006-009
ダインの言葉に衝撃を受けた二人であったが、状況は刻一刻と進んで行く。
フェイベルの隠れ家は人の気配が無く、家主が不在なのは間違いない、ダインは状況を即座に判断すると、服の袖から尻尾の触手を鍵穴に潜り込ませると、まるで住人が家の鍵を開けた様な自然さで開錠してしまう。
そして、自然に家内に侵入すると、ラフォリアとリレッタは外で見張る事になる。
ダイン思考 『フェイベルは家で食事をしない様ですね、食べ物の匂いを一切感じません、むしろ満腹状態で油断している方がやりやすいですからね』
ダインは閉じた扉の内側で遊魔形態へと変容すると、長く延びた尻尾の先端を切断すると、先端は玄関に置かれている靴の一つに潜り込む、アーグル文化は日本式で部屋で靴を脱ぐ為に玄関には複数の靴が存在しているのだ。
ダイン 『物の少ない部屋の様ですが、靴の中はいい隠れ場所になるでしょう、入り口を塞いでおく事は重要ですから、後は私が隠れる場所ですが・・・別に隠れる必要など有りませんか』
ダインは通路から扉を開けて寝室に侵入すると、ベッドを捲って状態を確認すると寝転がってみる、フェイベルの匂いは可もなく不可もなくといった感じで、嗅いでいても不快な感じはしない。
ダイン 『正に家宝を寝て待てという奴です、予め扉が開くと発動する幻影の魔術を仕掛けて起きましょう、あと、中に入ると閉まって閉じ込める仕掛けですね』
ダインは入り口の扉に尻尾を延ばすと、尻尾は扉の軸側を器用に這い上がって張り付くと、床面に着く辺りで切断される、残された尻尾はそこから壁と扉に拡がって張り付くと家主を閉じ込める為の罠が完成する。
ダイン思考 『後は催眠ガスの散布ですね、折角ですから私自身で試してみましょう』
うつ伏せになったダインは尻尾を立てると先端の穴から気体が放出される、そして室内の空気と混ざり合い、それを吸ったダインも寝息を立てて寝入ってしまう。
それから数時間後、何も知らない家主のフェイベルは何時も通りに帰宅する、今日の夜の街は何時も通りではあったが、それ故に疲れる仕事であるのだ。
フェイベル思考 『今日もよく絡まれてしまいましたね、お酒って本当に人を駄目にする物ですよ、ここも人類大陸みたいに罰則を与えればいいのに』
酔った男に言い寄られる事が多いフェイベルは酒に良いイメージなど持っていない、そう、フェイベルの役目は酒に酔った人間の不始末を処理する事がとても多く、それが街の治安を維持する上で最も時間を割かれる事でもあった。
鍵を解除して扉を開けたフェイベルは何処か違和感を感じたが、その正体までは理解出来なかった、今はただ自由を妨げる衣服を脱ぎ捨てて眠りたい気分でもあるのだ、そう脱ぎ捨てた服などは起きてから片付ければいいのだ。
何時もより寝室の扉が重く感じる、きっとしつこい酔っ払いに絡まれて疲れているせいだ、下着すら全て取っ払ったフェイベルは自身のベッドにダイブするが、何故だか何かに跳ね飛ばされて、床に仰向けに落ちてしまう。
フェイベル思考 『あれ、おかしいな、何で床に落ちるんだろう?』
だが、そこでフェイベルの思考は途絶える、泥沼の様な睡魔に襲われて引きずり込まれてしまったのだ、そしてフェイベルが思考を失うのと同じ頃、衝撃を与えられたダインが意識を覚醒させていた。
背中まで垂れ下がった尻尾はクッションの役目を果たしてフェイベルのダイブの衝撃を吸収していた、だが、荷重はダインへのし掛かって目覚めるきっかけを作ったのだ。
そして仰向けになり、上体を起こしたダインは床で意識を失っているフェイベルの姿を捉える。
ダイン思考 『裸の女が仰向けで落ちていますが、これがフェイベルですね、まさか私が居るとは思わずにベッドに飛び込んだ様ですね、少しマヌケな状態ですが早速頂きましょう魔進化に費やせる時間は半日ぐらいですから』
ダインの尻尾がベッドから降りてフェイベルの股下へと近付く、既に眠りに落ちている獲物ならば、難なく丸呑みが可能だからだ。
そして、尻尾の先端から皮が剥かれて生々しい尾チンポが姿を現すとフェイベルの尻穴に狙いを定めて潜り込んで行く、ただ、尾チンポは通常より細身に設定されている為に、挿入されるフェイベルに苦痛を与えていない様で全く目覚める気配など無い。
ダイン思考 『あっさりとアナル処女は頂きましたよ、まぁ膜などは無いし糞便も詰まってますけどね』
先端を潜り込ませた尻尾は更に変化して行く、尾チンポを剥いた皮が大きく肥大して拡がると逆さの傘の様になって、フェイベルの身体を足から包み込んで行くのだ。
そして、丸呑みした尻尾の先は急激に膨れ上がって外皮が割れると、透き通った皮膜の中に液体漬けにされたフェイベルの姿が現れる。
ダイン思考 『一気に魔進化させてしまいましょう、余り時間も有りませんから』
ダインの思考に呼応して、フェイベルの身体が震える、尻穴から侵入した尾チンポ触手が本格的に行動を開始したのだ。
ダイン思考 『この島での運用を考えるならば飛行能力は必須ですよね、天使型の選択も有りますがこの娘は魔族が似合う見た目ですから魔族型で行きましょう、長距離飛行に備えて翼は大きめに、些細な事ですが翼の大きさは長距離飛行ではかなりの差が出ますからね』
素材に対する美を引き出すのがダイン流なので、フェイベルは魔族型と決まった、実際フェイベルは魔族型と相性の良い見た目であったが、トルポなどはイメージ的に違和感が有り、魔族というよりも淫魔の色が強くなっている。
ダイン思考 『後は時間が解決してくれますね、この間にリレッタを呼び寄せて今後の事を言い含めておきましょう、一番責任を問われてしまうのはリレッタですから』
ダインは強めた思念をリレッタに送る、ラフォリアが外で見張る以上リレッタを呼び寄せても問題は無いだろう。
そして程なくリレッタが部屋にやって来る、この時既に扉に張り付いていた尻尾の一部は尻尾カプセルに吸収されて、リレッタの訪問の邪魔とはなっていない。
リレッタ 「申し付けにより参上しました」
ダイン 「こっちに来て楽にして下さい、リレッタには褒美の先渡しをしようと思いまして、私の失踪で咎を受けるのは年長のリレッタですからね」
リレッタ 「本当にやるつもりなんですね、確かに皆レブナン島では安心してましたから」
ダイン 「マギクランはそれ程強大では無いという認識でしたからね、実際ラフォリアの魔術士としての能力は私の想定よりも下でした、ですが魔導式は有用な研究だと思いますよ」
この時の遊魔達は現状を楽観視していた、確かにレブナン島勢力は遊魔達にとってそれ程脅威となる存在では無かったが、レブナン島の位置は未知なる脅威が渦巻く混沌大陸と目と鼻の先にあったのだ。
リレッタ 「魔術の修練を積まなくても魔術が使えるとは夢の技術ですよね、まぁ遊魔には大して意味の無いモノですけど」
ダイン 「魔術式が高度になれば、マギガントの優位性を覆す事が出来るかも知れませんからね、私の見解では新しい物を産み出す事が出来る存在が最も優秀な戦争の道具だと思っています」
リレッタ 「それって自画自賛じゃ無いですか」
ダイン 「違いますよ、魔龍は私がきっかけを作っただけで元々仕込まれていたモノですから、その意味では真の脅威は混沌大陸ですね」
リレッタ 「まさか、行方不明を演じる真の目的は混沌大陸の探索ですか?」
ダイン 「そこまで自信過剰じゃありませんよ、隠れるのはこの島の中だけです、ですがこの島、小さく見えても島全体が迷宮と化してますから覚悟して下さいね」
リレッタ 「例え隣の坑道に居たとしても、視認出来ませんからね、でも探索の為に新しい技を作り出す事は禁止されてませんよね」
ダイン 「リレッタはちゃんと私を理解してますね、無ければ産み出すのが遊魔です、そして私は創造を否定しない」
リレッタ 「なら、早期に捕まえる事が出来たならばご褒美が欲しいです」
ダイン 「それは今から与えますが?」
リレッタ 「やっぱりダイン様って自信過剰ですよ、確かに抱いて貰える事はご褒美ですけど、もっと解り易い褒美も有りますよ」
ダイン 「リレッタは宝飾品が欲しいんですか」
リレッタ 「あんな物で飾らなくても遊魔の美は色褪せません、私が求めるのは他者にも解る評価の証です」
ダイン 「凡人なら地位と言うでしょうが、リレッタはそうじゃ有りませんよね、つまりダイオーンですか」
リレッタ 「はい、ダイン様の名を冠する機体を頂ける事がこの上無い名誉だと思います、そしておいそれと与えられない事にも価値があると思います」
ダイン 「確かに、ダイオーンの生産には時間が掛かりますからね、二号機は私の機体にしようと思っていましたが、リレッタが望んで証を示す事が出来ればその望みを叶えましょう、言わば私とのダイオーンを賭けたかくれんぼです」
リレッタ 「カクレンボってどういう意味なんですか?」
ダイン 「日本の子供の遊びで、文字通り隠れた者を見つけ出す遊びです、探す方は鬼と言われるんですよ」
リレッタ 「鬼って暴力的な魔族の事でしたよね?」
ダイン 「俗に云う悪役ですよ、捕まえる方が悪いって事ですよ」
リレッタ 「正に今のダイン様の事ですね、フェイベル捕まえてます」
ダイン 「そうですね、ですが自由を奪った代償はちゃんと与えますよ、永遠の美を与えますからね」
リレッタ 「失われる事の無い愛も大きいですよね、ダイン様の作品愛は永遠に不滅ですから」
ダイン 「なら今からそれを証明しましょう」
ダインとリレッタはお互いに衣服を脱ぎ捨てて、フェイベルのベッドで肌を交える、カプセルと繋がったままのダインの尻尾が少し邪魔になった為に、リレッタが上に乗ってダインに奉仕する形になったが、リレッタの献身的な奉仕はダインを大きく悦ばせせて、二人の時間を加速させるのであった。
そして数時間後、役目を完遂したリレッタはダインに背中から抱かれて幸福な時間を体感していた、視界に映る尻尾カプセルの中のフェイベルの身体は五箇所に巨大な皮膚の膨らみが出来ており、そこを突き破って遊魔部位が姿を表して産声を上げる時も近いだろう。
リレッタ 「もうかなり膨らんでますよね、遊魔の繋がりも感じますから心も染まっている様ですね」
ダイン 「後は仕上げを待つだけです、このまま尻尾カプセルで羽化させてもいいですが再誕は祝ってあげたいですからね」
ダインの意思を受けた為にカプセル内に変化が起こる、フェイベルの口と鼻を覆う様に触手が張り付くと脈動し始める、これはフェイベルの気管に満ちた液体を取り除く為の行為でもある、更に尻尾カプセルの下部から細かな気泡が湧いて上部の空気層が拡がって行くのだ。
リレッタ 「人が遊魔に魔進化する時は正に奇跡に思えます、また立ち会える栄光を与えて貰って感激です」
ダイン 「今回は私も斬新な気持ちですよ、罠で捉えて抵抗無く頂きましたから、どんな声なのかも解りません」
リレッタ 「でもルゥが魔進化させた遊魔も産まれてますよね、あの娘達もダイン様と殆ど面識有りませんけど」
ダイン 「乳魔がルゥの作品ですから、私もとやかくは言いませんよ、ただ、ザキトス魔族のままでは統制に不安が有りますからね」
リレッタ 「それは私が一番理解してますね、遊魔への魔進化を訝しんだ者が反抗とかしてましたから、まぁ無駄なんですけどね」
ダイン 「人間程度なら自由意思があっても問題有りませんが、魔族の自由意思は脅威ですからね」
ダインの言葉が発せられたその時、尻尾カプセル内部の液体が抜けて、フェイベルに対するエアーブローが始まる、舞う長い髪がカプセル内部で渦を作ると残った排水触手も外れてフェイベルの素顔が露わになる。
リレッタ 「何だか見覚えがある様な、無い様な・・・あ、この娘ククージアの騎士学院で見ましたよ」
ダイン 「騎士であり、魔術士でもあるという事ですか?」
リレッタ 「見た記憶が有るだけで騎士とは言い切れませんけど、まぁ本人から聞いてみるのが一番です」
リレッタの言葉に応える様にフェイベルの目が開く、魔進化によって与えられた知識の為か全く驚いている様子などなく、潤んだ瞳は最愛の恋人に向ける様な視線をダインに向けている。
ダイン 「流石ラフォリアが一推しする人材です、魔力の値が想定を大きく上回ってますね、遊魔魔術部隊の柱となってくれそうです」
そして、大気を得て膨らんだ尻尾カプセルは中央から二つに分かれ、まるで昔話の英雄の誕生の様にフェイベルが解き放たれる。
おまけ
フェイベルの仕事 マギクランはレブナン島の治安も担っている、これはレブナン島の性質上非合法行為が日常的に行われている為に、諜報能力の高いマギクランが治安維持を行った方が効果的だからだ。
マギクラン内部で出世する為には組織への貢献が重視されるので、フェイベルが治安維持活動を担うのは成り上がる為の第一歩とも言える。
一見裏ごとに様に思える治安維持活動では有るが、それが担える立場にあるのは島への居住が認められたエリートであるからでもある。
マギクラン教育期間で優秀な成績を残した者は、研究室を与えられる魔術士への過程として組織の仕事を受ける事になる、この仕事は上位クランメンバーの助手やら坑道探索などの様々な種類があるが、治安維持活動はある意味功績を最も上げやすい仕事でもある。
検挙した人物危険性や没収された財産なども功績として扱われる為に、マギクランの意に従わない大物を捕まえる事が出来れば即座に研究室持ちにもなれる。
実際フェイベルが遊魔を捕獲すれば研究室を与えられる事は確実で、遊魔とフェイベルの関係はお互いが狩るか狩られるかの立場でもあったのだ。