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滅びの魔女に拾われたら愛が重たかった6 信じるものは
バリアル国 会議室
バリアルの名だたる貴族や将軍たちが集まる会議室、私はフードをかぶりマルディナの従者のふりをする
クロムが隣に座り、私の存在を悟らせないようにする
「クロム、私のことは内密にするのか?いざとなればシルビアと戦うのは吝かではないぞ」
「話し合い次第だ、今はまだ大人しくしておけ」
「大丈夫よアルヴァン、なにかあっても私が守るわ」
「…マルディナ」
思わず手が伸びてしまう、いつの間にか私は彼女に心奪われている…これが彼女の思惑通りなのか術中なのか…はたまた魔術の類かと疑う
「ん♡」
しかし彼女の愛おしそうにしてる顔を見ればそんなものあるはずがないと思えてしまう、彼女にあるのは純粋な好意だけだからだ
「…マルディナ…君は…」
「アルヴァン、私は貴方に対して治療以外なにもしてないわ、誓ってもいいわ」
「…考えを読まないでくれ」
「ふふ、ごめんなさい」
幸せなやり取りをしていたが空気が重くなったのを悟る、いよいよ軍事会議が始まるのだ
「皆様お集まりいただいたようで…これよりシルビアとの戦争について話をしましょう」
どうやら国王も直々に参加しているようで、国の危機に前に出ることができる王のようだ
「現在シルビアの戦力はアルテミスを初めとした同盟国の兵や技術を取り入れています、アルテミスと戦いたくない5ヶ国が兵と技術を提供、まさに不沈といったとこでしょうか」
「我が国の戦力では足りぬ、しかしマルディナ殿の力があれば5分というところではないでしょうか」
話を聞く限りかなりマルディナ頼りなとこがある、確かに5カ国の戦慄を統合するのであれば確かに彼女が吹き飛ばす力は必要のようだ
「マルディナ…大丈夫?」
「いつもなら乗り気じゃないけど貴方といるためだもの、吹っ飛ばすのは簡単ね、問題はアルテミスよ、神器ドヴェルグスが厄介なのよねぇ…ドヴェルグスを真正面から叩き潰すのはちょっと骨が折れるわ」
「…なるほど」
「しかし奴らは目下の問題であるドゥーム隊を解体した、これは僥倖と言わざるおえない、奴らがいつもマルディナ殿の魔導兵器を破壊していたからな」
「あぁ、ドゥーム隊隊長、赤煙のアルヴァンも死んだそうだ」
赤煙のアルヴァン、そう呼ばれていたことに私はびっくりした、そんな呼び名で呼ばれていたなどとはおもわなかったからだ、マルディナを見ると
おっそろしいくらいニッコニコの笑顔だった
「アルヴァン♡貴方の評判を聞くだけで私は嬉しいわ」
「今本人がここにいるとバレたらどうするんだマルディナ、スパイ疑われるぞ」
「あら大丈夫よ、貴方は私の従者で愛人よ、裏切れば世界が滅びるのよ?」
「脅しが怖すぎるぞ…」
マルディナのブラックジョークを聞きながら作戦会議に耳を傾ける、どうやら敵大軍はとにかくマルディナの魔法で焼き払うとして確実にアルテミス我止めに来るためやはり最大の問題はアルテミスだ
「マルディナ殿、アルテミスに対する対抗策はあるか」
「無論あります」
(ほう…さすがマルディナだな…)
「私従者がよく知っていますので」
とマルディナが私のフードを外す、アルヴァンの存在が明るみになり会議室はどよめいた
「あ…アルヴァン?!」
「何故赤煙のアルヴァンが?!」
「死にかけていたとこを拾いましたの、肉体も良くて従者にピッタリでしたので♡さらに彼には裏切れば消し炭にすると言っていますので裏切る心配はありませんわ、それに彼もシルビアに裏切られた身、味方をする意味もないかと」
「しかし」
(まぁいいたいことは分かる)
私は自らの服をずらす、マルディナが龍の心臓で補強し、未だに蠢く肉があるがなにより体が半分以上火傷跡があり、おぞましい見た目になっていたのを見せつける
「それは」
「味方にやられました、嵌められたんですよ、盗賊の捕縛のためだと言われて言ったらこのザマですよ、シルビアに今バリアルの情報を持ち帰ろうが殺されるだけです、そんな奴らに従う理由などないでしょう」
「たしかに…」
「しかしだな…」
「ご安心ください、私はマルディナに命を救われた身、死にかけた私をここまで世話をしてくれた彼女の為にも身を捧げましょう…不安でしたらもう1つ証拠を…マルディナ」
「ん?」
彼女の頬に軽いキスをするとまた会議室がどよめいた
「これではダメでしょうか」
「いきなりはずるいわアルヴァン」
「すまない、信用を勝ち取るためなんだ」
さすがにマルディナと相思相愛でかつマルディナが裏切れば滅ぼすと脅しているため、大丈夫だろうと言う結論になりつつある
「アルヴァン殿、其方にアルテミスを止める方法はあるのか」
「考えはあります、まずアルテミスはケンタウルスの集団、その脚力による突撃こそが持ち味、逆に言えばドヴェルグスによる守りによる突撃しかないとも言えます」
「それが厄介なのだろう」
「普通なら…しかし私達にはマルディナがいます」
「あら私?滅びの魔術でもぶつけるの?」
「いや、もっと楽な手段がある、マルディナ、この後君と色々話したい…君の力について私は知らない…だけど滅ぼしたり吹き飛ばしができるなら可能だと信じたい」
「わかったわ」
「アルテミスが我々の陣へ切り込むだとしたらアルテミスさえ停めれば奴らは行軍が出来ないはずですからね、マルディナの魔導兵器で片付けるもいいでしょうが、万全の策を練るために私の提案を聞いていただきたい」
私はそれから行う対アルテミスのための作戦を説明、そのためにもバリアル各所の協力を求めた、私の言葉には説得力があり、私しか知りえないアルテミスの弱点も話した
シルビアの貴族と違いバリアルは話をちゃんと聞いてくれた、そして私の話を信じてくれた…アルテミスと…スレイとの戦いが幕を開けた
「マルディナ殿」
会議後、帰ろうとしたマルディナと私をクロムが呼び止めた
「なにかしらクロム将軍」
「アルヴァンと話をさせて下さいませんか」
まさかの私と話しをしたいと言ってきた、マルディナは殺すつもりじゃないかと前に出るがクロムには殺気が感じられない、しかもアルテミスとの戦いの前にクロムが私を殺すのは考えにくかった
「マルディナ、話をさせて欲しい」
「アルヴァン?」
「…宿敵だが今は肩を並べる仲間…でいいんだよな」
「あぁ」
マルディナが後ろから見張るという条件付きで私はクロムとの話に応じた
…
「ここだ」
連れてこられた場所は港、バリアルは海に面しており、海の資源や他国貿易が盛んな街てまあり、長年軍事国家のシルビアと戦える力はあった
しかし本来は商業国だったが過去の因縁がこの商業国を戦争国に変えてしまったのだ
「潮臭いな…海風というのは初めて嗅いだ」
「フッ、貴様には無縁だろうな…」
「それで話ってなんだ」
「…私はここで海風を感じるのが好きでな、冬は寒いのだが潮の匂いが私を人であると教えてくれるんだ、この海の匂いというのを感じている時が自分が化け物ではなく人でいられてると思えるんだ」
「…」
「私は元々漁師だった…長らく海に出ていないがな」
「徴兵か」
「あぁ、バリアルのためと戦い、神器にまで手にし、今では将軍だ…毎日忙しくて釣りすらできん」
「気持ちはわかる、私も…スレイとの時間が取れなかったからな…」
「今では釣り道具すら握れん、また優雅に気兼ねなく釣りをして釣った魚を捌いて…そんな毎日を私はまた送りたい」
「お前がそんな釣り好きとはな」
「いかんか?冷酷無比な将軍かと思ってたのか?」
「当たり前だ、敵対する時そんな話一切できねぇだろ」
「確かにな」
私達は笑いが込み上げてきた、殺し合いをしてきた私達がいまでは笑い、互いに爆笑していた…クロムが釣りバカだったみたいで釣った魚の味や捌き方、当たった話もしてくれた
こいつとこんな話をするとは思わなかった、まるで友人のように
「アルヴァン、釣りはいい、精神統一にもなる」
「坐禅組ながらするのか?」
「いいぞ、どちらが先に音を上げるかやるか?」
「いい度胸だ、だがそれをするには」
「あぁ、何としても勝たねばならん、アルヴァン、この戦い、私はお前を信じる、勝つためにお前の提示したものに全面協力する、だから」
「わかっている、私もお前を信じようクロム、それにシルビアの奴らよりお前たちの方が信頼できる」
「敵ゆえにか?」
「敵ゆえにだ」
私はクロムと握手を交わす、敵は今友となり、今目の前の脅威へと挑もうとしていた
「アルテミス足止めの話、我が隊とお前とで成し遂げるぞ」
「あぁ、終わったら釣りでもして語り合おうじゃないか」
友と約束をかわした、彼と話すことは色々あるだろう、喧嘩仲間でもいいだろう…だが私はクロムとの釣りが今から楽しみだった
マルディナの家に帰ってきた、なんだかぐったりした、緊張がほぐれたのかからだから力が抜ける
「はぁ…魔導兵器にアルヴァンの作戦の準備と忙しくなりそうね…」
ガシッ!
「きゃっ?!」
家に入るなり私はマルディナを抱きしめた、手は彼女の胸を鷲掴みにし、腹に腕を回して抱き寄せた
「アルヴァン?」
「…マルディナ…」
私は震えていた、今更になって震えが来たのだ
「どうしたの」
「マルディナ、私は怖い、スレイと対峙するのが」
「どうして、かつての恋人だから?」
「違う、私はスレイに再会して…スレイへの気持ちが蘇るのが怖い」
スレイは結婚し子供もいる、自分が介入などできない、しかしまだ私には少しばかり残っているのだ、スレイへの捨てきれない長年の気持ちが
「マルディナ…私は…捨てきれない感情が怖い、アイツに情が湧いて…刃が振るえなかったら」
「…アルヴァン」
「マルディナ…私は…どうしたらいい」
彼女は怯える私の頬に手を伸ばし、野獣を宥めるように優しく撫でてくれた
「そうね、貴方がもしスレイに情が湧いて私を裏切るなら私は狂って世界を滅ぼすでしょうね、でもねアルヴァン、今あなたの前にいるのは誰?貴方の心にいるのはスレイ?私?」
目を瞑り今心にいるのが誰か改めて見つめる…
そこにいるのはスレイではなく…褐色の肌に黒い髪、真っ黒な姿をした…紛うことなきマルディナだった
「…君だよ…」
「ならいいわ…でもアルヴァン、もし不安があるなら…貴方の気持ちをぶつけて欲しいわ」
「ぶつけるって?」
「もう後戻り出来なくしたらいいの、私を抱くの」
彼女は私の頬にキスすると器用に反転し、私を胸に抱きしめた
「アルヴァン♡あなたが好きよ、ほかの女が足を踏み入れられないようにしたいくらいよ、あぁもしくはスレイだけは六肢全部切り刻んであげましょうかね?あなたを苦しめるんだもの、貴方が苦しまないよう消してあげるわ、私は貴方のためならなんだってするわ」
「…それもいいかもしれない」
「え?」
私はその場で倒れ込んだ、マルディナは意外な反応だったのか顔を赤らめている、可愛いと思いながらも彼女にキスした
「君で埋め尽くしてしまえば…スレイを忘れられるだろうか」
「忘れたいの?」
「忘れたい…君だけにして欲しい…でないと…私は狂いそうになる…スレイが…スレイが私を殺そうとした事実が…受け入れられない…!」
「アルヴァン」
彼女は優しく私を抱きしめた、ゆっくり息をするように諭しながら背中を撫でる
「からかったつもりだけど…貴方は本気だったみたいね…アルヴァンごめんなさい…本当はまだ出来ないの、すべてが終わって、貴方の中に私だけになったならその時愛し合うって決めてたから」
「マルディナ…」
「大丈夫よ、私は信じてるわ、貴方が帰ってくることを、帰って来なくても無理心中できるし」
「怖いこといわないでくれ…でもありがとう…」
「アルヴァン、決着をつけましょう…その時好きなだけ抱いていいから、いまはキスだけで許して」
「…あぁ」
私はすべて振り払うようにマルディナとキスした私への絶望的な真実…スレイが私を殺そうとした真実が…私は怖い、もし本当に彼女が私を殺そうとしていたならば…私は…狂ってしまうだろう…だがマルディナがいるならば…それを受けとめれるのではと…耐えることができるのではと彼女に縋り付くように私は抱きしめた…
戦争が起こるまであと…
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