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ケンキ大付属高等部の野球部のタマミは女性ながら、MAX132キロのストレートと100キロに満たないチェンジアップの緩急で、男子達を次々と抑えてきた。高野連もついに重い腰を上げて、女性部員の公式戦出場を認めたのだ。
記念すべき公式戦初出場は、地方予選の1回戦になった。タマミは緊張して、水を飲みまくっていた。
「タマミちゃん、大丈夫か? いつでも俺と代わっていいんだぜ?」
ファースト兼ピッチャーのトモロウに心配されても、タマミはばくはつスマイルを見せる。
「平気へーき。9回投げ切ってみせるから」
タマミはヘルメットをかぶってマウンドへ向かう。基本、ピッチャーは帽子着用だが、彼女の身の安全を考慮してメット着用が認められていた。
「何か重いなぁ」
いつもよりヘルメットが重く感じる。彼女はヘルメットに何かついてると思い、外そうとした。
「えっ? 外れない!」
接着剤でも塗ったかのように、ヘルメットが頭に引っ付いてた。メットのつばが変形し、木の枝のごとく細長くなる。色は黒から褐色に。
変化は顔に移る。鼻が赤くなって前に伸び、ほおとあごから白いヒゲが飛び出す。顔のほとんどが青い毛で覆われていく。
お尻がパンパンにふくれると、扇形の尻尾が飛び出す。ユニフォームがはち切れんばかりに、腕回りや太もも回りが太くなっていく。
「いやああああ!」
ユニフォームがはじけて、ビーチボール以上の水色おっぱおが露わになる。両手で隠そうとするも、ぽっこりお腹がこんにちは。
タマミは衆人環視のマウンド上で、全体的にムチムチなダイケンキになってしまったのだ!
「タイム、タイム!」
「タマミちゃん、ベンチ! ベンチ戻ろう!」
タマミはトモロウに押されて、ベンチに戻った。トモロウはダイケンキがあまりにも重かったので、延長18回を投げ切った投手のように顔が白くなって、大量の汗を流していた。
審判たちはしわくちゃな顔を集めて、協議し始める。タマミが出場停止になれば、ケンキ大付属の全国大会出場の夢は絶たれてしまう。
協議が終わり、1人の審判が近づいてきた。
「えー、タマミ君。突発性ポケモンTF症は各地で起きて、健康上問題ないと聞いておるから、出場してよろしい。ただし、ユニフォームを着用しなさい。いいね?」
「はっ、はい」
ダイケンキになったタマミは、兜とおっぱいを揺らしながらうなずく。
「でも、ユニフォームって、今のタマミに合うのは……」
トモロウの目に、控えの巨漢・ゴンタが映る。相撲力士ぐらい太い彼のユニフォームなら大丈夫だろう。
「ゴンタ! この試合だけ、お前のユニフォーム、タマミに貸してやってもいいか?」
「いいよぉー」
ゴンタはバナナをむさぼりながら、予備のユニフォームを渡した。
しかし、ゴンタのユニフォームでも、上半身は胸まわり、下半身はひざから上しか隠れなかった。代わりのユニフォームを調達していると試合時間が無くなるので、審判団はやむなく出場を許可した。
「プレイ!」
タマミはおっぱいが大きくなり、腕が短くなった影響で、いつものように投げられない。
ストレートの最速は120キロを切ってしまう。
「あへぇ」
「えへへへへ」
「ぶひぃ」
だが、相手の男達は、タマミの豊満ダイケンキボディに見とれて、凡打を繰り返す。三者凡退だった。
「何と情けない。俺がホームラン打ってやる」
相手チームの4番ゴウキは闘志をメラ火山のように燃やす。
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2回表、ゴウキはバットを長く持って、堂々と構える。
「さぁ、来い!」
タマミはコントロールに気を付けながら、ストレートを低めに投げた。
グワキーン!
レフトスタンドに飛び込む大ファールを打たれる。
「どうした? そんなボールしか投げられんのか?」
2球目はチェンジアップを低めに投げた。
グワラキーン!
今度はレフトのファールラインギリギリで、ラバーフェンス直撃。緩急の揺さぶりも通用しない。
「タイムお願いします」
トモロウはマウンドのタマミに駆け寄り、グローブで口元を隠して喋る。
「タマミちゃん。せっかくダイケンキになったんだから、技を出してみようよ」
「えー。それってルール違反じゃない?」
「大丈夫だよ。グラウンドを破壊したり、相手を傷つけたりする技じゃなかったら、セーフなんだ」
「そうなんだ。あっ! でも、どうやって技出すの?」
「そうだな。審判さーん! ちょっと医務室行きます」
トモロウはタマミを引っ張って、ベンチ裏へ行く。
「ここで出す練習しよっか。みずでっぽう!」
「口から?」
「そうだよ」
「えー。それはちょっと……、いででで」
ためらうタマミのヒゲをトモロウが引っ張る。
「あいつを抑えたいんだろ? だったら、出来るかぎりのことはしようぜ!」
トモロウの熱いは、タマミの恥ずかしさを打ち消す。
「わかった、やる!」
タマミは大きく息を吸って、水を出すイメージを浮かべる。
「ダーイ!」
タマミの口から、みずでっぽうが真っすぐに飛び出した。威力は弱く、15メートルぐらいで落ちたが、野球の世界では十分すぎる。
「よしっ! これを出しながら、スライダーを投げるんだ!」
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再びタマミはマウンドに立ち、ゴウキと対峙する。ゴウキの目はヤミラミのように光り、どんなボールにも食いつこうとしている。
タマミはお腹の前でボールをセットして、左足を軽く上げて投げ始める。ボールをしっかり握って、深く息を吸って――。
「ダーイ!」
リリースしたボールにみずでっぽうがかかり、ギュルギュルギュルと回転がかかる。ゴウキがバットを出せば、逃げるようにキャッチャーのミットに収まった。
「ストラック、アウトォ!」
「なっ、何だぁ、今のボールはぁ!?」
「やったぁ!」
これが、魔球・ケンキスライダーが生まれた瞬間である。
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その後、なんやかんやで最終回になった。
スコアは2対3.2死1塁でバッターはタマミだ。
「タマミ―! アシガタナを使えー!」
1塁上のトモロウに言われて、タマミは左肩からアシガタナを取り出す。重い金属バットと違い、アシガタナは片手で持てるので、おっぱいが邪魔にならない。
左手でアシガタナを持ち、ピッチャーの球を待つ。
「ウフフ。片手打法で僕ちゃんのボールが打てるかな?」
メガネの変化球投手はカーブを投げてきた。アシガタナの真芯の下になりそうだが、タマミは瞬時に”みずでっぽう”でボールを押し上げて、真芯に変えた。
ケンキ―ン!!
打球はセンターバックスクリーンに飛び込んだ。
「ホームランだぁ!」
「えっ? マジで?」
タマミの投打に渡る活躍で、ケンキ大付属は大勝利。
その後、ケンキ大付属は予選を勝ち上がり、全国大会出場を果たしたのだ。
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タマミはドラフト10位でチーバ・ジュゴンズに指名された。女性初・突発性ポケモンTF症発症者初のプロ野球選手ということで、世界の注目が集まる。
彼女に、チームメイトや知り合いからの連絡がたくさん来た。ただ1人・トモロウから来ていなかった。
「プロ入りおめでとうなんだな」
彼女はゴンタから電話が来たので、トモロウの件を尋ねてみた。
「ありがとう。ところで、トモロウがどこ行ったか知らない? 最近、学校に来てないし」
「トモロウはポケモンになって、退学したんだ」
「えええ!? 退学ぅ!」
彼女は急いでトモロウの実家を訪ね、海岸にいると知る。おっぱいと尻を激しく揺らしながら、海岸へ向かった。
「トモロウ!」
彼女がテトラポットに乗って叫べば、1匹のラプラスが近づいてきた。ラプラスは目を伏せて人語を発した。
「わ、悪かったな。せっかくプロ入りしたのに、何の言葉もかけられなくてさ。何ちゅうか、この姿見られたくなくて」
ラプラスの頭上にはスポーツ刈りの黒髪があり、トモロウの名残がある。
「バカ! 今の私があるのは、トモロウのおかげじゃない! トモロウがいなくなったら、私……」
彼女はラプラスの首にしがみついて泣く。トモロウは優しい歌を口ずさむ。
「こんな姿じゃ野球できないから、観光ガイドのラプラスになるんだ。俺の分まで、野球頑張ってくれよ」
「うん、うん。めっちゃ頑張る」
タマミはプロ野球での大活躍を誓った。
[newpage]
タマミは高卒1年目から24セーブを挙げ、新人王を獲得する。2年目は47セーブで最多セーブ王になり、3年目から先発投手に転向した。5年目は二刀流に挑戦し、MVPと首位打者と最優秀防御率を獲得した。
彼女はメジャー挑戦を表明し、ミルウキー・ブラッキーズへの移籍が決まった。
報道陣はチーバ空港で、タマミの姿を待ち受ける。しかし、数時間待ったが、一向に彼女は現れない。
「たっ、大変だぁ! タマミ投手がラプラスに乗って、渡米したって!」
「なっ、何だってぇ!?」
記者たちは慌てふためき、港へ向かった。
その頃、タマミはラプラスのトモロウに乗って、のんびりしていた。
「飛行機じゃなくて、俺に乗るなんて、何日かかると思ってんだ……」
「いいもーん。窮屈な飛行機より、こっちの方が楽だし」
彼女は全裸になって、ラプラスの岩山に寝そべっている。
「ねぇ。トモロウって彼女いる?」
「いねぇよ。そもそも作れないしな。人間とは一緒に暮らせないから」
「ダイケンキとはどう?」
「まぁ、みずポケなら……。って、お前、まさか……」
「うん。大好きだよ、トモロウ」
トモロウは顔を真っ赤にして、ガブリアスもビックリのスピードで泳ぎ出した。
「ちょっ! トモロウ、落ち着いてぇ!」
ポケモンになっても活躍し続ける2人の旅は、続くったら続く!
(おしり)
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