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望がそう訊くと、純可は大きく頷いた。
「望くん久しぶり!」
秋信は二人のやり取りを見て、二人は知り合いなのだとわかった。
「二人とも、友達なの?」
「小学生の頃、よく遊んでたんです。学校は違ったんですけど」
「立と、純可ちゃんの妹の恵奈ちゃんとの四人で。恵奈ちゃんも元気?」
その言葉に、純可は一瞬表情を曇らせた。
「元気だよ。立くんは?」
「あ、うん。元気だよ」
今度は、望が表情を曇らせ、答えた。
(おやおや……)
秋信は、望と立のことは知っているが、恵奈という子は知らない。
しかし純可は、恵奈と何かがあったのだろう。
関係というのは、難しいものだと、秋信は思った。
「……恵奈ちゃんと何かあったの?」
「そっちこそ、立くんと何かあったんじゃないの?」
「あー……」
望は、助けを求めるように、秋信の方を見る。
「いや、そんな風に見られても……ここは、本当のことを言った方がいいんじゃないかな?」
「ですよね」
すんなりと、望は返事をした。
そして純可に、立とのことを話した。
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話を聞いた純可は、悲しそうな表情をした。
「で、でも、立は立のまんまだから!秋信さんから聞いたらそうだった」
これ以上悲しそうな表情にさせないため、望はそう言う。
「えっ?立くんも、秋信さんと?」
「うん。昨日……」
すると、クロが純可の方を見て鳴いた。
「立!俺の友達!助けてくれたんだ!名前もつけてくれた!」
クロはそう訴えるように鳴くが、純可にはクロの言葉がわからない。
秋信は、立がクロを助けたこと、クロに名前をつけたのが立だということを、話した。
「……本当だ。昔の立くんと同じことしてる」
純可は、嬉しそうに微笑んだ。
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「……私だけ、何も話さない訳にはいかないね」
恵奈について、話すと決めたのだろう。純可はゆっくりと深呼吸をした。
「……恵奈、今、不登校で……」
「えっ?」
不登校。秋信もその言葉の意味くらいは知っている。
望は、その事実に声を出して驚いた。
「……理由は、わかるの?」
「それが全く。それで今日……つい頭に血が上って、喧嘩しちゃったの……」
クロが、純可がいつもより元気がないと言っていたことを、秋信は思い出す。
「……ずっと側にいたから、わかってるつもりでいた……けど、私は何もわかっていなかった……」
悔しそうに、純可はそう呟く。
「そんなこと」
「そんなことない……!」
秋信は、望の言葉を遮り、強くそう言った。
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(……僕、何で……?)
自分が何故、確証もないのに、その言葉を発したのか、秋信は不思議でたまらなかった。
「あ……えっと……」
「あ」
戸惑っている秋信を見て、望は何故か声を発し、純可は目を丸くした。
そして、純可の表情はだんだんと和らいでいった。
「えっと……よく知りもしないのに、ごめんね。けど、君の言ってることはどうしても、違う気がして……」
「……そうですね。少し、悲観的になりすぎていました。ありがとう、秋信さん」
純可は笑顔で、そう答えた。
そんな純可の様子を見て、秋信と望は安堵した。
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そして、日は暮れ始め、秋信は二人を山の出口近くまで送る。
「また来てもいいですか?」
「うん。いいよ」
純可の問いに、秋信がそう答えると、純可は嬉しそうに笑った。
山から出る直前で、望は秋信の方を振り返った。
「また明日来ますね!」
そう、元気に言うと、望は手を振った。
「……うん。待ってるよ」
そんな望の言葉に、嘘偽りのない言葉を、秋信は返した。
そして、二人が無事に山から出るのを見届け、秋信は家へと戻った。
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「今日は騒がしかったわね」
キジ猫が庭に来て、秋信に話しかける。
「……そうだね。望の道案内をしてくれて、ありがとう」
「どういたしまして。ところで……あの子今日、何か変じゃなかったかしら」
「あの子って……望のことだよね?」
「ええ。入口で会った時、何か、疲れてるように見えたのよ」
「えっ……」
「まあ、私の気のせいかもしれないけど」
そう言うと、キジ猫は去って行った。
(……体調、悪かったのかな……)
思い返してみると、秋信を待たずに、家に入ってきた時、望は少し余裕がないようにも見えた。
(……何で気づけなかったんだろう……)
秋信は自分に対して呆れた。
それと同時に、体調が悪いのに何故来たんだという思いが強まる。
(……今日はもう寝よう)
そう思い、秋信は寝支度を調え始めた。
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また、秋信は夢を見た。
前の夢にも出てきた二人の男の子に、撫でられている。
夢なのに、心地がいい。
「綺麗」
そんな女の子の言葉が、秋信の方に向けられた。
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