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【琥珀の牢】○○○を"狩る?"モノたち【鏑木森の悪鬼】
薩摩の剣術の如き渾身の袈裟斬りが悪鬼を真っ二つに斬り伏せる......
身の丈ほどもある野太刀を振るう狐娘の名は"なり"......まりちゃんの喧嘩相手(幼なじみ)
元々、攻めの剣で相手を圧する事で疎かになりがちな守りを補う戦い方を好む質であったが
この様な身を投げる様な斬撃は普段はしない......斬った後の隙が大きいからだ
早速、背後より別の悪鬼が迫ってくる
だが、そこに割って入る影が..........北極狐の"豊平"が両手に得物を持って立ち塞がる
先程より悪鬼相手に『とりもち玉』で動きを鈍らせ両の得物で打ち据える動きも慣れたもの
そうして悪鬼を足止めする北極狐の背中から
「行くよ!」
「ちょ!」
慌てて横に身を躱すその影から
狐娘の渾身を込めた斬撃が、腕が斧の悪鬼へ繰り出され、、、、
真っ二つになって倒れていく悪鬼を見ながら
「おなりちゃん、流石だぁ」
感嘆の声を上げる北極狐を横目に
「ふん.....そっちこそヘタレのくせして結構やるじゃないか」
と面白くなさそうに答える
実の所、背後を任せられるからこそ放てるあの斬撃、、一見頼りないこの北極狐を見なおして
いるのだが、、、
...コイツが好きなのはアイツなんだよな.....
その事がどうにも面白く無い.....素直になれない理由の一つである
どうしてこんなにイライラさせられるのか、、、周りからしたら一目瞭然(ツンデレ)なのだが
意地が邪魔して結論に辿りつけないもどかしさ....ええい!と頭を振り払うと
「決めた! アイツを見つけたら、アイツとお前を一発殴らせろ!」
「ええ!! どうして!?」
北極狐が思わず振り返った刹那、、、、
「うわー!!」
「危ないー!!」
とり餅投擲機にて悪鬼を足止めしていた二人、、"桜太郎"と"楽"が揃って叫んだその先へ視線
を戻すと....
"\にゃーん/"という轟音?と共に
天使の顔をした悪魔(猫型鎖分銅)が北極狐自身をめがけ一直線に飛んでくるのが視界に......
あまりに訳の判らぬ状況のまま
...せめてもう一度、おまりちゃんに会いたかったなぁ......
と北極狐の脳裏を走馬灯が過ぎる、、、、
だが、、、、、突如、横の立木の間より飛び出したるは一迅の桃色の風......北極狐の丸々と
した体を押し倒して自身もそのまま地に伏せると、
地に伏せた二人の上を通り過ぎた"悪魔(猫分銅)"は狐娘の脇を掠め、
背後の太い立木二本を豪快にへし折り、派手な土煙を上げて"着地?"すると
「みゃぁ......」
と一声弱々しい"声?"を上げてから目を閉じ、そのまま動かなくなった......
殻繰師-五百枝蔵人の"匠の技?"が窺い知れる芸の細かい一品である
ふと見上げれば分銅を放った悪鬼が体を仰け反らせたまま、ゆっくりと倒れていくのと
時を同じくして一際大きな影が飛び出し、手が鋏の悪鬼へ槍で打ち掛かるのが見え、、
「大丈夫アルカ?」
慌てて声のする方へ顔を向けると、桃色の着物を羽織りニッコリ笑う大熊猫の顔が間近に....
「あ、ああ、、こっちは何とも....その、ありがとう」
北極狐が慌てて立ち上がって礼を言うと
「ウチは桃鈴零、西域から商いをしに来たアルヨ
よろしくアル」
笑顔のままペコリと頭を下げる大熊猫の少女?の姿に
「ああ、宜しく、、、おいらは豊平ってんだけど、、、、所で一体何しに此処へ?」
「ウチの知り合いが人を探しているアルヨ」
そんなやり取りをしていると立木の間から見覚えのある虎の青年が駆け寄ってくるのが見えた
「皆! 大丈夫!?」
「宗吉さん!? ひょっとしてこの娘はあんたの知り合いかい?」
「うん、孝さんの昔の商売仲間なんだって.....
後、その娘...."男の子"だから、、、、、」
目が点になる北極狐、、、其処へ
「あっちは取り敢えず片付いたぞ」
先程悪鬼に槍で打ち掛かった大きな影.....大狸の槍使い"箏雪"
念の為に布で顔を隠しているが、その体格ではバレてしまう気も......
「別にあたい一人で大丈夫だったのにさ」
と豊平の無事を確かめすぐさま大狸の加勢に向かった狐娘"なり"が戻ってくる
「どうやら片付いたみたいやね」
銃を担いで現れたのは太犬の孝之助....先程の分銅使いの悪鬼を撃った弾の匂いが漂ってくる
「なんだい、今頃加勢かい?」
狐娘が問うてくるのに
「まあ、其れもあるんやがね、、、」
と言い終わらぬうちに
「向こうから団体さんいらっしゃいましたよ」
「ですよ~」
周囲の悪鬼を警戒していたハイエナの青年"桜太郎"と犬の"楽"が知らせてくるその先に見えた
のは悪鬼六体がこちらへ向かってくる姿、、、
「ち!、、、次から次へと湧いてきやがって、、」
狐娘が忌々しそうに吐き捨て、そのまま斬りかかろうとするのを
「ちょい待ち! 試したい事があるんよ」
太犬が若虎がへ頷くと、地面に置いた道具箱から丸薬を取り出し悪鬼の群れへ投げつけた
「それ!」
掛け声と共に投げつけた丸薬が悪鬼の足元で破裂すると周囲に立ち込める刺激臭、、、
「何だい!こんなのでアイツらが止まるわけ無いだろ!」
狐娘が顔を顰めて叫んでいると、、、、、、悪鬼達の様子に変化が......
片刃腕の悪鬼が突然隣の悪鬼の首を狩ると、大熊の悪鬼が拳を片刃の悪鬼の腹にめり込ませて
臓物を引きずり出し、、、兎の悪鬼が膝の刃で熊の首を......
互いに体を千切れさせながらも止めようとしない........そうして最後に残ったのはボロボロ
になり這う事すら儘ならない片腕だけの悪鬼一体、、、
「一体、、どうなっているんだい、、、、」
三人が呆然とした面持ちでいる中、前に進みでた狐娘が足元で蠢く悪鬼を見下ろして呟くと
「咲月はんの推測が当たったみたいやな....」
背中から太犬の声が答えるのに
「え!? どういう事ですか?」
耳の垂れた犬の殻繰師の問いに答えたのは若虎の方、、、
「咲月ちゃん、、、この"人達"を調べているんだ....止める方法が他に無いかって、、
判った事は身体能力を上げる為に"体を動かす"以外の余計な物を削っている事......
最大限の力で動かして壊れていく筋肉の痛みを感じる"痛覚"も、、
人を人だと思える"理性"も、、、
だから、、、動く物を"何か"で襲うモノとそうでないモノに区別している筈だって、、、」
「其れが"臭い"だったんですね
だから、さっきの丸薬で鼻が効かなくなったら......」
ハイエナの殻繰師が沈痛な面持ちで呟く
「せや、、確証が無かったんで町中で試す訳にはいかんかったから此処で試したんや
間違うとったら何が起きるか判らんさかいに......」
上手く行った事も忘れ、応える太犬の声も沈んだまま....
「見分けている"臭い"が判れば、人を襲うのを止める事が出来るかも知れないんだ」
若虎が顔を上げて訴えるのに、北極狐が
「でも、、、どんな臭いなのか判らないんじゃなぁ....」
「一人、心当たりがあるんや」
「一体、誰なんだよ、、その心当たりってのは?」
狐娘の問いに
「咲月はんの親父さんや」
「「「「「え!」」」」
四人が驚く中、、、答えた太犬は涼しい顔
「いや、それは確かに知っているでしょうけど.....教えてくれる筈が、、、」
「そ、そうですよ、、」
ハイエナと犬の殻繰師が慌てて反論するが
「別に教えてもらおう思うてないよ
"奪う"つもりや、、、"臭い"の元をな」
しれっとした顔で応える太犬に若虎が続ける
「咲月ちゃんの親父さん....五百枝蔵人が悪鬼に襲われない理由が其れかもしれない
だから、、、、、」
「襲われない理由なんて他にも考えられますよ!造り主が自分の事を"生き殻繰"に覚えさせる
なんて当たり前じゃないですか!」
尚も食い下がるハイエナに
「せやな~
確かに自分の事、覚えさせとるかもしれんな、、、顔やら声やら...."体臭"やら」
「体臭?」
「鏑木森ん中は昼間でも暗いやろ
自分が襲われん為にず~と声出してるのは面倒臭いちゃうん?」
「それは確かに、、、でも、自分の体臭を覚えさせたのが襲われない理由ならどうしようも
ないんじゃ......」
「いんや、、、もっと話が簡単になるだけやよ」
「え? それはどういう....?」
「その狸親父とっ捕まえて上から下まで"毛刈り"するだけやよ
お守り代わりに皆に配る為にな、、、"臭いの元"を」
ニィと笑う太犬の笑顔には普段は感じられない凄みが、、、、
「なあ、その、、、タオちゃん?」
北極狐が恐る恐る大熊猫の少年?に声を掛けると
「リンリンでよろしアル」
ニッコリ笑って返す大熊猫に
「そう、じゃあリンリンちゃん......さっきの人探しって、、、」
「ハイ!
狸親父捕まえて"毛刈り"する為アルヨ!」
北極狐の問いに"初めからそのつもりだった"事を臆面もなくバラす大熊猫、、、、
「コラ、リンリンはん!
必要だった場合やよ、"一応"は」
建前上たしなめる太犬、、、、
「あんた、、大丈夫かい?」
一連のやり取りをゲンナリした様子で聞いている大狸に狐娘が声を掛ける
「いや、もう慣れた、、、と思う........いや、思いたい....」
最後の所は呟く様に答えた大狸に、敢えて聞こえなかったフリをしてあげる狐娘、、、
「これがさっきの丸薬の処方箋です
鉄斎先生が教えてくれた物をちょっと変えただけの物だから作るのは難しくないですよ」
若虎が殻繰師の二人に手持ちの丸薬半分と処方箋を渡すと
「代わりにコレを持って行ってください」
と手渡されたのは『とりもち玉』、、、
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「それじゃ、、
北門を突破するまで俺の後ろから離れるんじゃねえぞ!」
先鋒を務める大狸が槍を握り締め声を上げると
「ウチにもまかせるアル!」
大熊猫が太極拳の構えを見せ、、、
「二人とも頼りにしてまっせ」
太犬が両手で構えるは連発銃(リボルバー)の"阿"と"吽"
「御願いします」
と若虎が懐に忍ばせるのは、丸薬ととりもち玉、、、
こうして、悪鬼の群れかいくぐり、 四人は北門の向こう、、、鏑木森へ消えていった
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