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異世界の変態?王子様(仮)  第6話 ご飯は1日2回 中盤

  あらすじ、 国王と対面した福助。

  

  福助を見て国王は 酷な過去を思い出した。

  

  

  本編は ご飯は1日2回の中盤です、前編を読み忘れてないかご注意下さい。

  

  [newpage]

  

  

  

  

  

  

  事の発端は6時間前

  

  我輩はとある路地裏に呼ばれていた。

  

  「流石国王さん、警護はつけてないんだな」

  

  「約束は守る、そなたらが購入した額の10倍用意した、それで所有権を譲ってくれないか?」

  

  小馬鹿にした言い方をしたのが恐らくリーダーであろう、50歳ぐらいでスキンヘッドで口ひげを輪の様に生やしたの人間

  

  それの部下っぽそうな、30代ぐらいの犬獣人と、20代半ばのエルフ族の女性だった。

  

  「オーケー。 でも渡す前に条件がある、ついてきな……」

  

  それから、側の隠し通路から、地下のトンネルに出て、200メートルほど歩いた。 足を踏み入れたことのない場所だった。

  

  出口は井戸で、ハシゴを登り、井戸から出てあたりの景色を不自然にならないように確認する。

  

  城下町から少し離れた場所で井戸の直ぐ側には山小屋っぽそうな建物があった。

  

  嫌な予感がしたが、大量のお金を用意したわけで、この取引自体はwin-winになるはずだ。 きっと大丈夫

  

  そもそも、我輩を殺すということはこの国だけではなく、同名の他国も敵に回すことになるのだ。

  

  導かれるまま山小屋に入ると、一見なんの変哲もなさそうな場所に見えた。

  

  ただ、少し奥の床下が扉になっており、そこから地下室に続いているようだった。

  

  「……アウルはどこじゃ……」

  

  「んっ……慌てないでよ、 地下に丁重に軟禁(なんきん)してあるからさ、なんせ王との大事な取引だから、"傷"つけないようにしないとね」

  

  「……分かった……」

  

  『傷』という言葉に含みを感じたが、傷だらけはなっていないようで。 我輩は安堵の息をごくわずかに漏らした。

  

  そして、男の部下の二人がクスクスと笑うのに腸(はらわた)が煮えくり返りそうな気がしたが、なんとか堪えた。

  

  少し、血なまぐさい匂いを感じた。

  

  部下の一人が、壁に取り付けられていたランタンに火を付けた、薄明かりだが部屋全体が照らされた。

  

  地下室は、6畳ほどだったが奥に扉があった。

  

  床下の扉が閉められた。 ランタンの明かりだけでは、部屋全体をぼんやりと照らすのが手一杯みたいだった。

  

  奥の扉に導かれ、再びランタンに火が灯される。

  

  それと同時に、部屋に異臭を感じた。

  

  更には、目の前の光景に驚いた。

  

  「…アウ……ル……?」

  

  そこには、古傷はあるものの、まだ綺麗な体の商談の目的である我輩の救いたいアウルが全裸で天井からの鎖で吊るされていた。

  

  「おっと、声出すな、 ショー見せてやるからよ……やれ」

  

  信じられない光景で驚いて声を出すのを忘れていた。 どうやらアウルは寝ているようだった。

  

  声を出そうとしたときリーダーの男がオレの口の前に手をかざした。

  

  「ボス、糞はしてないみたいです」

  

  犬獣人は、アウルの股下の洗面器を覗いていった。

  

  「んじゃぁ、そんままかけていいぞ? ……タイミングは分かるよな?」

  

  「……勿の論! イヒヒ」

  

  「待て……何を」

  

  リーダーと部下の犬獣人の企みは嫌な予感でしかなかった。

  

  「はいじゃぁ……国王さん、静かにしてね」

  

  今度は、女エルフに指示された。

  

  色っぽく『しぃー』っと促されたがこんな外道な人間には流石に興奮しなかった。

  

  部屋が沈黙になる、ショーと関係あるのだろうか?

  

  そして、アウルの寝息が聞こえ、ゆっくりと犬獣人は洗面器を持ち上げる。

  

  中身が理解できて、犬獣人が何をしようとしていたかを理解した時、我輩は声を荒げた。

  

  「やめろぉおっ…ぐふっ……」

  

  部下の女の肘打ちが溝内に入った。

  

  「っち……」

  

  「んっ……?」

  

  アウルがゆっくりと目を覚ます。

  

  「やれ」

  

  「あいさー」

  

  バシャッ!!

  

  「んぐっ、げほっ、げほっ……げほっ……」

  

  そして、部屋に異臭が立ち込めた。

  

  臭いのに、我輩は凄く悲しくて、臭いのに、涎を垂らしそうなぐらい興奮しているこいつらが信じられなかった。

  

  「お・は・よ・う、アウルちゃん……いっぱい出てたねぇ……目覚めた?」

  

  「ぅ……えっと……ちょっと待ってくださ……ウェッ……」

  

  犬獣人はアウルの溝内を殴った。

  

  「違うじゃん、親分に挨拶して、わいらにも挨拶して、生きてること謝って……ねぇ?…… 何べんで覚えるの?」

  

  「ごめっ、ごめんなさい……はぁ……はぁ……」

  

  「せっかく大事なお客さん来てるんだから、今日できなかったら何も意味ないよ?」

  

  「えーと……うーんと……ごめんなさ……っ!?…… どうして……? 国王様……」

  

  溝内の痛みがようやく収まるが、怒りはどんどん蓄積していた。

  

  こんなクズの言うことを信頼したワシがバカだった……。

  

  「ほら、訪ねてるよ? 答えないと」

  

  「……助けに来た、こいつらから君の所有権を買いに来た」

  

  「国王様……私なんかのために……私なんか生きている価値ないのに……」

  

  アウルが泣き崩れそうになった。ボスは、二人の部下を部屋から出した。

  

  「アウル、見てるのはオマエのご主人である オレと国王だけだ、 おもてなし……出来るよな?」

  

  おもてなし……? なんのことだ?

  

  その時だった。

  

  ……代ワッテヤロウカ?……。

  

  「誰……?」

  

  ……変ワッテヤルヨ……オレ様ヲ信ジロ……。

  

  「誰なんだ……?」

  

  声は自分自身の声に似ていた。 あたりを見渡すが、アウルのゲスな飼い主とアウルと我輩以外この部屋に居なかった。

  

  「どした? 国王さん」

  

  「……いや……なんでもない」

  

  気のせいだろうか?はっきりと2回聞こえたのだが。

  

  ……良イカラ代ワレ!! オレ様ガ助ケテヤルト言ッテイルノダ! 頷クダケデイイ……

  

  「……? あ、嗚呼……」

  

  脅迫されて我輩はたまらずコクリと頷いた。

  

  鎖が外される音がした。…… それだけ……。

  

  だって……何も見えない。 でも見える以外の感覚はある、聞こえる。 感じる。 臭う。

  

  例えるなら、暗闇の中一人ぼっち。 動きまわるけど、足が新たな地面を踏んだ感触がない。

  

  そうか、本来の体は動いてないのか。 よくわからない声に我輩は体を委ねたのだろうか?

  

  ……聴覚モ……嗅覚モ……体感モ遮断デキルガ……ドウスルカ……?

  

  (……このままで良い……アウルを助けてくれるか?)

  

  ……勿論だ。 おまえノ命モ……。せっとデナ

  

  (ありがとう……)

  

  ……状況ガ状況ダ、少シダケ休ムト良イ……オヤスミ。

  

  確かにそうだった、精神的ストレスもあるし、信じがたすぎる光景も見てしまって

  

  一度シャットアウトして、頭のなかを整理したい。

  

  (じゃぁ、お言葉に甘えるよ)

  

  ……信頼シテクレテ……感謝……ダッ……。

  

  何も感じなくなった。 自分は休んでるのだろうか?

  

  「……従ウ……但(ただ)シ、あうるヲ……傷ツケルナ……」

  

  「ふん……約束しよう」

  

  それから、カチャリと鎖の音が聞こえたのが最後だった……。

  

  

  

  

  

  

  

  ---------------

  

  えっ?終わり?

  

  

  いえいえ、まだこれからですよ。

  

  [newpage]

  

  

  

  特になにも感じない真っ暗闇の空間なのも仕方ないので、アウルとの出会いを語ろう。

  

  アウルは、こげ茶色の犬獣人だった、みすぼらしい姿で、傷だらけで、それでも笑顔いっぱいで買い物をしているのを見たのが初めてだった。

  

  一人で散歩をしている我輩が恐る恐る声をかけると、『ワッ』とオーバーリアクションで返事をしてくれた。

  

  「国王様……ですか?」

  

  「い、いかにも……だ、大丈夫か? 可哀想に傷だらけではないか……」

  

  「だ、大丈夫です、痛くありません!」

  

  そう強がった数秒後に、『痛っ……へへっ』と声を漏らす姿は苦しかった。

  

  何故笑っている? と聞くと、 そのほうが楽しいから と答える。

  

  辛くないのか? と聞くと、 辛いけどなんとか生きている と答える。

  

  それから、ほんの少し話をして別れた。

  

  お金でも持たせれば良かっただろうか? そう思ったのが全ての過ちのハジマリ……だった。

  

  構わなければ……良かったのだろうか?

  

  『そんなことないよ、王様と話せたって友達に自慢話になったもん!』

  

  暗闇の中、アウルの声が聞こえ、何故かありもしないアウルの笑顔が浮かぶ。

  

  それから、アウルをよく見かけるようになった。 正確にはアウルを探していたのかもしれない。

  

  『我輩に出来ることはないか?』 そう尋ねた時、国王様の仕事は何?と尋ねられた。

  

  仕事内容を話した後、『じゃあ、一つだけ』とアウルが期待を込めた笑みで答えた。

  

  その、アウルの願いが『ご飯は、朝と晩で1日に2回食べたい』とのことだった。

  

  話を聞くと、空腹で見る夢はとても辛く、晩のご飯を食べれば夜も仕事できるんだ!という理由だった。

  

  その話を聞いて、1日1食しか食べれないのは流石に可哀想だと我輩も思った。

  

  重労働な上に、朝か晩のどちらか というのは余りにも酷すぎる……。

  

  ましてや、こんな10歳そこいらの子供ですらそんな待遇とは……。

  

  貴重な意見をもらったお礼に、お金と食べ物を与えた。

  

  これで少しでもこのこの待遇がよくなれば……。 そんな気持ちでいっぱいだった。

  

  久々に枕を高くして寝れた。

  

  

  ……はずだった……。

  

  

  次に会えたのは3日後だった。

  

  自分の奴隷がお金を持ってきたのだ、きっと傷も良くなっているだろう。

  

  ……だろう。

  

  ……。

  

  …………。

  

  …………。

  

  

  ……?

  

  ……なんで?

  

  我輩は、アウルと食べようと思って買った焼き芋の袋を……。

  

  

  気がつけば……。

  

  

  ……落としていた。

  

  「ぁ……国王様」

  

  アウルはいつもの様に笑顔になってくれるが、でもいつもの笑顔と違った。

  

  頬は腫れ、目の上も腫れていた。

  

  更には、食事を与えているかすら疑いたくなるぐらい、骨の形が浮き上がっている箇所が見えた。

  

  

  余りに……余りにも……それは……

  

  「何があった?」

  

  と訪ねても、アウルは答えなかった。

  

  その代わりに、

  

  「この前は、ご飯とお金ありがとう!」

  

  と言った。その言葉で全てを悟った。

  

  ……嗚呼……。

  

  我輩は……駄目な国王だと……。

  

  駄目な国王……。

  

  駄目な国王

  

  駄目国王

  

  駄目王……。

  

  

  「はい……国王様」

  

  ……アウルが何かを渡そうとしていた。

  

  

  ハッと我に返ると。紙袋に落ちた焼き芋を入れていた。

  

  普段なら『美味しそうですね』

  

  なんて言いそうなのに、今日は何も言わなかった。

  

  

  それから、二週間後が今になって。

  

  その一週間前にこのことが大臣にばれて

  

  体に傷をつけない、十分に食事を与えるを約束のもと、向こうが提示したアウルを購入した値段の10倍で買い付けることになった。

  

  監禁して懲罰してしまえば済む話だろう、とはいえそんなに簡単な話ではなかった。

  

  第一に奴隷のことでことを荒立てるのは異例

  

  また、いかなる理由があるにせよ、購入額の10倍で買い取るという行為は国から批判を受けるのではないかとのことだった。

  

  そして、大臣の言いつけを破り、護衛を付けず、約束の場所に出向いて、今に至っている。

  

  ……

  

  思い出してたら少し疲れた……。 眠ろう……。

  

  

  

  

  ……コロス……。

  

  

  ……。

  

  

  ……コロス……、コロス……。

  

  (どうした……? どうなった?)

  

  「嗚呼、死んじまった、国王様が不甲斐ないばかりにー、嗚呼ー可哀想」

  

  「あひゃひゃ……マジ受ける」

  

  (はっ……? どういうことだ……死んだって……アウルが…?……あの……アウルが?……)

  

  「奴隷一人も守れない国王様って……ぷっぷー」

  

  ……事態は最悪なようだ。 ゲス人間共の声はして、アウルの声が聞こえなくて、ゲス人間共は『死んだ』と笑っている。

  

  (変わらなくても良い、視界を見せてくれ……)

  

  ……駄目……。 もうおまえには何も見せない……見せれない……。

  

  そして、その時、体中に力が込みあげるのを感じた。

  

  「ぐうううぅ、わああああああああぁぁぅ……」

  

  「オー怖い……怒ったよ、怒った所で……」

  

  ……ブチンッ

  

  何かが引きちぎれた音がした。

  

  「はっ!? へっ?意味分かんない」

  

  「……国王ニ代ワリ……オレ様ガ……おまえラヲ……処スッ……コロスッ……」

  

  スッがまるで空気が抜けるみたいな音だった。

  

  その後体が俊敏に動くのだけは分かった。

  

  そして、何かを掴んだと思ったら、女の断末魔が聞こえた。

  

  「ヤメ……ぃぎゃあああああああああっっ」

  

  「「ひいいいいいっっっ!!!」」

  

  手には嫌な感触だった、でもゲス人間の断末魔を聞くのは痛快だった。

  

  ……

  

  嗅覚が戻った。

  

  ……なんだろう、最初の匂いとは違う、複雑な匂いが混ざっている。

  

  そして……それに……。

  

  最初の異臭より何倍も臭い匂いが立ち込めた。

  

  嗚呼ー、なるほど。 これでゲス人間共は興奮してたのか。 ふーん……。

  

  

  女エルフの断末魔は、3分ほど、もう一人犬獣人の男は5分ほど

  

  犬獣人の事切れた時にもう一人の我輩は分かったようだ。

  

  「なぁ・る・ほ・ど、遊ビ方、ワカッタ……おまえハ……一番苦シメ……ヨ……ナ?……ナ?」

  

  

  「も"ぉ"、ゆ"る"じでぐだざぃ"……うぅ……うぅ……」

  

  「マズハ……ソノ……片目……カラ……安心シロ……モウ片方ハ……終盤ニナッテカラダ……」

  

  やがて、手が何かに潜り込んで、それより一瞬早いだろうか。

  

  文字にしがたい、凄いわめき声が、部屋の中に響いた。

  

  そのわめき声の途中、新たな異臭が部屋に立ち込めたのを感じた。

  

  でもその異臭は、どうやらもう一人の我輩を興奮させるだけだったみたいだ。

  

  男の断末魔と、かろうじて、許して、返して、と声が聞こえた。

  

  「ダァ……メッ」

  

  そういった後、我輩の喉を何かが通って行くのを感じた。 それは、限りなく球体に近い何かだったと思う。

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