白い空間には、白いポケモンとギラちゃん、そして大きな影がある。ギラちゃんは影が用意した新たな緑茶を飲み、その味を堪能している。
「お、茶柱が立っているぞ」
ギラちゃんが湯呑みの中を見て、嬉しそうに言う。影はギラちゃんの言葉に笑顔を見せ、卓袱台の茶菓子に手を伸ばす。
「これが玉露か…ニンゲンというものは、嗜好品の開発にも余念がないのじゃな」
白いポケモンがどこからか持ち込んだ玉露を味わいながら、茶菓子を頬張る。白いポケモンとギラちゃんも茶菓子に手を伸ばし、それぞれ口に含む。
「これは…なんだ?もちもちした皮に甘い餡が入っているが…」
「それは生八ツ橋、ジョウト地方の銘菓だよ」
ギラちゃんと影は初めて食べる生八ツ橋の食感に頬を緩め、緑茶と併せて楽しんでいる。口内に広がる茶葉と餡の風味を楽しみつつ、ギラちゃんは恍惚とした表情を浮かべる。
その姿からはニコルを弄び、賭け事の玩具にしていたとは思えない。白いポケモンも同様に生八ツ橋と玉露の風味を堪能しつつ、タブレットの画面に視線を落とす。
唯一、影のみが苦い表情でギラちゃんと白いポケモンを見る。
「時に…あの娘に対して辛辣過ぎるのではないか?あのままでは心が壊れるぞ」
影の指摘に対して、ギラちゃんは「ん〜」と呟き、考え込む。玉露と生八ツ橋を喉の奥に流し込んだギラちゃんは視線を影に向け、口を開く。
「でもねぇ…あの娘は自らの過失で50人以上のニンゲンを死なせた過去があるからねぇ…魂の禊という観点から考えても…まだ救うべきではないと思いますよ」
「だが…過失の原因そのものはグレーテとかいう元ニンゲンが数値を弄った事が原因だろう…あの娘はそれを知らなかったはずだ」
ギラちゃんと影の会話を聞いていた白いポケモンは湯呑みから口を離し、視線を影に向ける。
「確かにグレーテが実験数値を改竄し、それを元に製薬された新薬が直接の原因です。しかし、製薬する前にデータの数値を確認を怠り、製薬会社から送られる確認書類を見落としたのは、彼女自身です」
「…間接的な殺害、というわけか」
白いポケモンの返答を聞き、影は苦い表情を浮かべる。少し前に禊を終えた魂の再生を見届けた身としては、ニコルに対する扱いを不憫に思ってしまう。しかし、白いポケモンの指摘は事実であり、50人以上の被験者の命を奪ったニコルの魂の禊は済んだとは言えない。
白いポケモンが口を開く。
「まぁ…あの子らの場合は数十億の命を救った過去があるから特例で認めましたけど…普通なら、まだまだ赦される事ではないですよ」
白いポケモンの返事を聞き、影は低い声で唸る。白いポケモンの言う、特例の恩恵を目の当たりにした影としては、ニコルについて大きな声で発言しにくく感じる。
「…まぁ、彼女も間接的に星の停止を起こしています。グレーテ達からディアルガの秘宝と時の歯車を回収できた暁には…何かしらのご褒美をあげても良いですね」
白いポケモンはニヤリと笑い、視線を影に向ける。
影は溜息をこぼし、オレンの実で作った焼き菓子を口に運ぶ。
*
草の大陸、トレジャータウン。
付近にある診療所は全焼し、焼け跡には建物を支えていた柱などが残っている程度である。地面には崩壊した診療所の燃え跡が散らばっており、その合間をルカリオのオズワルドとマフォクシーのヘレンが歩く。
燃え跡の周囲では、カピンタウン駐屯地から派遣されたレシラム教騎士団の遊撃隊の姿があり、彼らは周囲の森と焼け跡から死体を回収し、診療所跡の脇にある広場に並べている。
瓦礫を撤去したオズワルドの視界に、新たな焼死体が映り込む。
暴徒に襲われ、左腕を切断されたミミロップの焼死体には包帯が巻かれた跡があり、見覚えのある傷と処置を見たオズワルドは悲しそうに目を細める。
「…酷い」
オズワルドはポツリと呟き、瓦礫を撤去しミミロップの焼死体を回収する。顔の半分が焼け残ったミミロップであるが、その死体をオズワルドは広場に丁寧に置く。
オズワルドの視界の端に別のミミロップ、ミストの姿が映る。
ミストの表情は曇っており、眼前のミミロップの死体を見下ろしている。ミストは目尻から涙をこぼし、死体に白い布をかける。
広場にザングースのコールマンが現れる。
彼と騎士団の団員達は複数の死体を運んでおり、広場に安置している。その中の一つ、ザングースの死体を見下ろしたコールマンは、泣き出しそうな表情で目を拭い、白い布をかける。
オズワルドの視線に気がついたミストが、口を開く。
「…トレジャータウンの近くに住む農家の娘よ。私と同種で同性だから…よくお喋りをしていたわ」
顔が半分焼けた焼死体の側に屈み、ミストは呟く。焼け残った顔の頬を撫で、ミストは唇を噛み締める。
その横にはコールマンの姿があり、右脚を切り落とされ、身体のあちこちに刺し傷のあるザングースの死体の側に屈む。コールマンの手がザングースの顔を撫で、恐怖で見開いたザングースの目を閉じる。
「…俺の飲み仲間だ。オフの時は酒を飲んで…馬鹿騒ぎしていたよ」
知人や友人を失い、彼の顔は疲れ切っている。彼らにどのような言葉をかけるべきか、オズワルドは戸惑い、下を見てしまう。
焼け跡からヘレンが姿を現す。
彼女の腕の中には焼け跡から見つかった子供の死体が抱かれている。ヘレンは泣きながらシーツに包まれた死体を運び、優しく広場の安置所に置く。
ヘレンは黙祷を捧げ、口を開く。
「…処置室と病室のベッドでは足りなかったのね…診察室から玄関にかけて、まだ死体があるわ」
オズワルドの脳裏に炎上する直前の診療所の光景が再現される。数多くの負傷者が廊下や玄関まで広がり、ニコルが1人で処置していた事を。そのニコル自身の姿はなく、広場には回収された焼死体が続々と並べられる。
焼死体のほとんどがゼクロム教徒を現す黒い装飾品を身につけており、装飾品を身につけていない死体も身元確認が終わっている。
(ニコルはゼクロム教徒ではない…)
現状から考えると、ニコルは診療所から脱出し、逃げ延びた可能性がある。しかし、逃げ延びたのなら、プクリンのギルドやトレジャータウンで合流できる筈だ。
暴動が収束し数日が経過している。
いまだに姿を見せないニコルの身を案じ、オズワルドは顔を顰める。
オズワルドの視界の端に牡のコジョンド、モローの姿が映る。異端審問官リラの処刑から救われたオズワルドはモロー達レシラム教騎士団とコールマン、ミストに感謝し、共に事後活動に当たっている。彼らも不足する人手が増える事を喜び、共に行動している。
モローは広場に安置されている死体に目を向け、疲れた顔で話す。
「付近の森と村々の遺体回収は終わりました…診療所の中の遺体を回収し身元確認ができれば…最終的な被害が見えてくるでしょうね」
ここ数日、騎士団は休みを取らずに救助活動や死体の回収、警備に当たっている。特に隊長のオーダイルが脳震盪から回復したが、まだ本調子ではないため、副隊長であるモローが指揮を取っている。
オズワルドは「おつかれさまです」とモローに言い、辺りを見渡す。
「…死者の数はどれくらいになりますか?」
オズワルドの問いにモローは目を伏せ、ゆっくりと口を開く。
「…現状、判明しているだけで…ワイワイタウンでは100人ほど…パラムタウンやカピンタウンでは50から100人ほど…トレジャータウン近郊でも50人前後の死亡を確認しています」
「…」
死者数を聞き、オズワルドは唖然とした表情をみせる。モローは広場の上空を見上げ、話を続ける。
「ちなみに村々の被害は含んでいないため…全滅した村を含めると…各街で100から200人ほど死者が増える計算になります」
「…概算では、全体の死者数は…」
「…4桁は届かないでしょうが…700から800人ほどに達するでしょうね」
「死者数だけであり、負傷者数はこの数倍に至りますね」と続けて話し、モローは疲れ切った顔で空を見ている。オズボーン殺害の影響と時の守護者の暗躍があったとはいえ、あまりの被害の大きさにオズワルドは唖然とし、辺りを見渡す。
オズワルドの鼻に焼けた肉の臭いと死臭が広がる。
思わず吐きそうになるが、オズワルドは吐き気を抑え込み、その場を離れる。広場の端にある木の下でオズワルドは嘔吐し、自身の吐瀉物の放つ据えた臭いと広場を満たす死臭が混ざり合う。
その姿を見たヘレンとコールマン、ミストは共に疲れを自覚し、安置所から離れた場所にある椅子に腰掛ける。椅子の傍には冷たい水の入った瓶が置かれており、コールマンが一気に仰ぐ。
コールマンの口内にキンキンに冷えた水の感触が広がる。
その感触にコールマンは目を細め、残りの水を自身の頭にかける。水に濡れたコールマンの顔は疲れ切っており、彼はタバコを取り出し、一服する。隣に座るヘレンとミストもコールマンからタバコを貰い、共に一服する。
広場の空に3本の煙が上がる。
それらを見上げるコールマンはため息をこぼし、ポツリと呟く。
「…無力だな」
彼の呟きを聞き、ミストも頷く。
「眼前の者しか助けることができなかった…見えないところにいる友人を救えなかった…」
ミストは小声で呟き、両手で顔を覆う。ミストの肩は微かに震えて、嗚咽の声が漏れる。横に座り、それを聞いているヘレンはミストの肩を撫で、静かな声で話す。
「たしかに無力で限られた数しか救えない…ここでも、どれだけの負傷者が焼け死んだのかしら…」
ヘレンの視線が焼け跡に向けられる。
吐き終えたオズワルドもそこに戻り、視線を焼け跡に向ける。
「…せめて、ニコルが無事でいるのを祈りましょう」
静かな声でオズワルドが言う。ヘレン達もそれに首肯し、捜索を再開すべく、腰を上げる。
森を吹き抜ける風が、広場を覆う死臭を僅かに掻き消した。
*
風の大陸、パラムタウン。
市内で無抵抗や人々を虐殺して回っていた暴徒と異端審問官、時の守護者は騎士団により鎮圧され、ある程度の落ち着きを取り戻している。街の中心部にはレシラム教医療班と慈善事業による炊き出しと避難所が設立され、焼き出された者や怪我をした者が集まっている。
死体の多くは騎士団と保安官事務所、ギルド連盟により回収され、市外に設けた安置所に保管されている。
落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、まだ混沌と絶望の状況が続く中、牡のエンペルトの商人、フルトはカイリューの大陸間高速便の乗り場にいた。
時の守護者の一員として、フルトは未来の世界では宝石や武器、火薬、食料を管理する仕事に就いていた。生まれつき数字に強く、他の守護者達よりも計算力に長けていたため、住んでいた村が時の守護者に襲われた際に、殺されずに住んだ。フルトの家族は皆殺しに遭い、彼のみが生き残った。
以降は将校が率いる時の守護者と闇のディアルガに降り、従って生きてきた。もっとも、事務方が専門のフルトが直接的に虐殺に手を貸す事はなかったが、武器や火薬の管理をしている以上、間接的に虐殺に加担している事になる。フルト自身もその事を理解しており、『直接の殺害行為には加担しない』を自身の信条としている。
過去の世界へフランツ達と共に渡り、商人ギルドの一員として活動し、ゼクロム教とのコンタクト役が彼の任務であった。商人として名を上げ、ゼクロム教の求める食料や医薬品などを提供し、ある程度の信頼を得たフルトは、レシラム教とゼクロム教の暴動に対する対価として、巫女がオズボーンの下へ嫁ぐ事を知った。その上で情報をカウフマンに流し、自身がゼクロム教とカウフマンの橋渡しをする事で、オズボーンの下へ巫女を献上する事に成功した。
彼は『オズボーン篭絡のための高貴で美しい牝を探し、仲介する』という任務を果たし、以降は他の商人と同じように商業に取り組み、生活していた。そのおりで過去の世界の料理や音楽、芸術、文化、娯楽に触れて、フルトは過去の世界の美しさを知った。未来の世界と比較し、鮮やかな物に囲まれた過去の世界は、フルトにとっては理想郷とも言える。
加えて、商人として活動してきたフルトの個人財産は膨大な物となり、今のフルトは少しの贅沢を厭わない程度の財力を有している。
そんなフルトだが、ついに正体が露見する時が来た。
パラムタウンからワイワイタウンへと高速便で移動したフルトを待っていたのは、レシラム教騎士団のルドルフとガロン、そして部下達であった。ワイワイタウンの高速便の乗り場に降り立ったフルトの前には、武装した騎士団団員達と包帯だらけのルドルフ、そして身重のガロンは少し離れた場所に立っており、彼らを見渡したフルトは自嘲を浮かべる。
「…あぁ、私の番が来たのか」
小声で呟き、フルトは両手を頭上へと高く上げる。抵抗の意思を示さず、大人しく団員達に拘束されたフルトは、ルドルフとガロンと共に、レシラム教騎士団の本部へと移送された。
同じ頃、騎士団本部には牡のデンリュウ、調査団の団長と牝のクチート、参謀のウルスラがいた。ルドルフの依頼でリラとライラの死体確認に訪れた彼らは、教会横にある騎士団本部の中へと入り、死体安置室へと案内される。
「…こちらです」
エンニュートの案内に従い、団員とウルスラが安置室に入る。室内にはお香が炊かれており、多くの氷が置かれている。ヒヤリとする室内を歩き、団長とウルスラはベッドに安置された死体を見る。
カイリューの高速便を使い、腐敗が進む前に届けられた2体の死体、首を斬られた牝のバシャーモと盲目の牡のライチュウを見た団長は溜息をこぼし、ウルスラは言葉を失う。
「…間違いありません、リラとライラです」
鼻を鳴らし、団長は話す。ウルスラも目尻から涙をこぼし、閉口したまま肩を震わせている。彼らの言葉を聞いたエンニュートは「そうですか…」と返し、悲しそうな目で彼らを見る。
団長の手がライラとリラの頬に触れる。
氷のように冷たい2人の身体は、団長の手から熱を奪っていく。団長は目を細め、眉根を顰めながら呟く。
「…もっと私を頼ってくださいよ、このアンポンタンが…」
団長の呟きは安置室の中に広がる。
だが、ライラとリラが反応する事はなく、ウルスラは声を押し殺して泣いている。横目でウルスラを見た団長はわざと顔を逸らし、エンニュートを見る。
「…2人はどこに埋葬されますか?」
団長の質問にエンニュートは戸惑いの表情を見せるが、慎重に口を開く。
「…まずはリラ様の死亡報告書を団長が作成し、大衆に正式に発表します。円卓の一員でありましたが、華族であっても貴族ではないリラ様は…大掛かりな葬式などは行わず、埋葬も通常と同じ手順になるとの事です」
エンニュートの説明を聞いた団長は「なるほど」と呟き、ライラとリラに目を向ける。その横顔を見た団長の脳裏に、かつておだやか村でライラとリラに初めて会った日を思い出す。
その光景を脳裏に描いた団長は、エンニュートに声をかける。
「…おだやか村に埋葬しても良いですか?もちろん、我々が移送と埋葬を全て行いますので…」
団長の質問にエンニュートは戸惑いの顔を見せる。だが、団長の表情とウルスラの泣く姿を見たエンニュートは、口を開き、ゆっくりと話す。
「…ルドルフ団長に確認を取ります」
エンニュートの返事を聞き、団長は「ありがとうございます」と返す。団長の手はライラとリラの顔を撫で、団長は静かに語りかける。
「…翁の傍で眠れますよ、これで…一緒に過ごせますね」
安置室に団長の声が微かに広がった。
*
「あっ、あっ…」
ニコルの耳に、彼女自身の喘ぎ声が届く。
汗を垂らし、嬌声を上げながらニコルは腰を不器用に振る。
ニコルはヴィレムの胴体に跨り、彼の一物を膣で咥えている。ヴィレムの一物の太さと長さは規格外であり、ニコルの胎内まで深く挿さっている。この感触と存在感でニコルは目を見開き、ひたすら腰を振り続ける。
懸命に腰を振るニコルを見上げるヴィレムは、ニヤニヤと笑いつつも、不器用なニコルの腰の動きに不満そうな声を漏らす。
「ちょっと、当たりどころが違うな…」
ヴィレムはそう呟き、ニコルの骨盤を鷲掴みにする。そのまま「腰を丸くさせろ」と言い、ニコルの骨盤の位置を調整し、自身の一物で圧迫させる。
ニコルの視界に火花が飛び散り、膣から脳の頂点まで電撃が走る。
ニコルの四肢に電撃が走り、ニコルは身体を細かく痙攣させる。身体を仰け反らせ、口をぱくぱくと動かすニコルは1発で絶頂を迎え、ヴィレムの一物から精液を搾り出そうと膣を痙攣させる。
だが、ヴィレムはニコルの反応に満足せず、ニヤニヤと見上げながら腰を動かし続ける。
「あ、あっ…あだ…ゔぃ…」
絶頂を迎えるニコルであったが、ヴィレムが継続して腰を動かす事で、更なる絶頂を迎える。潮を吹き、舌を剥き出しながらニコルは果て、彼女は泣き出す。
しかし、ヴィレムの腰の動きは止まらず、ニコルの身体に快楽を刻み続ける。
「覚えてろ、ここがお前の弱点だ」
ヴィレムの声がニコルの耳に届くが、その言葉はニコルに届かなかった。泣き出す彼女を見たヴィレムは愉快そうに笑い声をあげ、室内に水音を鳴らし続ける。
やがて、ニコルの最奥で果てたヴィレムは精液を放ち、ようやくニコルの身体は解放される。ニコルは首を垂らし、股間からヴィレムの精液を一筋垂らす。
ヴィレムはニコルの身体を優しく抱き上げ、ベッドに横にさせる。ヴィレムの逞しい二の腕と牡の匂いが、絶頂を迎えたばかりのニコルの鼻腔を刺激する。
(どれくらいの日が経過したのか…)
窓から見える外は吹雪に覆われており、陽の光が差し込む事が殆どない。それでも、光と闇のペースから、ある程度の時間帯は把握できる。
しかし、日付に関しては、はっきりとした判断ができない。
理由は単純だ。
ヴィレムの手技によりニコルは何度も逝かされ、時に失神する事もある。気がつくと窓の光量が変わっており、どれくらいの時間と日数が経過したのか、はっきりとわからなくなる。
ぼんやりとした目で窓を見ているニコルの頭を、ヴィレムが優しく撫でる。ヴィレムの手のひらの感触に、ニコルの目が細められ、心地良さそうに息を整える。
「きつかったか?きついなら、俺に言えば良いからな」
疲れ果て、体力と精神力を奪われつつあるニコルの耳に、ヴィレムの優しい言葉が響く。それはニコルの奥まで広がり、彼女の中に暖かさを生み出す。
「ヴィレムが誘拐し、自身を監禁暴行している」と頭では理解している。しかし、処女であったニコルが度重なる性技と性的な快楽を教え込まれ、疲れ果てたタイミングで優しい言葉をかけられる。
洗脳における常套手段である。
それは研究者で医師でもあったニコルは重々承知している。頭では理解し、ヴィレムの言動の意図も理解している。
だが、心と身体は違った。
ヴィレムの声掛けに、ニコルは「うん」と甘い声で答える。彼女の目は潤っており、甘い目つきでヴィレムを見上げる。
拷問と調教で幾人もの牝を堕としてきたヴィレムは、ニコルの反応を見て、ニヤリと笑う。
ヴィレムは身体を屈め、ニコルの耳元で甘い声で囁く。
「これは人助けだ…他の人質の命を守るため、ニコルが俺に抱かれるのは仕方がない事だ」
ヴィレムは囁き、「決して恥ずかしい事ではないぞ」と続けて言う。それはニコルが性的快楽に溺れる事への合理的な理由を与え、彼女がそこに甘える事を狙った上での発言だ。
現に、ニコルはヴィレムの「人助け」「仕方がない事」という発言を脳内で繰り返し、甘く微笑むヴィレムを見上げる。
ニコルの目の奥には、牝として快楽に溺れる事への喜びの色が宿っている。
ヴィレムはその事を見抜き、ニコルの耳元で囁く。
「仕方がない事だ…ニコルが自分で慰めても…それは人質を守るための仕方がない事だ」
ニコルの耳にヴィレムの甘い囁きが広がる。
それを耳にしたニコルは、仰向けのまま膝を曲げ、自身の股間に手を伸ばす。そのまま自身の指をクリトリスに当て、ゆっくりと触り出す。未通だったニコルは、自慰をした経験がなかった。しかし、ヴィレムに調教され、性的な快楽を教え込まれたニコルは、合理的な理由も与えられ、ヴィレムの目の前で自慰をするようになった。
自身の指で自らを慰めるニコルの姿を見たヴィレムは、酒瓶を飲みながら笑みをこぼす。
ニコルは自身の指が止まらない事に驚きはしているが、止めようとする気力がなかった。ただ、疲れ果てたニコルにとって、ヴィレムの言葉は心に染み渡る麻薬のような物である。
ふと、ニコルは白いポケモンの言葉を思い出す。
『ニコルの胎の子は、牡と牝…どっちかな?』
言葉の意味を理解したニコルは、自らの下腹部を見つめ、笑みを浮かべる。
(あぁ…そういう事ね…)
監禁と暴行により、思考力が低下しているニコルは笑みを浮かべる。
自らの下腹部を撫でつつ、自慰を続けるニコルの嬌声が室内に響いていた。