登場キャラクター
・[[rb:牧田 > まきた]] [[rb:牛生 > ぎゅうせい]]
♂。竜族と牛族のハーフ。陰気な性格。
排便量がとてつもなく多い、という特異体質。
それが災いし、不憫な目によく遭っている。
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「よし。次は52ページの3番の例題を……」
ぶぼっっ!ぶりりっ!
……午後一番の授業。数学教師が真面目に教鞭を取り、それをよそに大半の生徒たちが微睡む中……あまりにも間抜けな音が教室中に響き渡った。
教師は鳩が豆鉄砲を食ったような顔を浮かべ、生徒たちは驚いて飛び起き、一同に音がした方へ視線を向け……そして『またか』といった呆れた表情を浮かべた。
「……すみません、体調が優れないので席を外します」
視線の先にいた生徒……[[rb:牛生 > ぎゅうせい]]はおもむろに口を開くと、教師が返答するよりも早く、逃げるように教室を出て行った。
「おい[[rb:牧田 > まきた]]!またサボりかよ!」
「ウンコだって!間違えんなよ可哀想だろー?」
背後から意地の悪い生徒らの茶化しが聞こえてくるが、牛生はそれを振り切るように小走りで歩き出した。
「はぁ……」
特大のため息をつきながら……目指すのはトイレ。そう、彼は大を催している。
……牛生は排便量がとてつもなく多い体質だ。
彼が竜族と牛族のハーフだからなのか、それとも母親のお腹が弱い体質が拗れて遺伝してしまったのか。理由は不明だったが、いずれにせよ彼はそういった不幸な体質を生まれ持っていた。
一番危ないのは体内が刺激される食後。家で食事を摂れる朝と夜はともかく、学校で弁当を食べなければならない昼はどうしようもない。彼が午後一番の授業中にトイレに走るのは、もはやクラスの恒例行事と化していた。
(最悪だ……みんなの前で屁こいちまった……あんなデカい音で……)
牛生は陰鬱な気持ちに苛まれながらも、歩みを進める。ただでさえ長いトイレまでの道のりが、余計に長く感じられた。
そうして歩くこと3分ほど。牛生がたどり着いたのは西棟3階のトイレ。周辺には倉庫と特別教室しかない、校内随一の秘境トイレだ。
そういった立地の都合上、清掃が行き届いておらず、おまけにドアの立て付けも悪い。だが、特異体質かつ陰気な牛生が安心して用を足せるのは、ここしかなかった。
(俺だってしたくてこんなことしてないんだよ……クソが……)
牛生は内心で恨み言を呟きつつ、一番手前の和式の個室に入る。ゆっくりと扉を閉め、ズボンとオムツを脱ぎ捨てると、和式便器に跨った。
「うぐ……ふ……ん゛ん゛っ!」
みぢぢ……も゛り゛っ……も゛りりりっ!!
ぶりゅりっ……にちにちっ!
歯を食いしばり、思いっきり息む……それとほぼ同時に、土石流の如きウンチが尻穴をこじ開け、水面に叩きつけられた。量はすさまじく、白い便器が一瞬で茶色に染め上げられてゆく。
「っ……やべ……」
牛生はふと後ろに目をやる。出したモノの量が多すぎて便器から溢れそうだ。彼はとっさにレバーに手をかけると、中身を流した。こうして何度かに分けて流さないと、便器周りを汚したり、トイレを詰まらせたりしてしまうのだ。
「ぐっ………んんんうっ」
ぶりゅるるるっ!どりゅりゅんっ!
ぶびちちちっ!ぶっっ!ぶぼっ!
湿ったオナラを交えつつも、排泄はまだまだ止まらない。わずか数十秒で便器がウンチで埋め尽くされ、それを慌てて流し、また埋め尽くされ……そんな堂々巡りが10分ほど続いて、ようやく牛生の排泄は終わりを告げた。
「……っ、はぁ、はぁ」
死闘を終え、思わず息を切らしてしまう牛生。元々体力がない彼にとって、この体質はあまりにも重たいデメリットであった。
震える手でトイレットペーパーを巻き取ると、汚れた尻穴を拭き取る。べっとりこびり付いており、綺麗になるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
「……クソっ」
牛生は自身の不幸な体質を呪いながら、少しでも早く授業に戻るべく、後始末を急ぐのだった。
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「……」
グラウンドで体育の授業の喧騒が響く、その横。牛生は一人俯いて歩いていた。
……結局あの後、牛生は早退した。教室に帰りづらい、という理由で荷物の大半を残したまま、彼は家路についていたのだ。
(……ゲームでもして気を紛らわそう)
つい先日買ったばかりのゲームを心の拠り所にしつつ、校門を跨いだ、その時だった。
ごぎゅるるる……っ!!
「ぐっっっ!?」
凄まじい腹痛の波が、牛生を襲った。あまりの痛みに彼は思わず立ち止まってしまった。
……そう、これが彼の体質の恐ろしいところ。つい先程、あれだけ排便したというのに、まだまだ出しきれていないのだ。なんなら先程よりも多いかもしれない。
(い、今からでも戻ってトイレに?いや……)
そう考えた牛生だったが……校門横に建っている時計を見て、考えを改めた。
もうすぐ授業が終わり、休み時間に突入してしまうのだ。再び校内に戻ればクラスメイトと鉢合わせてしまうかもしれない。臆病な彼にとって、それだけは避けたかった。
(やっぱり我慢するしかない)
……牛生はその体質ゆえに、オムツを履いている。だがそれはあくまで『保険』。彼の年齢的にも精神的にも、オムツに頼るという選択肢は無かった。
(とにかく駅まで耐えよう。そこでトイレを……)
牛生は電車通学。彼には駅のトイレを使う、という選択肢があった。学校から駅までは5分ほどで着ける。
乗り換え駅ということもあり、人が多いというのは辛いところだったが……仕方ない。牛生は覚悟を決め、走り出した。
ぷすっ、ぷすっ、ぷっしゅうぅ
(っ、やばいっ……)
前に進むたびにオナラが漏れ出し、リミットが近づいてゆく。それでも彼は走り続けた。
坂を下り、点滅する青信号を駆け抜け、ついに駅を視界に捉えた。
(よかった……ギリギリ間に合ったぞ……!)
後は階段を少し登り、改札を抜けるだけ……だったのだが。絶望というのはいきなりやってくるものだ。
こつん
「うっ」
ずしゃああっ!
階段につまづき、身体が揺らぐ。そして……牛生は転倒した。幸いにも打ちどころが良く、大怪我を負うという事態は避けられたのだが……彼にとって、問題はそこではなかった。
もりゅもりゅっ!みちみちみち!
ぶびびちちっ!ぶぼりりゅゅっ!
ぶっ……ぼぼっ!
オムツの中で、超大量の汚物が炸裂した。
「あう……ぐあっっ!」
さっきトイレで出したのとは比にならない、すさまじい量の『お漏らし』。牛生は慟哭しつつも、起き上がることもできず、ただ排泄欲に身を任せることしかできなかった。
も゛り゛っ……びちびちっ!
にちにちっ、みちちちちっ!
オムツですら受け止めきれなかった大便が、隙間から溢れて脚を伝ってゆく。そして、転倒し立ち上がれない牛生を心配した人たちが続々と集まってくる。
(ああっ……クソ……)
この後に待ち受けている最悪の展開を想像し、牛生は絶望しながらも、抑えることができない排泄に身を任せるしかなかった。