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『男子高校生 プレゼント』
困ったときの検索窓、現代版鏡の精だろうかとよぎるのはきっと姉たちの影響でデゼニィを見て育ったからかな。
プレゼントの後ろにスペースを挟み、友人と打って検索をタップする前に親友に書き換える。ショウマと共に時間を過ごした部屋、ベッドの上であおむけに寝転がって画面の文字列を見て口元が緩む。力を籠めすぎたのかスリープ状態で暗くなった画面に映るのは、クラスメイトに見せている甲斐君ではなかった。
気を取り直して検索ボタンをタップすると、少し困ったように答えを出し渋って表示された文房具にタオルとか実用的で無難なチョイス。普段からその類は渡してしまっているから記念日に贈っても思い出してくれないだろうな、簡単に忘れられなくて見るたび俺を思い出してくれるような何か。
思い切ってさっきの親友を彼氏に書き換えて検索するとすんなり出てくるおしゃれな色々はショウマには似合わない気がして、キリがないからと目を閉じても眠れず調べているうちに窓から覗く住宅街は段々と明るくなって。途切れた意識を日頃から設定していたアラームに揺さぶられ部屋から這い出した。
朝の身支度をして予定の無い休日を過ごすものかと思ってると、姉からショッピングモールに連行されて荷物持ちをするする羽目に。姉のファッションなんてわからないから適当に時間をつぶそうと手持無沙汰にぶらぶらと。
決まらないなりに検索窓に出てきた候補を、実物を見たら気持ちも変わるだろうかと書店を歩いていてもショウマの気に入りそうな本なんて分からないし、筆記具の類はついつい齧ってしまうから意味がないような気がする。“書店は悩みを解決するための場所“と、ある人は言うけれど正答を求めてくるような場所ではない。普段は見ていて飽きないラインナップも目下の悩みを解決はさせてくれないし、何かを買うわけでもなく通り過ぎて行って雑貨屋へ。ガリレオ温度計とかテンポグラスとかおしゃれだけど、この前行った部屋を思い出して紛れ込むことを考えると自然と選択肢から消えていく。俺を思い出してほしいから消耗品や食べ物という選択肢は元から無くて、ずんずん店を横断しながらショウマから連想するもの……反射的に握ったその布を広げてみると、パンツだ。
いやいや、俺って最悪だな友人に贈るものがパンツとはパンツ一丁でいるからって安直すぎる。トランクスだと胡座かいたり動くたびに見えそうで見えない分身もちっさいから毛束に同化して分かりづらい、よく振ってるのは見かけるけど。
「何かお探しですかぁ」「お、俺は何も探してないし怪しい者でも無いです!」
語尾を伸ばし気味の店員さんの接近にも気づかないなんてどうかしている。
「その割には派手なパンツを握っていますねぇ?おにぃさん、見かけによらず大胆ですねぇ」
悪戯っぽい接客スマイルの……柴犬。ショウマとは違ったタイプだけど見下ろさないと気づかない低身長、童顔はどことなく雰囲気が似ている気がする。
「友人へ贈るプレゼントを探していて。パンツは流石にや、やめておこうかなって」
ははは、と続けて握りしめていたパンツをそっと畳み直し元の場所に置きやると湧き上がってくる問題に。視線を店の奥へと移す、そしてすかさず握られる手。
「良かったら、僕にそのプレゼント選び手伝わさせて貰っていいですかぁ」
……何故だろう、はじめて会ったのに何もかもショウマと違うのに急な接触に乱されて頷くことしか出来ないなんて。
「これから暑くなるわけですし、タオルとかハンカチとかぁ?」「それは間に合ってます」
一方的にリードしてきた店員さんが特大の疑問符を浮かべて固まってる。この好機をものにしようと手を振りほどき実用性に富んだTシャツを手に取る。
「汗っかきなんで、いいかなって。ショウ・・・いや友人の身長に近いんで肩、合わしてもいいですか」
「ちゃぁんと、肩。手を回して確かめてくださぁい」
にんまりと笑い背中を預けられる。布越しに伝わる骨格や毛束の感触が、何気なくじゃれ合っていた遠い過去のショウマにそっくりで、あぁもう少し触れていたい。
「ちょっと長くないですかぁ?」
「あ、ぼぅっとしていて。ごめんなさい」
「さては、友人さんのこと想ってましたねぇ。どうせなら同じデザインで買ってしまえば良いんじゃ無いですかぁ?」
ニヤニヤと笑う瞳にいたたまれなく「はい」とレジにまで持って行った綿百パーセントのTシャツ。お小遣い制の高校生には手痛い出費にやってしまったと思う。「ありがとうございましたぁ」と言われてしまえば諦観も湧いてきた。
ショウマの誕生日当日、ホームルームが始まる前に予測通りショウマを囲むクラスメイト達。
俺は急ぐことは無いから遠巻きに見ていて分かりやすく表情を変えるショウマに、きっとこんなところに惹かれたのだろうかとシャッターチャンスをうかがっている。
今日誕生日だったんだ、知らなかったから食べかけのポッキーをやるよ。そんなにわかにショウマは渡せない。お決まりの赤地に縞模様の筒を渡されたと同時に背後に現れたパンダ先に没収されて涙をためるショウマ。これは……えっちでレアな写真が撮れた。
放課後。いつも通り何もすることが無いから一緒に帰って部屋に上がり込むと同時にくつろぎ出すショウマ、勝手知ったるセカンドホーム?だったら良いのかもしれない。早速クッションを囓っているけど強くは言えないもんな。
だらけているショウマに紙袋を突き出して。
「ショウマ、誕生日おめでとう」
囓っていたクッションをマズルの端から取り落として受け取ると、ゴソゴソと無遠慮に紙袋の中へと手を突っ込む。ラッピングをご自慢の歯で固定すると手で引きはがすようにビリビリと音を立てて破る。俺の部屋が包装紙の残骸で散らかっていても目の前のショウマを見放せないのは惚れた弱みというものか。
「お、Tシャツか。かっけーじゃん」
取り出されたのは英字がレタリングされたシンプルなTシャツ。早速着ようと夏服のカッターシャツとTシャツを景気よく脱いで袖を通す。あまりの早業に最新のハダカを更新できなかったのは悔やまれるが、発展途上の肢体をイメージすれば当座は凌げる。
落下位置を見ずに脱ぎ捨てたシャツはさっきまで噛んでいたクッションの上にドサリと被さって、やれやれと畳むべく拾い上げると今日は暑かったからか汗が染みこんでる。目の前の分身と本体、どちらを優先すべきか。普段は優秀な菫色の脳細胞がはじき出した答えは大人しくシャツを畳み散らかった部屋をそのままにショウマへ向き直る事だった。
ほんとショウマにぴったりで良かったな。実は同じの持ってるんだよね、着ないけど。
数時間前にショウマを見送り、部屋に籠り宿題と予習を済ませて手持ち無沙汰になってしまった。
不意に起立しないように処理しておくか・・・・・・ご無沙汰だし。
視線の先にあるクッションは数時間前にショウマが囓っていた物、今でも毛が絡みショウマの匂いをまとっている。狙っていたわけじゃないけれど、抱き枕として使っていたそれも今となってはいわば疑似ショウマ。ベッドに寝そべりそれを腕の中に配置、脳内スクリーンに今まで撮り貯めてきたショウマを展開しスライドショーの末尾に先程の写真を追加。ベッド下の引き出し、手前に衣服を入れることでカモフラージュして奥には家族にも言えないあれやこれ。最深部に手を入れて引き出すブツ、例の赤い筒持っているんだよなー……置いてる場所が出入りしにくいし使い切りだしゴミ出しするにしても嵩高いからとっておきの一本。
逸る気を抑えて外側の包装に爪を立て引き剥がすとキャップを取り外す。はじめてだから恐る恐る人差し指で入り口をなぞり一息に奥まで突き入れようとしても全方位からの襞に遮られ寸足らずな指では最奥は届かない。
濡れた鼻先から吸い込む匂い、太く長く突き出た鼻先から気化したショウマが侵入して腰から生えた前尻尾もすっかり濡れてる。普段動きを抑えて生活している尻尾も歯止めが効かない様でさっきから糊の効いたシーツを擦っている。ゴクリと生唾を呑み込み周囲を見渡す、誰も居ない。ズボンのホックを外し素早くファスナーを下ろすと先走ったものが前面を濡らし、ミッションを実行に移すべくパンツを引きはがすと架かる銀色の橋。
滾った分身を入り口に宛がってシリコン製の襞を掻き分け滞りながらも、独特な臭いのローションに滑りを得て中程までつるりと進む。プラスチックの軽く硬い感触が一層深く茂った被毛越しに恥骨を叩き、震える右手で一度抜こうと持ち上げた瞬間。
「うぅっ!」
侵入を拒んでこなかった膜が絡み引き絞る、一挙に押し寄せ甘く尾を引く痺れに腰が引けて尻尾の先を踏みにじり痛みと快楽の渦中から這い出そうと前のめりに倒れ、赤いウツボカズラは深く欲望をくわえ込み離せない。舌を出し息も絶え絶えに余りに強い快楽に右手は止まらずに、我慢の限界へ……
「rrr!」
突然差し込まれる無機質な着信音、ショウマからの着信に反射的に取ってしまう俺の左手。
「どうしよシェパ!何にもしてないのにエラーメッセージが消えなくて五万円請求されちゃった~!」
「し、ショウ…マ。うっ!ふぅ……」
決壊。体の奥から絞り出された精髄は、声の主へ迸った獣欲。第一射二射と重ねていく内に勢いが落ち込みドロッと温もりのない筒に格納される、途端に押し寄せる後悔と気怠さ。
「シェパ?大丈夫か!今から行くから待ってろ」
「いや、だいじょ」
最後まで言えずに切られた通話、ノックされる部屋の扉。
「最悪だ」
上と下の口からこぽりと零れた。
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