005-006
東方大陸から飛来したクフィカールは全てテガス新工房へと集められていた、巨大な円筒形をした建物の外壁は侵入者を防ぐのに効果的で、浮遊母艦を始めユーマの新兵器は新工房で製造保管される事が多い。
人類圏マギガントよりも高性能なクフィカールも機密を漏らさない為にも、新工房で纏めて保管されているのだ。
セジア 「大きな工房ですよね、コレを一ヶ月掛からずに作り上げたという話でしたが」
フォティーヌ 「私も実際に見たわけじゃありませんけど、ユーマなら可能でしょうね、クラフト・ゾッフォというマギガントは一日でクフィカールをバラしてしまいましたし、それも戦闘でフレームが変形した機体ですよ」
セジア 「あそこでフィセーリアさんが修理している機体ですよね、あそこまでバラすには一ヶ月は掛かる筈ですけど」
フォティーヌ 「まぁユーマの凄さの根幹はこの工房よりも、今から行く研究所じゃないでしょうか、初めにそこを訪れる事が出来るセジアは幸運ですよ」
セジア 「森の中にそんな凄いモノを作っちゃうんですか、ユーマってよく解りません」
フォティーヌ 「ダイン王は変わっているんですよ人気の無い所とか好きですし、まぁ誰も居ない方が落ち着いて研究出来るんでしょうけど」
セジア 「そんなところに私達が行っても大丈夫なんでしょうか?」
フォティーヌ 「損得勘定は得意な方ですから、セジアの後ろに幹母がいるのは十分に理解してますよ」
フォティーヌは笑みを浮かべてセジアに語るが、その笑みの意味は優しさから生じた物では無い。
セジア 「解りました、そう言って貰える方が楽ですね、そこにはフォティーヌさんに続けばいいんですよね」
フォティーヌ 「はい、私のクフィカールに続いて下さい、それ程遠くは無いので大丈夫ですよ」
そうして、各々のクフィカールに乗り込んだ二人は、夜の新工房を飛び立って森へと向かう、かつてのテガスとツェーリアの国境の森は何処にでも有る普通の森のようで、フォティーヌの言った研究所などは見当たらない。
フォティーヌ 「あそこの広場にクフィカールを降ろします、続いて下さい」
セジア 「あそこですか、何も有りませんけど」
フォティーヌ 「ダイン王は隠れるのが好きなんですよ」
フォティーヌの言葉にセジアは困惑してしまうが、いざクフィカールを降ろして大地に降り立ってみると、確かに上空からでは解り難い道が何本も有る。
そして、大きな鞄を持ったフォティーヌも降り立つと、セジアを手招きして呼び寄せる。
フォティーヌ 「こっちです、この道を少し行くと研究所への入り口が有ります」
フォティーヌはそう言って歩き出すのだが、建造物の様な物は何もない、ただ大きめの岩がそびえ立っており、目的地はその岩の様だ。
セジア 「ただの岩の様ですが?」
間近に近寄ったセジアはフォティーヌに問い掛ける、セジアの目にはただの岩にしか見えないのだ。
フォティーヌ 「その言葉、ダイン王が聞くと喜びますよ、人を欺く事も好きですからね」
そう言って、フォティーヌが大岩の窪みに手をかざすと、岩の中央が下がって中から空洞が現れる。
セジア 「岩の中から洞窟が・・・でも何で入り口を隠しているんでしょう?」
フォティーヌ 「ダイン王の遊び心ですね、人が驚くのが好きなんですよ、今もセジアの顔を見て楽しんでいるのかも知れません」
セジア 「その為にこんな仕掛けを作っているんですか?」
フォティーヌ 「何でも秘密組織の美学だそうです、異世界人の思考はよく解りませんね」
フォティーヌはそのまま洞窟の中へと進んで行く、セジアも遅れぬ様に後に続くが洞窟の中は内側に魔導の明かりが灯されており、本当にユーマの作った構造物の様だ。
そして、通路は徐々に下っており、外壁も途中からキラキラしたガラス状に変わっている、これは高温魔術で作られた通路の証であったが、理解出来ていないセジアはその美しさに少し見惚れてしまうのだった。
フォティーヌ 「珍しい壁ですよね、何でも岩を熱で溶かした物の様です、一度溶かして固めた事で崩落する危険が無くなっているそうです」
セジア 「穴掘りが上手い岩喰いの技術なのですか?」
フォティーヌ 「ダイン王が魔術で編み出した物だと言っていました、この研究所の別名はガラスの宮殿というそうです、もっとも地下に埋まっている物なので、存在自体も一部の者しか知りません」
セジア 「なら、私が案内されるって変じゃ無いですか、私は耳長騎士でも中央大陸の奪還に否定的な立場です」
フォティーヌ 「ダイン王にはセジアを説得するだけの自信が有るんですよ、それに今の言葉は建前ですよね、セジアは既にユーマの素晴らしさは実感出来ている筈です、若いんですから素直に見た事を受け止めれば良いと思いますよ」
セジア 「ですが、私には母から与えられた使命が・・・」
フォティーヌ 「セジアはセジアの思いで生きるべきです、そういうところはダイン王からしっかりと学ぶべきです、あの方は思うがままに生きていますからね」
フォティーヌは敢えてそこで止める、くどくど言ったところで耳長が変われるわけがないのだ、そして、遊魔へと魔進化を果たせばセジアは直ぐにでも血族という呪縛から開放されるのだ。
その後、通路上に設けられた扉を何度も通ってダインの元へと辿り着いた、本当はもっと簡単に辿り着ける昇降機が有り、ダインなどはそれを使って奥へと移動しているのだが、まだ普通の長耳で有るセジアを伴っているのなら、位置の特定が困難な道のりの方が良い。
二人が研究室に踏み入れても、ダインは研究に夢中で気付いていない、ガラスの壁に覆われた部屋の中央部には巨大な肉柱がそびえており、その不気味な姿にセジアは嫌な予感を覚えていた。
フォティーヌ 「ダイン様、言い付け通りにセジアを連れて来ました」
フォティーヌの口調の変化にセジアは驚いてしまう、何時もは他人に対して媚びる事のないフォティーヌがダインに対して平伏しているのだ、そしてその内容にも驚かせる、この言い方だとダインへの届け物とはセジア自身に思えるのだ。
フォティーヌの言葉にこちらに気付いたダインは嬉しそうな顔をして語り掛ける。
ダイン 「ちょうど良いところに来てくれましたね、そろそろ新しい素体を必要としていたのです、シノールとリノールは使ってしまったので」
ダインの口から出た同胞の名前にセジアはハッとなった、ユーマに来てからフィセーリアとフォティーヌは姿を見せたが、同じく滞在している筈の二人の姿を見ていないのだ。
セジア 「素体とは一体、二人に何かしたんですか」
ダイン 「何かをしたというよりも真実の追求ですね、耳長の伝承には意図的に隠された事が有るとは思いませんか、特に貴女の母親は魔龍との関わり自体を避けていると思えます、それと私が耳長から引き出した姿は魔龍と耳長の関連を疑わせるモノなんですよ、そして疑惑は更に深まりました」
ダインがパチンと指を鳴らすと、部屋の中央に位置していた肉柱に亀裂が入って拡がって行く、そして透けて見えたその中には二体の小さな魔龍が絡み合う様に浮んでいる。
セジア 「え、魔龍が何故こんなところに、西方大陸での生息は確認されて無い筈です」
ダイン 「見て解りませんか、その二体の魔龍がシノールとリノールです、魔進化時に耳長の身体に施されていたリミッターを外して限界値を超える魔力を供給してみたところ、二人の身体が魔龍のモノへと変化を始めたのです、予め予見はしていましたが実際こうなると対処が難しいです、流石にこの見た目では愛でれませんから」
フォティーヌ 「本当に可哀想な姿ですよね、ダイン様に愛して貰えないのは遊魔として生きる価値が無いのと同じ意味ですから」
フォティーヌは本当に憐れむ視線を二匹の魔龍に向けている、だが、そんなフォティーヌに対してダインは否定する言葉を口に出す。
ダイン 「愛でる事は無理でも犯す事は可能です、私には悪食の尾チンポが有りますからね、毒蟲、毒蛇を食せるこの尻尾に掛かれば魔龍を犯す事など造作も無い事です」
その異常な会話のやり取りにセジアは絶句していたが、同時に逃亡の算段も考えていた、この化け物じみた行いを実行したダインの狂気を東方大陸に帰って知らせないといけないのだ。
だが、セジアの逃亡計画は意外な事態の発生によって阻止されてしまう、足元に伸びていた尻尾がセジアの脚を絡め取ってしまっているのだ。
セジア 「こ、これ、何ですか!」
フォティーヌ 「見て解りませんか、フォティーヌの尻尾です、ダイン様が授けて下さったモノなんですよ」
セジア 「何でフォティーヌさんに尻尾があるんですか」
フォティーヌ 「魔龍に変わったリノールとシノールがいるんですから、尻尾ぐらい普通ですよ、それにこの尻尾、ただの尻尾じゃ有りませんよ」
会話の最中にもフォティーヌの尻尾は巻き付きながら這い上がって、セジアを完全に拘束してしまっている、そして口元から強引に侵入すると、セジアの口内で蠢いている。
言葉を失ったセジアは目に拒絶の意思を宿らせているが、フォティーヌの尻尾が蠢き貪る内に段々と表情が艶っぽく変化して行く、そしてものの数分でその身体から力が抜けて、今では尻尾の事を受け入れてしまった様だ。
ダイン 「中々見事な手際ですね、結構手馴れている感じですが・・・」
フォティーヌ 「私、ダイン様に会う前は女の子専門でしたから、処女を維持しつつ楽しむには相手も処女の方がやり易いと思いませんか?」
ダイン 「耳長も性欲を持て余すという事ですか、まぁ女性同士で絡むのを私は容認、いや、推奨してますからね」
フォティーヌ 「はい、ですからユーマはフォティーヌにとって天国なんですよ、どんな娘も誘っても嫌がりませんし、もちろん遊魔しか誘いませんよ、普通の人間なんて猿と変わりませんし」
ダイン 「ユーマを楽しんでいる様で嬉しいですね、取り敢えずセジアの仕込みは任せます、私はリノールの相手をしますから」
フォティーヌ 「まさか、この状態で楽しむつもりなんですか?」
ダイン 「リノールの尻尾で楽しみますよ、魔龍化している増殖部分は遊魔細胞が変化したモノで尻尾にはちゃんと尾ニプルも付いていますからね、それに透視してみたところ、腹部に卵の様な球体が存在しており、そこにリノールが存在している様なんですよ、変化の過程も早送りで確認しましたが、元の身体は体内で維持されてますね」
フォティーヌ 「そうなんですか、なら混沌の魔龍にも中に耳長が潜んでいるかも知れませんね」
ダイン 「それを調べる為にも魔龍を意のままに操る方法を確立させたいですね、何も戦って勝つだけが勝利では無いんですよ、古の兵法家は戦わずに勝つのが上策と言ってましたからね」
フォティーヌ 「ユーマの急速な発展にはその考えがあったからなんですよね、全肯定してくれる協力者がいれば物事は容易に進みますから」
ダイン 「フォティーヌも東方で働いてくれましたからね、魔龍の力も戦火を伴わずに入手出来れば無駄な消費をしなくて済みます、ですから耳長のサンプルは多い方がいい」
その言葉の後にダインは遊魔の姿を解き放って、尻尾を肉柱へと延ばして行く、液槽に浸して意識を失わせた上で尾チンポで犯すのは安全性を重視した結果でもある。
セジアはその様子を虚な目で見つめていたが、ダインの口にした魔龍と耳長の関係や、真偽が解らないリノールとシノールと言われる魔龍など、余りにも常識を逸脱した事が起こり過ぎて完全に思考停止に追い込まれてしまっている、そう、あれこれ解らない事に思いを馳せるよりも身体に与えられる快楽に正直になった方が不安も忘れてしまうのだ。
おまけ
魔龍戦力化計画 耳長遊魔が見せた魔龍の片鱗はダインにとって非常に興味深い出来事であった。
アーグル世界に存在するマギガントによる戦力構築はダインにとって好ましい状況であった為にそれを追求していた訳であったが、より容易に戦力の増強が出来れば好ましいのは間違いない。
遊魔は所詮、人類圏にとって異物である事はダイン自身が十分に認識しており、人類圏全体が敵に回る事を未だに想定しているのだ、ユーマの軍備増強はその為の保険でも有るが、軍備増強に伴う技術革新自体がやり過ぎたとも考えている。
その状況の中、示された耳長の魔龍化はマギガントの増強よりも秘密裏に戦力の増強が可能な為、より有効的な戦力増強の手段として本格的な研究が始まっている。
具体的には人目に付かない森林内地下施設での魔力増強実験で、被験体のリノールとシノールはダインの期待に応えて見事魔龍の姿への変容に成功している、だが、増強させた魔力のコントロールが不完全である為に耳長形態へと戻れない為に、施設内の培養槽で魔龍の状態で眠りに付いている。
だが、ダインは魔力コントロールの為の手段も発案しており、魔龍化したリノールとシノールも元の姿に戻れるであろう。