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青年がフレイザードへと変えられてしまう話

  「フレイザード…ヤツほどのチカラでもダメだったのか…!」

  フレイザード敗北の知らせを聞き、魔軍司令ハドラーは密かに敗北した跡地へと向かう

  「チカラでは決して劣っていることは無かったはずだ…作り上げたオレが言うのもなんだがヤツには天賦の才があった!」

  荒れ地となった場所を歩きながら敗因を探るハドラー

  フレイザードにはメラ系とヒャド系、その2つを高水準で操る才覚が確かにあり単純な魔力で言えば六大魔団長の中でも随一と言っても差し支えは無い程である

  それでも勝てなかったのは事を慎重に進めて立ち回る性格では無く、どちらかと言えば貪欲にただ勝利という栄光と名誉に向かって行く気質であるがゆえに足元を救われたのでは無いかとハドラーは考えを巡らせる

  「ヤツは生まれて間もない岩石生命体、それ故に余裕を持つ事が出来なかったのか…?」

  禁呪法で生み出された魔物は創造主と似た性格になると言われている

  魔軍司令として結果を求めて焦っていた頃に作り上げたのも一因としてはあるが、おそらくは精神の成熟性…要するに若すぎたのが敗北の原因なのでは無いかと考えたハドラーは小さく自嘲気味にため息を付く

  「フレイザード、失うにはあまりに惜しい…なにか復活出来る方法があれば」

  岩石生命体であるフレイザードはコアさえあればその身を再び再生することができる

  半身を灼けた岩石、もう半身を凍てつく氷で生成された身は再生することも容易ではあった

  しかし肝心要のコアは既にダイ達により砕かれており、それは復活の可能性が絶無であることも表していた

  「せめてコアが一欠片でも残っていれば…ムッ?」

  ハドラーは荒れ地にキラリと光る物を見つける、それはフレイザードが身につけていた己が打ち立てた名誉の証でもある暴魔のメダルであった

  「これは暴魔のメダル…フレイザードめ、こんな物を遺して逝くとはな…」

  バーン様への忠誠の証としてフレイザードが一番に取ったメダルを眺めてハドラーは少し感傷的な気分になる

  メダルを調べていると、とんでも無い物を発見してハドラーは思わず笑みが溢れた

  「クックック…フレイザードよ、意外と抜け目の無いヤツだ!」

  ハドラーが拾ったメダルには小さいながらも砕かれた筈のコアが隠されており、確かに活動していたのだった

  このまま放って置けば活動を停止してしまうだろうがハドラーの手元にさえあればいくらでも延命ができる

  「砕かれる前に最低限の保険を掛けたか、どこまでも勝利に貪欲なヤツだ…いいだろう!お前の新しき肉体を用意し、再び暴れさせてやろう!」

  そう言うとハドラーは姿を消し、どうやってさらなる強化を施して復活をさせるか考え始めた…

  [newpage]

  「これでヨシ、と」

  ハドラーがフレイザードのコアを回収してから数日後、山小屋の中で一人の青年が魔法の研究に勤しんでいた

  名前はルニド、魔法使い…でもあり研究者である

  新しい魔法の使い方を考えては実験を繰り返す事で研究を勧めていた

  研究者なのに山小屋にいるのは実験の際に魔法が暴走して周りを巻き込まないようにするためだった

  「うーん、魔法同士を組み合わせると途端に制御が難しくなるなぁ…」

  彼がやっているのは合成魔法でありまだ殆ど実用には至ってない魔法である、バギやイオ等といった魔法を混ぜ合わせてより強力な魔法にするのを目的として研究を重ねていた

  「バギもイオも得意だけど、やっぱりこれ系統だけじゃ限界あるよね…」

  ルニドはバギとイオを組み合わせることには長けていた、旋風を巻き起こしてより爆裂の範囲を増やすことで範囲を拡大したりイオ自体を単体で唱えるよりも遠くの方で爆裂させたりなどの魔法は編み出していたがそればかりでは研究は行き詰まる

  かといってそれ以外を扱えるかと言えば苦手な方であった

  「僕にもメラとかヒャドも使えればなぁ」

  どうしても単体ですら上手くいかないのだからどうしようもない、かといって街に行って実験手伝ってと研究所の人を借りようにも合成魔法なんてセンスがいるものを研究する酔狂な同士もいなかったし、研究室の門徒になろうにも門前払いである

  「僕にも凄い大魔道士みたいな大きな力があれば、みんなだって認めてくれるはずだ…!」

  そうしてルニドがいつも通り悩んでいると小屋の扉がトントンと叩かれる、特に訪ねてくる人もいなかったので訝しげながら開けてみるとそこにはローブを目深に被った大柄な人影が立っていた

  「ここで合成魔法を研究しているという話は本当か?」

  いきなりの話に驚きながらもルニドはそうだと答える、フードの様子をなんとか伺おうとするが暗闇になっており窺い知ることが出来ない

  「早速だが見せてもらいたい」

  そう言ってローブの人物は外に出るように促してくる

  なんとなく不審に思いながらも何かのチャンスかも知れないし見たいのなら見せてやろうと思いルニドは杖を持って外を出る

  「今できる最大をやってみせろ」

  そう言うとローブの人物は山の奥の方にあるぽっかりと空いた空き地を指差す

  「わ、分かりました…バギラ!」

  ルニドは自分で作ったバギマとイオラを組み合わせた魔法を唱えると、身を切り裂く旋風が空き地に巻き起こるとその中心から辺り一面にイオ系統の炸裂玉が巻き散らかされ、地面に当たった端から炸裂しては爆風が旋風によってより広がり、イオナズンよりも広範囲に攻撃することができていた

  「どうですか…?」

  何かを試されているような気がしたルニドはローブの人物に確かめるように様子を窺うとローブの人物は

  「広範囲…悪くない…だが…げんの限界…精神面…問題は…」

  何やらブツブツと言って考え事をしているようだった

  しばらくローブの人物を眺めていると急に

  「メラやヒャドは使えるのか?」

  と聞いてきた、ルニドはバギ系統とイオ系統しか使えないと言うとローブの人物はまた黙り、しばらく考え事をするとゴソゴソとローブの中を弄り何かを手渡してきた

  「このメダルを常に身に付けていろ、メラもヒャドも使えるようになる」

  金色に輝くメダルをルニドの手の上へと乗せた、メダルからは鎖が伸びており首からかけれるようになっていた

  どうみても高級品、おまけにメラもヒャドも使えるという話が本当だとすれば魔道具の一種だろう

  そんなものをぽんとくれるのがルニドには不思議でならなかった

  「えっ、なんでこんな物をくれるんですか!?」

  そうルニドが聞くと、ローブの人物はただ一言「常に身につけていろ」とだけ言って去っていってしまった

  ルニドは不思議に思いながらも研究所の人だったのかな…?と考えてメダルを身に着けてみる

  「うーん、なんか変わった感じは無いけども…」

  なんとなく禍々しく、それでいて外したく無くなる不思議な気分になったルニドは取り敢えずローブの人物の言う通り身に付けて置くことにした

  「なんか熱い?いや寒い?熱でもあるっけ…?」

  何となく身体が熱くなるような、それでいて寒いと感じるような変な感覚がする

  山風に当てられたのかもと考えたルニドは足早に研究再開の為に山小屋へと引きこもってしまった、メダルがもう外れない事など知らずに…

  [newpage]

  「あ、熱い…!寒い…!」

  山小屋のベッドの上でルニドは体の奥底から湧き出る熱さと寒さに苦しんでいた

  体の左半身は灼けるように熱く右半身は凍てつくように寒くてたまらないのだ

  「絶対、これのせいだ…!」

  胸元を見てみるとそこには心臓の位置に同化するように埋め込まれていた

  あれからメダルを下げていると急に胸に痛みが走り、痛みの元見てみると貰ったメダルが胸に沈んでいき鎖がメダルを固定するかのように伸びては身体に街でよく見る荒くれ者が着ている上半身のハーネスのように絡まりついていた

  必死に外そうとしたがびくともせず、それどころか身体の奥底から熱くて寒くて仕方がなくなりベッドに蹲るしかなかった

  (…コセ…ハヤ…レニ…ナレ…)

  「ま、またこの声がぁ…!」

  そして頭の中に誰かの声が聞こえて来るのだ、聞いたことのない誰かの声…人間が出せないような声が頭に響いて離れなくなる

  そして声が聞こえる度に身体の奥から禍々しい魔力がドクドクと満ちてくるのだ

  「どうにか…しないと…」

  そう思ってもルニドにはどうすることも出来なかった、しばらく悶えていると急にドアが破られて何かが入ってきた

  「ま、魔物が…!」

  そこから入ってきたのは比較的温暖な気候のここでは絶対に見ることが無いだろう魔物達

  フレイムやブリザード、ようがんまじんにひょうがんまじんといった極地でしか生息しないと図鑑に書かれている魔物が押し寄せてきたのだ

  「なんでこんな所に…追い…出さないと…」

  ヨロヨロとベッドから立ち上がろうとするも身体に力が入らず床に突っ伏してしまう

  身体もろくに動かせず、ただ周りに魔物達が集まるのをただ受け入れるしか無かった…

  「ドウダ?」「タリナイミタイダ」「ササゲルカ?」「ササゲヨウ!」

  魔物の声が聞こえるのを幻聴よように聞きながらルニドは死を覚悟した

  彼らの体温で凍ったり燃えたりしている山小屋にいるのに何故か今は心地よく感じる

  「「マズハカラダヲ」」

  そう言ったように聞こえたルニドにようがんまじんとひょうがんまじんはそれぞれ片方ずつ沈み込むとルニドの身体に自分を構成する岩石達を定着させていった

  「あっ、あ…ああ…」

  身体の片方がジュウジュウと音を立てては燃え、もう片方は感覚がどんどん無くなっていく

  左側は灼けた岩石で少しずつ形状を変えられ、ようがんまじんの身体のパーツが付く度に溶け込まれていき岩石を主成分とする身体へと変わっていき

  右側は鋭い氷にひょうがんまじんの身体のパーツが付く度に身体は凍りつき、全てが氷を主成分とする岩石へと変わっていく

  自分の身体を作り変えられているというのにルニドは奇妙な満足感と愉悦感を味わっていた…

  今となっては半身を構成するものは肉や骨や皮といった物ではなく

  灼けた岩石と凍った岩石が半々といった姿に変わってしまっている

  そして不思議なことに身体を蝕み続けていた熱さや寒さが全く感じなくなり、むしろ岩石と化した自分の身体の感覚に心地よさすら感じ始めていた

  「モトハデキタ」「ツギハドコダ?」「モヤシタリナイ!」「ヒヤシタリナイ!」

  そしてフレイムとブリザードがそれぞれ灼けた部分と凍った部分を覆い尽くした

  「グッ、ガッ…アアァァ!!!」

  その瞬間、ただの岩石でしか無かった身体から全てを焼き尽くすような炎と冷気が吹き出しては身体の奥底で湧き上がり続けていた禍々しい魔力と結合し、身体全体をとてつもなく強い充足感で満たしていく

  「ガァッ!アァァァ!!」

  身体の全てに漲る力と湧き出し続ける魔力にルニドはたまらず声を上げる、その声は頭の中で響いていた声と全く同じものだった…

  ルニドの身体は既に人間のものでは無くなっていた

  灼けた岩石と凍りついた岩石で身体の半身ずつを構成し、近づくだけで辺りの物を燃やし尽くし凍てつかせる魔力で覆った身体、そしてその中央の胸部分にはルニドの心臓を新たなコアとして侵食しコアを守る防具となったメダルが煌めいている

  ルニドの姿は魔物…それもただの魔物では無く六大魔団長の1人であるフレイザードの姿へと変わっていたのだ

  「何だ…【オレ】はどうなったんだ…?」

  まだ状況が飲み込めてないルニドは辺りで復活を喜ぶフレイザードの部下の魔物達をよそにドシドシと岩石の身体を無意識のうちに操って燃え凍った山小屋から出ると

  「な、何だこりゃあ!?」

  山は先程のフレイザード復活の余波であちこちが燃え盛ったり凍ったりしており地獄のような有り様になっていた

  その様子にルニドが呆気にとられていると

  「いたぞー!こっちだ!」

  そう叫ぶ声が聞こえて来るとあちこちから人間が集まってくる

  麓の街の兵士達が大群でこちらに来ていた

  「貴様が魔物の親玉か!」

  戦闘にいる兵士が槍を突き出しルニドを指差す

  「魔物、何言って…」

  そこでルニドはハッとした自分の声がいつも聞いている自分の声では無く頭の中に響いていた声と同じ事と、自分の手を見てみれば左手は灼けた岩石で形作られ右手は鋭い氷で形作られた手になっている

  「ま、待てオレはルニドで」

  「名前なぞどうでもいい!後ろに控えているのは貴様の部下だな!」

  そう言われて後ろを振り向くと、魔物群れがいる

  山小屋を襲ってきた魔物達の事を仲間だと思われているのだろう

  「死ねぇ!魔物め!」

  兵士は槍を突き出し、突撃してくるルニドは思わず手をかざしてバギを唱えた

  すると右手から自分でも信じられないほどの強さで冷気を纏った突風が吹き出し、兵士はあっという間に全身を突風で切り裂かれ凍りついてしまった

  「な、なんだこの力…」

  (グハハハッ!最高だぜぇ!)

  頭の中に響く声が鮮明になる

  その言葉を聞くと自然と嬉しく楽しい気持ちになった

  「最高じゃない!元に戻して!」

  (せっかく人間なんて脆っちい身体からオレになれたんだから喜びやがれ、もっともすぐに関係なくなるだろうがな!)

  そう声が響くと身体が勝手に動き出した

  止めようとするも身体はびくともしない、どうやら主導権を奪われてしまったようだ

  「じゃあオレが復活の運動がてら手本ってやつを見せてやるとするか」

  そう言うとルニドの身体にとんでも無い魔力が湧き出ては左手に集まっていった

  「メラゾーマ」

  そう身体が勝手に唱えると左手に集まった魔力が大きな火球を生成し

  集まってきた兵士たちの軍団に火球が一つ投げ込まれた

  その瞬間火球は瞬く間に燃え広がり、兵士の軍団は業火に飲み込まれ身体全てを燃やし尽くされていった

  「ウヒャハハハハッ!!!最高だぜ!弱っちぃ人間共が燃え尽きていくのはなぁ!」

  (ひ、ひどい…)

  ルニドはそう言ったが目の前の兵士が燃え尽きていく様を見て楽しい気持ちになっていた、愉快でたまらなくなり思わず声と一緒に笑ってしまいそうだ

  「酷いだとォ?確かに酷いな…こんな脆い身体で生まれちまったのがなァ!!」

  そう言って声は先程ルニドが凍りつかせた兵士の死体を燃え盛る半身の方で思いっきり蹴り飛ばすと

  氷が燃え死体すらも残らなかった

  「いいか!オレの復活に身体を差し出した礼に教えてやるよ、戦場ってのはなぁ…」

  またルニドの身体から魔力が右手に漲ると氷の礫を無数に生成し

  「弱ェヤツから死んでくんだよォ!!」

  礫を残った兵士達に投げつけた

  それぞれなんとか対抗しようとするも勢いは止められずそのまま礫に貫かれていった

  「あ〜気分がいいぜ…溜まった鬱憤も少しは張れるってもんだ、どうだ気持ちいいだろ?力を思いっきり振るうってのはよ」

  (気持ちいい…じゃなくてもうやめて!)

  ルニドは今まで叶わなかったメラやヒャドを使い、思いっきり魔力のままに振るう事に快感を覚え始めていたが人としての理性がなんとか制止しようとしていた

  それが面白くないのか声は

  「チッ、ヘンな意地張りやがって本当は楽しくてたまらないって思ってるクセによ…オイテメェら!」

  そう言って声は自身の後ろにいる魔物達に号令をかける

  「生き残った人間は町ごと焼き払え!女も子供も…家も何もかもをだ!

  人間共の痕跡は何も残さず灰にするんだ!いいな!!」

  そう叫ぶと魔物達は歓喜の声を上げて街へとなだれ込んでいく

  「さて、オレらは特等席で見物しようじゃねぇか!感謝しろよ?オレが人間なんかに情をかけてやるのなんて滅多にねェんだからな」

  そう言って声はゆっくりとあたりの物を暇潰しに燃やしたり凍らせたり、時にはルニドに命令して無理やりバギやイオをあちこちに撃たせながら散歩のように歩いていく

  ルニドは身体が呪文を唱える度に身体の奥から湧き上がる力に魅了され、さっきの凄惨な光景を思い出しては愉悦するようになっていた

  最初は命令されながらだったが次第に自ら楽しんでイオやバギを撃ち始めた

  「これだけの力があれば合成魔法だって容易くできる…あの中々成果を認めてくれなかった研究所のみんなだって…」

  (合成魔法だァ?)

  ルニドがそう独り言を言うと声が反応する

  身体から湧き出る力に酔ってしまったルニドは口が軽くなり

  「魔法同士を組み合わせて撃つ魔法だよ、2つの力を合わせて撃てばもっと強く…」

  (へぇ、面白いもの知ってるじゃねェか)

  ルニドはいつの間にか声に忌避感を全く抱かなくなってしまっており、むしろイマジナリーフレンドのように好意すら抱き始めてしまっていた

  自然と足は声が探して行こうとしてた街を見下ろせる場所へと向かい、ルニドはその場所へと到着する

  「凄い光景だ…!」

  街の人間たちが逃げ惑い街は焼かれ火の海になり魔物達が歓喜しながら暴れまわる、その光景にまるで新しい魔法でも発見したかのようにルニドは愉快な気持ちになっていた

  (グハハハッ!そうだろ、人間共の逃げ惑う姿ってのはいつ見ても愉快だなァ!)

  「あぁ、全くだ!グハハハッ!」

  いつしかルニドは声と全く同じ笑い方をして街の滅びる様を楽しんでいた

  ひとしきり楽しんだ後、ルニドはゆっくりと手に魔力を込めだした

  「さて、合成魔法とやらをオレも試してみるとするか」

  (やり方は簡単だよ、まずは魔力を貯めて…)

  ゆっくりとゆっくりと魔力が込められ左手に火球が右手に氷が作られていく

  次第にその力はどんどんと強くなり大気が震えだす

  (練りきった魔力を2つ合わせて…制御が難しいからね)

  「あぁ感じるぜ…すげェ力だ」

  2つに合わさった魔力は凄まじい程の力を秘めており少しでも気を抜けばこの魔力自体が爆発するだろう事が見て取れる

  だがフレイザードの身体と、声と称されるフレイザードの意識はルニドの手助けがあるとはいえ火と氷の混合物をいとも容易く制御した

  (そして思いっきり対象にぶつける!)

  「ウオオォォォ!喰らいやがれェ!!」

  そして2つの魔力の混合物は大きな力の奔流となりて対象物、つまり街を部下もろとも跡形もなく消し飛ばした…

  「…グハハッ、グハハハハッ!!最高だ、これこそまさにオレがほしかった力だァ!!」

  (…グハハッ、グハハハハッ!!最高だ、これこそまさにオレがほしかった力だァ!!)

  極大消滅呪文により跡形もなく更地と化した街を見て声…もといフレイザードとルニドは同じ言葉を発した

  強すぎる合成呪文の影響によってもとからフレイザードの意識に侵食されていたルニドの精神がフレイザードと同化したのだろう、今となってはルニドはフレイザードでありフレイザードはルニドとなっていた

  記憶もフレイザード主体とはいえ混ざりきっており、それはフレイザードの弱点でも合った生まれて間もない故の余裕のなさという空白をルニドとして過ごした記憶が埋め合わせる形になっていた

  こうして、自分の存在を認めさせる為に絶大な力を欲していた一人の人間と一匹の魔物は一つとなったのだった…

  「見事だぞ、フレイザード」

  聞き覚えのある声にフレイザードが振り返るとそこには見覚えのある姿、自らの生みの親であるハドラーがいた

  「ありがとうございますハドラー様、オレを復活させてくれて」

  そう言ってフレイザードは膝を折って跪く

  その余裕を感じる姿にハドラーは驚いたがすぐに気を取り直すと

  「その振る舞い、人間をコアとした復活は上手く行ったようだな」

  ハドラーの狙いはフレイザードのコアを人間に埋め込んで侵食させると同時に、記憶や意志を奪い人間で言うところの精神的な成長を促そうとしていたのだ

  結果としては成功だったようだがこうも早く効果が出ることにはハドラーは内心驚いていた

  「これからも六大魔団長の1人として誠心誠意バーン様、そして生みの親であるハドラー様の役に立てるよう努めます」

  「そうか、では早速この消し飛んだ街を調べに兵士が来るらしい

  ザボエラのやつが実験体にするから何人か捕らえろ等と抜かして来ているができるか?」

  ハドラーはテストの意味合いも兼ねて捕獲の命令を出してみる、以前であればそんなものより殺してしまったほうが早いだろと言うだろうが今はどうだろうか

  「分かりました、数人捕らえてまいります」

  ハドラーは結果を期待していると言って再び姿を消した

  姿が消えると同時にフレイザードは肩を震わせて

  「クックック…つまりよォ、そいつ等以外はみんなブッ殺しちまっても良いって事だよなァ!」

  ギャハハハとフレイザードは一人荒野で笑う、確かにルニドと同化したことにより多少の精神的成長…つまりは装う事は覚えたりはしたが根の部分は変わらない

  つまり、元々の冷酷かつ残忍な性格は変わらないのだ

  「次はバギドなんて良いかもなァ、ルニドのヤツと同化したせいか使えなかったもんまで使えるんだしよォ!」

  フレイザードは次の合成魔法のネタを考え始める、先程の極大消滅呪文…メドローアの他にも試したい事が多いのだ

  「この力を突き詰めれば最強になれる!ミストバーンの野郎だって目じゃねェ!」

  自分のことを利用し見捨てたミストバーンの事を思い出しながらドカッと灼けた岩石の足で地面を踏みつける

  復活を果たした身体と今の知識ならいくらでもやりようはある

  「楽しみだぜ…人間共めもう来やがったか」

  砂埃を上げて進軍してくる兵団

  ルニドの記憶によれば街を収める王国から派遣されてきたのだろうとフレイザードは考えつく

  「それじゃあ遊ばせて貰おうじゃねぇか…」

  そしてフレイザードは【得意としてる】旋風と炸裂の呪文を唱えだした…

  

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