广告广告
  
ある海軍少将の災難?(依頼執筆物)

  朝の日差しが差し込む、落ち着いた作りの部屋にて

  「では失礼致します」

  大きな机の対面より、背筋を伸ばして敬礼をして部屋から退出する秋田犬の連絡将校に

  「うん、ご苦労様」

  と立ち上がり敬礼で柔らかい笑みを返す、いささか貫禄をお腹に余分に付けすぎた壮年の熊の将官....

  オラヴィ・リコーネン・早瀬少将、60歳である。

  [pixivimage:94455354-1]

  経済大国でもある島国の海洋国家「モディジグ」にて防衛の要所を担っている第2艦隊の司令官を努めている、視野の広い戦略眼に、柔軟な戦術思考と素早い決断。部下達からの信頼も厚い、まさになるべくして司令となった人物である。もっとも、この地位に辿り着くのに必要だった、人生で数回ほど訪れた『棚ぼた的な幸運』を逃さない"したたかさ"も、本人が自覚する所ではあるのだが....

  父は典型的なアジア系....いわゆる和熊なのだが、北欧の白熊の母の血を引く故か、モディジグの熊獣人としてはやや彫りが深い、いわゆる『美中年』と言って良い顔の骨格である。それが加齢による脂肪の蓄積で顔がふっくらとなり、少々嫌味でもあった彫りの深さが上手く中和されて『美男且つ好々爺』という、誰しもが好感を持たずにいられない熊顔となっていた。トレードマークでもある灰顎髭と口髭もスッキリとまとめられている。

  それに加えて普段は滅多に怒らない穏やかな人柄なのだから、部下達からの好感度も上々である。

  もっとも....一度「演習」と成れば、全く手を抜かない容赦の無さから

  『早瀬提督が"仏のお面"を外された』

  と影で揶揄される事もしばしばではあったが....

  長年の軍務における数々の海外派兵....主にPKOではあるが、その経験から「どんな時でも、上も下も平常心を失わない事」の大切さが身に沁みている少将にとっては『演習』だからと手を抜くなどという事は、些かもあってはならぬ事であった。

  先程の部下が届けた書類に目を通し始める。来週からはじまる同盟国である「アメルモ共和国」との合同軍事演習の要項である。近年、活動を活発化している隣国の「魏晋(ぎしん)人民共和国」の海洋進出への牽制を主眼に入れた演習内容となっている。

  ふぅっと溜息が漏れる。地政学的にいつかは「魏晋(ぎしん)人民共和国」とぶつかる事は避けられなかった事とは言え、近年のあまりに露骨な挑発には....

  だからこそ同盟国である「アメルモ共和国」との連携が欠かす事が出来ない。今回の合同軍事演習も含めて、より一層の連携が必要なのであるが....どうにも国内に一定数居る「アメルモ嫌い」はメディアでの声が大きく....と思った所で苦笑し、ひとり呟いた。

  「これもまた、民主主義の弱点、という奴かねぇ....」

  事にあたっているのは儂だけでは無いし、儂もどうせ数年の内に退役するのだ。後は若い世代を信じるしかない。今、儂が成すべきは、今回の演習を実のある物にする為に尽力するだけであると。そう頭を切り替えると、書類に再び目を通し始めるのだった....

  ........

  ....

  同じ頃、アメルモ共和国の「フィジブ諸島」....ちょうど時差的にはモディジグより19時間遅れの昼の1時過ぎ....海の観光で世界的に有名なこの地にて、通な観光客には"いつも何かしら珍しい雑貨が置いてある"事で密かに知られている雑貨店『ヴァンキータック』の名物親父である中年虎の大男、イグナシオ・リベラは店先で遅い昼食をのんびりと平らげていた。2m近い身長に筋肉で引き締まった体つき....普通なら威圧的に見えてしまうだろう体格なのだが、人懐っこい笑顔に世話好きな性格、加えてトレードマークでもある赤いアロハシャツに白短パンと豊かな灰口髭の、いかにも「さえない雑貨屋の店主」という出で立ちは、見事に威圧感を中和していた。

  「行ってくるね、おっちゃん!!」

  「おう! 気をつけるんだぞー!!」

  近くの海岸へ釣りに出かける近所の子供に声を掛けられ返事を返す。椅子に座って嬉しそうに見送ったリベラだったが....新聞に目を戻すと、目つきが鋭くなる。一週間後にこの地で行われるアメルモ共和国が中心となって実施される合同軍事演習....このフィジブ諸島にはアメルモ共和国最大の軍港があるのだ。新聞にはそれに参加する予定の国と司令官の写真が記載されていた。その内の一つ....モディジグ海軍の司令官の写真をじっと凝視すると....表情を和らげ、新聞をたたみ、再び店のカウンターに座って、訪れた観光客相手に笑顔混じりに雑談をしながら、店の親父らしく、こないだ仕入れたばかりの珍しい一品を進めたりするのだった....

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  一週間後、アメルモ共和国の「フィジブ諸島」....海の観光で世界的に有名なこの地は、同時にアメルモ共和国最大の軍港が存在している場所でもある。数カ国共同での合同軍事演習は、この地で一ヶ月かけて行われるのだ。

  軍事演習であると同時に「政治ショー」でもあるこの演習では、どの様な艦隊を派遣したかで、その国の『本気度』を測られる。

  モディジグ海軍の最新鋭軽空母「愛鷹(あしたか)」

  アメルモ共和国製最新鋭戦闘機・VF-45Bを20機搭載して運用できるモディジグで3番目に作られた空母である。VF-45BがVTOL(垂直離着陸機)なので、従来の空母に比べてかなりコンパクトに作られているが、居住区を含めて決して従来の空母に劣る物ではない。更にこの艦を護衛する要であるイージス艦「雨飾(あまかざり)」を含めた空母艦隊をモディジグ海軍は派遣していた。モディジグの『本気』を内外にアピールすのには充分であろう。

  アメルモ側からの祝砲を受けながら、この第2艦隊が入港していく様は壮観であった....

  その様子を伺う影が一つ....大柄な大きな虎は、トレードマークの赤いアロハではなく目立たない軍港関係者の作業服を身に着け、軍港内で様子を伺っていた。灰口髭を捻りながら

  「さてさて....お客さんは予定通りに到着と....」

  ....

  ..

  アメルモの軍楽隊による派手な歓迎を受けながら上陸を果たす早瀬少将達。アメルモ側の用意した車に乗り込んで滞在先のホテルに送られていく車中より、軍港内部に停泊している各国の新鋭艦に目をやる。部下の猪の皆川大佐....愛鷹の艦長が口髭を弄りながら

  「いつ見ても壮観ですなぁ」

  感嘆の声を上げれば、早瀬少将は

  「ああ、今年は特にな....」

  と些か含みをもたせた笑みを返す。

  「魏晋人民共和国」に圧力をかけられているのはモディジグだけではない。アメルモとの同盟は『最後の砦』とも言える。それだけに各国とも今回の演習にはアメルモ側にもアピールする意味で主力か、それに近い部隊を派遣してきていた。もっとも....魏晋側の目を気にして申し訳程度の部隊を派遣してきている所もあるが。

  軍港内の各国の艦艇を眺めながら、そんな各国の事情に思いを馳せ、少将達は滞在先のホテルへと向かっていった。

  ........

  ....

  「では....演習の無事を祈って.....乾杯!」

  「「「「「乾杯!!」」」」」

  あちらこちらで声が上がる。アメルモ海軍の第7艦隊の司令、獅子のオールディス大将が乾杯の音頭をとって、明日から始まる演習の前の、ちょっとした交流会が始まる。無論、参加各国には事前に演習に参加予定の艦隊と尉官以上の将校の名簿は配布されているのだが、やはり「顔合わせ」は必要という事で、こうした場が毎回設けられている。

  各国の艦隊司令達が面通しを一通り終えた所で、各々がグループを作って談笑を始める。和やかな雰囲気を楽しんでいたが.....早瀬少将はそっと会場を抜け出した。実は一滴もアルコールを呑んでいない。別に飲めない訳ではないのだが、ある所に行くのに車を運転する必要があり、ノンアルコール飲料で誤魔化していたのだ。

  そっと抜け出す姿を横目で見ながら皆川艦長が

  『いつもの少将の験担ぎか....まあ、直ぐに戻ってくるだろうし』

  とさほど気にせずに、自身は目の前の猫のファンスの将校に、昔モディジグで作られてファンスでも放送され、ファンスの国民的アニメとなってしまった作品『宇宙王子デューク・グレン』の話題を振られて、少々タジタジとなっていた。自分も見た事はあるのだが、彼の様に仔細を情熱的に語られると「知っている」と言ってしまった事がなんだか申し訳ない気持ちになってしまうのだった。

  ....

  ..

  会場兼滞在先のホテルから車で15分....ゲートにて身分証を見せて軍港内に入った早瀬少将は駐車スペースに車を停めると、徒歩で愛鷹の所へと向かう。

  愛鷹が停泊している桟橋の前で持参した日本酒を開けて盃に注ぐ。自分用の盃も取り出し....帰りがあるので注がれるのは水だが....

  「では、明日から頼むぞ、愛鷹」

  そう言うとぐいっと盃を飲み干す。験を担ぐというか....実際の作戦の前にしても、演習にしても、前夜に自分が乗る艦と盃を交わし合うのが、皆川艦長が言う所の『早瀬少将の験担ぎ』なのであった。実際に効果があるのかなんて本人だって判りはしない。しかし、少しでも良いから....というのは、基本的に『合理主義者』である早瀬にしては珍しく人間臭い一面であると言えた。それに....なんとなく落ち着くのだ。静かな佇まいを見せる自分の乗艦を眺めていると。

  あぐらで座り笑みを浮かべながら愛鷹を眺めている事、10分。日本酒と盃を片付けて、自分の車へと歩き出し.....駐車スペースの近くまで来た所で不意に『違和感』を感じて、思わず飛び退る。薄明かりの中から黒く大きな影が姿を現した。抑えた声で

  「気づくとは流石....って所だな。そのまま物陰に引き込んで気絶してもらうつもりだったんだが....」

  シルエットの感じから虎人らしいという事と....かなり鍛え込まれた躰だという事は判る。躊躇なく腰のホルスターからベレッタM92を引き抜いて構えたが

  「居ない!?」

  目の前の大男の姿がかき消えて....と、思った瞬間に真横からみぞおちに強烈な一撃が打ち込まれた。

  「ぐはぁ!!」

  それでも、どうにか....拳銃の引き金を引こうと、、、当たらなくても構わない。此処は軍港内部。銃声を轟かせれば憲兵隊達が直ぐに駆けつける筈.....崩れ落ちながらも拳銃を握りしめたまま、人差し指に力を込めようとして....だが、拳銃を掴んだ右手を踏みつけられると、そのまま手を蹴り飛ばされてしまった。

  拳銃が手から離れると、間髪入れずに背後から首にヘッドロックを掛けられて、物陰に引きずり込まれた。肘打ち、蹴り、思いつく限りの方法で反撃を試みるが、その太い腕は首から離れる事は無かった。なんとか声を出そうとしても太い腕が気道を締め付けて、声を出す事が出来ない。それでも必死に抵抗する事、3分弱。

  やがて....酸素が脳に行かなくなり、早瀬は意識を失った。ダラリと垂れ下がった手足を手早くタイラップで拘束されて背中で結ばれ、更に猿轡を噛まされると、袋の中に放り込まれる。

  大きな黒い虎の影....軍港の作業員として潜り込んでいたリベラは冷汗を拭う。

  「まったく....躊躇無しかよ。護衛無しなんて随分と平和ボケした爺さんかと思ってたんだが、用心して正解だったな....」

  先程、早瀬を引っ掛けたトリックを片付ける。液晶の人型大のスクリーンとそれを立てる三脚。電源を入れると、全てが透過して、そこには「何もない様に」向こう側が見える。しかし、スイッチを切り替えると一部が黒くなり丁度大柄な人が「たたずんで居る」様に見せる事が出来る。昼間では直ぐに気が付かれてしまうだろうトリックだが、視界が効かないこんな夜だからこそ、一瞬ではあるが騙す事が出来た。もっとも....こちらの動作が一瞬でも遅れていれば、躊躇なく拳銃の引き金が引かれ、銃声が轟き、早瀬の目論見通りに憲兵隊が駆けつける事になっただろうが....

  急いで撤収の準備を始める。早瀬が戻って来ない事に気が付かれるのに、後、30分も無いだろう。そうすれば軍港内で早瀬の捜索が始まってしまうのはほぼ間違いない。それまでに....しかも、正規ルートでゲートから出たら記録が残って、犯人もしくは早瀬少将の失踪に関わっている事が早々にバレてしまう。今の所、ニセの身分証で上手く紛れ込んでいるが、目を付けられてしまえば、偽装は容易く見破られてしまう。なので....

  ....

  ..

  急いで外れの桟橋の一角に袋を担いで移動すると、少将が入った袋をロープで海面近くまで下ろす。自分もダイバースーツに着替えて海面まで降りれば、そこには黒塗りの小さな潜航艇が見えない様に出入り口だけが海面に出ている状態で停められていた。

  リベラは非常勤の軍港の作業員....電気技術者として1年前から勤務しており、今日は夕刻にはゲートを通って帰宅してから、この潜航艇で軍港内に戻っていたのだった。これならば、入退出の記録から疑われる可能性は無い。既に2回程、潜航艇での侵入と脱出を行っており、2回とも特に基地内で騒ぎが起きた様子は無かった。因みに自分が『リーダー兼連絡係』を務めている私的な各種の専門家達のコネクションに依頼して作らせた特別製である。

  少将を押し込んだ袋を小さな出入り口から居住スペースにそっと下ろすと、自分達が降りてきたロープを解く。外側が樹脂製である事からセンサーには掛かりにくい。小さいからソナーにも見つけづらいだろう。しかし....小型な分、推力も非力なので、軍港から出たら海流に注意しないと、あっという間に流されてしまう。しかもいざという時に救助も呼べない。

  しっかりと蓋を閉めると、リベラは慎重に潜航艇の舵を取り、軍港の各種センサーに引っかからない様に進路を取るのだった。

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  あれから一晩....密かに島に再上陸して少将を、いつもの『調教部屋』に放り込んで閉じ込めた後、再び非常勤の技術者として軍港に昼前に出勤する。表面上は何も起きていない様に装っているが、憲兵隊達がピリピリしているのは雰囲気で判る。それはそうだろうと思う。同盟国の司令官が、自国の基地内で『誘拐』されたかもしれないのだ。それも大規模な演習の初日にである。事が明るみに出れば、アメルモの面目が丸潰れであろう事は想像に難くない。

  演習自体は、モディジグの副官が代理で司令を努めているようで、今の所、表立って騒ぎにはなっていなかった。だが....果たしてこのまま、ずっと見つからない様ならば、どうなるかは、リベラにも予想は立て難かった。まあ

  『俺が疑われてなけりゃ、問題ないさ....』

  いつもどおりに仕事をこなし、それとなく聞き耳を立て、状況が変化ない事を確認する。後2日....そうすれば、此処との契約も一旦切れる。後は店をのんびり営みながら、裏稼業の方に専念する事が出来る。あの、久々の『一級品の素材』を自分好みの『商品』に仕立て上げる事に....

  含み笑いが出ない様に気をつけながらも、頭の中はその事で一杯であった。今日も夕刻に基地を出て店に戻る。早速店内のカウンター奥に隠してあるモニターで『教育部屋』....店の秘密の地下室....地中に5m程潜った所に作られた完全遮音された部屋の様子を内部のカメラで伺う。24時間効く薬で眠らせているが、まれにあまり効かない体質の者がいるのだ。

  素材....早瀬少将が寝息を立てて眠っている事を確かめると、リベラは店を戸締まりして「Closed」にしてから舌なめずりしながら地下へと降りていった。

  ....

  ..

  店の奥の隠し扉より、深い階段を降りて行き、地下5mの完全遮音された『教育施設』に辿り着く。部屋は2つあって、素材を商品に仕立て上げる為の『調教部屋』と、リベラが調教の為に色々と準備をする為の『準備室』である。階段を降りて直ぐが『準備室』、その更に奥の二重ドアを通ってようやく『調教部屋』に辿り着く事が出来る。階段に入るのも、準備室に入るのも、最後の調教部屋への二重ドアにもリベラの生体認証が鍵となっており、他の人間は一切立ち入る事が出来ない。無論『素材(犠牲者)』がこの三重の障壁を抜けて脱出する事など、望むべくもない....更に言えば、その更に奥により深い調教?を行う為の『拷問部屋』なるモノが存在しており、此処に入った者は僅かに十人程度だとか....

  リベロは店主としてのトレードマークでもある赤いアロハシャツ等を脱ぎ、全裸になると、裏稼業の一つ....この界隈で『教師(ティーチャー)』と渾名される「調教師」のユニフォームに着替え始めた。

  壁に掛かる大きな鏡に映し出される筋肉で鎧われた大きな体。所々に、これ迄の訓練と『任務』によって負ってきた幾つかの傷跡が見える。

  かつて存在した独裁国家。そこで実の親達から捨てられた『彼』は『機関』に拾われた。それは国家に有用な人材を育てる為の物で....『彼』はエージェントとしての適正を認められて最初の『選抜』に合格した。不適と判断されれば命は無かった。それからは訓練に次ぐ訓練....そして繰り返される『選抜』。当初100名程居た同期達は気がつけば10人ちょっとにまで減っていた。最後の『選抜』をくぐり抜けた『彼』は、こうして国の為に働くエージェントとして任務を重ねていった。

  暗殺、潜入、機密情報入手....時にはエージェント同士で組む事もあったが、基本は一人だった。『彼』は人々の中に溶け込みながら、国の任務を遂行していった......

  転機は20年前に訪れる。独裁国家が、その政治体制を維持出来ずに文字通り「崩壊」してしまったのだ。『彼』は、その予兆を以前から嗅ぎつけており、崩壊し混乱した国のかつての中枢....『機関』へと潜り込んだ。そこで自分の本当の名前を知り、実の親達の居場所も知った。自分に関わる全ての記録を抹消してから....実の父親を見つけ拉致してから、『機関』に仕込まれた尋問の技術を使ってじっくりとその精神と肉体に不可逆な傷を刻み込んでいき....最後は文字通りの「廃人」となったソレをそのまま打ち捨てた。母親も見つけ出し....同様の事を行った後、最後は命を絶って土に埋めた。気まぐれに小さな墓石を添えて....

  『機関』の幹部達....彼らを選抜していった者達にはそれ以上の....文字通りの"生き地獄"を見てもらった。

  そうして国に対する遺恨をあらかた晴らしてから『彼』は国を捨て、エージェント時代の繋がりを自分が利用しやすい様な現在の形....各種の専門家同士のコネクションにまで育て上げ、それを利用し又利用されながらフリーのエージェントとして各地を転々としながら任務をこなし、様々な国を渡り歩き、今の場所に落ち着いたのは10年程前になる。

  国家絡みの「任務」は実入りは大きいが口封じに暗殺されそうになるなどのリスクも大きい事から、自然と数を減らしていった。代わりに受ける様になったのが民間からの「仕事」だった。コネクションを通じての仕事の依頼が主だったが、それ以外にコネクションの存在を隠して彼単独でも仕事を取る様になっていった。

  地元にて敵対組織(マフィア等)から情報を盗む。その際に相手側の幹部を拉致してからの「尋問」技術や、時には寝返る様に「再教育」する手腕は、裏社会で評判になっていった。そうして....やがて非合法の人身売買組織からコンタクトを受ける事になる。

  特別な趣向の顧客の為に「商品(肉人形-性奴隷)」を作る仕事をしてみないか?と。

  組織から持ち込まれる「素材」を『再教育』して「商品」に仕立て上げて出荷する。最初は遊び程度に考えていた仕事だったが、やってみれば思いの外、性に合っている事が判った。危険も少ない。そうして『彼』は『調教師』を本業にする事にし、名前をイグナシオ・リベラと名乗って此処に店(拠点)を構えたのだった。裏社会での渾名『教師(ティーチャー)』として。そしてコネクションの方は、主に連絡調整役として関わってコネクションの連携を維持してきたのだった。偶には自らコネクションの仕事もこなしていたが。

  用心深い彼は、組織からの『素材の仕入れ』と、組織への『商品(性奴隷)の出荷』をこの店ではなく、毎回連絡して場所を頻繁に変えていた。

  具体的には指定された場所に『素材』の入った大型の旅行用スーツケースを置けば、監視下の中でも、いつの間にか中身(素材)が抜き取られている事が殆どで....

  仕上がった『商品(性奴隷)』は指定された場所に薬で眠らされているのを、組織の運び屋が回収してきていた。

  その為、組織も地元マフィアも『教師(ティーチャー)』という名前は知っていても、その姿もアジトの場所も殆どの者が知らない状態であった。

  更に用心深い事に、彼は同じ島内だが全く別の場所にある雑貨屋『ファンキーダック(変わり種のガチョウ)』、そしてその主人であるリガロ・マルシアスという大柄だがくたびれた中年のジャガーを、『教師(ティーチャー)』とそのアジトだと匂わせる工作を定期的に行っており、深入りしている者ほど『ファンキーダック』を『教師』のアジトだと思いこんでいた。

  リガロは余計な詮索をしない男で、最初に一度だけリベロは変装してリガロと会い

  「ちょいと面倒事をそっちの店で行う時、旅券と金を郵送するので、その間は店に近寄らないでほしい」

  との依頼をすんなりと二つ返事で了承し、以来、旅券が郵便受けに送られてくると、その間はすぐさま旅行に出て旅を楽しみ、リベロ達の裏工作が済んだ後で、戻ってくるという生活をしていた。その突然旅立つ行動もリガロが『教師』ではないかという疑いを補強しているのだが、本人も薄々気がついて入るが気にはしていない。

  緊急時に連絡する必要がある組織のボスと、特別な連絡係である黒猫だけには素顔を晒してはいたが、素材や商品をやり取りするだけの運び屋達には、その正体を隠し通していた。そうして『調教師-教師(ティーチャー)』として、その名前は謎めいた正体と共に裏社会に浸透していった。どんな『素材』であろうとも『教師』の元に運び込まれれば一流の商品(性奴隷)に料理されてしまうのだと。

  だが、時々....飛び込みで入ってくる『仕事』がある。素材の『仕入れ(拉致)』から「商品」に仕上げるまでを請け負う、いわゆる『指名奴隷』である。理由は様々であるが、多くは「怨恨」か「独占欲」か....ターゲットに指名した相手を一生かけて嬲り尽くしたい。一生独占したい程に惚れてしまった。そんな者達がリベロの事を知って『指名奴隷』の依頼をかけてくる。本来ならば契約している人身売買組織が拉致してくるのが筋なのであるが、ターゲットの拉致があまりにも難易度が高い場合、逆に組織の方から拉致からの仕事を依頼される事があるのだ。やる義理など無い。だから、組織にはお断り前提での金額を申し伝えてある。しかし....それでも依頼してくる者が居る。あまりに高額な依頼料を払ってでも、指名した人物を『商品』にして『納品』してほしいと。

  そうなると、後はリベロの気分次第である。ターゲットがリベロの興味を引くのか、『仕入れ(拉致)』の困難さがリベロのエージェントとしての心を奮い立たせるのか、あるいは別の何かが....

  今回の依頼、確かに危険に見合うだけの依頼料が前金で支払われてきた。しかしあまりにも危険な『仕入れ』である事は一目瞭然である。魏晋と世界の覇権を争っている超大国アメルモの同盟国であるモディジグの艦隊司令を、合同軍事演習中にアメルモの基地内で誘拐するなど、アメルモの顔に泥を塗る用な物である。下手をすればアメルモの諜報部に一生追いかけ回される事になりかねない。しかし....だからこそ、リベロは興味を惹かれてしまった。そして....ターゲットの事を知るほどに、この件に関して深入りしたくなってしまった。要するに、この依頼に「惚れてしまった」のだと、今のリベロはそう理解している。

  依頼料も、仕事の危険度も、ターゲットである早瀬少将なる人物像にも。だからリベラはこの仕事を引き受けた。いずれ依頼者に『商品』として納品するとしても、この人物と関わりたいと。こんな人物を『商品』に仕立て上げる機会など、これを逃せばもう二度と無いであろうから。

  ....

  ..

  みっしりと筋肉が詰まった裸の虎が鏡の前に立っている。興奮の為か、股間が大きく成り始めている。股間にぴっちりとした黒ビキニを履けば、股間がもっこりと膨らんだ姿が欲情をそそる。その上から黒革のぴっちりとしたパンツを、引き締まった臀部に身につけていく。太ももと臀部がいい感じで引き締められる。革の臭いが鼻腔をくすぐる。徐々に面倒見の良い店主「リベロ」から『教師(ティーチャー)』へとスイッチが入っていくのが判る。レザーパンツの股間が膨らみを主張し始める。その感触も心地良い....

  [pixivimage:94455354-2]

  胸の正面で交差するレザーバンドを肩と脇の下から回して装着すれば、良い感じに胸肉に食い込んで、更に心臓の鼓動が増していく。その上から逆三角形の上半身に少しキツイくらいのタンクトップを、鏡を見ながら身につけていく。薄い生地の上から筋肉の輪郭が浮き出て、がっしりとした腕部と肩が強調される様に剥き出しになる。パツパツになったタンクトップが上半身の筋肉を強調している様で、鏡を見ていて興奮してくる。

  最後に、鏡に向かってニィっと笑みを見せる。面倒見の良い店主ではなく、獰猛な肉食獣の虎のソレである。股間の膨らみが更に増した様に見える。完全にスイッチの入った『教師』は豊かな灰口髭を捻り

  「さてと....『仕込み』にとりかかるか」

  そう呟くと奥の部屋『調教部屋』への二重扉を解錠していく....

  ....

  ..

  「ん....」

  早瀬の意識が少しづつ覚醒していく。濁った意識の中で、躰を動かそうとして....躰の自由が効かない事に気がつく。腕も脚も、何かに拘束されて動かす事が出来ない。声を出そうとしても、くぐもった唸りが漏れ出るのみ。目を瞬いて視界をはっきりさせようと....目の前に誰かが立っている事に気がついた。呼びかけようとして必死に声を出そうとしても、くぐもった唸りが漏れるのみ。そうしている内に違和感に気がついた。自分が躰を蠢かそうとするのに合わせて、目の前の『誰か』も躰を動かすのだ。窮屈そうに。やがて....視界が晴れてきて、ようやくその正体に気がついた。それは大きな鏡に写った『儂自身』である事に。

  手首は背中で捩じ上げられて縛られており、身体自体は軍服の上から首元からつま先まで頑丈な縄で一本の丸太の如く隙間なく縛られて腕脚の自由は全く効かない。倒れない様に天井から吊るされた縄で背中を吊るされているのが見える。口には顎に食い込む程にキツく猿轡を噛まされていた。

  「んぅ.....」

  『これは......』

  愕然としている早瀬の後ろから、大きな影が近づいてくるのが見えた。ソレは早瀬の頭を掴んでニヤニヤと嗤いながら、顔を近づけてきた。

  「やっとお目覚めか。よく寝ていたもんなぁ。まあ、これからみっちりと仕込んでやるから覚悟しておけよ」

  「ん....」

  『な、何を....?』

  そんな早瀬の内心の呟きに、ソレ....ぴっちりとした黒革のパンツに、ぱつぱつのタンクトップを着込んだ、早瀬より一回り背丈が大きい筋肉の塊である虎がニィと....豊かな灰口髭で一層強調された蠱惑的な笑みを浮かべて

  「お前はこれからウチの商品....性奴隷に仕上げられて納品されるんだよ。奴隷は主人に絶対服従だからな。だから此処でみっちりと奴隷根性を仕込んで、客に従順な奴隷に仕上げるんだ」

  「ん!?」

  『な!?』

  早瀬の思考は更に混乱する。唯でさえ誘拐されて此処に連れて来られた事自体、まだ理解出来ていないのに、更に自分が「性奴隷」に仕立て上げられる? 早瀬は無駄だと判っていても、必死に躰を揺り動かして縄から少しでも自由になろうとするが、躰に巻かれた縄はびくともしない。その有様を、虎は面白そうに眺めるのだった。

  やがて....それらが無駄だと判り、猿轡の奥で息を荒げてキッと虎を睨みつける太った老熊....早瀬に虎が

  「そうそう、無駄な事されて喉を枯らされても興ざめだから先に教えとくわ」

  『何を?』

  と早瀬が思った瞬間、虎は

  「わあー!!!!!!!」

  と天井に向かって野太い大声を上げ続けた。部屋の中で虎の声が響き渡る。やがて残響が静まった所で、虎がニィと嗤って

  「此処は完全防音されている。いくらこの中で大きな音を立てようが外に漏れる事は無ぇって事だ。だから猿轡が外されたからって大声あげた所で、助けなんぞ期待出来ねぇし、せいぜい俺にお仕置きされるだけって事だ。判ったか?」

  「....」

  『くっ...』

  徐々に自分の置かれた状況が、頭だけでなく心にも染み込んでくる。完全な『手詰まり』....此処で虎の言う通りに「性奴隷」に仕立て上げられるのを受け入れるしか無いのかと.....

  鏡に映る自身の縛り上げられた姿と、その横でニヤニヤと嗤う灰口髭の虎を見つめながら.....それでも何とか心が折れてしまうのを必死に堪える太老熊の様子を、虎は

  『良いねぇ....この揺さぶられている感じ。簡単に折れてもらっちゃつまらないからなぁ』

  と内心ほくそ笑む。そして

  『さて....そろそろ始めるか』

  と、床に置いてある道具箱からハサミを取り出した。

  じっくりと....軍服の上から縄で縛り上げられている太った老熊にハサミを見せつけると

  「さて....先ずは邪魔なモンは取っちまわねえとな」

  縄の隙間....軍服の胸にハサミを入れたのだった。

  「んー!!!!」

  『や、やめろー!!!』

  太老熊の心の叫びを見透かした様に、フンフンと鼻歌を歌いながら虎は器用に縄の隙間からハサミを入れて、制服が切り刻ざまれていく。胸、腕、出っ張った腹。早瀬....太老熊の皮膚を傷つける事なく器用にハサミで制服が切り刻まれていくのを唯、鏡で見ている事しか出来なかった。躰を蠢かせて邪魔しようとしても、虎のガッシリとした腕に押さえつけられて微塵も動く事が出来ない。そうこうしている内に、上半身の制服が完全に切り刻まれ、縄の隙間からスルスルと引き抜かれていく....その残骸が一続きの布切れとなって全て引き抜かれて壁にナイフで縫い留められる。丁度、肩の階級章....少将を表す「一つ星」の真ん中を串刺しにして。

  それが『調教』の始まりである事が、太老熊の心には然と刻み込まれた。此処では「少将」だった事など、何の意味も無いのだと。誇りでもあった軍服を切り刻まれて涙目になりながら.....ニィと灰口髭の虎に嗤いかけられて....

  続いて両の足首に左右から縄が掛けられると、脚を閉じる様に縛めていた縄が解かれ、太老熊は尻もちを着かされて、左右から足首を天井に吊られて、背中、両足首で縄で天井から吊るされた状態で、股間がよく見える体勢で鏡の前に晒される。

  今度は制服のズボンを切り刻んでいく。再び鼻歌を歌いながら、ひとつながりの布切れと成るように器用に制服のズボンが切り刻まれていく。そうして....制服のズボンもひとつながりのボロ切れにされて縄の隙間から引き抜かれて、上半身の制服だったボロ布の隣にナイフで壁に縫い付けられる。

  残るは下着だけ。そんな状態で縄で縛られ鏡の前に吊るされ晒され、太老熊は自分が酷く『無防備』である事を意識せざるえない。

  このまま下着も切り刻まれて裸に剥かれてしまうのだろうか?ゴクリと唾を飲み込んだ太老熊は、鏡の中の自分....白いブリーフとシャツだけ身につけた姿で縛られ、開脚状態で股間がよく見える様に吊るされた姿を凝視せざるえない。しかし....

  両足首を吊っていた縄がゆっくりと緩められ、床に降ろされると、背中から吊り上げていた縄が外される。そのまま脚を背中側に折り曲げられると、股間が開いた状態で太ももと足首をぴったりと閉じられて、縄でぐるぐる巻きにされて、その先端を背中で縛められた両手首に繋がれる。そうして、手足を背中で折り曲げられたまま縛り上げられて床に寝かされた。見れば天井にも大きな鏡が据え付けられており、自分と虎の姿が大写しになっていた。

  虎は先程とは打って変わって、優しげな手付きで太老熊の躰を下着越しに撫で回し始めた。

  「ん.....」

  『な!.....』

  丁寧に躰を揉んでいく。縄による締付けによる窮屈さはどうしようもないが、柔らかく敏感な部分....胸や腹や脇腹や首筋を丁寧に柔らかく揉んでいく。

  拒絶しようにも、こんな体勢で縛られて、しかも虎の剛力で押さえつけられては、只々受け入れるしか無い。今まで気を張っていた所にこんな『不意打ち』を受けては、抵抗もできず....次第に猿轡から吐息が漏れ始める。

  「んぅ......」

  『な、何を....?』

  必死に目で訴えかけても、虎は笑みを浮かべながら太老熊の、下着の上からでも判るむっちりとした躰を弄る事をやめようとしない。そのうちに揉み解しは股間に集中する様になる。内股をねっとりと揉み回し、大きな玉袋をブリーフの上から揉み解して....ブリーフを下にずらして尻穴を晒すと、尻穴と玉袋の間の部分に指で刺激を与え始めた。

  『ひぃー!!』

  そんな所を刺激されたのは初めてで.....そこがいわゆる前立腺の部分である事も知らず、未知の刺激に翻弄されてしまう。やがて....股間のブリーフがゆっくりと頭をもたげた事を虎は確認すると、ブリーフ越しに太老熊の竿を甘噛した。

  『や、やめ、、やめて』

  自分自身の体の予想外の反応....縛り上げられた状態で『男』に躰を弄くられて勃起してしまうという事態に太老熊の精神が揺さぶられる。

  『そ、そんな....なんで男にこんな事されて....』

  その様子に虎はほくそ笑む。別段、太老熊に強い男色の素質があるという訳では無い。ただ、よほどに『嫌悪感』を抱かなければ、男性の躰としてはごくごく普通の反応と言えた。そして....虎にとっては、これからの『調教』に関して、太老熊が障害になるような男に躰を弄くられる事に対する『本能的な拒絶反応』を持ってはいないという事を確かめられたという意味合いもあった。

  未知の感覚に翻弄され、自分の股間がブリーフ越しに膨らんでいくのを涙目で見つめる太老熊の雄竿を、虎はブリーフ越しに舐め、甘噛し、手で睾丸と尻穴の間....会陰部越しに前立腺へ指で執拗に刺激を与えていく.....やがて、トクンとブリーフの中の雄竿が跳ね、じわりとシミが広がり、栗の花の臭いが広がった。虎が

  「ほぉ....素質あるじゃねぇか。初めて男に躰弄くられてイッちまうなんてよ」

  太老熊が涙目でイヤイヤと首を振るが、虎は容赦なくブリーフを引き下げ

  「こんなにドロドロにしちまってなぁ。自分の下着を汚すのも我慢できなかったんだもんなぁ」

  と追い打ちをかけた。

  ....

  ..

  太老熊は呆然と天井を見上げる。その鏡に映っているのは紛れもない自分.....誘拐され、縛られて、誇りとも言える「軍服」をビリビリに引き裂かれて下着だけに剥かれ、今度は下着越しに躰を揉まれ、欲情させられみっともなく自分の下着を精液でドロドロに汚してしまった.....それも、自分をこんな目に遭わせている虎「男」の手によって....

  天井と壁の鏡は自分の情けない姿を余す事なく映し出していた。為す術もなく軍服が切り裂かれていく様子も、縛られ床に寝かされて躰を揉まれて発情して、自分の下着を汚してしまう様子も....まるで自分が虎に捕食されているかの様に覆いかぶさられて、躰をあちこちを刺激され、我慢できずに射精してしまう様子まで。

  こう思わずにはいられない

  『儂は、こんな目に遭わされて、男の手で欲情させられてしまう様な変態だったのか.....?』

  この後の事を考えると、更に気持ちが滅入ってしまう。これはおそらく、これから始まる『調教』のほんの入口に過ぎないであろう事に。暫く天井を見つめていた太老熊だったが、いつの間にか眠りに落ちていた....

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  「おう、起きたか」

  上から覗き込む虎の声で目が覚める。足縄は解かれて床にだらしなく伸びていた。上半身は昨日と同じく、下着の上から縄が食い込んでいた。そうした自分の情けない姿が天井の鏡に映し出されて、更に情けない気分に追い打ちをかける。そして....気がついた。自分の股間が丸出しになっているという事に。

  慌てて周囲を見れば、精液でドロドロに固まったままの自分の白いブリーフが壁にぶら下がっている事に気がついた。キッと虎を睨みつければ、ニヤリと嗤って

  「良いねぇ、その目。まだまだ諦めちゃいないってか? 所で、ちょいと約束してほしい事があるんだがな」

  と、躰を起こされた。そのまま見つめていると

  「今から猿轡を解いてやるけど、舌を噛んで『自害』しようとか面倒な事をしないでくれよ。じゃねぇと、飯もまともに食わせられねぇからよ」

  この男の言う事など、信用できる訳もない。が....今は兎に角、情報が欲しい。少なくとも今は表面上は「従順」を装うべきか?

  じっと見つめる事暫し....太老熊がコクリとうなずいた。虎が太老熊の背中にまわり、うなじで結ばれた猿轡を解いていく。猿轡が外され、更に猿轡によって抑え込まれていた口の中の布が引き出される。太老熊は口で大きく息を繰り返してから.....ゆっくりと口を開く

  「何が目的だ? こんな事をしたら下手をすれば国際問題になりかねない事ぐらいは判りそうだが....」

  虎は面白そうに

  「生憎と、そういうのは興味ねぇなあ。俺はアンタ自身に興味があって、この仕事を引き受けただけだからなぁ。まあ、周りが騒がしくなるのは間違いねぇだろうが、今の所、俺とアンタを結びつける手がかりは無ぇから、アンタが俺に性奴隷に仕込まれる未来は変わらねぇだろうな」

  太老熊がじっと睨んだまま

  「それを信じろと? 儂をこのまま何処ぞの国に売りつけるだけでも、お前には相当な額の報酬が約束されそうな物だがな」

  フッと笑って

  「それこそ、全く興味ねぇなあ。そんな事は真面目なお国のエージェント達にでもやらせておけばいい。俺は俺の楽しみを優先させるだけさ。だから国家機密聞き出そうとか、そんな事は一切やるつもりねぇから安心しな」

  困惑した表情で

  「それでも、儂は性奴隷に教育されて売られてしまうんだろう? その、どうにか戻してもらう事は出来ないのか? 確約は出来ないが、今、戻してもらえば、報酬とかどうにか....」

  言いかけた所で、炒飯を盛ったレンゲを口に突っ込まれた。

  「つまんねぇ事言ってると飯が冷めちまうぞ。ほら、食え」

  これ以上続けても、今は何も進展しそうもない事を悟って、太老熊は虎が差し出すままに、炒飯の盛られたレンゲを口にするのだった.....皿いっぱいの炒飯と、スープまで飲まされた所で

  「さて、それじゃあ次を始めますかねぇ」

  虎が例の、肉食獣の笑みを浮かべる。太老熊はゴクリと唾を飲み込んだ。

  ....

  ..

  太老熊は膝立ちさせられると、その高さで固定する様に天井からの縄が背中に括り付けられれて、背中から吊られる。そして、大きな金ダライが両足の間に押し込まれて、尻穴の下に金ダライの真ん中が来る様に位置を調整される。足首を床から出ている金具に結び付けられて、その姿勢から全く動く事が出来ない。太老熊が不安げに

  「今度は一体、儂に何をやらせるつもりなんだ....?」

  「まあ、それは体験してみてからのお楽しみってことでな....」

  昨日と同じ黒革の引き締まったパンツに、黒のタンクトップを身に着けた虎が、金ダライの真ん中に太老熊が胸に付けていた勲章を置くと、今度は太老熊の尻穴に手を伸ばし、座薬を押し込んだ。

  尻穴への不意に襲う異物感に、目を白黒させる太老熊だったが、次の瞬間からそれどころではなくなった。腹を襲う強烈な便意。座薬は即効性の浣腸薬であった。

  「ぐぅ!!!!!!!」

  必死に太老熊が耐える。金ダライには、自分が長年大事にしてきた勲章が置いてあるのだ。もし今、我慢できなくなったら.....

  『良いねぇ.....その表情』

  虎はニヤニヤ嗤いながら、太老熊のムチッとした腹をシャツ越しに揉み回す。太老熊は脂汗を垂らしながら虎を視線で殺さんばかりの勢いで睨みつけてくるが、流石に口をきく余裕はもう無い。

  10分ほど持ちこたえた事は褒めてやって良いと、虎は内心思った。しかし同時に....

  ブリブリと大きな音を立てて、金ダライに腸の内容物をぶちまけて、涙目になる太老熊を見るのは痛快であった。

  情けない顔をしながら、何度も腹を上下させ肩を震わせながら、腸の内容物を金ダライに排出していく太老熊....一通り内容物が出た所で、ガクリと躰が沈み込む。しかし、これで終わりではない。

  虎はゴム手袋を両手につけると、ホースから出る水で尻穴周りを洗ってから、今度は尻穴にホースを突っ込んだ。太老熊は目を白黒させて、喘ぐように

  「な....なにを........」

  虎がニヤニヤ嗤いながら

  「何ってきまってんだろ。もっと徹底的に中を洗わねぇとなぁ」

  蛇口が緩められ、勢いよく水が太老熊の尻穴の中に注ぎ込まれ、下腹がズンズンと膨らんでいく....ホースを外して、そのごつい手で腹を鷲掴みされれば、尻穴から勢いよく茶色の水が金ダライに注がれる。太老熊は、躰をガクガクと震わせながら、水便を放り出していく。それが勢いを失った所で、虎は再びホースを太老熊の尻穴に突っ込み.....

  「や....やめ......」

  ニィっと嗤いながら

  「キレイになるまで続けるからな」

  と再び蛇口を緩めるのだった.....

  ....

  ..

  結局、6回ほどホースを突っ込まれ、出てくる液体がほぼ透明になった所で、浣腸は終了した。太老熊は、がっくりと躰を吊り縄に預けて、躰を震わせていた。

  「はぁ.....はぁ.....」

  虎が金ダライを片付けてから、吊り縄を外せば太老熊は崩れ落ちる様に床に倒れ込む。

  「むぅ.....」

  呻く太老熊に、虎が

  「これくらい、普通に出来ねぇと、この後が持たねぇぜ。暫くはコイツに慣れてもらう事に専念してもらうぜ」

  太老熊の足首をまとめて縛って、床の金具に繋いでから、虎は『調教部屋』を去っていった。太老熊はやがて、体力を使い果たしたかの様に眠りに落ちた。

  ................

  ............

  ........

  ....

  3日間程、こんな事が続けられる。いや、本当に3日なのか、太老熊には判らない。目を覚ませば食事の後に徹底的な浣腸をされ、気力が尽きてそのまま眠りに落ちる。そんな繰り返しを3回ほど行っているという事だけしか太老熊には判らない。3日も経って無いのかもしれないし、あるいはもっと経っているのかさえも、陽の光が全く入ってこないこの場所では、今が何時かさえ判らない....そんな事も太老熊の気力を削いでいく。

  それでも多少は慣れてきたのか、自由にならない躰で正座に座り直し、額を床に付けて

  「腹の中を綺麗に掃除していただいてありがとうございました、御主人様」

  と、教えられた通りに口上を返す。無論だが本当にそう思っている訳でも、屈してしまった訳でもない。先の浣腸の後で言われたのだ。

  ....

  ........

  ニヤニヤと嗤いながら見下ろして

  「まあ、躰の方もだが、礼儀も躾けてやらねぇとなぁ」

  「....礼儀?」

  太老熊がクタクタの躰で上半身を捩って何とか睨み返せば

  「奴隷ってのは、御主人様の所有物だからな。所有物が反抗的な態度を取ってたら、そりゃ不良品になるだろ?」

  「ふざけるなよ....儂は...」

  「お前さんがどう思ってようが、俺は目に見える反抗的な態度は修正させてもらうぞ。少なくとも納品するまでにはな。お前さんが奴隷に相応しい態度にならない限り、どんどん立場を悪くするだけだと、思うがなぁ。それとも気が変わるまで、猿轡を噛ませて食事は暫く流動食にするか? ええ?」

  悔しさを滲ませながらも、しかし....

  『今、闘うべきはこの男じゃない。兎に角少しでも情報を得るんだ。何処か突破口を見つける為に....』

  次に口に出た言葉は

  「....では、どうかこの奴隷に礼儀を教えて下さいませ」

  と頭を下げたのだった。太老熊の頭に足を乗せて

  「良い返事だ。それと俺の事は、これからは『御主人様』と呼べ。後、お前は奴隷なんかじゃねぇ。奴隷見習いだ。これからみっちりと躾けてやるから立派な奴隷になるんだぞ」

  ........

  ....

  どんな心境で太老熊がその言葉を絞り出したのか、虎にはよく判っている。表面上は取り繕い、しかし内心の反抗心は隠し通して逃げる機会を伺う。だが太老熊は判っていないと虎は内心ニヤリと嗤う。そうやって従順な態度を示している内に、その表面上の態度に引っ張られて、内側の反抗心がどんどん萎えていってしまう事を。

  『さてさて....どれだけ、持ちこたえられるかねぇ....』

  そんな事を考えながら、太老熊の頭をくしゃくしゃに撫でて、

  「ようし、よく言えたな。これで『次』に行けるってもんだ」

  『次』という言葉で、太老熊の躰がビクリと震えたのを見てとっていた。

  ........

  ....

  上半身に残っていた下着が切り刻まれて、縄の隙間から引き抜かれる。背中の手首を縛める縄を残して、他の縄が取り払われ、両の膝裏と両脇に縄を通されてから、足首に縄を巻かれ、膝を折り曲げた状態で、手首と足首が縄で繋がれて、床の上に仰向けに寝転される。膝裏の縄は左右に引かれ、太老熊を開脚状態にして、床から出ている金輪に結ばれる。両脇の縄も肩でしっかりと結ばれてから、頭の左右に出ている金具に結び付けられた。天井の鏡で、自身が全く身動きが効かない状態で拘束されているのが伺えた。

  『今度は、何を....』

  太老熊はゴクリと唾を飲み込んだ。そこに虎が洗面器と道具箱を持って、傍らに座り込むのが見えた。顔を横に向けて虎を仰ぎ見る。黒革のパンツの革臭さが一際強く感じられた。

  「さてと.....」

  虎はスプレー缶をシャカシャカと振ってから、太老熊のむっちりとした下腹部に、スプレーの中身を吹き付ける。シュワシュワという音と共に、白い泡が下腹部から股間までを覆っていく。涼しい感じ....それがシェービングクリームである事に気がつくのに、時間はかからなかった。

  『!?』

  天井の鏡の中の自分を凝視すれば、虎の手に髭剃りの刃が握られているのが見えた。そして....

  「ひぃっ!」

  臍下から雄竿まで髭剃りの刃が疾走り、太老熊の下腹部が陰毛も体毛も含めて大胆に剃られていった....

  『やめろー!!』という言葉が喉から出かかった。しかし、そんな事にはお構いなしで虎は自分の体毛を剃っていくのは判っていた。反応など見せれば、却って虎を喜ばせるだけだろう。太老熊は鏡の中の自分を凝視してひたすら耐えた。どんな屈辱的な姿にされようとも、出来る限り『無反応』を貫こうと....

  虎はそんな太老熊の態度を『可愛い』と感じていた。今、出来るせめてもの抵抗。しかし、涙目で密かに歯を食いしばる姿を見れば、何を感じているか、一目瞭然だ。何人もの『奴隷見習い』をこうしてきた虎には判る。そうした事を考えながら、鼻歌まじりに下腹部と股間を大胆かつ繊細に剃っていく。

  ....

  ..

  30分程で、太老熊の下腹部、雄竿、股間、睾丸の体毛と陰毛がツルツルに剃られて、灰色の滑らかな地肌が顔を出す。布巾で綺麗にクリームその他を拭い去られて、太老熊の股間は、本当の意味で無防備な状態であった。

  そして今度は両胸にシェービングクリームが塗られて、乳首周りの体毛が剃られていく。乳首を中心にして同心円状に体毛が剃られていった。

  屈辱的な姿であり、そしてさっきよりも更に『無防備』な心細さを感じてしまう。こらえきれず、涙を一滴、流してしまった。せめて『無反応』を貫き通したかったのだが.....

  そんな姿の太老熊の上からオイルが垂らされる。体毛を刈り取った股間や乳首に。それらが虎の手で地肌に擦り込まれていく。股間と胸を入念に揉み回し、そして....オイルで塗れた指が尻穴に侵入すると、くいっと曲げられ前立腺が直接的に刺激される。それまでの苛烈な『浣腸責め』により、尻穴に異物を入れられる事に対する抵抗感は完全に失われ、ただただ、気持ちよさだけが感じられてしまう.....

  太老熊の脳裏に前回のマッサージの記憶が過る。今度はより直接的に敏感な部分に、体毛という障壁を取り払われて、刺激が加えられてくる。せめて反応しない様に....しかし、そう意識するほどに股間は膨らんでいき、乳首がぷっくりと膨らんできてしまう。

  正直、今ほど猿轡が欲しいと思った事は無い。気を抜けば、はしたない喘ぎ声を漏らしてしまいそうで、必死に歯を食いしばる。だが、顔は上気し、息は荒く、雄竿が立ち上がって我慢汁を垂れ流す。体中から汗が吹き出して、うっすらと湯気が立ち上る。もう限界....太老熊はそう思った。が、虎はもっと『底意地が悪い』のだった。

  限界ギリギリを見極めて、すっと手を離す。静まるまで待ってから再び刺激を....そんな事が何度も繰り返され、太老熊は、自分が気持ち良いのか、なんなのか、わからなくなっていった.....

  頭の芯が痺れてしまったように熱く、物を考える事が出来ない。股間がギンギンにそそり立ち、しかしまるで痺れた様に感じて熱くて仕方ない。気が付かない内に太老熊の雄竿の根本にコックリングが嵌められて、勝手に射精する事を禁じられているのだが、そんな事をされた事の無い太老熊は、気がつく事も出来ず、ひたすら熱い股間が射精も出来ずに痺れてしまっている様にしか感じられない。

  そして....口が無理矢理にこじ開けられてしまうと、貪る様に虎の口が食らいついてきた。初めての、濃厚過ぎる口づけに意識が飛びそうになる。豊かな灰口髭が口周りを撫でる。

  そんな事を延々と....1時間近くだろうか。もはや太老熊は思考する事が出来ない。口から涎と泡を垂れ流して、息を荒げ、虎の指による尻穴からの前立腺の刺激と、虎の口に咥えられた雄竿からの刺激で、暴発寸前であった。そんな自分の痴態が天井の大鏡に映し出されて、更に顔と躰が熱く火照り、思考が更に麻痺していく.....やがて、虎が雄竿の根本を抑えていたコックリングを外すと、太老熊は獣の様な叫び声と共に盛大に射精し、意識の無いままに躰を痙攣させ続けて、股間から大量の精液と我慢汁を、顔から涎と涙と鼻水を、体中から雄臭い汗を吹き出させて、自身の垂れ流す体液でドロドロになっていった.....

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  早瀬少将....太老熊が目を覚ます。じっと天井の鏡に映し出された自身の今の姿を呆然と見上げている。

  下腹部から股間と内股、乳首周りの体毛を綺麗に剃られ、露出した灰色の地肌が擦り込まれたオイルで鈍く光っている。手首は背中で縛られ、脚も折り曲げられて背中で足首と手首を繋げられて、仰向けにされており、膝裏と脇の下に通された縄で、床の金具に固定されて微塵も動く事が出来ない。鍛えた筋肉をちょうどいい塩梅で薄く覆う脂肪は、太老熊の躰をとてもエロティックに見せつけ、そのむっちりとした太腿や出っ腹や胸を強調する様に菱縄が食い込んでいた。

  口に再び付けられた、頬に食い込む猿轡が更に欲情をそそる。綺麗に剃られて地肌が露出した部分が滑稽さと惨めさを醸し出し、太老熊が『囚われの身』である事を強調していた。

  あれから数回、あの『狂宴』が行われていた。最初は何とか我慢しようとする早瀬少将....太老熊であったが、虎の手腕の前には全くの無力である事を毎回思い知らされていた。捕らえられ、縛り上げられ、男によって意識を失う程の欲情と痴態を晒す。紛れもなく変態的な行為に溺れている自分が居た。

  虎の言葉がジワジワと太老熊の心を侵食してくる。

  『縛られて、男でイッちまうなんて、元々、性奴隷の素質があったんじゃねぇか?』

  『こんなに早く調教が進んじまうなんてなぁ』

  違うと、こんなのは儂じゃないと否定したくとも、自身の痴態の数々を記録した動画と....躰の中に残る激しすぎる快楽の名残りが、『本当にそうか?』と自分に問い質してくる。

  あの快感に再度、身を投じたいと思う儂が居る。『性奴隷調教』という言葉に心が惹かれて始めている儂が居る。それは、儂自身で破滅に身を投じる事だと、理性では判っていても.....

  雄竿に嵌められた「貞操帯」の感触が心地良い....尻穴の拡張にと、毎回少しづつ太い物に変えられているディルドが尻穴を締め付け擦る感触が心地良い。時折、振動して前立腺を刺激して、漏れ出た我慢汁で貞操帯がぬめって雄臭い臭いを放つのに興奮してしまっている。

  それでも....辛うじて理性をかき集めて、虎に儂自身から全てを投げ渡す様な事は絶対にしない、たとえ絶望的でも最後まで諦めはしないと....僅かに残ったプライドで、そう誓うのだった。どんなに無力感に苛まれても。

  もっとも....そんな男だろうと見定めて、虎はこの仕事を請け負い、実際にそうである事を確かめる度に喜びを噛みしめている事など、早瀬少将....太老熊の想像の範囲外であろうが。

  太老熊は、自分にディルドを挿入しながら虎がニヤニヤしながら言っていた事を思い出していた。

  「もう少しソレ(ディルド)が大きいのを入れられる様になったら『メスにされる』楽しみを教えてやるからな」

  猿轡の下で呟く。

  『儂....女(メス)にされてしまうんだろうか....?』

  どんな事をされてしまうのか、なんとなく判る気がするが、多分、虎は自分が思っている以上の事をやってくる気がする。それが怖くもあり、しかし....それを少し期待している自分が居る事も自覚していた.....

  兎に角、疲れていた。色々な事が有りすぎて....許されるならもう一眠りしてしまおうと、早瀬少将....太老熊は目を閉じて、眠りに落ちた....

  ........

  ....

  同じ頃、アメルモの軍港内では.....

  「失踪して、もう一週間か....」

  「はい....」

  空母愛鷹(あしたか)の艦長である猪の皆川大佐の対面に座るのは、現在、モディジグの派遣艦隊の指揮を執っている秋田犬の吉野少将である。同階級ではあるが、普段は早瀬の艦隊の副司令を務めている。取り敢えず、現状では早瀬少将は体調の急変で倒れた事になっており、その代理として指揮を執っていた。

  普段からこの二人の体勢で指揮を執っていた為、大きな混乱も無く、訓練の日程は順調に消化されていっていた。

  しかし....親族からの承諾は取り付けてあるとは言え、いつまでもこのままという訳にも行かない。合同軍事演習が終了しても早瀬少将が姿を現さなければ、流石に外部の人間も気が付き始めるだろう。いや、もう敵対国には「何らかの異変があった」事は気が付かれていると思って間違いない。このまま見つからなければ、いずれは正式に早瀬少将が行方不明である事を発表しなくてはならない。

  問題なのは失踪した、もしくは拉致されたと思われる場所であった。現在、演習を行っている軍港内。各種の記録を照らし合わせても、それは間違いない。しかし、そんな事を発表すれば、アメルモの面目が丸潰れである。よりにもよって、演習中の基地内で同盟国の指揮官が拐われたなど、アメルモの警備体制が「無能」である事を告発する様な物である。

  だからといって早瀬少将に非がある様な発表をすれば、同盟国内に動揺が走りかねないし、何よりも早瀬少将はモディジグ海軍内での人望も厚い。却ってやぶを突いて蛇を出す様な事にもなりかねない。だからこそ、モディジグもアメルモも、なんとしても演習期間内に早瀬少将を見つけ出そうと懸命に動いているのだが、全く手がかりらしき物が見つかってないのが現状であった。

  「私が....ついていけば....」

  皆川の言葉に、吉野が

  「いや、あれは早瀬が一人で行う儀式だ。ついていかなかったのは、君の所為じゃない。それに....一部の者しか知らない、あの験担ぎを誰がどうやって知って、しかも基地内から誰にも知られず拉致したのか....既に我々全員の問題だよ。早瀬が自分から居なくなったのではないと仮定してだが....敵は誰であり、どうやって入り込んだのか? まだ近くに居るのか?」

  窓の外を見ながら、そう呟いた。

  ........

  ....

  一方、モディジグ国内の某所にて....国際電話を受けている男が居た。

  「そうか....早瀬は本当に『居なくなった』のだな?」

  『ええ、間違いない様です』

  電話で報告を受けた肥えたブルドッグの老人は....やがてくっくと笑い声を漏らし

  「ざまあみやがれ!! あの野郎めが!! くく....あの男、本当にやりよったわ」

  落ち着いた茶系統の色調の和服を身に着けているが、そんな装いが台無しになりそうなくらいに....まるで小躍りしそうな勢いである。その喜び方も、なんというのか....品性が感じられない"下卑た"喜び方であった。

  「くくく....もうあの野郎は死んだも同然だ。死んでたって構わないが、出来れば儂の味わった思いを儂自身の手で...」

  その目には、ある種の『狂気』が宿っていた....

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  「んん....ん....」

  太老熊の口に食い込んだ瘤付き猿轡から、熱を帯びた呻き声が漏れる。日課となった食事後の徹底した浣腸の後、両方の脚をそれぞれ片方づつ折り曲げられて、膝頭から始まり太腿からふくらはぎまでしっかりと食い込まされてから足首に巻きつけられた縄が、背中で捩じ上げられて縛められた手首の縄と繋げられて、手足の自由を奪われる。肘にも動かせぬ様にしっかりと縄が掛けられており、動かせるのは首から上と、太腿の開閉ぐらいである。その上から、太ましい腹や胸や尻や太腿に肉が溢(こぼ)れて強調される様に菱縄が掛けられていた。

  壁の鏡の手前で太老熊のそんな姿を、灰口髭の虎は抱きかかえてじっくりと見せつける。相変わらずぴっちりとした黒革のパンツに、パツパツのタンクトップの姿である。革パンとタンクトップの上に浮き出た陰影が虎のみっちりと詰まった筋肉を強調していた。

  「良いカッコだな、ええ?」

  下から陰嚢をニギニギすると、太老熊の股間の貞操帯がぬめり、香ばしい雄臭い臭いが漂ってくるのが、虎の興奮を誘い、革パンの股間を大きく膨らませる。

  『まだ、心は抵抗しているが....躰はそうもいかなくなってきたみてえだな』

  鏡に映る太老熊の目は死んではいないし、快楽に溺れてもいない。しかし....躰の調教は虎の予定通りに進んでおり、男に躰を弄られる生理的嫌悪感は完全に払拭されていた。陰嚢を握られて我慢汁で貞操帯を汚してしまう事を太老熊は恥じているが、躰は次なる快楽を求めて興奮し、顔が上気して薄赤くなり、汗が噴き出し、乳首が立ってしまう。

  「おいおい、随分と躰が正直になってきたじゃねぇか」

  虎が片足を鏡の前に突き出す形で折り曲げて脛が下になる様に座ると、その上に太老熊を垂直に立てた状態で座らせる。当然ながら、太老熊の太腿は虎の太腿の両側に分かれ、股間で躰を支える状態となる。

  「んぅ....」

  『き、きつい....』

  その背中から抱きかかえて、じっくりと太老熊の躰を揉み回す。時折、膝を上げて股間も刺激してやる。目が辛うじて理性を保っている事を示しているが、太老熊の躰が刺激が与える快楽に押し流されそうになっている事は、虎の目には明らかだった。じっくりと....舌と口も使い、首筋に舌を這わせ、耳穴に舌と熱い吐息を入れる。更に灰口髭がその周りを擦る事で更に刺激は強められていく....仰け反って舌を避けようとする太老熊だったが、両腕でしっかりと太老熊の躰を抱きかかえている虎はそんな事を許す筈もなく、虎による愛撫は鏡の前で続けられた。やがて、目に見えて太老熊の目から抵抗色が消えてきた所で、今度は仰向けに寝かせて、太腿を開いた状態で床の金具に縄で固定する。

  「さて、もうちょっとギアを上げていくから覚悟しな」

  天井の鏡で自分の姿を確認する太老熊だが、却って躰が昂ぶってしまう。そんな太老熊に、虎はタンクトップを脱ぐと胸の十字の革帯と、黒革のパンツだけの姿で、全身を使って太老熊の躰を刺激し始める。顔に革パンツのもっこりと膨らんだ股間を押し付け、太腿で太老熊の顔を挟み込み、手指と口と舌で下腹部と股間を刺激する。貞操帯が嵌められているので暴発はしないが、その分我慢汁がたっぷりと分泌され、太老熊の股間の下に我慢汁で溜まりが出来ていた。

  そんな様子を確かめながら、虎はじっくりと太老熊を攻めていく。いつもの様に「快楽」で意識を飛ばす様な急激な攻めは控えて、太老熊の理性にしっかりと刻み込む様に攻めて行く。鏡に映った目で、太老熊がまだ意識下では抵抗している事を確認しながらも、逆にそれだからこそ、太老熊の理性に「縛られて男に躰を弄くられて欲情してしまう自分」という事実が刻み込まれていく。

  「どうでえ? 男色に溺れた自分のカッコはよ?」

  弱々しく首を横に降る太老熊だったが、目に苦悩の感情が浮き出ていたのを、虎は見逃さない。そのままじっくりと躰を舐(ねぶ)りながら『言葉の刃』によって太老熊の心を責め苛んでいく.....

  そんな事が2時間程続いただろうか....太老熊の目は弱々しいながらも、まだ理性の光を失っていない。おもむろに革パンツのジッパーを下に下ろせば、虎の巨根がボロンと姿を現した。それを太老熊の顔に押し付ける。毎日シャワーを浴びているとはいえ、我慢汁ですっかり濡れそぼったソレはかなり強烈な臭いを発している筈だ。しかし....太老熊に生理的嫌悪感の兆候は見られない。むしろ呆然とそれを見つめていた。

  「今からコイツがおめえのケツ穴に入るって訳だ。つまり今からメスにされるって事だ。嬉しいか?」

  ニィと嗤う虎に対して、太老熊が弱々しい呻きを漏らす。

  「んぅ....」

  『い、嫌だ....』

  涙目で首を横に弱々しく振る太老熊だったが、それは虎を喜ばせるだけであった。

  太老熊の開かれた股間の方にまわると、虎は自身の巨根にローションを塗りつけてから、少しづつ、少しづつ、太老熊の処女穴を、押し開いていく。ジリジリと尻穴と下腹が圧迫されていく....

  「ん....ん...」

  『お、犯される....』

  時折、痙攣しながらも、しかし、確実に太老熊の尻穴は大きく伸びて虎の巨根を飲み込んでいった....

  太老熊の尻穴が、虎の巨根を根本までしっかりと咥え込んだ所で、虎は太老熊を床に縫い付けている縄を全部外すと、太老熊を抱えて駅弁スタイルで立ち上がり、壁の鏡の手前で、太老熊に見せつけながら、腰を打ちつけ始めた。

  なかなかの締り具合の良さに

  『コイツは....中々に名器かもしれねぇな』

  という事は口に出さず、代わりに

  「おらおら! どうだ、このオナホ野郎!」

  と何度も何度も腰を打ち付ける。太老熊は、前立腺を擦られる気持ちよさ、こんな醜態を晒している情けなさ、こんな風に扱われる事に興奮している自分に混乱して、涙と涎と鼻水を振りまきながら、我慢汁を垂れ流し、汗がポタポタと下に落ちる。やがて....虎が限界を迎えた所で、

  「いくぞ! おら、お前もイッちまえ!!」

  貞操帯をむしり取られた瞬間に一気に達してしまい、大量の精液を振りまきながら虎と同時に果てた....

  太老熊はその後、気を失って床に置かれた後も、躰を痙攣させながら、尻穴から虎の精液を大量に垂れ流し、同時に自身の小ぶりなイチモツからも精液をびくりびくりと噴き出させて....精液が尽きた後はひたすら『潮吹き』を繰り返し、やがて動きが弱々しくなっていった....

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  早瀬少将....太老熊が目を覚ます。じっと天井の鏡に映し出された自身の今の姿を、物悲しげに見上げている。

  尻穴に嵌められた不定期なディルドの振動によって目を覚まされたのだ。前立腺にしっかりと当たる様に太老熊の尻穴の形状にカスタムメイドされたディルドは、何の前触れもなく突如振動して、太老熊の眠りを度々破っていた。その刺激に最早逆らう事は諦めた太老熊の股間は、貞操帯が嵌められていて射精の暴発の代わりにメスイキして我慢汁で股間を濡らす。そのムッとする臭いも、僅かに太老熊の羞恥心を刺激し、興奮を促す。目が冴えてしまった太老熊は自身の今の姿を、天井の鏡と、壁の鏡でまじまじと見つめてしまう。

  『性奴隷見習い』という立場から外れずに振る舞う限りにおいて、虎は逆に不当な要求はしてこない。

  食事は餌皿から与えられる様になってしまったが、中身はちゃんとした料理であり『犬食い』する事を要求されるが、味は旨かった。

  定期的に水場で躰を丁寧に洗われ、体毛を手入れされた。その際に、下腹部から股間と内股、乳首周りの体毛を剃り直される。永久脱毛しないのかと尋ねたら

  「それは次の飼い主(依頼主)が決める事だからなぁ」

  と答えられた。

  そうしてから「調教」を経た後、今の様に縛り直されて眠りに着く事を許される。

  天井の大鏡を覗き込めば、自身の....体毛を剃られた下腹部から股間と内股、乳首周りが、露出した灰色の地肌が擦り込まれたオイルで鈍く光っている。手首は背中で縛られ、脚も折り曲げられて背中で足首と手首を繋げられて、仰向けにされており、膝裏と脇の下に通された縄で、床の金具に固定されて微塵も動く事が出来ない。長年鍛えあげて蓄積された筋肉は少々運動しない程度ではやせ細ったりしない。そんなみっしりと詰まった筋肉をちょうどいい塩梅で薄く覆う脂肪は、太老熊の躰をとてもエロティックに見せつけ、そのむっちりとした太腿や出っ腹や胸を強調する様に菱縄が食い込んでいた。

  壁の大鏡を覗き込めば、露わにされた股間部....貞操帯を嵌められた窮屈そうなイチモツに細紐で厳重に縛られた陰嚢、尻穴に嵌められた黒いディルド、太腿や股間や尻や出っ腹に食い込む縄が淫靡に見えた。

  そう、太老熊自身がその様に感じ始めていた。股間が更に火照る程に。

  綺麗に剃られた地肌の露出部のテカリが滑稽さと惨めさを醸し出し、太老熊の羞恥心を刺激する。

  口端に食い込む瘤付き猿轡が更に欲情をそそる。自分が意思表示出来ない『モノ(性奴隷-所有物)』だと感じられて。

  あれから数回、太老熊は虎によって「オンナ(雌)」にされてしまっていた。抱きかかえられて何度も虎の巨根で気持ち良いトコロを貫かれた。天井から宙吊りにされ、猿轡を解かれて口マンを要求された。抵抗は勿論あったが、一度口にしてしまうと、あのムッとする臭いが興奮を煽った。虎のモノは膨張率が著しく、喉奥まで突き込まれて呼吸困難になるかと思われたが、虎の巧みな加減によるものなのか、本当にそうなった事はなく....むしろあの臭いが口から鼻まで満たされる事に興奮を覚え始めていた。そして吊り下げられたまま、今度は後ろから折り曲げられた太腿を開脚されて執拗に尻穴をズンズンと突かれた。そうして....何度も虎の巨根を受け入れてしまうと、虎のイチモツを欲しがる「オンナ(雌)」へと躰と心が変容し始めている事に気付かされる。

  時には意識を失う程に激しく、時には全ての行為を太老熊の記憶に刻み込む様にじっくりと....良いように虎の掌(てのひら)の上で踊らされている自分が居る。そして、それを「心地良い」と感じ始めている自分も。

  『それでも....』

  と太老熊は思う。たとえ抗いようがなくても、虎に自分から全てを投げ渡す様な事は絶対にしない。たとえ絶望的でも最後まで諦めはしないと....それだけは守ろうと。

  変容していく自身の躰と心に心細さを感じながらも、それだけは最後まで守り通そうと誓いながら、やがて尻穴の振動が収まり、股間の熱さが冷めていくと同時に、太老熊も再度眠りに落ちたのだった....

  ....

  ..

  店内のモニターより、早瀬少将....太老熊の様子を伺っていた虎はそっと溜息を漏らす。

  太老熊のディルドに送られる起動信号はランダムではない。虎....リベラが太老熊の仕上がり状態、特に精神面での状態をチェックする為に行っているものだ。此処では太老熊の顔や各所の仔細な様子をカメラで写すだけでなく、脈拍や心拍数まで常にモニターしていた。睡眠は充分かどうか、体調に変調をきたしていないか、精神面で何処か「壊れかけて」ないかどうかまで....単なる「サディスト」であれば、完全に「壊れる」までを如何に楽しむか? しか考えない。相手がどう感じているかまで思い巡らす事が出来るから『商品(性奴隷)』として仕上げる事が出来る。リベロにとっては早瀬少将....太老熊は調教対象であると同時に、愛しい『作品』なのであった。

  だからこそ特に精神面でのチェックは欠かさない。調教初期の不安定な時期は特に。先程のチェックにて大きな問題は出ていなかったが、やはり不安定な事には変わりない。

  「ここからが正念場だな....」

  と呟いて、コネクションからの定期連絡を読み返す。基地内では相変わらず早瀬少将は体調の急変により入院した事になっており、副司令の吉野少将が滞りなくモディジグの派遣艦隊を指揮しているとの事だった。事を表沙汰にはしてないものの、アメルモ側が懸命に犯人捜しをしている事も伝わってきているが、今の所、こちらに到達しそうな情報や証拠は掴んで無いらしいという事を聞いてホッとする。これから一番デリケートな作業が待っているのだ。その矢先にアジトを移す様な事態になっては、調教どころではない。

  一連のチェックを終えると、再び表の顔....雑貨店『ヴァンキータック』の陽気でだらしない店主に戻ってカウンターに座り、少ない客相手に無駄話を始めるのだった。

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  いつもどおりに「食事(犬食い)」と「浣腸」を済ませたら、今日の「調教」が始まる。太老熊は手首と肘を背中で縛られて、天井からの吊り縄に繋がれる。脚は半開きで、両方の足首が床の金具に繋がれた。首輪を嵌められると、もう一本の吊り縄に繋がれ、首を上げている状態にさせられた。猿轡も外されて、太老熊は無言で

  『今日は、何かが違う....?』

  とゴクリと唾を飲み込んだ。虎の格好も黒革のパンツはそのままだが、黒革のブーツに、黒革のチョッキ、軍人が被る様な黒の制帽(軍人や警察官が被る様な帽子)を被った少し威圧的なコスチューム。腰から下げられているのは、乗馬などで使われる「一条鞭」だ。足元にもいくつか種類の違う鞭らしき物が置いてあるが、太老熊には種類は判らなかった。

  虎がニィと笑って

  「どうした? 聞きたい事があるんじゃないか?」

  太老熊は緊張した面持ちで、慎重に言葉を選ぶ。この....誘拐されてから、既に何日経ったのか太老熊には判らなかったが、言葉使いもだいぶ矯正されていた。振る舞いに問題点があれば『お仕置き(主に快楽責め)』で意識を飛ばされる様な目に何度も遭わされて、流石に振る舞いも慎重にならざる負えない。ゆっくりと口を開いて言葉を紡ぎ出す。

  「では....質問する事をお許しください。今日の「調教」は、今までと違うのでしょうか?」

  虎がニヤリと片目を瞑り

  「ああ。今までは男色に慣れてもらう為の「調教」だったからな。だから、男色の快楽を教える事が中心だった。しかし....お前は『性奴隷』になるのだからな。主がこういうプレイを要求した時にも、ちゃんと応えられないとな」

  と腰にぶら下げた「一条鞭」を手にして軽く振ってヒュンヒュンと風切り音を鳴らしてみせた。太老熊は再びゴクリと唾を飲み込んでから

  「それは....御主人様から与えられる「苦痛」にも耐えられる様にという事でしょうか?」

  フフッと鼻で笑ってから虎は

  「それは、半分正解で半分間違いだな。まあ、お前に素質がなければ苦痛に耐えるだけの「調教」になってしまうが.....」

  「素質....ですか?」

  「ま、こればかりはやってみないと判らんからなぁ....なにぶん、最初だから、お前の様子を見ながらだ。変に構えてないで力を抜け。一回は受け入れてもらわんと、なんともな」

  「は、はい.....」

  「あと、悲鳴なりなんなり、好きに叫んでいいぞ。変に我慢されると、本当に素質があるかどうか、判らなくなるからな」

  「はい....」

  ゴクリと太老熊が頷く。正直言って太老熊には、虎の言う所の「素質」が判らないでいた。いや、確かに進んで苦痛を受けて快楽を感じる「マゾヒスト」という人種が居るのは知っている。しかし....自分にそんな素質が有るようには思えなかった。だが....この灰口髭の虎は自分とは今までは無縁だった「男色行為」を自分に開眼させている。もしかしたら、この「被虐嗜好(マゾヒスト)」に開眼させる「秘技」を知っているのかも....それはとても怖く、しかし同時に興味を惹かれている自分も居た。どの道避けられないのであれば....太老熊は静かに息を吐いて

  「では....よろしくおねがいします」

  と、恭しく頭を下げたのだった。

  虎が一条鞭を振るい始める。手首のスナップを効かせて、ヒュンと風切り音を鳴らし、鞭の調子を確かめる。その様をこわごわと伺っていた太老熊に、下腹部にいきなり衝撃が疾走った。虎が太老熊の方を振り向きもせずに、鏡越しに狙いを定めて、下腹部を鞭で打ったのだ。ジーンとした痺れと、そして後から軽い「痛み」が下腹部の毛の無い地肌に染み込む様に伝わってくる。思わず

  「う!....ぅぅぅ」

  と、躰を折ろうとして、縄と首輪に邪魔されてしまう。躰を無防備に開いたまま、痛みを我慢するしかない。虎が

  「さて....一発目はこんな感じだ。下手に避けようとするなよ。どうせ躰は動かせないし、狙った所に当てられんと、却って変に痛みが増す事にもなりかないからな」

  少しだけ目つきを鋭くしながらも、太老熊は努めて声を抑え

  「...判りました.....」

  と答えた。

  そうして風切り音と共に一条鞭による鞭の殴打が開始された。太腿、乳首、と体毛が無い所を中心にして、ほぼ全身に満遍なく鞭の殴打がピシリ、ピシリとゆっくりと打ちつけられる。その度に太老熊の口から呻き声が漏れる。軍人だからして、肉体的な苦痛には割と強い方だと自負していたのだが、こうして無防備に躰を曝け出し受け身等の姿勢が一切取れない状態で打たれると、正直けっこう痛い。そんな太老熊の様子をじっと観察しながら虎は一条鞭を振るい続けた。

  一通り叩いた後、ジンジンとした痺れと痛みで呻きを漏らす太老熊の背後に回ると、その打った皮膚を優しい手付きで指でなぞる。すると

  「ひぁッ!?」

  太老熊が声を上げる。鞭で打たれて皮膚感覚が鋭敏になった箇所を、優しく撫でたのだ。敏感になっているだけに、今までの愛撫よりも一際気持ちよく感じられてしまう。まして先程鞭で打たれてジンジンとした痛みがしていた箇所だけに、その落差が、より一層「気持ち良い」と、脳に誤認識させてしまう。無論、そうなる様に注意深く力を加減しての鞭だからこそである。痛すぎず、しかし感覚を鋭敏にする強度で、露出した地肌を中心に打たれた鞭は「甘い毒」となって、太老熊の皮膚に染み込んでいた。その躰を優しく愛撫されれば、どうなってしまうのか。背中から抱きかかえられ、優しく鞭痕を撫でられる度に

  「ひぃッ!」「んぁッ!」

  と甘い悲鳴が太老熊の口から上がる。こんな....鞭打たれた箇所が、より感じやすくなってしまうなどいう状況は太老熊の想像の範囲外であり、整理できない状況は太老熊の脳に混乱をもたらしていた。しかし....鞭で叩かれて却って「感じる」様になってしまった事実だけはしっかりと記憶に刻まれた。

  虎は鞭痕の愛撫を続けながら

  「こんなに感じちまうなんて、やっぱりそっち(被虐)の素質もあるんじゃないか?」

  「そ、そんな..ひぃッ!」

  「ほらほら、どうしたよ?」

  「ひゃんッ!」

  と、言葉でも「甘い毒」を太老熊の心に染み込ませる事に余念が無い。やがて、躰を一通り揉み回した後で....太老熊がヒィヒィと甘い悲鳴を上げ続けてぐったりと吊り縄に躰を預けた状態になった所で、鞭打ちが再開された。

  今度は、本当に躰から力が抜けてしまって、鞭に躰を強張らせる事さえ出来ず、ただただ鞭を受けるしか無い。今度はより早いペースで鞭が打たれていく。すると....太老熊の躰に異変が生じ始めた。

  風切り音を鳴らしてピシッと皮膚に当てられる一条鞭は、確かに当たった箇所の皮膚をジンと痺れさせ、染み込む様な痛みが生じていた。しかし....その中の幾つかの打撃が「気持ち良く」感じられるのだ。どの打撃もヒュンという風切り音を鳴らして、皮膚に当たってピシッという音を立てている。実際、大体は痛い。しかし何故かそれらに混じってフワッと皮膚を撫でられた様に感じてしまう打撃があるのだ。どれも風切り音を鳴らすほど勢いよく振るわれ、当たればピシッという音を立てるというのに....

  太老熊は混乱する。フワッと撫でられた様に感じた後には、例のごとく、鞭痕を指で優しく撫でられた様な快感が疾走る。同じ様に鞭打たれている筈なのに。それはますます太老熊を混乱させる事となる。唯でさえ、先程の鞭の殴打の痕の愛撫が「今まで以上に感じる」事で、鞭が痛みを与えるだけの物という常識を覆されているのだ。今度は鞭の打撃そのものが「気持ち良い」などと....太老熊の脳は更に混乱して、状況を整理する「理由」を探し始めていた。

  これには、ある「ペテン」があった。実を言えば、この一条鞭、勢いよく振らずともヒュンと電子合成された「風切り音」が鳴り、皮膚に触れただけでピシッという電子合成された「打撃音」が鳴る様に作られたフェイク鞭なのであった。しかし本気で打てば勿論痛い。虎は一回目の鞭の打撃を全て「じんわりと皮膚に痛みが残り、肌感覚が敏感になる」程度に加減して鞭を振るったのであった。鞭で叩かれた痕を優しく撫でれば、先程の通り、太老熊をヒィヒィと甘い悲鳴で叫ばせる様に。「鞭は痛みを与える物」という太老熊の常識を崩す為に。そして2回目....1回目と同程度の打撃に、ふわりと肌を触れる程度で寸止めする打撃を混ぜたのだ。1回目と同程度の鞭の打撃で敏感になった肌を、鞭がふわりと撫でれば....そこには痛みではなく「快感」が生じる。その割合を増やしていけば....太老熊にしてみると「鞭で叩かれて快感を感じてしまう」事になる。太老熊がそんな理由を知る訳もなく、ただ提示される事実は「儂は鞭で叩かれて快感を感じている」という誤認識。

  混乱した脳は「判りやすい理由」を求める。虎の言葉による「甘い毒」にも犯され、いつしか

  「儂は今まで知らなかっただけで、本当は鞭で叩かれて快感を覚える被虐嗜好の変態だった」

  のだと結論づけてしまう。そうなってしまうと、本当に鞭で叩かれて痛みを感じても、逆にそれを否定してしまう様になる。いや、正確には痛みを感じた後から、じんわりと「快感」を感じる様に脳が辻褄を合わせてしまう。そして脳内麻薬であるエンドルフィンが打撃の瞬間に分泌される様になれば、実際にそれは「快感」そのものになってしまう。

  そんなフェイクを織り交ぜた鞭の打撃で太老熊を罠に嵌めた虎は、太老熊の様子を見ながら、再びフェイクの打撃の割合を減らしていき、やがて「痛みを感じる」打撃のみで太老熊を滅多打ちし始める。しかし....太老熊の瞳は苦痛よりも、更に強い快楽に支配されて宙を泳ぎ、漏れ出る声も

  「ぎひゃん!」「くひぃ!」

  と痛みを訴えつつも色を帯びた物ばかりになっていった。顔が上気して、汗がたらりたらりと流れ落ちる。そこには「苦痛」と「より大きい快感」という感覚が同居しており、太老熊はただただ翻弄されていた。

  『そろそろか....』

  頃合いと見て虎は、太老熊の貞操帯を外された小ぶりなイチモツを鞭で強打した。一瞬訪れた苦悶の表情の後、太老熊は表情を快楽で緩めて盛大に射精して気絶したのだった。

  鞭が太老熊にとって「快楽」も与えてくれる道具に変わった瞬間であった。

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  あれから「一条鞭」による調教は続けられ、早瀬少将....太老熊はすっかり鞭の虜になってしまっていた。虎が鞭のフェイクを使わずとも、鞭打たれる度に「痛み」と「より強い快感」を感じて、太老熊の股間は貞操帯の下で我慢汁に濡れそぼり、興奮で汗を垂らし、顔を上気させてしまっていた。猿轡を解けば、口から漏れ出るのは

  「ひぎゃん!」「くきゃん!」

  という、痛みを訴えつつも、快楽を感じてしまっている事を隠せない艶を帯びた叫び声。無論だが、太老熊はそんな自分を恥じて極力声を抑えようとするも、灰口髭の虎による鞭は常に予想外の方向から当てられて、そんな事を許しはしない。

  「どうした、メス犬? もっと欲しくてたまらないんだろう?」

  「んぁああん!!!」

  気持ちよさと、恥ずかしさで涙目で睨んでくる顔がとても『可愛い』と、灰口髭の虎は感じていた。だからこそ、好きな娘により一層意地悪してしまうガキ大将の如く、鞭の打撃の後は丁寧に鞭痕をなぞって、甘い悲鳴を上げさせる事に余念がないのであった。

  そうしてすっかり肉体的にも精神的にも疲労困憊してしまった太老熊の体を、背中の手首の縛めだけを残して、縄を解き、床に押し倒すと、灰口髭の虎は革のブーツ、ダウン、革パンツを脱ぎ捨て、股間の黒ビキニだけになると、太老熊を組み敷いて、その体をしっかりと堪能し、陵辱するのであった。

  唯でさえ、太老熊と虎の間の筋力差は如何ともし難いのに、更に散々弱らされているのだから、最早虎の為すがままである。全身の性感帯と鞭痕を執拗に揉み回され、指で尻穴の前立腺を刺激されまくり、シックスナインの体勢で黒ビキニ越しに太いイチモツを鼻に押し付けられ、股間と陰嚢を執拗に弄られ舐め回され.....尻穴にイチモツを挿した状態で駅弁スタイルで持ち上げられて、何度も何度も突かれメスイキさせられ....その瞬間だけは意識が飛ぶが、同時に溜まり続けている射精欲求により、意識を何度も戻され.....とうとう意識が混濁し、瞳の焦点が合わなくなった所で、貞操帯を外されると同時に尻穴をイチモツで突き込まれて、盛大に射精して同時に果てる。

  床に意識の無いまま転がされた太老熊の尻穴から、灰口髭の虎の子種が垂れ流され、意識の無いまま体を痙攣させて小ぶりなイチモツから大量の精液を垂れ流し、精が果てた後は潮吹きを繰り返して徐々に動きを弱めていくのであった.....

  ........

  ....

  早瀬少将....太老熊が目を覚ます。じっと天井の鏡に映し出された自身の今の姿を、陰鬱な目で見上げている。

  下腹部から股間と内股、乳首周りの体毛を綺麗に剃られ、露出した灰色の地肌が擦り込まれたオイルで鈍く光っている。手首は背中で縛られ、脚も折り曲げられて背中で足首と手首を繋げられて、仰向けにされており、膝裏と脇の下に通された縄で、床の金具に固定されて微塵も動く事が出来ない。鍛えた筋肉をちょうどいい塩梅で薄く覆う脂肪は、太老熊の躰をとてもエロティックに見せつけ、そのむっちりとした太腿や出っ腹や胸を強調する様に菱縄が食い込んでいた。

  口に再び付けられた、頬に食い込む猿轡が更に欲情をそそる。綺麗に剃られて地肌が露出した部分が滑稽さと惨めさを醸し出し、太老熊が『囚われの身』である事を強調していた。

  いつもどおりの自分の姿....だが『違って』いた。

  不定期に襲ってくるディルドの振動で起きた訳ではない。悪夢を見た訳でもない。眠れないのだ。躰が火照ってしまって。全身に疾走る鞭痕の痛痒(いたがゆ)さ。そこに食い込む手足を封じる「太い縄」と、全身に掛けられた少し細い「菱縄」....これらが鞭打たれた痕に食い込んで快感が生じ、痛痒い「気持ち良さ」となって、全身を疼かせる。

  あれだけ精を吐き出したというのに、股間が熱く火照る。尻穴が疼く。

  縛られている「窮屈さ」さえ、心地よく感じ始めている。

  じっとしてられず、少しでも躰を蠢かせれば、鞭痕と縄が擦れてヒリヒリと痛みが疾走る。しかし、それすらも気持ち良く感じていた。

  目を瞑り、心を鎮めようとしても、躰は熱く火照ったまま。心が落ち着かない。

  それがどんなに異常な事か、太老熊の理性は自覚している。

  『とうとう、痛みを「快楽」として受け入れ始めた』のだと....

  あの虎の手腕なのか、元々儂にそういう素質があったのか....それは判らないし、今はどうでもいい。それよりも、今の状態を放置されたら儂自身が狂ってしまうのではないかと。

  このまま眠れない夜が続けば、いずれ思考を失ってしまう。

  これもまた『調教』の一部なのだろうか? 何も考えさせない『木偶人形』にしてしまう事が?

  違う様な気がするのだが、虎の企みなど、儂に解ろう筈もない。現に今、儂は男色を仕込まれて、更には被虐の喜びにさえ目覚め初めている。捕まった当初からはとても想像出来なかった事だ。

  先程、良いように躰を蹂躙されている時、たしかに儂はメスだった....メスの喜びを感じていた。

  屈辱は確かに感じている。しかし....今の変化を喜んでいる儂も居た。今までの人生では知りようもない『喜び』を知ってしまった事に。

  この先、どこまで『堕ちていく』のか、楽しみにしている儂が居る。

  もう、たとえ此処から抜け出せたとしても、元の生活に戻る事は出来ないのではないかと落胆している儂も居るのだが.....

  ....

  ..

  気がつくと、灰口髭の虎の顔が覗き込んでいた。神経が高ぶりすぎて気が付かなかったらしい。虎は少し困った様な笑顔を向けると、そのまま脇に腹ばいになった。そして....太老熊の貞操帯を外し、猿轡を外す。耳元で熱い吐息をかけながら、

  「気分はどうだ?」

  むぅっと黙り込んだ後、一言

  「良くはない....です。眠れなくて....」

  ニヤリと笑い、そっと鼻の頭に口づけしてから

  「今は敬語を使わなくてもいいぞ。調教の時間じゃないからな」

  まじまじと虎の顔を見つめてしまう。なんだか....ある種の"親しみ"が込められている様に感じたからだ。これも虎の調教テクなのかもしれないと思いつつも、これ以上、事態が悪くなるとも思えなかったので、溜息を漏らしながら

  「眠れないんだ....躰が火照ってしまって。そのう、、、縄とか鞭痕とかで色々と感じてしまうんだ。こういう事も"予定通り"なのか?」

  ふふっと声を漏らして

  「まあ、そうだな....お前さんは順調に仕上がってきているし、こういう事は他の『商品』でも何度もあったな」

  「眠らせない事も『調教』の一部なのか?」

  「いや....そういう調教の仕方もあるが、お前さんのはそうじゃない。ある程度の理性を保ったまま、更に堕ちてもらうのが、客先からの注文でね」

  「....やっぱり売られるのか」

  「そりゃ、商売だからな。ちゃんと納品しないとルール違反になっちまう」

  「はぁ....」

  溜息を漏らす太老熊の頭を優しく撫でてやると

  「しかし、それまでは俺の大切な『商品』だ。少し(精を)抜いてやろう。躰の火照りが収まるまでな」

  縄の隙間からはみ出した肉をちょんちょんと、指先で軽く愛撫し躰を優しく愛でる。柔らかな口吻をして、熱い吐息と唾液を交換する。虎の灰口髭が少しくすぐったく気持ち良い。縛られたままの太老熊は無論何も出来はしないが、蕩ける様な感覚で躰の力を抜かれ、されるがまま....

  「ふぁッ....ひゃん!、、、、うぅぅ...ああん!」

  甘い叫びが太老熊の口から漏れる。その後も愛撫と舌舐めと口吻は続き、結局、手で扱かれて三回抜かれ、フェラで二回抜かれた。

  顔が上気し、涎が垂れる。もっと躰が熱くなった様な気がしたが、全身を包んでいた、鞭痕と縄の食い込みによる躰の疼きはだいぶ収まった様な気がした。

  「はぁ....はぁ.....はぁ...」

  「少しは収まったか?」

  声が思うように出せず、コクリと頷いてみせると、虎は水差しの細長い先をそっと太老熊の口に当てる。

  「水分補給のミネラル成分に、睡眠導入剤を混ぜてある。これで眠れる筈だ」

  素直に注がれる液体を飲み込むと、太老熊はやがて寝息を立て始めた。虎はしばらく様子を伺ってから、その場を立ち去った。

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  いつもどおりの「食事(犬食い)」と「浣腸」を済ませると、灰口髭の虎....リベロが戻っていく。

  不思議な思いで消えた方を見つめていると、暫くしてゴツくガッシリとした黒革のブーツを履き、黒革のパンツというよりもビシッとした革製のズボン、上に羽織るは黒革のゴツいチョッキ。それに黒革の制帽を被った、所々に金色と赤色の線と図形で軍服らしさと威圧感を強調したような....昔風の軍服を黒革で全て作り直し、それに現代風に金と赤でアクセントをつけた、一歩間違えれば非常にどぎつくセンスが悪くなりそうな要素を、うまい具合にまとめ上げて「威圧感」「派手さ」「エロティシズム」「軍服の締まった雰囲気」を上手く表現した黒革製の軍服をまとって戻ってきたのだった。

  それに気圧されて、思わず凝視しして生唾を飲み込んでしまう太老熊は、されるがまま、足縄を解かれて鉄の足錠を、首に赤い革首輪を付けられる。猿轡も付け直されて、立ち上がらされると、首輪の紐で引かれるまま、灰口髭の虎の後を付いて行く。分厚いドアを抜けると、此処はこんなに広かったのかと少々驚きながら、自分が普段居た部屋から続いている薄暗く些か不揃いな形の岩のブロックで天井も床も壁も覆われた廊下を引かれるままに移動していった。

  たどり着いたのは、大きな扉の前。詳しくは判らなかったが、中世西欧の様な重厚な装飾と、威圧的な茶と黒の色彩で飾られていた。前に立っているだけで

  『....なんというか、威圧感が凄い。それと....なんだか見覚えが』

  そこでようやく、ダンテの神曲に出てくる「地獄の門」....それを題材にさる巨匠が作った彫刻と瓜二つだという事に思い至った。ゴクリと生唾を飲み込んで

  『これ....本当に石から削り出して....レプリカかもしれんが、これだけでも相当な額の金が掛かっているんじゃ....』

  こんな....虎自身か、自分の様な"犠牲者"しか見ない様な物に、これだけの物をこしらえる。それは、これが虎にとって単なる『人身売買』というビジネスでは無い、という事を思い知らせるのには充分過ぎるシロモノであった。恐らく虎にとって

  『この扉の向こう側が、虎にとっての『本番』という事なのか.....』

  という事に早瀬少将....太老熊は思い至って身震いする。

  重厚な扉が内側に開いていく....

  薄暗い『闇』が中に立ち込めていた....

  目が少し慣れてくれば、正面には石畳の、如何にも年季の入った陰鬱な雰囲気の通路が続いており、その左右に鉄格子の牢屋が均等に並んでいるのが見えた。首輪の紐を引かれながら、通路を歩いて行けば、左右の牢に時折、人らしき物....獄卒と囚人らしき姿が見受けられた。囚人は壁に貼り付けにされたり、天井から逆さ吊りされたり....灰色のフードを被った獄卒に責められており、叫び声は上げていなかったが、時折呻き声が聞こえてきた。

  『まるで....中世の地下牢獄だ....』

  それらの雰囲気に飲まれて、ゴクリと生唾を飲み込み、心臓をバクバクと鼓動させながら、太老熊は出来るだけ横を見ない様に....首輪の紐を引く灰口髭の虎の背中だけを見つめてついていった。

  そんな太老熊の様子を背中越しに見やりながら、灰口髭の虎は密かにほくそ笑む。虎は非常に用心深い。自分と『素材(犠牲者)』以外には、この施設に立ち入らせた事は一度も無い。現在も勿論そうである。左右の牢屋と囚人と獄卒と思しき物は錯視と立体映像で演出されたフェイクでしかない。素材が今まではとは違う「異世界」に連れ込まれてしまったと思わせる為の演出に過ぎない。しかし効果は上々であり、今現在も太老熊が雰囲気に飲まれて震える様を見て楽しんでいるのであった....

  ....

  ..

  やがて辿り着く正面の部屋。その分厚い鉄の扉が開かれて、中に連れ込まれた。薄明かりが焚かれ、中の様子が少しづつ見えてくる。見たこともない、禍々しさを放つ様々な器具や道具が設置してあったり棚に整理されて置かれているのが見える。正直、どんな風に使う物なのか見当もつかないのが、太老熊の恐怖を煽る。

  『儂....どうなってしまうのじゃろうか....』

  首輪の紐に引かれるまま、ついていけばやがて、大きな鏡が設置された壁の前で立ち止まる。恐る恐る顔を上げて見てみれば、そこには天井からぶら下がる滑車と、鋭角な三角形の台が設置されていた。太老熊は知らなかったが『三角木馬』と呼ばれる拷問器具であった。此処こそが最深部である『拷問部屋』であった。

  太老熊の目には、その部屋の様子と、灰口髭の虎の今の姿....黒革の厳しくも妖艶な軍服がとても似合っている様に見えた。太老熊....早瀬少将は、恐れ慄きつつも、何故か股間を塗らしていた。

  ....

  ..

  上半身を太い縄できっちりと....背中に手首を捩じ上げ、肘を締め上げ、胸を上下から縄で挟み込んで膨らませ、股間にきっちりと縄を通してから、余った縄で上半身に菱目に肉が溢れる様に縛り直す。

  そうしてから天井の滑車から吊るされた縄に背中で結ばれる。虎が壁のハンドルを操作すれば、太老熊の躰は宙吊りになり、微妙に位置調整されながら、ゆっくりと三角木馬の上に設置されたディルドに尻穴が降りていくように慎重に降ろされていく。

  正確に微調整され、尻穴に三角木馬の頂点に設置されたディルドが収まった所で、更に吊り縄を緩めれば、ぐいっとディルドが太老熊の自重で捩じ込まれて、太老熊が猿轡越しに悲鳴を漏らす。

  そうしてから....太老熊の両方の足首に均等に錘が吊るされていく。太老熊は猿轡を噛みしめながら、それに耐えるのだった。

  これが、今までとは本当の意味で全く別次元の『調教』に入った事を太老熊も自覚していた。今までは鞭打ちにした所で、更に気持ち良くさせる為の『下拵え』的な物であった。しかし、これはもう、そうではない。純粋に「苦痛」をもたらす物。純粋な拷問である。尻穴に仕込んだディルドが補助的に性的な快楽を与える様にはなっているが、三角木馬の頂点は太老熊の股を引き裂かんと食い込み、左右の足首に吊るした錘は股関節だけでなく、足首や膝の関節を引き伸ばして外そうとしてくる。

  此処に性的な快楽の要素は一切ない。太老熊は猿轡を噛みしめて、顔を真っ赤にして必死に堪える。ただただ苦痛に耐えている。その様に見える。一見すれば.....

  しかし....貞操帯を嵌められた股間からは我慢汁が垂れ流されて、三角木馬の頂点を粘液で汚し、その顔も苦悶に歪んでいるが上気しており、漏れ出る苦鳴の呻きに混じって艶のある吐息が漏れ出る。そう....太老熊はこの状況で欲情し始めているのだった。

  先に徹底的に仕込まれた鞭調教により、痛みを打ち消す快楽....脳内麻薬であるエンドルフィンが条件反射的に分泌されており、それが躰を欲情させる。そして....この様な扱いを受ける事自体に快感を覚え始めていた。そして、躰を締め上げる縄は最早苦痛ではなく快楽となっていた。

  虎が注意深く太老熊の様子を観察する中で、太老熊も鏡に映っている自分自身を見ながら

  『ああ....なんで儂、こんな....苦しい筈なのに、、、、、』

  苦痛を与えられて、快楽で身悶えする姿に興奮を覚え始めていた。そんな光景が30分程続いた....

  ....

  ..

  早瀬少将....太老熊の目は熱に浮かされた様に朧げで、猿轡から漏れるのは艶に染まった吐息のみ。躰は、躰を引き裂かんとする力....股間に食い込んでくる三角の頂点や、足首に吊り下げられた錘に対抗すべく、筋力を絞り出し、その熱で躰から汗が流れ落ち、湯気が上がっていた。しかし股間の貞操帯は粘液でびしょびしょになり、三角木馬の頂点を汚し続ける。

  そんな自身の様子を鏡で見ては、更に興奮し、目に見えて欲情するのが傍目にも判る様になってきた。

  灰口髭の虎は満足げにそんな様子を確認すると、壁にかけてある鞭を手に取った。ブルウィップと言われる一本鞭....今まで使っていた乗馬用の一条鞭など比べ物にならない苦痛と破壊をもたらす強力な鞭だ。本気で打ち込めば、皮膚が裂け、肉が割れ、相手を死に至らしめると言われている。それは灰口髭の虎が今、身に付けている黒革の妖艶な軍服にとても似合っている様に、太老熊には見えた。

  虎はゆっくりと一本鞭を持ち上げると慎重に....体毛を剃られて地肌が露出している胸へと一撃を見舞った。

  バシン!!!

  フェイクなどではない、本当に肉を打つ音が室内に響き渡る。そのすさまじい衝撃に、太老熊の躰が縄の中で弓なりに反り返る。

  「うぅ...ぅ...」

  苦悶の呻きが猿轡から漏れる。しかし目は....熱に浮かされた様に虎の手元、その一本鞭を見つめていた。まるで

  『もっと....もっとちょうだい....』

  とねだる様に....

  『良い感じじゃねぇか....ジジイ』

  虎がニヤリと笑うと二撃目が太腿に入る。やはり太老熊の躰は弓なりに反り返るが、先程ほどではなかった。むしろ息が荒くなり、羨望の眼差しで一本鞭を見つめていた。ゆっくりと慎重に狙いを見定めながら、一本鞭が振るわれていった。その度に太老熊は躰を弓なりに反り返らせながらも、拒絶する様子は見られなかった。

  ............

  ........

  ....

  どれだけ一本鞭で打たれただろう。そして、足首の錘はどれだけ増やされただろう。しかし、三角木馬の上の太老熊は、顔を上気させて、鏡に映る自分自身に魅入ってしまっていた。

  傍目には純粋に拷問で苦痛を与えられている様にしか見えない姿。しかし、股間の貞操帯を我慢汁で濡らし、顔を上気させ、快楽でうわずっている目は、そうではない事を、灰口髭の虎に伝えていた。

  苦痛を快楽に、そう扱われる事自体を快楽に。早瀬少将....太老熊は、とうとう其処に踏み込んでしまった。本物の被虐嗜好....マゾヒストの世界の入り口に。

  縄の締付けに酔い、関節の痛みに酔い、一本鞭の痛みに酔い....何よりもこうした状況に陥っている事に酔っていた。そんな中で三角木馬の頂点に取り付けられたディルドが抉る様に尻穴を突きこんでくるのがたまらない。

  通常の獣人であれば、こんな状態に躰が先に限界を迎えてしまうだろう。しかし....長年軍隊で鍛え上げた躰は、この程度では壊れたりしない。太老熊は痛みと快楽が入り混じって朦朧とした心の中で呟く。

  『もっと....もっと....もっと....』

  しかし虎は慎重だった。

  『今回はこんな物か....』

  鞭を一本鞭から乗馬鞭に持ち替え、呻きを漏らす太老熊に近づいて貞操帯を外すと、鞭で小ぶりなイチモツに鋭い一撃を見舞った。太老熊は放心するかのように、三角木馬の上で躰を揺らして何度も何度も射精を繰り返し、やがて穏やかな表情でそのまま意識を失ったのだった。

  ................

  ............

  ........

  ....

  太老熊が目を覚ます。その躰は木製の十字架に磔にされていた。手首と足首に革枷が、躰には縄が巻きつけてあった。不快では無いし、逆に躰が疼いて眠れないという訳でもない。

  心地良い疲労感を味わっていた。一本鞭で打たれた痕が疼くのも心地良い。出来ればもっと味わいたかったが、御主人様は

  『まだ早い』

  とお考えなのだろう。

  .....今、少しだけ驚いた。今まで儂は、口では敬語を使いながらも、内心ではあの人を『あの虎』と呼んでいた。今、自然にあの人の事を『御主人様』と呼んでおり、それが全然不自然に感じられない。

  『ああ....御主人様』

  明日はどんな快楽(苦痛)を与えてくれるのだろう。それが楽しみでしかたない。もう自分が引き返せない領域に入ってしまった事は理解していた。しかしそれは喜びこそあっても、苦悩や後悔など一切感じられなかった。楽しくてしかたなかった。明日の事を妄想している内に、肉体の疲労により、今度こそ儂は本当に眠りに落ちたのだった。

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  あれからずっとこの部屋を出る事無く「三角木馬」責めを繰り返された。その時の灰口髭の服装は、例の黒革の妖艶な雰囲気の軍服であったり、シックだが所々に破廉恥な装飾が施された黒革製のカソック(ギリシャ正教等の聖職者が着る準礼服)だったり....軍人の命令口調で責められたり、聖職者の罪(太老熊の今の破廉恥さ)を咎める言葉で責められたり....巧みに太老熊の羞恥心を煽り立てて、心に『甘い毒』を染み込ませてくる。

  気を失った後、目を覚まして対面の鏡に映る自分の姿は、十字架に磔されている姿だったり、拷問椅子....座らされて拘束され、そのまま様々な苦痛を与える事が出来る拷問器具....に座らされている姿だったり、手足を背中で一纏めに縛られて膝立ちの姿で壁に立て掛けられている姿だったり.....御主人様曰く「どんな状態でも眠れる様にしておけ」との事だった。

  食事も少し変化があった。餌皿で犬食いさせられるとは言え、今まではまともな食事が出ていたのだが.....いわゆる「残飯」という物を始めて食べさせられた。味も酷い物で、何度も吐きそうになったのだが.....御主人様曰く「これから先、売り先の飼い主の機嫌によっては、そうした物も完食しなくてはならない場合も出てくるから」との事であった。まあ、4回に1回くらいの頻度なので、なんとか食べられている。

  食事には思う所もあるが、性奴隷になるのだから仕方ないとは思う。それに....儂は少し楽しみなのだ。御主人様が三角木馬「だけ」に慣れさせる為だけに、此処に儂を連れ込んだとは思えない。此処には様々な器具がある。何を使われるのか、とても不安で背筋がゾクゾクするのがたまらない。ああ、儂、本当に.....

  ................

  ............

  ........

  ....

  「食事(犬食い)」と「浣腸」の後、灰口髭の虎が姿を消すいつも光景。そうして....今回はシックだが所々に破廉恥な装飾が施された黒革製のカソック(聖職者が着る準礼服)の姿で戻ってきた。

  太老熊は両脚を半ば開いた状態で足首を足枷で床の金具に繋がれた。そして、上半身の縄を一旦解かれると、背中で手首から肘までをピッタリと着けた状態で縄でギチギチに縛り上げられた。そうしてから手首に天井からの吊り縄が繋げられると、縄が吊られていき、太老熊の肩より上くらいの所まで手首が引き上げられた。当然ながら、太老熊の肘や手首や肩に無理な力が掛かる事となり、それに耐える為に太老熊は上半身を屈める様な姿勢となり、脂汗を垂らしながらその姿勢で耐えていた。

  「吊り責め」....わざと関節に無理な力が掛かる様に縄で吊り上げて、獄囚を責め苛む拷問である。本物は本当に躰を吊り上げてしまい、終わる頃には関節が脱臼している事も珍しくないという苛烈な責めなのだが、当然ながら、そこまではやらない。しかしこの責めも、様々な責めと併用される事が多く、それに関しては史実に習おうと、灰口髭の虎....リベロは考えていた。

  ゆっくりと慎重に....30分ほど、同じ姿勢を取らせて様子を見る。まだ大丈夫そうならば、天井からの吊り縄のハンドルを少しだけ回して、少し上に巻き上げる。当然ながら、太老熊はそれに耐える為に、更に屈み込む事となり、手の各関節にかかる力と、無理な姿勢を強要され続ける事で、躰から汗が噴き出し、腕だけでなく、脚も痺れてくる。苦痛のみの拷問であり、快楽の要素は全く無い。しかし....

  太老熊の股間の貞操帯は粘液で濡れそぼり、床に溜まりを作る。無理な姿勢で呼吸を続けている為、息も荒いが、その漏れ出る息に艶が混じる。苦しそうな表情ではあるが、同時に顔が上気している事も見て取れた。それは灰口髭の虎....リベロだけでなく、当の早瀬少将....太老熊も対面の鏡に映る自身の姿からそれを見い出し、更に興奮を高めていた。「こんな状態で儂は欲情する」のだと。

  しかし....これだけでは些か工夫が足りないと虎は考える。これでは愛しの『商品(性奴隷)』である太老熊が退屈してしまうのではないかと....だから、聖職者の姿と言葉で、太老熊の股間を弄りながら

  「"元"少将殿....今、何を感じておりますか?」

  猿轡を外されている太老熊....早瀬少将は切なげに

  「腕が....苦しいです。関節が悲鳴を上げております、司祭様....」

  「ほう? では、これは一体?」

  と股間の貞操帯から漏れ出している粘液を指ですくい取って、鼻面に擦り付ける。

  恥ずかしそうに太老熊が上目遣いで

  「....申し訳ありません司祭様。少し気持ち良いです...」

  「いけませんねぇ....まだ嘘をついておられる。本当は気持ち良くて仕方ないのでしょう。罰を与えなくてはなりませんね」

  虎は一本鞭を手に取ると、慎重に狙いを定めて、そして力を込めて叩き込んだ。

  「ぐあー!!!!!!!」

  猿轡を外してある太老熊の口から盛大に悲鳴が上がったのだった。

  ....

  ..

  「ぐぅ.....」

  太老熊の口から苦悶の呻きが漏れる。無理も無い。打たれた体毛を剃られて地肌が露出している胸には、一本鞭による線上の痕が赤く残り、僅かに皮膚を破いて出血していた。これでも加減はされているのだ。本気ならば、その下の肉が割れてしまっている所である。

  三角木馬の時よりも、倍近い力で打ち込まれていたのだから、その苦痛は想像するに余りある。しかも、三角木馬の時は、まだ幾らか姿勢に自由があったので、少しは力を逃す事も出来た。しかし今の状態では、太老熊は全く動く事が出来ない。下手に動けば腕の関節を脱臼してしまう。

  更に苛烈になったと言ってよい。しかし....股間の貞操帯からは粘液が流れ落ちるのが止まらず、荒い息に艶が交じる。そう、太老熊はこの状況に『欲情』していた。

  30分程じっくりと太老熊を観察していた虎は、再び鞭をゆっくりと構える。

  「まだ、罰が必要なようですね。"罪人(つみびと)よ」

  それを見ていた太老熊の瞳には、恐怖の色も混じっていたが、それよりも『欲情』....それを望む色が映し出されていた。そうして再び一本鞭が放たれた。今度も正確に狙いを外さず、今度は内股を打つ。太老熊の大きな悲鳴と共に、体毛を剃られて地肌が露出した内股に赤い鞭痕の筋が浮き出て、皮膚が少しだけ裂けてうっすらと出血するのだった。

  ....

  ..

  それが、10回ほど繰り返された。それはくっきりとした赤い鞭痕と出血の滲む痕を残して、太老熊の躰に然と刻みこまれた。

  「はぁ....はぁ....」

  しかし....太老熊は疲労した様子ではあったが、股間から粘液を垂れ流し続け、その漏れ出る呻きには艶が交じり続けていた。苦痛を感じてはいたが、それ以上の『何か』を感じていた。

  『ふむ、良い感じだな....』

  虎は全く身動き出来ない太老熊の躰の鞭痕....特に皮膚が少し裂けて血が滲んでいる箇所を丁寧に確認し、股間を弄って貞操帯から流れ出る粘液をすくい取って、太老熊の口に流し込み

  「どんな味がしますか? 破廉恥な罪人よ?」

  顔を赤らめて

  「....少しだけ苦いです、司祭様」

  そうして、今度は

  「やはり、もっと徹底的に罰を与える必要がある様ですね」

  出血している箇所を正確に外して、今度は半分ほどの力で一本鞭による滅多打ちが始まった。半分ほどとは言え、その衝撃と痛みは半端な物ではない。まして吊り責めで関節が極められているのだ。力を逃がす為に躰を捩る事さえ許されない。太老熊は

  「ぎぁー!!」「ぐわぁー!!!」

  と盛大に....しかし語尾に艶が混じる悲鳴を上げ続け、そして黒革のカソックの聖職者姿の灰口髭の虎は

  「啼け! 喚け! この薄汚い罪人めが!!」

  と罵倒しながら、一本鞭を振るい続けた。

  ........

  ....

  やがて....悲鳴が弱々しくなり、目も虚ろになった所で、

  鞭を壁に掛け、近づいて貞操帯を外してやると、虎は太老熊の股間の下に座り込んで、その小ぶりなイチモツを咥え込み、舌と唇で刺激を与えてやった。すると堰を切ったように大量の精液が噴出して、虎の灰口髭を真っ白に染めた。そうして暫く痙攣しながら虎の口の中に精を噴出し続けた太老熊は、プツンと糸が切れた様に意識を失ったのだった。

  ............

  ........

  ....

  それから数日だろうか....後ろ手にだけ縛られ全身を包帯でグルグル巻にされて、座らされたまま、レンゲで食事を与えられ、浣腸の代わりに簡易トイレで排便を済ませてくれる日々が続いた。なんでも虎いわく

  『皮膚をキチンと仕上げる為』

  との事だった。もっとも....日光が入ってこない此処では、本当は何日か?など判りはしないのだが。

  「排便」の後で包帯を取り替えるついでに、先日の調教で打ち据えた鞭の痕を虎が確かめるのがここ数日の日課となっていた。今日もまた、丁寧に太老熊の皮膚の状態を確認すれば....鞭痕はくっきりと残っていたが、傷は完全に塞がっている事を確認した。胸、内股、腕、下腹部、背中等....

  すると黒ビキニだけ履いた虎はニヤリと嗤ってから太老熊を押し倒し、手早く太老熊の躰を逆海老縛りで縛り上げた。手も足も背中で繋がれて微塵も動く事が出来ない。そうしてから、優しく先の『皮膚が少し破け、歪な形で傷跡が閉じた鞭痕』を撫でた。

  「ふぁ!? ひ、ひぃぃ..... ああん!」

  刻まれた鞭痕は、新たな『性感帯』となっていたのだ。太老熊が「強烈な痛み」と「それを上回る快楽」が生じた場所として記憶している其処は、触られれば「調教」と「悦楽」を同時に呼び起こす強烈な『性感帯』に変化していたのだった。虎はその事を確かめる様にじっくりと太老熊の躰を、それはそれは楽しげに、その性感帯を中心に弄り倒した。数時間後、太老熊は周りに大量の精液を撒き散らして"文字通り"真っ白になって昇天していた。

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  キツい責めが連日続いているが、御主人様が常にちゃんと儂の躰を隅々まで掌握している安心感があって、安心して委ねる事が出来る。こんなキツい責めの中でも、責めに『酔う』事が出来る。恐らく....何かの手違いで儂が解放される様な事が起きても、もう儂は元の生活には戻れない....それはやはり悲しい事ではあるけれども、この新しい『喜び』を知った事に後悔は無い。

  縛り責め....無理な体勢で縛り上げて躰に苦痛を与える責めの一種である「海老責め」....上半身を後ろ手にきっちり縛り上げた上で、下半身にあぐらを組ませ、足首をきっちりと縛り上げる。そして、もう一本の縄を脚の脛から肩に掛かるようにして、そのまま足首と顎が密着するまで縄を引き絞る。

  そんな無理な体勢を続けているだけでも相当な苦痛が躰に加わり、躰の血の巡りが滞る。現に太老熊の躰は、体毛を剃られて地肌が晒されている部分が真っ赤に鬱血し始めていた。更に....

  「おらあ!!!」

  「ぐぅ!!!!」

  鞭で打ちやすい様に足首から縄で吊るされて、腹と背中を無防備に晒し全く身動きできない太老熊の躰に、例の妖艶な黒革の軍服姿の虎が一本鞭を振るう。露出した地肌に赤い鞭痕が残る。何度も打ち据えられて、躰が軋み、苦痛が疾走る。しかしそれは、より大きな「快楽」を引き寄せる。今までの調教によって条件づけされた太老熊の躰は、苦痛を打ち消す為の脳内麻薬のエンドルフィンが、苦痛が大きいほど過剰に分泌される様になっていた。

  海老責めの苦痛に『酔い』、一本鞭の打撃に『酔い』、、、早瀬少将....太老熊の顔は苦痛を感じて顔をしかめつつも、同時に襲ってくる快楽に口元が緩んで涎が垂れ流されていた。そんな太老熊を

  「おらあ!!! この変態熊少将が!!!」

  と灰口髭の虎は罵倒しながら、一本鞭を振るい続けるのだった。

  ............

  ........

  ....

  「食事(犬食い)」と「浣腸」の後にいつもどおりに『責め』が始まる。今ではどんな苦痛(快楽)を御主人様が与えてくれるか楽しみで、縛られる前から貞操帯が濡れそぼってしまう。少しは抑える様に言われているのだけれど....

  灰口髭の虎....リベロは黒ビキニだけ履いた姿で、太老熊の手首と足首を背中で縄で繋いでから、ゆっくりと床に仰向けに寝かせた。

  『また....新しい『責め』が?』

  不安と緊張感と期待で躰がゾクゾクするのが判る。背中から脂汗が流れ落ち、心臓がバクバクと動悸が早く成るのが判る。何をされるのか聞きたいけれど、聞かない方が良い事も判っている。必要なら御主人様は教えてくれるから....

  太老熊の貞操帯を外して、コックリングに付け替えた。そして虎は長細い箱を取り出した。それはラップの箱であった。虎は太老熊の折り曲げられた太腿の右側を持ち上げると、丁寧にラップでグルグル巻きにした。

  ....

  ..

  それはとても丁寧な作業で、ピッタリと隙間が出来ないように折り曲げられた膝裏にもラップが巻かれていく。指先までも隙間無くラッピングされると、今度は左脚がラッピングされていく。その様子を太老熊は、天井の大鏡で見つめていた。

  そうして両腕も、腹も、ラッピングされていく。それはとても奇妙な感じだった。今まで太い縄でがっしりと縛り上げられて締め上げられ、殆ど動く事もかなわずに責められてきたのに、こんどのこれは....無論、背中で手首と足首を結ばれているので、動く事など出来ないのだが。

  そうして首までラッピングされると、今度は灰銀のダクトテープを虎が取り出して、ラッピングの上から補強する様に躰をグルグル巻きにし始める。

  これもまた丁寧に、肌に吸い付いたラップが外れてしまわない様にテープが巻かれて、太老熊の躰を覆っていく。幾らか締め付ける様にきっちりと、本当にスキ無くテープが巻かれていき....残すは頭と顔だけになってしまった。

  『まるで....銀色のミイラみたいだな....』

  太老熊はそんな事を思っていると、今度は太い綿の縄が取り出されて、ダクトテープの上から太老熊の躰の要所要所を丁寧に縛り上げていく。足の付け根、肘周り、胸の外周、股間、首周り....先程までは手首だけを縛られていたので、多少はもぞもぞと躰を蠢かす事も出来たのだが、この縄により、首から上しか動かせない様にされてしまった。ラップとダクトテープの巻きつけで、指も動かせない。

  灰口髭の虎は、股間のダクトテープに穴を開けると、太老熊の陰嚢とイチモツをダクトテープの上に引き出した。そうして今度は、陰嚢の根本から縄で縛って、股間のイチモツがダクトテープの上に晒される様にした。

  天井の大鏡に映る、虎と自分自身の姿を見つめていた太老熊は

  『こういう拘束の仕方もあるのだなぁ....』

  と興味深げに眺めていた。此処最近の責めと違い、まだキツさは感じていない。これからどうされるのかも、太老熊には予想がつかない。しかし....ダクトテープの上に引き出された股間は、うっすらと粘液で塗れていた。

  そうして、頭にラップが巻かれ始めた。

  ....

  ..

  顔の外周にラップを巻きつける。耳が完全に塞がれる様に執拗に。そして次は顔の上半分をラップで巻き始めた。目がラップで覆われる。丁寧に隙間なく執拗に。今度は顔の下半分がラップで巻かれ始めた。鼻の穴と、口の所だけは塞がれない様に。その上からダクトテープが巻かれ始めるのを、太老熊は少しドキドキしながら見つめていた。本当に全身がラップで覆われてしまい、音が聞こえない。自分の心臓の鼓動のみがドクンドクンと大きく聞こえてくる。ダクトテープは顔の外周を多い、口と鼻の間を通り、額を覆って、そして目の上を覆う。徐々に外界からの情報が締め出されていく。音も聞こえず、視界も塞がれ、感じるのは躰に張り付くラップの感触と、ダクトテープと縄の締付け、そして部屋の匂いのみ。太老熊は急に心細くなった。

  『いったい、御主人様はどうするつもりなのだろう?』

  ダクトテープの感触で、鼻の穴と口以外はダクトテープで覆われたのが判る。その上から丁寧にダクトテープで鼻周りと口周りが補強されていくのが判った。更にその上から頭の周りを縄で拘束し始めた。目の周りを縄でグルグル巻きにして、更にはマズルも縄でグルグルに巻かれて薄く口を開く事しか出来ない。首自体も動かせないように躰に縄で固定される。

  そうして....柔らかいゴムの様な栓が両方の鼻の穴に詰め込まれた。

  『う!...』

  もう太老熊は口からしか呼吸するしか無い。触感以外の五感を封じられ、触感にしても、肌をラップで厳重に覆われてしまえば、封じられたも同然である。そして....唯一何にも覆われていない唇に、薄い布が被せられたのが感触で判った。水で湿らされた薄いガーゼが。

  ....

  ..

  最初の一枚は特に何も感じなかった。しかし....もう一枚、上からガーゼが被せられ、太老熊は口からの呼吸に少しだけ『引っかかり(呼吸しづらさ)』を感じ始めた。反射的に呼気で吹き飛ばそうとしたが、水で湿ったガーゼは吸い付いて離れない。慌てて頭を振ろうとしたが、いつの間にか額に掛けられていた縄が頭の動きを阻害する。そうして、更に一枚、水で湿ったガーゼが被せられた。太老熊は呼吸の困難さを感じて、蠢くが、ダクトテープの外から掛けられた縄が完全に動きを封じていた。

  『い、息が....!』

  生命の危機を感じて、呼吸を求めて太老熊が必死に躰を蠢かすも、躰の動きは完全に封じられ、湿ったガーゼはピタリと吸い付いて離れない。それでも、太老熊は躰を蠢かし続けた....

  ....

  ..

  頭がぼうっとしてしまう。息が.....

  すると、外に晒されているイチモツに感触があった。舌と唇で舐められているのだと判る。

  『御主人様....』

  ダクトテープ越しに、太腿の内股の、先日一本鞭で強打されてくっきりとした鞭痕が刻まれた、新たな『性感帯』を指でなぞられた。まるで電気の様な強烈な快楽が、太老熊の躰に疾走った。生命の危機を感じている太老熊の躰は、本能的に感覚がいつもより鋭敏になり、一際強く快楽を感じてしまう。そして....全身の、躰に刻まれた鞭痕の『性感帯』を外側からの指がなぞり始め、太老熊は全身に疾走る快楽に身悶えし始めたのだった。

  ....

  ..

  兎に角、気持ち良くてしかたない。何も見えず、聞こえず、匂いも封じられ、残された『触感』は、躰は本能的に生命の危機を感じてより一層鋭敏になり、ダクトテープの上から性感帯をなぞる指の感触をより強く感じていた。生命の危機から脱しようと....

  ダクトテープの外に引き出され、舌と口で舐られ続ける陰嚢とイチモツも同様であった。なまじ、其処だけが外に引き出されているという事が、羞恥心をも刺激して射精欲求を高め続けるも、コックリングはそれも許さない。

  何よりも....儂の命を弄んでいるのが『御主人様』だという事に、背中がゾクゾクしてたまらない。御主人様にこうして命さえ、弄(もてあそ)ばれて、玩具にされているという事に、そしてこんな状況で欲情している儂自身に興奮してしまう。儂は今

  『御主人様の玩具』なのだと....

  股間のダクトテープは粘液で濡れそぼり、苦しげな呼気の音に艶が交じる。それは、とても奇妙で、しかし淫靡な光景だった。ダクトテープの繭に包まれた、呼吸する為の口さえも薄布で塞がれて、生殖器だけが露出した生き物が、怪しげに蠢いて粘液を分泌して、ムワッと欲情を他者に誘う匂いを振りまいている.....

  その"生き物"を目の前にして、灰口髭の虎は、ダクトテープ越しに優しく愛撫を重ね続ける。口と舌で露出した生殖器を舐り続ける。時折、唇の上のガーゼの位置を調整して、呼気の量を調整する。

  ブレス・コントロール(呼吸調整)....最初こそ呼吸困難を感じる程度に湿ったガーゼを口に重ねていたが、30分ほどで、通常の呼吸が出来る程度に密かにガーゼを減らしておく。そして時々....10分に一回程度、呼吸困難を感じる様にガーゼを厚くする。そうして恒常的に『息苦しさ(生命の危機)』を感じる様にしておけば、皮膚感度が高まったこの状態を維持し続ける事が出来る。灰口髭の虎は

  『良い感じだ....しかし、本当にエロいな、この熊ジジイは...』

  そんな事を思いながら愛撫を続けるのだった。

  時々はガーゼ越しに軽く口吻をして、生暖かい互いの息を交換する。偶に刺激として蝋燭が露出した小ぶりなイチモツに垂らされ、灰色繭が呻きを漏らす。そんな事が延々と、しかし細心の注意を払って続けられた。

  イチモツは濡れそぼり、固く起立するも、コックリングに阻まれて射精する事が出来ない。外からの情報を全て遮断され、感じる事が出来るのはダクトテープの上から鞭痕の性感帯をなぞる指の感触と、呼気を阻む薄布(ガーゼ)と露出したイチモツと陰嚢のみ。銀繭の中の生き物は、与えられる刺激に反応してもぞもぞと蠢き続けるのだった。

  そんな時間もやがて....銀繭の動きが鈍くなり始めた所で終わりを告げる。

  コックリングが外されると、銀の繭の生き物は、痙攣しながら白い粘液を何度も何度も生殖器から振りまいて、やがて動かなくなった.....

  急いでガーゼが引き剥がされ、鼻の栓が外されたのは言うまでもない。

  ............

  ........

  ....

  目が覚めた後、天井の鏡を見て、儂が裸なのだと確認できた。なんだか恥ずかしかった。もう一度、銀の繭を纏いたい気がした。なんだか夢の中の様で、とても気持ちよかった事を覚えている。

  御主人様は、色々と質問をしてきて、儂がそれに全部答えると、少しホッとした様な表情で口吻をして、手首だけを縛られた儂を抱いてくれた。鞭痕の性感帯がより気持ち良く感じられ、こらえきれずに何度も精をはきだしてしまったが、御主人様は何も言わずに抱き続けてくれた.....

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  外の世界(アメルモの軍港内)ではアメルモ主体の合同軍事演習の工程が順調に消化されていた。最近では早瀬少将の事を口に出す者も殆ど居ない。指揮系統が大きく変更された訳でもなく、訓練自体も順調ならば、わざわざ騒ぎ立てる様な者も居ない。表面上、平穏な時間が流れていた。もっとも、関係者達の心境は言うまでもないが....

  空母愛鷹(あしたか)の艦長である猪の皆川大佐が外を見ながら呟く。

  「まるで手がかりが無し、ですか....」

  対面の秋田犬の吉野少将が、ほうっと溜息をつきながら

  「まあ、全くないという訳ではないがな....」

  一拍、置いてから吉野少将が再び口を開いた。

  「それよりも、少し気になる動きが本国(モディジグ)で在ってな」

  「それは一体?」

  表情を変えずに吉野が言葉を続ける。

  「5年前の"騒ぎ(事件)"を覚えているか? 早瀬が調査委員会の議長に指名された」

  皆川の頬がピクリと引きつる。なんでもない事の様に

  「アレですか....しかし、特に問題があったとは記憶していませんが....」

  「それがな....村上の奴、今になってあの件に関して再調査を申請してきたらしい」

  それを聞いて思わず皆川が声を上げた。

  「はあ!? なんですか、それは? 色々とほじくり返されれば困るのは奴さんの方でしょう? むしろ自主退役という穏便な解決案で助かったのは向こうでしょうに?」

  5年前、モディジグ軍の内部でちょっとした"揉め事"があった。より正確に言えば、スパイ疑惑と言って良い。陸軍・海軍・空軍の統合ネットワークを刷新するのに、業者の入札を行った。当時の村上中将は、入札を取り仕切っていた。その際に一部の業者から「ちょっとした便宜」が図られ、村上中将(見た目は太りすぎたブルドックの老人である)が若干の手心を加えてしまい、それが問題視されて、穏便に責任を取る形で軍を退役した。

  というのが、当時の内情を知る者達のごく一般的な共通認識であり、村上中将は運が悪かったと、同情する者も少なくなかった。その内情自体が「フェイク(偽情報)」である事を知らない者達には。

  実際に起きた事は、魏晋人民共和国と裏で通じていた業者が、納入するネットワーク機器の一部に巧妙な『バックドア(情報の裏口)』を仕掛けていたという一大スキャンダルだったのである。村上はそれを知った上で業者選定したのだから、悪質極まりない。

  当然ながら、村上中将に苛烈な処遇(実刑)を求める声もあった。しかしながら....事はそう単純にはいかない。事を公にしてしまえば、対魏晋慎重派までも一掃してしまう事にも成りかねず、その場合、有事の際の魏晋とのパイプ役も居なくなってしまう事になりかねなかった。

  それを嫌った当時の参謀長が、どちらの派閥(アメルモ派、魏晋派)からも比較的距離を置いていた早瀬少将を調査委員会の議長に抜擢して穏便に解決を図ったというのが、真相であった。

  再調査結果を待つまでもなく、村上が軍に復帰する事など到底ありえない。それは真実を知る者達なら当然の認識である。村上元中将(見た目、太った下品な雰囲気のブルドック)もそれは判っている筈である。しかし....

  吉野が再び口を開いた。

  「もし、それが再調査自体が目的じゃなければ?」

  皆川がハッと顔を上げる。

  「再調査....という事は、当時の調査委員会の議長だった早瀬少将が召喚される....!?」

  「もしもだ....今、早瀬の不在を世間に明らかにするのが目的だとしたら?」

  「....なまじ、今まで隠していただけに、こちらの印象は悪くなるでしょうな.....では、この事件、村上が関わっていると?」

  「なんとも言えん....単に魏晋側から情報をリークされて、村上がそれに飛びついただけかもしれんしな....」

  二人とも、この時点では、村上元中将が早瀬少将誘拐事件の首謀者(リベロに組織を通じて仕事を依頼した依頼主)だとまでは想像していなかった.....

  ........

  ....

  一方、リベロも....

  「調教はもう良いから、早く早瀬提督の身柄を引き渡せ、か.....」

  窓口になっている組織の連絡員である黒猫を前に不機嫌そうに呟いた。が、目は笑っていた。それに気が付かない黒猫が困った様子で

  「あちらからは違約金を払うとも言ってきているんだ。後....直接的には言わなかったが....」

  「断れば、組織の内実を捜査当局に流す事も検討している。だろ?」

  黒猫が驚いて

  「どうしてそれを!?」

  ふんっと黒猫に一瞥をくれると

  「俺が黙って(仲介組織の)依頼を受けているだけの男に見えてたなら、お前、此処で生きていくには少し不用心がすぎるぞ。あいにくと、これまで受けてきた仕事の依頼主も『素材(犠牲者)』も"商品の行き先"も全部把握している。勿論、今回の件でもな」

  目の前の男(虎)が何者だったのか、黒猫は詳しく知っているわけではない。しかし、それでも、この虎が自分には想像も出来ない様な修羅場をくぐってきたであろう事ぐらいは流石に判る。それでも、

  「なら....判っているんだろう? あいつ(村上)のバックには魏晋の諜報部が居る事も....」

  と、なんとか言う事を聞いてもらおうと.....それに対して虎はニィッと謎めいた笑みで

  「さてねぇ....そいつは微妙な所だな。それに....公にされたら困るのは向こうも同じだしな」

  「というと?」

  「早瀬提督の身柄が公的機関に抑えられて、アメルモ側に渡ったら、本当に困るのは向こうだ」

  「つまり?」

  「今暫くは、向こうも手が出せないって事だ。もし実行部隊を動かせるなら、警告なしでやる連中だ。それが出来ないから今は色々と回りくどい事をしているって訳だ。それに、この依頼を引き受けた時点でこうなる事も予想は出来ていたんでな。だから....」

  「だから?」

  「折角だ。あちらさんにも色々と『楽しんで』もらおうと思ってな。準備は万端、乞うご期待って所だな」

  リベロ....灰口髭の虎がこの笑みを浮かべた時、相手がどうなるかは、黒猫も散々見てきていた。それはもう、相手に同情したくなるくらいに....黒猫の背筋に悪寒が疾走った。

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  これだけ調教を重ねても、やはり「新しい責め」の前では緊張してしまう。御主人様がなされる事なのだから心配無いと判っていてもだ。それに....この不安は楽しみの裏返しでもある。背筋を疾走るゾクゾクとする悪寒が、今は心地よく感じられてしまう。如何にも恐ろしげな新しい責め道具を見る度に、ゾクゾクとする悪寒と同時に体の芯が熱くなるのも感じていた。

  『あ....儂、本当に、もう駄目かも...』

  儂の前には「算盤(そろばん)」と呼ばれる三角の棒の先端が上に向いてびっしりと敷き詰められている責め具が鎮座していた。所々に薄っすらと黒い血がこびり着いている様に見える。

  算盤の向こうにある壁の大鏡には、背中に緩めの革手錠をされて立ち尽くしている儂の姿が映る。

  恐れ慄きながらも、しかし興奮も隠せない....そんな顔をしていた。

  体毛を剃られて地肌が露出した胸まわり、下腹部、尻、内股には、「吊り責め」の際に一本鞭で刻まれた、くっきりと赤い鞭痕が見え、毛を剃られずに地肌が露出してない腕や脚でも、あの時に打たれた痕は体毛が歪な生え方をしている事で、鞭痕が刻まれたのだという事が判る。

  灰口髭の虎....御主人様が黒ビキニ一枚で背中から躰を密着させてくる。股間の膨らみを尻に押し付け、上背の高い躰で躰を抱きしめてくる。しっかりと抱きかかえられて、鞭痕を指で丁寧になぞられ、ゾクゾクっと快感が疾走る。

  「あ...ぁぁ....だ、駄目....うぅぅん...」

  儂と御主人様の力の差は明らかで....特に拘束されていなくとも、こうして容易く抑え込まれてしまう。まして、御主人様は今や儂よりも、儂のツボ(性感帯)を把握している。縄なぞ無くても簡単に喘がされてしまう。

  それでも....御主人様は、儂を縄で飾り付けるのが好みだし、儂も縛られる方が好きになってしまった。

  愛撫されてよがり声を上げる事も好きだが、責めで呻く事はもっと好きになってしまった。

  耳元でそっと囁かれる

  「すっかり、いやらしい躰になっちまったなぁ、ええ?」

  儂は恥ずかしくて、顔を真っ赤にして

  「そ、それは.....御主人様が....」

  と呟けば、背中から抱きかかえたまま

  「うるせえ口だ....」

  と深い口吻を交わされてしまう。涎が糸を引いて口が離れていくのがなんだか切なくて

  「んぁ...」

  と呻いてしまう。躰の力が抜けて、ぼうっとしてしまう儂を支えながら、更に耳元で

  「じゃあ、もっと気持ち良い事しようぜ」

  そんな事を真っ直ぐに瞳を見つめて間近で言われたら、頷くしかないじゃないですか......御主人様ぁ

  ....

  ..

  両方の手首を背中に回されて交差させた状態で捩じ上げられて太い縄できっちりと縛り上げて、余った縄を首に掛けられる。

  肘と脇の下に縄を通して胸を何重にも巻いて腕が微塵も動かないようにきっちりと極められる。そうして腕と手首を厳重に縛められてから、今度は飾り縄を施される。

  周りから胸を囲って雄乳房を作られる。首元から股間まで、縄を前後に交差させながら菱形の縄目を作り、腹や腕や胸の肉がいい塩梅にはみ出すように縄を食い込まされていく。

  陰嚢を細引きで縛り上げられ、小ぶりなイチモツにコックリングが嵌められる。

  最後に尻の割れ目から股間までをグイっと2本の縄で締め上げられて、腹の縄と結べば上半身の縛りが完成する。

  ああ...そうだ、まだ.....

  すっかり黒く大きくなってしまった穴を開けられた乳首....ピアスを付けられ錘が吊るされる。儂は鏡に映る自分のそんな姿に欲情してしまい、イチモツからだらしなく粘液を漏らしてしまう。我ながら情けない、恥ずかしいと感じはしても、やっぱり『気持ち良い』という気持ちを抑える事は出来ず....御主人様にもたれかかってしまう。

  縛られたまま、躰を愛撫されると、更に気持ちが昂ぶってしまう。食い込んだ縄が鞭痕の性感帯を刺激するのが心地良い。もう、それだけでイッてしまいそうになるのを、コックリングが抑え込んでくれる。呼吸困難になりそうな程に深い口吻を交わせば、酸欠でぼうっとなって、こないだのラップ・ダクトテープ巻きの『窒息責め』を思い出してしまう。

  暫くそうしてから、口に御主人様が前日に履いていた黒ビキニを押し込まれると、その上から手拭いの瘤付き猿轡で蓋をされてしまう。御主人様の雄の匂いが鼻に充満するのが心地良い。何よりも口を塞がれるのは、とても良い....言葉が、意思表示が不自由になるほどにモノに....御主人様の『玩具』になっていく感覚を味わえるから.....

  ....

  ..

  股間の縄を押しのけられてディルドが挿入される。その上から縄が掛かる様に、縄が直される。ああ、良い....

  御主人様に腰を支えられながらゆっくりと、算盤の上に正座をさせられる。脛にキリキリと三角の頂点が食い込んでくる感触が心地良い。両方の脚を片方づつ、足首と太腿の付け根を太い縄でがっしりと縛られる。背中の首の付根の縄に天井からの吊り縄が結ばれる。これでもう、算盤の上から逃げる事は出来なくなってしまった。よいよ始まるのだと、躰が熱く火照り始めてしまった。

  ....

  ..

  流石に儂も時代劇は見ているので、これから「石抱」という責めが始まるのは判っていた。しかし、実際に儂があんな風に責められる時が来るなんて、予想もしてなかったなぁ....

  御主人様がそっと近寄って言葉を掛けられる。

  「いいか? 今回の責めは特別キツい。耐えきれねえ様なら直ぐに首を横に振って「イヤイヤ」するんだぞ」

  その言葉に思わず生唾を飲み込んでしまう。しかし....背中にゾクゾクと悪寒が疾走るのが、気持ち良くてしかたない。きっと今回も....目を合わせてコクリと頷けば....

  御主人様は、優しげに儂の頭をくしゃくしゃと撫でながら

  「じゃあ、始めるぞ....」

  ....

  ..

  「んぅ....」

  一枚が約45Kgの石版が一枚づつ、膝上に置かれていく。もう、既に5枚....約230kgの重みが膝を押し潰そうとする。そしてそれは脛の下にある「算盤」にも掛かり、脛に算盤の先端が食い込んでくる。そして....今の状態に耐えているだけでギリギリの状態の太老熊の背中に

  「おらあ!!!」

  一本鞭が無防備な背中に叩きつけられる。

  「ッ!!」

  無論、受け身も体をこわばらせる事も出来ず、もろに背中で受けるしかない。その衝撃は強烈で....

  「んぅぅ.....」

  『ぐ、くぅぅ......』

  調教により快楽を感じる様になったとは言っても、苦痛を感じない訳ではない。苦痛を上回る快楽で打ち消されているだけなのである。苦痛が限界を超えれば、耐えきれなくなってしまうし、その前に躰が壊れてしまう事もある。だからこそ、虎は調教で興奮を覚えつつも、一方で冷静に太老熊を観察して限界を見極めようとしているのだった。

  しかし....太老熊の長年軍隊で鍛え上げた躰は、苦痛を訴えこそすれ、まだまだ限界には遠く、心も....既に苦痛を快楽で飲み込んでしまい、呻き声を漏らしつつも、顔を上気させ、涎を垂らし、股間のイチモツは粘液を漏らし続けていた。

  膝が鬱血し始めているのが判る。脛に算盤が食い込んでくる苦痛も凄い。一本鞭は相変わらず凄い衝撃と痛みが襲ってくる。でもだからこそ....より強い快楽が降りてくるのが判る。苦痛は苦痛として感じながらも、それを上回る快楽が儂を包む。苦痛で躰を引き裂かれるような痛みを感じ、その一方でそれを上回る快楽が全身を包む。その両極端で儂の心が揺さぶられる。

  『もう、、駄目だ....いや、まだもっと、、、もっと..』

  こんな両極端の感覚を行き来させられれば、被虐に『狂う』に決まっている。こんな感覚にもっと『酔いたい』と思わずにはいられない。こんな『楽しみ』は御主人様の元でしか、経験出来ない。酔いたい、、、もっと、もっと....

  太老熊....早瀬少将は目で訴える。

  「んぅ.....んぅ.....」

  『ご、御主人様....一枚追加、お願い、、します』

  ぼうっと熱に浮かされた様な瞳で訴える太老熊に、虎は

  『躰は、まだ大丈夫か.....心は、もう少し様子見か?』

  そうして、慎重に石版を一枚追加する。

  「ん......ぅ......」

  『ぐぅぅ....うぁ...』

  呻きに艶が交じる。瞳が熱に浮かされた様になり、顔が上気する。判っていても、虎も興奮してしまう。

  『コイツは俺が見込んだ特別製の『玩具』だ。ちょっとやそっとで壊れやしない』と....

  一本鞭を振るう手に必要以上に力が入りそうになるのを堪えて、背中を滅多打ちする。

  「ッ!! ッ!! ッ!! ....ぅぅん....」

  『ぐあッ ぐッ くぅ!!.....うぅぅん..』

  4回の一本鞭の打撃。最後の一発で太老熊の口から漏れたのは艶の交じった呻き。

  石版に足を掛けて揺さぶりを掛け、

  「うぅッ....んぅッ....」

  太老熊が膝に襲いかかる苦痛と快楽で揺さぶられて、呻き喘ぐ姿を楽しむ。

  無防備に露出した背中と尻と太腿を正確に狙って一本鞭を連続で叩き込み、

  「ッ!! ッ!! ッ!! ....ぅく...」

  太老熊が苦痛で呻き、快楽で喘ぐ、その両極端の感情で揺さぶられて翻弄される様を味わう。

  早瀬少将...太老熊が、全身から汗と涙と鼻水と我慢汁を噴き出させてムッとする匂いを振りまき、熱に浮かされた様な瞳で苦悶と艶の入り交じった呻きを漏らし続ける、まさに『被虐』という欲望に堕ちきった姿は、とても痛快で淫靡で蠱惑的で...

  "早瀬少将"の普段の凛々しい姿を思い浮かべ、その落差を虎は楽しみながら、「石抱」と「鞭打ち」を続けていくのであった.....

  ......

  ....

  ..

  2時間後.....石版は合計8枚(約360kg)まで乗せられ、一本鞭は力をだいぶ抑えているとは言え、相当な回数を叩き込んでいる。しかし、早瀬少将....太老熊の表情はとても穏やかで、気持ち良さげで......

  それでも躰はもう、そろそろ限界かと、虎は石版の下に手を伸ばしてコックリングを外してやれば、太老熊は一際大きい呻きを漏らして、躰を前後に揺らしながら痙攣し、石版の下に大量の精液を噴出させながら、安らかな表情で、徐々に動きを弱めながら、やがて....眠るように石版の上に顔を突っ伏して気を失ったのだった.....

  ................

  ............

  ........

  ....

  目が覚めた....

  手足が大の字に伸ばされて、革の手枷・足枷で床の金具に固定されている事が判った。恐らくこれ以上儂の関節を痛めないようにと、御主人様が気を使ってこの様な拘束になったのだろうというのは想像できた。ただ....

  「起きたか」

  御主人様が脇で寝そべっているのは、流石に面食らった。黒ビキニだけを身に着けて....

  「ご、御主人様.....? 一体....」

  若干、こちらから目をそらしている様な....鼻頭を人差し指で少し擦りながら

  「いやな....なんとなく、今晩は此処で寝たいと思ってな。嫌だったか?」

  と、なんとなく言葉の抑揚を抑えている様な気がした。

  儂はちょっとだけ....いや、かなりドギマギしてしまって

  「いえ、、、、」

  と返すのがやっとで....

  そっけない口ぶりで

  「躰、大丈夫か?」

  「流石に膝が少しだけ痛みますが、他は特には....」

  御主人様はそれを聞くと、ふふっと笑い

  「それじゃあ、今少し、力を抜いて楽にしていろ」

  というや否や、本当にサワサワと軽く撫でるか撫でないかというタッチで、鞭痕の『性感帯』を刺激し始めた。

  「御主人様、、、ちょ、、、」

  「なに、ちょっとしたリハビリ(感覚戻し)だ。快楽だけを与えられた時は、素直に気持ち良く成れないとな」

  「は、はぁ......」

  結局、御主人様の手で2回イチモツを扱かれて抜かれ、その後、正常位で互いを見つめながら2回イカされた。互いの顔を見ながらヤルのは、なんだかとても恥ずかしく、しかし気持ちよかった.....

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  魏晋の諜報部は「実行可能」となれば、灰口髭の虎....リベロの言う通り"躊躇"などしない。警告無しで襲いかかり目的を達成したら、あっという間に撤退して、その結果引き起こされたアレヤコレヤの面倒事など

  「我々は何も知らないし、何もしてない」

  の一点張りで、面倒事を全て『他者』に押し付けて、本国に帰ってきてしまう。無論、長期の協力関係が続くと見込まれる相手に関しては、それなりに気を使っているという"素振り"だけは見せるが。

  とどのつまり「やったもん勝ち」の思考であり、上層部の強硬姿勢と相まって、近年更にそれがエスカレートしている節があった。「やられた間抜け」が悪いのだと....

  アメルモ共和国のフィジブ諸島に設けられている魏晋人民共和国の領事館の、表向きは事務担当職員であるジャオ・シャオジーも、本国ほどではないものの、概ね思考パターンはそれに近いものであった。

  本当の所属は国家安泰部の第200局所属の対国外諜報を専門とする諜報部員である。

  早瀬少将誘拐事件の首謀者である村上元中将へ意図的に情報をリークしていたのはこの人物であった。

  村上に対して特に何かを期待していた訳ではない。ただ早瀬少将に対して尋常でない憎悪を溜め込んでいた村上が「暴発」して、何かやらかしてくれないかと「廃品利用」のつもりで情報を流していたに過ぎない。

  その結果が「早瀬少将の誘拐」という思わぬ成果を出してくれた事で、ジャオは些か舞い上がっていた。この成果を村上から横取りして自分の成果にし、それを手土産に、幻の第00*局への配属を狙っていた。

  周辺情報を集めるに、実行犯はリガロ・マルシアスなる人物であり、元マフィアの用心棒崩れで誘拐及び人身売買を生業としている、そこそこに腕は立つが所詮は民間レベルとの事であった。村上からの連絡では違約金を上乗せしての身柄受け渡し交渉は突っぱねられたとの事である。

  ジャオは考える。

  「間抜けな事をしてくれたものだ」と.....

  村上の余計な事前交渉により、却って相手....リガロ・マルシアスに早瀬少将の"本当の値打ち"を教えてしまったのだから。

  しかしながら、これはチャンスでもあるとジャオは考える。相手はこちらが更なる金額を上乗せしてくる事を待っている状態である。早瀬少将を別の場所に移動させたとも考えにくい。今動かせば、却って目立ってしまう。つまりはリガロなる人物は更なる金額の上乗せに期待して早瀬少将と共にアジトに籠もっているのだろうと。

  ならば.....

  「さっさと横取りしてしまえば良い」

  という事である。どうせ向こうは犯罪組織、叩き潰すのに何の遠慮があるだろうか? しかも「誘拐された(アメルモの)同盟国の政府高官(海軍少将)」を"善意"で保護するというまっとうな理由があるのだ。結果さえ出してしまえば、アメルモ国内での許可の無い軍事行動を咎める事も難しいだろう。なにせ事の発端は、

  「軍事演習中のアメルモ基地内で、同盟国の海軍少将が誘拐されてしまった」

  という、アメルモにとって認めがたい失態にあるのだから。

  既に本国からの実行部隊はこちら(フィジブ諸島)に集結中であり、装備もこちらで調達済み。事前に入手した組織や建物の情報から、部隊は本国で救出作戦のシミュレーションを済ませてある。後は集結を待って実行するのみ。何も問題は無い。

  そうしてジャオは本国からの部隊の到着をウキウキしながら待ちわびているのであった....

  ....この場合におけるジャオの失敗は

  「警戒中のアメルモ軍基地内から同盟国の海軍少将を誘拐して、しかも足取りを全く掴ませない誘拐の実行犯が、ただのマフィアの用心棒崩れなどである訳が無い」

  という事に気が付きさえしなかった事であろうか.....

  ................

  ............

  ........

  ....

  丁度隣の家が売りに出されていたので、其処を買い取り、臨時の基地とした。予想される抵抗勢力は精々が5人程度。練度も低いと予想された。しかも保護対象は一人なのだから、余程のヘマでもしない限り、こちらが誤って目的の人物を傷付けてしまう可能性も低いだろう。事前情報で突入手順も何パターンかに分けて訓練済みである。部隊長であるシグ....無論、コードネームである....は楽観視していた。

  こちらは15名....練度も高い。失敗する要素は何一つ無い。いや、少し言い過ぎた。相手が自暴自棄になって、最初に保護対象を撃ち殺すという可能性もあるにはある。その場合、その場に居る全員を射殺して、こちらが関わった一切の痕跡を消した後、速やかに撤退する必要がある。無論、成功ではないが、少なくともこちらは

  「我々は何も知らないし、何もしてない」

  と、言い張れば良い。まあ、我々が関与していたという事実にアメルモ側の人間が辿り着ければの話であるが。

  さて、最後の準備を済ませよう.....とシグ達が作戦司令部としていたリビングから出た所で....

  急に周囲が明るくなったのだった。

  ....

  ..

  何事かと慌てて外を見れば、いつの間にか遠巻きに複数の装甲車からサーチライトで、この母屋が照らされていた。そしてアメルモ語、魏晋語、和語の3カ国語で

  「我々は君達を完全に包囲している。速やかに武器を捨て投降すれば命の保証はする!!」

  と拡声器で呼びかけられたのだった。

  ....

  ..

  多少の口論はあったものの、結局はシグの判断により15人全員が投降した。そしてそれが正解であった事を思い知るのであった。部隊規模にして約50人....それもシグ達と同等かそれ以上の練度の部隊に包囲されていた事が判ったからだ。しかもこちらは集められた武器で一番威力が高かったのが、アサルトライフルに手榴弾に対して、向こうは装甲車8台に各々二十ミリ機関砲にRPGと、戦力差が桁違いであった。

  シグは悟った。

  「どこで何を間違ったとか、そういうレベルの問題ではない。そもそも関わった事自体が間違いだった」のだと....

  15人全員が武装解除され、連行されていった。

  ....

  ..

  そして連行された軍の施設で、彼らは更に頭を抱える事になる。尋問係が先ず聞いてきた事が

  「この男性の行方を知っている者は居ないか?」

  と示された写真は、シグ達が保護対象としていた早瀬少将その人だったのだから。

  ................

  ............

  ........

  ....

  「ダブルブッキング!?」

  皆川大佐が、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。吉野少将が苦笑いしながら

  「いやまあ、確定している訳じゃあないんだが....どうも状況証拠を集めるにそういう事らしいな」

  アメルモ海軍特殊部隊:シームが捕縛・連行した15人は事前の予想通り、ほぼ魏晋諜報部のイリーガル(非合法部隊)である事が確実となった。無論、15人の誰一人として自白した者は居なかったが、装備品等からそれが一番正解に近いであろうと断定された。そして誰もが早瀬少将の写真を見るなり、明らかに動揺するのが丸わかりなのだという。彼ら全員

  「こんな男は見た事も無い」

  と言い張っているのだが、取り付けた脳波計からも、それが嘘である事は明白であった。

  そして....これが重要なのであるが、シームが彼処に集結した理由もそれであった。

  「早瀬少将が魏晋本国へ連れ去られようとしている」

  との"確度の高い情報"に従って急いで彼らを包囲した訳である。

  皆川が

  「しかし....一体どういう事なんですか? これじゃあ魏晋も犯人じゃない事に.....」

  吉野が

  「それもあるがな....我々が相手にしているのが何者なんだ?っていう事だ。この犯人は我々を2回も出し抜いてくれた。1つ目は早瀬の誘拐。2つ目は偽情報で魏晋の諜報部を我々の手でまんまと捕まえさせる事に成功した。そして魏晋も多分だが騙されている。連中が突入しようとした家なんだが、本当に唯の雑貨店だったよ。名前は

  『ファンキーダック(変わり種のガチョウ)』

  だそうだ。店主にしても全く怪しい所無し。ヤクもやった事ないらしいな。ただし、旅先から戻ってきたのは今朝だそうだ」

  「え、それじゃあ、あの連中、無人の店に押し入ろうと?」

  「其処が微妙と言うかな。確かに店主は居なかったが、どうやら人が居た形跡はあったらしい。人数は恐らく5人ほど。或いは5人に見える様に偽装していたのか? あの連中もプロだ。全くの無人だったら直ぐに気がつくだろう。シームに包囲される前に居なくなって居ただろうな。少なくとも包囲が完了する迄の間、あの連中を引きつけておいて、それからあの家から居なくなったという事になるか....シーム達の監視をすり抜けてな」

  一旦吉野が言葉を切り、再び話し始める。

  「これも推測でしか無いが、恐らくは彼らは其処に早瀬が囚われていると騙されて、早瀬の身柄を確保して、何らかの外交カードとして使うつもりだったんじゃないか?」

  皆川が頭を掻きながら

  「たしかにまあ....表沙汰には出来ずとも、有効なカードでしょうね。早瀬少将を本当に確保出来たなら」

  「で、だ。こんな事が出来る奴は一体誰なんだって事だ。最初は魏晋を疑ったが、魏晋さえ手玉に取られている。で次に怪しいと思っていた村上は既に行方不明ときたもんだ。正直、村上にこんな芸当が出来るとは到底思えんがな.....」

  「参りましたね....ただ、取り敢えず少なくとも魏晋の手には落ちてない事はほぼ確定と....全く、良いように遊ばれてますよね、我々」

  「だな.....」

  二人は顔を見合わせて苦笑いするしか無かった。その本音は

  『『はてさて....次はどんなビックリが飛び出る事やら.....』』

  時間は少し遡る.....

  ....

  ........

  ............

  ................

  早瀬少将がアメルモ軍港から居なくなったと昔のつてを使って聞き出した村上元中将....太り過ぎのブルドックは小躍りした。これで復讐心を満たす事が出来ると....

  村上は愚鈍ではない。むしろ目端が利くからこそ、その時々に巡ってきたチャンスを逃さずにモノにして中将にまで上り詰めた。自分が戦闘指揮官としては二流以下であるという自覚があるから後方の兵站科に所属して、装備品の発注等で独自のコネクションを作り上げ、それらを足がかりにしてようやく掴んだのが中将の地位であった。そこで欲を出してしまった。魏晋がバックに付けば更に上に行けるかもと......

  そうして起きてしまったのが、あの事件である。あの時、自分を利用するだけ利用して、危なくなったら逃げていった親魏晋派の連中の事を忘れた事は無いし、利用価値がなくなった途端に全く連絡がつかなくなった魏晋の諜報部の連中の事もだ。しかし....それらは復讐するにはあまりにも相手が大きすぎた。喧嘩など売れば身の破滅は目に見えている。だから、復讐....というにはあまりにも情けない「八つ当たり」をする相手として早瀬少将を選んだのだった。

  幸いにして派閥も作らず、派閥に加わる事もない早瀬は村上の弑逆心を満たすには格好の相手に思えた。何とかして陥れて、失脚させてやろう。そう思って付け狙ってきたのだが....付け入るスキが見つからなかったのだ。何かに執着するという事も特に無く、軍務では理想的な上司として慕われており、何かしら妨害工作を企てても、必ずどこかから手助けが入る。そんな事を繰り返しながら村上は早瀬をこの5年間見てきたのだった。

  あまりにも自分と違う生き方。自然と人を惹きつける性格。どれもが村上の気に障った。しかも自分はもう軍人ではないし、先の事件で自分の影響力という物は完全に失っていた。だから村上は探し続けた。なんとしても自分の復讐心を代行してくれる手段を。

  そんな中、都市伝説の如き「奴隷調教師-教師(ティーチャー)」の話に飛びついたのも、ヤケクソだったからに過ぎない。他に何も方法が見つからないのだ。将官である早瀬には護衛が常に付いていたし、早瀬自身の技量も高い。何より軍の高官に喧嘩を売る様な非合法組織、まともに考えればある筈も無いのだ。

  だから早瀬少将を性奴隷に仕立て上げるなどという依頼を引き受けるという連絡が来た時も、信じてはいなかった。ただ、自分はやれる事は全て試したのだと、自分を納得させる事が目的だった。期待など欠片もしていなかった.....

  しかし、それは実際に起きたのだった。早瀬少将が公式の場に姿を見せなくなり、数日後、自分宛てに送られてきたメールのリンク先は、とある動画の保存先だった。その動画を再生させれば....囚われの身の早瀬少将の映像だった。

  此処で依頼通りに

  「調教後、性奴隷となった早瀬を送り届ける事」

  とすれば、村上のささやかな『復讐(八つ当たり)』は遂げられただろう。しかし、村上は欲を出してしまった。

  『これならばもう一度、魏晋の諜報部との交渉材料にする事が出来るかもしれない』と....

  その後の展開は知っての通り、村上の思惑通りには事が進まず、早瀬少将の身柄も手に入れる事も出来ず、魏晋の諜報部は村上を無視して行動を始め....だから村上はフィジブ諸島へ来たのだった。追跡される事も考慮して第三国経由で偽の身分証で此処に。なんとしても自分にイニシアチブを取り戻す為に。

  まだ村上は知らない。魏晋の情報部の実行部隊が独自行動をして当局に捕まり、その責任を問われる為に、今回の作戦立案者であるジャオ・シャオジーが本国に送還された事を。

  自分が探している相手が、2つの大国の諜報機関を手玉に取り、望んだ状況を作り出せるだけの技量を持った諜報のプロ中のプロである事も。

  そして当然、村上の動きなど、相手には手に取るように判っている事も。

  フィジブに着いた直後に、村上はリベロの手で誘拐されていた。此処で下手に動き回られると当局に余計な情報が入ってしまう心配もあったし、何よりも村上のルール違反

  「性奴隷(早瀬少将)の政治利用の禁止」

  を許すつもりはなかった。気を失っている村上の身ぐるみを全て剥がし裸にして、発振器等の余計な物が無いかどうかを確認し、スマホは電波遮断の箱に入れて保管する。そうしてから肥えすぎたブルドックの躰を厳重に縛り上げると、早瀬とは全く接触させずに別の部屋に放り込む。別の業者には既に話をつけていた。後は向こうに渡してしまえば、万事抜かり無く事を進めてくれるだろう。そうして....懸案事項を片付けた灰口髭の虎....リベロは色々な意味で最後の仕上げに取り掛かるのだった。

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  少し緊張していた。御主人様から

  「最後の"仕上げ"に入るぞ」

  と言われたのが原因だと思う。今まで御主人様に『調教』されてきて、儂自身は

  『うん、儂....もう完全に「社会不適合者(被虐性奴隷)」だわ..』

  と自慢できない"自信"があるのだけれど、御主人様としては、まだ最後の仕上げが足りないらしい....

  壁の大鏡の前に、申し訳程度に背中で革手錠をされて立ち尽くす儂の姿が映る。

  緊張はしていたけれども、やはり興味が勝ってしまい、じっと興奮を抑えている顔が映る。

  体毛を剃られて地肌が露出した胸まわり、下腹部、尻、内股には、「吊り責め」の際に一本鞭で刻まれた、くっきりと赤い鞭痕が見え、毛を剃られずに地肌が露出してない腕や脚でも、あの時に打たれた痕は体毛が歪な生え方をしている事で、鞭痕が刻まれたのだという事が判る。これらが全部『性感帯』なのだと....

  そして黒く大きく発達し、ピアスを付けられた両方の乳首の存在感も....

  つくづく

  『本当に、色々な意味で『創り変えられて』しまったなぁ....』

  と感慨に浸ってしまう。

  性に関して、淡白と言って良かった自分が『男色』にこんなにも嵌ってしまうなんて.....

  更に『被虐愛好者(マゾヒスト)』になってしまうなんて.....

  もう男性の裸を、何も感じずに見る事など出来ないだろう。

  縄を見て興奮しないで居られる自信は全く無い。

  歴史小説で、拷問の場面が出てきたら、多分、付箋で印を付けてしまうと思う。

  そして....儂には『御主人様』が必要なのだと....儂を縛ってくれる人、被虐の欲求を満たしてくれる人、儂をモノ扱いしてくれる人が....

  だから正直、儂が『商品(性奴隷)』として仕上がって、どこかの誰かの所有物になる事に関しては、殆ど不安は抱いていない。もう儂はそういう"生き物"に創り変えられてしまったのだ。誰かに飼われていなければ、多分、心と躰が保たないだろう。

  ああ、御主人様がやってきた....

  ....

  ..

  灰口髭の逞しい躰の大きな虎....『儂の"今の"御主人様』が黒ビキニ一枚で背中から躰を密着させてくる。股間の膨らみを尻に押し付け、上背の高い躰で躰を抱きしめてくる。しっかりと抱きかかえられて、鞭痕を指で丁寧になぞられ、いつもの様にゾクゾクっと快感が疾走る。

  「あ...ぁぁ....御主人様....も、もっと...うぅぅん...」

  これが終わってしまえば、儂は『仕上がってしまった』という事で、他の飼い主に売られてしまうのだ....だから少しはしたなくても、今の御主人様に甘えられるだけ甘えてしまおう。そう考えていた。

  儂と御主人様の力の差は明らかで....特に拘束されていなくとも、こうして容易く抑え込まれてしまう。まして、御主人様は今や儂よりも、儂のツボ(性感帯)を正確に把握している。縄なぞ無くても簡単に喘がされてしまう。儂は完全に御主人様の掌の上だ。

  そして....御主人様は、儂を縄で飾り付けるのが好きな『変態』だし、儂も縛られる事が大好きな『ど変態』だ。

  愛撫されてよがり声を上げる事が好きな『男色家』だが、責めで呻く事はもっと好きな『被虐性癖(マゾヒスト)』だ。

  耳元でそっと囁かれる

  「すっかり、いやらしい躰になっちまったなぁ、ええ?」

  儂は....それでもちょっとだけ恥ずかしくて、顔を赤くして

  「はい.....御主人様....」

  と言葉を返せば、背中から抱きかかえたまま

  「そうだよな....」

  と深い口吻を交わされてしまう。涎が糸を引いて口が離れていくのがなんだか切なくて

  「んぁ...」

  と呻いてしまう。躰の力が抜けて、ぼうっとしてしまう儂を支えながら、更に耳元で

  「じゃあ、これからもっと気持ち良い事しようや」

  そんな事を真っ直ぐに瞳を見つめて間近で言われたら、頷くしかないです......御主人様....

  ....

  ..

  両方の手首を背中に回されて交差させた状態で捩じ上げられて太い縄できっちりと縛り上げて、余った縄を首に掛けられる。

  肘と脇の下に縄を通して胸を何重にも巻いて腕が微塵も動かないようにきっちりと極められる。そうして腕と手首を厳重に縛められてから、今度は飾り縄を施される。

  周りから胸を囲って雄乳房を作られる。首元から股間まで、縄を前後に交差させながら菱形の縄目を作り、腹や腕や胸の肉がいい塩梅にはみ出すように縄を食い込まされていく。

  陰嚢を細引きで縛り上げられ、小ぶりなイチモツにコックリングが嵌められる。

  すっかり黒く大きくなってしまいピアスを付けられた乳首に錘を吊るされる。

  最後に尻穴を良く解してからローションをまぶして儂の尻穴に合わせた特注品のディルドを差し込まれ、その上に掛かる様に、尻の割れ目から股間までをグイっと2本の縄で締め上げられ、股間のこんもりと盛り上がった肉土手を縄で囲うように締め上げられ、更に肉土手が膨らんだ所で、腹の縄と結べば上半身の縛りが完成する。尻がキュッと締まる感覚と尻穴のツボをグイと押される感覚、股間がグイと引き締まる感覚がたまらない。

  儂は鏡に映る自分のそんな姿に欲情してしまい、イチモツからだらしなく粘液を漏らしてしまう。我ながら情けない、恥ずかしいと感じはしても、やっぱり『気持ち良い』という気持ちを抑える事は出来ず....御主人様にもたれかかってしまう。最後かと思うと、一層感じてしまう....

  縛られたまま、躰を愛撫されると、更に気持ちが昂ぶってしまう。食い込んだ縄が鞭痕の性感帯を刺激するのが心地良い。もう、それだけでイッてしまいそうになるのを、コックリングが抑え込んでくれる。呼吸困難になりそうな程に深い口吻を交わせば、酸欠でぼうっとなって、こないだせがんで又やってもらったラップ・ダクトテープ巻きの『窒息責め』を思い出してしまう。

  暫くそうしてから、口に前日に御主人様が履いていた匂いのキツくなった黒ビキニを押し込まれると、その上から手拭いの瘤付き猿轡で蓋をされてしまう。御主人様の雄の匂いが鼻に充満するのが心地良い。何よりも口を塞がれるのは、とても良い....言葉が、意思表示が不自由になるほどにモノに....御主人様の『玩具』になっていく感覚を味わえるから.....

  ....

  ..

  うつ伏せに床に寝かされると、脚を折り曲げられて、手首と足首を頑丈な縄で繋げられてしまう。膝頭から太腿の付け根まで太い縄が食い込んできて、股間の縄と結び付けられるのが判る。

  背中の丁度、手首と足首を繋いだ縄より、天井からの吊り縄を繋がれて吊り上げられていく....吊り縄は全身の縄が締まる様に掛けられているので、引き上げられる毎に躰が縄で締め上げられていく。それがとても気持ちいい....鞭痕の『性感帯』を締め付け、躰の要所を締め付けられる。

  更に引き上げられて、躰が浮き始める頃になると、縄で躰が軋まされる。肘が捻じれ、脚が縄で締め上げられ、体幹が腹を下にしてグイッと曲げられる。背中の腰の上辺りに曲がる力が集中する。

  縄で締め上げられ、関節が捻じれ、体幹が背中の中央で曲げられる。キツく、苦しく、躰が鬱血しそうになる。それを打ち消す様に快楽が全身を包む。その苦痛と快楽の瀬戸際を行き来するのが気持ち良くて仕方ない。

  1.5mほど引き上げられた所で、更に背中に重しが乗せられ、簡単に落ちない様に背中の縄に結ばれる。

  『駿河問い』の基本姿勢が出来上がった。

  鏡に映る儂は、とても苦しそうに汗を垂らし、しかし目は熱っぽく"次"を求めていた。御主人様は儂の脚を持つとゆっくりと、儂の躰を回し始めた。吊り縄がどんどん捻じれていくのが見えた。儂はそんな自分の姿に欲情して股間を濡らしていた。

  ....

  ..

  限界まで吊り縄を捩じ上げた所で、一旦固定してから、錘を追加される。乳首の錘。コックリングの錘。首縄の錘。そうして躰が離されれば、捩じ上げられた吊り縄が元に戻ろうと勢いよく解れていくのに合わせて儂の躰もかなりの速さで回転していく。それはとても苦しくて....躰を縄で引き締められたまま、関節が捻られたまま、背中が曲がったままグルグルと回転していく。その苦しさに顔が歪み、涙が出て、涎が漏れる。少し胃液が逆流する。しかし....その苦しさに比例して快楽が全身を包む。儂は、苦痛と快楽の間で揺さぶられながら、ただただ、回されていた。

  吊り縄の捻じれが元に戻っても、それで回転は止まらない。遠心力で反対に捩れて、それが勢いと拮抗するまで止まらない。やがて反対方向に回転が始まり、儂の感覚が引っ掻き回される。躰がバラバラに引き裂かれそうな苦痛と、それを打ち消すように躰を包む快楽、その2つに翻弄される。

  ただ宙で回っているだけでも、充分に苦しいのだが、御主人様は儂を飽きさせない様に工夫を凝らす。

  一本鞭で回転している儂の躰を容赦なく打ちのめす。

  吊り縄を揺らして、回転を不規則に変化させる。

  一条鞭で錘を叩いて刺激する。

  そんな事を延々と続けられ....儂は苦しさと快楽の両方に翻弄され、躰から汗を垂らして周囲に振りまき、涎と胃液を猿轡越しに漏らし、涙と鼻水を顔から垂れ流していた。苦しさが少しだけ勝り、息が苦しくてハァハァと猿轡越しに苦しい呼吸を繰り返していると、御主人様は猿轡をそっと外してくれたのだった。

  「本当にエロい躰に成りやがったなぁ....」

  俺はそっと呟いた。単に苦しめて、苦悶に歪む様を楽しむ連中も、勿論居る。そんな奴は奴隷が逆らわない様にだけ躾けて、ひたすらに苦痛のみを与えていく。俺はそういうのは好きになれない。苦痛の中に快楽を感じてしまう様な『ど変態』の方が好みなんだ。それも極め付きの苦痛の中でも、快楽を感じ、顔を苦痛で歪めると同時に快楽で目を熱っぽくしてこちらを見つめてくる様な『極め付きのど変態』が。だって、その方が凄くエロいじゃないか。こっちの躰まで熱くなっちまうじゃないか。そんな『ど変態』を俺は探していたんだ。

  この爺さんは間違いなく極上の『ど変態』だ。どんなに遊んでも、この爺さんは壊れない。苦痛と快楽の間で、エロい姿を晒し続ける。どんなにキツくとも、目は熱っぽくこちらを求めてくる。

  冗談じゃない。村上なんてつまらん男に渡してたまるか。勿論、他の顧客にもだ。これは俺の『愛人』だ。

  そうした思いを強くしながら、虎は、熊は、責めに興じていく。苦痛と快楽の間で揺さぶられ、太老熊はますます淫靡な姿を虎の前に晒すのだった....

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  「で、あの爺さんと一緒にモディジグに逃げ込もうって決めた訳か.....」

  呆れた様に話すのは、だらしなくYシャツを引っ掛けたチーターの中年。リベロ...灰口髭の虎の長年の仕事のパートナーだ。リベロもネットワークへの不正侵入はお手の物だが、このチーターには敵わない。先頃、アメルモの強固なネットワークに侵入して「魏晋の情報部が早瀬少将を本国に連れ去ろうとしている」との偽情報を流したのは、この男である。この男以外にも、凄腕の協力者が居るのがリベロの強みである。それこそがリベロが維持してきた『コネクション』の強さであった。

  因みにであるが、魏晋のジャオ・シャオジーがリベロの事をリガロ・マルシアスと誤認し、尚且、リベロのアジトを雑貨屋『ファンキーダック(変わり種のガチョウ)』だと勘違いしたのは、先に述べたリベロの10年にも及ぶ偽装工作に、ごく一部の真実を告げている関係者を除いて、皆が騙され続けてきただけの事である。

  そんな用心深さ故にコネクションの各種専門家や同業者から絶大な信用をされており、フリーランスでありながら大国の諜報機関を引っ掻き回す様な事が出来てしまう訳である。その繋がりだけでも、他の諜報機関にとっては利用価値が高いのだ。その利用価値故に、深い詮索はされずにきた。

  なまじ余計な詮索をした為に、接触を絶たれた上に手酷い『しっぺ返し』を食らった諜報機関も少なくない。

  それが、明確な正体を他の諜報機関に掴ませずに活動してきたリベロ(無論、これも偽名だが)というフリーエージェントの真の姿であった。

  リベロなら、もっとも『高い値』で早瀬少将をモディジグに売りつける事が出来ただろう。金額のみの意味ではなく、リベロが抱えているコネクションにとって色々と便宜を図ってもらえる様な。

  エージェントのリベロなら、そうするのだろうと、当のリベロ本人は考える。しかし....コネクションの他の連中には悪いが、リベロは早瀬少将に『惚れてしまった』のだ。一緒に居られる方法となれば、一緒にモディジグに駆け込むしかない。リベロが早瀬少将を飼い続けるという選択肢もあるが、それはリベロの感情が許さなかった。

  リベロは早瀬少将の全てに『惚れてしまった』のだ。自分の都合で、あの誇り高き提督を拘束し続ける事は、リベロの感情が許さなかった。代わりに自分が長年築きあげたコネクションを手放す事になるのだが。

  流石にそれはと思い、今リベロは自分のコネクションを引き継いでもらおうと、目の前のチーターと相談して....否、頼み込んでいる訳である。

  チーターは....

  「はぁ....全く、、、、凄腕スパイが女じゃなくて男、それも爺さんで躓くとはねぇ....良いよ、俺が引き継ぐよ。というか、願ったり叶ったりって所か。このコネクションを引き継げるなんてな」

  灰口髭の虎....リベロはようやく安堵の笑みを浮かべ

  「それじゃあ、後は頼んだぜ。キム」

  チーターはニヤリと笑って

  「じゃあな。達者でな、ヴェネット」

  自分達の間でのコードネームで呼び合い、握手を交わし、そうしてリベロはスパイを"廃業"したのだった。

  ........

  ....

  そして...

  若く太り気味な、人の良さそうなアイリッシュコーギーが問いかける。

  「ねえ....本当に良いの? 俺がこの店を貰って?」

  リベロが笑って答える

  「ああ、もう俺には不要なものだからな。そのまま潰すには勿体ないから、是非とも貰ってくれや」

  リベロが裏稼業で居ない時に『ヴァンキータック』の店番をしてくれていたミック・ギャレットである。

  この界隈の住人であるからして、胡散臭い事には慣れっこであるが、自分から悪事に関わった事がない『お人好し』である。まあ、生まれつき妙に『勘(危機回避能力)』が高いが故にそうして生きてこられたのだが.....

  組織側に裏稼業(性奴隷調教の方)の引退を告げたら、あっさりと認められた。まあ、この業界、幾らでも代わりは居るのだ。こちらが気にする事じゃあない。そうして諸々の片付け(裏帳簿の処分や、地下室の器具の運び出し、監視装置の処分等)を終えて、残ったのがこの雑貨店『ヴァンキータック』をどうするか?だった。

  流石に組織やマフィアの連中にくれてやるのは、どうかと思ってた所で、思いついたのが、この"お人好し"の顔であった。表向きの仕事はちゃんとこなしてくれてたし、何よりも『余計な詮索をしない』という分別がある。

  裏稼業、薄々は気がついていたのかもしれないが詮索された事は無い。余計な事を知らないだけに、何も気を回す事なくこの後の店を任せる事が出来る。

  「兎に角、頼んだぜ。ミック」

  「は、はい! あの....これからも、連絡つきますよね?」

  「さあて...どうだろうなぁ....」

  リベロはくるりと背を向けると、そのまま歩き始めたのだった。

  パン、パンと空砲の音がする。アメルモの軍港の方だ。合同演習が無事終わり、閉会式が始まったのだ。

  ........

  ....

  早瀬少将が保護されたのは、三日前....指定されたホテルの一室でベッドで寝ている所を駆けつけたアメルモ海軍の特殊部隊:シームに保護されたのだった。

  早瀬少将は自分が解放された事、まだ自分が誘拐されてから一月も経っていない事などに大変驚いていて、多少の混乱をみせたものの、どうにか落ち着きを取り戻し、こうして今、無事に閉会式に参加しているのだった。

  心配そうに見守っていた吉野少将と皆川大佐だったが、何とか式典を終える事が出来そうだと内心胸を撫で下ろしていた。

  まだ、早瀬少将は色々と記憶の混乱を起こしていた。今まで誘拐されていた期間が3ヶ月~半年くらいに感じているそうである。それほどに色々な事があったのだと....

  そんな精神状態の早瀬少将を式典に立たせるのは正直不安だったが、早瀬少将が其処だけは頑として譲らなかった。今自分が出来る事は

  『何事もなかった様に振る舞う事』だけだと....

  そうして今、式典に立っている早瀬少将は以前の様に、柔らかな雰囲気の中に威厳を醸し出して、参加した兵達に敬礼を返すのだった。

  ・

  ・

  ・

  やがて式典は終わり、解散となった。各々の国の派遣艦隊が母港へ向けて帰っていく....

  流石に早瀬少将は、式典を無事に終えた所で疲れが出てしまい、後の事は吉野少将と皆川大佐に任せ、旗艦である愛鷹の自室で療養しながら、帰路についたのだった。

  ................

  ............

  ........

  ....

  [newpage]

  モディジグに戻って半月あまり....儂こと早瀬少将は完全に日常を取り戻していた。あの事件が夢の様だったと思わないでもない。誘拐されて再び返されるまでの一月弱....儂には半年にも思える本当に濃密な時間だった。

  しかし夢ではない事は躰に残った毛の生え方が歪な箇所....鞭痕が教えてくれる。心に刻まれたモノが訴えてくる。もうシャワー室にて、部下達の裸体を見て何も感じずにはいられない。縄が恋しくて仕方がない。被虐衝動が訴えてくる。仕事を終えて自宅に戻ると、なんというか....物足りないのだ。

  あの時、御主人様が儂をモディジグに帰すと聞いた時、儂は....

  「む、無理です!! 今更、奴隷から軍人に戻るなんて.....」

  その時、御主人様は言ってくれたのだ。

  「部下達をほっぽりだして来ちまう様な提督なんて、俺はお断りだな。俺は軍務を立派に果たす『奴隷見習い』に惚れたんだ。なに、安心しろ。お前が嫌だって言っても、俺はお前を追いかけるからよ。ただちょっとだけ、後始末が色々とな....それが済んだら必ず会いに行く。必ずだ」

  そう言って儂を送り出した。薬で眠らされて、目が覚めたらアメルモ軍港内の医務室で、だいぶ驚かされたけれども....

  色々と混乱してしまったが、今はどうにか軍務をこなせている。もう大丈夫だと、儂自身でも思う。しかし....御主人様が側に居ないという、ぽっかりと心に大きな穴が空いた様な寂しさは埋めようもない....

  今日は定時に帰宅する。部下(護衛)の運転する車で自宅まで。もっとも帰った所で....

  玄関の明かりが灯っていた。其処に人影を見つけて思わず身構えた。すると....ふふッと笑みが漏れ、見覚えのある姿が顕になった。その人影が

  「もう、俺の事を忘れちまったのか? 薄情な奴だなぁ....」

  「御主人様!?」

  儂は思わず駆け寄って抱きついた。

  「今まで何をしていたんです!? 儂はもう....もう会えないのかと....」

  涙声で抱きつかれて、少々困った様な様子で

  「仕方ないだろ....こっちは色々と後始末があったんだ。それに....これから一緒に住むためにモディジグ政府と色々と交渉もしなけりゃならなかったしな....」

  二人は玄関先で熱い口吻を交わしたのだった。

  ・

  ・

  ・

  モディジグ政府との交渉の結果はとどのつまり、

  『お互い余計な事は一切しない事』

  で落ち着いた。こちらが残してきたコネクションが握っている情報でアメルモやモディジグに都合の悪い事が幾つもある事が決め手になった。それらを黙っている代わりに、俺の過去を詮索しない。そして俺の方も今後は一切非合法活動に関わらず、一民間人として、早瀬少将の側で生活していく。そういう事で互いに手打ちとなった。俺はフリーの翻訳家、レオン・マルティンとして早瀬少将の自宅に居候する事になった。まあ....隠し口座の額で比較すると、俺の方が50倍近く金持ちだけどな。

  ................

  ............

  ........

  ....

  あれから一ヶ月....地下室の改修工事も無事に終え、別の場所に保管していた器具や道具も運び入れる事が出来た。俺が住む事になる部屋の改装も良い感じに仕上がった。

  本業になった「翻訳」の仕事も順調で....どうやら俺には文才もあったらしい。訳された和文に、独特の「わび」「さび」を感じるのだと、小説の翻訳を頼んできた女性編集者は言っていた。こっちは出来るだけ原文のニュアンスをなんとか和文に落とし込もうと必死に何度も書き直していただけなんだが....まあ、そういう評価をしてくれたら悪い気はしない。もっとも、まだまだ慣れたとは言い難い状況ではあるが....

  オラヴィ....早瀬のファーストネームだ。いつまでも早瀬じゃ他人行儀くさいので、ファーストネームで呼んでほしいと、普段の呼び名がそうなった....は、今日は定時に帰ってくるというんで、俺が夕飯を作る事になる。主にイタリアンになるのだが、概ね好評だ。偶にオラヴィが作る時はがっつり和食になる。俺は天ぷらが気に入っている。

  ....

  ..

  そうら、帰ってきた。

  「ただいま。レオン」

  「おかえり、オラヴィ」

  そしてそのまま抱擁と熱い口吻を交わす。冷めない様に早速夕飯にする。

  ....

  ..

  ピザに舌鼓を打ちながら....これを作る為にキッチンも改装させて石窯を設置させた。俺のこだわりだったから、俺が金額を負担しても良かったんだが、オラヴィが半額だすと言って聞かなかったので、、、いやキッチンだけでなく諸々の家の改装費はオラヴィと折半だ。俺が全額出しても問題ないんだけどなぁ.....

  夕食のイタリアンを平らげ、デザートのアイスを食べながら互いの仕事の状況なんぞを話したり....

  「そうか....レオン、2冊目を訳す事が決まったのか」

  「ああ、1冊目が思いの外、好評だったんでな」

  「そりゃあ、良かった」

  「で、そっちは?」

  「ああ....やはり、訓練と示威行動を兼ねてちょっと遠出になる。二週間くらい戻って来れなくなりそうだ」

  「そうか.....」

  オラヴィがじっと熱い視線で見つめてくる。抱きついてきて

  「....二週間は長いですよ、御主人様。どうかこのはしたない奴隷にたっぷりと躾けをお願いできないでしょうか?」

  どうやら、オラヴィの方はもうスイッチが入っちまったらしい。まあ、確かに二週間会えないのはキツいよな...俺もスイッチが入っちまった。

  「じゃあ、ちゃんと躰を整えて準備しておけよ。今日はガッツリやってやるからな」

  「はい....」

  そうして再び熱い口吻を交わしたのだった。

  ....

  ..

  倉庫としてしか使われてなかったこの地下室の変わり様ときたら....弟達には見せられんな....

  儂は改装した地下室の鏡の前で御主人様に縛り上げられていた。いつもどおり....

  両方の手首を背中に回されて交差させた状態で捩じ上げられて太い縄できっちりと縛り上げて、余った縄を首に掛けられる。

  肘と脇の下に縄を通して胸を何重にも巻いて腕が微塵も動かないようにきっちりと極められる。そうして腕と手首を厳重に縛められてから、今度は飾り縄を施される。

  周りから胸を囲って雄乳房を作られる。首元から股間まで、縄を前後に交差させながら菱形の縄目を作り、腹や腕や胸の肉がいい塩梅にはみ出すように縄を食い込まされていく。

  陰嚢を細引きで縛り上げられ、小ぶりなイチモツにコックリングが嵌められる。

  すっかり黒く大きくなってしまいピアスを付けられた乳首に錘を吊るされる。

  最後に尻穴を良く解してからローションをまぶして儂の尻穴に合わせた特注品のディルドを差し込まれ、その上に掛かる様に、尻の割れ目から股間までをグイっと2本の縄で締め上げられて、腹の縄と結べば上半身の縛りが完成する。尻がキュッと締まる感覚と尻穴のツボをグイと押される感覚、股間がグイと引き締まる感覚がたまらない。

  そうして、天井からの吊り縄に繋がれ、引き上げられると、そのまま三角木馬の上に移動させられる。徐々に吊り縄が下げられて....股間に鋭角の頂点が食い込んでくる感触がたまらない....

  足首に錘が足されていくのがたまらない。キツくて、そして....気持ちいい

  御主人様が一本鞭を、ビシリッと胸に叩きつけてくる。その衝撃と後からジンジンと痛みが襲ってくるのが、たまらなく気持ちいい....

  儂は黒ビキニを身に着けた御主人様をじっと見つめて、猿轡越しに呻きを漏らす。

  「ん....ぅぅ...ん」

  『もっと....もっと、ください。御主人様....』

  ....

  ..

  同じ頃....違う地下室では....

  「ひぎゃあー!!!!!」

  肥え太り、裸に剥かれたブルドックの老人が、手首を縛られ天井から吊られ、足首は半開きの状態で床の金具に足首を繋がれ、ブルウィップと呼ばれる強力な一本鞭で全身を満遍なく叩かれ、悲鳴を上げていた。

  「おらおら!! もっと鳴けってんだよ!!!」

  猪の男になじられながら、鞭で延々と叩かれる。

  「許してください!! お金でも、なんでも....」

  泣きながら許しを請う姿が猪の弑逆心を刺激する。返事の代わりに鞭が飛び、ブルドックが泣き叫ぶ。

  このブルドックの名は村上....早瀬少将を陥れようと画策していた村上元中将であった。

  気がつけば、この地下牢獄で.....残飯を犬食いする事を強要された。それを拒絶すれば、吊るされて鞭の応酬が待っていた。村上は一日で心が折れてしまった。

  残飯を犬食いさせられ、徹底的な浣腸を施され、鞭で叩かれる日々。何とか許してもらおうと、金の事を口にしても、返ってくるのは一本鞭の殴打だった。

  逆さ吊りにされて、水責めをされながら、一本鞭で打たれ続けた事もある。

  兎に角、こちらの言葉など関係なく、純粋な拷問....苦痛が与えられる。

  ブルドック特有の殆ど体毛がない躰には、綺麗に赤い鞭痕が何本も刻み込まれていた。

  もう終わりにしたいと思っても、舌を噛み切る様な度胸も無い。

  ただ、ひたすらに責められ、悲鳴を上げさせられる。そんな日々が続き、村上は壊れかけてきていた....

  村上は知らない。既に村上のスマホから情報が全て引き出されおり、其処に記録されていた情報から村上の全ての口座から預金全額がマフィアの手によって引き出されている事を。

  村上は知らない。これまでの責め苦による鳴き具合が動画で配信され、既に奴隷として値が付き始めている事を。

  村上は知らない。これが、終わりのない地獄の始まりだという事を....

  [newpage]

  <おまけ>

  設定、あるいは"妄想"と言う名の駄文

  <「魏晋人民共和国」のモデル>

  フィクションです。モデルなんてありません。いや、本当にありませんから(冷汗

  <「モディジグ」のモデル>

  一体、どこなんでしょうねぇ..(^^;;

  <「アメルモ共和国」のモデル>

  うーん....間違っても喧嘩売っちゃいけないチート国家かな?

  <「ファンス」のモデル>

  うーん....芸術の国かも?

  <VF-45B>

  アメルモ共和国の最新鋭ステルス戦闘機。

  運動性能よりもステルス性とミサイル母艦である事を主体に設計された戦闘機で、VTOL(垂直離着陸機)でもある。因みに開発中の型式はYF-45。

  変形しませんからね、ええ、本当に。

  <軽空母-愛鷹(あしたか)>

  モディジグの同型艦の三番艦。甲板に鋲を打っておいて「空母では無い!」と言い張った1番・2番艦と違い、最初からVF-45Bの運用を明言されて建造された最新軽空母。

  <イージス艦-雨飾(あまかざり)>

  モディジグの最新鋭イージス艦。

  <アニメ作品「宇宙王子デューク・グレン」とは?>

  ※この小説を書きながら「スパロボMX」をやってました

  モディジグで制作されたアニメ「神帝(ジンカイザー)」シリーズの三作目

  ファンスで放送されるや一躍国民的大人気アニメとなった(視聴率80%以上とも)。

  (あらすじ)

  宇宙帝国ベガスにより故郷であるグレン星を滅ぼされたグレン星の王子デューク・グレン(地球人名:宇道大次郎(うみちだいじろう))が、逃げ延びた先の地球に宇宙帝国ベガスの魔の手が迫ってきた事を知り、第二の故郷とも言える地球を守るべくグレン星の伝説の守護神「グレンカイザー」で宇宙帝国ベガスに立ち向かうのであった。

  (詳細)

  当初は「神帝(ジンカイザー)」シリーズの一作目の主人公である兜山光太郎が出演している以外に、過去の二作品「神帝Z(ジンカイザーゼット)」「グレート神帝(グレートジンカイザー)」との繋がりが認められなかったのだが、新帝Zの敵役である「プロフェッサーヘブン」が再起を図って宇宙帝国ベガスの新幹部として加わった事で戦いがヒートアップ。度重なる猛攻により、さしものグレン星の伝説の守護神グレンカイザーもピンチに陥る場面が。そこで兜山光太郎がもう動かすまいと厳重な封印を施しておいた新帝Z(ジンカイザーゼット)を「立て、再び! 黒鉄(くろがね)の魔神」の回で再起動させ、再び戦線に本格復帰してから、二大ロボによる連携戦闘がメインとなっていった。

  71話目にて、帝王ベガスの娘にして、かつてのデュークの婚約者であるルーピナ王女が地球に来訪。後を追ってきたベガスの部下が放った凶弾からデュークを庇って死亡した。その死に際にグレン星が放射能汚染から復活を遂げようとしている事、ベガス帝国の月面の秘密基地の場所を伝えるのであった。

  月面の秘密基地を攻略すべく、地球の全戦力が集結。そこに、モディジグ以外の地域をベガス帝国の侵略から守り続けていた剣谷鉄二(つるぎたにてつじ)率いるグレート神帝(グレートジンカイザー)軍団50機も合流。ベガス帝国への逆襲が開始された。しかし前回の戦闘で新帝Zを大破させてしまっていた兜山光太郎は攻略に参加する事が出来なかった。

  当初、グレート神帝軍団50機の活躍により戦いを有利に進めていた地球軍だったが、罠に嵌って分断されピンチに。

  しかし、デュークの妹であるマリンの予知能力により、この危機を察知していた兜山光太郎が新帝Zの後継機として宇宙で秘密裏に開発されていた究極の神帝(ジンカイザー)「ゴット神帝Σ(ゴットジンカイザーシグマ)」でマリンと共に駆けつけ罠を外側から打ち破り危機を救ったのだった。

  再び本領を発揮したグレート神帝軍団50機の猛攻は凄まじく、ベガス帝国の宇宙獣は為す術もなく撃破されていく。

  よいよもって負けを覚悟した皇帝ベガスは

  「どうせ自分の物にならぬのなら」

  と、地球を特殊放射能で汚染させてしまおうと超マザーシップで地球への特攻を敢行しようとする。

  しかし、兜山光太郎、剣谷鉄二、デューク・グレンが操る各々の機体「ゴット神帝Σ」「グレート神帝」「グレンカイザー」の3機連携技である「トリプル・ジンカイザー・ブレード」により超マザーシップは撃破され、宇宙帝国ベガスは名実ともに滅んだ。

  戦いの後、デューク・グレンと、妹のマリン・グレンはグレン星復興の為に宇宙へと旅立つのであった。

广告广告