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花火大会を見ながらオフィスラブする獅子と狸部長

  「なんかこんなんばっかっすねー…」

  

  そう呟きながらパソコンに向き合うのは獅子。げっそり、まではいかないもののどこか気怠そうな表情を浮かべている。

  そしてそれを物語るように机の上にはコーヒーと栄養剤。それも眠気を吹き飛ばす系のもの。

  その言葉に、こくり、と頷くのは狸。こちらもやはりどこか疲れた表情である。

  

  「そうだね。まぁ、お盆だから仕方ないよ。」

  

  ふぅ、とため息を吐きながら目薬をさす。

  時刻は6時ほど。まだ外は明るく、夕陽が沈みかける水平線が見えた。

  だがそのオフィスには彼ら二人と数人しかおらず…あまりにも少ない人数。

  お盆も出勤になってしまい、こうして静かな職場の中で黙々と仕事をこなしているのだ。

  

  「そうっすねー…あー、疲れた。」

  

  一日中こうしてパソコンに向かい合うのはやはり背中やら目やらに疲れが溜まる。

  獅子は立ち上がると背伸びをしながら窓に近付いた。

  いつもと違うオフィス。目の前には広大な海が広がり、キラキラと夕陽が反射し眩しく輝いている。

  そして眼下には人の群れ。いつもより人が多く行き交っているが…

  

  「…あぁ、今日、花火大会か…」

  

  壁に掛けてあるカレンダーを確認すると獅子は合点がいった、というように頷いた。

  お盆、そして海が見える街。そうなればお盆の時期にお祭りやら花火大会があっても不思議では無いだろう。

  

  「…いいなぁ…」

  

  思わず口走る獅子に、狸は苦笑いを浮かべる。

  

  「そうだねぇ…流石に僕も帰りたくなってきたよ。」

  

  「…まだ結構仕事残ってるからそうもいかないんすけどね…」

  

  「…うん。」

  

  二人はほぼ同時にため息を吐いた。

  これ以上街の人々を見て居たら発狂しそうである。どちらともなく、二人は席に戻るとまたパソコンに向き合った。

  こち、こち、と時計の針の音。パソコンのファンの音。カードキーを通す音。それだけがオフィスの中を支配し、とても静かだ。

  いつの間にやら職場の中もどんどんと人が少なくなる。

  と。

  どん…と、小さく、今日初めて聞く音が聞こえた。それは外から聞こえる音。

  獅子がそれに気が付き、窓の外へ目を向けると…

  

  「…おぉ…!」

  

  目の前に広がるのは大きな花火。

  いつの間に始まる時間になって居たのだろう。先程までそこにあったはずの夕陽はすっかり沈み、漆黒が支配する空。

  そしてそれを鮮やかに彩る無数の花。

  獅子のあげた感嘆の声に狸もつられ、窓の外を眺め声を上げた。

  

  「凄い…綺麗だねぇ…!」

  

  その無数の花は目の前で広がり、そして徐々に薄くなる。しかしその後に続くように、また新しい花を咲かせて。

  地上から見る美しさとは、きっと異なる美しさだろう。

  

  「特等席、だね。ほら、下、凄いよ。」

  

  狸が指差す先。眼下の人々。声などは聞こえないが、想像はできる。

  きっとやかましく、そしてはっきりと花火を見ることは出来ていないだろう。

  それに比べて、こちらはどうだろうか。静かな部屋で、こんなに近くに見える花火。

  その爆裂音がうっすらと聞こえる程度。これ以上の特等席は無いだろう。

  

  「ふふっ、仕事、やっててよかったね。そうじゃなかったらきっと見えなかったよ。」

  

  花火に照らされる狸の笑顔。それはどこか幼く、しかし妖艶に見える。

  獅子の心臓がとくん、と鳴った。

  

  「そうですね…ほんとに、綺麗です。」

  

  「ね。こんなに大きい花火、いつ以来かな。」

  

  どくん、どくん、と心臓が高鳴った。駄目だ。我慢、出来そうにも無い。

  獅子は狸に近付くと…狸の肩を抱き寄せていた。

  

  「花火もですけど…部長も。今…すっげぇ…綺麗でした。」

  

  あぁ、使い古された言葉だ。そしてあまりにも気障で、言った直後に顔が真っ赤に染まる。

  そんな獅子の心情を察してか、それとも。

  くすり、と狸は笑う。いつもは見せないような、ずっと、ずっと幼い子供のように。

  無邪気に、無垢に。そして。

  

  「ありがとう。…ふふっ…嬉しい。」

  

  心の底から溢れる言葉。それはきっと、本当の。

  何度も体を重ねた。そして何度も言葉を交わした。それなのに。

  初めての時のように。初心に戻ったような感覚。花火が見せる、一夜の夢。

  どくん、どくん、と心臓の音が聞こえる。それが自分のものなのか、それとも相手のものなのか、分からない。

  それほど同じ存在になってしまったような。

  

  「部長…俺…」

  

  ぎゅう、と抱き締める狸の体は細く、力を入れてしまえば折れてしまいそうな程で。

  

  「…いいよ。」

  

  言葉はこれ以上不要か。狸の笑顔が、変わる。

  妖しく光る瞳の奥。桃色で、赤色で、いびつで、無垢で。

  誘われるように。獅子は顔を狸の肩へ埋めた。涼しい空間にいたおかげだろう。

  つん、と鼻の奥を突くのは心地よい、雄の匂い。狸の匂い。獅子は舌を狸の肩から首筋へ向けて這わせていく。

  ザラザラの舌が狸の首筋にうっすらと生えている毛並みを寝かせていき。

  

  「んっ…はぁっ…」

  

  狸は背筋を震わせると甘い息を吐いた。

  性感帯を通り過ぎていく直接的な快楽。そしてオフィスでそれを行う、背徳感からくる精神的な快楽。

  両方の快楽が心地よい。

  頰が紅潮する。狸はそれを隠そうともしない。獅子の鬣を指先で梳く。上質な毛皮を思わせる感触。サラサラと指の隙間を溢れていく。

  

  「あむっ…んっ…」

  

  甘く、甘く。獅子は狸の首筋を噛んだ。

  鋭い牙はしかし皮膚を突き破ることはない。牙の形をくっきりと浮かび上がらせるが、それだけ。

  ひとしきり狸にマーキングをすると獅子は顔を上げる。その瞳はぎらつき。これから行う行為に期待をしているようだ。

  狸は微笑んだまま、獅子のシャツのボタンを外す。ひとつ、ふたつと外せばそこに現れるのは頑強な胸板。

  火照った体に狸の手が心地よく触れる。慣れた手つきで獅子の胸を揉みしだいて。

  こり、こりと乳首をこねくり回すと獅子は天井を向き、唾液を口の端からわずかに零した。

  片方の手で胸を撫で回しながら、もう片方の手を獅子の股間へと伸ばしていく。

  ズボン越しからもわかるほど膨れた肉棒。軽くさするだけでもそれは脈動し、存在感を示しているようだ。

  

  「もうこんなにパンパン…そんなにシたい?」

  

  獅子の体から離れると狸は分かりきっている問いを投げかけながらシャツのボタンを外し、ベルトを緩めた。

  細い体は肉付きがいいとは言い難い。だが、どこか彫刻を思わせるような耽美な雰囲気を醸し出しており。

  それが時折夜空に咲く花火によって美しく彩られる。

  獅子は体に残っている狸の体温をしっかりと抱きしめながら頷いた。

  

  「…我慢、出来ないです。」

  

  「そうだよね。僕ももう、限界。ほらこんなに。」

  

  そう言いながら狸はズボンと下着を太腿まで下げると窓際の棚に手をつき尻を突き出した。

  

  [newpage]

  

  尻尾を腰に巻きつける。惜しげも無く晒された雄穴から粘液がとろり、と垂れるのが獅子の目に映った。

  くぱ、くぱ、とそこを塞ぐものを求めるように時折蠢き。拡がれば赤黒い腸壁すら見えて。

  獅子はごくりと唾を飲み込むとズボンのチャックをずらした。

  痛いほどに勃起した肉棒がボロン、と露出する。

  狸は顔だけを獅子の方に向けながら荒く甘く浅ましい息を吐いた。

  血管が浮かび上がりぐるぐると肉棒に絡みつき。まるで凶器のようにグロテスクで。

  だが、それから与えられるものが快楽だと知っている。それから溢れ出すものが幸福の塊であることを知っている。

  獅子は狸の腰をがっしりと掴むと尻の谷間に肉棒をこすりつけた。

  既に溢れ出していた獅子の先走りと狸の腸液によってにちょにちょと水の音がすぐさまたち始める。

  獅子の肉棒を緩く撫で上げる尻の谷間は、時折震えると狸の口から吐息を漏らさせた。

  それだけでも快楽足り得るが、まだだ。もっと。

  

  「そんなに焦らすなんて…いじわるだね…♪」

  

  腰を動かしながら狸は囁く。早く挿入して欲しい。昂ぶる。欲望が燃え上がる。

  獅子は体を狸に押し付けると狸の耳を軽く噛む。ザラザラの舌で耳の中を舐って。

  

  「いじわるにしたのは、部長でしょう?いつも俺のこと焦らすから。」

  

  ふぅっ、と息を吹きかけると、ぞわぞわと背筋にゆっくりとした快感が駆け巡る。

  狸はふふ、と嬉しそうに息を漏らす。

  

  「いつも…こんな事思ってるんだね。次からは、優しくしてあげる。」

  

  「そう言って。してくれないくせに?」

  

  「分かってるね。ふふっ、たまにはいいけど…そっちは限界みたいじゃない?」

  

  狸の言葉の通り、獅子の肉棒は既に幾度も大きく痙攣し先走りを零して狸の尻を濡らす。

  獅子はその言葉に素直に頷く。

  どん、と花火の音が聞こえた。

  腰をずらし、獅子は肉棒の先端を狸の雄穴にあてがう。

  ぴと、と肉同士が密着すると、二人の熱は更に高まる。ぞわぞわと背筋に走っていた快楽は今や全身を支配していた。

  

  「挿入れますよ。」

  

  狸は返事をしない。ただ身を震わせ、自らの腰に巻いていた尻尾を獅子へと伸ばすだけだ。

  尻尾と尻尾を交わらせ。くすぐり合い。そして。

  ずぷ…ずぬぬ。

  

  「んぁっ…!」

  

  雄穴を割り拡げる肉の塊。その圧倒的な質量と存在感に狸は押し殺したような嬌声を上げる。

  背面からの挿入。見えない分、より強く肉棒の形を感じ取って。亀頭が腸内を拡げていき、雁首が腸壁を撫で上げ竿が腸壁を圧迫する。

  前立腺を抉られ、狸の肉棒が跳ねた。行為は始まったばかりだというのに。

  

  「ふぅっ…!部長、こんなにトロ顔しちゃって…♪」

  

  狸の口の中に指を突っ込みながら獅子は狸の顔を正面に向けさせた。分厚いガラスは外ではじけ続ける花火とともに、うっすらと狸の表情を映し出す。

  その顔はいつもより余裕がなく、そして獅子の言う通り蕩けている。

  口の中を蹂躙する太い獅子の指をしゃぶり…狸は喉を鳴らした。

  

  「あぶっ…あむっ…んぶぁっ…夢の…中にいるみたい…」

  

  「もっと沢山、夢を見させてあげますよ。いつものお返し、です。」

  

  そう言いながら獅子はゆるりと腰を動かし始めた。

  拡がった雄穴、そして二人の零した粘液のおかげで抵抗感は無いに等しい。

  時折腸壁が異物を押し出そうとするのか蠢き、獅子の肉棒を締め付ける。

  

  「んぁっ、あふぁっ…!」

  

  腹をいっぱいに満たす肉棒の感触に狸の嬌声は更に高くなっていくばかりで。

  つられるように。貪るように。獅子は頰を釣り上げながら腰の動きを早める。獅子の腹筋が狸の尻を叩き。

  ずぱんっ、ずぱんっ、と肉の音。

  雄穴から先走りと腸液の混じった液体が溢れ出し、獅子の肉棒を淫らにコーティングしていく。

  卑猥な臭いが漂い始め。

  狸の膝がガクガクと震え、とろとろと肉棒から先走りが溢れ出して。

  

  「部長っ…!ぐぅっ…!おれの、おれのぉっ…!」

  

  まるで本物の獣になってしまったように。獅子はひたすらに、がむしゃらに。狸の中を蹂躙し続ける。

  ガラスに映る獅子。その瞳には狸しか映っていない。腰を振りながら、獅子は狸の首筋を何度も噛む。

  支配される悦び。束縛される悦び。蹂躙される悦び。

  自分に夢中だ、という、優越感。

  束縛しているのは。支配されているのは。自分か、それとも。

  

  「グゥッ、グゥゥゥゥ!!」

  

  獅子は唸り声を上げると腰を大きくビクつかせる。それは獅子の絶頂が近い、という証。

  狸も腰を緩やかに動かし始める。

  二人の動きが噛み合って、先ほどまでは届かなかった腸の奥深くへ肉棒が突き進んでいく。

  ぼこり、と膨れた腹を愛おしげに撫で回し…そして狸は雄穴を締め付け、尻を獅子の腹に当てた。

  それがトリガーとなる。

  

  「グゥゥォォォォ!!」

  

  狸の最も深い所にまで肉棒を叩き込むと獅子は牙を食い縛りながら遠吠えを上げた。同時に肉棒の根元が膨れ上がり。

  

  「んんぁっ!んぅぅぅぅ!!」

  

  狸は目を強く瞑り、そして注ぎ込まれる熱い欲望に酔いしれる。

  次々に注ぎ込まれる、熱い種。狸の腹を僅かに膨らませながら孕ませようと必死に突き進んでいく。

  充たされていく。幸福と快楽で頭が埋め尽くされていく。

  放出する快楽。受け止める快楽。

  二人は息を荒げながら、繋がり続ける。びくんびくんと脈動する肉棒が腹の中側から腹を叩く。

  それがたまらなく。狸は脈動に合わせてくぐもった声を上げた。

  数発の花火が上がり、二人を妖艶に照らし出す。

  一際大きな花火が上がると。

  二人はゆっくりと。ゆっくりと。

  再び行為を始めた。

  

  

  

  

  

  

  「部長があんなに可愛く見えたの、初めてっす。」

  

  床に散らばってしまった精液やら腸液やらを片付けながら獅子が唸るように呟く。

  結局行為は花火大会が終わるまで続き…今は漆黒と星々の微かな輝きが空を支配していた。

  狸は苦笑する。

  

  「可愛い、かぁ。こんなおじさんには似合わないよねぇ。」

  

  「…確かに。でも、可愛かったっす。もっとしたい。」

  

  「…それはダメ。仕事、終わらせなきゃ。」

  

  狸の言葉に獅子はずーん、と肩を落としため息をついた。

  そう、仕事は当然終わってはおらず。朝までコースは半分決まっている。

  そんな獅子を見かねてか。

  狸は自分の腹を撫でた。

  

  「でも…終わって…代休が貰えたら…しよっか。」

  

  「…うっす!!」

  

  獅子の耳がピンと立つ。その様子を見て…狸は、幸せそうに微笑むのだった。

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