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モデル体型の性格の悪い美少女が天罰を受ける話

  綺麗なブロンドの髪が特徴的な美少女、サラは見知らぬ空間にいた。真っ白な、光に満ちた空間。

  その空間に、一人の少女がいた。

  まるでサラの到着を心待ちにしていたかのように、少女は待っていた。

  「ようこそ、サラ=クルーエルさん」

  「……誰よ?」

  少女の声は鈴の音のように美しいが、どこか機械的な響きがあった。

  そんな少女に、警戒心を露わにして問いかける。

  「私は『神』です」

  「……神?」

  「はい」

  少女は頷いた。

  「早速ですがあなたのことを教えて下さい」

  「……私のこと?」

  「はい。あなたの人生についてです」

  神と名乗る少女は、サラの人生を知りたいと言った。

  「なんでそんなこと答えなきゃいけないわけ?さっさと元の世界に戻してよ!私は忙しいのよ!」

  サラは少女に食ってかかった。

  だが、少女は表情を変えることなく首を横に振る。

  「それはできません。あなたが私の言葉に正直に答えることが、あなたが元の世界に戻るための唯一の方法なのです」

  「なっ……!」

  「さあ、教えて下さい。あなたのことを」

  少女はサラに問いかけた。

  「……はぁ、わかったわよ……でも本当にこれっきりにしてよね?」

  サラはそう言うと、頭に浮かんだことをそのまま口にした。

  「名前はサラ=クルーエル。年齢は16歳……どこにでもいる普通の女子高生よ」

  「それだけですか?」

  「ええ、それだけよ」

  神と名乗る少女の言葉に、サラは頷く。

  「そうですか……それでは質問を変えます。あなたの身長は?」

  「は?なんでそんなこと答えなきゃいけないのよ!?」

  「ですから、正直に答えて下さい。そういないと元の世界には戻れませんよ?」

  「……170センチよ」

  サラは渋々答えた。

  「そうですか……ありがとうございます」

  少女は満足げに頷いた。

  「……これでいいでしょ?早く家に帰してよ!」

  サラの言葉に、少女は首を横に振った。

  「いえ、まだです」

  「まだってなによ!これ以上なにを話せって言うのよ!?」

  「あなたの体重は?」

  少女の言葉に、サラは絶句する。

  「ふざけんじゃないわよ!!なんでそんなことまで言わなくちゃいけないのよ!!」

  サラは叫んだ。だが、少女は表情を動かさずサラを見つめていた。

  「答えて下さい」

  「……55キロよ」

  サラは小さく呟いた。本当はもう少し重かったが、今はこの程度にしておいたほうが無難だろうと考えたからだ。

  「ありがとうございます……次にスリーサイズを教えてください」

  「はぁ!?そこまで言う必要ないでしょ!?」

  少女の言葉に、サラは絶叫した。

  しかし少女は相変わらず表情を変えることなくサラを見つめる。

  「答えて下さい」

  「……上から、90-55-92よ!」

  サラは自棄になって叫ぶ。もうヤケクソになっていた。

  「ありがとうございました。では、次の質問です。」

  「まだあるの……?」

  サラはうんざりした表情を浮かべる。だが、少女は気にすることなく次の質問を口にする。

  「あなたは自分の体についてどう思っていますか?」「はぁ!?」

  予想外の質問に、サラは目を見開く。

  だが、少女は表情を変えることなくサラを見つめていた。

  「……別になんとも思ってないわよ」

  サラは仕方なく答えることにした。しかし少女は首を振る。

  「正直に答えて下さい」

  「……」

  「あなたは自分の体をどう思っていますか?」

  「……まあ、悪くはないと思うわよ?」

  サラは少し照れながら答えた。すると少女は無表情でさらに問いかけた。

  「正直に答えて下さい」

  「……」

  サラは沈黙した。さすがにこれ以上嘘をつくわけにはいかなかった。

  「……綺麗な碧色の目はぱっちりとしていて、鼻は高く鼻筋はすっきり通っていて、手入れの行き届いたブロンドの髪はサラサラで、身長は高くてスタイルもよく、正直このハイスクールで一番の美人だと思っている………」

  「よく言えました」

  少女は無表情で拍手をする。

  「う、うるさいわね!これでいいでしょ!?早く私を解放しなさいよ!」

  「いえ、まだです。次はあなたの心についてお聞きします。」「は!?まだあるの!?」

  サラは再び叫ぶ。だが少女は動じない。

  「はい、心についてです。あなたの考え方や感情について教えて下さい」

  「……なんでそんなこと答えなきゃいけないのよ?」

  サラは当然の抗議をする。少女は気にせず続ける。

  「まずはあなたの性格を一言で教えて下さい」

  「……………元気」

  「その割には元気が無いようですが」

  「こんなとこじゃ当たり前でしょ!?普段はもっと元気よ!!」

  サラは叫んだ。だが、少女は表情を変えずに続ける。

  「では次にあなたの趣味を教えて下さい」

  「……読書よ」

  「どんなジャンルの本を読みますか?」

  「……恋愛小説よ」

  サラは少し照れくさそうに答える。すると少女は無表情のまま頷く。

  「わかりました。それではあなたの価値観についてお聞きします。あなたは自分や他人に対してどのような価値付けをしていますか?」「は?なによそれ?」

  質問の意味がわからず、首を傾げる。すると少女は表情を変えずに続ける。

  「正直に答えて下さい」

  「………………はあ。周りに私より価値のある人間はいないわ。肉体も知性もね」

  「そんなあなたは周りの方をどう思っていますか?」

  「まあ凡人に生まれてしまったかわいそうな人たちね。せいぜい私の引き立て役を頑張ることね」

  「好きな男性はいないのですか?」

  「私に釣り合う男なんていないわね」

  サラはそう言うと、少女を見据えた。

  「そうですか、ありがとうございました」

  「もう終わりね?!」

  「ええ、それではまた明日」

  「えっ!?これ明日もやるの???ちょっ………」

  少女がパチンと指を鳴らすと、サラが言い終わる前に辺りは暗転した…………………。

  ------

  「っは……夢?」

  サラが目を覚ますと、そこは先程の空間ではなく自分の部屋だった。時計を見ると時刻は朝の6時半である。

  (なんだ、ただの夢だったのね)

  サラはほっと胸をなでおろすと、ベットから起き上がった。

  (それにしても変な夢だったわね)

  そう思っていると、彼女は違和感を感じた。

  (あれ……………背が縮んでる?)

  目線が昨日より少し低くなっていた。

  (まさか……)

  サラは急いで鏡の前に立つと、自分の姿を確認した。するとそこには……「やっぱり……」

  サラの体は縮み、身長は150センチほどになっていた。しかも大きかった胸や尻は見る影もなく小さくなり、代わりに腹が出て完全な幼児体型になっていた。顔は大きく変化はしていなかったが、目は少し細く鼻はやや低く髪は痛みが目立ち、良くも悪くも普通の顔立ちになっていた。

  (これは………あの変な神のせいね!)

  サラは確信した。

  (あとで見てなさいよ!………でも、とりあえず学校に行かなきゃ……!)

  サラは急いで学校に行く準備を始めた。制服のサイズはなぜか変わった体型にぴったりであり、家族も彼女の変化に気が付いていないようであった。

  (やっぱり神の仕業なのね………)

  サラはため息をつくと、家を出て学校へと向かった。

  ---

  「おはよーサラ!今日もかわいいわね!」

  サラが教室に入ると、取り巻きの一人、ミリーが話しかけてきた。しかし、その接し方はいつもとは全く違うものだった。

  「……………おはようミリー」

  サラは無愛想に答えるが、ミリーは気にせず続ける。

  「あら、どうしたの?元気ないじゃない」

  「……別に」

  サラは素っ気なく答える。

  「ふーん………そんな顔してると福が逃げちゃうぞ〜〜〜〜〜」

  そう言うとミリーはサラの頭を笑顔で撫で回す。

  「ちょっと、やめてよ!」

  サラは抵抗するが、ミリーは止まらない。それどころかさらにエスカレートしていった。

  「あらあら、可愛いこと」

  (こいつ……この私をマスコット扱いしてやがる………!)

  昨日までは女王様扱いされていたサラだったが、体型がすっかり変わってしまった今では皆からすっかりマスコット扱いされていた。

  サラはそんな状況に過大なストレスを覚えるが、どうすることもできないまま時間が過ぎていく……

  ---

  「さあ、次は水泳の時間よ!」

  サラはミリーに連れられ、プールに来ていた。

  「ほら、早く着替えるわよ!」

  「わかってるわよ……」

  サラは制服を脱いで水着姿になった。水着姿になった彼女は、やはり小学生と見間違うような体型になっていた。胸はぺったんこで尻は小さくなり腹が出ていて幼児体型なのがより際立っている。

  「何よこれ!ふざけんじゃないわよ!!」

  サラは自分の姿を見て絶叫する。今まで女子から羨望のまなざしを向けられることが多かった彼女のプライドはズタズタにされていた……。

  「まあまあ、そんな大声出さないの!ほら、行くよ!」

  ミリーはサラの手を引っ張っていく。

  「ちょっと待ちなさいよ!」

  サラは抵抗しようとするが、体が思うように動かない。今までとは違う非力な体では運動もままならないようだ。

  プールサイドに着くと、そこには既に何人かの生徒がおり、準備体操をしていた。

  「あら、ミリーにサラちゃまじゃない」

  声をかけてきたのはクラスメイトのアリスだった。彼女はクラス一のお金持ちで成績優秀でスポーツ万能なお嬢様だ。かつてはサラと唯一張り合える相手であったが、今のサラでは月とスッポンだ。

  「あらアリス」

  ミリーは頭を下げて挨拶をした。サラは無言で会釈をするだけだ。

  「あら、今日は元気が無いのね?何かあったのかしら?」

  アリスは不思議そうに尋ねるが、サラは何も答えない。すると、ミリーが代わりに答える。

  「ええ、実は朝から調子が悪いみたいなの」

  ミリーはそう言うと、サラの体を抱きしめた。

  「ちょっ!やめてよ!!」

  サラは慌てて振り払おうとするが、体が思うように動かないため抵抗できない。

  「あら、ごめんなさい。でもサラちゃま可愛いわ!」

  アリスはそう言うと、サラを抱きしめる。

  「やめてってば!!」

  サラは激しくもがいて何とか二人から抜け出し、逃げるようにそのままプールへ飛び込んだ。

  「あっ!??」

  しかし、変わってしまった体を上手く動かすことができず、溺れてしまった。

  「あらら、大丈夫?」

  ミリーが慌ててサラを助けに行った。

  「げほっ……げほっ……」

  サラは咳き込みながらも何とか立ち上がった。

  「もう、気をつけないとダメよ?」

  ミリーは心配そうに言うが、サラはそれどころではなかった。

  (この私が溺れるなんて……!)

  彼女は屈辱に震えていた。

  (あのクソ神……絶対ぶっ殺してやる……!)

  サラは怒りに燃えていた。しかし今の彼女にできることは何もなく、ただストレスを募らせるしかなかった……。

  ---

  「では今日はここまで」

  教師がそう言うとホームルームが終わり、サラはそそくさと帰宅した。

  家に着くと、サラは自室のベットの上で横になっていた。

  「くそぉ……あの神め……」

  彼女は悔しそうな表情を浮かべていた。

  「絶対許さないんだから……!」

  しかし、今の彼女にできることは何も無く、神と再会できることを祈って眠りについた……。

  ------

  「おはようございます。サラさん」

  目が覚めると、そこは昨日の空間であった。そして、彼女の体が元に戻っていることに気付いた。

  「おい!神!!」

  サラは喜ぶ暇もなく、怒りに任せて叫んだ。

  「あらあら、どうしましたか?」

  少女はいつも通りの様子で答える。

  「どうしましたじゃないわよ!あんたのせいで私は……!」

  サラは怒りに任せてまくし立て、少女に掴みかかった。しかし、サラが少女に近づこうとする度、少女は瞬間移動して、サラはどうしても少女に近づくことができなかった。

  「落ち着いて下さい」

  少女は冷静な口調で言う。

  「うるさい!!」

  サラは叫びながらしつこく掴みかかるが、やはり少女には届かない。そんなやり取りを数分繰り返し、サラは息も絶え絶えになっていた。

  「はあ……はあ……あんた一体何なのよ……?」

  サラは肩で息をしながら、少女を睨みつける。

  「私は神です」

  少女は無表情のまま答える。

  「……またそれ?ふざけないでよ!」

  サラは再び激昂するが、やはり少女には届かない。

  「ふざけてはいません。さあ、今日もあなたのことを教えて下さい」

  「もういや!何か言ったらまた変な体にするんでしょ!?もう私は何も言わない!何も答えない!!」

  サラは駄々をこねる子どものように塞ぎ込んでしまった。

  「サラさん、あなたのことを教えて下さい」

  「……………」

  サラはもはや何も反応を示さない。

  「……そうですか。それなら仕方ありません。それでは、また明日」

  少女はそう言うと、指をパチンと鳴らした。すると、また辺りは暗転した。

  ------

  「っは……また夢……?」

  サラが目を覚ますと、そこはまたしても自分の部屋だった。時刻を見ると時刻は朝の6時半である。

  (今度は何なのよ……)

  サラは恐る恐る鏡の前に立つ。するとそこには……

  「はあ!??」

  彼女は驚愕した。彼女の身長はさらに小さくなり140センチも無いほどであったが、逆に体は丸々として100キロは超えていそうだ。そして、大きな変化は顔である。目は綺麗な碧色からただの黒目となり、さらに両目の間隔が離れて細くなった。鼻は低くなっており、鼻筋が通っていなくて団子っ鼻になっている。唇は大きく分厚くなり、顎も若干大きくなり二重あごとなっている。肌は元々色白だったが、今は青白くて不健康そうに見えた。さらにパジャマは黄色い汗染みまみれで悪臭を放っていた。

  「な……」

  あまりの変わりように絶句するサラであったが、しばらく見つめているうちに段々と苛立ちを感じてきた。

  「なんなのよこのブサイク!!!ふざけんじゃないわよ!!」

  「サラうるさいわよ!早く下に来なさい!朝ご飯が出来てるわよ!今日はあなたの好物の唐揚げよ!」

  サラは渋々リビングへと降りていく。

  (朝はいつもサラダしか食べないのに………)

  そんなことを思いながらも、サラは山盛りの唐揚げをあっという間に平らげた。すると怒りもだいぶ収まったようで、学校へ行く準備を始めた。

  「行ってきます………」

  「はい、行ってらっしゃい!」

  こうしてサラの憂鬱な一日が始まった。

  ---

  サラは教室に着いたが、昨日とはうって変わって誰も話しかけて来なかった。遠くでミリー達も談笑しているが、全くサラに興味がないようだった。

  (これはこれで楽だけど、無視されてるのも気に入らないわね………)

  「ねえ、ミリー」

  サラはミリーに話しかけたが、ミリーは何も反応せず談笑を続けていた。

  「ねえったら」

  サラがしつこく話しかけると、ミリーはイライラした顔で吐き捨てた。

  「話しかけんじゃないわよ、豚!」

  その言葉を聞いてサラは何も言えず、泣きそうになりながら机に突っ伏した。辺りからはサラを馬鹿にするようなクスクスとした笑い声も聞こえてきた。

  (もう、一体何なのよ………!)

  サラは悔しくて堪らなかった。今まで自分が馬鹿にしてきた連中に逆に馬鹿にされるというのは、彼女のプライドを大きく傷つけたのだった……。

  ---

  授業も散々だった。運動能力の低下に加え、知能も低くなっているため授業の内容が全く理解できなかったのだ。

  「では、この超簡単な問題を……サラ=クルーエル、答えてみろ」

  「………わからないわよ!」

  「はぁ……」

  教師は困惑した表情を浮かべるとともに、周囲からは嘲笑の声が聞こえてきた。

  (もう嫌……!)

  サラは泣きそうにながら机に突っ伏した。

  ---

  「ねえ、おサラ」

  昼休み、一人きりでお弁当を食べていると突然声をかけられた。顔を上げると目の前にいたのはアリスとその取り巻きたちだった。

  「………どうかしたの?」

  「ちょっと付いて来なさい」

  サラは不思議そうに尋ねたが、アリスはイライラした顔で言った。

  「……わかったわ」

  二人は人気のない場所に移動した。

  ---

  「……それで?話って何?」

  サラは少しムッとした表情で尋ねる。

  「あんたなんでまた来たの?昨日、もう来んなって言ったでしょ?あんたみたいな豚がいると、このハイスクールの品位ご落ちるのよ!」

  アリスが怒気を含んだ声で言うと、周りの取り巻きたちも同調して罵声を浴びせる。

  「そうよ!二度と来るんじゃないわよ!!」

  「っ……!!」

  サラは何も言い返せなかった。そして、サラは逃げるように学校を後にした。

  (なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないのよ……!)

  サラはトボトボと歩いていた。

  (夜になればアイツに会えると思うけど………まだ家に帰れないから時間を潰さなきゃ)

  サラは仕方なく街中を彷徨き始めた。

  ---

  「なんだあの体w」「太りすぎだろ!」「そもそもブスすぎる」

  サラが街中を彷徨いていると、道行く人々がサラを見て嘲笑する。

  (うるさい………なんで私がこんな目に)

  サラは怒りに震えながらも無視を決め込んだ。しかし、それでも人々は彼女に対して容赦ない言葉を浴びせ続ける。

  ---

  夕方になり、やっと家に着いた時には心身共にボロボロになっていた。

  「ただいま……」

  「あらおかえり、どうしたの?元気ないわね」

  母親が心配そうな様子で話しかけてくる。サラは何も言わずに自室に戻ると、ベットの上に倒れ込んだ。

  (もう嫌……)

  そう思いながらサラは眠りについた……。

  ------

  「おはようございます。サラさん」

  目が覚めると、サラの体は元に戻っており、そこはまたあの空間だった。

  「……またあんたの仕業ね?」

  「はい、その通りです」

  少女は無表情のまま答える。「もういい加減にしてよ!!こんなことして何がしたいの!?」サラは涙目になりながら訴える。

  「あなたを知るためです」

  「意味わかんないわよ!!」

  少女は相変わらず無表情のまま淡々と答える。

  「あなたは昼間のことについてどう思いましたか?」

  「最悪よ!」

  サラは即答した。

  「それは何故?」

  少女は淡々と尋ねる。

  「だって、皆私のこと馬鹿にして……太ってるとかブスだとか……」

  サラは泣きながら答える。

  「そうですか」

  少女は相変わらず無表情のまま答えた。そして、目を瞑って首を横に振りながら言った。

  「でもそれはあなたが他人に対して普段してきたことですよね?」

  「………………それはしょうがないでしょ!?太っている方が悪いのよ!!」

  サラは開き直った。

  「そうですか……やはりあなたは変わらないようですね」

  少女は呆れるように言い放つ。

  「あんたが私の何を知っているというのよ!」

  「なんでも知っていますよ」

  少女は断言し、さらに続ける。

  「不遜な態度、過度な見栄っ張り、………それだけならかわいいものですが、自己中心的、差別主義、他人への攻撃性、…………そしてそれが高じてのいじめによって、同級生を何人も引きこもりや自殺に追い込みましたね?」

  「…………」

  サラはもはや何も言えなかった。

  「今までのことはあなたに対しての試練です。まず一日目、あなたがどれだけ正直に答えられるか問いました。問答の中で、若干の嘘があり、全体的に過度なプライドが感じられましたので、凡人にしました。結果、あなたの不遜な態度が改められることはありませんでした」

  少女は淡々と畳み掛ける。

  「二日目、あなたはもはや何も答えてくれませんでした。そこで、あなたが他人にしてきたことを直接経験させることにしました。結果は残念ながら、あなたは一度も反省の念を覚えることすらありませんでした。もはや、あなたは人である資格はないようです」

  「………どういうことよ」

  サラは震えた声で聞く。

  「あなたは自分を動物に例えると、何だと思いますか?」

  「えっ………美しくて気高い百獣の王、ライオンよ!」

  「いいえ、あなたに相応しいのは豚です」

  「なっ!?」

  少女は淡々と答える。サラは愕然とした表情で固まっていた。

  「あなたはその美しさとやらで他人を見下し、見下されるのが怖くて虚勢を張り、自分と違う人種を迫害してきた。その結果、多くの人を傷つけました。……そうですよね?」

  「…………」

  「自覚はあるようですね」

  「……うるさい!!黙れ!!」

  サラは怒気を含んだ声で言う。

  「そんなあなたには、美しくはないが攻撃性もない、穏やかな豚となって、人生を………いえ余生を過ごすのが良いと判断しました」

  「……余生って何よ」

  「そのままの意味です。あなたの人としての人生は終わり………新たな生活が始まるのです」

  サラは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに怒りの形相になる。そして、少女に飛びかかったが……その手は空を切った。

  (私は豚なんかじゃない……!人間なんだ!!)

  「残念ながらもう手遅れです」

  少女は哀れみの目を向ける。

  「それでは、さようなら」

  少女はそう言うと姿を消した。

  「ふざけんなあああああぁぁぁぁぁ!!!」

  サラの怒りの声もむなしく、景色に暗転した……。

  ------

  翌朝、サラは目を覚ました。

  (あれ?なんか体が重いような……)

  そう思いながら体を起こした時だった。

  「ブヒッ!ブヒィ!!」

  自分の口から豚のような鳴き声が出たことに驚いたがすぐに理解した。自分が今豚の姿になっているということを……

  「ブヒィィィィィィィ!!!(いやああぁぁぁぁ!!!)」

  サラの絶叫が響き渡った……。

  よく見ると、そこは通っていたハイスクールのようだった。なぜかサラは飼育小屋で飼われていることになっていた。

  「ブヒィィ!!」(ここから出してえええぇ!!)

  サラは必死に助けを求めるが、その声は誰にも届かなかった。

  こうして、元美少女の豚の生活が始まるのだった……。

  ---

  休み時間になると飼育委員のエマがやって来た。サラがかつて動物臭いと馬鹿にしていた人物だ。

  「ブヒィ」(エマ、私よ!サラ=クルーエルよ!)

  「どうしたの?お腹空いちゃった?」

  (違うわよ!私よ!!わからないの!?)

  「ブヒブヒッ!」(私は豚なんかじゃないわ!!)

  しかし、エマには伝わらなかった。彼女は餌の入った皿を床に置くと去っていった。

  「ブッヒィィ!!」(お願いだから気づいてぇぇぇ!!)

  サラの叫びは全く届かなかった。エマは去り、サラの目の前には豚の餌だけが残された。

  (これを食べるしかないの……?)

  サラは恐る恐る皿に近づく。匂いを嗅ぐと、吐き気がこみ上げてくるのを感じた。しかし、食べなければ生きていけないことも理解していたため、意を決して口に運ぶことにした。

  「ブッヒィ……」(ううっ……気持ち悪い……でも食べないと死んじゃうし……)

  サラはゆっくりと咀嚼していくがなかなか飲み込めない。それでもなんとか時間をかけて全て食べきった。

  「ブヒィ……」(やっと終わった……)

  サラは安堵の息をつく。放課後になると元クラスメイトたちがちらほら通りがかった。しかし、誰も豚がサラであることには気付かなかった。そもそも、サラという人間は最初から存在しないことになっているようだった。

  「なんで、うちで豚なんて飼ってるんだろう?」

  「さあ?臭いし醜いし、意味わかんないよねー」

  そんな会話が聞こえた気がしたが、気のせいだろうとサラは思い込むことにした。

  (私は豚じゃないわ!人間よ!!)

  心の中で叫ぶもその声は誰にも届かない。サラは悔しくて泣き出した。

  (早く人間に戻りたいよぉ……夜になったらあの変な神に会えるのかな………?)

  サラはそんなことを思いながら、夜になるのを待った。しかし、そのうち猛烈な便意に襲われた。もちろん、小屋にはトイレなんてものはない。

  「ブヒィィ!!」(お願い!誰か助けてぇぇ!!)

  サラは必死に助けを求めたが、その声は誰にも届かなかった。ついにサラは諦め、小屋の隅で排便を始めた。

  ブリュリュリュリュリュッ!

  「ブヒィ……」(恥ずかしいよぉ……)

  サラの姿を見て通り過ぎる人は皆笑っていた。中にはスマホを向けて写真を撮る者までいた。

  (なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないのよ……!!)

  サラは涙を流しながら排便を続けたのだった。

  その後、神に会えることを祈って、眠りについた。こうして、サラの豚としての初日は終わった………。

  ---

  翌朝、サラが目を覚ますと相変わらず豚の姿のままだった。

  「ブヒィ……」(もう嫌だぁ……誰か助けてよぉ……)

  「ブヒブヒィ……」(お願いだから……人間にして……)

  その時だった。

  「あ!目が覚めたのね!」

  飼育委員のエマが駆け寄ってきた。どうやら、排便を片付けてくれたようだった。そして、サラを抱き上げると優しく頭を撫でてくれたのだ。

  「ブヒィ?」(エマ?)

  サラは戸惑いながらも安心した。しかし、すぐに現実を思い出した。自分は人間ではなく豚なのだということを……。

  (違う!!私は人間だ!!)

  そう叫びたかったが口から出たのは豚の鳴き声だけだった。その事実に絶望しながらも、必死に助けを求めた。

  しかし、彼女は餌を皿に入れるとすぐに去ってしまった。

  (こんな生活いつまで続くの……?)

  サラは泣きそうになりながら餌を食べるのだった。

  ---

  それからというもの、休み時間になるとエマがやってきて餌を与えてくれる日々が続いた。サラができることは、ただ餌を食べ排便することだけだ。

  (もう嫌だ……死にたいよぉ……)

  そして夜になり神に会えることを祈りながら眠りについたのだが一向に現れなかった。

  「ブヒィ……」(なんで来ないのぉ……?)

  サラは絶望に打ちひしがれながら眠りにつくのだった……。

  ---

  翌日、サラは目を覚ますと相変わらず豚の姿のままだった。

  「ブヒィ……」(今日も同じ日々が続くのね……)

  そんなことを考えながらエマがやってきた。いつものように餌を与えてくれると思ったのだが違った。彼女はどこからか取り出したブラシで体を洗い始めたのだ。

  (ちょっ!?何してるの?やめてぇ!!)

  サラは慌てて逃げようとするも、すぐに捕まってしまう。そして、全身をくまなく洗われてしまった。

  「ブッヒィィ!!」(くすぐったいぃぃ!!)

  サラはあまりのくすぐったさに悶絶するが、エマはお構いなしに洗い続ける。

  「ブッヒィ……」(もう許して……)

  しかし、そんな願いが届くはずもなく、結局最後まで洗われてしまった。サラはぐったりとしていた。

  (酷い目にあった……)

  そう思いながらも、少しだけスッキリしたような気持ちになった。

  その後は特に変わったことは起こらず、いつも通り餌を食べ排便をして過ごした。だんだん豚の生活にも慣れてきたようだ。餌も美味しく感じるようになっていた。

  「ブヒィ〜」(餌うまぁ〜)

  そんな日々を繰り返し、サラは次第に自分が人間の少女であったことを忘れていった。そして、何年もの年月が経過した………。

  ------

  「ねえ、トンちゃん」

  サラはいつものように餌を頬張っていると、エマが話しかけたきた。

  「私、もう卒業するんだ。だから今日が最後なの」

  「ブヒブヒ」(ブヒブヒ)

  サラは夢中で餌を頬張っていた。

  「じゃあね、明日からは先生が来てくれると思うから・・・」

  エマはそう言って立ち去ったが、今のサラには何も理解できず、ただ餌を頬張り続けていた。

  「ブヒブヒブヒ」(ブヒブヒブヒ)

  そしてさらなる年月が経過した………。

  ---------

  豚はいつも通り餌を食べ、排便をして、眠りについた。そして夢を見ていた。

  夢の中ではいつだかに見た真っ白な光に満ちた空間にいて、その姿は豚ではなく人間の少女になっていた。

  「あれ?どうして人になってるブヒ?」

  そこでハッと気付く。

  「………って!私は人間だったじゃない!」

  「お久しぶりです、サラさん」

  声の方を向くと、そこにはあの神である少女の姿があった。

  (サラ………って、私の名前か)

  サラはだんだんと思い出してきた。

  「やっと思い出しましたね」

  「どうして忘れていたんだろう……」

  サラは疑問に思った。すると少女は言った。

  「それは、あなたが人間であるよりはるかに長い時間を豚として過ごしたことで、精神まで豚になってしまったためです」

  「そんな……」

  サラは自分の知らない間にそれほどの時間を過ごしていたことに驚いた。

  「じゃあどうして人間に戻ったの?」

  「戻ったわけではありません」

  「…………???」

  サラは理解が追い付かない。

  「これはただの走馬灯のようなものです。あなたの寿命はもう尽きようとしているのです」

  「は????????」

  「ということで、あなたのその姿は正確なものではありませんね」

  少女はそう言うと指をパチンと鳴らした。するとサラはどんどん年をとっていった。

  「え?なにこれ!」

  サラは自分の体の変化に戸惑いを隠せない。まず肉付きが全体的に良くなり、特に腹回りに肉が付いた。

  さらに顔には皺が刻まれ、目が窪み、鼻が肥大化した。綺麗なブロンドの髪は白髪となった。

  やがて、その姿背中が曲がったの老婆になったところで止まった。

  「これがあなたの本来の姿です」

  「これが……私?」

  サラは信じられなかった。自分の姿があまりにも醜いことにショックを受けていた。

  「そろそろ時間ですね、お別れの時です」

  「待って!私、これからどうなるの?」

  サラは不安になった。この姿のまま死ぬなんて嫌だったからだ。すると少女は答えた。

  「それは私もわかりません。それでは、さようなら」

  少女がパチンと指を鳴らすと、辺りは暗転した…………………。

  ------

  翌朝、飼育小屋で冷たくなっている豚が発見された。

  「あれ?死んじゃっているよこの豚………けっこう長く生きたからなあ」

  飼育係の教師は豚を見て残念そうに呟いた。

  かつてハイスクールに女王様として君臨していた少女の姿は誰の記憶にも残ることなく

  そこにはただ豚の死骸が一匹あるだけだった。

  こうしてサラの一生は終わったのだった……。

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