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ミルク・コラプション!

  「グハハ、かかったな! その首輪は人間のメスを牝牛に変えちまう効果があるのさ!」

  一瞬のスキを突いて投げつけたアイテムが狙い通り首に巻きついたのを見て、牛怪人ミノスは勝ち誇った声を上げる。

  ……が、仕掛けられたこちらは焦るどころか、逆に失笑するところだった。

  「ふぅん、人間のメスを? 牛には人間の見分けがつかないのかな。……僕、男だけど?」

  馬鹿馬鹿しい幕切れだった。怪人にもいろいろなタイプが居るけど、今回はコミカルな連中なのだろうか……

  怪人の数が徐々に増加傾向にあって、変身して人々を守る強力な戦士であるはずの魔法剣士が敗北する例も出ていると聞くけど、こんなお笑い連中ばかり増えてるなら安泰じゃないの?

  とアクビすら出そうな気持ちになってきたし、とっとと決め技使って終わらせるか、と思ったところで……

  「フン、男か? ナヨナヨしててそうは見えなかったけどなぁ。男っていうなら……これくらいのモン、持ってるんだろうな?」

  ボロン、と

  ミノスは下半身の着衣を緩め、唐突に、その……男性器を見せつけてきたのだ。

  「なっ……いきなり、何のつもり……っ!?」

  デカい。

  デカくて、太くて、長くて、立派な……もちろん種族自体が違うので一概に比較できるものじゃないだろうけど、

  ……あんなのに比べたら、確かに、僕のなんて……

  ビクンっ

  「んぉおっ!?」

  突然、下腹がキュンッと締め付けられるような感覚があり、電流が背筋を貫くような快感が身体の中を走って……気付くと自分の魔法剣士服、その下腹部が、ぐっしょりと濡れていた。

  えっ、僕、まさか、失禁、いや違う、これ、嘘……射精してた……? な、なんでこんな状況で、いきなり……?

  「ククク、認めちまったようだなぁ。お前はオスとしておれに敵わない。お前はオス失格の……メスみたいなもんだって、な」

  「な、何を言って……っ」

  「その証拠にほれ、おれのに比べればもともと貧相だったそのチンポ、小さくなってんじゃないのか?」

  「なっ!?」

  確かに、魔法剣士服は男女ともに身体にフィットするようなデザインで、(戦闘中に勃起するようなことはほとんど無いものの)ひとたび勃ってしまうと窮屈だったはずだが……射精したばかりで勃起しっぱなしのはずなのに、圧迫感が少ない……? スペースに余裕ができて……小さく、なっている……?

  「わかんねぇか? 心がオスとしての敗北を認めてメスになるのにあわせて、身体もメスになろうとしてんだよ」

  「ふ、ふざけるな! 僕はオスとして敗北を認めてなどいないし、メスになんてならない!」

  「本当にそうかぁ?」

  世迷言に惑わされる前に、敵にトドメを……! と踏み出そうとした瞬間、窓が開くようにスクリーンがたくさん空間に浮かびあがり、そこに無数の映像が映し出された。

  ミノスと共に行動しているという謎の技術者、Dr.ゲイザーの仕業か? あらゆるカメラのみならず、他者の視界という視界すべてを盗み見る能力があるというゲイザーは、無限に等しい映像データを保持しているという噂も聞いたことがあるが、いったいここでどんな映像を……

  「……は?」

  視界を奪う目くらましの罠かも知れないと、注意を画面からミノスに戻すことを考える前に……そこに映るのが交尾映像だと気付く。

  ミノスが牛を、牝牛の半獣人を犯している姿。

  それを複数のアングルから……背景の光量からして、夕方に行われたものや夜明けを映したものなど複数回の行為が記録されているようで、それらをまとめて僕を囲む多数のスクリーンで見せつけてくる。

  「い、いったい何を……」

  しかし、先ほど一見したそのミノスのイチモツは見かけだけのものではなく、本当にご立派なモノのようで、犯されている牝牛は、乱暴に突かれているにもかかわらず、恍惚と陶酔の……幸せそうな表情を浮かべていた。

  ……確かに……僕ではあんな風に女性を、メスを満足させることはできない……男として、オスとして、勝てない……という感情が何かとめどなく湧き上がってくる……その感情自体が操られて生み出されたものと気付くこともなく。

  悔しいと感じたのは最初だけで、もはやミノス様と僕とでは比較にすらならない……と格の違いに打ちひしがれる。

  オスとして競おうという気概すら完膚なきまでに折られた後で、むしろ……と犯されている(どこか見覚えがあるような)牝牛に意識をひかれる。

  そのあまりにも気持ちよさそうで幸せそうな様子。それを……「羨ましい」と感じ始めていた。

  僕も、あんな風に気持ち良くなりたい。

  僕も、あんな風にミノス様に気持ち良くしてもらいたい。

  僕も――になりたい……

  カロン カラン

  首輪に付属していた鐘のような金具……カウベルが急に鳴り響くとともに、僕の身体が光に包まれる。

  「ん、ォおっ!? も、ゥモォォォッ!?」

  先ほど感じた電撃のような快感が肉体を駆け巡る。駆け巡り続ける。

  思わず喉から漏れる人間離れした声。下腹がキュンキュンして、びゅくんびゅくんと射精が止まらない。

  精液だけでない何か大切なものが抜けていく。ちんちんが縮む。しぼむ。やだ、やだ! 止めて、止まって……!

  絶望的な喪失感に苛まれながらも、気持ち良すぎて動けずどうすることもできない。

  ……やがて光が収まった時、僕の全身を包んでいたはずの魔法剣士服は跡形もなく消滅していて、代わりに……白地に黒のまだら模様の毛皮が、肌の要所要所を覆っていた。

  扇情的な水着や、何かセクシーなキャンペーンガールや、きわど過ぎるコスプレみたいにも見えるが……毛皮の服を着ているのではなく、身体から直接、獣のような……牛のような体毛が生えている。

  そして、股間がやたらスース―するのは、着衣じゃないからというだけでなく……

  「クク、やっぱりオス失格のメスだったみたいだな!」

  男性器の名残が全く見当たらず……ソコには、牛の毛皮の中に薄っすらとピンク色の裂け目が見えるだけで……

  「ち、違うぅ……こんな……くそっ、元はと言えば、こんな変な首輪のせいで……!」

  今更ながらに妖しいカウベル付き首輪を脱ぎ捨てようとするが、うまく外せない。ロックされているのもあるが、手指が使えないのだ。ゴツゴツとした分厚いミトン状の拘束手袋でもかぶせられているのかと最初は思ったが、違う……自分の手そのものが、牛のヒヅメのような形状に変形してしまっているのだ。

  「動くな。そこでエロ蹲踞のポーズでもしてろ」

  「ンモッ!?」

  ビクン、と牛耳が震えたかと思うと、全身が自分の思い通りに動かなくなる。

  膝を左右に大きく開いて股間を正面に晒すような姿勢でしゃがみ込んでしまう。恥ずかしい部位を隠したいと思っても、両手首で自分の首輪の後ろに触れるような格好。肘を上げたそのポーズで腕も動かなくなってしまった。腋から胸にかけてを強調して見せつけるような姿勢で、とても恥ずかしい。平坦だったはずの乳房が今は膨らんでいて、なおさらだ。

  「まだ精神だけは抵抗しようとする力があるか? 大したもんだな。じゃあ……仕上げにコレ使っちまうか」

  言ってミノスは金属の環のようなものを取り出した。

  「この鼻輪は、着けたものの鼻から変異ウィルスと乳分泌フェロモンを大量に流し込む……鼻の奥から脳に染み込んで、頭の中まで書き換えられて淫乱な射乳牝牛ペットの出来上がりってわけだ」

  「な、何……ひっ、や、やめて、やめろ、そんなもの!」

  「ンー♪ そうだなぁ。嫌がってるのに強引にするのも可哀想だしなぁ。おれだって無理矢理これをお前に着けるようなことはしねぇよ」

  「へ……」

  「おれはな。こうやって……ここに置いて、待つだけさ」

  リング状のその形を活かすように、ミノスは自らのその陰茎の先端に輪を引っかけるようにぶら下げて……そのまま僕の目前、文字通り目と鼻の先に差し出した。

  「う……あ……」

  「どうした? これなら構わねぇだろ? お前自身が着けたいと思って顔を近付けて鼻を触れさせない限り装着はされねぇよ。そんなに嫌がってるんだから着けたいなんて思うはずないよなぁ?」

  ゆらゆらと揺れるその先端がまるで催眠術の振り子であるかのように、目で追ってしまう。視線を逸らせない。

  い、いや……でも大丈夫。まだ大丈夫。さすがに自分から顔を近付けようなんて、そんな真似をしないだけの理性は……

  「ンモッ!?」

  だが……確かに顔は、頭部は動かしていないものの……ミノスの濃厚な牡牛の匂いにあてられたかのように、鼻がヒクヒクと自分の意思と無関係に蠢動したかと思うと……ぐぐ、と少しずつ、鼻や口周りが顔面前方に向けて伸び、突き出し始めたではないか。

  まだ「過激な牛コスプレをしている人間」と言えなくもない姿だった半獣人の肉体が、もっと牛に近付いて……「牛が二足歩行している」といった風情のミノスのような獣人や、あるいは完全に動物な牛へと悪化しようとしているのか。

  「やっ、やだ! やだぁあ! まって! ンモ、ダメぇえ!」

  鼻が変化し始めたことで嗅覚も変じて、匂いから更により多くの情報が得られるようになる。目前のオス、ミノス様がどれほど力強く魅力的な牡牛なのかということがどうしようもなく鮮やかに伝わってくる。

  それによって「この方のメスになりたい。牝牛になりたい」という本能が膨れ上がっていく。ますます変化が加速していく。止まらない、止められない悪循環。

  待って。やめて。だって、まだ鼻輪つけてないのに、言われたのが本当なら、まだ本格的には変えられてないはずなのに、それなのにもう私、違う僕、おかしくなってる。

  欲しい、欲しい。牛のオス、牡牛チンポ、ミノス様の牛チンポ、欲しくて欲しくてたまらない。そんなこと生まれてこれまで思ったことないはずなのに、長年の夢だったみたいに、

  だってわたしメス牛だもん当たり前じゃない違う僕は人間だ男だこんなこと絶対におかしいいやだやめておかしくなるもう駄目もうモうモォやだンモウ変えないでモォォ牛にモウ牛になっちゃウモォォオオオ!

  ぴとっ

  と、成長しきったマズルがミノスの男根の先端に忠誠のキスをするかのように触れ、鼻がリングに接触した。

  「ンモォォオオオオッ!!!」

  カランカランとカウベルが激しく鳴り響く。全身がまた光に包まれる。

  どぷんどぷっどぴゅっごぷっ……

  触れてもいないのに大量のミルクが胸から噴き出して、それでいて乳房がしぼむどころかどんどん膨張していく。乳牛のミルクタンクに成り果てていく。

  先ほどまでの形態では人肌部分が残っていたけれど、今はその部分すら覆い尽くして(乳房とか限定的な箇所を除き)全身の皮膚に獣毛が生えていくのがわかる。その毛の感触一本一本すらも気持ち良くて狂う。狂ったそばから無理矢理治される。でも治るといっても「元の形に」ではない。壊れては治り壊れては治りで、歪な形に自分が書き換えられていく。

  快感を伝達する神経だけが発達していくみたいな感じの中で、ずりゅっ、とまた快楽神経の細長い塊が尻の上あたりから伸びて、股間が潮を噴いた。背筋を貫いて頭にまで気持ち良さを伝えてくるこの器官は……ああ、尻尾かぁ。そうだよね牛だもんね尻尾あって当たり前だよね……と激しすぎて感覚処理できなくてどこか客観視しているような自分もやがて悦楽の洪水の中に溶けて……

  「……やっと落ち着いたか新入り? 早速だが自己紹介でもしてもらおうか?」

  「ンモッ! わたしはインラン牧場で生まれ育った牝牛ですモ! ただの底辺家畜だったので名前はありませんモ! 好きなモのは牡牛さまのチンポだモ! 交尾はモちろん口でしゃぶるのモ好き! メスとしても最底辺なので牝牛さまのマンコにもご奉仕してましたモ! 搾乳時にモーモー鳴くと気持ちいいからそれでオナニーするのが趣味でしたモ! エロ馬鹿な四つ足牛だったわたしを立って歩ける怪人にしてくださってありがとうございますモー!」

  「クッ……クク、グハハ! 効きすぎだろ! 姿はともかく頭もここまでブザマになるとはな!」

  「ンモ……?」

  「なんでもねぇよ。フン、まぁ忠誠心はあるみてぇだしな。せいぜい働いてもらうぜ」

  「モちろんですモー! 牛としての絶対的なヒエラルキーの差を感じてますモ。ミノス様に喜んで服従を誓いますモ! わたしのすべて、ミルクの一滴まで残さず、ミノス様に捧げますモォー!」

  おわり

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