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【165】親友に生かされている今日この頃です!(いやマジで)

  人は予想外の出来事に遭遇すると宇宙猫化しちゃうよねぇ・・

  [[rb:親友 > アキ]]の「換金額がエグイ事に」との話に、恐る恐る口座チェックしたら見た事ない桁が表示されて目玉がポーン。

  スマホ画面をそっ閉じして、暫し思考を放棄致します。

  あー。コーラうめー。

  遠い目でほぼほぼ氷のうっすいコーラをじゅごごごご~っと啜っていると呆れた声で親友が言った。

  「最初の取引での入金額は確認してたでしょ?そしたら取引回数で大体の換金額は把握出来るでしょうに」

  「んなったってぇ~・・その一度目の額が凄かったからさぁ・・なんか怖くなって口座確認するの無意識に避けてたんだよぉ~」

  うぉん、うぉんと泣きマネすると「情けない声出さない!」と叱られる。

  「そうは申しましても、なんか桁が8桁に届きそうなんですが・・え、私明日死ぬの?そしたらこのお金は「オタクの祭典コ○ケに寄付する」って遺言書かなきゃ」

  「アホたれ。そう簡単に死なせるもんですか!アコにはこれからも沢山描いてもらうんだから!」

  「萌えの供給源を断たれて堪るか!」とガンギマりの目で詰め寄られ、あまりの勢いに正気に返らされた。

  「お、おう・・さよけ。相変わらず私の作品好き過ぎか」

  「一生推すって何度も言ってるでしょ!?」

  確かに聞いてマス。お陰さまで絵に関してだけは自己評価高めデス。

  他はポンコツだけども。

  「本当に絵が綺麗ってだけでも読み応えがあるのに[[rb:内容 > ストーリー]]が最高で模写はコピペかってレベルに上手くてプロ顔負けな薄い本を毎度生み出してくれてマジありがとうございますっっ!!今日貰ったイラストも家宝にするからね!大事にファイルして日焼けしないように管理する!」

  鼻息荒くノンブレスで一気に語る親友ぇ・・

  ま~た私の絵に対するノンストップ高評価コメントタイムが始まったですたい。

  「や、そこまで大仰な扱いせんでも・・」

  「何言ってんの!アコだって大好きな作家様の原画を入手したら相当大事にするでしょ?!」

  「そりゃするけども。それとこれとは別・・・・解った。解ったから。初めてあげた絵を神棚にあげてる画像見せつけて来るのヤメテ!」

  そんな祀り上げるような扱いしないで頂けます?!

  私の絵はお供え物じゃないぞ!?

  「持ち上げられ過ぎて背中がムズムズしてきたからもうその辺で!」

  「いや。アコは定期的に高評価を与えないとすーぐ自己評価が下がるからダメ」

  「えぇ・・」

  あたしゃ管理されてないと枯れるハウス栽培の野菜かなんかかい。

  頑な態度に半ば呆れていると、親友は足元に置いた鞄から先程仕舞った筈のクリアファイルを取り出してテーブルの上に置き、キリリと真剣な表情で言った。

  「今からアコのイラストへ賛辞を送ります」

  「唐突ぅ・・」

  でも途中で口を挟もうモノなら更に時間が伸びるのは経験済みなので、大人しく耳を傾けます。

  うぉぉ・・有難くって泣きそうだぜ・・

  そうして始まった怒涛の褒めちぎりタイム。

  膝の上で拳を握り、羞恥に身もだえしそうになる体をどうにか抑えて背筋を伸ばし耐える事暫し。

  漸く終わりが見えて来て、ほっと肩の力を抜いた。

  「―そんな訳でこの線のタッチはアコの手癖で色と塗りは原作寄りなのが大変あたし好みで最高です!」

  「へぁ・・ありあとやす・・」

  終了?以上で終了だよね?・・おふぅ。ほっぺた熱ぅい・・

  照れと恥ずかしさと、それにも勝る嬉しさでお顔がぽっぽしてますわぁ。

  両手でニヨニヨと緩む頬を挟むと、手汗で冷えた手にじわっと熱が移ってくる。

  うへへへ。何て言うか、やっぱりまるっと全肯定されちゃうと嬉しくって表情筋が溶けちゃうね。

  だらしない表情をしているであろう私の様子に一つ頷き、親友は胸を張って満足気に言った。

  「・・・よし。今日はこのくらいにしといてあげる」

  「えへへぇ。ありがとねぇアキ」

  「あたしの言葉でアコのモチベが維持されるならまた何時だって褒め称えちゃいましょう!あ。何度でも言うけど、全部本音でお世辞なんかじゃないからね?」

  「あぃあぃ。了解です~」

  そこでふっ、と顔を歪めた親友は、思わずといった様子で悔しげに呟く。

  「本当、プロになれないのがおかしいっての・・」

  「・・うん。でもそれは、仕方のない事だから」

  誰だって、上の人に睨まれたくはないだろうし。

  「っ。ゴメン。蒸し返さないって約束してたのに」

  「いいよ。私を思ってくれての事でしょ。それに、私の本が書店に並ばなくたって、同人やネットで私の絵が好きだって言ってくれてる人に沢山読んでもらえてるから・・だから平気だよ。強がりなんかじゃなくて、これマジの本音」

  「それに最高のファンが近くで応援してくれてるからね」とにっこり笑って伝えると、親友は無言のまま身を乗り出して、テーブル越しにぎゅうと抱きしめて来た。

  「・・うん。分かった。これからも出来る限り手伝うし、精一杯応援するからね」

  「うん。へへっ。ありがと」

  感謝の気持ちと共にぎゅっと腕に力を込めて抱きしめ返した後、回した手の平で背中をぽんぽんと叩き離すように促して元の体勢に戻る。

  腰を下ろしてお互いの顔を見たら、何だか照れてしまってくすくすと小さく笑いあった。

  それ以降はまたオタクトークに戻り濃い時間を過ごすも、明日も仕事の親友は「そろそろ帰るわ」と終電前に帰り支度を始める。

  見送りがてら「泊って行けば?」と提案したのだけど、残念ながら今日は厳しいという事で諦めた。

  「それじゃ、金貨の換金は暫くナシで良いのね?」

  コンクリの床で靴のつま先を打ち、トントンとリズムを刻みながら確認してくる親友。

  「うん。鋳潰しちゃうとあっちに支払いが発生した時に困ると思うから。金貨のまま貸金庫とかに預けるよ」

  「そっか。じゃあまた換金の必要が出てきたら何時でも声掛けてね!」

  「勿論!その時はよろしくお願いします~。あ、お手伝いさんたちにイラストのリクエスト聞いておいてくれる?」

  「了解。確認してメッセ返すわ!」

  「じゃ、また~」と手を振る親友に「は~い気を付けてな~」と玄関で見送り別れましたとさ。

  っしゃい!

  じゃ、イベントに向けて販促ポスターやらペーパーやらの準備をしますか!

  ゴミを片付け、ローテーブルを拭いて仕舞い早速作業机に向かった。

  PCを立ち上げ、カラーイラストを開きながら考える。

  ジャンル違いだけど、ちょろっとハズ○ンのイラストとかも使いたいなぁ・・

  「う~む。あぶく銭も入った事だし。いっその事もう一冊刷るか・・書き溜めたイラスト使って何枚か書き下ろし入れればイラスト本の一冊くらい・・」

  ・・・・うん!イケるイケる!多分イケる!

  え?フラグ?それは知らない子ですね!

  「そうと決まれば早速データを作りましょうか♪」

  ストーカーの所為で支部に上げられてないイラストもモリっとありますし。

  再録よりは見応えのある本になるでしょう!

  「ふんふんふ~ん♪久々のイベ参加、楽しみだなぁ~♪」

  なんて、心の声を適当な歌に乗せてマウスを握り、嬉々として入稿データ作りに入るオタク。

  ワクワクが止まらないんだぜ!!

  〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

  『どうしてこうなった・・』

  どもども。アラサーオタクな同人作家。「あーこ」こと綾小路頼子です。

  現在。目の前の状況に頭を抱えて転げまわりたい衝動に駆られていますですのコトよ?

  あ、新刊の追加についてはご心配なく!

  新しく何枚か描いたら翌々日には印刷所に入稿データ送ったし。

  問題なのは同人ではなく目の前のコレでして・・

  ちら、と顔を隠す仮面の奥から鏡の向こう側を窺えば、そこにはニッコリ微笑む[[rb:美人さん > お姉さま]]。

  そしてその手前に並べられているのは、謎に迫力を醸し出している道具?らしき物体たち・・

  「あの、クリスさん?そちらのモノは一体・・」

  「お約束しました魔女さまへの対価ですわ!」

  「・・・と、という事は、ソレら、が?」

  恐る恐る。若干震える指で指し示すと、ぱぁ!と正に花が咲いたように満面の笑みで答える美人さん。

  「ええ!魔力保有力拡張の為の魔道具ですわ!」

  「いやでもまだ紙漉の情報はお渡ししていな―「では早速使い方をご説明致しますわね!」・・」

  おう・・聞いてないよこの人。

  既に魔道具?の1つを手に取って、どこかウキウキとした様子で卑猥な形に変形させたりして語り始める美人さん・・

  ・・ドウシテコウナッタ?

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