俺がそう言った瞬間。

  華音さんは深くふかーくため息をついて、頭を抱えた。

  「また名張さんですか……」

  (あちゃー……やっぱりなんかある感じか?)

  俺は嘆息する華音さんに続けて口を開いた。

  「ええと、合宿には来ていらしてるんですよね?どちらに……?」

  俺がそう聞くと、華音さんはため息をついた。

  「あー……名張さんでしたらそこの……ソファーです」

  華音さんはそう言って広間の入り口付近にある二人掛けのソファを指差した。

  「えっ!?」

  俺は思わず素っ頓狂な声を出してしまう。

  俺が疑いの眼でそちらを見ると、そこには確かにクッションを抱えた少女が気持ちよさそうに寝息を立てていた。

  (え~……寝てるぅ……)

  俺の困惑を察したのか、華音さんはふるふると頭を振って話を続ける。

  「まあ……色々ありまして、合宿に参加はしておりますが満足に起きている事がほとんど無く……。食べて寝て深夜に何やら儀式めいた事をして、また食べて寝ての繰り返しなんです」

  そう言って華音さんは苦虫を嚙み潰したような顔をする。

  「そう……ですか……」

  (でも流石にこれはどうなんだろうか)

  俺がどうしたものかと頭を捻っていると、華音さんがそれを察したように口を開いた。

  「あの……その事について少しお聞きしたい事があるのですが……よろしいでしょうか?」

  「え?あ、はい」

  俺が首肯すると、彼女はおずおずとこんな話を切り出した。

  「あの……名張さんがなにかおふたりにご迷惑をおかけしたのでしょうか……?学内ならまだしも学外の方にまで……、本当にお恥ずかしい限りです」

  華音さんはそう言うと恥ずかしそうに目を伏せた。

  「い、いえ!そんな事ないですよ。……わたしも自業自得と言うか……」

  俺はそう言ってぐっと拳を握ると、華音さんが目をぱちくりとさせた。

  「そ、そう……ですか?」

  華音さんは信じられないといった様子で俺と竹中の顔を交互に見比べると、ややあってから落ち着いた表情になって笑った。

  「では、良かったです。もうすぐアフタヌーンティーの時間になりますし、ぜひ召し上がって行ってください。名張さんも起きてくると思いますので」

  そう言うと華音さんは指を鳴らした。

  ☆☆☆

  「おいしいですね……」

  俺達はそうつぶやいてティーカップを傾ける。

  (流石に高い茶葉使ってだろうな~)

  そんな感想を抱きながら窓の外を眺めると、額縁に納めたかのように美しい景色が広がっていた。

  木々が生い茂る緑のすぐ向こうにはエメラルドブルーの美しい海が煌めいていて、どこまでも遠くに続いているような錯覚を覚える。

  こんな別荘に居られるのは人生最初で最後だろうな、などと考えていると、ふと視線を感じた。

  「あの……」

  俺が声の方に視線を向けると、華音さんが何かを言いたげに口をぱくぱくさせていた。

  俺は急いでティーカップを置くと頭を下げた。

  「あ!すみません、紅茶がおいしくてつい……」

  「いえいえ!そうじゃなくて……その、あの」

  華音さんはそう言うと、恥ずかしそうにうつむいてしまった。

  俺は訳が分からず首をかしげると、彼女はちらりと俺を見てから口を開いた。

  「あ、あのですね……?差し支えなければ聞きたいのですが……」

  華音さんの言葉に俺が首肯すると、彼女は意を決したかのようにこちらを見据えた。

  そして少し顔を赤らめて言葉を続ける。

  「おふたりは……お付き合いされていらっしゃるのでしょうか……?」

  俺の脳裏に衝撃が走る。

  (な、なんて事聞いてくるんだ!?)

  思わず脳内でツッコミをいれてしまうが、華音さんは真剣な様子で俺を見ている。

  どう答えたものか俺が返答に困っていると、横にいる竹中が口を開いた。

  「ご想像にお任せします」

  その、あまりに無遠慮な物言いに思わず肩の力が抜ける。

  (お前ってやつは……)

  俺が苦虫を嚙み潰したような顔をしている横で、華音さんはぽかんとした表情のまましばらく硬直していたが、やがて困ったような笑いを浮かべた。

  「い、いえその……す、すみません。ちょっとした確認のつもりだったのですが……そんなつもりはなかったのですけど、その……少し不躾だったかも知れませんね」

  そう言うと華音さんはクスクスと笑った。

  (本当に何を言い出すかと思えば……)

  俺は気を取り直して紅茶を啜ったが、やっぱり心の動揺は治らず味どころではなかった。

  そうしていると、テーブルの下の方からぬっと何かが伸びてきてケーキスタンドのスコーンをひとつふたつと取っていった。

  「なっ!?」

  俺が驚いてそちらを見ると、そこにはいつの間にか現れた茶髪の少女がスコーンを頰張りながら俺を見上げていた。

  眠たそうな眼でもぐもぐとスコーンを頬張りながら、少女は俺と目が合うとニッコリと笑った。

  「おやぁ……、おやおやぁ?これはこれはぁ……。ふぅん……」

  まじまじと嘗め回すように全身を視姦された上、帽子を取られて角を触られたりスカートに入られてしっぽを引っ張られたりとセクハラ三昧。

  俺は驚きのあまり二の句が継げない。

  華音さんも心底驚いた様子で口を開いた。

  「名張さん!ちょっといくらなんでも失礼ですよ!?」

  そう言われてもまるで悪びれる様子もなく、少女は口いっぱいにスコーンを頬張ったままモグモグと咀嚼してゴクリと飲み込む。

  そうしてようやく彼女は口を開いた。

  「ん~……わたしぃはぁ、そぉんな事気にしなぁいですけどねぇ……。薬の経過観察ですぅ~」

  そう言うと彼女はクスクスと笑った。

  (な、なんなんだ一体……)

  俺はそんな彼女の不気味さに固まってしまう。

  竹中も面倒くさそうに溜息をつくと、静かに紅茶を啜っている。

  しかし、その瞳はどこか不安に揺れているようにも見えた。

  「では、改めてましてぇ……私名張ぺとらと申ぃますぅ。名張でもぺとらでも好きな方で呼んでくださいねぇ」

  彼女はそう言うと、くるんとローブをひらめかせて恭しくお辞儀をした。

  (なんてマイペースな……)

  俺がそう思っていると、華音さんが仕切りなおすようにコホンと小さく咳払いをした。

  「名張さん。こちらの御二方、わざわざ貴女に会いにいらしてくださったのですよ?」

  「はぁい、ありがとうごさいまぁす」

  名張は眠たそうにそう言うと、テーブルに顎を乗せた。

  「うふふ……でぇもぉ、そちらのほうから来てくださってぇ手間が省けましたぁ。少しお話がしたかったのでぇ……」

  名張はそう言うと、俺達の顔を見比べる。

  なにが嬉しいのかうふうふ、と笑っているが何を考えているのかまったく分からない。

  俺がそんなことを考えていると、名張は俺を真っすぐに見据えた。

  「薬の効果がぁ……しっかり出てるみたいですねぇ?」

  (え……?)

  俺はどきりとしてしまう。

  こいつは一体何を言っているのか?

  なんの薬を飲ませたのか?

  そして何をどこまで知っているのか?

  そんな疑問が俺の脳内を駆け巡る中、竹中が口を開いた。

  「名張さん。今日は願いがある」

  「はぁい、どうぃう事ですかぁ?」

  ぺとらはそう言うと俺の紅茶を啜りながら聞く。

  竹中は見た事もないような重たい表情のまま口を開いた。

  「……俺が中山に飲ませた『惚れ薬』の解毒剤を作って欲しい」

  「な、!?」

  俺は驚いて声を上げてしまう。

  それでも微動だにしない竹中の態度に、俺はかける言葉が見つからなくて黙り込んでしまった。

  ☆☆☆

  夕暮れの日差しが車窓の外から差し込んでくる。

  それがなんだかとっても眩しく痛く見えて、俺は手をかざして光を遮る。

  隣の大男は相変わらず無口なままで、車内の空気はどうにも重く、会話のひとつもない。

  俺のもう片方の手の中には青い小瓶がひとつ握られていて、それは今までにないぐらい重たく感じられた。

  惚れ薬の解毒剤。

  俺が酔って勝手に飲んでしまった薬は、惚れ薬なんてものじゃなくて俺の身体を淫魔に作り替えてしまう薬だった。

  まあそれ自体を飲んだのは俺のせいであったし、この身体になったのは自業自得だと言えよう。

  『角といい尻尾といい……随分サキュバス化が進行しているよぉに見えますけどぉ……、人間の体液をこれ以上摂取しなければ飲んでから1週間をピークにじょじょに戻ってぇゆくと思いますよぉ』

  『そ、そうか…』

  俺はそう気の抜けた返事をすると、ぐっと拳を握った。

  ぺとらによるとこの『淫魔化の薬』は実験段階のもので、あともう少しでも『人間の体液』を取り込めば体内の淫魔成分が増大していき最終的には肉体そのものを書き換えられ、元には戻れなくなってしまっただろうと言う。

  俺達はぺとらにはともかく、華音さんと水無瀬さんに深く感謝して別荘を去った。

  俺は竹中の血や汗、精液を摂取したせいで、知らず知らずのうちに人間ではなくなってしまう瀬戸際まで来てしまっていたのだ。

  (竹中を介抱していたあの時……我慢しきれなかったら俺は……)

  俺がそう考えて身を震わせていると同時に、こいつへのこのもやもやした感情の所在を理解すると同時に、それがこいつが俺に飲ませたのだと言う『惚れ薬』が原因だと気が付いて、自分のあまりの愚かしさに肩を落とす。

  (あ~……俺ってこんなに馬鹿だったのか……)

  なんだかこいつの顔を思い浮かべるとどきどきしたり、こいつの事しか考えられなくなったり、いつも気が付けばこいつの姿を探していたりしていた事にも理由を付ける事が出来てしまった。

  いや、惚れ薬を飲んだこと自体は竹中に言われてはいたのだけど、まさか竹中が俺に飲ませるとは思っていなかったのだ。

  その『惚れ薬』は飲んで最初に見た人を好きになってしまうというふざけた代物で、てっきり俺は自分がそれを誤って飲んで、その時に竹中の顔でも見でもしてしまったからこいつの事が好きになってしまったのではないかと思っていた。

  でも、実際はそうではなくて、俺はただ身体がとんでもない淫魔になりかける危ない薬を飲んでいたところに、このシスコンマッチョに心の支えとなってもらって好きになりかけていたのではなく、惚れ薬を飲ませられた『最初に見た人』と言うただ一点だけで、竹中努というこいつの事が好きになってしまっていただけだったのだ。

  つまり俺は身体が淫魔化していくなか、結果としてその惚れ薬が生み出す心の衝動に動かされるようにまんまとこいつを好きにさせられていた。

  それを認識すると同時に俺がたまらなく悲しくなってしまった事は言うまでもないだろう。

  (せっかくここに来るまでにいろんな人に助けてもらったってのに……)

  俺がうなだれていると竹中が口を開く。

  「中山。名張さんが言っていた通り、食後にそれを飲め」

  「……ん、分かった」

  俺は小さく頷く。

  (でも、これで元通りになるんだ。なにも心配ない)

  自分に言い聞かせるように心でそう呟き、小瓶を鞄の中へ押し込むと俺達は民宿の玄関をくぐった。

  ☆☆☆

  『中山さんが服用した『惚れ薬』の効果なんですがぁ、お酒のせいか『淫魔ジュース』のせいかぁ、なんだか効きがいまいちだったみたいでぇ……解毒剤を飲む際は念のため飲酒は控えてくださいぃ~。あとぉ、消費期限は今日までなのであしからずぅ。次はもうないので計画的にぃ~』

  『惚れ薬』に関しては以上。

  俺が淫魔になろうとならなかろうと知ったこっちゃない、どちらにせよ経過観察の価値はあると言う自称『良い魔女』はそう言った。

  その言葉に俺はなんだか生気の抜けたような表情になってしまう。

  こんな日に飲まないでいられるかと言わんばかりの勢いで、俺は小瓶を見つめながら唸っていた。

  割烹民宿と言ったところなのだろうか、ささやかな一室。

  新鮮な魚貝を売りにした夕食は大変素晴らしいもので、釣り船から上がったばかりの新鮮な魚貝類を刺身や煮物、天ぷら……と様々な料理で味わう事が出来た。

  (これで酒が飲めないのはつらかったなあ……)

  そんな事を考えながら、俺は湯船に浸かりながら目の前に置かれている小瓶を恨めしく見つめる。

  民宿は部屋数も多くなく、こじんまりとした様相だった。

  今俺が入っている大浴場も旅館やホテルというよりは、田舎にあるお婆ちゃんの家といった趣でひとつしかない。

  日本庭園のような風流な庭があり、部屋には小さいけれど源泉かけ流しの内湯まで付いている。

  俺は、自分のこの感情とあともう少しでさよならを告げなけばならない。

  この解毒剤を飲んだら、夢から醒めたようにこの想いも消え去って、身体も徐々に戻って行って。

  (それにしても)

  改めて自分の身体を見てしまう。

  白くて細くて、柔らかくて、とても男とは思えない肌。

  ムダ毛なんて生えていないし、きゅっとくびれた腰回りは程よく肉がついていて、おなかのラインは美しい曲線を描いている。

  お尻はデカすぎとは思うけど、こう言っちゃあなんだけど桃みたいに綺麗でエッチだ。

  (俺は今からこれを捨てるのか……)

  正直言ってかなり名残惜しい。

  このままもっと可愛くなってもいいんじゃないかとか思ってしまうあたり、自分が『淫魔ジュース』か、『惚れ薬』の影響を心身ともに受けてしまっているのがよく分かる。

  「はあ~……」

  でもこの巨大なペニスばかりはいただけない。

  つるっつるの下腹部をぺちぺちと叩いていると、なんとなく虚しさが押し寄せてくるのを感じる。

  そうすると鈴口がくぱっと開いて、中からとろとろと透明な液体が溢れてきた。

  いっそのこと、このままでもいいのではないか。

  そんなバカな考えが頭に浮かんでくる。

  惚れ薬は解毒しても、淫魔になってこの性を超越して手に入れた素晴らしい肉体を捨てるのはもったいないのではないか。

  (いやいや!だめだめ!)

  俺は自分の思考を振り払って、勢いよく湯船から立ち上がった。

  だってそれを遂げるには誰かの体液を摂取する必要があって、それはつまり……。

  「はぁ~……はぁ~」

  心臓の鼓動がどんどん早くなる。

  (俺は、俺は竹中が……)

  いや、違う。このどきどきした気持ちは薬のせいで、おまけに身体が淫魔寄りになっているだけで、この感情は勘違いだ。

  俺は頭の中に浮かび上がった考えを振り払うように、お風呂から上がって脱衣所に置いてあったバスタオルで身体を拭いた。

  そうして脱衣かごに入れていた服を見てハッとさせられてしまう。

  『幸さん、見て行きます?』

  陽菜ちゃんの一言が頭の中で鳴り響く。

  俺はぎゅっと目を瞑る。

  きっと陽菜ちゃんは、竹中が俺に惚れ薬を飲ませた顛末を聞いたのだろう。

  (そんなこと言ったらあの馬鹿、一生軽蔑されたっておかしくないってのに……)

  俺は心中で竹中に悪態をつくと、意を決してその服に袖を通した。

  ☆☆☆

  俺が風呂から上がると、竹中が旅館によくある白い浴衣を着て広縁に座っていた。

  鍵はひとつしか渡されていなかったので、入れ替わりで風呂に入るしかなかった。

  「飲んだのか?」

  竹中はいつものように抑揚のない声でそう聞いてきた。

  「……まだ」

  俺は少し上ずった声でそう答えると、小瓶をそっと見せる。

  ちゃぽりと水音がして、中身が小瓶の中で小さく揺れる。

  竹中はそれを見て少し目を細めると、窓の外をつまらなそうに眺め、俺のほうを見ようともしなかった。

  俺は黙って広縁に入ると、後ろから抱き着いてやった。

  竹中の汗の匂いや、少し湿り気を帯びた髪の毛。

  それが俺にはすごく心地良くて、俺は目を閉じてその首元に顔をうずめて一言。

  「おにいちゃん、最後のわがまま、いい?」

  妹で居られるのも、最後。わたしは竹中の耳元でそう囁いた。

  竹中はわたしの言葉に一瞬身体を強ばらせたが、小さくため息をつきながら呟いた。

  「最後だからな」

  「……ありがと、ちょっと外まで付き合ってくれる?」

  竹中が頷くのを確認すると、手を差し出し、その手を取って立ち上がる。

  民宿を出て、互いに無言のコンクリートの上を歩き、夜の帳が下りる港町を歩いて行く。

  無言の空間を埋めるように波の音だけが響いた。

  坂を上がり続けると、抉り取られたかのように海が見える場所にたどり着く。

  月明かりが照らすくねる細道の下には、真っ白な石で出来た砂浜の海岸が広がっていた。

  竹中はわたしに手を引かれるままに無言で歩いている。

  まだ熱を孕んだ夏の夜風が、少し火照った身体に心地いい。

  徐々に徐々に砂浜までたどり着くと、わたしは竹中の手を引いて波打ち際へと歩いて行く。

  ザッザッと砂を踏みしめる音を聞きながら、わたしは歩みを止めた。

  「おい、幸……」

  竹中が困惑したような声を上げる。

  わたしは浴衣の帯をしゅるりと解くと、そのまま肩から浴衣を滑り落とす。

  中から現れたセパレートの水着の色彩が、月明かりに照らされて浮かび上がる。

  ラップ風のロングスカートが靡くと同時に、夜風に弄ばれて浴衣がひらひらと俺の身体から離れていく。

  「……おにいちゃんが見たら喜ぶかもって……陽菜ちゃんが言ってたから」

  「中山……」

  竹中は心底驚いたような声を上げると、

  わたしのほうを見ようともせずに呆然と立ち尽くしていた。

  「言ってくれないんだね、おにいちゃん」

  「……何をだ」

  俺は小さくため息をついてから、言葉を続けた。

  「『好きだ』とかさ……『愛してる』とか……そうゆうの」

  「……」

  竹中は何も答えず、ただ月明かりの下、水着姿になった俺を眺めていた。

  スリットから伸びる白い足が、砂浜に足跡を残していく。

  「あはは、何も言ってくれない」

  わたしはおどけた風に笑って見せてから、サンダルを脱いで波がギリギリ来るか来ないかの瀬戸際をゆっくりと歩く。

  足裏の感触はサラサラとしていて、なんだか少しくすぐったい。

  一歩ごとに身体が前に倒れそうになる感覚を堪えながら、波打ち際を海側へとゆっくり進んでいく。

  足元が少しずつ海水で濡れていって、そのまま身体を冷やしていくようだった。

  「『惚れ薬』なんて使ったんだからさ、それらしい事、言ってくれてもいいのに」

  わたしはそう言って波打ち際を歩き続ける。

  「……ねぇ、おにいちゃん」

  「もうすぐで、私は海に溶けちゃうよ……?その前に、何か言ってよ」

  砂浜の真ん中あたりまで到達すると、くるりと反転して竹中に向き直る。

  月明かりに照らされた海原は昼間と違ってどこか神秘的で、とても幻想的だった。

  「幸」

  しばらく黙っていた竹中が口を開く。まさかそっちの方で呼ばれるとは思わなかった。

  その眼にはまるで今にもこぼれおちそうな涙で潤んでいて、その形のいい唇が少し震えているように見えた。

  「なにさ」

  俺は小さな子供にするように、少しぶっきらぼうにそう聞き返す。

  竹中はそんな俺の問いかけには答えず、その口を静かに開く。

  「俺は……卑怯な男だ。陽菜からの想いに怯え、お前への気持ちに向き合う事を恐れ、薬を使って惚れさせようとした……。最低な男だ」

  「うん」

  わたしは小さく頷く。

  竹中はもう一度意を決したように息を吸ってから話を続けた。

  「しかも……それだと言うのに想いを告げる事も出来ず、こうやって最後の最後までずるをしてしまった」

  「うん」

  「俺は……お前にこの気持ちを伝える資格なんかない……」

  竹中はそう言ってうつむくと、拳を固く握りしめた。

  そんな姿を見て俺は小さく微笑むと、足元の海水を少し蹴ってぱしゃりと音を鳴らした。

  「ほんとに卑怯な男だよね~おにいちゃん。陽菜ちゃんからの想いは有耶無耶にしておいて、薬で惚れさせたわたしの事も自分のものにしようとしないんだもん」

  「だから」

  わたしは大きく息を吸い込むと、一拍おいてから大きな声で叫ぶ。

  「わたしから最後に言うよ!おにいちゃん!」

  竹中は驚いたように顔を上げる。

  手には小瓶を握り締めていて、足は砂浜を踏みしめて立っている。

  わたしは大きく息を吸ってから、一言呟いた。

  「おにいちゃん」

  「『愛して』ます……」

  言ってしまった。

  そんな事を考えながらも不思議と気持ちは晴れやかで、どこか肩の荷が下りたような気がした。

  小瓶の蓋を捻って開けると、一気に中の液体を飲み干す。

  身体が痺れるような感覚が駆け巡り、わたしの身体に風が通り抜けていく。

  「あ……」

  変化は一瞬だった。

  俺は目の前の男を見据えて、静かに呟いた。

  「竹中」

  その一言で目の前の男はびくんと身体を震わせる。

  「言って」

  もう一度、懇願するように小さく呟いた。

  「……幸」

  男は迷うようにしばらく俯いてから、意を決したようにこちらを見据えて呟く。

  「好きだ……愛している……」

  その言葉を聞いた瞬間、身体の中で熱いものが迸った。

  そしてそれと同時に視界が大きく揺れ動き、涙腺が緩んでいくような感覚に襲われる。

  ぼろぼろと零れる大粒の涙を腕で拭いながら、えずくような嗚咽を堪えずに大声を上げた。

  「なんでぇ……。なんでなんだよぉ……。なんで、なんとも思わなくなるって、そう、思ってたのに……」

  俺は大泣きしながらその場に崩れ落ちると、子供のように大声でわんわんと泣き続ける。

  竹中はそんな俺を見ると、こちらに近づいて優しく抱きしめた。

  「なんで……なんでこんなに切ないんだよぉ……!」

  「ごめん、幸……」

  「謝るなよぉ!ずるいぞこんな薬使って!自分で直させて!」

  俺は竹中の胸の中で泣いて、泣き喚いて怒っていた。

  「本当に、ごめん」

  「ずるい……ほんとに卑怯なやつだよぉ……!」

  竹中は何も言わずただ俺の言葉を受け止め続けていた。

  俺はもう何もかも分からなくなって、ただただ感情を爆発させる事しか出来なかった。

  ☆☆☆

  あれからどれほどの時間が経っただろうか。

  「……落ち着いたか?」

  竹中はそう言って俺の身体を抱きしめる力を少し緩めると、俺の顔をじっと見つめてきた。

  もう涙でぐしゃぐしゃの顔はいくら月夜に照らされていたとしても見れたものでは無かっただろうが、愛おし気に頬を触れる竹中の手は暖かくて気持ちよかった。

  「落ち着いた……けど、全然足りない……」

  俺は竹中の背中に腕を回すと、ぎゅーっと力を込めて抱きしめる。

  ずっとこのままで居たい。そんな気持ちでいっぱいだった。

  身体は芯から火が灯ったように熱いが、心はなぜか切なくて凍えてしまいそうだった。

  「もっと……こうしてて……」

  俺は消え入りそうな声でそう呟くと、竹中の身体を搔き抱いた。

  波打ち際の静かな空間に、静かな潮騒の音だけが聞こえている。

  すると波で捲れたロングスカートのスリットから真っ白な前垂れがひらりと舞い、前袋に覆われた俺のモノがぷるんと顔を出した。

  「あ……」

  俺は自分の股間を見下ろしながら、思わず声を漏らしてしまう。

  結局ボトムの水着は入らなかったのでふんどしで代用し、スカートで隠すようにしたのだった。

  そして今も、俺のモノはぷるぷると震えて上を向こうとしている。

  「幸……それは」

  竹中が目を丸くしながらそう呟くと、俺は涙目で顔を真っ赤にして答えた。

  「しょうがないじゃん……!お前に抱かれてたら……勝手に大きくなってきたんだよぉ……」

  俺の言葉を聞いて、竹中はゴクリと喉を鳴らした。

  「……いいよ」

  俺は覚悟を決めたように小さくそう呟いた。

  「いいって?」

  「シたいって言ってるの……」

  俺は恥ずかしさを紛らわすように、竹中の背中に回した腕に力を込める。

  「いいのか……?」

  「ダメなわけないだろ……俺は『おにいちゃん』のものなんだから♪」

  俺がそう言うと、竹中は嬉しそうに微笑んだ。

  「……それで、する場所はどうするんだ?」

  竹中がそう聞いてきたので、俺は少し考えてから答える。

  「……ここがいい」

  俺の答えに竹中は少し驚いた顔をしたが、すぐに微笑んでこう言った。

  「分かった。じゃあ、触ってもいいか?」

  俺は頷くと、竹中の手を取って前袋の中に優しく触れさせる。

  「ん……」

  思わず声が漏れてしまうが、竹中は気にせず俺のモノを布越しに優しく握り込み、そしてゆっくりと上下に動かし始めた。

  しゅっ……しゅっ……と衣擦れの音が鳴っていて、同時にぞくぞくとした快感が俺の全身に駆け巡る。

  「あはっ♡……きもちい♡」

  思わずそんな事を呟いてしまうほど心地良い感覚が襲ってきて、無意識のうちに腰がカクカクと動いてしまっていた。

  竹中はそんな俺の痴態を楽しそうに眺めながら、手を動かし続ける。

  「はぁ……おにいちゃん……」

  俺は切なげに声を漏らすと、顔を上げて甘えるように呟いた。

  「ちゅーしよ……?」

  俺がそう言って目を瞑ると、すぐに柔らかい感触が唇を覆う。

  にゅるりと入ってきた竹中の舌が俺の口内を蹂躙する。それに負けじと俺の長い舌が絡みついて、お互いに貪るような口付けを交わす。

  「ちゅぷっ……んむっ……」

  ぴちゃぴちゃと唾液を交換するような音を立てて、舌同士を絡め合わせる。

  口を離すと、銀色に輝く糸が俺と竹中の間を紡いだ。

  「えへへ……♡」

  俺は竹中に抱き着くと、その胸に頭を預けた。心臓の音がとくとくと響いているのを感じて心地よい気分になる。

  そんな俺の頭を優しく撫でると、竹中は前袋に指を入れて紐を解いた。

  「あ……」

  ぶるんと勢いよく出てきた俺のモノは半勃起と言った様相で、我慢汁でテカテカと光っていた。

  その先端からはトロリと粘度の高い液体が滴り落ちていて、砂浜に染みを作っている。

  「大きいな」

  「へへ……」

  竹中が感心したように呟くと、俺は照れ臭そうに笑った。

  ぴくぴくと自然と上下に揺れる俺のモノは、まるで別の生き物のようだった。

  「触るぞ」

  「うん……」

  竹中がそう言うと、俺は小さく答える。

  そっと優しく触れるか触れないかの距離で先端に触れられて、もどかしい感覚に思わず腰が浮いた。

  そのまま親指と人差し指で作った輪っかでゆっくりと扱かれ始める。

  その度に先端からはカウパー腺液がどんどん溢れていき、指との滑りを良くしていった。

  「ん……んっ……はぁ……♡」

  包皮と亀頭の隙間に指が入ってカリの裏側をくりくりと擦られると、びくんと身体が跳ね上がる。

  さらに先端から溢れる粘液の量が増していき、ぐちゅぐちゅという淫靡な音が辺りに響くようになっていった。

  鈴口がパクパクと開いたり閉じたりして、その度に透明な液体が溢れ出ているのだ。

  「おにいちゃん……おちんちんのあなにね、ゆび、いれて?」

  俺が蕩けた瞳で見つめると、竹中はごくりと生唾を飲み込んだ。

  「わかった……」

  そう答えると、太く長い人差し指がぴとりと尿道口に触れる。くちくちと労わるように入り口を優しく愛撫されると、ぞくりとした快感が背筋を走る。

  そしてそのままつぷりと挿入された。

  「あぁ……入ってきたぁ♡」

  俺は歓喜の声を上げる。ずっと求めていた刺激に、頭がおかしくなりそうだった。

  尿道が燃え上がる様に熱くなる。

  「うぐぅっ……♡」

  俺は苦しげな声を上げたが、すぐに甘い声へと変わっていく。

  ずぷずぷと第一関節まで入っていくと同時に、俺のモノは更に怒張していった。

  血液が集まる度に包皮の締め付けがキツくなり、先端から先走りを垂らす量も増える。

  竹中が指を抜こうとしても、それが出来ない程に俺のモノは膨らんでいた。

  「んあぁ♡おにいちゃん♡もっといれてぇ♡ひろげてぇっ♡♡」

  俺は竹中の耳元で囁くと、甘えるように身体を押し付ける。

  「わかった……」

  竹中はそう言うと、ゆっくりと人差し指を挿入していった。

  最初は抵抗があったが、根元まで入る頃にはすっかり柔らかくなっていた。

  そのまま第二関節辺りまで入れられると、今度はぐるんと円を描くように動かされる。

  その度に内壁が擦られ、腰が蕩けそうな快感に襲われた。

  「あっ♡んふぅっ♡」

  俺は竹中の胸に顔を埋めたまま声を上げる。

  (やばい……これ気持ち良すぎるぅ……♡)

  まるで頭の中を直接かき混ぜられているかのような快楽に、俺の意識は徐々に朦朧としていった。

  次第に指の根本まで動かすと、今度は抜き差しが始まる。

  ずぷずぷという音を立てながら出し入れされると、今までとは比べ物にならない程の快感が俺を襲った。

  「おにいちゃん♡おにいちゃあん♡」

  俺は竹中の首に腕を回すと、キスをしながら何度も名前を呼ぶ。

  それに応えるように、竹中は俺の口内を舌で蹂躙していく。

  (おにいちゃんのおちんちんも……もうこんなになってるしぃ……♡)

  下着越しにでも分かるほど熱く脈打つそれを太ももに感じて、俺は思わず腰を動かしてしまった。

  睾丸が揺れ、竿が上下に擦れる。

  その度にぐちゅりと卑猥な水音が鳴り、俺の興奮はさらに高まっていった。

  「幸のおしり、ぷにぷにで柔らかい……」

  竹中はそう言って俺の大きな尻たぶを掴むと、そのまま左右に割り開いて揉みしだいてきた。

  指が食い込む度に身体の芯から甘い痺れが広がり、背筋がゾクゾクとする感覚が襲ってくる。

  俺はもっと気持ち良くなりたい一心で必死に腰を振り続けた。

  尿道から得られる快感も段々と強くなり、俺の口からは甲高い嬌声が上がる。

  竹中はそんな俺を見て満足そうな笑みを浮かべると、さらに激しく手を動かし始めた。

  「ふわぁっ♡だめっ……イっちゃうよぉ♡」

  俺は目を潤ませて懇願するが、竹中の動きはさらに激しさを増すばかりだ。

  完全な勃起に近づくにつれて強まる包皮の緊縛が、まるで俺の亀頭を虐めているかのように感じてしまう。

  既に限界は近づいていて、俺は必死に耐えていた。

  (これ以上されたら……俺おかしくなるぅ……!)

  しかし竹中の責めはさらに加速し、ついにその時が来た。

  「ああぁっ!!イくっ!イッちゃうぅ!!」

  俺は叫ぶと同時に全身を痙攣させ、腰を突き出して達してしまった。

  透明な潮が吹き出し、俺達の身体を汚していく。

  その瞬間に俺の尿道口を塞いでいた太い指がズボリと引き抜かれ、今まで感じたことのないような快感に全身が支配された。

  「んああぁああぁっ!!」

  俺は絶叫しながら身体を大きく仰け反らせ、ビクビクと身体を震わせる。

  頭が真っ白になり、意識が飛びそうになった。

  それは竹中も同じようで、息を荒くして肩を上下させている。

  やがて落ち着いた頃を見計らって、俺達はお互いの顔を見合わせると自然と笑みが零れた。

  「……えへへ」

  俺がそう言って微笑むと、竹中は照れ臭そうに笑う。

  俺の小さな手が竹中のパンツを掴むと、そのまま脱がせ始めた。

  竹中のモノは腹まで反り返っていて、先端からは透明な汁が溢れ出していた。

  「うわぁ……すごいね♪」

  俺は感嘆の声を漏らすと、ごくりと唾を飲み込む。

  亀頭がパンパンに膨らんでいて、見ているだけで口の中に唾が溢れてきた。

  一日じゅう熟成された濃厚なオスの香りが俺の鼻を通り抜け、それだけで脳髄まで蕩けそうになる。

  「ねぇ……舐めていい?」

  俺が上目遣いで尋ねると、竹中はこくりと頷いて答えた。

  俺はそれを確認すると、ゆっくりと顔を近付けていく。

  亀頭に触れる寸前で一度止まり、竹中の顔を見上げた。

  「……こっちにキスした方が初めてだったって、おにいちゃん知ってた?」

  俺が悪戯っぽく笑うと、竹中は少し驚いた顔をしたのも束の間、俺の唇がちゅっと亀頭の先に軽く触れる。

  その瞬間、竹中の腰がビクンと跳ねた。

  「幸っ!?」

  竹中は焦ったように声を上げるが、俺は無視して舌を出しぺろりと舐める。

  苦しょっぱいような味が口の中に広がり、脳髄まで痺れるような気がした。

  (これが……おにいちゃんの味♡)

  俺は嬉しくなって何度も何度も舌全体で味わうように舐め上げる。すると次第に先端から透明の汁が溢れ出してきたので、それを嚥下するだけでゾクゾクとした快感が走った。

  「はぁ……幸……」

  竹中は切なげに声を上げると、俺の頭を優しく撫でてくる。俺はそれに応えるように舌をぺろりと出すと、今度はカリ首をぐるりと一周するように舐め上げた。

  その度にピクンと震えるのが可愛くて仕方がない。

  (俺今……おにいちゃんを気持ち良くしてるんだぁ♡)

  そう思うと興奮が高まっていき、夢中になって奉仕を続ける。やがて竹中の口から苦しそうな吐息が漏れ始めた頃、俺は少し逡巡する。

  「ね、おにいちゃん。お願いがあるんだけど」

  俺がそう言うと、竹中は不安げな表情で尋ねてきた。

  「なんだ……?」

  俺はニッコリと微笑むと、明るい調子で言った。

  「ちょっとやってみたいことがあるんだけどぉ、聞いてくれる?」

  「あぁ……何でも言ってくれ」

  俺がそう言うと、竹中は安心したように微笑んだ。俺はそのまま上目遣いで見上げると、甘えるような声音で告げる。

  「おにいちゃん、俺のキンタマ見ててぇ♡」

  そう言うと俺は両手を使って自分の陰嚢を持ち上げた。ぷるりと震える大きな二つの球体が、竹中の視界に入る。

  (あはっ……凄い見られてる♡)

  それだけで俺の興奮は一気に高まっていった。俺はゆっくり尻を向け脚を開き、竹中の顔に玉の裏側を近付けていく。

  「ほらぁ……ここが俺の可愛いメスキンタマだよ♪」

  俺はそう言うと、左右の玉を手で持ち上げてくぱぁと開いた。そこは既に蒸れて熱く湿っており、ピンク色の睾丸が震えている。

  竹中はそっと俺の大事な所に触れると、優しく揉み始めた。

  「ひゃうっ!」

  突然の刺激に思わず声を上げてしまうが、俺は構わず続けるように促す。

  「もっと強く揉んでぇ♡強く擦られるの好きぃ♡」

  俺がそう言うと、竹中は恐る恐るといった様子で力を強めていった。そしてそのまま手をスライドさせ、会陰部に触れる。その瞬間俺の背筋にゾクッとするような感覚が走った。

  「あっ♡そこぉ♡」

  俺は甘えたような声を上げると、さらに強請るようにお尻を振ってしまう。

  するとそれに応えるように竹中の手が激しく動き始め、俺はあまりの快感に身体を震わせた。

  (ああぁっ……凄いぃ♡♡)

  あまりの快楽に腰が抜け、俺はその場に崩れ落ちそうになる。しかし竹中はそれを支え、尻肉の谷間に狙いを定めるように熱い棒を押し当ててきた。

  するとしっぽの付け根に亀頭が触れ、ビクンと身体が跳ね上がる。

  (ひゃぅっ♡そ、そこはぁ……)

  俺は戸惑いの声を上げるが、竹中は構わずにしっぽを掴むと上下に扱き始めた。

  「あぁっ!らめぇええっ♡♡♡」

  敏感な部分を擦られる快感に、頭が真っ白になるような錯覚を覚える。あまりの衝撃に目の前がチカチカとした。

  「ふわぁっ♡しっぽ気持ちいいっ♡♡」

  俺は甘えた声で鳴きながら腰を振ってしまうと、尻肉に挟まれた剛直がアナルの花弁を擦る。

  (ああぁ……おしりの穴、きゅんきゅんしてりゅ♡)

  アナルの入り口がきゅっと締まり、俺の意識とは別に勝手におねだりを始めてしまう。

  俺の腸液と竹中の先走りでぐちょぐちょになったそこはまるで女性器のように濡れそぼってきていた。

  それが潤滑剤となり、ケツ肉は乳房のように柔軟に形を変えて竹中のモノを受け入れる。

  そうして動くたびにペニスの先端が尻尾の付け根にぶつかり、俺の脳内に電流が走ったような刺激を与えてきた。

  (しゅごいっ♡おにいちゃんのおちんちんとしっぽが擦れて、きもちよくなってるぅ♡♡♡)

  俺はあまりの強い快感に呂律が回らなくなりながら、ひたすら腰を振り続けた。もう自分で何を言っているのかすら分からないくらいに頭の中はぐちゃぐちゃだ。

  「んふっ♡あぁっ♡♡」

  俺は口の端から涎を垂らしながらひたすら快楽を求める。

  しかし竹中はそんな俺に容赦無く責めを続け、まるで本物の獣のように荒々しく犯してきた。その激しさに俺の意識は朦朧としていき、もう何も考えられなくなっていく。

  (おにいちゃん……おれをめちゃくちゃにしてぇ♡)

  俺がそう懇願すると、竹中はさらに腰の動きを速めた。ぱんっぱんっという肌同士がぶつかり合う音が響き渡り、その度に俺の身体はビクンと痙攣する。

  尻を乱暴に掴まれ、ぐにゃぐにゃと形を変えるほどに強く揉まれた。

  その度に俺はあられもない声を上げてしまい、そのたびに竹中のモノは硬さを増していく。

  桃尻の谷間にすっぽり咥えられた巨根が、俺の肛門を愛撫するかのように擦り上げ、敏感な尾の付け根をゴリゴリと刺激してくる。

  そのたびに俺はしっぽをふるふると震わせながら、口から甘い吐息を漏らした。

  「ああぁ……だめぇっ♡おれもうげんかいだからぁ♡♡」

  限界を迎えた俺がそう叫んだ瞬間、竹中の大きな手が俺の尻を強く鷲掴みにしてくる。

  それと同時に竹中は一際強く腰を打ち付けると、俺のお尻の谷間でビクビクとペニスが震え、熱い白濁液をぶちまけた。

  「んああぁああっ!!イクぅぅうっ♡♡♡」

  背中にまで浴びせられる大量の精子の熱さに、俺は絶叫を上げる。同時に絶頂を迎えた俺のものからは勢い良く透明な潮が噴き出し、辺り一面に飛び散っていった。

  「おにいちゃん……熱いの出てるぅ♡」

  俺は腰を高く上げ、尻を高く上げながら余韻に浸っていた。

  しっぽはビクビクと震え、アナルは物欲しそうにヒクついている。

  「おにいちゃん……しゅきぃ♡」

  俺は振り返りながら、甘えるような口調でそう言った。すると突然唇が塞がれ、口腔内に舌が侵入してくる。

  歯茎の裏を舐め回され舌を絡め取られると、頭がぼーっとしてきた。

  (あぁ……しあわせぇ♡)

  俺は竹中の首に腕を回すと、自ら積極的に口付けをしていく。

  唾液を交換し合う音が静かな波間に響き渡り、俺達は夢中でお互いの唇を貪り合った。

  おにいちゃんの唾液を飲み込む度に身体が痺れ、奥が熱くなる。

  (あぁ……もっと欲しいよぉ♡)

  俺は無意識のうちに腰を振り、自分のしっぽをアナルヘ擦り付けていく。まるで擬似的な交尾のような体勢で尻を上下に動かすと、アナルの入り口からどろどろした腸液が溢れ、背中がゾクゾクとした快感が走った。

  「んふっ♡きもちいい♡」

  唇をぱっと離し、俺がうっとりするような声でそう言うと、竹中の喉仏が大きく上下したのが分かった。

  それと同時に竹中の男性の象徴がみるみる硬度を増していき、俺のふたつの膨らみに衝突する。

  「あっ♡おにいちゃんのまた大っきくなってる♡」

  俺が嬉しそうな声を上げると、竹中は熱っぽい視線で見つめてきた。その瞳には情欲の色がありありと浮かんでおり、俺は思わず身震いしてしまう。

  (おにいちゃん……すごい顔♡)

  俺はごくりと唾を飲み込むと、自分のタマを持ち上げて谷間を強調してみた。そして挑発するように舌なめずりをしながら言う。

  「ねっ……今度はこっちで挟んであげよっかぁ?♡」

  すると竹中はゴクリと喉を鳴らして俺を見つめてきた。その瞳には獣のような欲望が見え隠れしており、今にも襲い掛かってきそうだ。

  (おにいちゃん……発情してる♡)

  俺はゾクゾクとした感覚を覚えると、地面に仰向けになり、腹を見せて降伏する犬のように足を上げた。

  そしてしっぽを左右に振って媚びるようなポーズを取ると、甘い声で囁く。

  「ねっ♡俺のメスキンタマにおにいちゃんの極太ちんぽぶち込んでぇ♡」

  俺がそう懇願すると、竹中は覆いかぶさってくるようにして俺の上にペニスを擦り付けてきた。

  パンパンに膨らんだ睾丸を押し潰し、裏筋をぐりぐりと刺激してくる。そのあまりの快感に俺は嬌声を上げた。

  「ひゃうんっ♡」

  そしてそのままピストン運動を始めると、俺は両手でふぐりを支えるようにして迎え入れた。

  「あんっ♡しゅごいっ♡♡」

  (おにいちゃんのがっ、俺のキンタマと擦れてるぅ♡♡)

  敏感な部分を乱暴に擦られる快感は凄まじく、俺はもう何も考えられなくなっていた。

  この身体になってから未だ一度も発せられていない精子が、逃げ場を失いながらタマの中で暴れ回っている。

  俺はビクビクと身体を震わせながら、ひたすら快楽に身を任せていた。

  すると突然竹中の両手が乳房に伸びてきて、水着越しに乳首を強く摘まれる。

  「きゃうぅっ♡ちくびらめぇっ♡♡♡」

  敏感な部分を責められ、思わず大きな喘ぎ声を上げてしまう。

  潰された乳首からはミルクがぴゅっと吹き出し、水着を白く染め上げた。

  「ああぁっ♡おっぱい出ちゃうぅ♡♡♡」

  俺が叫ぶと、竹中は興奮したように更に強く小さな乳房を鷲掴みにしてくる。そのまま力任せに揉みしだかれ、俺は痛みに顔を顰めた。

  しかしそれと同時に胸の奥から熱いものが込み上げてきて、母乳の勢いが増す。

  (おれ……おにいちゃんに乱暴されて感じちゃってるんだ♡♡♡)

  その事実を認識した瞬間、言いようのない幸福感に包まれた。

  (そっか……俺、おにいちゃんになら何をされてもいいんだぁ♡♡♡)

  俺は心の底からそう思うと同時に、アナルがきゅぅっと収縮する。それと同時に腸液がどぷっと溢れ出し、砂浜を濡らしていった。

  「ふわぁっ♡ケツマンコも疼いてるぅ♡」

  俺が甘えたような声で訴えると、竹中はごくりと喉を鳴らす。

  精巣と乳房をめちゃくちゃに弄られながら、俺は物欲しそうな表情で竹中を見つめた。

  「キンタマもおっぱいもいっぱい潰していいからぁ……お願い、おにいちゃん♡」

  俺は両手で包み込んだ睾丸に更に力を籠めると、きゅっと締め付けた。

  タマの芯からゴリュっと鈍い音がして、激痛が走る。しかしそれと同時にアナルの奥がキュンキュンと疼き始め、俺は痛みと快楽の入り混じった感覚に身悶えた。

  「んおぉおおっ!♡♡キンタマ壊れりゅうぅううっ♡♡♡」

  あまりの苦しさに悲鳴を上げるが、それでも身体は正直に反応してしまい、ぶるぶると快楽に打ち震えてしまう。

  竹中も精巣を使った愛撫という未知の感覚に興奮しているのか、一心不乱に腰を動かし続けていた。

  「おほっ♡しゅごっ♡♡キンタマ虐められて俺、ケツマンコ勝手にイクっ♡♡♡」

  その瞬間、竹中の剛直が大きく膨れ上がり、睾丸から頭を出した先端から熱いものが噴出される。

  それはドクンドクンと脈打ちながら、俺のペニスを駆け抜けてお腹に、乳房に、顔にまで勢い良くぶちまけられた。

  (あぁっ♡おにいちゃんのザーメンいっぱい出てるっ♡♡♡♡)

  俺は蕩けた表情を浮かべながら、全身に浴びせられる熱を感じていた。その熱さで全身が溶けてしまいそうで、とても気持ちが良い。

  俺の睾丸の中でぴくぴくと甘い射精の快感の余韻に浸る竹中の男根が愛おしくてしょうがない。

  潰されかけた睾丸から母性が押し寄せてきて、俺の心を溶かしていく。

  「はぁ……んふ♡」

  俺は無意識に笑みを浮かべ、身体を大きく仰け反らせた。

  (ああぁ……まだ出てる♡)

  長い射精が終わると、竹中はようやく満足したのかペニスを引き抜くと俺を抱きかかえてくれた。そのまま砂浜に優しく寝かされると、しっぽを振って媚びるような笑顔で言う。

  「えへへ……いっぱい出たね♡」

  俺がそう言うと、竹中も照れくさそうに頭を掻いた。そんな仕草が可愛らしくて、胸がきゅんとなる。

  俺も照れくさくなってしまって顔や胸に着いた竹中の精液を摘まんで口に含もうとすると、竹中に手首を掴まれた。

  「こ、こら!舐めるんじゃない」

  「えーいいじゃん♡俺おにいちゃんのせーえき好きだよ♡」

  俺が甘えるようにそう言うと、竹中はため息をつく。

  「そうじゃなくてお前、ほんとに淫魔になってしまっても知らんぞ」

  あと少しでも人間の体液を摂取してしまえばもう、俺の身体は完全な淫魔となってしまう。

  しかし、もはや俺はそんなものに興味はなかった。

  「うん……それでもいい♡」

  俺は素直にそう言うと、竹中にギュッと抱きつく。

  (おにいちゃんが側にいてくれるならなんでもいいや♡)

  「それとも……男に戻った俺でも、そばに置いてくれる?」

  俺が不安げな表情を浮かべてそう聞くと、竹中は驚いたような表情を浮かべた。しかしすぐに真剣な表情に戻ると、俺の目をじっと見つめてくる。

  「当たり前だろう」

  竹中がそう言ってくれると、俺は嬉しくなってしっぽを振った。

  嬉しくてうれしくて、涙なんて出尽したのに涙ぐみそうになる。

  「おにいちゃん……♡」

  俺が甘えた声で呼びかけると、竹中は優しく頭を撫でてくれた。それがとても心地よくて、胸の奥がぽかぽかと温かくなる。

  この感覚が幸せというものなのだろうか?初めて感じる感情に戸惑いつつも、俺は自然と微笑みを浮かべていた。

  でも、俺はこの身体の疼きを鎮めることができない。

  俺は竹中の肩を掴んで唇を重ねると、全体重を掛けて竹中を砂浜に押し倒した。

  無理やり唾液を注入するかのように舌を刺し入れて深いキスをすると、そのまま腰を浮かせてアナルを亀頭に擦り付ける。

  ぐぱぐぱと開閉する蕾は唇のように鈴口を包み込み、腸液が太腿を伝って落ちていった。

  待ち望んでいた瞬間が訪れる予感に、俺は甘く媚びるような吐息を漏らす。

  「んっ♡おにいちゃんのちんぽ俺のアナルとキスしてるぅ♡」

  俺が腰を浮かせたまま卑猥な言葉を口にすると、竹中は照れくさそうに目を背けた。そんな仕草も可愛らしくて胸がきゅんとなる。

  (もう我慢できない♡早く欲しいよぉ♡♡)

  「おにいちゃんのせーえきで孕ませてぇ♡♡♡」

  俺はそう叫ぶと、一気に腰を落として男根を受け入れていった。

  亀頭がアナルを押し広げていく感覚だけで軽くイッてしまいそうになるが何とか耐える。

  そして根元までくわえ込んだ瞬間、腸の奥まで一気に貫かれる衝撃が襲ってきた。

  「んおぉおおっ!!♡♡♡♡♡」

  あまりの質量に内臓まで押し上げられるような圧迫感に襲われる。しかしそれと同時に身体の中を駆け巡る快楽によって頭の中が真っ白になった。

  (しゅごいっ♡♡ケツマンコの中におにいちゃんのちんぽが入ってくりゅぅ♡♡♡)

  俺は舌を突き出しながら背中を仰け反らせ、身体をがくがくと痙攣させる。

  その振動に合わせてしっぽが激しく揺れ動き、足元の砂を舞い上げた。

  「んぐぅううっっ♡♡♡しゅごいのぉっ♡♡♡」

  あまりの質量に内臓が押し潰されそうな感覚と、アナルをみっちりと埋めつくすペニスの感触に身体中を駆け巡る快楽で脳味噌まで蕩けてしまいそうだ。

  (だめぇっ♡♡ケツマンコすごすぎるっ♡♡♡♡)

  俺はすっかりメスのような喘ぎ声を上げながら、腰をくねらせて快感に溺れていった。

  (すごいっ♡おにいちゃんのちんぽ俺の中でビクビク震えてる♡♡♡♡)

  腸壁越しに伝わる脈動の感覚がたまらなく愛おしい。俺のアナルが、まるでそのペニスを歓迎するようにきゅっと締め付けて抱擁している。

  すると竹中はうめき声を上げ、身体を起こすと激しく腰を振り始める。

  (おほっ♡しゅごいっ♡♡俺いまおにいちゃんに犯されてるっ♡♡♡)

  「んほぉおおっ!♡♡激しすぎりゅうぅううっ♡♡♡」

  俺は涙を流しながら絶叫を上げていた。脳味噌まで貫かれたような強烈な刺激に、頭がおかしくなりそうになる。

  「あひぃいっ♡しゅごっ♡しゅごいよぉっ♡♡♡」

  俺は舌を突き出しながら悶え狂う。

  その間も容赦なくアナルを突き上げられ、竹中の男根が前立腺を擦る度に全身が痙攣し、悲鳴のような嬌声を上げた。

  (しゅきぃ♡♡おにいちゃんのちんぽだいすきぃっ♡♡♡)

  もはや理性など欠片も残っておらず、ただ本能のままに快楽を求める獣になる。

  「んおっ♡おほっ♡しゅごいのぉおおっ♡♡♡」

  俺は涙を流しながら身体を仰け反らせ、背中を大きくしならせた。その反動で薄い胸が揺れ動き、その先端からは母乳が吹き出す。

  我慢が出来なくなったのか、水着を捲っておずおずと乳首に吸い付いてくる竹中。その姿が可愛くて、俺はしっぽを竹中の太腿に巻き付けて抱きしめた。

  「ふわぁ♡おにいちゃん……赤ちゃんみたい♡」

  俺がそう言うと、彼は照れくさそうに顔を背ける。それでもすぐにしゃぶりつくあたり、夢中なのだろう。

  (あぁ……かわいい♡)

  その姿に母性本能をくすぐられ、前立腺がきゅんと締め付けられるような感じがした。

  俺は優しく彼の頭を抱きしめ、頭をぽんぽんと叩く。

  「んふ……♡いっぱいおっぱい飲んでいいよ♡」

  俺がそう言うと、彼は嬉しそうな表情を浮かべてさらに強く乳首に吸い付いてきた。

  (あんっ♡おにいちゃんかわいいぃ♡♡♡♡)

  俺の胸に顔を埋めて一心不乱に母乳を飲む竹中の姿に愛おしさが込み上げてくる。

  それと同時に、アナルの奥がキュンと疼いた。

  細い腰の括れを大きな両手で掴まれて激しく打ち付けられる。その度にぷるんっと揺れる乳首は母乳で濡れて厭らしく光っていた。

  「ふわぁ♡しゅごいぃいいっ!♡♡♡おにいちゃんのちんぽ太くなってるぅうっ♡♡♡♡」

  腸壁越しに伝わる竹中のペニスが一際大きさを増したかと思うと、どくんどくんと脈打ち始めたのだ。射精の前兆を感じて俺のアナルもきゅんきゅんと収縮を繰り返す。

  (あぁ……くるんだ♡)

  そう思った瞬間、精管が拡張する感覚を腸壁越しに感じた。

  睾丸で作られたマグマがぐつぐつと煮え返り、前立腺を擦られる度に鈴口から大量のカウパーが溢れ出る。

  もう限界が近いのか竹中も乳首から顔を離して激しくピストン運動をし始めた。

  「んぉおっ♡イグっ♡イッちゃうっ♡♡♡」

  俺はそう叫ぶと、アナルがぎゅーっと締まった。

  俺の前立腺を抉る様に亀頭がキスをして、射精を感じ取った瞬間、俺の男根から勢いよく精液が飛び散る。それと同時に竹中も大きく身体を震わせて絶頂に達したようだ。

  アナルの奥に熱い奔流が流れ込んでくる感覚に俺は身悶える。

  (出てるぅ♡♡♡おにいちゃんのせーえきいっぱい出てりゅ♡♡♡♡)

  俺は竹中の腰に脚を回して最後の一滴まで搾り取るように腸壁でペニスを包み込んだ。

  「んおっ♡おほっ♡しゅごっ♡♡せーえきしゅごっ♡♡♡」

  「幸……好きだ」

  竹中が感慨深げに呟くと、俺のお尻の中でピクンと跳ねる。

  その感覚ですら気持ちよくて、俺は背筋を仰け反らせた。

  (おにいちゃんのせーしおいしいよぉ♡♡♡♡)

  俺はうっとりとした表情でお腹に手を当てて微笑む。

  それからしばらくの間、俺たちは繋がったまま抱き合っていた。

  (あ……また大きくなってる♡)

  射精が終わってもまだ俺のアナルの中で跳ね続けている竹中の男根がむくむくと大きさを増していくのを感じる。

  まるで子種を植え付けようとしているかのようだ。その感覚に俺の腸壁が嬉しそうに痙攣し、男根に媚びるように吸い付いていく。

  「んっ♡おにいちゃんのせーえきもっとちょうだい♡」

  俺が甘えた声でおねだりをすると、竹中は優しい笑みを浮かべて俺の頭を撫でてくれた。

  「あぁ、好きなだけくれてやる」

  その言葉と共に再び激しいピストン運動が始まり、アナルの奥を突き上げられる感覚で頭が真っ白になる。

  腸壁越しに伝わる熱に浮かされながら、俺は無意識のうちに腰を振っていた。

  「んおっ♡おほっ♡しゅごいのぉおおっ♡♡♡」

  雄膣の甘美な感覚に酔い痴れながら、俺は淫らな笑みを浮かべ続ける。

  (きもちいい……すきぃ♡おにいちゃん、だいすきぃ♡)

  腸内に放出された精液を貪り喰らい、めきめきとした勢いで肉体が変貌していく。

  会陰の裏側、前立腺の辺りがもぞもぞと蠢くのを感じながら俺は快楽の海に溺れていった。

  ☆☆☆

  「んふ……あは♡えへへ、おにいちゃんのせーしいっぱい♡」

  俺が笑いながら竹中の男根を引き抜くと、ぽっかりと開いたアナルから精液が逆流してあふれ出てきそうになるのをアナルの口をぎゅっと閉じて堪える。

  その感覚すら心地よくてしっぽを揺らめかせていると、背後から声をかけられた。

  「幸、大丈夫か?」

  振り返るとそこには心配そうにこちらを見つめる竹中の姿があった。彼は俺を抱き寄せると頭を優しく撫でてくれる。

  (あ……♡)

  その瞬間、幸福感で胸が一杯になった。

  「角、大きくなったな」

  そう言って俺の角に触れると、愛おしそうに見つめてくれる。

  優しい手つきに全身が歓喜で打ち震え、しっぽが激しく左右に揺れた。

  「えへへ……ありがと」

  俺はそう言って竹中の胸に顔を埋めると、甘えるように頭を擦り付けた。

  「俺、頭撫でられるの好き……」

  俺がそう呟くと、彼は微笑みながら俺の髪を撫でてくれる。

  (気持ちいい……おにいちゃんに触られるだけで幸せだなぁ)

  「ね、もっと撫でて?」

  俺が上目遣いでおねだりすると、竹中は嬉しそうな表情を浮かべて俺の頭を優しく撫でてくれる。

  (あぁ……しあわせ♡)

  こうして頭を撫でられているだけで胸の奥がぽかぽかと温かくなってきて、とても心地が良い。

  俺は目を細めながら、ずっとこの時間が続くことを願っていた。

  しっぽを精一杯伸ばして竹中の指に絡めて、そっと握る。するとそれに応えるように、彼も俺のしっぽを握り返してくれた。

  俺はそれが嬉しくてしっぽをぶんぶんと揺らすと、竹中の胸に顔を埋める。

  (えへへ……だいすき♡)

  そう思いながら、俺はゆっくりと目を閉じた。