「らびっぴねーたん!」
「……ぁ。はいっ、何ですか?」
「うんとねー、おさんぽしたいな!」
「ぇっ……、だ、ダメですよ……っ。」
「どーしてー?」
「それは、えっと……。」
今日はモグラーニャさん達が、久しぶりに二人でお出かけしたいとの事なのでわたしと子モグラさん達でお留守番をする事になりました。
あの冬の出来事からわたしはモグラーニャさんの家族になり、以前のような寂しい思いをしていた日々とは一転して毎日楽しく過ごせています。
本当に、モグリーナさんや子モグラさん達、何よりモグラーニャさんには感謝しきれない思いでいっぱいです……////
ですが、ずっと独りで居た身なのでどうしたらいいのか分からず、今もこうして子モグラさん達のお願いに対してどうしたらいいか迷っていたりします。
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「らびっぴねーたん!」
「きゃっ!?ぁ、ごめんなさい……お散歩、でしたっけ。い、いいですよ?」
「んー?やったー!」
なんて、考え事をしていると水色スカーフの子モグラさんがわたしの顔を覗き込んできたのでうっかり。
とりあえずさっきは断ったものの、ふと外を見てはすぐに撤回しました。
そういえば、わたしが子モグラさん達のお姉さんになってからもそこそこ経つんですね。
あれから子モグラさん達とは遊んであげたり、一緒に寝てあげたりとかしていますが、それでもモグラーニャさんのようには上手くいかなくて、時々苦労が思い浮かぶようなこともあります。
でも、そんなわたしも子モグラさんくらいの頃はきっとやんちゃだったかもしれません……やっぱりウサギですから////
「じゃぁ、行きましょうかっ。」
「うん!」「はーい!」
子モグラさん達が元気よく返事をするのを見て、可愛いなと思い微笑む。
ただ、暫く此処を開けてしまう事になるんですが大丈夫でしょうか……。
「えっと……、あ、ちょっと待っててください。」
「らびっぴねーたん?」
わたしはそう言うと、居ない間に誰かに荒らされないようにと穴を塞ぐ事にします。
何かないかなと探していると、ちょうどいい大きさのキャビッジがあったのでそれを使って蓋をする事にしました。
モグラーニャさんによる特訓のおかげか、今では軽々と持ち上げることができるようにまでなりましたね。さすがにアソンさんには敵いませんけどっ。
「ん、しょっ……!これで大丈夫、ですね……っ。」
「とじまりとじまりー!」
「はいっ。それじゃぁ行きましょう……!」
「「「「「「「おー!」」」」」」」
準備を整えたわたし達は、早速お散歩として近くの森へと向かう事にしました。
本当ならばお留守番のつもりだったんですが、良かったんでしょうか……。
辺りはすっかり雪が解けて、春の陽気に包まれています。
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──あれから暫く歩いていると、前の方から軽快に跳ねながらこちらへ向かってくる姿がありました。
目立つ真っ赤なボクシンググローブをしている姿にどこか見覚えがあるわたしは相手の名前を呼ぼうとすると、それより先にわたし達よりも大きな女の人に呼ばれてしまいます。
「ぁ、カンガルーンさ……。」
「ピョーンピョーン。……あら!ラビッピちゃんじゃないっ。」
「こ、こんにちはです……っ。」
「「「「「「「こんにちはー!」」」」」」」」
挨拶をすると、わたしに続いて子モグラさん達もカンガルーンさんを見て挨拶をします。
カンガルーンさんはわたしに挨拶を返すと、子モグラさん達に目を向け不思議そうな顔をしました。
「ウフフッ、こんにちはっ。って、あら?モグラーニャの子供達じゃないの。」
「えっと……わたし、お姉さんになりました……っ////」
「まあっ!そうなの!?」
「はいっ……色々あって……。」
経緯を話すと長くなりそうなので、とりあえず子モグラさん達のお姉さんになったと答えるわたし。
当然のようにカンガルーンさんが驚いたので、少しばかり恥ずかし気に目線を落とし。
「ふ~ん、ウサギがモグラのねぇ~……そういえば彼は居ないのかしら?」
「モグラーニャさんですか……?」
「ええっ。アナタの大好きな人なんでしょ?知らないけれど。」
「っ!?そ、そう、ですけど……////」
あれ、カンガルーンさんにはお話していなかった気がしましたが、誰から聞いたんでしょうか……。
モグラーニャさんについてストレートにそう言われて顔を真っ赤にするわたしですが、カンガルーンさんは特に興味もなさそうに話を変え、お腹のポケットからリンゴを取り出し始めました。
「んー……まっ、いいわ~。今日もリンゴがたくさんあるのっ、そうだわ!これアナタとその子達にあげるわね。」
「えっ……い、いいんですか……?」
「りんごー!いーのー?」
わたしと水色モグラさんがカンガルーンさんを見上げ、水色モグラさんが目を輝かせてカンガルーンさんの取り出したリンゴを見ています。
持っている全てのリンゴを取り出し終えたのか、此方へ向き直るとカンガルーンさんは「フフッ」と笑んで。
「ええ♪もちろんよ!あたし達友達じゃないのっ。まあそれに~、その子達に対してのお詫びもあるしね?」
「ぁ、ありがとうございます……っ!////」
「わーい!かんがるーのおねーたんありがとー!」
そうでしたね、あの一件以来わたしは時々カンガルーンさんにはお世話になっていますし////
お礼を言うと大きな袋を用意して、その中にリンゴを入れわたしへ手渡してきました。
「ウフフッ、いいのよ!じゃっ、子守り頑張ってね~!」
「は、はい……また……って、こ、子守り……?」
そして背を向けると何を勘違いしたのかそう言い残し、長い尻尾を揺らしながらカンガルーンさんは来た道を戻っていきました。
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「こ、こんなに……良かったんでしょうか……。」
「らびっぴねーたん!たべよー?」
貰った大量のリンゴの入った袋を見てぽつり。
すると、子モグラさん達はわたしの隣に来て食べようと提案してきました。
「えっ?あ、そうですねっ……じゃぁあそこの木陰へ行きましょうかっ。」
「わーい!」
「ぁ、ま、待ってください……っ!」
ちょうど陰になっている所があるので、そこへと移動する事にします。
一気に駆け出す子モグラさん達、本当に元気いっぱいですっ。
━━━━
「えっと、こっちがわたしの分で……こっちがモグラさん達の……。」
木陰に着くと早速、リンゴを子モグラさんでも食べられるよう半分に割り、それぞれわたしの分と子モグラさん達の分へ分けました。
「はやくはやくー」と子モグラさんが急かす中、それを渡します。
「出来ましたっ……どうぞ、です////」
「わーい!いただきまーす!」
「いただきます……っ。」
手を合わせて言うと、わたし達はカンガルーンさんから貰ったリンゴを口にします。
やっぱり、カンガルーンさんのリンゴは美味しいですっ。
「んっ……やっぱり、おいひいれふ……////」
思っていることがそのまま出てしまうくらいに。
しかし、その横ではあっという間に子モグラさん達がリンゴを食べ終えてしまってました。
「ごちそーさまー!」「らびっぴねーたんしあわせそー。」
子モグラさん達がわたしのリンゴを食べる姿をじーっと見つめています。
その間は気づかず夢中になっていて、子モグラさん達から遅れる事ようやくわたしも食べ終えました。
「……はぁ。ごちそうさま……ってもう食べたんですか!?」
「うん!」
子モグラさん達の方を向くと、既に食べ終わっていたのかその場に仰向けになっていて。
「さすが、ですね……っ。」
「えへへー!」
モグラーニャさんも結構早いですし、やっぱり親子だなって思いました。
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「さてお腹もいっぱいになりましたし、次はなにしますか?」
一休みした後、せっかく森へとやってきたので楽しい事をしようと子モグラさん達へ何がしたいかを聞いてみます。
すると、子モグラさん達はそれぞれ一人一人違う事を挙げてきました。
「おにごっこー!」
「かけっこー!」
「ぁ、良いですね。でもわたしじゃ……。」
「かくれんぼがいーい!」
「だるまさんがころんだ。」
「ぼくおひるね~。」
「わたしも~。」
「らびねーもふもふしたいな。」
「え、えっと……。」
一度にたくさん挙げられ、迷うわたし。
そもそもわたしはウサギで、みんなは小さなモグラさんなので競争とかはどうしてもわたしの方が有利になってしまいますね……。
ですが、子モグラさん達は一斉にわたしへキラキラとした眼差しを向けてきたので、とりあえず順番に遊んでみようかなと、子モグラさんの思いに応える事にしました。
「じゃぁ順番にやりましょうか……っ。」
「はーい!」
「えっと、まずは鬼ごっこです……!誰がオニさんやりますか?」
「うんとねー、わたしやりたい!」
「分かりましたっ。じゃわたし達は逃げましょう……っ!」
「わーい!」
赤いスカーフの子モグラさんがオニですね。
わたし達はすぐに森の中へと入り、捕まりにくそうな所を探したり、それぞれ逃げました。
赤モグラさんはどうやら水色モグラさんへ狙いを定めたようで、こちらには来なさそうです!
「わ、わたしはウサギですから……こういうのは得意です……っ。」
もし見つかっても、わたしの方がさすがに足は早いと思うし、跳ねられなくてもモグラーニャさんの特訓で少しずつ脚力は伸びてると思ってますから。
なんて、思っているとどうやら水色モグラさんが捕まってしまったようです。
「つかまっちゃったー。」
「やったー!にげろーっ!」
赤モグラさんはすぐに水色モグラさんから離れるように逃げ始めたようです。
ただ、どうしてこっちへ来るんでしょう?足音がどんどん近づいてきます……。
「まてー!」「あ、だれかいるー?」
「きゃっ……!?」
ふと木陰に身を潜めてたつもりでしたが、わたしとした事が長い耳と尻尾が丸見えだったようです。
わたしはすぐにその場を離れて逃げました。
「あ!やっぱりらびっぴねーたんだ!まてー!」
「っ……っ……きゃふっ!」
しかし、逃げるのに夢中で木の枝があるのに気付かず足を引っかけて転ぶわたし。
するとすかさず、わたしは水色モグラさんに捕まってしまいました。
「つかまえたー!」
「いたた……捕まっちゃいました……。」
「あれ、だいじょーぶー?」
「ぁ、ありがとうございます……えっと、次はわたしがオニですねっ。」
「うん!わー!」
その後わたしは、赤モグラさんを狙っていた所、オレンジのスカーフの子モグラさんを捕まえ、そして再びわたしが捕まった所で終了しました。
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「はぁっ……はぁっ、みんな強いです……っ。」
「ねーねー、ぼくとかけっこしよ?」
息を切らしていると、今度は緑のスカーフの子モグラさんに駆けっこを持ちかけられました。
しかし、わたしはウサギなのですが手加減とかした方が良いのでしょうか……。
「駆けっこですか……えっと……。」
「だいじょーぶ!ぜったいぼくがかつから!」
「そ、そうなんですか?じゃぁ……手加減はしませんっ。」
わたしが心配をしていると、緑モグラさんはその必要はないとばかりに自信満々な様子。
こうなったら、わたしも本気でいかないとです!
「いちについてー!よーい!どん!」
「それーっ!」
「それっ……!」
黄色いスカーフの子モグラさんの合図で、緑モグラさんの横に並んで。
いざスタートすると、わたしは後ろ足で地面を蹴るように走り始めます。
「このまま、わたしが勝ちます……っ!」
少しばかり余裕気にゴールへと向かうわたし。
しかし、ふと振り返ってみるといつの間にか緑モグラさんの姿がなく。
「ぁ、あれっ……?」
緑モグラさんの姿がない事に気づくとその場に立ち止まるわたし。……でしたが。
「やったー!」
「あー!いまのずるー。」
すぐ後ろで緑モグラさんの声がして、向き直るといつの間にか緑モグラさんはゴールしていました。
どうやら、わたしの死角をついた作戦だったようですっ。
「はぁっ、っ……も、モグラさん速い、です……っ。」
「いぇーい!ぼくのかちー!」
「ぅ、ウサギなのに負けました……。」
「よしよしー。」「さっきのなしだよー!」
ウサギとしてのプライドを砕かれて、うなだれるわたしの頭をなでなでしてくる緑モグラさん。
「ぁ、ありがとうございます……っ////」
「わあっ!」
わたしは緑モグラさんの優しさについギュッとしちゃいました///
こんな時でも優しくてかわいいですっ、皆さん。
「あー!わたしもはぐー!」
「ぼくもー!」「らびっぴねーたんはぼくのだよー!」
「ぇ、ちょ、ちょっと……きゃあっ!」
なんて思っているとわたしは子モグラさん達に囲まれた上、抱き付かれて埋もれてしまいました。
でも本当、皆さんかわいいです。そんなわたしは幸せ者ですね……////
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その後だるまさんがころんだをしたり、かくれんぼをしたりしていると、辺りはもう日が暮れてきていました。
「さて、そろそろ戻りましょうっ。モグ……パパとママももう帰ってる頃ですねっ。」
「わーい!」
わたしは子モグラさん達が全員居るのを確認すると、そう言って巣へと戻ることにします。
たくさん遊んだのに子モグラさん達はまだまだ元気いっぱいですね。
「あ、らびっぴねーたん!おんぶー!」
「えっ、お、おんぶですか?」
「あ!わたしもー!」「ぼくもおんぶしてー!」
「はい、いいですよっ?じゃぁ、順番にしますね……よいしょっ。」
そんな子モグラさん達におんぶをせがまれると、わたしは順番に子モグラさん達を背負ってあげることにしました。
そのまま巣へと戻ると、まだモグラーニャさん達は帰ってないようで穴もわたしが塞いだままです。
「ただいま……って、まだ帰ってないみたいですね。」
「パパとママおそーい。」
「ぁ、今開けますねっ。」
最後におんぶをしていた水色モグラをその場に降ろし、穴を塞いでいるキャビッジをどかすわたし。
「ふぅ……モグラーニャさんとモグリーナさん、毎日大変ですね……。」
「ん……なんだか、急に……。……。」
そして、わたしは巣に戻ると途端にそれまでの疲れが押し寄せてきたのか、壁に寄りかかると自然と瞼が落ち視界が真っ暗になりました。
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「ただいま~!みんな良い子にしてたか?」
「あ、パパおかえりー!」
「ふふっ。」
モグラーニャさん達が帰ってくると、子モグラさん達が駆け寄ります。
その様子をいつものように微笑んでみるモグリーナさん。
「おー!ただいま!……って、ラビッピはどうした?」
「それがー。」
子モグラさん達へニッと笑いそう返すと、その場にわたしの姿がないのに気づいて尋ねます。
ちなみにその頃わたしは、いつの間にか子モグラさん達によって草のベッドへ運ばれていて、その上で眠っていました。
そんなわたしの様子をモグリーナさんと、モグラーニャさんが見ていました。
「あらあら、幸せそうに。」
「もしかしてオレ達が出かけてる間、面倒見てくれてたのか?」
「ふふふっ、そうみたい。すっかりあの子達のお姉さんね。」
「よし、ちょうどキャロットも沢山あるし起きたら頼むな?」
「あら、それはアナタの役でしょ?」
「おう!そうだなっ。」
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「ん……モグラさん……かわいい、です……。」
わたしは、夢の中でも子モグラさん達と楽しく遊んでいたのでした。