第九章 影の軍勢の拡大 ―迫る復讐の刻(とき)― 3
その夜。
月が東の空から上り始めた頃、エレンはリンドと共に不帰の森の奥にあるエルフたちの居住地に向かって歩いていた。
この森にはエルフの居住地が二つあり、今二人が向かっているのは、およそ三十名の女エルフが暮らす場所である。
近くには男のエルフが住む場所もあるのだが、二つの居住地の交流は基本的にはない。
大きな戦や、数十年に一度、交流を持つことはあるのだが、長命のため基本的に子孫を残すことにこだわりのないエルフにとって、異性の存在は特別視するものでもなかった。
森を歩きながら、エレンは手にした小瓶を見つめたままリンドに尋ねる。
「リンドお姉様。この薬、本当に効くのでしょうか」
エレンの持つ小瓶は黒紫色の液体で満たされており、月明かりに照らされて異様な輝きを放っている。
「ご主人様の血液を使って作った特別な薬だ。効果があるにきまっているさ。居住地全体にその効果がいきわたるよう、十分に考えて投げるんだぞ」
「はい、リンドお姉様」
それからしばらく歩いていくと、居住地の入り口に到達した。
そこには見張り役のエルフがおり、
「エレン様。おかえりなさ」
帰ってきたエレンに声をかけた瞬間、背後にいたリンドを見て、手にした弓を構えた。
「エレン様! その人間は」
見張りのエルフが言い終えるよりも先に、エレンは持っていた小瓶を彼女に向かって投げつけた。
「敵襲よ! みんな出てきて!」
小瓶が投げられた瞬間、見張りのエルフは居住地の仲間に応援を要請する。
「すばらしい判断ですわ。だけど、その判断が命取りですわね」
「え」
地面に落下して砕けた瓶から、立ち上った黒紫色の煙が見張り役のエルフの全身を包み込む。
しばらくすると黒紫の煙が消え、先ほどのエルフの姿が見えたのだが、
「あ……あぁぁ……っ」
見張り役のエルフは、その場に力なくへたり込んでいた。
「だ……いや……もう……無理ぃぃ……」
見張りのエルフは着ていた服をぬぎ捨て、
「ああああっ! ぎもじいい、ぎもじいいのぉぉっ!」
自分の股間と胸に手をやり、そのまま激しく指を擦りつけ始めた。
下着を脱ぐ時間さえも惜しいのか、ブラの上から激しく乳首をこねくり回し、すでにシミができたショーツの上から己の陰裂をこすり上げる。
「ひいいっ! とまらない、とまらないのぉぉっ! オマンコ、こする手が、とまらないよぉぉぉっ!」
激しく喘ぎながら目の前で自慰行為を行う姿に、
「ふふ、さすがはご主人様の魔力ですわ。効果抜群でしたわね」
エレンは残りの瓶を見つめながらそう呟いていると、
「今の音はなんだ?」
「敵襲か?」
騒ぎを聞きつけたのだろう、多くの女エルフたちがこちらに向かって走ってきた。
「はは。ご主人様の計画通りだな」
リンドが不敵な笑みを浮かべひとり呟く。
(いいか、エルフたちは仲間意識が強い。一人をやれば必ず他の仲間が駆けつける。そこを叩け)
非常にシンプルだが、確実な作戦。
「やれ、エレン」
「はい。リンドお姉様」
リンドの命令に従い、エレンは手持ちの瓶を全て集落めがけて投げ入れる。
地面に落ち、次々に音を立てて割れる瓶。
居住地中に黒紫色の煙が立ち上る。
「なんだ? これは!」
「げほぉ! この煙、魔力を含んで……」
やがて黒紫色の煙は居住地全体を包み込み、戦闘態勢になっていた女エルフたちを次々に飲み込んでいく。
そして、しばらくの沈黙の後、
「あひいっ! ひいいっ! あっ! あっ! きもちいぃぃぃっっ!」
「んじゅるるるる……んはあぁぁっ……乳首、おいしいぃ……」
「もっとぉぉっ! もっと私のオマンコ、なめてぇぇえっ!」
居住地全体から卑猥な声が上がり始めた。
煙がすべて消えると、女エルフたちが裸、あるいは半裸の状態で、互いの乳首をこすりつけ合ったり、性器に顔をうずめ陰裂に舌を這わせ合ったりしている光景が広がっていた。
「だめぇぇっ! そこ、舐めたらだめなのぉぉっ!」
「あぁぁ、私のおまんこぉ、いっぱいなめてぇっ! 私をもっと、気持ちよくしてほしいのぉ!」
あらゆるところで繰り広げられる女たちの嬌宴にリンドが満足そうに微笑んでいると、
「……どうだリンド、首尾は」
その脳裏に、突如、カイルの声が響いた。
「はい。大成功です。ご主人様」
「ひいっ! あひいいいっ! にぎいいいいっ!」
「ふあああっ! だめぇえっ! んぁあああっ! いんぐうううっ!」
「ひああああっ! ふああひいいいぉ!」
「……あぁ、お前の目を通し、女エルフたちの光景がよく見える」
「ふふ。ご主人様の方はどうです? うまくいきました?」
「……男のエルフの集落はドワーフと協力して全滅させた。入るのは難しいが、内側に入りさえすればたやすいもんだな。そう言えば
親父も良く言っていた。絶対に大丈夫だと安心しきっている奴らを倒すのは、簡単だってな……さてもうすぐそっちに『やつら』が到着する。戦闘を終えて興奮状態だから思った以上に頑張ってくれるだろう。リンド、お前は計画の最終段階に入れ。俺はこのまま予定通りエルフの神殿に向かう」
「わかりましたご主人様」
「……あの、リンドお姉様」
カイルとの会話を終えたリンドに、背後からエレンが申し訳なさそうに話しかけてきた。
「なんだ、エレン」
「あのぉ、そのぉ」
エレンは股間のあたりを抑えながら、もじもじと太ももをこすり合わせている。
その顔は上気し、目もすっかり潤んでいた。
ちらちらと、仲間たちの嬌宴の方を気にしながらじっと上目遣いでリンドを見つめる。
「わ、私もぉ……そのぉ……お姉様に可愛がってほしいです……」
どうやら周囲の状況にあてられたらしく、そんなお願いをしてきた。
リンドはそんなエレンに対してにやっと微笑み、
「お前を可愛がるのは私ではない。ほら……来たぞ」
そう言って居住地の入り口の方を示す。
エレンがそちらに顔を向けると、
「げへへへ」
「ぐふふふ」
下卑た声をあげながら、ドワーフたちがこちらに歩いて来るのが見えた。
背中や腰に備えた武具は血にまみれ、防具のいたるところにも、おそらく殺した男エルフたちの返り血であろう、無数の血痕が見て取れた。
「戦闘を終えて高ぶったドワーフたちだ。お前は仲間たちと一緒に、これからあいつらに徹底的に犯されるんだ。どうだ? 犯されて嬉しいだろう?」
「はい……嬉しいですわ、リンドお姉様。私の淫乱おまんこで、ドワーフのみなさんのおちんぽにたっぷりご奉仕いたしますわ」
意思のない瞳をドワーフに向けたままエレンはそう告げた。