黒鉄会の玄関前に段ボールが置かれた、気付いた組員が驚愕の声を上げる。
昨晩
裸電球一つともる地下室に1匹の虎獣人がパイプ椅子に座っていた。
両手は手錠で拘束されている。
「よお、スパイさん。気分はどうだい?」と黒虎獣人のクロマサが話しかけた。
体長2メートルはある巨体の男だ、手は人を殴るように特化したようにゴツい。
「私が最初に気づいたのですよ、ご主人様に褒められるのはこの私です」と
すらっとした白猫獣人、白川が言う。
「我が梟会に忍び込もうとした度胸だけは褒めて差し上げます。しかし私の気配探知能力を
侮ったのが運の尽きですよ。」
すらっとしたスタイルの白川は執事のように振る舞う。
屋敷に忍び込んだスパイが屋根裏にいるのを白川は持ち前の毛並みですぐに探知した。
密かにクロマサに侵入者ありのメッセージを送り、スパイが出てきそうな場所を教え
取り押さえた。
壁に問答無用でスパイは叩きつけられてスパイは失神した。
「やべっ、やりすぎたか?」
「お疲れ様ですクロマサ。こいつは地下室に連れて行きましょう」といい
2匹で運んだ。
梟会。
最近発足した裏社会組織であり組員もそんなにいない。
だが、他の裏社会組織には未知の組であることに変わりはなく
その筋から危険視されていた。
階段から1人の男性が降りてくる、人間だ。
「ご主人様、こちらが捕縛した不届者でございます。」
「ご苦労、2匹ともよく頑張ったね」
「ご主人様!俺が捕まえたんだぞ!褒めて!!」
「クロマサ、品がないですよ。貴方。」
「なんだと!?」
はいはい、2匹ともそこまでと嗜める。
ご主人様と呼ばれるその男性は、一見すると専務のような
風貌だった。だが裏社会に君臨する以上ただ者ではない雰囲気を醸し出していた。
「スパイの持ち物はスマホ1つだけでした。ロックがかかってますが」
「ありがとう白川、解析できるかい?」
「承知いたしました」と白川はくるりとスパイのスマホを持ち
出口へと向かった。
「ご主人様!こいつどうしましょう!何発殴りましょうか!」と
クロマサは意気揚々という。
スパイは無言のままこちらを睨みつけている。
「いや、今回は私に任せてもらおう」
「え?」暴力事が好きなクロマサはきょとんとする、自分より華奢なご主人様は
これから何をするのだろうか?
ご主人様は言う。
「単刀直入に聞こう、君はどこの所属だ?」
スパイは答える。
「言うわけないだろう」
当然だ。スパイが安易に身内のことを話すわけがない。
「予想通りの答えだ、よほど訓練を積んだと見える。おそらく拷問に耐える訓練も受けているのだろう、
暴力が通じる相手ではないよ。クロマサ。」
「じゃあどうやって口割らすんか?ご主人様。」
「とりあえずこのスパイ君を床に抑えててくれないか?」とご主人様は言う。
クロマサはコンクリートの床にスパイを抑え込む。
「何をしても無駄だぞ」とスパイは答える。
じゃこういう方法はどうかな?とご主人様は懐から大きな裁ちバサミを取り出す。
「え?」とスパイは呆気に取られる。
ご主人様はジャキジャキとスパイの服を切り裂き始めた。
「なっ!?」スパイは驚く。
「なるほどねぇ」とクロマサは言った。
シャツ、ズボン、パンツ、靴下、靴を細切れになるまで
切り刻んだ。スパイはアラレもない姿で床に座らせられる。
「んっっ?」いきなり裸にひん剥かれたスパイは動揺する。
「クロマサ。クローゼットの中にある鞄を持ってきてくれ。」と命じる。
クロマサは地下室のクローゼットにあった鞄を持ってくる、ずしりと重い。
ご主人様は中から赤いロープを取り出した、スパイの両足をM字開脚の格好に
手際よく縛る。
「何しやがんだてめえ!俺は男だぞ!!」とスパイが言うも
ご主人様は「知ってるよ」と言い、開口器をスパイにはめた。
「あっ、あがっ」と虎獣人の口は閉じることができなくなった。
クロマサは疑問に思う、口を封じてしまうと何も聞き出せないのでは?と。
「どこの組のものだ?」
ご主人は無機質な声で聞く。
スパイは顔を真っ赤にしながらブンブンと顔を横に振る。
お待たせしました、ご主人様。と白川が戻ってきた。
目の前の光景に一瞬眉間をしかめるも、スマホを見せる。
「ロック解除完了しました、中には組の関係者と思われる連絡先が複数ありましたが、
どこの組かは書いておりません。」
万が一のための対策なのだろう。
「それだけで十分だ」
ご主人様はスパイの口に錠剤を入れペットボトルの水で飲ませる。
「げはっ、な、なにふぉ」とスパイは開口器ごしに言う。
ご主人様は答える。「バイアグラだよ」と。
「!????」
みるみるうちにスパイの男根は迫り上がっていく。
「あーそう言うことか」とクロマサは納得した。
白川は整然とクロマサの隣に立って待機する。
「生き物っていうのは苦痛に耐えられるようにできてるんだ、でも快楽には抗えない」
カバンから次々とSM道具が取り出される。
まずニップルバイブをスパイの両乳首に取り付けた。
「んんんっつーーーー!!」とスパイが叫ぶ。
乳首に電動の刺激が走る、身を捩らせるも開脚縛りのせいでコンクリートの壁までにしか
逃げられない。
「開口器をつけたのは舌を噛んで自害というパターンを防ぐ為だよ、さてスパイ君。どこの組のものだ?」
スパイは涙目になり顔を横に振る、痛みに耐える訓練なら嫌というほど受けてきた。
だがこんな羞恥に晒す拷問なんて聞いたことがない。
そっか、まだ言わないのかとご主人様は言い
ローションを勃起したスパイの男根に垂らす。
「んんんんっーーーあがっ」
スパイが喚く。
オナホつき電マをスパイの男根に挿入し電源を入れる。
「あっ、ががああああ!???」
ゆっくり電マを上下に動かし刺激する。
クロマサは「うわぁ・・・」と惨状を横目で見る、
白川は平静を装いながらも心臓は鼓動を早めていた。
ご主人様はこういう人間なんだ。
「どこの組のものだ?」
ご主人様はまた問いかける、スパイの顔はもう涙と涎でぐしゃぐしゃだった。
顔を真っ赤にするが、まだ言う気はないらしい。
ご主人様は無言でスパイの尻にローションを塗り
アナルバイブを挿入した。
「ああああああああっっ」
身体の内側から責められる、乳首、男根、アナルと快楽が
スパイを支配していく。
抗えない。
「ンンンンン!!」
ご主人様は2匹に振り返る。
「大きめの段ボールと緩衝材、筆ペン、便箋に宅配伝票を用意してくれないか?」と。
2匹は一瞬たじろぐ。
ご主人様はドス黒いビー玉のような眼をしていた。
まるで光を感じない、生き物の宿る眼球なのだろうか。2人は身震いした。
本当に自分たちが慕うご主人様なのか、あれがご主人様の本性なのか。
別の意味で背筋が凍った。
言われたものをご主人様に渡す。
ご主人様は半紙にサラサラと達筆な4文字の漢字を書く。
『任務失敗』。そう書かれた半紙をスパイの胸に貼り付けて写真を撮る。
ロックを外したスパイのスマホだ。
スマホの画面をスパイに見せながらご主人様は言う。
「どこの組のものだ?」
「言わなければ君の連絡先にこの画像を送信する」
「!!!!!!!!」
言えば所属してる組を裏切ることになる。
言わなければこの惨めな姿を組員に見られることになる。
ダブルバインドだ、逃げ道がない。
「・・・・えげつねえ方法だな白川」
「・・・・・血を流さないだけマシです」
ご主人様は言う。
「どこの組のものだ?」
「いっいふっ、こふふぇふふぁい!!!!」
黒鉄会。確かにそう聞こえた。
「そうか、黒鉄会か。言ってくれてありがとう」
と言いご主人様は開口器を外した。
スパイに水を飲ませた後、すぐに丸めた布を口にねじ込み
手拭いで猿轡をする。
手足だけを縄で拘束し玩具は取り外させた。
ご主人様はクロマサと白川に命令する。
段ボールの中に緩衝材を入れてこの情けないお荷物を配達しよう。
クロマサは力が抜け切ったスパイを段ボールに入れる、もう抵抗する気力もないらしく
胎児のような体制で詰め込まれた。
ご主人様は便箋に何かを書き一緒に入れて蓋をする。
宅配伝票を箱に貼り付けて車の荷台に乗せる。
深夜2時、黒鉄会の玄関前にダンボール箱が置かれた、クロマサが置いたのだ。
クロマサは車に戻り白川の運転でその場を去る、バックミラー越しに荷物が遠のく。
「荷物」の中身を知った黒鉄会はどんな反応をするのだろうか。
クロマサも白川も同じことを考えていた。
「なあ、白川・・・・」
「誰がなんと言おうと私たちの慕うご主人様です、それだけは間違いありません。」
「ご主人様のあの目はなんだ?光の見えない真っ黒な目、どんな人生を送ったらあんな目になるんだ?俺だって何人もこの拳で殴ってきたよ、怯える目や歯向かう目、色々あった。だけど生きてる目をしていた。だけどご主人様の目は生きてる目をしてない。歯向かうものには容赦しない。そんな目だった。」
数分の沈黙の後白川は言った。
「そのご主人様に拾われたのはお互いさまでしょう、私もクロマサも。少なくとも私たちはご主人様に信頼されてる。それで十分です。」夜の街灯の光が車内を走る。
本心は白川も怯えていた、ハンドルを握る手が僅かに震える。
確かにご主人には恩がある、しかしこれから先ついていって良いのだろうか?
梟会の建物が見えてきた。ご主人様が立っている。
「お疲れ様、2人ともよく頑張ったね。今日はゆっくり休みなさい。」
いつものご主人様だ。間違いない。
玄関でクロマサは小声でご主人様に尋ねる。
「あの、ご主人様・・・。もし俺たちがしくじったら同じことをしますか?」と。
まさか、そんなことしないよ。とあっけらかんと返事した。
「裏社会の人間だけど私は血が嫌いでね、敵の血も味方の血も浴びてきた。どれも等しく
臭い鉄の匂いがしたよ、おまけになかなか取れない。うんざりだ。私はできるだけ血を流さない方法で問題を片付けたいだけだよ。争いの火種は燃え上がる前に消火してしまえばいい。」
2匹はお互いの顔を見た、およそ裏社会のボスらしくない言葉だ。
だけど重みがある、間違いなくこの人は想像を絶する過去があるはずだと。
「だからクロマサ、白川。君たちも血を流して欲しくない。生きて組に帰ること、長生きすること。私が命じるのはそれだけだ。」
ああ、こう言う人に自分たちは助けられたのだろう、2人とも無言で頭を下げた。
「ちなみにあのスパイ君に飲ませたのはただのビタミン剤だよ、プラシーボ効果というものだね、彼は思い込みであんなに勃起したんだよ、自白剤よりコスパがいい」
ケラケラとご主人様は笑った。
2人は顔を見合わせた。ビタミン剤??それであの効果???
確信した。この人は、ご主人様は生粋のドSだ。と。
翌朝、黒鉄会の玄関前に段ボールが置かれた、気付いた組員が驚愕の声を上げる。
「おい何か置いてあるぞ」
「伝票に何か書いてある、返品?」
「犀川!?中に犀川がいるぞ!!」
黒鉄会の幹部達は頭を抱えた。
ダンボールの中には震えた子犬のようなスパイ。犀川。
『任務失敗』と張り紙をされた無様なスパイの写真。
そして便箋。
『拝啓。この度は上質な品物を贈っていただきありがとうございました、彼を許してあげて下さい、今後ともよろしくお願いいたします。敬具。』と嫌味なぐらい達筆な筆跡で手紙が入っていた。
幹部達は乾いた笑顔で手で顔を覆う。
「あの組、変態か?」
その後黒鉄会が梟会に手を出すことはなかった。
少なくとも関わってはいけない相手だと思い知らされたからだ。
梟会は一切血を流さず争いを終えたのだ、その後スパイにカウンセリングが
行われたとか。プライドをベキベキに折られた彼は立ち直れるのか。
それは本人次第である。
終わり。