変わり者の狐面

  「狐面?」

  「そう。

  処分する予定なんだけど、欲しいかなと思って」

  友人から電話がかかってきて、何やら古そうな狐面が出てきたと言われた。

  「お前ってそういうの集めてただろ?

  妖怪とか好きなんだっけ」

  「僕が好きなのは人外だよ。

  、、、妖怪も人外だけど。

  とりあえず見に行っていい?

  見て決めるわ」

  「、、、イメージしてたのとちょっと違うね」

  見せてもらった「それ」は、顔を全て隠すタイプの狐面だった。

  「どんなのを想像してたんだ?」

  「お祭りでよく見る口元が隠れてないタイプのお面」

  「古いものだから、昔の形のままなんだろうな。

  で、いるのか?」

  「いる」

  家に帰り、狐面を手に取って眺める。

  「、、、あいつが昔って言ってた割には、意外と劣化してないね」

  色も剥げてないし、かなり綺麗な代物だ。

  仮装に使っても違和感はないだろう。

  「、、、ちょっと着けてみよう」

  狐面を顔に近づけ、紐を結ぶ。

  すると、視界が歪み、僕は悲鳴を上げるまもなく気を失った。

  「、、、あれ、いつの間に寝てたんだろう」

  目を覚ますと、何かがおかしい気がした。

  さっきまでつけていたはずの狐面が、視界に映っていない。

  腕に何か結ばれている感覚があったので、腕を見てみる。

  「、、、え?」

  僕の腕は毛に覆われていて、手首には狐面についていた紐と同じ色の紐がついている。

  「まさかこれ呪われてたの!?」

  体と狐面が同化した!?

  現実的にありえ、、、

  「、、、ありえてるわ」

  鏡には、寝る前の僕と同じ格好をした狐の獣人が立っていた。

  尻尾もある。

  「、、、どうしよう」

  そういえば、この近くに稲荷様がいる(と言われている)神社があったはず!

  そこに行けば何かわかるかも!

  パーカーのフードを深くかぶり、ロングコートで尻尾を隠す。

  誰かに見られるわけにもいかないので、走って神社まで向かう。

  、、、全然疲れないな。

  いつもならバテている頃なのに、今は全然余裕だ。

  多分獣人化した影響だろう。

  このまま神社まで行く!

  神社には、見慣れない存在が佇んでいた。

  「、、、お主、人間じゃろう」

  巨大な狐に尋ねられる。

  「ええっと、、、はい」

  狐は大きなため息をつくと、胡散臭そうに僕を見た。

  「なぜここに来た」

  「なんとかしてもらえないかと思って、、、」

  「、、、なんとか、とは?」

  「元の姿、、、というか人間に戻して欲しいんです」

  「ならその紐をほどけ」

  とりあえず、言われた通りに紐を解く。

  すると、体を白い煙が包み、煙が晴れると、、、

  「戻ってる!」

  僕は人間に戻っていた。

  手の中には狐面があった。

  「それは「変わり者の狐面」と言ってな、かつて我に仕える巫女が使っていたものだ。

  「お狐様みたいになりたい!」と変化の術をその狐面にかけたらしい。

  まさかこれほどまで長く効果が残るとは、、、

  人間の欲というのは恐ろしいな」

  あのあと、お狐様に色々と聞いてみたら、「使っても戻れなくなることはない」と教えてもらえた。

  せっかくなので、今度これを譲ってくれた友人にドッキリを仕掛けてみよう。

  どんな反応をするか楽しみだ。

  <終わり>[newpage]

  変わり者の狐面→かつて、お狐様に使えていた[[rb:獣好き > ケモナー]]な巫女が作り出した、変化の術がかけられた狐面。装備することで、姿を狐獣人へと変えることができ、結ばれた紐を解くことで元の姿に戻ることができる。獣人化している間は身体能力が強化され、霊的な存在に干渉できるようになる。