「陰謀」
王城の玉座の上、ウールヴヘジンの司祭ガルニエは、血で汚れた白い鎧を纏い優雅に腰かけていた。
彼の傍らに置かれた台の上には、かつてこの玉座の主だった者の首が装飾のように置かれている。
「ずいぶんと、あっけないモノだったな」
ガルニエが独り言のように言うと、王の生首とは反対側の方に立っていたフェンリルがおずおずとうなずいた。
「これで、後はマリを見つけるだけ…ですね?」
人狼のこの言葉にガルニエは首を横に振った。
「ここまでくれば、彼女の力がなくとも計画は進められるさ。
できれば、この計画が完成するまでには、彼女も私たちのもとに迎え入れたいがな…」
「貴様ら!このような事をして、ただ済むと思うでないぞ!」
突然、玉座の前の方から怒号が上がった。
声の主は、ウールヴヘジンも含めた国の団体を管理する大司教だった。
大司教は手足を鎖で拘束され、ガルニエたちの前で正座をするように座らされていた。
彼の両隣には処刑用の斧を持った人狼が一人ずつ控えている。
「この状況でも口が減りませぬな、大司教殿。
今のあなたは、ただの囚人。新たな王たる私をどうこうできる立場にないのですよ?」
「貴様のようなバケモノ飼いに王など勤まるわけがない」
大司教は、そう言ってせせら笑う。
すると、司祭は顔を逸らし、処刑人の一人に合図を送った。
処刑人は一つ頷くと、手にした斧の石突で大司教の股間を突いた。
大司教は、苦悶の表情を浮かべ悶絶すると、うずくまりながら叫んだ。
「殺すなら殺すが良い。ワシが死んでも、この国の民はバケモノに屈服することなどないのだからな」
大司教は、ヨロヨロと身体を持ち上げながら言った。
「安心してください。私は、あなたを殺しはしない」
ガルニエはそう言うと立ち上がり、大司教のもとへ近づいた。
「あなたには、もうしばらく役に立ってもらいましょう」