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エストレイン・キャンプ

  「最後に、合宿のしおりを、きちんと、カバンに、いれてください。」

  しろねこの先生が、上品な、やさしい声でいいました。

  クラスのみんなは、言われたとおり、今まで読んでいた合宿のしおりを、カバンに結めこみながら、そわそわと、待ちきれないように、先生を見ています。

  目はらんらんと輝き、先生の口から「それでは」が出てくるのを、今か今かと待っているのです。

  「それでは、出発の時間ですよ。」

  「起立!」

  日直のさるくんが、先生の「出発の時間ですよ」が言い終わらないうちから 号令をかけてしまいました。

  いつもは まじめな学級委員ですら、これから始まる 合宿を楽しみに しているのです。

  それにつられて、子供たち全員がいきおいよく立ち上がります。

  「気をつけ!」

  そのうえ、いつも以上に姿勢のいい「気をつけ」をされてしまえば、ほんとうなら注意をするはずの先生も、怒るに怒れません。

  いぬくんなんて、姿勢はすばらしいのに、しっぽがぶんぶんと左右にゆれているのですから。

  「礼!」

  「ありがとうございました!」

  先生は、今回だけは、大目に見てあげることにしました。

  「はい、おつかれさまでした。では、外に出ましょう。けっして、走ってはだめですよ。転んでけがをしてしまったら、せっかくの合宿に、行けなくなりますからね。」

  「はーい!」

  いいことが待っていると、子供たちはとてもいい子になります。

  さて、どんないいことが待っているのでしょうか?

  子供たちをこんなにもワクワクさせる合宿とは、いったいどんなものなのでしょうか?

  もう分かっていますね。手元に合宿のしおりがあれば、それを開いてみましょう。

  なければ、このまま読んでください。

  これを読んでいるあなたがどんな子か分かりませんが、きっと、あなたの社会における責任というものを理解していると信じています。

  ちょっと背伸びをして、イケナイものを見てやろうだなんて、悪いことを考えている子ではないと信じていますよ。

  前置きはこれくらいにして、それでは、始めていきましょう。

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  みんなをのせたバスは、ゆっくり、とろとろ、合宿場所のある山に向かっていきます。

  くろひょうの運転手さんは、この街でもう二十年もバスの運転手をしていて、一度だって事故を起こしたことはありません。

  そのベテランが、いつも以上に気をつけて運転をすれば、安全というプリンに安全というカラメルソースをかけるようなものです。

  子供たちは安心して、ゆっくりと流れていく街の景色をまどからながめました。

  今日は車も少ないし、外を出歩く人のすがたも少ないし、事故なんて、向こうからやってこないかぎり、起きるはずがないのです。こんなふうに、〝エスト・ウィーク〟は、いつも人通りが少なくなるのです。

  「ねえねえ運転手さん、どうしてエスト・ウィークっていうの?」

  いぬくんが、運転席に向かってたずねました。

  「えっ、あ、あぁ……えっと……。」

  くろひょうの運転手さんは、とつぜん声をかけられて、びっくりしてすぐには答えてくれません。

  「あ、気になる。かあちゃんに聞いても知らないっていうんだよね。」

  ろばくんもそれに続きます。

  「おれ、聞いたことあるぜ。」

  答えたのはねこくんでした。みんなの目線がねこくんに集まります。

  「エストっていうのは、ある国の言葉で『最高の』っていう意味なんだってよ。そんで、ウィークっていうのは、一週間のこと。まあ、合宿は、二週間あるんだけどよ。」

  ふふん、とねこくんは自慢げに鼻をならしました。

  「それじゃ、最高の一週間って意味になんの?」

  いぬくんが首をかしげます。

  「最高というよりは、最上という方が、より正しいです。」

  ていねいに付け加えたのは、学級委員のさるくんです。

  「最上というのは、一番すごいという意味です。エスト・ウィークの正しい意味は、一番すごい自分になるためにがんばる期間となります。」

  べんきょうもスポーツも得意なさるくんは物知りです。

  「大人たちは、なにも、ぼくたちをのけものにして遊ぼうというのではないのです。ぼくたちがいないあいだ、己を高めるためにがんばっているのですよ。」

  「そのとおりだぜ。」

  くろひょうの運転手さんが言います。

  「己を磨く。それを、[[rb:自己研鑽 > じこけんさん]]っていうんだ。覚えとくと、カッコいいぜ。」

  「ジコケンサン!」

  いぬくんが目をきらきらさせて言います。

  「ジコケンサン!」

  ろばくんもそれに続きます。

  難しい言葉を使うことで、かっこいい自分になれたような気になって、二人ともうれしくなりました。

  くろひょうの運転手さんは、耳から聞こえるほほえましい様子に苦笑いになりながら、ふう、と息をつきました。そうしてひとつ、ふたつ、大きく深呼吸をしました。運転に集中しなければなりません。

  事故なんて起こすわけにはいきません。自分のことより、子供たちに何かあったら大変です。だって、子供は街の宝……いいえ、世界の宝なのですから。

  「もうすぐ、山道だから、少しゆれるぞ。あぶないから、あんまり、話しかけないでくれよ。」

  そう言って、いつも明るくて優しい運転手さんは、とびきり真剣な顔になり、しんちょうにしんちょうにハンドルを動かしました。

  「はーい!」

  子供たちの元気な声がひびきます。

  ところで、その声の中に女子の声はひとつもありません。このバスに乗っているのは男子だけです。このバスは、青空小学三年生の男子十八人を、合宿場所に送り届けるためのバスです。女子はというと、別のバスで別の場所に向かっています。

  これから始まる二週間の合宿は、男子も、女子も、子供だけで行うことになるのです。

  子供たちは、それが楽しみで仕方がないのです。

  でも、それは、けっして、大人がじゃまということではありません。

  たとえば、いぬくんは今朝、これから始まる合宿のことで、お父さんとお母さんに、

  「火を点けるときは、まわりに燃え移るものがないことを、よく確認しなさい。」

  とか、

  「いっきに燃やそうとすると、不完全燃焼が起きるから、少しずつ燃やしなさい。」

  とか、耳に穴があくくらい、心配の言葉をかけられました。

  ろばくんだって、お母さんとお父さんに、

  「包丁で手を切らないように、食材は、ゆっくり切りなさい。」

  とか、

  「いっきに作りたくても、鍋いっぱいまで入れたら吹きこぼれるから気を付けなさい。」

  とか、起きたばかりなのに、眠たくなるくらい、長々と心配の言葉をかけられました。

  ほかにも、おおかみくんだって、くまくんだって、しっかりもののさるくんでさえ、同じようにたくさんの心配をされました。

  去年までの合宿は、数人の大人が一緒でしたが、今年からは完全に子供だけになることを、大人たちは心配しているのです。

  子供たちは、そんな心配をしなくても、自分たちは、しっかりやれるんだということを、証明したくてたまらないのです。

  早く合宿場所に着かないかなと、子供たちは、しきりに窓の外をながめました。

  バスはそれから、街を抜け、美しい桜があふれる山に入り、くねくねした道を、右に曲がり、左に曲がり、トンネルを抜け、坂を上り、坂を下り、ようやく、合宿場所に到着しました。

  バスからおりた子供たちは、そそくさと帰っていくバスに手をふって見送ったあと、しんせんな空気をいっぱい吸い込みました。大きな大きな解放感に、みんな黄色い声を上げました。

  「さあ、みんな、とうちゃくしたら、まずは記念撮影ですよ!」

  学級委員のさるくんが、さっそく不真面目になり始めた子供たちに、きびしく言います。子供たちは、しぶしぶ、はしゃぐのをやめました。

  写真係のおおかみくんが、デジタルカメラを手に、前に出ます。先生からあずかった大切なカメラです。落とさないよう、しっかりと手に持ち、三脚を取り付け、倒れないことを何度も何度もかくにんしていました。

  そのあいだに、子供たちは門の前に整列します。[[rb:門柱 > もんちゅう]]には、子供たちには読めませんが、「山麓小学」と書いてあります。

  ここは、今は使われなくなった、昔の小学校です。そこを改装し、春と秋に行われる合宿のときにだけ、こうやって利用するのです。

  「おい、おれが入るところ、ちゃんと開けといてくれよ。それじゃ、タイマー、スタート!」

  おおかみくんがシャッターボタンを押し、かけ出し、開けてくれたスペースに入り、ビシッと姿勢を正します。それから、パシャリ。どうにか、タイマーに間に合いました。

  撮影が終わると、ちょうど次のバスがやってきました。他の学校の三年生です。今回、ここには、合計三校の小学三年生が集まることになっています。

  彼らも、同じように記念撮影をするはずですから、青空小学校の子供たちは、先に体育館に行くことにしました。

  青空小学校、緑風小学校、赤星小学校、合わせて六十人の子供たちで、入所式を行いました。

  それぞれの学校で決められた色のジャージを着た子供たちが整列します。ジャージは長そでですから、体毛に覆われている獣人にとっては、少し暑いですが、不満をもらす子はいません。これが大切な儀式であることを、みんな分かっているのです。

  青空小学校は藍色、緑風小学校は[[rb:碧色 > みどりいろ]]、赤星小学校は紅色、それぞれの色が二列になって、[[rb:壇上 > だんじょう]]に集まった代表者の三人が順番に宣誓を行うのを見守ります。

  「ぼくたちは、日ごろの教育で培った経験をもとに、どんな困難にも協力して立ち向かい、仲間同士の結束を、より強固にするとともに、家族や先生に、全員が無事で、たくましくなった姿を見せることを誓います!」

  そんな中、さるくんが行った宣誓は、他の二校の宣誓よりも長く、立派なものでした。

  青空小学校の子供たちは、学級委員のさるくんにとても感心しました。

  ともあれ、さるくんの宣誓のとおり、誰もけがをすることなく日程を終え、よりたくましくなって帰らなければなりません。

  青空小学校だけでなく、ほかの二校の子供たちも、大きな責任感と義務感を胸に宿しました。

  大丈夫、彼らならきっとやり遂げます。無事に帰って、大人たちが目を見張るほどの成長を見せてくれるはずです。

  さあ、いよいよ合宿の、〝エストレイン・キャンプ〟の始まりです。

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  合宿の活動ですが、全体で行うレクリエーション以外は班単位で行動します。一人が全員を率いるのでは自立心が養われませんからね。

  今回は、いぬくんがいる班を追いかけることにしましょう。ですが、その前に、いぬくんたちの紹介をしておきますね。

  いぬくんたち一班は五人。いぬくん、ろばくん、おおかみくん、ねこくん、くまくんです。

  まずは、いぬくん。どんなことにも興味を示す元気いっぱいの男の子です。国によっては、ゴールデンレトリバーと呼ばれることもあり、その名のとおり、金色にかがやく長い毛並みがとくちょうです。

  次に、ろばくん。焦げ茶色と白の毛並みで、少しおとなしめですが、時たま見せる笑顔が素敵な男の子です。一度言いましたが、いぬくんとは、昔からの友達です。

  三人目のおおかみくんは、班長です。色は少し説明が難しいですが、野生的な毛並みとしておきましょうか。無口というほどでもなく、おしゃべりというほどでもなく、程よくクールでカッコいい男の子です。

  それから、ねこくんも、クールといえば、クールなのですが、他の子が知らないことを話すときは、とても早口になります。少し口調が強くなることもありますが、仲間想いのいい子です。白と黒が八の字に広がったような模様ですが、黒が淡くグレー寄りです。

  最後に、くまくん。つやつやと黒光りする立派な毛並みの中、クロワッサンのような模様を胸に持っています。他の子より少し大きく、口数が少ないことも相まって、少しこわい印象を受けてしまうかもしれませんが、真面目で優しい心を持つ男の子です。

  以上の五人が、青空小学校三年生の一班です。彼らは、まずは探検をすることにしました。

  合宿場所は一年ごとに変わりますから、ここに来るのは初めてで、どこに何があるのか分かっていません。ここは、前回の三年生、つまり今の四年生が、去年の合宿で使った場所です。

  校舎は、大きさも形も、いぬくんたちが通っている学校と似ていました。四角い箱みたいな形で、横長で、三階建てで、窓ガラスが規則的にならんでいます。

  体育館から屋外通路を通って校舎に入ると、靴箱と階段がありました。ここも同じです。

  少し進むとトイレがありました。校舎のこちら側の端っこは、一画がすべてトイレになっています。中にあるトイレは、個室のみで、スペースをとりますから、子供たちが、いっせいにかけこんでも、足りなくなることのないように、数を多くしているのです。

  「おっ、ちょうどいいや、バスの中からがまんしてたんだ。」

  いぬくんは大喜びで飛び込みました。

  「さっさと、すませろよ。あんまりちんたらしてると、昼飯の時間に、かかっちまうからな」

  となりの個室から、おおかみくんがいいました。さるくんほどではありませんが、おおかみくんもしっかりものなのです。それで、責任あるクラスの写真係長や、一班の班長を任されているのです。

  「メシ前なんだからしっかり洗えよ。おまえ、やること雑なんだからさ。」

  おおかみくんのさらに向こうの個室から、ろばくんの声がしました。

  「当たり前だろっ。」

  いぬくんは、ちょっぴりふきげんになりながら声を上げました。やろうと思ったことを先に言われると、誰でもムッとしてしまうものなのです。

  用を足し終えたいぬくんは、個室の壁にかかっているフック型のウォーターガンを外し、引き金を引き、自分のおしりに水をかけていきました。

  外側がきれいになると、球状になっているフックの先をおしりの穴に差し込み、水を入れ、中までしっかりと洗いました。

  言われたからではなく、いぬくんがしっかり自分の意志でやろうとしていたことなのです。

  その昔、この街で大規模な寄生虫の流行が起きたことを、社会科の授業で先生が教えてくれたのを、いぬくんはちゃんと覚えていました。

  さて、トイレから出ると、一班の子供たちは、ろうかを歩きました。

  とちゅうには、青空小学校の子供たちが寝る部屋と、小さなシャワールームがあり、そしてまた、階段と靴箱がありました。

  突き当たりの一画は、広々とした調理室でした。料理はここで行うことになります。

  中はまさに家庭科室のようで、たぶん、改装する前から家庭科室だったんだろうなと子供たちは思いました。

  すでに大半の子供たちが集まっていたので、一班の五人も、探検を中断して、お昼ごはんの準備に取りかかることにしました。

  そう、子供たちだけの合宿ということは、ご飯だって、自分たちだけで作らなければならないのです。

  でも安心です。これまでの家庭科の授業で、子供たちは自分で料理をする力を身に着けているのですから。

  他の子供たちもやってきて、各校四班ずつの十二班が、いっせいに料理を始めました。

  献立は班ごとに違います。各班に一人ずつ任命される献立係が、二週間ぶんの献立を用意しているのです。もちろんメニューは全員で相談しながら決めた内容ではあるのですが、栄養バランスや一日の必要栄養素、そして食材の鮮度から使う順番を考え、献立係がきちんとまとめたものです。

  「それじゃ、始めるよ。最初に作るのは、ハンバーグだ。」

  献立係のろばくんが、一班のみんなに号令をかけました。ご飯を炊く役、スープを作る役、サラダを作る役など、てきぱきと指示を出します。使えるコンロは二つですから、時間配分も考えなくてはなりません。

  でも、普段からよく家で料理をするろばくんにはお手の物です。一日目だというのに、完璧にこなしてしまいました。

  どこよりも早く、一班のハンバーグは完成しました。

  立ちこめるケチャップのいいにおいに、いぬくんもねこくんも待ち切れません。

  写真係のおおかみくんが、写真を撮り終えるのを、今か今かとうずうずしていました。

  ちなみに、おおかみくんは、クラスの記念撮影をする写真係長でもありますが、写真係は班ごとに一人ずついます。活動は班ごとなのですから、活動記録も班ごとにつけるのです。写真の出来栄えによって、年度末に作る学級文集に採用されることもあるとあっては、撮影には気合が入ります。

  先生から預かったデジタルカメラと違い、班で使うのはインスタントカメラです。フィルムを後から現像するのでなく、撮影したその場で現像が行われる、少し古風なカメラです。大きくて重いですが、立派なストロボがついていて、カッコいいと評判です。

  用意しているフィルムには限りがあるため、始めのほうに撮りまくったせいで、後から足りなくなるなんて、みじめなことにならないよう、写真係は、撮影するべき場面を、真剣に考える必要があります。そのため、お調子者のいぬくんやねこくんでなく、しっかりものの、おおかみくんが任されたのです。

  さて、料理上手のろばくんが焼いたハンバーグに感動した一班の子供たちは、それぞれが用意した「最初の一度限りの持ち込みデザート」を食べ、探検の続きをすることにしました。

  これからは、デザートだって、自分たちで作らなければなりません。

  おっと、その前に、大事なお薬を飲まなければなりませんね。

  この街の子供たちは、一日一回、いずれかの食事の後に欠かさずお薬を飲みます。

  病院でももちろん処方してもらえますが、薬局に行くと、ノミとダニがかわいいタッチでやっつけられているパッケージでおなじみのものを買うことができますよ。

  持ってくるのを忘れた子は一人もいません。だって、今朝、子供たち全員がお母さんやお父さんからしっかり持たされましたし、出発前、先生にも、きっちりと、確認されましたからね。

  [newpage]

  

  一階と同じように、二階も同じような部屋の配置になっていました。

  端っこがトイレで、階段をはさんだ広い区画が緑風小学校の子供たちが寝る部屋で、小さなシャワールーム、それからまた階段と続きますが、その先の、一階では家庭科室だった部分が、二階では大浴場になっていました。

  「す、すっげー!」

  その大浴場に入ったいぬくんは、目をキラキラさせて感動しました。

  中はとても広く、まるで銭湯にでも来たかのようでした。

  壁に向かってずらりと並ぶシャワーに、何人の子供たちが入るか分からないほど大きな浴槽……。さすがに三校の子供たち全員は無理があるものの、一校ずつなら余裕をもって入浴をすることができそうです。

  まだ空っぽですが、午後のどこかの時間に、お風呂係がきちんとお湯を張ってくれることでしょう。

  お風呂係のねこくんは、手で床をこすって感触を確かめていました。

  床は濡れてもすべりにくく、たとえすべって転んだとしても、大けがにはなりにくい特製の樹脂でできていました。

  その樹脂を台無しにしないため、毎日掃除と乾燥をすることが大切で、それも、お風呂係の責任あるお仕事になっています。

  「うちのお風呂より断然広いですね、おどろきました。」

  と、入ってきたさるくんが言いました。さるくんは、二班の班長です。

  それから、さるくんと同じ二班の、うしくん、うまくん、ぶたくんも入ってきて、それぞれ感動の声を上げました。夜、みんなでお風呂に入るのが楽しみです。

  大浴場横の階段から三階に上がってすぐ、レクリエーションで使う工作室がありました。もちろん、家庭科室や大浴場があった部分になります。

  ということは、そこ以外は、一階や二階と同じく、残る一校、赤星小学校の子供たちが寝る部屋が続き、最後に階段とトイレになるのでしょう。

  でも、九人の子供たちは、そちらに進んで確かめることはしませんでした。

  それをする前に、別の学校の子が、工作室に入ってきたからです。

  「なんでえ、ちゃちい道具しかねえじゃんかよ。」

  入ってくるなり、一番えらそうな子が、部屋を見回しながら言いました。

  彼らはジャージを脱いでいましたが、体操服の袖や首元に、ジャージと同じ紅色のカラーリングがあり、赤星小学校の子だということが分かりました。

  一番えらそうな子、たぬきくんが、さるくんを見つけるなり、のしのしと、太った体をゆらしながら、うでを大きく振って、やってきました。

  体操服のゼッケンには、「2」の上に「3」と濃く書かれています。

  二年生の時から着ているのでしょう、ちょっぴりサイズが合っていません。

  まんまるおなかの下で、出べそが丸見えになっています。

  「よう、頭のよさそうなお坊ちゃん。あんま調子に乗ってんじゃねえぞ。」

  ぎろりとにらみつけられ、さるくんは、すくんでしまいました。

  さるくんだけでなく、いぬくんも、ろばくんも、大きな図体から放たれる威圧感にびっくりしてしまいました。

  「なーんてな。」

  よもや、なぐりかかってくるのではないかと、誰もが思いましたが、たぬきくんは急に笑顔になり、

  「これから二週間、仲良くやっていこうぜ。」

  と、笑いながら出ていきました。あわてて、同じ班の子もついていきます。

  「なんだ、あいつ?」

  おおかみくんが、クールにすました目で言いました。

  「去年は声がでかいやつだなとしか思わなかったな。」

  ろばくんも、去年のことを思い出しながら言います。

  「ご、ごめんね、うちの班長が……。」

  ただ一人残ったきつねくんが、心の底からわびるように言いました。

  「いつもああなんだ。らんぼうはしてこないんだけど、人をおどかして、面白がるんだ。困ったものだよ……。」

  本当にそうなのでしょう。きつねくんは、糸みたいに目を細くして、肩を落としていました。

  「ああ、あいつ、確か大工さんの子だったかな。」

  ねこくんが、思い出したようにつぶやきました。

  「し、知ってるの?」

  おずおずとたずねるきつねくんに、ねこくんはうなずいて返します。

  「それも普通の大工じゃない、寺院なんかを建てる特別な大工だ。たまにだけど、うちの木材を買い付けに来て、それにくっついて来てたような気がする。」

  それでみんな納得です。宮大工という立派な父を持てば、態度が大きくなるのもうなずけます。

  「よ、よく知ってるね。そのとおりだよ。ぼくなんて、お父さんがその[[rb:棟 > とう]]りょうの下で働いてるもんだから、ぜったいに、逆らえないよ……。昨日だって消しゴム取られたし、さっきのバスの中でだって、わざわざとなりに座ってきてさ、持ってきた大事なおやつを……。」

  「オイ、何やってんだっ、早く行くぞっ!」

  戻ってきたたぬきくんが、大きな声でどなりました。

  「ひいいっ!」

  おどろきのあまり、ぴょんと飛び上がったきつねくんは、両手で頭を隠し、おびえたように、たぬきくんの元に走っていきました。

  たぬきくんは、きつねくんを大声で責め立てましたが、きつねくんのいうように、暴力をふるうことはありませんでした。

  「何というか、難しそうなやつがいるみたいだなぁ。」

  いぬくんがつぶやきました。誰とでも友達になりたいタイプのいぬくんは、どうすればたぬきくんと友達になれるのか、がんばって考えましたが、とうとう、思いつきませんでした。

  でも、きっと大丈夫だろうとみんな思いました。

  去年だって、一昨年だって、関わりは薄かったものの、同じメンバーで合宿をしているのです。

  それだけでなく、運動会だって三校合同で行うことですし、多少は見知った間柄なのです。

  それに、そうでなくとも、学校同士は近い場所にあるのですから、ねこくんとたぬきくんのように、親同士が知り合いということも多く、学校は違うけど友達同士という子もそれなりにいたりするのです。

  この街は、ほかの街と比べて住人同士の距離が近いのです。

  きっと、子供たちだって、同じように、良好な関係を結ぶことができるはずです。

  少し気まずい空気の工作室を後にして、二班のメンバーと別れた一班は、階段を下り、校舎の外に出て、あちこちを探検しました。

  こっち側の靴箱には、いぬくんたちの靴はないので、反対側、つまり、体育館がある側の靴箱で、靴をはきかえました。

  旧小学校の敷地は、一年生から六年生まで含めて利用すると考えると、少し手狭ですが、三校の三年生男子だけで使うと考えれば、じゅうぶんすぎるほど広いかな、という程度です。

  合宿期間外は草まみれになるグラウンドも、きちんと整備され、鬼ごっこはもちろん、サッカーや野球だってできます。七日目と十四日目には、キャンプファイヤーも予定されています。

  プールはあとかたもなく整地されていて、そこを含めて周辺が小さな林になっています。

  体育館の向こうには、焼却炉がありました。

  すると、それまでキラキラしていたいぬくんの目が、急に真剣な顔になりました。

  それもそのはず、いぬくんは、学校ごとにたった一人だけ任命される焼却係なのです。

  焼却炉は、あまり大きなものではありませんが、ぶあつい金属でできた炉に、長い煙突と、本格的なつくりでした。

  今日はここに来たばかりですからゴミは出ませんが、明日から毎日、集められたゴミを燃やす仕事が待っています。

  火を扱うことは、とても重い責任が伴います。ひとつ間違えれば、たちまちのうちに火事になり、もし人に燃え移れば、命を落としてしまうかもしれないのです。

  火の取り扱いには知識が必要ですし、もしもの場合、あわてず行動できる心の強さも必要です。

  その責任ある係を、いぬくんは任されたのです。いぬくんは、消防署で行われる火気取り扱いの特別教育を、一言の冗談も茶々も入れず、真剣に受けました。

  焼却係には、いぬくん自らが志願したのですが、焼却の仕事の他に、栄えあるキャンプファイヤー点火役を任されるからという理由からではありません。お父さんが消防署で働いている影響なのです。焼却係を立派に務めることで、お父さんの立派な背中に少しでも追いつこうと思っているのかもしれません。

  とにかく、火のことに関しては、普段はふざけてばかりのいぬくんも、学級委員のさるくんと同じくらい真剣に向き合うのです。

  「ちゃんとやれよ。」

  幼なじみのろばくんが、いぬくんの背中をたたきます。

  「うんっ。」

  友達からの後押しを受け、いぬくんは、力強くうなずきました。

  少しだけ敷地の外も探検しましたが、いくらも歩かないうちに、お風呂係のねこくんがお風呂を用意する時間になったので、みんな、一緒に校舎に戻ることにしました。

  初日には入所式以外に決められた行事はありません。

  夜ごはんと入浴の時間になるまで、広い敷地を活かしてかくれんぼをしたり、倉庫で見つけたボールとグラブでキャッチボールをしたり、各班それぞれ、思い思いに過ごしました。

  そうして晩ごはんを終え、広い広い大浴場で目いっぱいはしゃぎ回ったあと、子供たちは、明日からも続く楽しい日程に思いをはせながら、大部屋に並べられた二段ベッドで、ぐっすりと眠りました。

  [newpage]

  

  翌朝、目を覚ました子供たちは、見慣れない光景に、少しだけとまどいましたが、すぐに合宿のことを思い出し、ワクワクをよみがえらせました。

  てきぱきと着替え、朝の支度をし、朝ごはんの準備に取りかかりました。

  献立は、一班に限らず、だいたいの班が、ごはんとお味噌汁をメインにしていました。

  料理が得意な子でなくとも、お味噌汁を作るくらいは、だれでもできます。この街の学校で行われる家庭科は、ほかの街と比べ、だいぶ本格的なのです。

  この場所でなく、ほかの場所で行われている別の学校グループの三年生たちも、同じように、立派にごはんを作っているに違いありません。

  そうそう、知っていると思いますが、この街に住んでいる同じ学年の子は、ここに集まっている子供たちだけではありませんよ。

  この三校の生徒たちは、ほかの街であれば、ひとつの学校の一学年にまとめられ、その中で、クラス分けという形で扱われていることでしょう。他の街ならば、同じ校区だということですね。

  この街では、クラス分けをする代わりに、学校で分けるのです。

  そういうわけで、一学年には一クラスしかありませんし、運動会だって、三校合同で開催するのです。

  どうしてそういうことをするかというと、あなたたちにはまだ難しいかもしれませんが、高い出生率に伴う雇用枠の確保と平等化といっておきます。そしてもうひとつ、総合学習における担任数と生徒数の最適化というのが挙げられますね。

  今は意味が分からないかもしれませんが、もう少し大きくなれば、じきに分かるようになるでしょう。

  総合学習というのは、子供たち自身が自らの意志で行動し、自ら得た経験によって成長を促す教育方針のことです。

  彼らがこの年齢で立派に合宿を行えているのは、その教育の[[rb:賜物 > たまもの]]ということですね。まさに、街が一丸となった施策です。

  さて、それはともかく、朝ごはんを終えた子供たちは、何やら、浮足立っています。

  ソワソワしたり、ストレッチをしたり、みんな、落ち着かない様子です。

  気が早い子は、まだまだ時間があるというのにもう体育館に向かっています。

  いったい何が始まるのでしょう?

  答えは、スポーツ大会です。今日は、午前中に、三校合同でドッジボールをすることになっているのです。

  といっても、運動会と違って、勝ち負けはありません。おっと、どうせですから、実際にドッジボールをしている光景を見ながら、お話しすることにしましょう。

  体育館に集まった六十人の子供たちは、円形に並び始めました。ちょうどホールケーキを三等分するような形です。

  青空小学校の青色、緑風小学校の碧色、赤星小学校の紅色と、きれいに分かれています。

  その中で、どこかからいつの間にか始まったボール投げが、青から碧へ、碧から紅へ、一定方向に投げられていきます。

  最初こそ学校で完全に分かれていましたが、当てられれば相手のチームに移動するというルールなので、次第にチーム分けはあいまいになっていきます。

  それで、学校そのものを〝敵〟と見なしてしまうことなく、平和に、楽しく、真剣に、手を取り合って遊ぶことができるのです。

  勝ち負けなんてなくても、子供たちにとっては、それで十分なのです。

  少しぎこちないですが、そこはまだ合宿が始まったばかり。これから、もっと仲良くなっていくはずです。

  「しゃらくせえ!」

  ですが、その平和な空気が物足りないとでもいうように、一人の男の子が大声を上げました。

  「こんなままごと、ぬるすぎるぜ!」

  太ったおなかを見せ付けるように、うで組みをして仁王立ちする、たぬきくんでした。

  たぬきくんは、赤星小学校の子を体育館の中央に集めます。

  さらにその真ん中に立って、ぶおんと大きくしっぽをふったあと、

  「青チーム、緑チーム、おれたちを囲め。まとめて相手をしてやるぜ。」

  なんて、大胆なことを言い出しました。

  せっかく敵味方の区別なく平和にやっていたところに、学校同士の「争い」という[[rb:不穏 > ふおん]]な空気をもたらしたのです。

  青空小学校の子供たちも、緑風小学校の子供たちも、みんなしぶっていましたが、

  「昼メシの時間までにおれ一人をアウトにできれば勝ちにしてやる。おれ以外のやつは、当たったら五分間退場な。」

  と、さらに大胆なルールを自信満々に言われ、極め付きに、

  「おまえらザコどもが束になってもおれ様にゃかなわないぜ!」

  なんて、飛び切りの[[rb:挑発 > ちょうはつ]]をされてしまえば、この年ごろの男の子にとっては、乗らない方が、こしぬけだと思うものです。

  こうして、たぬきくん一人対全員のドッジボールが始まってしまいました。

  普通に考えれば、こんな不利なルール、すぐに決着がついてしまうと思うでしょう。

  ですが、たぬきくんの自信は、けっして、こけおどしではありませんでした。

  向かってくるボールを、ことごとくキャッチし、お返しに、投げてきた相手を、確実にしとめてみせます。

  たぬきくんは、ドッジボールが大の得意だったのです。

  なかなか自分にボールが回ってこなくてイライラしていたたぬきくんは、まるで水を得た魚のように、いきいきと、青も緑も関係なく、ばったばったと相手をなぎ倒していきました。

  「こいつをくらえっ!」と全力でボールを投げたいぬくんも、

  「かたきうちだ!」と向かっていったろばくんも、

  「へっ、けっこうやるじゃねえか。」とカッコつけたねこくんも、

  「まったく、どいつもこいつも。」とあきれて見せた一番の力持ちであるぶたくんも、

  「おれがやるしかないか。」と真打ちのように登場したスポーツ万能のうまくんでさえも、

  「っしゃラァ!」

  という豪快なかけ声から放たれる猛スピードのボールの前に、成す術なく倒れていきました。

  子供たちは一丸となってたぬきくんを倒そうとしました。

  もはや学校の垣根などなく、緑チームも、青チームも、全員の心がひとつになりました。

  ですが、たぬきくんの強さはそれを上回りました。

  たぬきくんを守るように立ちふさがる赤チームのメンバーを端から削っていく戦法を試しましたが、倒すよりも倒されるペースの方が早く、そうこうしているうちに五分が経過し、倒した相手が戻ってきます。

  何という強さなのでしょう。たぬきくんを倒すことはできないのでしょうか。

  このまま、好き放題に言われたまま、一矢を報いることもできず、いいようにされて終わるのでしょうか。

  ここに、仲間を倒され、力なく転がったボールを無言で拾い上げる人物が一人。

  「いやはや、よくもやってくれましたね。」

  それは、さるくんでした。真面目で賢い学級委員は、運動神経もバツグンなのです。

  工作室でおどかされた時と違って、たぬきくんを見る目は[[rb:闘志 > とうし]]にあふれています。

  胸の前でしっかりとボールを持ち、仲間の無念を晴らさんと、グッと力をこめています。

  ただならぬ気配に、たぬきくんの顔つきも変わりました。

  「ですが、これまでです。覚悟してください。目にものを見せてやりますよ。」

  さるくんは、大きくうでを振りかぶり、大げさに足まで振り上げました。

  これはとんでもないボールになる。誰もがそう思いました。

  さるくんの目が光ると同時に、張りつめた糸が切れたように、勢いよくうでが振り下ろされ、全力の一投が放たれました。

  ボールはするどく風を切り、一直線にたぬきくんに向かい、たぬきくんは片手で軽々と受け止めました。そしてその倍以上のスピードで投げ返されたボールに、さるくんは、

  「うきゃっ!」

  と情けない声を上げて倒れてしまいました。

  少しだけシーンとしたあと、たぬきくんは大笑いしました。だって、さるくんは、ぽてんとあお向けに倒れたあと、右足をあげて、みっともない格好でピクピクしていたからです。

  これまでで一番の大口を叩いた挙句、こんなカッコ悪いやられかたをするなんて、笑いをこらえきれなかったのです。

  ぽてん、ぽてん、と力なく響くボールの音だって、その情けなさを助長しました。

  たぬきくんは、大きなおなかがよじれるんじゃないかと思うくらい、涙を出しながら笑いました。立つ力も出ませんでした。

  ぽてん、ぽてん、ぽてん。

  ぽて、ぽて、そして、ぽてっ。とつぜん、ボールの音が止まりました。

  まるで草原をかけぬけるオオカミのように、すばやくボールを拾い上げた人物がいました。

  おおかみくんです。

  ひゅん、と飛び上がったおおかみくんは、ハンドボールのシュートのように、上から下に、するどい投球をくり出しました。

  大きな図体ながら、敏感に気配を察知したたぬきくんは、これまた大きな図体に似合わない素早い動きで跳ね起きて身構えました。

  するどい角度でまっすぐに向かうボールは、今までで一番の[[rb:威力 > いりょく]]でもって、たぬきくんにおそいかかりました。

  両手を構えたたぬきくんの胸に、ボールが命中します。その衝撃は、たぬきくんの体の芯まで届くほどで、ぱつぱつになった体操服ごと、胸の肉を揺らしました。

  ゆれたのは胸だけではありません。たぬきくんの両手に収まったかのように見えたボールは、右へ左へ大きくブレ、ついに手からこぼれ落ちます。

  たぬきくんは手を伸ばしました。落ちる前に捕れば、まだセーフです。

  弧を描くボールに、伸びる手。その手はボールを、かろうじてかすめただけでした。

  ぽてん、ぽてん、ぽてん。勝負が決まった瞬間でした。

  ぽてん、ぽて、ぽて。たぬきくんが負けた音です。

  わあっと、体育館に子供たちの歓声が響き渡りました。

  やった、勝ったぞと、青チームも緑チームも、共に手を取り合って喜び合いました。

  赤チームの子供たちも、連合チームの健闘をたたえながら、同じように喜んでいました。

  ひとつの敵に立ち向かうことで、全員の結束が強まったのです。

  でも、敵だなんて言っていいのでしょうか?

  子供たちが、勝負の中で、敗者を笑うなんて、この街の大人たちは誰も望んではいません。

  大丈夫です。敵なんて、どこにもいません。

  「オイ!」

  大口を叩いた挙句にカッコ悪くやられたたぬきくんは、自分を負かしたおおかみくんの元に向かい、

  「おまえ、やるな。今日からおまえはライバルだ。」

  と言って、すがすがしく笑いながら、手を差し出しました。

  おおかみくんが握手に応じると、再び体育館は歓声に沸きました。

  「不意打ちみたいなモンだって。」

  「それでもだ。いいボールだったぜ。」

  男同士の熱い友情がここに芽生えました。

  「フッ。作戦通りですね。」

  さるくんはカッコつけるように言いましたが、はてさて、それが真実か、強がりか。今のところは、想像にお任せすることにしましょう。

  [newpage]

  

  さて、お昼ごはんをすませた子供たちは、いつも学校でやっているように、掃除をして、そのあと、それぞれが受け持っている係の活動をします。

  洗濯係は洗濯、お風呂係は大浴場の掃除などなど。

  焼却係のいぬくんは、ゴミ係が集めて持ってくるゴミを、焼却炉で燃やすのがお仕事です。

  緑風小学校のやぎくん、赤星小学校のとらくんも、いぬくんと同じ焼却係です。三人は、消防署で行われる特別教育を一緒に受けた、顔見知りでした。

  三人は、ゴミ係が焼却炉にゴミを集めるあいだ、敷地内にある常緑樹の林で落ち葉や小枝を集め、それを焚き付けに使い、たまったゴミを燃やし始めました。

  「袋、パンパンだな。空気ぬかなきゃ、入りそうにないぞ。」

  そう言って、いぬくんは、袋の空気を抜こうと、ひざで体重をかけました。

  そのとき、すきまから出てきた空気が、いぬくんの鼻をかすめます。

  特に、ほこりっぽいだとか、粉っぽいだとか、そういうのはなかったのですが、ひとつ、嗅ぎ慣れないニオイが、混じっていました。

  「どうしたの?」

  緑風小学校の焼却係であるやぎくんが、いぬくんにたずねます。

  「なんか、あやしいニオイがする。」

  と、いぬくんが答えると、

  「あやしいニオイ?」

  と、赤星小学校の焼却係、とらくんがやってきて、いぬくんが開けた袋を、同じようにクンクンし始めましたが、

  「うーん、おれには、わかんないや。」

  と、あきらめて、立ち上がります。

  「ほら、早く燃やそうぜ。遊ぶ時間が、なくなっちまう。」

  とらくんに言われましたが、本音を言うと、ニオイの正体を突き留めたくてたまりませんでした。でも、それはそれとして、遊ぶ時間だって惜しいし、焼却係という大事な仕事をやり遂げなければならないという責任感もあります。

  正体不明のニオイをそのままにするなんて、いぬくんにとっては、食後のプリンを取り上げられるくらい、つらいことなのです。

  それでも、いぬくんは、涙をのんでゴミを燃やすのを再開しました。

  ですが、ひとつだけ、分かったことがあります。そのゴミは、青空小学校が寝ている大部屋から出たものです。

  ゴミ係のしかくんのニオイもありましたし、それからゴミ袋の空気には、嗅ぎ慣れた友達のニオイが、たくさんありました。

  もしまた同じニオイがすれば、今度こそ突き止めてやる!

  いぬくんは、そう決意しました。

  焼却のお仕事が終わってから、例えば夕ごはんの準備の後、入浴の後、寝る前など、いぬくんは教室の中に設置されたいくつかのゴミ箱を順番に嗅いでいきましたが、ナゾのニオイは、一切しませんでした。

  もしかしたら、もう二度と、あのニオイと出会うことはできないのかな。

  いぬくんは、不安な気持ちになって、なかなか寝付けませんでしたが、次の日に予定されているハイキングや野外活動など、楽しいことを考えることで、どうにか、ワクワクを取り戻すことができました。

  それはそれで、別の意味で寝付けなくなったのですが……。

  翌朝、いぬくんは、元気に目を覚ましました。

  一晩たてば、たいていの気持ちはリセットされます。

  あのニオイは気になるけれど、それよりも目の前のことを楽しもう!

  いぬくんは、そんなふうに、気持ちを切りかえました。

  合宿三日目は、この旧小学校の付近にある[[rb:史跡 > しせき]]をめぐりました。

  山に入りはするものの、子供たちだけで行うこともあり、道はきれいに整備され、ルートが分かるように、きちんと目印がされてあり、安全そのものです。

  冒険したい年ごろの子供たちにとっては、少し物足りないかもしれませんが、事情は分かっていますし、冒険したい心よりも、無事に帰らなければならない義務感が、上回っています。決められたとおり、道を外れることなく、春のニオイのする山を、歩きました。

  各所に設置されている立札を読むことも、活動のひとつです。

  その中には、山そのものが、歴史上の人物のお墓であることや、いつかテレビで見たことがある有名な時代劇の舞台だったことなどが明らかになると、子供たちはおどろきました。

  また、山にある立派な寺院が、赤星小学校のたぬきくんのご先祖が建てたのだと知って、一同はたぬきくんに少しだけ尊敬の目を向けました。

  そんなこんなで、山を下りると、間もなくお昼ごはんの時間でしたが、この日は、少し特別でした。

  学校の近くを流れる川で、釣った魚と野草を使ってバーベキューをしました。

  そのあとは、夜まで自由時間です。

  釣りを続ける子や、校舎に戻ってボール遊びをする子がいる中、いぬくんたちは川に留まって、川に石を投げて水面をはねる回数を競う「水切り」で盛り上がりました。

  ドッジボールで熱戦をくり広げたおおかみくんとたぬきくんが、ここでも火花を散らして、勝負をしていました。

  そんなときでした。

  いぬくんが「最強の石」を探そうと川辺をさまよっていると、いぬくんの鼻が、ほんのかすかですが、あのニオイを嗅ぎ取りました。

  持っていた最強候補の石を放り投げ、いぬくんは、かけだしました。

  山です。そのニオイは、山から流れてきました。

  とちゅう、風の流れが乱れ、何度も何度もニオイが途切れましたが、いぬくんの鼻は、着実に着実に、発生源に近づいて行きました。

  近付いていくにつれ、不安な気持ちが出てきました。

  ニオイの正体が分かるのですから、ワクワクするはずですが、それよりも、いやな予感の方が強くなっていました。

  どうしてかといいますと、まず、そのニオイに混じって、よく知っている子のニオイもあったからです。

  そして、そこには道がなかったからです。整備された道ではなく、その子は、わざわざ、やぶの中を通ったのです。

  もし、へびにでもかまれたら、どうしよう。

  いぬくんは、優しい子です。友達が、けがをしないか、心配していたのです。

  そのいぬくんの足が、止まりました。

  ニオイでなく、音、いや、声が聞こえてきたからです。

  「はあ。ったくもう……。」

  苦しむ声でも泣きそうな声でもなかったので、どうやら、何事も起きてはいないようでした。

  いぬくんは、気付かれないように、ゆっくり、草をかき分けながら、近づきました。

  「まさかニオイでバレるなんてなあ。」

  その言葉に、いぬくんの肩が、びくっと、はねます。こっそり近づいているのが、バレたのかと思ったからです。

  「せっかく、やり放題だと思ったのに、やりにくいったら、ありゃしないや。」

  でも、そうではなく、ただの独り言のようでした。

  その声は、ろばくんのものでした。

  ろばくんが、クヌギの木に背を持たせかけて、何かをしていました。

  幹は、ろばくんの体よりも太く、いぬくんからは、ひじがチラチラ見えるくらいで、何をしているか、見当がつきません。

  (何をしているんだろう。近づいて、確かめてみよう。)

  風が吹きました。風が、立ち並ぶ木々の枝葉を、ザワザワと、ゆらしています。

  (しめた。今のうちに、もっと近づいてやろう。)

  音にまぎれ、いぬくんは、気付かれないよう、少しずつ、少しずつ、近づいていきました。

  風が、立ち並ぶ木々をぬって進み、ろばくんがいたところの空気を、いぬくんのもとに運んできます。

  正体不明のニオイが、さらにさらに強くなります。

  いぬくんの心がはやりました。

  とうとう、ろばくんがいる木の真後ろまでやってきました。

  「それにしても、どうしちまったんだろう。昨日から、なんかヘンだなあ。あ、また出そう。」

  ぺったりと背中をくっつけ、そろそろ、こっそり、体をずらしていきます。

  (出そうって、何だろう。いったい、何をしているんだろう?)

  少しずつろばくんの体が見えてきます。

  ひじだけ見えていたのが、うでが見え、手が見え、そして。

  その手ににぎられたものが見えた瞬間、

  「えっ?」

  と、いぬくんは声を上げてしまいました。

  「えっ?」

  いぬくんの目の前を、白くにごった何かの液体が、勢いよく飛んでいきました。

  [newpage]

  

  ろばくんの手ににぎられていたのは、おちんちんでした。

  おちんちんが、びくんと大きくはねて、先っぽから、ビュッと、白いかたまりを、発射しました。

  勢いは強く、いぬくんの目の高さをこえるほどでした。

  その液体が通り過ぎる時、いぬくんは、混じりけのない、新鮮な〝ナゾのニオイ〟を嗅ぎ取りました。

  あのニオイの正体は、それだったのです。

  ビュッという発射は、何度も続き、そのたびに、いぬくんの目の前を、勢いよく、ナゾの液体が、飛んでいきます。

  それを何度もくりかえし、ようやく、おちんちんから、何も出てこなくなると、

  「お、おまえ、なんでここに……?」

  と、ろばくんは、信じられないものを見るような目で、いぬくんを見ながら、言いました。

  いぬくんは、何も答えませんでした。

  見えていたのはニオイだけです。

  ニオイの発生源が分かったからといって、その正体が判明したわけではありません。〝それ〟が〝なに〟なのか、いぬくんは、まだ最後まで突き止めてはいません。

  いぬくんは、それが出てきた光景を、逆再生するように追いかけました。

  黒く湿った鼻を、クンクンさせながら、発生源まで。つまり、鼻が、ろばくんのおちんちんに、吸い込まれるように。

  「お、おい、なにやってんだ。」

  いきなりおちんちんを嗅がれたろばくんは困惑します。

  「やめろ、かぐな、はなれろって。」

  ろばくんは、いぬくんを、突き飛ばすように押します。

  ですが、それで止まるいぬくんではありませんでした。

  逆に強い力で押し返され、ろばくんは、ステンと、しりもちをついてしまいました。

  足首まで下ろしていたズボンとパンツに、足を取られてしまったからです。

  文字通り、天をつくように上を向いたおちんちんに、いぬくんは飛び付きました。

  クンクン、スンスン、クンクン。いぬくんの鼻が、ろばくんのおちんちんを、嗅ぎまわります。

  濡れた鼻が、おちんちんの先っぽに触れ、おちんちんが、ぴくんと跳ねました。

  その時、ピュッと、あの液体が、軽く飛び出し、いぬくんの、鼻に、かかりました。

  ニオイの発生源が、自分の鼻になり、いぬくんは、クンクン、スンスン、クンクン、鼻呼吸を繰り返しました。

  けれども、嗅げども、嗅げども、そのニオイが何なのか、やっぱり分かりません。

  鼻についたそれを、長い舌をのばしてなめてみても、ナゾは深まるばかり。

  「なあ、これ、なに?」

  とうとう、いぬくんが、あきらめてたずねました。

  「なにって、なにがだよ。」

  ろばくんは、ふてくされたように、言います。いぬくんが離れて、ろばくんは、ようやく自由になりました。

  「これだよ。あと、それだよ。」

  「ぜんぜん、わかんないよ。」

  「これも、それも。」

  いぬくんが自分の鼻を、それからろばくんのおちんちんを指差して言います。

  「これとか、それとかって、なんだよ。もっと、分かりやすく言えよ。」

  「ちんこから出てきたの、なんだよって、聞いてんだよ。それに、なんで、そんなになってんだよ?」

  「そんなにって、なんだよ。」

  ろばくんは、恥ずかしそうに体を背けました。バットのスイングみたいに、ろばくんのおちんちんが、そっぽを向きました。

  「なんで、ちんこ、そんなにおっきくなってんだよ?」

  いぬくんとろばくんは、小さなころから友達でした。プールにも一緒に行くし、銭湯にだって一緒に行ったことがあります。

  ですが、今目の前にあったろばくんのおちんちんは、見慣れたろばくんのものとは大きく違っていました。

  「そんな、野球のバットみたいな……。」

  そう言いながら、いぬくんは、自分の下半身に目を落とそうとして、違和感に気が付きました。

  体操ズボンの下で、なにかが、ぎゅうぎゅう詰めになっていて、それも、今まさに、ぎゅうぎゅうが、強くなっているところでした。

  ろばくんと違って、いぬくんは、急いで山に入ったので、ジャージをはいていません。

  そのハーフサイズのズボンが、みるみる、大きく大きくふくらんでいるのです。

  「えっ、なにこれ?」

  いぬくんは、あわてて立ち上がり、ズボンを脱ぎます。

  ですが、そのあいだに、さらに大きくなってしまったおちんちんがつっかえて、パンツを脱ぐことはできなくなってしまいました。

  「いたい、いたいよう。」

  ブリーフの中で、おちんちんがしめつけられて、いぬくんは、痛みで泣きそうになりました。

  「早くぬげって。」

  「ぬげないんだよう。」

  「じゃあ、こうしろよ。」

  ろばくんが、いぬくんのブリーフの前開きを、開けてあげました。

  それでも出てこないおちんちんの引っかかりを外すと、いぬくんのおちんちんは、ピンと、元気よく外に飛び出しました。

  「な、なにこれ。おれのちんこ、どうなっちまったんだ?」

  前開きをつきやぶるように伸びたそれを見て、いぬくんは、自分のおちんちんであることが信じられないように、おびえた声になりました。

  「いじると、そうなるんだよ。」

  ろばくんが、いぬくんのおちんちんに手をそえたまま、言いました。

  「でも、いじっちゃだめって……。」

  <おちんちんは、毎日お風呂で洗って、せいけつにしなさい。ばいきんが入るから、ふだんは、ぜったいに、いじってはいけません。>

  これは、いぬくんも、ろばくんも、いいえ、ほかの子供たちも、みんな言われてきたことです。

  たとえば、プールの着替えの時に、おちんちんを振り回して遊んだり、また、もし友達のおちんちんを叩いたりすれば、大人たちは目を三角にして叱ります。

  それなのに、ろばくんは、怒られることをしている。

  いぬくんは、急にこわくなりました。

  「バレたんなら、しょうがない。おまえも、共犯だ。」

  ろばくんは、いぬくんのおちんちんをにぎって言いました。

  「やめろよ、さわるなよう。」

  「おまえだって、やめろっていったのに、ニオイかぐの、やめなかったろ。おあいこだよ。」

  そう言われてしまえば、いぬくんには返す言葉がありません。

  「だれにも言わなきゃ、バレないんだ。じっとしてろよ。」

  いぬくんは、ろばくんが自分のおちんちんをもてあそぶのを、見ていることしかできませんでした。

  ろばくんの手は、犬くんのおちんちんの皮を引っぱったりもどしたりをくりかえしています。

  皮がむかれると、鮮やかなピンク色が、出てきます。言いつけのとおり、毎日洗っているので、きれいです。

  ほんの少し、おしっこの湿り気があるくらいのものです。

  「な、なんか、ヘンな、感じがする。」

  いぬくんが、少し息を切らしながら言いました。

  これまでお風呂で洗う時には何にも感じなかったのに、いけないことをしている気持ちからか、友達の手でされているからか、なんだか、経験したことのない変な気持ちになってきました。

  経験したことがないので、それがどんな気持ちなのか、いぬくんには言い表せませんでした。

  ろばくんの手が、おちんちんの先っぽをおおう皮ごと、先っぽをしめつけ、前後し始めると、その変な気持ちは強くなります。

  「えっ、なに、なにこれ。」

  ようやく、いぬくんにも分かってきました。

  「気持ちいいだろ?」

  と、ろばくんが言います。いぬくんは、コクコクとうなずきます。

  そう、それは、気持ちいいという感覚でした。

  いじってはいけないと言われてきたおちんちんが、友達の手でいじられて、なぜだか気持ちよくなっている。

  いぬくんは、ひどく混乱しました。

  いけないことなのに。

  やめなきゃならないのに。

  バレたら怒られるのに。

  でも気持ちいい。

  やめてほしくない。

  やめなきゃ……。

  頭の中がぐるぐるして、いぬくんは、迫りくるそれに、気が付きませんでした。

  「んっ、ふっ……! んんーっ!?」

  頭の中で、ぐるぐるが爆発しました。

  爆発したのがおちんちんであることが、すぐには気付けませんでした。

  反射的に閉じた目を開けた瞬間、いぬくんが見たのは、白く濁った液体が、自分の身長よりも高くにふき上がる光景でした。

  ビクン、ビュッ、ビクン、ビュッ。

  おちんちんがはねるたび、消防車の放水みたいな勢いで、白い液体が、何度も、何度も、飛び出してくるのです。

  それは向かいの木の幹にまで及び、何度も同じ勢いで打ち付けられていました。

  「あっ、はっ、あっ……っ!」

  混乱に埋め尽くされていた頭が、ようやく快感を認識しました。

  その液体が飛び出す瞬間に、ものすごい快感が発生していることに、いぬくんは気が付きました。

  快感の量は、おちんちんを握られていた時に感じていたものとは比べものになりません。

  すさまじい量の快感が、発射のたびに爆発し、思わず声が漏れてしまいます。

  「あー、あー……あー……。」

  あまりの気持ちよさに、発射が終わってからも、いぬくんは声を止めることができませんでした。

  白い滝ができている幹を見て、草木に降りかかった液体を見て、そうして自分のおちんちんを見て、ぶるっと、いぬくんはふるえました。

  (おれのちんこから、ヘンなもんが出てきた。)

  あのナゾのニオイのする液体が、自分からも出てきた。快感や興味と同時に、恐怖感もこみ上げてきたのです。

  自分のおちんちんがあんなふうに大きくなることも、こんな液体が出ることも、初めての経験だったのですから。

  「気持ちよかっただろ。」

  その恐怖感は、友達の言葉で和らぎました。

  そこにろばくんがいることを思い出して、いぬくんは、少し安心しました。

  「な、なあ、いったい、おれのちんこに、何が起きたんだよ?」

  いぬくんは、助けを求めるようにたずねましたが、

  「知らないよ。」

  全部知っていると思っていたろばくんからは、答えは出てきませんでした。

  「知らないけど、いじったら、気持ちいいのが出てくるんだ。」

  「なんだよ、それ。いいのかよ。」

  「知らないよ。でも……。」

  ろばくんは、自分のおちんちんを見ながらいいます。

  「去年、初めてこれが出た時、おまえにはまだ早いって、父ちゃんに言われた。早いっていうのは、つまり、後からならいいってことで、これ自体が、絶対に悪いことじゃないって意味だろ。」

  「そ、そうかな。っていうか、父ちゃんに、怒られないのかよ。」

  「怒られるよ。だから、ここに来て、やってんじゃんか。それなのに……。」

  そう言って、ろばくんは、恨みがましく、いぬくんを見つめます。

  ようやく、いぬくんにも分かりました。

  ろばくんの家は、大家族です。

  お兄ちゃんが三人、お姉ちゃんが一人、妹が一人、それから、お父さんとお母さんがいて、おじいちゃんたち、おばあちゃんたちも、住んでいます。

  ということは、目撃者の数が多いということで、おちんちんをいじりたくても、いじれないのです。

  それで、この合宿で家族と離れられることができ、ろばくんは、気がねなくおちんちんをいじりまくることができると思っていたに違いありません。

  それなのに、いぬくんに、嗅ぎつけられました。ゆうべ、青空小学校のゴミ箱を嗅ぎ回るいぬくんを見て、校舎の中ではできないとさとったろばくんは、こうやって、山に入った……。いぬくんは、そこまで考えて、

  「ごめん。」

  と、素直に謝りました。

  「いいよ。別に、おこってないし。」

  気になるニオイはとことん追いかける。いぬくんの行動を知っているろばくんは、これは仕方がないことなんだと思いました。

  「見られたのが、おまえでよかったよ。」

  二人は友達です。このことは二人のヒミツだと約束して、二人は川に戻りました。

  もちろん、友達だからこそ、

  「ちんこ、いじるの、やっぱり、良くないことだと思うぞ。」

  と、改めて注意もしました。

  ろばくんだって、いけないことをしている自覚はあったので、

  「分かった。」

  と、友達からの注意を素直に聞き入れました。

  それは、二人だけのヒミツでした。

  おちんちんをいじっていたことも、いじられたことも、だれにも言わなければ、だれにも知られることはありません。

  そのはずでした。

  [newpage]

  

  それは、翌日の午後でした。

  「ねえ、昨日、二人でなにやってたの?」

  同じ班のくまくんが、いぬくんが一人の時を見計らって、声をかけてきました。

  くまくんは、川からいなくなった二人が、こっそり何かをしていたのだと確信しているふうでした。

  「なにって、とくに、ふだんと変わったことは、なにも。」

  「ほんと?」

  「ほんとほんと。」

  「でも、ふだんと変わったことしてないのに、ふだんと変わったニオイがしてたんだけど。」

  ギクリとしました。

  「変わったニオイ? どこから、どんな?」

  「どんなニオイかは分からないけど、でも、洗濯物から……。」

  それで、いぬくんは分かりました。あの液体のニオイが、パンツに染みついていたのでしょう。

  くまくんは、一班の洗濯係です。班員の下着を洗っている時、いぬくんのパンツとろばくんのパンツから、同じニオイがすることに気がついたのです。

  いぬくんは、

  「わ、分かった。教えるから、ちょっと、こっち来いよ。」

  と言って、くまくんを、川に連れて行きました。

  今日は川でのレクリエーションはないので、だれの姿もありません。流れる川のあいだの大きな石に立ち、改めてくまくんに向かいます。

  「こ、こんなところで、何をするの?」

  くまくんは、真面目な子ですから、お願いすれば、ヒミツにはしてくれるでしょう。でも、そうならない可能性もあります。いぬくんは、ろばくんが自分にやったのと同じことを、くまくんにしようと思ったのです。

  「教えてやるから、だまって、見てな。」

  押しの弱いくまくんは、いぬくんにされるがまま、ズボンを脱がされ、パンツを脱がされ、おちんちんをいじられました。

  「だめだよ、そんなとこ、さわっちゃ、あっ、だめっ!」

  くまくんは、いぬくんの手の中で、ビクン、ビクンと、おちんちんをはねさせ、ビュッ、ビュッ、ビューッと、盛大な発射をしました。

  見ている方が、気持ちよくなりそうなほど、くまくんは、勢いよく、たくさん飛ばしました。

  放出しつくしたあと、くまくんは、腰を抜かして座りこんだまま、ぼうぜんと放心していました。

  その横で、いぬくんも、おちんちんをいじって、発射しました。これは、くまくんの罪悪感を和らげるためです。

  おちんちんをいじることは良くないことだと言うくまくんを、いぬくんは説得しました。

  「うん。だから、もうしない。あいつも、もうしない。だから、このことは、二人だけのヒミツだ。」

  それで、終わりのはずでした。ナゾの液体だって、川に流れてなくなりました。ニオイなんて残りません。

  そう思って、いぬくんは、くまくんを連れて、何事もなかったかのように、一日を過ごし、今日も楽しかったと眠りにつきました。

  ですが次の日……。

  「なんかヘンなニオイしないか?」

  合宿四日目の午後、ゴミを燃やす前のことでした。赤星小学校の焼却係、とらくんが、焚き付けの落ち葉を炉に流しこみながら、そう言いました。

  「ヘンなニオイ?」

  緑風小学校の焼却係、やぎくんが、首をかしげながら言い、炉の中をクンクンします。

  「うん。なんだろ、生臭いっていうか、嗅いだことのないニオイ。」

  「うーん。ぼくには分からないや。ねえ、きみなら分かるんじゃない?」

  やぎくんは、いぬくんを見て言います。

  「お、おれ? ああ、ちょっと待ってろ。」

  嗅がなくても、その正体は分かっています。それは、いぬくんが出した、あの液体なのですから。

  燃やせばニオイは残らない。そう思って、いぬくんは、落ち葉を集める前に、林でおちんちんをいじったのです。

  「ああ、このニオイだよ。おととい、袋の中から出てきた、あやしいニオイだ。」

  「何のニオイか知ってるか?」

  「知らないよ。知ってたら、突き止めようとするかよ。」

  「じゃあなんで……。」

  とらくんは、そう言いながら、いぬくんに近づき、

  「おまえから、このニオイがしてるんだよ。」

  いぬくんの手を取り、そう言いました。おちんちんをにぎっていた手に、ニオイがついていたのです。土にこすりつけたくらいでは、取れません。

  こうなれば、取る手はひとつ。

  とらくんとやぎくんを林に連れて行き、二人の目の前で、おちんちんをいじって見せました。

  そそり立つおちんちんから飛び出す液体を見て、二人とも、目を丸くしました。そして、

  「おまえ、ちんこいじるの、良くないんだぞ。」

  と言いましたが、

  「そういうの、いいから、やってみろよ。めちゃくちゃ気持ちいいんだぞ。」

  と言われ、とらくんは、自分のおちんちんを、いじります。

  やぎくんは、自分でやろうとしなかったので、いぬくんが、ちょっと強引に服を脱がせ、おちんちんをいじってあげました。

  「うう、んん……っ。」

  とらくんは、少しくぐもった低めの声で、

  「あんっ、んんんーっ。」

  やぎくんは、泣きそうにも聞こえる高い声で、それぞれ勢いのある発射をしました。

  このことは、三人だけのヒミツ。

  そう約束をして、三人は、焼却の仕事に戻りました。

  いぬくんは、これからはもっと慎重にしなければならないと思いました。

  おちんちんをいじらないということは考えませんでした。だって、この気持ちよさを知って以来、みょうにソワソワしてならなくなったからです。

  朝はいいとして、昼、夕方になるにつれ、心の中で、何か分からない感情が、ふつふつと湧き上がっているのを感じました。

  その感情は、ひどく落ち着かないものでした。

  まるで、お母さんが作ってくれた絶品のハンバーグが目の前にあるのに、透明な壁に阻まれて、食べることはおろか、手を伸ばすことも許されないような感情です。

  その感情は、おちんちんと結びついていました。おちんちんを気持ちよくすることで、その感情が、いくらか薄れるのです。

  おちんちんで気持ちよくなることで、ハンバーグを一口だけ食べたような、わずかな満足感を得ることができることに、気が付いたのです。

  自由時間に、ふとしたことでおちんちんが大きくなった時、ほかの子にふくらみがバレないようにするため、パンツの上からおちんちんを出して、シャツでおさえて隠しながら、誰もいないところで発散することをくり返しました。

  川であったり、山であったり、土の中であったり。

  終わったあとは手を洗い、可能であればおちんちんを洗い、ほかの子にバレずにすることを覚えました。

  ですが……。

  そのソワソワが、一日一日、強くなっているのを、いぬくんは感じました。

  そして、そのソワソワは、どうやらほかの子も感じているようでした。

  [newpage]

  

  合宿七日目、待ちに待ったキャンプファイヤーの日です。

  この〝エストレイン・キャンプ〟が始まる前から、いぬくんは、来る日も来る日も夢に見るほど楽しみにしていました。

  だというのに、その日は朝から落ち着かない気持ちでいっぱいでした。

  おいしい朝ごはんも、おいしい昼ごはんも、それどころか、みんなで作ったケーキを食べている時も、グラウンドで[[rb:飯盒炊飯 > はんごうすいはん]]とカレーを作っている時でさえ、ウズウズ、ソワソワ、ムズムズ、いぬくんの気持ちは満たされません。

  今日はおちんちんをいじっていません。朝から団体行動が多く、自由時間がなかったからです。

  いぬくんほどではありませんが、ねこくんも、くまくんも、おおかみくんも、あからさまに口数が減っていました。ふだんどおりなのは、一班の中では、ろばくんだけでした。

  ろばくんは、いぬくんが相手だとよくしゃべりますが、ほかの子に対しては、いぬくんほど明るくはありません。

  そのせいで、口数だけでは分かりにくいのですが、ろばくんは、ほかの子ほど、ソワソワはしていませんでした。

  料理も、片付けも、ろばくんが率先して行いました。

  そしていよいよキャンプファイヤーが始まるという時になっても、ろばくんがいぬくんに「そろそろだぞ。」と言わなければ気付かないほど、いぬくんは注意散漫になっていました。

  ですが、いざ始まってしまえば話は別です。楽しいことに夢中な子供たちは、しっかりと組まれた[[rb:薪 > たきぎ]]が燃え上がる様子に湧き立ちました。

  ひとつの学校に、ひとつの炎。

  それぞれがそれぞれの火を囲んで、合唱したり、それが終わればマシュマロを焼いたり、楽しい時間になりました。

  ひとしきりワイワイ騒いだ後は、次第に静かになっていきます。

  屋外炊事場の明かりも消してしまえば、空に輝く月と、燃え盛る炎だけが、子供たちを照らす光となります。

  その月と炎の光の中で、子供たちは、感傷にひたるかのように、無言になりました。

  大さわぎが大好きな赤星小学校のたぬきくんでさえ、この時ばかりは何もしゃべりませんでした。

  いぬくんは、月を見上げました。今日は、ちょうど満月でした。

  月は丸く、白く、大きく、ずっと見ていると、何だか目の奥から魂が吸い取られそうな気持ちになり、いぬくんは、次は炎に目を移しました。

  炎は赤く、パチパチと爆ぜ、ゆらゆらと形を変え、ずっと見ていると、何だか心の奥で言い様のない感情が湧き立つようで、いぬくんは目を閉じました。

  目を閉じると、落ち着かない感情が丸見えになりました。

  いぬくんは、もじもじしました。おちんちんが、ウズウズしてきたのです。

  でも、こんなところでいじるわけにはいかないし、こんな雰囲気の中、一人でどこかに行くわけにもいきません。

  だいいち、今は夜です。炎のそばを離れれば、たちまち暗闇に飲み込まれます。

  いぬくんは、暗闇のオバケが自分に向かって手を伸ばしてくる光景を想像し、身ぶるいしました。

  どうすることもできず、やきもきしながら炎をながめていると、ポツポツと、あちらこちらから小声が聞こえてきました。

  「何か、ヘンじゃない?」

  「おまえもか?」

  「おれ、なんか、ヘンになりそうだよう。」

  みんな、自分の中におかしな感情があることに、戸惑っていました。

  周りを見れば、青空小学校だけでなく、緑風小学校の子たちも、赤星小学校の子たちも、同じようにヒソヒソと何かをささやき合っていました。

  「これは、おそらく発情ですね。」

  学級委員のさるくんが、ハアハアと、息を切らしながら、言いました。

  「発情?」

  いぬくんが、聞きます。

  「頭がフワフワしたり、落ち着かない気持ちになる現象です。合宿のしおりに書いていましたね。」

  「どうすりゃいいんだよ。」

  ねこくんが、前かがみになって、聞きます。

  「それも、書いていました。しっぽです。」

  「しっぽぉ?」

  「みんな!」

  さるくんが、大声で、言います。

  「それぞれペアを作って、お互いのしっぽをこすってください。」

  それが、合宿のしおりに書かれていたことです。

  しおりには、発情が起きれば、しっぽをこすって刺激することで、気持ちが落ち着くのだと書いてありました。

  みんな、さるくんの言葉に半信半疑でしたが、動かずやきもきしているよりはよっぽどいいし、それに、しっぽをこすると聞いて、なぜだかみんな、少しワクワクする気持ちが湧いてきたのです。

  いぬくんは、ろばくんのしっぽを、ろばくんは、いぬくんのしっぽを、それぞれこすり始めました。

  抱き付くような格好になりましたが、みんな同じことをするので、恥ずかしさはそこまでではありませんでした。

  いざ実践してみると、それは確かに効果がありました。

  居ても立っても居られないような気持ちが、すっと奥へ引っ込んでいったのです。

  それは、例えるなら、お母さんに頭をなでてもらった時のような気持ちでした。目の前のハンバーグは食べられないけれど、代わりに何か別のおいしいものでご機嫌取りをされた、とするのが近いでしょうか。

  しっぽをこすることで、確かに気持ちは落ち着きます。しかし、ハンバーグは、いぜんとしてそこにあるのです。

  子供は欲深い生き物です。目の前にふたつの選択肢があれば、どちらも選びたくなるものです。

  むくむくと、気持ちが湧き起こってきました。おちんちんをいじりたいという欲求です。

  ですが、それをしていい状況ではありません。

  気持ちをごまかすように、いぬくんは、ろばくんのしっぽを、ゴシゴシと力をこめてこすります。

  それにこたえるかのように、ろばくんも、いぬくんのしっぽをこする力を強くします。それでまた気持ちが落ち着き、落ち着きが続くと、現状への不満がつのり始めてしまいます。しっぽをこする力は、強まるばかり。

  いぬくんは、おちんちんがふくらんでいくのを、隠しました。

  パンツを引っ張り、にょきにょきと伸びていくおちんちんが通るすきまを作りました。

  そうして体操服をかぶせ、手で押さえます。

  右手は相手のしっぽをこすり、左手は自分のおちんちんを押さえる……。その手が、不意に相手の手に当たりました。

  おや、といぬくんが見てみると、ろばくんも、いぬくんと同じように、シャツと手でおちんちんを隠していました。その手に当たったのです。

  「大丈夫、がんばれ、落ち着け。」

  ろばくんは、そうしながら、いぬくんの気持ちを落ち着かせようと、元気づけてくれていました。

  自分だっておちんちんが苦しいのに、いぬくんのことを、案じてくれているのです。

  いぬくんは、今まで感じたものとは別の、言いようのない気持ちが湧き起こるのを感じました。

  それが何なのか、分かるはずもありません。

  とにかく今は、おちんちんをいじりたいという気持ちと、ろばくんのおちんちんをいじってあげたいという気持ちの方が大事でした。

  さすがに、みんなの前でそれをする勇気は、ありませんでしたが……。

  いぬくんは、周囲に目を向けます。周りの子も、やはり、しっぽをこすり合いながらも、気持ちを抑えきることはできていませんでした。

  うーん、うーん、というもどかしそうな声や、はあ、はあ、という荒い吐息が、あちらこちらから聞こえてきます。

  その声を聞いていると、おちんちんのムズムズが、さらに強くなってしまいます。

  そうだ、といぬくんは気付きます。ろばくんと一緒に林の方に行こうと思いついたのです。

  二人なら暗闇でもこわくありませんし、事情を知っている相手なら、たぶん一緒のことをしてくれるだろうと。

  そう思った時です。

  「おい、おまえっ、なにやってんだっ。」

  赤星小学校のたぬきくんが、怒ったような、おどろいたような声を上げました。

  見ると、ペアを組んでいたとらくんが、パンツの下から抜き出した自分のおちんちんを触っているところでした。

  焼却係のとらくんは、いぬくんから、おちんちんをいじると気持ちがいいことを聞いて知っていましたから、この時、気持ちを解消する方法に思い至ったのです。

  「こうすると気持ちいいんだよ。」

  「そうじゃねえよっ。ちんぽいじったらだめなんだぞっ。」

  「うるさいな。」

  とらくんは、たぬきくんの体操ズボンに手を入れます。

  「おれが、やってやるから、だまって見てろよ。」

  「や、やめっ。脱がすんじゃねえよっ。」

  変な声を出し、たぬきくんは抵抗する素振りを見せましたが、ズボンの中でとらくんの手がもぞもぞと動かされるにつれ、抵抗する力が弱まっていきました。最後には、ズボンを脱がされるのを、されるがままに見ているだけでした。

  たぬきくんがはいていた立派なふんどしに、これまた立派なふくらみができていました。

  さすがにふんどしのひもをほどかれそうになると、

  「おい、やめろって言ってんだろっ!」

  と怒鳴り、とらくんの手をはねのけましたが、

  「それじゃあ、おれが先に脱いでやるよ。」

  と言ったとらくんが、自分からズボンとパンツを脱いでおちんちんをさらけ出したのを見て、おとなしくなりました。

  たぬきくんが気が付いた時には、もうふんどしがスルスルとほどかれ、立派なおちんちんがあらわになっていました。

  でっかい、と周囲で声が上がりました。みんなの視線が、たぬきくんのおちんちんに集まっていました。

  たぬきくんのおちんちん、というより、陰のうは、とらくんのそれよりも、はるかに大きく、子供たちはみんなおどろいていました。

  「おい、おまえらっ、見てんじゃ……あっ、な、なんだ、これ。あっ、ああっ。」

  たぬきくんが、鋭くとがらせた目でぐるりと周囲をにらみ、すごんで見せましたが、とらくんにおちんちんをこすられると、とたんに情けない顔になり、情けない声をひびかせてしまいました。

  「なんだ、これ、なんか、なんか、く、る、うっ、うおおおおっ!」

  キャンプファイヤーの炎に照らされながら、たぬきくんはものすごい量の液体をふんしゅつしました。

  暗がりでも見えるほど、また一番遠くの子にすら見えるほど、はっきりとした線を描き、たぬきくんの大きなおちんちんは、次々と、何度も、白くにごった液体を発射します。その勢いは、となりの緑風小学校の炎に届くほどでした。

  炎から一番近いところにいたので、たぬきくんから伸びる影は、はっきりしていました。その影にも、おちんちんが跳ねる様子と、勢いよく液体が放たれる様子が、はっきりと映っていました。

  味わったことがないほどの気持ちよさに、たぬきくんは、大股開きでしりもちをつき、へたり込んでしまいました。

  それでもそそり立ったまま、おちんちんはひくひくと動き続け、とろ、とろ、どく、どく、白い液体が流れ続けていました。

  それを見たいぬくんは、もうがまんができませんでした。

  見ると、あちこちで、相手のしっぽでなくおちんちんを触っている様子がうかがえました。

  それならと、いぬくんも、ろばくんのおちんちんに手を伸ばしました。

  お互いに、もうパンツから出していたこともあり、パンツを下ろすのに手間取りませんでした。

  炎を背にし、暗がりを見ながら、相手のおちんちんをこすり合います。

  被せていたシャツがびしょびしょに濡れるほど、おちんちんはぬるぬるでした。おちんちんがこすられるたび、くちゅくちゅと、音がします。

  「出るっ。」

  すぐに、いぬくんは出してしまいました。たぬきくんほどではありませんが、液体が飛んで落ちる様子が、影に映った足の間から見ることができました。

  (やっぱり、気持ちいいな。)

  いぬくんは、心の中に渦を巻いていた感情が、満たされていくのを感じました。やっとこさ、ハンバーグを食べることができたのです。一口ずつではなく、一個をまるごと。

  ですが、食べたばかりなのに、おいしそうなハンバーグが、また降ってきました。また、むくむくと欲求がふくれ上がってきました。

  その欲求を満たすように、ろばくんが、いぬくんのおちんちんをこすります。いいえ、おちんちんだけではありません。なんと、ろばくんは、しゃがみこんで、いぬくんのおちんちんとしっぽを、同時にこすり始めたのです。

  「んあんっ!」

  これには、いぬくんも、たまらず変な声を漏らしました。

  「お、おまえ、まだ出してないだろ。」

  腰が引けて変な姿勢になりながら、いぬくんは言います。

  自分だって出したいはずなのに、それでもいぬくんを気持ちよくしようとしているのですから。

  「いいから、だまってろって。」

  「いいからじゃない、よくない。おれ、おまえにも、気持ちよくなってもらいたいんだよ。」

  「じゃあ、あとでやってくれ。それでいいだろ?」

  いぬくんとろばくんがそんなやり取りをしている時でした。

  「き、きみたち、みんな、いったい、何を考えているのですか!」

  とつぜん、さるくんの声が、グラウンドにひびきました。

  「そんなところを触るなんて、許されませんよ!」

  いつものように、真面目くさった口ぶりで、大人の言いつけを破っている子供たち全員に、注意をしています。

  でも、その言葉には、何の説得力もありませんでした。

  ふだんなら、物知りでかしこいさるくんが注意をすれば、みんな、文句のひとつやふたつくらい出ることはありますが、だいたい、「はーい。」と素直に聞き入れます。

  しかし、今回は、だれも、それを聞き入れる気にはなりませんでした。

  不真面目になったわけではありませんよ。悪い子になったわけでもありません。

  あんな正しいことを言っているさるくんですが、まるでおしっこをがまんしているみたいに内股でモジモジして、プルプルと小刻みにふるえ、両手でおちんちんのふくらみを押さえているのです。

  それを見れば、だれだって、さるくんの言葉がうわべだけのものだということが、分かってしまいます。

  「しっぽをこすれって、自分が言ったじゃん。」

  と、三班のねずみくんが言います。ねずみくんは、この中ではかなり控えめなおちんちんを、さるくんに向かってこすって見せます。

  「そこは、しっぽではありません!」

  「前のしっぽだよ。」

  「ま、前のしっぽとは、なんですか! いいから、そこをいじるのを、やめるのです!」

  「そことか、そんなところって、なんだよ。はっきり言えよ。」

  「そこは、そこですっ。」

  「そこって、これだろ?」ねずみくんは、さるくんに、おちんちんを近づけながら言いました。

  「それです! いい加減、触るのをやめるのです!」さるくんは、逃げるように後ずさりしながら言いました。

  「だから、はっきり言えよ。これの名前をよ。」ねずみくんは、おちんちんの皮をむいて見せます。

  「そ、そ、それは……。」さるくんは口ごもります。

  「ほら、ここにもついてんじゃん。」ねずみくんが、さるくんのズボンに手を伸ばします。

  「や、やめ、触らないでくだ……あ、あっ!」

  さるくんの抵抗むなしく、ねずみくんの手は、体操ズボンの中に、するりと入っていきました。

  とたんに、さるくんの体から、力が抜けていきます。

  ねずみくんは、パンツごしにさるくんのおちんちんをいやらしくなでながら、ズボンを下ろしました。その時です。

  「んっ、ふっ!……うううっ!」

  とつぜん、パンツの生地から、大きな水玉が、飛び出してきました。

  パンツ中で、さるくんのおちんちんが、何度も大きく跳ね、それと同時に、白い液体が、ピュッと飛び出し、落ちていきます。

  さるくんは、軽くなでられただけで、発射してしまったのです。

  パンツにさえぎられたことで、液体は、勢いのある棒状でなく、まとまった球状になりましたから、地面に落ちるたび、ぼたっ、ぼたぼたっと、大きな音が立ちました。

  初めて発射したほかの子と同じように、さるくんも、あまりの気持ちよさに、ぺたりとしりもちをついて座り込んでしまいました。

  さるくんがはいていた黒色のブリーフは、自分の出した液体で、びしょびしょになっています。

  ねずみくんに体操ズボンを脱がしてもらい、ブリーフをめくったさるくんは、

  「な、なにこれぇ……。」

  と、戸惑いの声を上げました。

  それから自分のおちんちんを見て、びしょびしょのブリーフに触れ、べっとりと付着した液体を、つまみ上げます。それは、つまんでもくずれないほど濃厚でした。

  「こんなものが、ぼくのおちんちんから……。」

  「気持ちよかったろ?」

  ねずみくんが、さるくんに言います。

  「だからほら、おれのも、気持ちよくしてくれよ。」

  ねずみくんにおちんちんを差し出され、さるくんは、

  「あ、そう、ですね、ええ。」

  と、手を伸ばしかけ、

  「って、違います! なにを考えているのですか!」

  と、勢いよく立ち上がりました。

  「なんてことを……なんてことをしてくれたのですか!」

  一度発射して満足したさるくんは、怒るのを再開しました。

  ねずみくんが何を言っても、聞きません。

  周りではみんなおちんちんをこすり合って、甘い声で発射しているというのに、

  「こんなことが、先生たちに知られてしまえば、いったいどうなるか……。」

  さるくんだけが、素直になりません。

  「ここには、おれたちのほかにだれもいないぜ。」

  「ひゃっ。」

  さるくんの後ろから、今度は、うまくんがやってきて、さるくんのおちんちんを、わしづかみにしました。

  「そ、それは、そう、ですが……。でも、だめなものは、だめなのです……。」

  と、内またでモジモジしながら、言葉だけで抵抗する素振りを見せますが、おちんちんをもみもみされても、びしょ濡れのブリーフを裏返しに脱がされても、

  「なにをするのですかっ、やめてくださいっ!」

  と言うだけで、手で押し返したりすることも、身をよじったりすることもなく、とうとう、おちんちんが、あらわになってしまいました。

  さるくんのおちんちんは、ねずみくんのおちんちんよりも、さらにほんの少しだけ小さく、ビンビンになっても、そのほとんどが皮でおおわれていました。

  ですが、後ろからうまくんに皮をむかれて出てきた中身は、だれよりも清潔で、だれよりも鮮やかなピンク色をしていて、出したばかりの液体でコーティングされ、炎の色を美しく反射して輝いていました。

  うまくんにおちんちんをくちゅくちゅとこすられ、

  「んっ。」

  と、いったんは甘い声を上げましたが、

  「だめです、だめです、だめです……。」

  と、この期に及んでさるくんは嫌がります。

  本当に泣いてしまいそうな声なので、うまくんも思わずやめてしまいそうになりますが、さるくんがおちんちんで気持ちよくなりたいと思っているのはだれの目にも明らかなことなので、やめてあげたくない気持ちもあります。さて、困ったものです。

  「ねえ。」

  「ちょっと見てよ。」

  そんなさるくんに、声をかける二人の人物がいました。

  いぬくんとろばくんでした。

  二人は仲良く並んだままさるくんに近づき、

  「これならどう?」いぬくんはろばくんのおちんちんとしっぽを、

  「よく見ててよ。」ろばくんはいぬくんのおちんちんとしっぽを、それぞれこすり合います。

  それからくるりと炎に向かい、ほとんど二人同時に体液を発射して見せました。

  二人の放った液体は、炎に吸い込まれ、なくなってしまいました。

  「キャンプファイヤーももうすぐ終わりだからさ、火を消さなきゃいけないんだ。協力してよ。」

  と、焼却係のいぬくんは、そんなもっともらしいことを言ってみせます。

  「そうそう、消火活動だよ。」

  と言ったのはねずみくんです。ねずみくんは、似たような大きさのおちんちんをさるくんに近づけ、さるくんの手を取り、自分のおちんちんに導きます。それから、さるくんのしっぽに、優しく触れます。

  つまり、さるくんは、うまくんにおちんちんを、さるくんにしっぽを、それぞれこすってもらうことになります。

  「あっ、ああっ!」

  しっぽとおちんちんから同時に与えられる快感に、さるくんは声をがまんすることができません。

  「な、消火活動だから、いいだろ。」

  おちんちんを優しくこすりながら、うまくんはさるくんの耳にささやきます。

  「はっ、はぁっ、そ、そう、ですね、ええ、しょ、消火、活動なら、あんっ、し、しかた、ありません、ね、んんっ。」

  やっと、そう言ってくれたので、うまくんも、ねずみくんも、うれしくなって、おちんちんとしっぽをゴシゴシと強くこすってあげました。

  「んあああっ!」さるくんは叫びました。「なにこれ、なにこれぇっ! 気持ちいいっ、おちんちん、おちんちん気持ちいいっ! 気持ちいいよううううーっ!」

  ビューッ、ビューッ、ビューッ、さるくんは、甲高い声で叫びながら、たくさん、たくさん、発射しました。

  その様子を見ながら、いぬくんとろばくんも、お互いのしっぽとおちんちんを優しくこすり合いながら、静かに発射します。

  どこもかしこも、子供たちの放った液体のニオイでいっぱいです。

  閉め切った屋内でもないのに、濃厚なニオイは、なくなることはありません。

  だれも、おちんちんから出てくる液体の正体を知りません。

  でも、その液体が、気持ちよくなった結果出てくるものだということは分かるので、そのニオイを嗅ぐと、なんだか、おちんちんが、ウズウズしてくるのです。

  それで、さらにたくさん発射される液体のおかげで、屋外だというのに、ニオイは消えるどころか、もっともっと濃厚になっていくのです。

  あれだけ嫌がっていたさるくんも、もちろん消火活動という言い訳を得ることができたというのも大きいですが、その濃厚なニオイのおかげで、素直になることができました。

  「お、大きい……。」

  さるくんが、自分だけでなく、ほかの子のおちんちんを気持ちよくする番だと、うまくんのおちんちんに手を伸ばしたところ、その大きさにびっくりしました。

  うまくんのおちんちんは、子供たちの中で一番の長さで、太さだって、さるくんがにぎろうとしても、指と指がくっつかないほどありました。

  それで、さるくんは、ねずみくんと協力して、二人がかりでうまくんのおちんちんを、こすってあげました。

  うまくんも、さるくんとねずみくん、二人のおちんちんを、お返しにこすってあげます。

  うまくんの陰のうは、たぬきくんほどの大きさではありませんでしたが、発射の勢いは、もしかすると一番かもしれません。

  「うううううううううっ!」

  かわいらしいうなり声と共に飛び出した精液は、なんと、しっかりと組んだキャンプファイヤーの炎の高さをゆうに超えたのです。これが室内なら、天井まで飛んでいたことでしょう。

  高くふき上がった液体は、まるで夕立が始まる瞬間のような、ポタポタ、パタタ、という音とともに、勢いをともなって、地面に降り注ぎます。

  炎の向かいにいた子供たちは、それをたくさん浴びてしまいました。

  うまくんのすごすぎる発射を目の当たりにして、子供たちはこぞって飛ばした体液の高さを競うようになりました。

  みんな、おちんちんを上に向けて、どれだけ高く飛ばせるか、試しました。

  上に飛ぶものですから、ほかの子にかかってしまうことも多いですが、頭にかかっても、服にかかっても、顔にかかっても、気にする子はいませんでした。それどころか、顔についたものをなめてきれいにしてあげる微笑ましい様子も見られました。

  服にかかるのなら、いっそ脱いでしまえばいいと、そう思ったのかは定かではありませんが、下だけを脱ぎ捨てる子もいれば、上も下も全部脱いですっぽんぽんになる子もいました。

  高さ勝負が始まって、子供たちは、ペアではなく、自分でおちんちんをいじることが多くなりました。

  そのぶん、いろいろな子のところに行って、勝負をしかけるようになります。

  たぬきくんなんて、はだかのままぶんぶんとおちんちんを左右に振り回しながら、ライバルのおおかみくんのところにやって来て、

  「見ろ、これがおれの力だっ。」

  と、濃厚で大量の精液が高くふき上がる様子を、勝ちほこった顔で見せ付けました。

  おおかみくんも、対抗するように思いっきり発射をしてみせましたが、量も、勢いも、高さも、たぬきくんに勝つことはできませんでした。

  こんなふうに、あちこちで勝負がくり広げられていましたが、いぬくんは、違いました。

  いぬくんは、他校のやぎくんのおちんちんをいじってあげていたろばくんを見つけ、

  「なあ、おれのちんこ、いじってくれよ。」

  と、お願いをしました。

  「いいけど、どうした?」

  と、ろばくんは、やぎくんのおちんちんをこすりながら、たずねます。

  いぬくんは、ちょっと恥ずかしそうにほっぺたをかきながら、

  「いや、おれさ、自分でやるより、おまえにやってもらう方が、気持ちいいから。」

  と言いました。

  「ふうん。」

  ろばくんは、少しだけ首をかしげましたが、

  「まあ、いいよ。」

  と、いぬくんのおちんちんに手を伸ばしました。

  「あー……気持ちいいー……。」

  やっぱり、どうしてなのか分かりませんが、自分でするより、おちんちんの気持ちよさが違います。

  いぬくんは、おちんちんの奥でムズムズする喜びの感覚に、ひたりました。

  もちろんやってもらうばかりではありませんよ。いぬくんも、ちゃんと、ろばくんのおちんちんをいじってあげています。

  反対側にいるやぎくんも、ろばくんにおちんちんをいじってもらいながら、ろばくんのおちんちんをにぎって、たどたどしく動かしていました。

  ろばくんのおちんちんも、うまくんには及びませんが、かなり大きいので、二人でにぎるくらいがちょうどいいかもしれません。

  緑風小学校のやぎくんは、いぬくんと同じ焼却係です。

  「おまえも、どうしたんだよ?」

  そのやぎくんに、いぬくんはたずねました。

  すると、やぎくんは、恥ずかしそうにうつむきながら、ぽつりぽつり、とぎれとぎれに説明してくれました。

  それをまとめると、どうやら、やぎくんは、ほかの子に声をかけることができず、一人でおちんちんをいじっていたところ、それを案じたろばくんに声をかけられ、優しくいじってもらっていたのだそうです。

  「一人でするより、ずっとずっと、気持ちよかった。」

  周囲の甘い声にかき消されそうなほど小さな声で、やぎくんは、恥ずかしそうに言いました。

  「な、やっぱり一人よりもいいよなっ。」

  いぬくんがそう言って笑いかけると、やぎくんは、目をぱちぱちさせたあと、うつむきながら、

  「んっ。」

  と、かわいらしい小さな声とともに、発射しました。

  かわいらしいとは言いましたが、発射の勢いはなかなかのもので、おちんちんの跳ね方も、にぎっていたろばくんの指を弾いて飛び出すほど、元気なものでした。

  「おー、いっぱい出すじゃん。よーし、おれもっ。」

  いぬくんは、腰をつき出し、おちんちんがほぼ真上を向くようにします。これでにぎりやすくなり、ろばくんは、いぬくんのおちんちんを、勢いよくこすってあげました。

  友達の手が、自分のおちんちんをにぎっている。

  それも、一生けんめいに。

  ろばくんの手は、いぬくんのおちんちんについていた液体でびしょびしょです。

  そのびしょびしょの手が、くちゅ、ちゅ、にちゅ、上に、下に、皮をずらし、気持ちよくしてくれている。

  おしっこが出る穴としか認識していなかったところから、気持ちのいい液体を、出させてくれようとしている。

  うれしくてうれしくて、いぬくんのおちんちんの奥が、たまらなくきゅんきゅんしました。

  「やばい、めちゃくちゃ気持ちいいっ。出る、出るっ、もう出るっ!」

  いぬくんは、そのきゅんきゅんが、一気に破裂するのを感じました。

  「うあーーーーっ!」

  いぬくんのおちんちんから、今までにないほど勢いのある液体が、ビュッなんて生易しいものでなく、ブシューッ、ブシューッ、と、何度も何度もふき上がりました。

  炎に向かって発射したわけではなかったので、それに気がつく子はいませんでしたが、今回いぬくんが飛ばした液体は、実は、子供たちの誰よりも、もちろん、たぬきくんやうまくんのものよりも、高く飛びました。

  その液体は、遠くにいるさるくんの頭にまで飛んでいきましたが、さるくんは、それに気づくことなく、ねずみくんのおちんちんと自分のおちんちんを勢いよくこすり続け、消火、消火、と言い訳しながら、必死に発射していました。

  「あー、最っ高ー!」

  これだけ高く飛ばすことができて、いぬくんは大満足です。

  一人ではこうはいきません。せいぜい、今の半分くらいの高さというところです。

  ろばくんにやってもらったから、こんなに気持ちよく飛ばすことができたのです。

  「満足するまでやってやるからな。」

  ろばくんは、そう言って、また、いぬくんのおちんちんをこすります。

  「ほんと、いいやつだな、おまえ。」

  いぬくんがろばくんに言うと、ろばくんは、

  「べつに。」

  と、照れたように顔を背けました。

  反対側では、やぎくんが、ろばくんのおちんちんを両手でこすっています。一生けんめいな顔からは、せいいっぱいお返しをしようという気持ちが、見て取れます。

  やぎくんが両手でにぎっているので、いぬくんは、おちんちんをにぎることができません。

  それで、右手はしっぽをこすり、左手は自分のおちんちん、つまり、おちんちんをにぎってくれているろばくんの手に、重ねました。

  ろばくんと目が合いました。

  一秒ほどでしょうか、お互いの目と目を見つめたあと、二人同時に下を見ます。

  そして、二人同時に、手を動かし始めました。

  やぎくんの必死な手つきで、ろばくんは程なく発射しました。

  量と勢いは、今回のいぬくんには及ばなかったものの、今日ろばくんが出した中では最大でした。

  その理由は、やぎくんのがんばりのおかげでもありますが、本当のところはそうでないことを、ろばくんは気づいていました。

  ですが、それを口に出すことも、相手に確認することも、しないでおきました。

  それから、三人仲良く一回ずつ発射して、ほかの子のところに混ざりに行きました。

  いぬくん以外には、なかなか自分からコミュニケーションを取りに行くことをしないろばくんも、この時ばかりは積極的にほかの子に声をかけ、時には白い液体をかけました。

  もはや、学校の垣根はありません。仲良く並んで、仲良くおちんちんをいじり合って、笑い合いました。

  言い訳であった消火活動を白い液体で行うことはできませんでしたが、最後には、おしっこによる消火が始まり、あれだけ大きかった炎は、子供たち全員の力で、本当に消えてしまいました。

  へとへとになった子供たちは、みんなはだかのまま、仲良く大浴場に向かいました。

  べとべとになった服や体を洗うのに骨が折れたことは、言うまでもありません。

  [newpage]

  

  さて、あんなことがあった翌日、子供たちの行動が大胆になってしまったかというと、そうではありませんでした。

  「あれはおかしなことでした。」

  と、さるくんは真面目くさった顔で言いました。

  「とにかく、あんなことはもう絶対にしてはいけません。」

  と、さるくんは真剣な顔で三校の子供たち全員に言いました。

  反対の声を上げる子は、いませんでした。

  さるくんの言うように、だれもが、あれはおかしなことだったと感じていたのです。

  でも、反対しなかったからといって、言いつけを守るかどうかは別の話です。

  「おれさ、気づいたんだよ。」

  焼却係の活動中、落ち葉を集めながら、いぬくんは、とらくんに言います。

  「なにに?」

  とらくんは首をかしげてたずねますが、

  「口に出しちまえばいいんだ。」

  いぬくんはそう答えましたが、

  「口? どういう意味だよ?」

  とらくんには理解ができませんでした。それで、いぬくんは、

  「ちょっと、ついてこいよ」

  と、とらくんを、林の奥に連れていきます。

  「口に出しちゃえばいいんだよ。」

  ところが、そこには先客がいました。

  いぬくんととらくんは、あわてて木の陰に隠れます。

  「そうすれば、バレないよ。」

  その声はやぎくんでした。

  (あいつ、落ち葉集めをサボって何やってんだ。)

  疑問に思った二人は、木の幹、それぞれ右と左から、にゅっと首を伸ばしました。

  そうして様子を見てみると、やぎくんは、ひざをついて、ろばくんを見上げていました。

  いいえ、それだけではありません。

  なんとやぎくんは、その手にろばくんのおちんちんをにぎっていたではありませんか!

  それから何をするかと思えば、やぎくんは、にょっきり伸びたろばくんのおちんちんを、口に含んだのです。

  ろばくんのおちんちんは、子供たちの中でも指折りの大きさです。いっぱいまで口を開けて、やっと入るくらいです。

  それをほおばるやぎくんの顔は、とても苦しそうでしたが、どことなく、うれしさのような表情も見え、

  「んっ、んっ、ふっ……。」

  と、甘い声で口を前後させ、おちんちんに快感を与えています。

  いくらもたたないうちに、ろばくんは、

  「出る、ぞ……。」

  と言って、そのまま、やぎくんの口の中に発射しました。

  やぎくんの口の中で、びくん、びくん、びくん、とおちんちんが跳ねます。

  それから一度、粘りのある水音がして、ぱさ、ぱささ、と落ち葉に液体がしたたりおちる音がしました。

  さらに、ごくっ、という大きな音が、遠くでのぞき見をしている二人の耳にまで届きました。

  その音の正体を想像し、二人は同じようにごくりとつばを飲みました。

  一度こぼしてしまった以外は、んく、んく、んく、と声とも吐息ともつかない音を立て、やぎくんは、ろばくんのおちんちんから飛び出す液体を、こぼさず飲み干しました。

  口をはなしたやぎくんは、ふう、と大きく息を吐きます。

  「うまく飲みこめなかったな。あんなに、イメトレしたのに……。」

  残念そうにそう言って、びしょびしょにぬれたあごを手でぬぐい、ぺろぺろとなめました。

  「悪い。」

  ろばくんは、やぎくんの口を汚してしまったことを謝りましたが、やぎくんは、

  「ぜんぜん!」

  と、大げさに手と顔をぷるぷる振って、

  「おいしかったよ。それに、うれしかった。」

  と言いました。

  「こっちに水道あるから洗わなきゃ。」

  ろばくんは、そう言って、林のさらに奥に、やぎくんを連れて行きました。

  残されたいぬくんととらくんは、しばらくそのまま動けませんでしたが、やがて、どちらからともなく向かい合い、無言でおちんちんをしゃぶり合いました。

  やぎくんのように、二人とも、口の中に放たれる大量の液体をこぼさず飲み込むことはできませんでしたが、落ち葉の上にしたたり落ちたところで、それを燃やしてしまえば問題ありません。

  そうやって集めた落ち葉を持って、無言のまま戻りました。

  のぞき見を始めて以降、二人の間で交わされた会話といえば、

  「口に出しちまえばいいって、こういうこと?」

  「うん。」

  というものだけでした。

  焼却炉に帰ってみると、前日と比べて明らかに多い量のゴミが集められていました。その袋のほとんどから、あの液体のニオイが漂っていました。

  それらを燃やしていると、

  「ごめん、遅くなって。」

  と、申し訳がなさそうな、それと同時にちょっと満足げにも見える表情を浮かべたやぎくんが、今となっては使わなくてもいい落ち葉を手に帰ってきました。

  焼却係の仕事を終わらせたあと、いぬくんととらくんは、やぎくんを林に連れこみ、いっぱい、いっぱい、おちんちんをかわいがってあげました。

  やぎくんの発射の勢いを知らなかったとらくんは、口の中に強烈に飛び込む発射にむせてしまい、両方の鼻から白い液体が出てきてしまいました。

  いぬくんは笑いながら、それをぺろぺろとなめてあげました。

  最初こそやぎくんへのお仕置きみたいな位置づけだった行為でしたが、最後の方になると、仲良くおちんちんをくっつけ合って、三人で一緒にこすり合うほほえましいものになっていました。

  こうした行為をしていたのは彼らだけではありません。

  ねこくんも、ねずみくんも、おおかみくんも、くまくんも、うしくんも、ぶたくんも、うまくんも、しかくんも、みんな、だれかを誘ったり、誘われたり、ほかの学校の子に混じったりして、こそこそと、おちんちんをいじって、気持ちよくなっていました。

  それどころか、あんなことはもう絶対にしてはいけませんなどと言っていたさるくんでさえ、だれよりも早く洗濯係の仕事を始めるふりをして、こっそり班員の下着を嗅ぎながらおちんちんをこすり、班員の下着のかたまりの中に発射をしていました。

  すぐさま洗濯することで隠していましたが、いぬくんやおおかみくんみたいに鼻がいい子には、すました顔をして口うるさく注意をしているその時だって、股間からニオイを漂わせているのが、バレバレなのです。

  このように、全員が大胆な行動をすることはありませんでしたが、陰では変わらず何かしらの行為が行われていました。

  こっそりと、ほかの子にバレないように。

  でも、最終日の十四日目、合宿最後の日をしめくくるキャンプファイヤーの時には、もちろん、一回目の時と同じように、おちんちんのいじり合いや、飛ばし合いが行われました。

  一回目と違っていたのは、多くの子が相手のおちんちんをなめてあげたり、口の中に出したり、最初から相手に向かって発射したりしたことです。

  さるくんは、相変わらず最初は抵抗していましたが、ねずみくんにおちんちんをしゃぶられ、あっという間に発射してからは、また、前回のように素直になり、最後の方になると、自分から、だれかのおちんちんをしゃぶりに行っていました。

  たぬきくんによく意地悪をされるきつねくんは、ちょっと強引気味に口に出され、顔も体も、それどころか頭までべとべとになって困っていましたが、たぬきくんのライバルであるおおかみくんが助けに入ってくれて、代わりにたぬきくんのおちんちんをなめ始めたので、きつねくんは、おおかみくんへのお返しに、おちんちんをしゃぶってあげました。

  だれもがみんな、体じゅうをべとべとにしていました。

  季節は冬が終わって間がない春です。気温は夏には及ばないどころか、夜には冷え込みに気を付けなければならないほどです。

  ですが、体が濡れても、キャンプファイヤーの炎は、最後まで子供たちの体を温めてくれました。

  子供たちは、だれ一人体調を崩すことなく、最後の夜を、すっきりした気持ちで迎えることができました。

  こうして、子供たちだけで行われる初めての合宿、〝エストレイン・キャンプ〟は終わりを告げます。

  子供たちは、無事にやり遂げることができた喜びと自信で、一回り大きくなった気持ちでした。

  迎えのバスに乗りながら、早く家族や先生に会いたくて、たまりませんでした。

  [newpage]

  

  合宿が終わってからの日々ですが、意外なことに、だれも、なにも言いませんでした。

  先生も、各班の写真係がまとめた日誌を見て、時おり涙ぐみながら、うんうんと感動していましたが、合宿中の出来事について、そんなに多くたずねてくることはありませんでした。

  発情のことについて何かをたずねられることもなければ、反対に、何かを教えてもらうこともありませんでした。

  先生は、子供たちが何をしていたのか、知らないのです。

  それならと、子供たちは、申し合わせることもなく、内緒にしようと全員が心に決めました。

  まるで、あんなことは最初から起きなかったのだと思ってしまいそうになるほど、合宿のことを言いませんでした。

  女子も女子で同じような空気でしたから、たぶん、あっちもあっちで何かがあったんだろうなと、男子たちは思いました。

  本当に不思議な感覚でした。合宿中はあんなにおちんちんのことばかり考えていたのに、合宿が終わったとたん、おちんちんのことが気にならなくなったのです。

  体育の着替えの時に、おちんちんのふくらみを見て、ほんの少しドキドキすることはあっても、いじってあげたいとか、いじってもらいたいとか、思うことはありませんでした。

  季節が進み、夏になって、水着に着替える時に、ぶるんとゆれるおちんちんを見た時でさえ、のどの奥から、それを求めるような感情がわずかにこみ上げてはきたものの、実行に移すほど強いものではありませんでした。

  学校にいる時だけでなく、例えば、友達の家にいる時でも、何かが起きることはありませんでした。

  出生率が高いこの街では、どこの家も家族が多いという理由ももちろんありますが、たまたま家族が少なく、チャンスができたとしても、せいぜい一人でおちんちんをいじって楽しむくらいで、だれかと一緒にそれをすることはありませんでした。

  それは、いぬくんとろばくんだって同じでした。

  近所同士の二人は、よくお互いの家を行き来して、漫画の貸し借りをしたり、ゲームをしたりする仲です。

  それどころか、プールにも行くし、銭湯にもたまに行きます。はだかなんて、これまでに飽きるほど見ています。

  そんな二人なら、こっそり、家では無理でも、どこか人目につかない場所を見つけ、おちんちんをしゃぶり合うことくらいはするのではないでしょうか。

  でも、そうはなりませんでした。

  いぬくんにとっては不思議という表現しか使うことができないほど、おちんちんへの執着が薄れていたのです。

  合宿中は、毎朝おちんちんが大きくなる現象が起きていましたが、合宿が終わってからは、それがなくなりました。

  もちろん、いじれば大きくなるし、こすれば気持ちいいのは変わりませんが、合宿の時のように、それをしたくてしたくてたまらなくなるということが、めっきりなくなったのです。

  あんなに気持ちよかったのに。

  あんなに楽しかったのに。

  あんなにうれしかったのに。

  どうして何も感じなくなったのか、分かりませんでした。

  それどころか、こうして合宿前と同じ日常に戻って冷静に考えてみると、狂ったようにおちんちんを求めていたことが、とても恥ずかしいことのように思えてならなくなったのです。

  そんな気持ちでは、

  「口に出しちまえばバレないんだ。」

  なんて、とても言うことはできません。

  ですが、合宿前と同じ日常の中に、変わったことが、ひとつだけあります。

  「あ。」

  「あ。」

  それは、漫画の交換をした時のことです。

  いぬくんが差し出した週刊誌を、ろばくんが受け取った時、いぬくんの手が、ろばくんの手に触れました。

  その瞬間、合宿中に起きた出来事が、いぬくんの頭に鮮明に浮かんできました。

  二人並んで、お互いのおちんちんとしっぽをこすり合っている光景。

  ろばくんがいぬくんのおちんちんをにぎっている光景。

  そのろばくんの手に、いぬくんが手を重ね、二人で一緒に、おちんちんをこすっている光景。

  どくんと、心臓が大きく動いた気がしました。

  二人はしばらくのあいだ手を触れ合わせていましたが、二人同時に、ハッと我に返って、パッと手を離しました。

  それから、何事もなかったかのように、週刊誌と単行本を交換し、読みふけりました。

  まるで、今起きた感情の変化から逃げるように。

  子供だって、大人だって、説明のできない事象はおそろしいものです。

  だれだって、本当は満足していないと思いながら、現状が最良であると、無意識に思いこんでいます。

  その現状が大きく変化してしまうかもしれない行動は、そうそう、起こすことはできません。

  でも、大丈夫。いぬくんも、ろばくんも、強い子です。

  今は逃げていますが、そのおそろしいものに、いつかきちんと向き合います。

  そのいつかがいつなのか、気になりますか?

  そんなに遅くはありません。もうすぐですよ。

  そのもうすぐがいつなのか、気になりますよね?

  それは、次の〝エストレイン・キャンプ〟です。

  さて、もしこれを読んでいるあなたが彼らと同じ年代であれば、ここから先を読むのは、秋になるまで待ってください。

  もし、あなたが彼らより年上であれば、このまま読んでください。

  もし、彼らよりも年下であれば、悪いことは言いません、見なかったことにして、後戻りしてください。

  世の中には、知るべきこと、知るべきではないことがあります。

  また、知るべきことでも、時期が来るまでは、知らないほうがいいということもあります。

  [newpage]

  

  「それでは、外に出ましょう。けっして、走っては、だめですよ。転んでけがをしてしまったら、せっかくの合宿に、行けなくなりますからね。」

  先生の合図で、子供たちはいっせいに教室を飛び出して校庭に向かいます。

  待ちに待った合宿が、やっと始まるのです。

  合宿の班分けは、春と同じでした。

  先生は、メンバーを変えることを[[rb:推奨 > すいしょう]]していましたが、子供たちは、全員、同じがいいと言いました。

  だれ一人として反対意見がないというのも面白い話ですね。子供たちも、みんな不思議がっていました。

  そういうわけで、子供たちは、春と同じメンバーで、合宿の準備にかかりました。といっても、事前に準備することといったら、献立を考えておくくらいのものです。

  献立係のろばくんを中心に、念入りに念入りに二週間ぶんの献立を考えました。

  前回は、最後の方になると、食材の残りがかたよりすぎて、最初と同じ品質の料理を用意することができず、悔しい思いをしましたからね。おっと、事前準備といえるかは分かりませんが、写真係のおおかみくんも、こっそりインスタントカメラのフィルムを余分にカバンに忍ばせていました。前回は、慎重に撮影したつもりだったのに、最後にはフィルムが足り苦しくなって、満足が行くまで撮影ができず、悔しい思いをしましたからね。

  前回だって、みんな元気に帰ってくることができたので、成功を通り越して大成功といっていいでしょう。

  ですが今回は、前回よりももっとうまくできる。そうしたら、大成功を通り越して超成功になるのでしょうか。

  忘れ物はありません。ちゃんと二週間分の新しいお薬をもらいましたし、着替えだってしっかり用意しています。

  パジャマも、タオルも、歯ブラシも、歯磨き粉も、山歩き用の靴も、軍手も、ちゃんと持ってきています。

  大丈夫、ぜったい、うまくいく。

  子供たちは、バスの外を流れていく景色をながめ、今か今かと到着を待ちながら、そう確信していました。

  そしてそれは事実となります。子供はこうやって成長していくのです。

  「そ、それじゃ、ガキんちょども、達者でな。」

  目的地に到着すると、くろひょうの運転手さんは、どことなくソワソワした様子で、空っぽのバスを運転して帰っていきました。

  「よう、また会ったな!」

  今回は、赤星小学校の方が早くに来ていたようで、たぬきくんが、うで組みをして待っていました。

  以前と同じ風格のたぬきくんは、やはり、ジャージを脱いでいましたが、ゼッケンには、真新しい「3」が書かれてあり、サイズだってピッタリで、でべそが見えることもありませんでした。春から今回までのあいだに買い替えたのですね。

  おおかみくんが前に出て、たぬきくんと握手をします。

  それから、緑風小学校の子供たちがやってきた後、体育館で入所式を行いました。

  こうして、子供たちだけの合宿が、〝エストレイン・キャンプ〟が、再び始まりました。

  前回同様に、全体で行うレクリエーション以外は班単位で行動します。

  今回も、いぬくんがいる班を追いかけることにしますが、そうですね、どうせですから、ろばくんを主に追いかけることにしましょう。

  [newpage]

  

  前回よりもうまくできる。子供はこうやって成長していくと言いましたが、それは、悪知恵の方にも適用されます。

  持ってくる遊び道具で許されているのはトランプくらいですが、トランプの箱の中に、トレーディングカードを忍ばせて持ち込む子がちらほらいました。

  この街でも、トレカは子供のあこがれの的です。合宿一日目は、トレカを持っている子に大勢が群がってワイワイしたり、それぞれの学校対抗のトレカ大会が開催されたりして終わりました。

  二日目も、あいにくの雨により、予定を早めて木工のレクリエーションに一日を費やしたので、特に大きな出来事が起きる事はありませんでした。

  いつも声が大きいたぬきくんが、得意の木材加工に集中していたからでもあるでしょうか。

  たぬきくんが作った木彫りの[[rb:鯉 > こい]]は、おおかみくんが思わず貴重なフィルムを使って撮影してしまうほど素晴らしいものでした。

  変化があったのは三日目です。

  朝 目を覚ましたろばくんは、おちんちんが大きくなっていることに気が付きました。

  (やっぱり来たか……。)

  ろばくんは、心の中でつぶやきました。

  前回も、これが起きたのは三日目でした。

  ろばくんが山に入っておちんちんをいじったのは二日目でしたが、自分でいじることなく、勝手に大きくなったのは、三日目からだったと記憶しています。

  そっと起きてベッドを下りたろばくんは、二段ベッドの上で寝ているいぬくんを見てみます。

  いぬくんはちょうどあお向けに寝ていたので、おちんちんによるものと思われる大きなふくらみが、よく見えました。

  しばらくすると、ろばくんのおちんちんはしぼんでいったので、ろばくんは、音をたてないように教室を出て、トイレに行きました。

  トイレから帰ると、数人の子が、ちらほらと目を覚まして体を起こしていました。

  ねこくんも、くまくんも、大きくなった自分のおちんちんを不思議そうに見ていましたが、ろばくんと同じように、しばらくすると元の大きさに戻ったようでした。

  おかしな空気だとろばくんは思いました。

  みんな、前回の合宿で起きたことを覚えているはずです。

  でも、だれもあんな行動を起こそうとしていません。

  おかしな空気というのは、だれもがあんな行動を起こしたがっているのが雰囲気で分かるのに、それでも、だれもそれをしようとしないところです。

  口うるさいさるくんがいるからでしょうか?

  いったん日常に戻ったことで、気持ちがリセットされてしまったからでしょうか?

  ろばくんには分かりません。

  「み、みんな、何をしているのですか。さあ、起きましょう。」

  さるくんが言いました。さるくんもおちんちんが大きくなっている様子で、少し前かがみになって、おちんちんを押さえたまま、スタスタと歩いて教室を出ていきました。

  様子がおかしかったのは、ほかの学校の子供たちもでした。

  家庭科室で朝ごはんを作っている時も、食べている時も、みんな、ソワソワと落ち着きのない様子でした。

  そんな中、ろばくんだけが冷静でした。いえ、探せばもっといたかもしれませんが、ろばくんには、そう見えました。

  (もしかして、前回もそうだったのかな。)

  と、ろばくんは思いました。二回目だからそれに気付けただけで、ほかの子はみんな、ろばくんが気づかなかっただけで、最初の方から、ソワソワしていたのかもしれないと。

  それで、ろばくんは、体育館への道すがら、小声でいぬくんにたずねました。

  「なあ、前のときもそうだった?」

  なにが、とはあえて言いませんでしたが、いぬくんは、こくりと一度うなずいて、

  「うん。」

  と答えました。前回も同じだったけど、あの時は、すでにろばくんにやり方を教わっていましたから、こっそり隠れておちんちんをいじっていました。

  「たぶん、同じだった。」

  そう言ったのは、二人の会話が聞こえてるところを歩いていたおおかみくんです。

  おおかみくんの答えは、いぬくんと違い、確信は持てないあいまいなものでした。

  それもそのはず、おおかみくんはおちんちんをいじることを知らなかったからです。

  「三日目はそんなでもなかったけど、日に日に落ち着かなくなってきた。」

  それで、七日目のキャンプファイヤーで方法を知って、求めていたものはこれなんだと気が付きました。

  それを聞いて、ろばくんはだまりこみました。

  だって、ろばくんは、周りと同じようなソワソワが起きなかったからです。

  おちんちんをいじるのは気持ちいいけど、したくてしたくてたまらないという激しい感情は、実はろばくんには起きていなかったのです。

  それでろばくんは、もちろん彼の優しい気質によるものでもあるのですが、自分のおちんちんよりも、いぬくんや他校のやぎくんのおちんちんを優先して思いやることができたといえるのです。

  (いったいどういうことだろう。どうして、おれだけ。)

  疑問は深まりますが、自分だけが違うということは、言わないに越したことはありません。

  その理由については、あなたたちも、おそらく四年生で習うことになると思いますので、ここでは言わないでおきますが、けっして、ろばくんがおかしいわけではないということを言っておきます。そして、もちろん、ろばくん以外の全員がおかしくなっているわけではないということも。

  さて、体育館に行ったのは、スポーツ大会をするからです。

  内容は、もちろんドッジボールです。

  ……と言いたいところですが、いえ、ドッジボールではあるのですが、いくぶん、おかしなルールになりました。

  真っ先に体育館に向かった赤星小学校のたぬきくんが、ボールを片手に背を向けています。

  まさに、無言でたたずむ、強者の風ぼうです。

  たぬきくんは、鋭く細めた目を少しだけ見せるように振り返りながら、口を開きます。

  何となく、今回も、たぬきくん対全員みたいなルールになるのかなとだれもが思いましたが、

  「大乱戦だ。」

  たぬきくんの口から出たのは意外なものでした。

  敵味方関係なく、自分以外は全部敵。当てられてもアウトにはならず、五分間すみっこの方でおとなしくする。

  大乱戦というひびきのわりに、ずいぶんと平和なルールではないでしょうか。

  ですが、もちろんそれで終わりではありません。

  「当てられたやつは、一枚ずつ服を脱いでいく。」

  なんと、たぬきくんは、こんなおどろきのルールを追加したのです。

  それでも、子供たちはみんなジャージを着ているのに、たぬきくんはジャージを着ていません。これがハンデなのです。

  「面白そうだろ? さあ、文句あるやつはいるか? いなけりゃ、さっさとおっ始めようぜ。」

  たぬきくんは、持っていたボールを思い切り上に向かって投げました。

  もちろんだれかを狙ったボールではありません。これは、サービスボールです。

  ですが、それを拾おうとする子もまたいませんでした。

  ボールは、てんっ、ぽてんっ、ぽてん、ぽてん、てん、ぽて、ぽて、ぽて、てってってってってててて……、だれにも拾われることなく、動きを止めてしまいました。

  みんな気が付いているからです。もしたぬきくんを狙えば、そのボールは高確率で受け止められ、逆に当て返されるということに。

  もし当てられれば、服を脱がなければなりません。そんなの、だれだってこわいに決まっています。

  そうなりたくなければ、たぬきくん以外を狙うしかありません。

  それはそれで、うらみを買うのもいやですし、もしだれかがそれを始めれば、たぬきくんが言ったように、大乱戦が始まってしまいます。

  その火ぶたを切る役には、だれだってなりたくはありません。

  「どうしたあ? どいつもこいつも、おじけづいたかあ?」

  たぬきくんは、ニヤニヤしながら言います。

  やっぱりたぬきくんはいじわるだと、ほとんどの子が思いました。

  「だれも拾わねえなら、おれが、拾っちまうぞお。」

  たぬきくんが、のしのしと、歩き始めたその時です。

  ころころと転がるボールを拾う人物がいました。

  「へへ。やっぱり、おまえなら、拾ってくれると思ったぜ。」

  それは、たぬきくんのライバルのおおかみくんでした。

  クールにボールを拾い上げたおおかみくんは、たぬきくんからある程度の距離を取りました。

  別に、ルール的には、目の前まで近づいて投げてもいいはずです。

  それなのに、おおかみくんは、普通のドッジボールと同じくらいまで離れて、ボールを投げようとしたのです。

  正々堂々、男同士の真剣勝負でした。

  「いくぜ。」

  おおかみくんは、春の合宿の後、ボールを投げる練習をしてきました。

  次の合宿でも、必ずたぬきくんと再戦することになると確信していたからです。

  今度は、不意打ちでなく、自分自身の力を惜しみなくぶつけ、それで勝ちたい。そう思っていたのです。

  おおかみくんは、ボールを持つうでを、大きく振りかぶりました。努力の結果が、今ここに!

  「来いっ!」

  たぬきくんが、おすもうさんみたいに姿勢を低くして構えます。

  おおかみくんの全力投球は、それこそ、春合宿で見たたぬきくんの剛速球のようでした。

  目で追うのもやっとのスピードで、まっすぐたぬきくんに向かいます。

  両手を構えるたぬきくんの体の中心に向かって。そして!

  体育館に、激しい音がひびきました。

  バァンと、一回。

  ボールが、たぬきくんの胸に、当たる音でした。

  音は、その一回きりでした。

  ボールが床に落ちる音は、聞こえません。

  たぬきくんは、ものすごい衝撃を受けながらも、こんしんの投球を、受け止めたのです。

  「まじかよ。」

  これには、おおかみくんもおどろきでした。

  「すげえ球だな。やっぱり、最高だぜ。」

  たぬきくんは、心底うれしそうに笑いながら、言いました。

  今度は、たぬきくんの番でした。

  おおかみくんも真剣に受け止めようとしましたが、たぬきくんの投球は、前回よりも、もっと早くなっていて、受け止めそこなってしまいました。

  「おまえ、強すぎ。」

  「今回は、おれの勝ちだな。次も、楽しみにしてるぜ。」

  おおかみくんは、ジャージの上着を脱ぎながら、体育館のすみっこに歩いて行きました。

  残る子供たちが、息をのみます。

  だって、おおかみくんに当たって跳ね返ったボールを、たぬきくんが手にしたからです。

  「そうらっ。」

  「わっ!」

  たぬきくんは、まっさきに、きつねくんを狙いました。

  受け止めようと構えることもできないまま、ボールを当てられたきつねくんは、

  「ひどいよう。」

  と、悲しそうな顔でたぬきくんに言いました。

  「こんぐれえの球で、泣き言たれてんじゃねえ。油断してる方が悪いんだよっ。」

  油断していたのは本当です。なぜなら、たぬきくんときつねくんは同じ学校だったからです。

  それを、まっさきに狙って見せたのは、同じ学校だからといって、えんりょする必要なんてないということを、自分からほかの学校に示すためだったのかもしれません。

  これで、ようやく、異例のドッジボールが本格的に始まりました。

  始めこそ、ほかの子を狙いたくない子がたぬきくんを狙う場面も多く、それに乗っかって、みんなでたぬきくんを狙う流れにもなったのですが、

  「わっはっは、逃げろ逃げろ! おれに当てられたくなけりゃ、ほかのやつを狙いなっ。」

  たぬきくんは、やはり、強すぎました。余裕な顔で笑いながら、次々と、手当たり次第にボールを当てていきます。

  一枚、二枚、三枚と、服を脱がされていくにつれ、みんな、誰彼構わず狙う方になりました。

  はだかになんて、なりたくない!

  みんな、そんな気持ちだったのです。

  おおかみくんだけは、たぬきくんを狙い続けましたが、さすがに、最後の一枚になると、ほかの子を標的にするようになりました。

  たぬきくんは、あれだけ狙われたのに、まだ一枚も脱いでいません。

  それどころか、なんとたぬきくんは、ハンデの追加と言わんばかりに、自分からシャツを脱いで、みんなをちょうはつしました。

  「どうしたどうした、びびってんのかあ?」

  ペンペン、と自分のおなかを叩き、そうして、ちょうどボールを拾ったおおかみくんを見て、ニッと笑います。

  これをされてたぬきくんを狙わずにいられるおおかみくんではありません。

  おおかみくんはパンツ一枚です。あと一回でも当てられれば、はだかが確定してしまいます。

  それでも、おおかみくんは逃げませんでした。

  運命の瞬間を、子供たち全員が、かたずをのんで見守りました。

  おおかみくんは、またも大きくうでを振りかぶって、ボールを投げます。

  「んお?」

  ですがそのボールは、まっすぐたぬきくんに向かうものではなく、たぬきくんの頭上を越えるようなものでした。

  投球ミスかとたぬきくんは思いましたが、背後で足音が聞こえ、振り返ります。

  すると、大きくジャンプしたさるくんが、おおかみくんのパスを空中でキャッチし、その勢いのまま、両手でボールを投げおろしたところでした。

  至近距離でした。バチンとボールが当たる大きな音が、ひびき渡りました。

  ボールはまっすぐに振り下ろされ、たぬきくんに、命中したのです。

  スタッとカッコよく着地したさるくんは、

  「ぼくたちの作戦勝ちですね!」

  勝ちほこった顔で、高らかに笑いました。

  おおかみくんと同じく、さるくんも、パンツ一枚でした。いいお値段の黒ブリーフが、様になっていました。

  これは、言うなれば、パンツ一丁[[rb:同盟 > どうめい]]でした。おおかみくんは、さるくんがたぬきくんの後ろに忍び足で近づくのを見て、すべてを察したのです。

  やっと一矢報いることができたと、さるくんは満足げでした。

  でも、待ってください。なにか様子が変ではありませんか?

  笑っているのはさるくんだけです。ほかのだれも、笑ったり、歓声を上げたりしていません。

  さるくんがおかしいなと思って周囲を見ると、みんな、さるくんの後ろを指差しています。

  振り返ったさるくんが見たものは、ボールを構えて立ちはだかるたぬきくんの姿でした。

  「……へっ?」

  「こざかしいっ!」

  「うきゃっ!」

  何が起きたか理解できないまま、さるくんは、あっけなくボールを当てられてしまいました。

  よけることもできない距離からボールを当てられたさるくんは、スローで倒れながら、猛スピードで頭を働かせ、そしてすべてを理解しました。

  たぬきくんは、あの距離で、さるくんのボールを受け止めたのです。

  「そっ、そんな、まさ、か……。」

  さるくんは、力なく、ばたりと倒れてしまいました。

  こうして、はだか第一号は、さるくんということになりました。

  たぬきくんは、うつぶせに倒れたままのさるくんに歩み寄り、嫌がるさるくんのパンツを、脱がせました。

  「や、やめ、やめてくださいっ。」

  「ルールだろうが。おまえ、ルールにうるさいくせに、自分は守らないのかよっ。」

  「う、うう……。」

  痛いところをつかれたさるくんは、おとなしく従うしかありませんでした。

  みんなが見ていました。

  みんなが、さるくんのおちんちんを、見ていました。

  「隠してんじゃねえ。かっこわりいぞっ。」

  少しずつ大きくなっていくおちんちんを、全員が、見ていました。

  手を後ろにして、子供たちの中で一番小さなおちんちんをピンと立て、ぷるぷると恥ずかしそうに歩いていくさるくんを、ドキドキしながら、見ていました。

  「さあてと。」

  たぬきくんが、物色するように子供たちを見回します。

  次に狙われたのは、おおかみくんでした。もう一人の「あと一枚」だったということもありますが、さるくんの共犯者への仕返しというところでしょうか。

  もっとも、たぬきくんはそのことを怒っているわけではありませんでしたが、そうですね、おおかみくんをはだかにしてやりたいというイタズラ心によるものですね。

  ボールを受け止めることができなかったおおかみくんは、頭をぽりぽりとかいて、堂々と、さるくんと同じくらいカッコいいパンツを、自分から脱ぎました。

  黒のボクサーブリーフから、おおかみくんのおちんちんが、ゆれながら出てきます。おおかみくんは、でろんと垂れた立派なおちんちんを、ぷらぷらとゆらしながら歩いていきました。

  みんなが見ている中を、恥ずかしそうな顔もせず、キュッキュ、と上履きの足音を慣らしながら。

  その堂々とした姿に、だれもがカッコいいと感心しました。

  といっても、さるくんのところに行くころには、おおかみくんのおちんちんも、むくむくと大きくなっていましたが。

  「災難だったな。」

  おおかみくんは、ずっとぷるぷるしているさるくんを、はげますように言いましたが、さるくんは、

  「いいえ、自分の力不足がまねいた結果です。」

  と言って、強がって見せました。

  大きいままのさるくんのおちんちんは、触ってもいないのにびしょびしょで、透明な液体がたくさん出ていて、先っぽの皮からあふれそうになっていました。

  おおかみくんは、何の断りもなく、さるくんのおちんちんに口をつけました。

  「ひゃっ!? え、ちょ、やめ、やめてくださいっ!」

  だって、言えば断られることを知っていましたから。

  おおかみくんは、皮にたまった大量の先走り液をべろりとなめとり、ごくりと飲みこんだあと、ぱくりと口にふくみ、口で皮をずらしていきました。

  ここまでされてしまえば、もはやさるくんは口だけの男です。

  いやだいやだと言いながら、自分からおちんちんを突き出して、あんあんとかわいい声を恥ずかしげもなく体育館にひびかせました。

  おおかみくんの口に発射したさるくんは、一度ぺたりとへたりこんだ後、さっそく、おおかみくんのおちんちんを求めて口を近づけ、こびるような動きでしゃぶり始めました。

  「おまえの、すっげえ濃いんだな。」

  と、おおかみくんは言います。さるくんのおちんちんから出てきた液体は、前回たくさん飲んだたぬきくんのそれよりも濃く、ねばねばと口とのどにからみました。

  「濃いのぉ、出して、ください……。」

  さるくんは、狂ったようにおおかみくんのおちんちんをなめ回します。

  「いいぜ、いっぱい、飲ませてやるよっ。」

  おおかみくんは立ち上がって、さるくんにおちんちんをくわえさせたまま、壁に押し付けました。

  そのまま、

  「んっ、んっ、んぶっ、んうっ。」

  自分から、さるくんの口に、おちんちんを出し入れしたのです。

  壁に密着しているさるくんは、身動きが取れません。

  自分でくわえるより奥に進んでくるおちんちんを、止めることができません。

  できることといったら、苦しそうにうめくだけです。

  苦しそうにうめきながら、悲鳴のようにも聞こえる必死な声を上げながら、

  「んふぁ、うぶっ、ふい、ふ、んんっ!」

  なんと、さるくんは、おおかみくんに無理やりおちんちんを突っ込まれながら、発射してしまったのです。

  精液は真上にふき上がり、ちょうど、口に出し入れしているおおかみくんのおちんちんに直撃し、さるくんは、意図せず自分の出したものを飲むことになりました。

  濃厚な液体がからみつき、おおかみくんのおちんちんの動きに、ぴちゃぴちゃといやらしい音が立ちます。

  さるくんには、そのことすらうれしくて、出したばかりのおちんちんを、再びピクピクさせていました。

  そうしておおかみくんがさるくんの口に発射した時には、さるくんのおちんちんからも、また、白い[[rb:噴水 > ふんすい]]が発射されました。

  ごくっ、ごくっ、ごきゅっ、ごきゅっ。さるくんは、口の中に大量に発射される液体を、まるでそれを飲むことこそ使命だというくらい意欲的に、のどを鳴らしながら飲みました。

  一滴もこぼさず飲み干したあとも、次の体液を求め、また、こびるようにおちんちんをしゃぶり始めます。

  周囲には、いつの間にか人だかりができていました。みんな、たぬきくんに当てられてはだかになった子たちです。

  それぞれに、おちんちんをしゃぶったり、しゃぶられたりしています。横になってしゃぶり合う子たちもいました。

  中には、さるくんにおちんちんを近づける子も何人かいて、それに気がついたさるくんは、大喜びで飛びつきました。数本のおちんちんに囲まれ、さるくんは幸せそうでした。

  さるくんにおちんちんを向けた子の中に、いぬくんの姿もありました。

  いぬくんは、さるくんにおちんちんをしゃぶってもらい、発射しながら、早く五分たたないかなと考えていました。

  なぜ五分かというと、五分たてば、またドッジボールに戻れるからです。

  そう、はだかになったからといって、アウトになるなんて、たぬきくんは一言も言っていません。とはいえ、戻れとも言っていません。

  はだかになったあとは、残るも自由、戻るも自由。そういうことになります。

  そしていぬくんは、ドッジボールに戻ることを選びました。

  いったいどうしてでしょうか?

  それは、これから分かります。

  はだかのまま着衣集団の中に戻ったいぬくんは、ボールをうばい、かけ出しました。

  一直線に、ろばくんの元に。ずっと耐えてきたろばくんも、もう、あと一枚ではだかになるというところでした。

  ろばくんは、びっくりぎょうてんです。だって、友達のいぬくんが、自分を狙っているではありませんか。

  「おまえ、おれを、ねらうのかっ。」

  ろばくんは、全力で逃げました。

  「おまえも、道連れだっ。」

  と言いながら、いぬくんは、おちんちんをビンビンにさせながら追いかけます。

  「そりゃっ!」

  足を狙われたろばくんは、ボールを受け止めることができませんでした。

  「やった、はだかっ!」

  いぬくんは、ろばくんを仲間にすることができてうれしそうです。喜んで何度もジャンプしては、おちんちんの先から、透明な液体を飛び散らせています。

  そうして、ろばくんがその場でパンツを脱ぐところをキラキラした目で見つめながら、おちんちんが現れると同時に、喜び勇んで飛び付きました。

  「わっ、おい、落ち着け!」

  ろばくんは、その勢いを受けきれず、転んでしまいました。

  いぬくんは、転んだろばくんの上に乗り、うれしそうに、ろばくんのほっぺたに、鼻をグリグリ押し付けました。

  それから、鼻や口をペロペロし、自分のおちんちんを、ろばくんに、押し付けています。

  「ちょ、こんなところで、やめろって。」

  さるくんたちがいるのは、体育館のはしっこですが、いぬくんとろばくんは、体育館の真ん中です。今まさにドッジボールが行われているど真ん中です。

  今、ボールを持っているとらくんも、そのボールを投げもせず、食い入るようにいぬくんとろばくんを見ています。

  「なあ、おれ、ヘンになりそうなんだよう……。」

  切なそうな顔で、いぬくんは言います。そうしながら、自分でもどうしていいか分からず、おちんちんをもどかしげにすりすりこすりつけるしかありませんでした。

  上に乗るいぬくんの力が強すぎて、ろばくんは手で押し返そうとします。

  その手が、ちょうど姿勢を変えようとしていたいぬくんの手に、触れます。

  二人の動きが止まりました。

  二人の目と目が、ピタリと合いました。

  二人の鼻が、ピタリとくっつきました。

  そうして、二人の口が、ピタリとくっつきました。

  軽く触れていただけの手が、ギュッとにぎられます。

  ろばくんのおちんちんが、もうれつなスピードで大きくなっていきます。

  大きくなるにつれ、ろばくんのおちんちんは、いぬくんのおちんちんを押し返していきます。

  そうして、ついにろばくんのおちんちんは、いぬくんのおちんちんに追いつきます。

  二人の舌と舌が、ピタリと合いました。その下では、ピンク色の先っぽ同士が、くっついています。

  二人のおちんちん同士が、こすり合わされています。

  大きなおちんちん同士が、チャンバラをしています。

  二人の先っぽと先っぽが、濃厚に絡み合います。

  二人の舌と舌が、濃厚に絡み合います。

  いぬくんは、切ない目をさらに細めながら、発射しました。

  先を細めたホースで水をふんしゅつするのと同じくらい、犬くんの発射の勢いはすさまじいものでした。

  ろばくんの体毛をかきわけ、ひふを直撃し、液体が弾ける音がしました。

  ろばくんのツルツルの先っぽに直撃し、液体が飛び散る音がしました。

  二人の周囲には、いぬくんが散らした体液のしぶきが広がっていました。

  「おい、おまえらっ。すみっこでやれ、すみっこで。それから、早くボール投げろっ。」

  たぬきくんが、イライラしたように、言いました。

  それでもボールを持ったとらくんが動かないので、たぬきくんは不機嫌な足取りで近づいてきます。

  「おい、いい加減に……うわっ。」

  たぬきくんの足にボールが当たりそうになります。とらくんは、たぬきくんの方を見ないまま、ボールを後ろに放ったのです。

  完全な不意打ちで、たぬきくんはすんでのところで避けることに成功しました。

  「こ、このぉ……。」

  たぬきくんがボールを投げ返すと、とらくんは受け止めようとも避けようともせず、おしりにボールが当たったとたん、自分から進んで服を脱ぎました。

  とらくんの服はまだ二枚あったので、ズボン一枚脱ぐだけでいいはずでしたが、とらくんは、なんと、ズボンを下ろすときに、パンツも一緒に下ろしてしまいました。

  そう、とらくんは、自分からボールに当たったのです。

  それを見た周りの子は、もはやボールを当ててくれと言わんばかりに、ボールを持った子のところに群がりました。

  望みどおりにボールを当てられた子は、黄色い声を上げて喜び、ビンビンになったおちんちんを解放します。

  もはやドッジボールは、服を着ていない子が、服を着た子を脱がすためのゲームになっていました。

  「何してやがんだっ! おまえらっ、やる気出しやがれ! ん? なんだおまえら?」

  怒りをあらわにするたぬきくんの周囲に、いつの間にか人だかりができていました。

  全裸になった子供たちです。みんな一緒に、大きくなったおちんちんをたぬきくんに向けています。

  「な、なに考えてんだ、おまえら……。あっ!」

  たじろぐたぬきくんのおしりに、おおかみくんが背後からボールを当てました。

  完全に油断していたたぬきくん。

  それもそのはず、ボールはたぬきくんの視界にあり、飛び交っている最中なのです。

  では、なんのボールなのでしょう?

  それは、おおかみくんのおちんちんについているふたつの球でした。おおかみくんは、それをペチペチとたぬきくんに当てたのです。

  「ほーう。このおれと、タマ比べでもしようってのか。」

  たぬきくんは、ズボンを脱ぎ、[[rb:褌 > ふんどし]]をほどきます。

  キュッとしめつけていた布が取り払われた瞬間、たぬきくんの股間についているものは、ぶらん、と大きくゆれながら、その圧倒的な姿を現します。

  こぶしほどのある陰のう、それから、今まさにむくむくとふくれ上がっている、おちんちん。

  「上等だ。かかってきやがれっ。」

  たぬきくんは、大きくおなかを叩き、周りの子供たちをちょうはつしました。

  たぬきくんに向け、子供たちは、ビンビンになったおちんちんを、いっせいに近づけていきました。

  たぬきくんの姿は、それきり埋もれて見えなくなりました。

  そのそばで、いぬくんとろばくんは、口づけを交わしながら、おちんちんをこすり続けていました。

  何度も発射し合ってドロドロになったおちんちん同士を、なおこすり合わせています。

  「おれ、どうしちゃったんだろ。分かんないよう。」

  と、いぬくんは、泣きそうな顔で言います。

  泣きそうになりながら、ろばくんの上に乗ったまま、ちゅ、ちゅ、と何度も口をつけ、おちんちんをすりすりするのをやめません。

  いぬくんは、何度発射しても、欲求が治まらなかったのです。

  ろばくんも、分かりませんでした。いぬくんがなにをしたがっているのか、どうすればいぬくんが喜ぶのか。そして、いぬくんを突き動かす発情という現象のことも、何もかも分かりませんでした。

  ですが、ろばくんには、別の感情がありました。

  手を触れた時、目と目が合った時、鼻が触れ合った時、舌と舌が絡み合った時、おちんちん同士が触れ合った時、白色の体液をお互いにかけ合った時。飲み合った時。

  決まって、心臓が大きく跳ねるのを感じました。

  漫画の貸し借りの時、初めて抱いたこの感情のことを、ろばくんはずっと考えてきました。

  約半年もの間、ろばくんは、いぬくんのことを、ずっとずっと考え続けてきました。

  ですが、考え続けても考え続けても、切なくなるばかりで、答えが出てきません。その切なさと同じものが、いぬくんを泣きそうな顔にしているのだと、ろばくんは感じています。

  相手をなんとかしたい。なんとかしてやりたい。でも、どうしたいのか、分からない。

  「んぐおおおぉー!」

  そんな二人だけの世界に、とつぜん、大きな声がひびきました。

  そして、いぬくんとろばくんのすぐ近くに、びちゃっと大きな音を立て、白い液体のかたまりが飛んできたのです。

  いぬくんとろばくんは、二人そろって声のした方を見ます。

  そこには、全身におちんちんをこすりつけられるたぬきくんの姿がありました。

  頭に、ほっぺたに、口に、おっぱいに、おなかに、太ももに、足の裏に。パズルゲームのように、すきまなく、何人もの子供たちが密着し、おちんちんを押し付けていました。

  たぬきくんの口に、ねこくんが発射しました。ごぽっと大きな音を立て、たぬきくんの口から白い体液があふれます。

  「んおっ、ん、うおおおおおおっ!」

  それから、たぬきくんは、子供たちのすきまから伸びて出るおちんちんから、変わらぬ量と勢いで発射しました。

  「んおっ、んおっ、んおおっ!」

  おちんちんにふさがれてくぐもった声で、それでも叫びながら、何度も何度も体液のかたまりを発射します。大人だったらさぞかし野太い声になりそうですが、まだ三年生のたぬきくんの声は、にごりのない高音です。

  いぬくんとろばくん、それからたぬきくんの間には、ライン引きでうねうねと線を引いたみたいに、白い波線がつながっていました。

  たぬきくんのおちんちんに触れる子はいません。では、何がたぬきくんのおちんちんを爆発させているのでしょうか?

  まさか、さるくんのように、おちんちんに囲まれるのがうれしくて、勝手に出てしまっているのでしょうか?

  いいえ、違います。

  ある時、子供たちの数人が同時に発射した時、それでバランスがおかしくなって、たぬきくんに乗っかる子供たちがいっせいにくずれ落ちました。それで、たぬきくんの後ろ側に隠れていた子の姿が、いぬくんとろばくんにも見えました。

  おおかみくんでした。

  おおかみくんは、何やらたぬきくんのおしりの方で、ゆさゆさとゆれていました。

  おおかみくんは、たぬきくんに密着していました。腰を、おしりのあたりにほとんど密着させていました。

  そこにあるべきもの、つまりおちんちんは、どこへ行ったのでしょう?

  位置的に、たぬきくんの体の中に突き刺しでもしないと、あんなに密着はできません。

  「あっ!」

  いぬくんが、キラキラと目を輝かせてろばくんを見ました。

  ろばくんも、遅れて気が付きました。

  そう、おおかみくんのおちんちんは、たぬきくんのおしりに出たり入ったりしていたのです。おちんちんをこすりつけている時、たまたま、おしりの穴に引っかかり、そのまま、ずぶりとさしこんでしまったのでしょう。

  いぬくんは、あれがやりたいのです。ろばくんが、

  「いいよ。」

  と言ってくれるのを待っています。

  ろばくんは、いろいろと言いたいことがありましたが、いぬくんが喜ぶならそうしてあげたいという気持ちも強かったですし、それに、しっぽをぶんぶん振って舌を垂らして待っている姿が、とても愛らしく思えました。

  それで、ろばくんは、

  「いいよ。」

  の代わりに、こくりとうなずいて見せました。いぬくんの笑顔が、さらにぱぁっと明るくなりました。

  ろばくんは、いぬくんがやりやすいように、足を持ち上げます。

  いぬくんは、喜び勇んでろばくんのおしりの穴におちんちんをくっつけ、

  「えいっ。」

  と、前に進みました。

  いぬくんのおちんちんは、ろばくんのおしりに、ずるずるっと勢いよく入っていきました。

  「んっ!」

  ろばくんは、初めての感覚に戸惑いました。

  体の内側から圧迫された経験なんて、これまで一度もありません。それで、気が付きませんでしたが、

  「あれ、出てる?」

  すぐに、気が付くことになります。

  いぬくんに言われ、ろばくんはいぬくんの視線を追いかけます。

  見ると、ろばくんのおちんちんから、白い液体がとろとろとしたたり落ちていました。

  「えいっ。」

  もう一度いぬくんがおちんちんを突き入れると、

  「んっ!」

  また、おちんちんからどろりと漏れ、白い液体は、ろばくんのおなかの上に落ちていきました。

  「……気持ちいい。」

  そう、おちんちんをおしりに入れられると、気持ちがいいのです。

  「ほんと?」

  と、いぬくんがたずねます。

  「うん。もっとやってみてよ。」

  と、ろばくんはいぬくんに言います。

  それならと、おそるおそるだったいぬくんの動きも、うれしくなって活発になります。

  「うっ、うっ、……っつぅ……!」

  突かれるたび、ろばくんのおちんちんから、どく、どく、と大量の液体が出てきます。それはいつもの発射のようにも見えますが、感覚が違いました。

  (なんか、中に詰まってるモンが、押し出されてるみたいだ。)

  と、ろばくんは思いましたが、そのとおりのことが起きていたのです。

  ですが、その漏れ出るものを、キュッと力をこめることで、押し止めることもできました。

  そうすると、おちんちんからは何も出てこなくなります。その代わり、おしりにおちんちんが入ってくる気持ちよさが、二倍、三倍へとふくれあがるのです。

  いぬくんにおちんちんを出し入れされるたび、おしりの中に、がまんすればすぐほど、快感がたまっていったのです。

  「んー……あ、や、や、やばっ、あっ、ああっ!」

  とうとう、ろばくんは、がまんを重ねたおちんちんから、白い体液をふんしゅつしました。

  びくんびくんと跳ねるおちんちんから、ビュッ、ビュッ、ビューッと、すさまじい勢いで、体液が飛び出します。それは、いぬくんの目と鼻の先をかすめながら、たぬきくんたちが固まっている集団の近くまで、飛んでいくほどでした。

  「あ、出る、出そう、出るっ、出るっ! んああああっ!」

  いぬくんも、ろばくんのおしりの中に発射します。

  ろばくんのおしりに突き刺さったちんちんから、ビュー、ビュー、ビュー、と、何度も何度も体液が飛び出していきます。

  まるでトイレのウォーターガン、いや、それ以上の勢いで、ろばくんのおしりに飛び込み、飛び散り、埋め尽くします。

  何せ、何もないところだと、身長を超えるほどの高さまでふき上がるのですから、その勢いをすべて受け止めるおしりには、そうとうな力が加わります。

  そして、口いっぱいでは足りないほどたくさん出るのですから、おちんちんで埋め尽くされたおしりの穴には、とうてい入りきるものではありません。

  いぬくんのおちんちんとろばくんのおしりの穴がつながっている部分から、発射のたび、ドクッ、ドプッ、ドロッ、と、行き場をなくした体液が飛び出してきました。いぬくんの陰のうにかかり、ろばくんのおしりとしっぽにかかり、二人とも、どんどんとドロドロになっていきました。

  いぬくんも、ろばくんも、二人とも、ずっとこれがしたかったのだということを知りました。

  相手のおしりの穴におちんちんを入れて、おしりの穴に発射する。それを、ずっと求めていたのだと。

  「次は、おまえに、入れさせろよ。」

  と、ろばくんが言います。

  「うん、もちろんっ!」

  と、いぬくんが笑いながらうなずきます。

  おちんちんが抜け、姿勢を起こしたはずみで、ろばくんのおしりから、ドバドバドバと、大量の体液が流れ出してきました。

  そうして、上下が逆になり、なおもおしりから液体を垂れ流しながら、ろばくんは、いぬくんのおしりの中に、おちんちんをずぶりとさしました。

  「んっく……!」

  ドロドロと、いぬくんのおちんちんから、白い体液がこぼれ落ちます。

  いぬくんのおちんちんよりも大きく、かなりの抵抗がありましたが、ろばくんのおちんちんは、いぬくんのおしりの中を、めいっぱい押し広げながら、なんとか入っていました。

  ぎゅうぎゅうと、きゅうきゅうと。

  逆に考えると、ろばくんのおちんちんは、いぬくんのおしりに、めいっぱいの力で包み込まれているということです。

  そのあまりの気持ちよさに、ろばくんは、自分の中でくすぶっていた望みが、叶ったような気がしました。

  入れただけでそう思うのですから、もしこのまま発射したら、とんでもなく満足するに違いありません。

  そう思ったろばくんは、もうがまんができず、いぬくんのおしりに、おちんちんを出し入れし始めました。

  「うあ、やば、けつ、気持ちいいっ! あ、あんっ! あっ、あんっ!」

  と、いぬくんが甘く鳴きます。

  「や、やば、ちんこ入れるの、気持ちいいっ!」

  と、ろばくんは、狂ったようにおちんちんを抜き差しします。

  いぬくんは、おちんちんにおしりを突かれるたび、おちんちんから、ピュ、ピュルッと、体液を垂れ流しにさせています。

  「けつに力入れてみろよ。」

  と、ろばくんが言うと、ろばくんは、おちんちんがキュッとしめつけられるのを感じました。いぬくんが、おちんちんにキュッと力を入れたことで、おしりの穴が、同じように、キュッとしまったのです。

  「うあ、これ、もっと、もっと、やばく、なっ……あっ、んああーっ!」

  いぬくんは、いくらもがまんしないうちに、発射してしまいました。

  いぬくんが飛ばした体液は、ろばくんが姿勢を低くしていたこともあり、ろばくんの首やあごに大量にかかってしまいました。

  次々と発射される体液を、ろばくんは、口を開けて受け止めました。

  鼻に入ったり、口に入っても流れ落ちたりしましたが、何度も何度も飛び出してくるそれは、何度も何度も飛び込んでいきます。

  発射が落ち着いたころには、ろばくんの顔は、体液まみれになっていました。

  快楽にとろけるいぬくんと、体液を口からぼたぼたこぼしているろばくんが、見つめ合いました。そうして、二人は、吸い込まれるように、キスをしました。

  ぬる、にゅる、ぴちゃ。時おり音をともないながら、濃厚に舌を絡め合い、体液の濃厚な味と香りのするキスに、やみつきになりました。

  「んふっ……。」

  という、いぬくんのくぐもった声が、

  「んっく、んふ、んっ、んっ!」

  に変化します。キスをしながら、ろばくんが、おちんちんを動かし始めたのです。

  ろばくんが、いぬくんの手を取りました。

  床の上で、二人の手と手が、合わさりました。二人の指と指が、うれしそうに絡み合っていました。

  より強く舌を絡ませ、より意欲的にお互いを求め、より激しく、おちんちんを、抜き差ししました。

  「もう、出る……。」

  ろばくんが、キスをしながら言います。

  「うん。来て、出して。」

  いぬくんも、キスをしながら答えます。

  二人のつながった手に、キュッと力が入ります。

  おちんちんとおしりにも、力が入ります。

  「出る……出る……出る……っ! う、あああっ!」

  ろばくんは、あれだけ出した直後だというのに、これまたものすごい量の体液を、いぬくんの中に発射しました。

  ビュッビュッ、ビューッ!

  ろばくんのおちんちんから飛び出す体液は、いぬくんのおしりの中の、一番気持ちいいところに、もうれつな勢いで何度も打ち付けて、

  「あっ、あっ、あぁっ。」

  いぬくんは、おちんちんで突かれているのと同じくらい、気持ちがよかったのです。

  それで、とうとう、

  「あ、出る、出るーーーーーっ!」

  ろばくんの発射中に、いぬくんも、発射してしまいました。

  二人の発射が、合わさりました。ろばくんがいぬくんの中でおちんちんをビクンビクンと跳ねさせるたび、いぬくんのおちんちんもビクンビクンと跳ね、ビュッビュッと発射します。

  ろばくんは、自分の発射が、いぬくんの体を貫いているんじゃないかと、錯覚してしまいそうになりました。

  二人は、発射中も、発射後も、ずっと、ずうっと、キスを続けました。

  この濃密な発射は、二人の心の中に、共通の感情を芽生えさせました。

  ですが、それを明らかにするのは今ではありません。二人は、まだまだ、おちんちんのウズウズを、解消しきっていませんからね。

  二人は、入れたり入れられたりを繰り返しながら、何度も何度もキスをしました。

  彼らの甘美な行為は、まず、声や音という形で、すみっこにいる子供たちに届きました。

  その様子を目にしたさるくんは、だれにも何も言われていないのに、周りの子に向け、自らおしりを突き出しました。

  たぬきくんに群がっていた子供たちも、おおかみくんがたぬきくんにしていることに気が付くや否や、手の届くところにいた子と、おちんちんの入れ合いを始めました。

  もちろんたぬきくんにも入れましたが、たぬきくんの強すぎるおちんちんに、反対に鳴かされていました。

  最後には、おおかみくんとたぬきくんの入れ合いになり、床をヌルヌルのびしょびしょにしながら、ついに勝負はつきませんでした。

  さるくんも、自分のおちんちんをほかの子に入れることもありましたが、最後には、みんなからおちんちんを入れられることの喜びに狂い、おちんちんが入っていない時でも、おしりに残っている感覚だけでビクビクと勝手に発射するようになっていました。

  欲望のままにおちんちんを入れたり入れられたりする中で、やはり、いぬくんとろばくんの二人は違いました。

  甘い空気に誘われて、二人は何人もの子供たちに囲まれました。

  いぬくんがろばくんに入れている時、いぬくんのおしりにだれかのおちんちんが入りました。

  ろばくんがいぬくんに入れている時、ろばくんのおしりにだれかのおちんちんが入りました。

  おしりだけでなく、そばにだれかのおちんちんがあれば、いぬくんもろばくんも、それをしゃぶって可愛がりました。

  だれのおちんちんの相手をしている時でも、どちらかのおちんちんは、どちらかのおしりに入っていました。

  でも、タイミング的に、二人同時におしりを使われる流れになった時もありましたが、二人は四つんばいになっておしりにおちんちんを入れられながら、向かい合ってキスをし、その部分でつながっていたのです。

  「なあ。」

  ドロドロとおちんちんから体液を漏らしながら、ろばくんはいぬくんに言います。

  「ん?」

  ちゅっとキスをし、いぬくんはたずねます。

  ろばくんは、少し恥ずかしそうに目をぱちぱちさせたあと、目を合わせず、

  「おれ、おまえのこと、好きみたいだ。」

  と言いました。

  いぬくんは、それを聞いて、同じように目をぱちぱちさせたあと、

  「おれも、おまえのこと、大好きっ。んっあっ!」

  と、おちんちんから白い液体を発射しながら答えました。

  体育館に、大歓声が湧き起こりました。

  何があったか知らない子も、近づいてきて事情を聞くなり、わあっと、大声を上げました。

  子供たちはみんな、液体の飛び散る拍手で二人を祝福しました。

  こんな全員に知られるなんて思っていなかった二人は、恥ずかしそうにしながらも、おちんちんをビンビンにして喜びました。

  [newpage]

  

  「ほ、ほんとにやるの?」

  家庭科室で、ろばくんがたずねます。

  「当たり前だろ。堂々としてりゃいいんだよ。」

  三脚にデジタルカメラをセットしていたおおかみくんが、ろばくんに言います。撮影係の[[rb:眼差 > まなざ]]しは真剣です。

  「ほらほら、笑えって。」

  いぬくんは、ろばくんの手をギュッとにぎり、笑顔のお手本を見せます。

  「う、うん……。」

  ろばくんは、にぎられた手から勇気をもらい、せいいっぱいがんばって笑顔になろうとしますが、

  「おまえ、それは不自然すぎるって。」

  と、おおかみくんが、カメラから困り顔をのぞかせます。

  「もっと、こう、自然に笑ってみろよ。」

  でも、自然にと言われても、逆に力が入ってしまうものです。

  いぬくんは、

  「な。早くしないと、クリームが溶けちまうぞ? だいじょうぶ、おれを信じろって。」

  と、ろばくんをはげまします。

  二人の前には、大きな大きなケーキがありました。

  もちろん持ち込んだものではありませんよ。

  届けてもらったものでもありません。

  子供たちががんばって作った、お手製のケーキです。

  三校の献立係が相談して材料を出し合い、ひとつのケーキを作ったのです。

  ウェディングケーキと言ってもいいくらい大きな、三段重ねの特大ケーキです。

  いったいなんのためのケーキかというと、それはもちろん、いぬくんとろばくんに対するお祝いです。

  学校の垣根を越え、子供たちみんなが、二人をお祝いしてくれたのです。

  改めてそれを思うと、ろばくんの心の中にうれしさがこみ上げてきて、いつの間にか、にこりと、口のはしっこが上がっていました。

  「うーん、まだちょっとぎこちないけど、まあいいか。それじゃ、タイマー……いや、おれが入るところ、ちゃんと開けといてくれって。入りそこなったら、大事故が起きるんだぞ。よし、それじゃいくぞ、タイマー、スタートっ!」

  おおかみくんが、カメラのスイッチを押して、かけ出します。

  走って、しっぽを揺らして、それから、おちんちんをぶるんぶるんと揺らして。

  なんと、おおかみくんは、下に何もはいていなかったのです。

  おおかみくんだけではありません。この家庭科室に集まった、総勢六十人の子供たちは、上は体操服でしたが、みんな、下半身がすっぽんぽんでした。

  そんな状態で、デジタルカメラで撮影なんて、何を考えているのでしょうか?

  先生から預かった、全体の行事を撮影するための、大切なカメラです。

  それに、下半身丸出しの画像があれば、先生だって、目を三角にして怒るはずです。

  でも、大丈夫。

  おおかみくんは、開けてくれたすきまに、にゅっと入り、体操服の首元を、正しました。

  そう、気にするのは上半身だけでよいのです。

  下半身は、机にさえぎられ、写らないようになっていたのです。

  そうして、特大ケーキを中心に、その陰に隠れて手をつないだいぬくんとろばくん、そしてそれを取り囲むようにした子供たちの姿が、無事に撮影されました。

  またひとつ歓声と拍手が湧き、二人はみんなの見ている前で、キスをしました。

  そしてその熱いキスの様子を、おおかみくんは、インスタントカメラで撮影しました。今度は、下半身まで写るように。

  あいにく、ろうそくを用意できませんでしたが、合宿が始まってまだ三日目ということで、イチゴやパイナップルをはじめとしたフルーツはたくさん残っていたので、デコレーションに困ることはありませんでした。

  それに、みんなで仲良くケーキを食べ終わったあと、はだかでグラウンドに出て、ろうそくに見立てた何十本ものおちんちんで、盛大にお祝いをしてもらいました。

  二人は、五十八人全員から順番に生クリームを浴びせてもらいながら、お互いのおちんちんをしゃぶり合い、口に出し合い、その状態で、誓いのキスをしました。

  口から大量の体液がこぼれる様も、鼻と鼻に粘液が糸を引いている様も、それと同時におちんちん同士で糸を引き合う様も、おおかみくんは、ばっちりと撮影しました。

  その儀式が終わったあとは、また、誰彼構わずおちんちんを入れ合う遊びが始まりました。

  どうして外でしているかといいますと、そうですね、ドッジボール大会のあと、体育館の床をきれいに掃除するのに一日を費やしたといえばお分かりですね。

  ただ、体育館でもそうだったのですが、グラウンドの地面の上でも悩みが発生しました。

  それは、床も地面も、硬くて痛いということです。

  体育館は板張りですし、グラウンドの土は業者によって固められています。

  そのため、ひざをついておちんちんを入れる体勢を長時間保つことが難しいのです。

  確かに、一回出すごとに上下を入れ替えるなど、工夫することもできますが、それだって、何度も繰り返せば痛みが勝ってきます。

  それで、子供たちは、そのうちに、柔らかい地面を求め、敷地の外に出ていくようになりました。

  足は汚れると面倒ですし、とがった石を踏んでけがをしてもいけませんし、たいてい、山歩き用のスニーカーをはいて、都合の良さそうな野原まで歩きます。

  服だって、始めから汚れることが分かっていますし、汚れると洗うのが面倒ですし、それに、草木が生い茂る山の中に入るわけでもありませんし、始めから脱いでいきます。

  あのドッジボール以来、子供たちは、服を脱いで歩くことに、抵抗がなくなりました。

  むしろ、ふだんは絶対にできないことに、興奮さえ覚えていました。それこそ、何もしていないのに、歩いているだけでおちんちんが硬くなってしまうほどに。

  レクリエーションだってはだかで行いました。

  オリエンテーリングでは、大自然の中をおちんちん丸出しで歩き回り、ちょっと広いところを見つければ、その場で遊びが始まります。山に響くその声で、がまんができなくなった別の班の子供たちも、おちんちんを硬くして遊び始めました。

  川でも、おちんちんをゆらしながら魚釣りをしましたし、どうせはだかなんだからと、冷たい水の中を泳いだり、水をかけ合ったりしました。寒くなれば、股をおっぴろげて天日干しをすればいいだけです。

  秋とはいえ、お日さまの光は、子供たちの体をじゅうぶんに温めてくれました。昼寝してしまいそうな陽気の中、心地よさにおちんちんが大きくなるのを見つけては、気づかれないように近づいただれかが、そそり立つおちんちんをしゃぶったり、やはり、そこかしこで遊びが始まります。

  もちろん、そこらじゅう石だらけなので、だいたいが、立ったままおちんちんを入れ、立ったまま、川の中に発射します。

  「そこっ! 不真面目ですよ!」

  真面目に釣りをしていたさるくんも、白い液体がぷかぷかと大量に流れてくるのを見て、さすがに怒って注意をします。

  「それに、そんな姿勢では不安定で危ないですよ!」

  「そんな姿勢?」

  と、注意をされたねずみくんは動きを止めずに聞き返します。

  しかくんの体はゆさゆさと揺れ、今にも倒れそうなほど不安定です。

  「支えもなく、お、おちんちん、を、入れるのは、危ないと言っているのです! 即刻やめるのです!」

  「口だけで注意されてもなぁ。」

  と、ねずみくんは困ったような顔をわざと作って言います。洗濯係のねずみくんは、同じ洗濯係のさるくんが、班員の下着を嗅いで興奮しているいることを知っているからです。説得力のともなわない注意には何の効果もありません。

  「では、口だけでなければいいのですね。」

  さるくんが、きりっとした顔で、言いました。

  「というと?」

  「おちんちんで遊ぶ時は、節度を守りましょう!」

  確かに、それなら口だけにはなりませんね。おちんちんで遊んではならないと言っているわけではないのですから。

  「じゃあ、節度を守って、おれたちと遊ぼうぜ。」

  ねずみくんがそう言った瞬間、しかくんが発射します。目の前まで飛んでくる体液にごくりとつばを飲んださるくんは、

  「せ、節度を守るのなら、いいですよ。」

  と、結局は、おちんちんを硬くして遊びに混ざってしまうのですが。

  こうやって、今回の合宿は、前回と違い、子供たちの行動は大胆なものになっていました。

  地面にひざをつくと痛くなり、壁のないところで立ったら姿勢が不安定になるのならと、子供たちの創意工夫はひとつの終着点にたどり着きました。

  それは、おちんちんを入れられる子同士で体を支え合うことです。

  キャンプファイヤーでは、そうやって、入れられる子同士が手をつなぎ合ったり、抱き着いたり、それでもふにゃふにゃになる二人分の体を、別の子のおちんちんで支えたりと、特に熱狂的な遊びになりました。

  次第に、おちんちんを主に入れる子と、おちんちんを主に入れられる子で、分かれていきました。

  もちろん入れられる子だって入れられるばかりではありませんし、入れる子だって、入れられるのを嫌がったりしません。入れながら入れられることだって、よくありました。

  そんな中、入れられることが圧倒的に多い子がいました。

  ろばくんと、二班のうまくんと、さるくんと、それから、赤星小学校のきつねくんです。

  きつねくんに至っては、なんと、入れられたことしかありません。

  今も、たぬきくんにがっしりとつかまれ、激しくおちんちんを入れられながら、あんあん鳴いて体液をまき散らしています。

  いったいどうしてでしょうか。

  実は、さるくんを除き、他の三人には共通点があります。

  ろばくんも、うまくんも、きつねくんも、大きなおちんちんを持っているのです。

  ろばくんは、探せばそれなりに入る子がいます。いぬくんにも、何とか入ったのは幸運なことでした。

  それに、どうやら一人だけ発情していないろばくんは、ほかの子にどうしても入れたいと思う欲求がなく、いぬくんにさえ入れることができればそれでいいと思っていましたから、ほかの子のおちんちんを、むしろ積極的に受け入れていました。

  うまくんは、探せばまだおちんちんを受け入れてくれそうな子は見つかります。ちょうど、ぶたくんのおしりにピッタリとはまることに気付いてからは、ぶたくんとばかり入れ合っていますが、ぶたくんがほかの子の相手をしている時には、うまくんも、ほかの子のおちんちんを受け入れます。そして、二人で手をつなぎ合って、お互いにおちんちんを入れられながら、キスをしたりもします。

  さて、きつねくんですが、どのくらいの大きさなのでしょう。

  今は、言うことができません。というのも、たぬきくんのおちんちんにより、休むひまもなくおしりをめちゃくちゃにされたせいで、きつねくんのおちんちんは、大きくなることを忘れ、でろんと垂れたままの状態で、体液をボタボタこぼしまくるしかできなくなっていたのです。

  ですが、大きくならない状態でさえ、さるくんのおちんちんと、いい勝負といったところです。陰のうに関しては、今まさに激しく揺れ動いているたぬきくんのそれよりも、はるかに見劣りするのですが。

  おっと、そのきつねくんに、ろばくんといぬくんのカップルが、助け舟を出しにやってきました。

  二人は、前後左右にぶらぶら揺れるおちんちんを、パクリとくわえました。

  体液まみれのふにゃふにゃなおちんちんを、二人分の舌が絡め取り、つかまえ、同じ動きで前後させました。

  そうすると、二人の口の間で、きつねくんのおちんちんは、みるみるうちに復活しました。

  始めこそ、いぬくんとろばくんが、おちんちん越しにキスができるくらいでしたが、むくむくとふくれ上がったその後は、口をつけたまま舌を伸ばしても、その舌が相手に届きかねるほど太くなったのです。

  そう、きつねくんのおちんちんは、長さこそうまくんには及ばないものの、太さに関しては、子供たちの中で一番の、それはそれは立派なものだったのです。

  その太さが災いして、だれにも入れることができなかったきつねくんは、こうやって、だれかのおちんちんを入れられることしかできませんでした。

  そのうちに、たぬきくんにつかまって、こうやって、おちんちんをむちゃくちゃに入れられることになったのです。

  ですが、きつねくんは、今だけはうれしい気持ちでいっぱいでした。

  この合宿で恋人になった二人を、きつねくんは、ちょっとだけうらやましいと思う気持ちもありましたが、素直に祝福しました。

  その二人に、おちんちんをなめてもらっている。二人の営みに、混ぜてもらっている。二人に、愛してもらっている。そんなふうにさえ思えたからです。

  おちんちんを手で持ち上げられ、先っぽの皮をむかれ、二人がかりで、ペロペロ、はむはむ、ちゅうちゅう、おちんちんを気持ちよくしてもらっている。どぷどぷと漏れ出る体液を、ペロペロ、ごくごく、なめてもらっている。そうしながら、ドロドロになった口と舌で、恋人たちが、おちんちんごと、濃厚なキスをしている。

  きつねくんは、自分のちんちんを使って愛し合う二人の口に、発射したくてたまらなくなりました。

  みるみるうちに、きつねくんのオスとしての本能が、目を覚ましました。

  ぐぐぐ、とおちんちんがさらに太く、ギンギンにみなぎりました。

  ぎゅうぎゅうと、きつねくんのおしりが、たぬきくんのおちんちんをしめ上げました。

  「うお、すげえ、しまる……っ!」

  おしりに入れていたたぬきくんは、そのしめつけの強さにたまらず、

  「んおぉっ! 出るっ、出るぞ、出すぞぉっ! うおおおおおおお!」

  と叫びながら、きつねくんのおしりの中に、濃厚で大量の体液を、ぶちまけました。

  その量はやはりすさまじく、すぐに、きつねくんのおしりをいっぱいにしました。きつねくんのおしりには、いぜんとして強い力がかかっていて、なかなか、外にあふれてはきません。

  おしりに力をこめ、おちんちんに力をこめ、二人から与えられる快感が、一定量を超えるのを、待っていたのです。

  そしてちょうど、まさにこれからあの液体が飛び出してくる発射口を、二人がパクリとくわえ、もごもごした瞬間でした。

  「んっ、出るっ!」

  きつねくんは、ためこんだ力を一気に解き放ちました。

  太すぎるおちんちんから発射される体液は、たった一回のふんしゅつで、二人の口からあふれ出るほどの量でした。

  そして、なおも口に入ろうとする体液が、まるで水たまりに発射されるおしっこのような音を立て、次から次へと、飛び込んでいきます。

  とうとう、許容量を超えた量の体液は、二人のつながった口から、ごぽっと大きな音を立て、二人の顔面を、同時に真っ白にしてしまいました。

  同じような音が、きつねくんのおしりからも聞こえてきました。

  ぎゅうっとしめつけていた力が抜けたことで、大量にたまりまくって内圧を高めていたたぬきくんの体液が、きつねくんのおしりの穴から一気に飛び出したのです。

  一度道ができてしまった後は、たぬきくんが発射するたび、きつねくんのおしりから、何度も何度もたぬきくんの体液が逆流し、体も、地面も、そこらじゅうを真っ白にしました。

  きつねくんは大満足でした。恋人たち二人を、ぼくが、真っ白に汚してやったと、ゾクゾクとしていました。

  ですが、その二人は、汚されたなんて思っておらず、

  「気持ちよかった?」

  なんて、純粋な笑顔をきつねくんに向けるのです。

  (ああ、だめだよ、そんな目で、ぼくを見ちゃ……。ああっ!)

  きつねくんは、みにくい自分の心が恥ずかしく、その恥ずかしさで、また、発射してしまいました。

  二人は、続けざまに放たれる大量の体液を、仲良く分け合って、うれしそうになめ合っていました。

  というのも、きつねくんの体液は、なぜだかほかの子のものよりも、おいしいと感じられたのです。

  そんなことがあるのでしょうか?

  結論から言えば、ある、という答えとなります。

  人にはそれぞれ個性があります。ここでは、そういう体質なのだという説明にしておきましょう。

  この地域ではありませんが、おちんちんから出てくる体液をお酒として売ることができるほどの体質を持つ一族だって存在しているのです。

  それはともかく、そんな突出した個性だけでなく、たとえばたぬきくんのように量が多すぎる子、さるくんのように、ゼリーのように濃厚な体液を出す子もいます。ちょうど、さるくんは、複数人で持ち上げられ、おちんちんを入れられながら発射しまくっていて、おなかの上には、ぶよぶよで濃厚な、手の平いっぱいほどの、スライムのような体液がたまっていました。

  そんな個性あふれるおちんちんを持つ子たちがいるのですから、きつねくんのように、おいしい体液を出す子だって、いてもいいとは思いませんか?

  だれも困りません。だれも不幸になりません。

  子供たちは、今回も、みんな仲良く、だれも病気やけがをすることなく、無事に合宿を終えたのです。

  バスに乗る前、最後の記念撮影をした時には、子供たちのほこらしい笑顔は、前回よりももっともっと大人びていました。

  そうそう、記念撮影といえば、インスタントカメラで撮影した写真は、明らかにアウトなものは、被写体の子供たちに配られましたが、一応は学級日誌に載せるための写真ですから、ちゃんとしたものを撮らなければなりません。

  ですが、いくらよぶんにフィルムを持ち込んでいたといえ、撮りたいものが多すぎてがまんができません。

  そこでどうしたかというと、見えない構図で撮ることでした。

  たとえば、最終日のキャンプファイヤーで、いぬくんとろばくんのカップル記念写真をおおかみくんが撮影しましたが、友達同士仲良くピースをしている光景と思いきや、実は、見えないところで、いぬくんのおしりにも、ろばくんのおしりにも、ほかの子のおちんちんが入っていましたし、それぞれのおちんちんからは、仲良くキスをしていて、どちらがどちらのものか分からないほどたくさんの体液がボタボタとしたたり落ちていました。

  このように、あとで学級日誌で見返しても、表向きは子供たちのほほえましいワンシーンでありながら、当事者が見れば、その時に行った濃厚な絡み合いが鮮明に思い出されるのです。

  こうやって、写真係のおおかみくんは、デジタルカメラでも、インスタントカメラでも、立派すぎるほどみんなの思い出作りに貢献したのです。

  また、明らかにアウトなものをいくつか紹介しますね。

  おおかみくんは、特に凝ったアングルで撮影をするのが好きでした。

  たとえば、おちんちん同士でキスをしている様子をアップで撮ったり下から見上げる構図で撮るくらいは序の口で、いぬくんのおしりからろばくんの体液が勢いよく逆流する瞬間を収めつつ、体のすきまから二人が舌を絡ませ合う様子が見える最高のアングルで撮影することに成功した時には、思わずガッツポーズをして見せました。

  その写真は、いぬくんが大切に保管しています。

  もっとも、合宿後は、取り出して見るのも恥ずかしい気持ちになったので、厳重に厳重に宝箱にしまいました。

  さて、彼らもついに四年生になります。

  もしこれを読んでいるあなたが彼らと同じ年代であれば、ここから先を読むのは、次の春になるまで待ってください。

  もしあなたが彼らより年上であれば、このまま読んでください。

  もし、彼らよりも年下であれば……。

  それは、けっして許されることではありませんよ。

  世の中には、知らないほうがいいこと、知るべきではないことがあります。

  また、知るべきことでも、時期が来るまでは、知らないほうがいいということもあります。

  とりわけ、子供というのは繊細な生き物です。

  知るべきことを知る時期は、慎重に検討する必要があるのです。

  ですが、残念なことに、知るべきことを、知るべき時期よりも早くに知ってしまう子が、出てきてしまいます。

  そういうわけで、この先のことは、彼らより最低でも一年は先を行く子だけが読んでください。

  いいですね、くれぐれも、背伸びをしてはいけませんよ。

  [newpage]

  

  この街では、中学校はともかく、小学校は一学年に一クラスしかないので、三年生から四年生になっても、顔ぶれは変わりません。一年生の時からずっと、同じメンバーで授業を受けてきました。

  それがふつうです。彼らだけでなく、ほかの学年の子供たちも同じです。

  一年生から六年生まで、ずっと、同じメンバーになるはずです。

  それがふつうでした。

  ですが、いぬくんやろばくんたちが四年生になる年に、例外が起きました。

  「よろしくおねがいします!」

  ぺこりと元気よくおじぎをした男の子は、これまた元気よく顔を上げます。ピン、と元気よく長い耳が立ちました。

  この子が、新しく彼らの仲間に加わることになった、うさぎくんです。

  子供たちと先生は、歓迎パーティまで開いて転校生を盛大に迎えました。

  うさぎくんの種族は、特にめずらしいわけではないのですが、たまたま、青空小学校の新四年生の男子に、うさぎくんと同じ種族の子はいませんでした。

  緑風小学校や赤星小学校には、何人かいて、知っているのですが、やはり、自分たちと同じ学校に新しくやってくるというのは、大違いです。

  せっかくですし、四年生になってからの彼らのことは、うさぎくんの目線から語っていくことにしましょう。

  うさぎくんは、明るく元気いっぱいな子なのですが、あまりの歓迎ぶりと、子供たちのテンションの高さに、少し[[rb:気 > け]]おされてしまいましたが、

  (みんな、やさしくて、いいやつばかりみたいで、よかった。)

  と、安心しました。

  転校生というものは、それまで親しくしてきた友達が一人もいない新天地で、新しく人間関係を築いていかなければなりません。

  そんな不安は、一時間もしないうちに、吹き飛んでしまいました。青空小学校の子供たちは、優しい子ばかりです。

  うさぎくんは、物知りでした。

  さるくんだって、物知りですが、うさぎくんは、別の意味で、物知りでした。

  青空小学校では、四年生から、タブレットを使った授業が始まります。

  みんな、使い方を覚えるところから始めているところを、うさぎくんは、慣れた手つきで操作しています。

  たったそれだけで、うさぎくんは人気者になりました。

  四年生になって、ようやくスマートフォンを買い与えられる子がちらほらいる程度の環境でしたから、すでにスマートフォンを使いこなしていたうさぎくんは、みんなのヒーローです。

  (みんな、遅いんだな。おれがいたとこじゃ、スマホなんて、ほとんどのやつが、持ってたのに。)

  と、うさぎくんは思いましたが、そんなことを言えば、えらそうだと思われてしまうかもしれないので、だまっておくことにしました。

  そのスマートフォンですが、今は持っていません。

  この街に来た時に、お父さんから、

  「新しい環境になじむまで、使用禁止。」

  と言われてしまい、取り上げられてしまいました。

  普段から使いすぎを指摘されていたので、しぶしぶ、従うしかありませんでした。

  うさぎくんは、元いた街のことを、この街と変わらないと言いました。それはけっしてうそではなく、ほんとうにそう思ったからです。

  ですが、暮らしていくにつれ、ところどころ違うなと思う部分が出てきました。

  「食後の薬? 一日一回? そんなの、飲んだことないよ。」

  と言ううさぎくんに、子供たちは、

  「えーっ。」

  と、声をそろえておどろきました。そして、

  「この街じゃ、ふつうだよ。」

  と続け、そして、ノミやダニの対策のためだということも、付け加えました。

  「ふうん。それなら、大事なお薬なんだね。」

  と言いながら、内心、半信半疑でしたが、帰ってから、お父さんに、同じお薬を渡され、

  (あっ、やっぱり、本当のことなんだ。)

  と納得し、お薬を飲むことにしたのです。

  違うなと思ったところは、お薬だけではありません。

  「トイレって、個室しかないの?」

  と、たまたまトイレが一緒になったねずみくんにたずねたうさぎくんでしたが、

  「個室以外のトイレってあんの?」

  と、逆にたずね返されました。

  「それに、なにこれ、てっぽう?」

  うさぎくんが、壁にかかったウォーターガンを見ながら、言いました。

  「それにしては、変な形だけど……。」

  手でにぎり、人差し指で引き金を引けるようになっている構造ですから、てっぽうのようではありますが、先がフックになっていて、それがもしてっぽうだとすると、自分をうつためのてっぽうということになります。それはおかしいですよね。

  その先端も、球状になっていて、てっぽうにしては、少しばかり不格好です。その球の部分は、どうやら消毒液らしきニオイのする液体に浸かっています。

  うさぎくんは、そのてっぽうのような形をしたものを手に取ります。電気コードのようなものがつながっていて、そのコードは、壁の中に伸びています。

  「けつ洗うためのやつだよ。」

  と、となりの個室から、ねずみくんの声がしました。

  それを聞いて、うさぎくんは、手に持つウォーターガンを、危うく取り落としそうになりました。

  「洗う? おしり? えっ、なんで?」

  うさぎくんは、混乱しました。

  「えっ、なんでって、向こうじゃ、やってなかったのか?」

  「うん、そんなの、聞いたことも、見たこともないよ。」

  「そうなんだな。ここじゃ、学校にも、図書館にも、スーパーにも、どこのトイレにもあるぞ。」

  「へ、へー……。」

  うさぎくんは、音を立てないように、ウォーターガンを壁にかけ直しました。

  「この街はな、昔、寄生虫が流行したんだってよ。たぶん、それからなんだろうな。」

  それにしても、こんな方法で本当に予防になるのか、うさぎくんは分かりませんでした。

  「ってわけだから、ちゃんと、けつ洗えよな。」

  と、どうやら本当におしりを洗っているらしい水音を立てながら、ねずみくんは言いました。

  「う、うん。でも今回は、おしっこだから……。」

  と、うさぎくんは言い訳しました。

  「まあいいけど、おれは、しょんべんの時でも、ついでに洗ってるぜ。たぶん、ほかのやつも。なーんか、クセになっちまってさ、洗わないと、落ち着かないんだよな。」

  と、ねずみくんは、明るく言いますが、うさぎくんは、返事をすることもできないほど、混乱していました。

  (おしり洗うって、なに? コレをおしりに突っ込んで? 水出して? 中を洗う? じょうだんじゃないよ!)

  うさぎくんは、ねずみくんに言われたことを、守りませんでした。

  家に帰ってから、お父さんにトイレの話をしたところ、

  「おまえも、おどろいただろう。この街じゃ常識らしいから、『郷に入っては郷に従え』ってことで、おまえも、ちゃんと慣れておけよ。」

  と、そんなことを言われましたが、うさぎくんは、どうしてもそれをする気にはなれませんでした。

  ですが、ある日のこと。

  「おまえ、ちゃんと、けつ洗ってるか?」

  トイレの個室から出たところを、そこにいたねずみくんに、聞かれました。

  「あ、洗ってるよ。」

  と言ったうさぎくんでしたが、

  「水の音、ぜんぜんしなかったぞ?」

  と言われ、言い訳できず、だまってしまいました。

  ねずみくんは、怒ることもなく、少し考えて、うさぎくんを個室に戻し、小声で言いました。

  「やり方わかんないのか? 先っぽをけつに入れて、引き金を引くだけだぞ。でもその前に、軽く引き金を引いて、ゆっくり水を出して、穴の周りを洗った方がいい。」

  ねずみくんは、親切に教えてくれましたが、うさぎくんは、ぷるぷると首を横に振りました。

  やり方が分からないのではありません。ウォーターガンは簡単な構造ですから、使い方なんて、少しいじればすぐに分かります。

  「もしかして、恥ずかしいのか?」

  うさぎくんは、少し首をひねって考えて、

  「それも、あるかも、しれない、けど……。」

  と、小声で答えました。

  「それもってことは、ほかにもあるのか?」

  うさぎくんは、答えませんでした。

  「えんりょせずに、言えって。だれにも、言わないからさ。」

  それでも、答えません。恥ずかしそうな顔になり、どんどん、うつむいていきます。

  「不安なのか? おれが、やってやろうか?」

  うさぎくんは、ぶんぶんと激しく首を横に振りました。そんな、赤ちゃんじゃあるまいし、と思ったのです。

  「言ってくれなきゃ、わかんないぜ。どうしても言いたくないんなら、言わなくてもいいけど、それでも、けつはちゃんと洗わなきゃだめだぞ。大丈夫か? 一人でできるか?」

  うさぎくんは、こくりとうなずきかけて、半分うなずいたところで、止まってしまいました。

  「……できないのか?」

  「…………大きい。」

  うさぎくんは、小声で言いました。

  「なんて?」

  「大きいんだ。」

  「大きい? なにが?」

  恥ずかしそうにうつむいたまま、壁を指差します。そこには、今まさに話題に上がっている、ウォーターガンがありました。

  それを見ても、ねずみくんには意味が分かりません。

  「先っぽ!」

  とうとう、うさぎくんは、怒ったように言いました。

  「先っぽがおっきくて、入らないんだっ。」

  そうして、あまりの恥ずかしさに、涙目になってしまいます。

  「あー。」

  ようやく理解できたねずみくんは、なるほどと何度もうなずきました。それから、

  「よし、ちょっとこのまま待ってろ。」

  と言って、個室から出ていきます。いくつかとなりの個室で音がしたかと思えば、ねずみくんは、金属部品をいくつか手に持って、戻ってきました。

  「ほら、これ。」

  うさぎくんに見せたのは、ウォーターガンのアタッチメント、つまり、取り外し可能な先端の、付け替え部品でした。

  「今じゃ、困ることなんかないから忘れてたけど、確かに、一年のころなんか、小さいの使ってたっけな。」

  球をそのまま小さくしたものや、球状ではあるものの、入れやすいように先が少し細い形になっているものなど、いろいろありましたが、球状ではなく、指くらいの細い棒状のものなら、自分でも入りそうだとうさぎくんは思いました。

  「どうだ、いけそうか?」

  ねずみくんは、改めてたずねました。

  うさぎくんは、ねずみくんがいくつも手に持ったそれを見ながら、少しためらいがちに、

  「うん。」

  と、うなずいて見せました。

  「使わないやつは、用具入れにしまっといてくれ。使えそうなやつは、そだな、どうせ、だれも使わないだろうし、自分専用で持っててもいいと思うぜ。」

  問題が解決して、ねずみくんは、安心したような顔で、言いました。

  「じゃ、おれは行くな。」

  「う、うん……。あっ、ねえ。」

  出ていこうとするねずみくんを、うさぎくんは呼び止めます。

  「その、……ありがと。」

  目を合わせないまま、うさぎくんは言います。

  ねずみくんは、

  「いいってことよ。」

  とカッコよく言って、それから、

  「困ったら、なんでも相談しろよ。おれにでもいいし、ほかのやつにでも。みんな、優しく教えてくれると思うぜ。」

  と言って、ニッと歯を見せて笑い、出ていきました。

  うさぎくんは、一人残ったあとも、しばらく恥ずかしさが抜けず、ドキドキしっぱなしでした。

  ウォーターガンの先端を取りかえて、今度こそおしりに水を注入しながら、うさぎくんは、こんなことを考えていました。

  (あの子、優しいな。それに、可愛い。)

  おしりからピューッと水を排出しながら、さらに、こんなことまで考えました。

  (あの子のちんちん、なめてみたいな。)

  うさぎくんのおちんちんが、硬くなっていました。

  [newpage]

  

  人にはそれぞれ個性があります。ここでも、そういう体質、または遺伝という説明にしておきましょう。

  量が多すぎる子、ゼリーのように濃厚な体液を出す子、だれよりも高く飛ばせる子、だれよりも連発できる子など、個性は人それぞれ、様々です。

  それから、おちんちんが大きい子、太い子、そして、小さい子。

  うさぎくんは、元の学校では、クラスで一番大きなおちんちんを持っていました。

  一年生のころから、いいえ、それよりもっと前から、自分よりも大きなおちんちんを持つ同級生を、見たことがありませんでした。

  別に、おちんちんが大きかったからといって、便利なわけでもありませんが、子供というのは、とにかく、おちんちんが大好きな生き物ですから、ただそれだけで、みんなのヒーローになれるのです。

  もちろん、大きいことを恥ずかしがっていたら、反対にからかわれる原因にもなってしまうでしょう。

  しかし、うさぎくんは、ちっとも恥ずかしがらず、むしろ両手を腰に当て、自慢げに見せつけるような子でしたから、その心配はありませんでした。

  それどころか、おちんちんがビンビンになる様子まで見せたことがあるくらいでした。

  うさぎくんのおちんちんが大きいといっても、大きくなっていない状態のおちんちんの大きさは、遺伝で決まる個性であって、性徴(男の子の機能が現れることです。)を迎え、機能に目覚めたおちんちんがどこまで大きくなるかは、性徴前のおちんちんの大きさからは、予想することができません。可能性の話で言えば、クラスで一番小さなおちんちんが、ビンビンになったら、だれよりも大きなおちんちんになることだって、ないわけではないのです。

  でも、それをうさぎくんが知ることはありませんでした。周りの性徴が起きる前に、転校してしまったからです。

  三年生の時に、初めて白い液体を発射することを覚えたうさぎくんでしたが、周りの子たちのおちんちんは、わざわざ聞く必要がないほど小さく、明らかに何も出ないと断言できるほど未熟でした。その機能を獲得したのはうさぎくんただ一人だったのです。

  そのころからすでに、うさぎくんの興味は同級生の男子のおちんちんに向いていました。

  可愛い同級生のおちんちんをなめているところを想像しながら、毎日、自分のおちんちんをこすって、発射していました。

  (みんな、早く大きくならないかな。)

  そう思っていたのですが、それが実現する前に、新しい学校に行くことが急に決まり、うさぎくんは、残念に思いました。

  ですが、それはそれで、

  (新しいところには、おれくらい大きい子、いるかな。)

  と、楽しみでもありました。

  (でも、どうせ、大したことないんだろうな。)

  と、半分あきらめている気持ちもありましたが。

  そしてついに、体育の授業の時、うさぎくんは、こっそり、周りの子供たちのパンツを見ることができました。

  別にパンツまで脱ぐわけではありませんから、中までは見えませんが、大きさの予想はつくかもしれません。

  ですが、うさぎくんは、それより別のことにおどろいてしまいました。

  半分以上の子が、色は様々ながら、ブリーフをはいていたのです。

  ブリーフ以外といえば、ボクサーブリーフで、どちらも、ぴっちりとしめつけるものということで、共通しています。

  トランクスをはいている子は、うさぎくんしかいませんでした。

  そんなことよりおちんちんですが、おかしなことに、元の学校と違い、この学校では、着替えの時にふざけあう光景が、まったく見られませんでした。

  それは、不思議な空気でした。普段はあんなに騒がしく、元気いっぱいにはしゃぎ回っているのに、着替えの時になると、みんな、だれとも目を合わせず、だまったまま、さっさと体操ズボンをはいてしまうのです。

  それは、もう想像がつくと思いますが、合宿期間外は、おちんちんが勝手に大きくなることもなくなりましたし、おちんちんを入れたくてたまらない気持ちになることもなくなりました。それに、めったなことをして、大人たちにおちんちん遊びのことを知られてしまわないよう、細心の注意を払っているのです。

  (いっそ、自分から話題に出してみようか。)

  と、うさぎくんは思いましたが、転校してまだ日が浅いうちから、そんな大それたことはしたくありません。

  そういうのは、みんなと溶け込んでからの話です。

  とにかく、そういうわけで、うさぎくんは、ろくにパンツを見ることができませんでした。

  そうして、合宿準備というよく分からないことのせいで、ろくに体育の授業もできなくなりました。

  その合宿というのも、うさぎくんにとっては、よく分からないものでした。

  平たく言えば、総合学習の延長という説明もできますが、たとえそう説明したとしても、うさぎくんには理解ができないでしょう。

  だって、総合学習というものも、うさぎくんには初めてのことだったからです。

  この街の子供たちには、それが当たり前のことなのですが、外からやってきたうさぎくんには、すぐには信じられるものではありませんでした。

  新しい学校には、決まった時間割がなかったのですから。

  ほかの街では、この時間は算数、次の時間は国語、次は社会、次は理科と、あらかじめ時間割が決まっているのが普通です。

  しかし、この街の学校では、授業が始まってまずすることは、たいていが外出でした。

  行き先は、校内で済ませることもあれば、街に出てその辺の道を当てもなく歩くこともあります。近くの印刷所や工場に見学に行くこともありましたが、明確な目的地がないことがほとんどでした。明確な目的地がないまま、そのへんのお店にふらっと入って、話を聞くこともありました。

  それで何をするかといえば、子供たちはとにかくメモを取ります。

  日常の景色で気になったこと、少しでも疑問に思ったことを、書き残すのです。

  それを持ち帰り、みんなの前で発表し、知っている子がいれば答え、いなければ先生が頼りです。

  でも、先生がその場で答えを教えることはほとんどありません。

  だれも知らないことを教えること、それこそが、この学校における授業になります。

  このような学習方法を一部取り入れている学校は全国に多くありますが、この街のように、完全にそれをベースとした教育を行うところは、ほかにありません。

  子供たちの疑問に答えられるよう、また、答えられるだけでなく、理解できるようかみ砕いた説明をできるよう、そして、子供たちの成長を見ながら、新たな課題となりそうな目的地に誘導する判断ができるよう、教師には単純な知識に加え、様々な能力が高水準で求められることになります。

  ですが、だからこそ、教師は子供たちの規範となり、あこがれとなる尊い存在になるのです。

  ほかの街で、この教育方針が成功するかどうかは、やってみないことには分かりませんが、少なくとも、この街においては、それは大いに成功しているといえるでしょう。それは、街の人たち全員が、子供たちのために協力を惜しまない気質を持っているからにほかなりません。

  うさぎくんは、とにかく、住人同士の距離が近いことにおどろきました。

  だって、えんりょなく店を訪ねたり、それどころか一軒家にえんりょなしに上がり込む子供たちに、住人はいやな顔ひとつせず、お茶菓子を出しておもてなしをするのですから。

  その様子を見た近所の人も集まって、みんなで昔話が始まることもありました。

  うさぎくんは、自分がいた街では、自分は自分、他人は他人という考えの人が多かったという印象でしたが、この街はぜんぜん違います。

  街並みはあまり変わらないのに、住んでいる人が、こんなにも違うなんて。

  転居して間がないのに、うさぎくんは、もう、この街が大好きになっていました。

  さて、そういうわけで、合宿が始まる直前になるころには、うさぎくんは、合宿の意義をちゃんと理解していました。

  最上の自分を追求する期間、エスト・ウィーク。

  子供たちだけで行う合宿、エストレイン・キャンプ。

  (大人に負けないよう、子供だって、ちゃんと、がんばらなきゃいけないんだ。)

  うさぎくんは、より成長した自分の姿を、無事に帰って、お父さんに見せてやるんだと、強く意気ごみました。

  いつの間にか、おちんちんのことが気にならなくなっていることに気が付いても、心が大人になったんだと思いました。

  そして、ついに、誰もが待ち望んだその日が、やってきます。

  [newpage]

  

  三年生の春と秋は、山の中にある旧小学校、〝山麓小学〟で合宿を行いましたが、四年生になった今回は、新しい場所に舞台を移します。

  バスは街を走り、街を外れ、きれいに整備された海沿いの道を走っていきます。

  運転手は、くろひょうのお兄さんではなく、みけねこのお姉さんでした。

  話を聞くと、くろひょうのお兄さんの後輩とのことでしたが、くろひょうのお兄さんよりも華麗なハンドルさばきで、バスを走らせていました。

  子供たちは、窓から[[rb:覗 > のぞ]]く美しい海の景色を眺めながら、くろひょうのお兄さんのことを考えていました。

  くろひょうのお兄さんは、たぶん、新しい三年生を、あの旧小学校に送り届けているところなのでしょう。

  桜や草花が美しい、あの合宿場に。

  四年生は、どうやら海に近い場所になるようで、春らしい風景はあまりなさそうですが、去年までとガラリと変わる環境に、みんな、むしろワクワクしていました。

  合宿自体が初めてのうさぎくんは、まずは、自分が担当する仕事を、きちんとこなすことから始めようと思いました。

  うさぎくんは、三班の洗濯係になりました。

  ついでに、軽く紹介しておくことにしますが、去年までと違い、班も係もガラッと変わっているので、戸惑ってもいけませんし、ここでは、うさぎくんの同じ三班の子だけ紹介することにしましょう。

  まず、ろばくん。恋人のいぬくんとは班が分かれましたが、いぬくんと同じお風呂係になりました。

  次に、ぶたくん。前回は写真係でしたが、今回は献立係です。前回、うまくんといい感じになりましたが、いぬくんたちのような恋人の関係にはなっていないようですね。

  次は、さるくん。前回は洗濯係でしたが、今回は写真係で、班長です。

  それから、ねずみくん。前回は洗濯係でしたが、今回は一人だけ用意されるゴミ係です。青空小学校の子供たちが集まる場所のゴミを集め、焼却炉に持っていくだけの簡単なお仕事です。

  というのも、うさぎくんに洗濯係のお仕事を教える役目も引き受けていましたから、それを心配したみんなの[[rb:配慮 > はいりょ]]でした。

  料理をしたこともなければ、栄養学の知識もなく、菜園の世話も分からず、野草を見分けることもできないうさぎくんには、できることが限られていました。

  「それなら、おれが、大事な大事な洗濯の仕方を、教えてやるよ。」

  と、ねずみくんは、うさぎくんがしょんぼりしそうになるのを即座に見抜き、フォローしてくれたのです。

  うさぎくんは、ねずみくんに感謝しながら、たくさん学ぶことの必要性をひしひしと痛感しました。

  (おれ、ぜったい、立派な大人になってやる!)

  キラキラと輝く海に向かい、うさぎくんは、そう心に誓いました。

  (ジコケンサン!)

  同じ班のろばくんに教えてもらった言葉とともに。

  バスは、子供たち十九人と、それぞれの想いを載せ、くねくねした道を、右に曲がり、左に曲がり、トンネルを抜け、坂を上り、坂を下り、ようやく、合宿場所にとうちゃくしました。

  みけねこのお姉さんが、バスの窓から大きく手を振りながら去っていくのを見送り、子供たちは、まず記念撮影をしました。

  多くの子が前年と違う係をしている中、おおかみくんは、今年も撮影係に選ばれました。名誉あることです。

  新参者のうさぎくんは、気配を隠して端っこに寄りましたが、いぬくんに見つかり、

  「なにやってんだよ、主役!」

  と、真ん中に引っ張られてしまいました。

  そうして、自分を取り囲むように子供たちがピースをするものですから、うさぎくんも、負けじと両手でピースをして見せました。子供たちの屈託のない笑顔がまぶしい、素晴らしい写真が撮れました。

  緑風小学校のバスと、赤星小学校のバスが、ほぼ同時にやってきました。

  降りてくる面々は、どちらの学校も去年と同じです。

  学校は違えども、家が近かったり、合宿で友達になった子とプライベートで遊んだりしている子も多いですから、去年のようなぎこちなさは、もうありません。

  気さくにあいさつを交わし、握手をし、しばし歓談しました。

  そんな中、話題がうさぎくんに移ります。

  「おっ、こいつだな。うわさの転入生。」

  たぬきくんが、やはりピチピチの体操服からでべそを見せながら、やってきました。ゼッケンには、これまたやっぱり、薄い3の上から、濃く書かれた4が重ねられています。子供の成長は、早いものです。

  「うわさ?」

  と、うさぎくんは首をかしげましたが、住人同士の距離が近いということは、うわさが広がるのも早いのだろうとすぐに気がつきました。

  たぬきくんは、

  「おうともよ。」

  と言ってから、うさぎくんの体をジロジロとなめるように見て、

  「ふーん。話に聞いたよりも、ずっとちっさいな。ふいたら飛んでいきそうだぜ。」

  と、初対面の相手に対して失礼なことを言いました。それから、

  「さっさと、入所式、すませようぜ。」

  と言って、勝手に歩いて行きました。

  たぬきくんがいなくなってから、きつねくんが、こそこそやってきて、

  「ごめんね、うちの班長が。気を悪くしないでね……。」

  と、申し訳がなさそうな顔で、言いました。

  「でも、あいつ、悪いやつじゃないぜ。」

  と言ったのは、おおかみくんです。

  おおかみくんは、たぬきくんのライバルである自分は、それを知っていると言わんばかりに、フォローを入れました。

  「そう言えるのは、学校が違うからだよ……。」

  きつねくんは、どことなくうらみがましそうな目で、おおかみくんを見ながら、

  「あれからぼくが、どれだけひどい目にあったか……。」

  と、泣きそうな顔で言いました。

  「まあ、まあ。そういう話を今してもしかたないんじゃないかな?」

  うさぎくんは、変になり始めた空気を断ち切るように、明るい声で言いました。

  「そうそう。人それぞれ感じ方が違うだけだって。」

  いぬくんも、明るく言ったので、きつねくんは、

  「うう……。やっぱりぼく、いやなやつだ……。」

  と、自己けんおにおちいってしまいました。

  みんなは、きつねくんをなぐさめながら、建物があるところに歩いて行きました。

  ですが……。

  [newpage]

  

  ザー……。ザパー……。ザーン……。

  たぬきくんが、うでぐみをしながら、打ち寄せる波を見つめていました。

  おだやかな波に、心地のよい風、美しい砂浜。新しい合宿場は、絶景を臨む素晴らしい立地でした。

  ですが、それだけでした。

  必要な設備は何でも用意されていた前回と打って変わり、今度の合宿場は、寝泊まり用の簡素なコテージハウスが三つと、屋内レクリエーションを行うためのコテージハウスがひとつ、そして、それに囲まれた真ん中に、大浴場のみがある建物が連結されていました。

  大浴場の大きさは、前回と同じくらいで、一校ずつなら、全員一緒に入っても、それなりに余裕をもって入浴ができそうな大きさです。

  しかし、コテージハウスは、ひとつひとつがその大浴場よりも小さかったのです。

  一応、布団はたたんで用意されていましたし、机を立てて端っこに寄せて、布団を敷き詰めてぎゅうぎゅうになれば、全員で寝ることも不可能ではありませんが、少しばかり、いいえ、だいぶきゅうくつになるでしょう。

  それよりも何よりも、ひとつのコテージにつき、キッチンがひとつしかないところが、まずおかしいことでした。家庭科室などありません。

  「なるほどな。」

  と、うでぐみをしたたぬきくんが、かんろくのある背中を見せつけながら、言います。

  「つまりな、テントで寝ろってことなんだよ。」

  そう、コテージハウスは、台風など緊急時の避難場所、それから食材の保管庫でしかないのです。

  もちろん、ひと班、ふた班であれば、ゆとりを持ってコテージハウスで寝ることはできます。一日ずつ順番に交代すれば、トラブルだって起きません。

  ですが、

  「これはおれたちへの試練だ。受けて立とうじゃねえか。なあ。」

  と、たぬきくんに言われれば、みんな、

  「もちろんだ!」

  と、やる気に燃えながら、言うものです。

  ですが、言うは易く行うは難し、なかなかどうして、その試練は険しいものでした。

  まず、立地的に、マリンキャンプにつきものの、屋外炊事場くらいはあると、だれもが思いましたが、どこを探しても見当たりませんでした。

  コテージハウスと大浴場周辺を除けば、人工物は、コンクリートに囲まれた釣り堀だけです。

  あとは、一面に広がる海と、砂浜と、松を含む雑木林だけです。

  さて、どうしたものでしょう。

  コテージハウスを改めて見てみると、鍋や包丁などの調理器具がそれなりの数が用意されており、おあつらえ向きに、折りたたまれた[[rb:三脚 > トライポッド]]がありました。鍋をそれに吊るし、それで調理をしろということです。なかなかに野生的ですね。

  前回の合宿で日程に盛り込まていた[[rb:史跡 > しせき]]めぐりやハイキングなどが、ごっそりなくなっていました。

  つまり、敷地の外での行事はありません。

  砂浜で食事をし、砂浜で眠り、生きることに専念させるためなのでしょう。

  これだけ聞くと、子供たちに少々無理をさせているのではないかと思われるかもしれませんね。

  でも、大丈夫。外にこだわらずとも、狭いコテージハウスだけでも一応は寝食を完結させることができるのですから。

  外でのチャレンジは、プラスアルファでしかありません。

  それに、三校の子供たちは、みんな強く、たくましく、見事にそれをやってのける力があります。

  「用意されてる[[rb:薪 > たきぎ]]じゃ足りねえ。まずは[[rb:薪 > たきぎ]]集めだ。」

  と指示を出す宮大工の息子のたぬきくんや、

  「松は切るな。焚き付けに使うだけだから、落ちてるぶんだけで足りる。」

  と続けた材木店の息子のねこくんの助言もあり、初日のうちに、生活の基盤を築いたのです。

  普段の屋外学習で、みんな、様々な知識を培っていたことも大きいですね。

  転校生のうさぎくんは、みんなについていくこともできませんでしたが、ねずみくんに、「次はあれ。」とか、「次はこれ。」とか、指示を出してもらい、ねずみくんのお手伝いをすることで、なんとか、働いたという気になれました。

  日が暮れるまでに、[[rb:薪 > たきぎ]]集めやテントの設営を終わらせなければならなかったので、みんな、遊ぶ余裕なんてありませんでしたが、仕事を終え、日が暮れ、

  「風呂はいるぞー!」

  「よっしゃー!」

  と、やっと、砂や土に汚れた体を洗えることになった時は、大いに沸きました。

  「テキトーに空いたやつから入ろうぜ。」

  と、たぬきくんが言ったので、学校ごとに分かれることはせず、みんな、思い思いのタイミングで入ることになりました。

  簡素な建物ですから、脱衣所なんて、ありません。なにせ、コテージから大浴場につながるドアを開けると、すぐそこがお風呂場なのです。

  つまり、服を脱いだり、着たり、体をふいたりするのは、コテージでしなければなりません。

  コテージの中に、だれかがいたら、丸見えになってしまうということです。

  もしも、うさぎくんが、

  (おれのちんちんがおっきいって、みんなにからかわれたら、どうしよう。)

  と、考えてしまうような子だったら、ちょっとかわいそうだったかもしれませんが、うさぎくんに限って、その心配はありません。

  (やった、ついに、この時が!)

  なにせ、早くほかの子のおちんちんが見たくて見たくて仕方がなかったのですから。

  うさぎくんは、一番楽しみにしていたイベントに喜びを隠しきれず、

  「ねえ、いこっ、いこっ。」

  と、ねずみくんを誘って、大浴場に連れて行きました。

  三班のほかのメンバー、ろばくん、さるくん、ぶたくんも、それに続きました。

  うさぎくんたちは、一番乗りでした。青空小学校のコテージには、ほかに、だれもいません。

  汚れたジャージは外で脱ぎ、中に入り、大浴場につながるドアの前に立ち、ついに、体操服に手をかけます。

  うさぎくんは、コテージの内装を見回す振りをしながら、さりげなくほかの四人を見ます。

  みんな、まだシャツを脱いだところです。

  うさぎくんも、みんなと同じくらいのペースに合わせ、シャツを脱ぎ、ズボンを脱ぎます。

  みんなのパンツがあらわになりました。

  ねずみくんは白のブリーフ、ぶたくんも白のブリーフ、さるくんもブリーフですが、高級そうなブラックです。ろばくんは、迷彩柄のボクサーでした。

  それを見るなり、

  「あっ。」

  と、うさぎくんが声を上げます。

  「ん? ああ、同じ柄だな。」

  うさぎくんのトランクスも、迷彩柄だったのです。

  「すごい、ぐうぜんだねっ。」

  「こないだ、買ってもらったばかりなんだ。」

  共通の話題ができたことで、うさぎくんの、おちんちんに対する意識を隠すことができそうでした。

  そうして、きわめて自然に、そして、うさぎくんにとっては都合よく、五人全員が向かい合いながら、パンツのゴムに親指を入れ、下ろしていきます。

  ついに、この時が。

  自分のおちんちんをおひろめする時が。

  そして、みんなのおちんちんの発育を、その目で見る時が。

  (どうせだから、見せつけちゃおう。)

  うさぎくんは、勢いよく、するっとトランクスを脱ぎ、右足を抜き、左足を大げさに上げて抜き、わざと、おちんちんを揺らして見せました。

  うさぎくんのおちんちんは、ぷるん、ぷるんと、大きく揺れました。体をたくさん動かした後ですから、陰のうも、縮こまっておらず、伸びていました。おちんちんの動きに合わせ、たゆん、たゆんと、立派に男としての機能を持つそれを、どうだと言わんばかりに、見せ付けました。

  「えっ!?」

  あまりの大きさに、おどろく声がしました。

  「ん、どうした?」

  と、ねずみくんが首をかしげます。

  「え、え、え……。」

  あまりの大きさに、おどろきはつのるばかり。

  ねずみくんのおちんちんが、ぷらん。

  さるくんのおちんちんが、ぷらん。

  ぶたくんのおちんちんが、ぶらん、ぶらん。

  ろばくんのおちんちんなんて、ぶらん、ぶらん、でろん。軽い動きだけで大きく揺れます。

  ねずみくんの目線が、うさぎくんのおちんちんに移り、それから、

  「あー。」

  取りつくろうように、天井の方を向き、そうして、

  「さ、早く入ろうぜ。いっぱいになる前に、ぱぱっと洗っちまおう。」

  と、裏返りそうな声で言いながら、うさぎくんの背を押して、大浴場に入りました。

  ろばくんも、ぶたくんも、さるくんも、うさぎくんのおちんちんに、気が付いていました。

  大浴場には、もう、十人もの子供たちがいました。

  前の合宿場の大浴場のように、シャワーが壁際に並んでいましたから、ねずみくんは、うさぎくんを早くそこに座らせようと、そそくさと連れて行きましたが、

  「おい、なんでぇ、そのちんぽは。小指ほどしかねえじゃんか。」

  浴そうの真ん中でえらそうにしゃがんでいたたぬきくんが、うさぎくんを見るなり、真っ先に言ってしまったのです。

  それで、残る九人の子供たちの視線が、うさぎくんのおちんちんに集中してしまいました。もちろん、たぬきくんのように、それを見たからといって、何かを言うことはありませんでしたが。

  うさぎくんのおちんちんは、小指というのは言い過ぎにしろ、ここに集まる子供たちの中では、控えめに言っても、大幅に小さいと言うしかないものでした。

  (前の学校じゃ、一番大きかったのに。)

  それは本当でした。うさぎくんは、だれよりも大きなおちんちんを持っていました。

  (なんで、どうして?)

  うさぎくんには、分かりません。

  「見ろ、これが本物のちんぽってやつだ。」

  たぬきくんは、ザバ、と浴そうの中で立ち上がります。

  うでぐみをして、仁王立ち。

  「え、ええええええーっ!?」

  ででーん、と存在を主張するおちんちんを見た瞬間、うさぎくんは、大浴場の中にひびきわたるほど、大きな声を上げておどろいてしまいました。

  だって、おちんちんもさることながら、そこからぶら下がる陰のうは、[[rb:橙 > だいだい]]ほどもあったからです。しかも、お湯に浸かったことで、ちぎれてしまいそうなほど、皮がのびていました。

  それだけ、中に詰まった睾丸は、重く大きいということです。

  大きく目を見開いたまま、これまたあんぐりと大きく口を開けたまま、うさぎくんは、しばらく何も言うことができませんでした。

  たぬきくんは、ざぶ、ざぶ、とお湯の中を歩いてきて、

  「ま、気を落とすなよ。成長したら、そのうち、でっかくなるからよ。」

  と言って、うさぎくんの肩をぽんと叩きます。

  その時、たぬきくんのおちんちんと自分のおちんちんが同時に視界に入ってしまったせいで、その圧倒的な差を、いやでも突き付けられてしまいました。

  その差は、二人のものを見た目で比較して、だいたい何倍くらいかなと、おおよその計算を出すことが困難なほどの差があったのです。

  「きみ!」

  さるくんが、これまた大浴場にひびきわたるほどの声で、叫びました。

  「きみは、ほんとうに、口が悪いですねっ。」

  「別に、いいじゃねえか。それよりお坊ちゃん、明日のことだけどよ。」

  「お坊ちゃんとは、なんですか。」

  「明日、予定を繰り上げて、ビーチバレーやろうぜ。」

  「何を勝手に決めているのですか。きみが、やりたいだけでしょうっ。」

  「じゃ、そういうことで。ゆっくりつかれよ。」

  たぬきくんは、さるくんの返答などまったく気にとめることもなく、歩き去っていきました。その後ろ姿、足のすきまから、大きすぎる陰のうが、ぶらぶらと揺れていました。

  「まー、その、気にすんなよ。」

  ねずみくんが、うさぎくんをなぐさめるように言います。

  「あいつ、ちんこでっかいからって、態度もでかいんだ。」

  ねずみくんのなぐさめは、なぐさめにはなりませんでした。

  だって、前の学校でのうさぎくんも、おちんちんが一番大きいからって、ほこらしそうにしていましたから。

  「あれは、[[rb:生来 > せいらい]]の[[rb:気質 > きしつ]]というやつですよ。」

  と、さるくんが言います。

  「態度の大きさは、おちんちんの大きさとは、無関係です。」

  何の根拠もないのに、さるくんがそう言いましたが、ろばくん、ぶたくん、ねずみくんの三人は、

  「たしかに。」

  と、さるくんのおちんちんを見ながら、口をそろえて言いました。

  さるくんは、

  「なっ! どうしてぼくのおちんちんを見るのですか!?」

  と、自分のおちんちんを見て、それから三人を順番に見て、ぷんぷんと怒りました。

  「そりゃ、確かに、おまえの言うように、態度がでっかいくせに……ってやつが、いるからな。」

  「ぼくの態度は大きくありませんし、それに…………いえ、やめましょう。みんなが使うお風呂場で、みっともありません。」

  さるくんは、もっともらしいことを言いましたが、うさぎくんに対する配慮でもありました。

  だって、子供たちの中でおちんちんが一番小さかったさるくんでさえ、うさぎくんのおちんちんよりも、はるかに大きかったからです。

  実際、さるくんのおちんちんは、うさぎくんがビンビンになっても、及びません。

  完全にだまってしまったうさぎくんを、ねずみくんはどうにか元気づけようとして、

  「元気出せよ。ちんこなんて、大人になったら、みんなおっきくなるもんなんだよ。」

  と言いましたが、何の事情も知らないなぐさめは、なぐさめどころか、追い打ちになってしまいました。

  だって、うさぎくんのおちんちんは、もう、すっかり、大人の機能を持っていたからです。

  ねずみくんが、子供の未熟なおちんちんであると判断したそれは、もう、とっくの昔に、成長が打ち止めになった、完成形だったのです。

  うさぎくんは、少なくないショックを受けました。

  別に、子供たちの中で一番になりたかったわけではありませんが、新しくできた友達と、おちんちんの比べっこをして、どっちの方が大きいか、勝負したいなと思っていました。

  ですが現実は、逆の方向での一番でした。比べっこをしようとしても、勝負にならないことは、見ただけで分かります。

  次から次へと大浴場に入ってくる子供たちがぶら下げるおちんちんの中に、うさぎくんと小ささ勝負をできそうなものは、ひとつとしてありませんでした。

  でも、大丈夫。うさぎくんは、こんなことでへこたれるような子ではありません。

  夜、テントの中で横になったうさぎくんは、

  (すっごく恥ずかしかったな。まさか、一番小さいだなんて。)

  と、世界の広さを知ると同時に、

  (でも、前のところと比べたら、こっちの方がいいや。)

  と思いました。

  周りがみんな未熟な中で、自分だけが大きなおちんちんを持つよりも、みんなが大きなおちんちんを持つ中で、自分だけが小さなおちんちんを持っているほうが、よっぽどいいからです。もちろん、ちょっとは、悔しいですが。

  (みんな、あんなにおっきいってことは……。)

  と、うさぎくんは想いをはせます。

  (いっぱい、出るのかな。……なめてみたいな。あの子のちんちん。)

  うさぎくんは、ねずみくんのぶらぶら揺れるおちんちんを思い出しながら、眠りにつきます。

  久しぶりにおちんちんが勝手に大きくなっているということに、寝ながら、気が付きました。

  それが気になって気になって、うさぎくんは、なかなか、眠ることができません。

  したくてたまらないというほどではありませんが、おちんちんをいじりたくなったのです。

  (そういえば。)

  と、うさぎくんは、ふと気が付きます。

  そういえば、という程度なので、大事なことではありません。

  大事なことではないので、それを考えながら、うとうと、うつらうつら、じょじょに眠りに入っていきました。

  うさぎくんが気が付いたのは、

  (この合宿、発情の時期とかぶってるなぁ。)

  というような、どうでもいいことだったのです。

  もっとも、それは、くうくうと寝息を立てるうさぎくんにとっては、の話なのですが。

  発情なんて、うさぎくんにとっては、取るに足らないことでした。

  でも、ここではそうでないことをを、うさぎくんは、知りません。

  なにも知らないうさぎくんが寝始めて少しすると、だれかが、もぞもぞと体を起こしました。

  それは、ろばくんでした。

  ろばくんは、できるだけ音を立てないよう、ゆっくり、ゆっくり、テントの外に出ました。

  いろんな場所に設置されたテント群の、ちょうど中央あたりに、たき火の明かりがありました。

  キャンプファイヤーではありませんよ。前の合宿と違い、[[rb:薪 > たきぎ]]は現地調達なので、節約しなければなりませんからね。

  燃え残りの[[rb:薪 > たきぎ]]を集めて作った、もってあと二十分くらいの、小さなたき火でした。

  それを使って、ついでに明日燃やす[[rb:薪 > たきぎ]]の乾燥をしているのです。

  その周りに、数人の子供たちが集まっていました。

  いぬくんと、おおかみくんと、たぬきくんです。

  「おまえも、眠れないのか?」

  いぬくんが、たずねました。

  ろばくんは、

  「うん。」

  とだけ言って、いぬくんのとなりに、座ります。それから、体をピタリと寄せ合い、手と手を、にぎり合います。

  二人は、前の合宿を終えてから今回まで、一度も、はだかで体を合わせたことはありません。

  ほかの子と同じように、合宿期間外では衝動が湧いてこないこともありますし、大人たちにバレないようするためでもありますが、こんなふうに、手をにぎり合っているだけで、心がほっこりと満たされる気持ちになるからというのもあります。

  もちろん、おちんちんを触りたい気持ちもありますし、しゃぶりたい気持ちもありますし、入れたい気持ちもあります。それでもがまんができたのは、次の合宿で、思いきり望みをぶつけ合うことができると信じていたからです。

  そうなれば、がまんをするのも、苦にはなりません。それどころか、恋心は、さらに強くなるばかりです。

  にぎり合った手から、お互いの脈拍を感じて、同じ気持ちをいだいていることを確かめられれば、それでじゅうぶんなのです。

  ですが……。

  「やっぱり、がまんしたほうが、いいよなあ。」

  と、いぬくんが言います。

  「転入生のことだろ。」

  と、たぬきくんが言います。

  「まあ、そうだろうな。」

  と、ろばくんが言います。転校生であるうさぎくんは、新しい学校にいる子供たちが、三年生の春と秋の合宿で、あんなことをしたなんて、知る由もありません。

  そんな子の前で、はだかになって歩いたり、おちんちんで遊んだり、できるはずがありません。

  「でも、がまんできるか?」

  と、おおかみくんが言います。黒い鼻が、ヒクヒクしています。

  「おまえも、感じる?」

  いぬくんが、おおかみくんにたずねます。

  「ああ。前回よりも、早いな。」

  おおかみくんは、うなずいで答えました。

  ろばくんは、発情のことだと気付きましたが、口をはさみませんでした。

  ろばくんは、やはり今回も、何も感じていなかったのです。

  「がまん、かぁ。」

  いぬくんは、ため息を吐きながら、言います。

  「今はできる。でも……。」

  「あした、あさってになったら、どうなるか、分かったもんじゃない。」

  と、おおかみくんが、いぬくんの言葉に続けました。

  いぬくんは、こくりとうなずきながら、

  「そうなったとき、あいつが危険な目にあうかもしれないな。」

  と、神妙な顔で、言いました。

  「まあ、がんばってがまんするしか、ないだろうな。」

  と、たぬきくんが言います。それから、

  「おれも、なにか手を考えてみる。」

  と続け、よいしょ、と立ち上がり、

  「明日はビーチバレーだぞ。早いとこ寝て、疲れを取っとけよ。」

  と、ライバルに向かって言い、自分のテントに向かって、歩いていきました。

  しっかりと火を消し、ほかの子供たちも、それぞれ、帰っていきました。

  [newpage]

  

  おちんちんでは、一番小さいことで目立ってしまったうさぎくんですが、次の日、いい意味で、大いに目立つことになりました。

  「ナイスアタック! ヒュー、やっるう!」

  「えっへへー。やったあ!」

  見事なアタックを決めたうさぎくんが、ねずみくんとハイタッチをしました。

  この合宿場にある建物は、コテージハウスが計よっつと大浴場のみという話はしましたね。

  ほかの建物はありません。建物ではありませんが、釣り堀が、そのほかに存在する、ゆいいつの人工物です。

  ということは、つまり、体育館もないということです。

  でも、その代わり、ビーチバレーのネットがレクリエーション用のコテージハウスの中にありました。

  それで、ポール代わりの木も用意して、二日目は、スポーツ大会をするぞということになったのです。それは、主にたぬきくんの意向だったのですが。

  前回まで、子供たちは合計六十人いましたが、今回は、うさぎくんが加わったので、六十一人です。

  六人制にしろ、四人制にしろ、二人制にしろ、割り切ることができません。

  どうしても、あふれてしまう子が出てきてしまいます。

  別に、深く考えず、ローテーションにすればいいようなものですが、たぬきくんは、

  「転入生がいるチームは、プラス一人にしてやる。」

  なんて、えらそうに言いました。

  それが、ふたを開けてみると、うさぎくんの大活躍です。

  うさぎくんは、きゃしゃなぶん、力は少し弱いですが、元いた学校では、足はトップクラスに速く、ジャンプ力だって、トップクラスのものを持っていました。

  相手がどれだけ高く飛んでブロックしようとしても、うさぎくんは、それを超える高さからアタックを放ちました。

  力は弱くても、よゆうをもって、だれもいないところを狙うことができたのです。

  最初に行った六人制のルールでは、うさぎくんのいるチームが圧倒的な力の差を見せ付けて優勝しました。

  言い出しっぺのたぬきくんは、力は強いものの、高くジャンプすることを得意としていません。

  足も速くありませんから、守備範囲も狭くなります。これは、力だけでは補えない部分ですね。

  「ま、たまにゃ、花を持たせてやんねえとな。」

  と、おおかみくんに向かって負け惜しみを言ったり、

  「人数が多いんだから、そりゃ優勝するよな。」

  と、言い出しっぺのくせに、うさぎくんに負け惜しみを言ったりしました。

  それならと、おおかみくんは、

  「じゃ、次、二人制でやろうぜ。おまえんとこは、三人でいいぜ。」

  と、意趣返しのように言いました。

  「人数が多いんだから、とうぜん、優勝できるよな?」

  と、さらにちょうはつを加えれば、たぬきくんは、

  「言ってくれるじゃねえか。いいぜ、乗ってやるよ。」

  と、めらめらと燃える目で、受けて立ちました。その気合の入れようは、褌一丁になって、とてつもなく大きな音でおなかを叩くほどでした。

  たぬきくんの、手加減なしの本気モードです。

  その結果、

  「ナイスアタック! おまえ、最っ高!」

  「やったあ! 優勝だあ!」

  「このおれが、手も足も、出ないだと……。」

  ダイビングキャッチをしようとして失敗したたぬきくんは、体重が災いして、砂浜に深くめりこんでいました。

  この活躍で、うさぎくんは、みんなのヒーローになりました。

  うさぎくんは、なんだか、おちんちんの汚名まで挽回できたような気持ちになりました。

  ビーチバレーが終わり、少し野生的なお昼ごはんを食べたあと、洗濯係としての初仕事がありました。

  ねずみくんに教えてもらいながら、今日のスポーツ大会の話を、たくさんしました。

  うさぎくんとペアになれてよかったと、ねずみくんは言いました。

  うさぎくんだって、ねずみくんとペアになれてよかったと言いました。

  だって、ボールはソフトタイプでしたから、回転をかけたサーブで相手をほんろうすることもできましたが、ちょっと欲張ると、すぐにサーブミスをしてしまいます。

  子供というのは目立ちたがり屋です。そんな中、ねずみくんは、堅実なサーブを心がけたのです。

  それが、自分への信頼であると、うさぎくんには分かっていました。

  ミスさえしなければ、きっと、決めてくれる。そう信じてくれていたのだと。

  うさぎくんは、ねずみくんのことが、好きになっていました。

  もちろん、うさぎくんは、恋心なんて知りませんから、

  (この子のちんちん、気持ちよくしてあげたいなあ。)

  と、性欲に直結してしまうのですが、それもまた、子供が抱く恋心の向かう先としては、健全的だと言えるでしょう。

  ですが、

  (でも、男の子のちんちんに興味があるなんてバレたら、今度こそ、みんなに……。)

  うさぎくんは、そんな願望を、がんじょうなおりに閉じ込めています。

  なぜなら、男の子のことを好きになってはいけないからです。世間がそれを許さないことを、うさぎくんは知っていました。

  それで、前の学校で好きだった可愛い男の子に、アプローチをかけることができなかったのです。

  そしてここでもまた、さりげなくおちんちんをのぞき見ることで、無理やり満足しようとしていました。

  もんもんとした気持ちのまま夜を迎えたうさぎくんは、

  (あの子もおっきい。あの子もだ。うわ、あの子の太さ、やばすぎ。)

  一番にお風呂に入り、やってくるすべての子のおちんちんを観察しようとしました。

  というのも、もしかすると、うさぎという種族だから、おちんちんが小さいんじゃないかと、ほんの少しですが、思ったからです。

  でも、言うまでもなく、緑風小学校にいたあおうさぎくんも、赤星小学校にいたくろうさぎくんも、みんなと同じくらい大きなものをぶら下げていました。

  それで、あきらめがついたうさぎくんは、全員のおちんちんを見ながら、それが大きくなった想像をして、おちんちんを硬くしていました。

  そうして、本命のねずみくんが、体を洗ったあと、シャワーで泡を流しながらぶらぶらさせているおちんちんを見ながら、とうとう、がまんができなくなって、浴そうの中で白い液体を発射したのです。こんなこと、ぜったいに真似をしてはいけませんよ。

  うさぎくんが出した体液は、すぐにばらばらになって目に見えなくなりましたが、自分の出した体液がふよふよと漂っているはずのところに、何も知らないねずみくんがやってきたので、うさぎくんは、ひどく興奮して、のぼせてしまいました。

  「ん? おい、だいじょうぶか?」

  「だいじょうぶだよ。実は、おふろ、大好きなんだ。もうちょっと、いるから、先に、上がってて、いいよ。」

  とうさぎくんは言いましたが、息が上がっているのはねずみくんにも分かります。

  「さては、のぼせてんな。いいから、出ろ。」

  「だ、だぁいじょうぶ、だってぇ。」

  うさぎくんは、息切れを起こしながらも、なんとか大丈夫をアピールしようとしました。

  本当は大丈夫ではないのですが、大きくなったおちんちんを見られたら大変です。

  「おーい、手ぇ貸してくれ。こいつ風呂から上げるぞ。」

  ねずみくんは、ろばくんを呼んで、うさぎくんを引き上げました。

  ああ、なんということでしょう。みんなの前で、うさぎくんのおちんちんが!

  ……でも、大丈夫でした。

  目を回したおかげで、うさぎくんのおちんちんは、すっかり、元の大きさに戻っていました。

  うさぎくんは、ねずみくんに介抱されながら、コテージハウスの中で、のぼせた体を休ませました。

  「ごめんね、ありがとう。」

  「いいっていいって。気にすんな。」

  ねずみくんは、そうするのが当然のように、良くしてくれます。

  濡れた体をふいてくれましたし、パンツをはかせてくれました。うちわの代わりになるものを探してきてくれました。冷たい水も飲ませてくれ、氷水で頭を冷やしてもくれました。

  「歩けるか? 外に出て、たき火のところに行こうぜ。完全に乾かさなきゃ、寒くなっちまうからな。」

  「うん。もう大丈夫そう。」

  うさぎくんは、すっかり元気になっていましたが、ねずみくんは、それでも心配そうに、うさぎくんの背中をさすっていました。

  (ほんと、優しいな。)

  と、うさぎくんの胸が苦しくなります。それと同時に、うさぎくんは、おちんちんが硬くなるのを感じました。

  でも、大丈夫です。うさぎくんのおちんちんが大きくなっても、ねずみくんは、それを認識しませんでしたから。

  ですが。

  「……あー。」

  コテージハウスを出て少ししたころです。

  ねずみくんが、変な声を出して、歩みを止めてしまいました。

  いったいどうしたんだろうと、うさぎくんはねずみくんの様子をうかがいます。

  でも、うさぎくんから逃げるように、ねずみくんは体を背けていきます。

  「ちょっと、用事を思い出した。一人で歩けるか?」

  背を向けたまま、ねずみくんは言います。

  「うん、大丈夫だけど。なんか、手伝えることある?」

  「だいじょうぶ、だいじょうぶ。一人で、ヨユーだから。」

  そう言って、ねずみくんはコテージハウスの方に戻っていきます。

  そこでうさぎくんは違和感を覚えました。

  ねずみくんの姿勢が、何やら、おなかを押さえているように、前かがみだったのです。

  (もしかして、体調が悪いのかな。おれのことばっか気にしたせいで、湯冷めしちゃった?)

  もしそうなら、うさぎくんは悔やんでも悔やみきれません。

  自分が変なことを考えたせいで、あんなことになって、そのせいで、迷惑をかけてしまったなんて。

  「ねえ、待って。」

  うさぎくんが、ねずみくんを追いかけて、肩をつかみました。

  「わわっ!?」

  まさか追いかけてくると思ってもいなかったねずみくんは、転びはしなかったものの、バランスを崩してしまいます。その時でした。

  「……えっ?」

  ねずみくんの体が、うさぎくんの方を向いたその時、うさぎくんは、ねずみくんの体操ズボンに、大きなふくらみができているのに気が付きました。

  「あー……。」

  ねずみくんは、気まずそうに頭を押さえ、

  「まあ、なんでもない。気にすんな。」

  と言って、うさぎくんの肩をポンポンします。

  でも、うさぎくんは、

  「気にするよ。だって、ほら。」

  と言って、自分の体操ズボンを指差します。分かりにくいなと自分でも思ったので、うさぎくんは、生地を押さえて、形をくっきりさせました。

  「なんだ、おまえもなのか。」

  うさぎくんは、こくりとうなずきます。

  ねずみくんは、きまりが悪そうに、頭をぽりぽりとかく振りをしながら、あたりをキョロキョロ見回しました。

  そうしながら、ねずみくんは、

  (二日目でこれか……。)

  と、心の中でつぶやきました。

  やはり、自分と同じように、発情している子の姿が目立ちました。しかも、その度合いは、去年より大きいようでした。

  「ちょっと、落ち着かせようぜ。」

  ねずみくんは、うさぎくんに手を伸ばします。

  うさぎくんは、ドクンと胸が高鳴るのを感じました。

  もしかすると、いや、もしかしなくても……?

  うさぎくんは、伸びてくる手を期待の眼差しで見つめます。

  その手は、おちんちんに向かい、……通り過ぎました。

  ねずみくんは、うさぎくんのおしりに生える、ふわふわのしっぽをつかみました。

  「えっ、何して……。」

  ねずみくんは、うさぎくんのしっぽを、優しい手付きでこすります。

  「なにって、しっぽこすったら、気分が落ち着くんだよ。」

  「し、しっぽ? それって、なに?」

  「いいから、おまえも、おれのしっぽ、こすってくれよ。」

  「う、うん……。」

  うさぎくんは、ねずみくんのしっぽに手を触れます。

  ねずみくんのしっぽには、毛がありません。つるつるで、ぷにぷにで、とても触り心地のよいものでした。

  毛が生えていないということは、手を往復しても、毛を逆なでする心配がありません。

  シュッシュ、シュッシュ。まるでおちんちんのようだと、うさぎくんは思いました。

  そうです、おちんちんです。

  うさぎくんは、ねずみくんのおなか側をのぞきこみました。

  シャツに隠れて見えにくいですが、ねずみくんのおちんちんは、確かに大きくなっているようでした。

  でも、これは……?

  よく見れば、シャツに隠れてというよりは、シャツに隠されています。

  もっとよく見れば、ねずみくんは、手でズボンにすきまを作っています。

  とすると、ねずみくんのおちんちんは、ズボンから飛び出しているのかな?

  おちんちんが苦しいのに、おちんちんを気持ちよくする方法を、知らないのかな?

  うさぎくんは、そんなまさかと思いながらも、その可能性もなくはないと思いました。

  そして、コテージハウスから出てきたろばくんといぬくんを見て、確信しました。

  いぬくんがまず体調を崩したように見えました。

  ろばくんは、周りをキョロキョロ見て、うさぎくんとねずみくんの様子を見つけ、同じように、いぬくんのしっぽをこすってあげていました。

  (しっぽをこするって、なに?)

  ねずみくんは、うさぎくんのしっぽをこすっていますが、うさぎくんは、まあ、気持ちよくないことはないかな、という程度の気持ちにしかなりません。

  でも、ねずみくんは、安心した時のようなため息を吐いています。

  ここでは、発情したら、しっぽをこすって、落ち着けるのだと確信しました。

  (見るからに発情してるのに、ちんちんいじらないのかな? いじらないなら、薬飲んだりしないのかな?)

  数ヶ月前に精通したばかりのうさぎくんは、まだ飲んだことはありませんが、元いた街では、発情したら、薬で抑えることを、お父さんに聞いて、知っています。秋に訪れた初めての発情だって、おちんちんをいじることで、抑えました。

  それなのに、この子たちは、薬を飲むこともなければ、おちんちんをいじることもしない。することが、しっぽのこすり合いだって?

  うさぎくんには、何が何だか、分かりませんでした。

  そうこうしているうちに、それぞれのコテージハウスから、次々と入浴を終えた子供たちが出てきては、その辺にいる子とペアになって、しっぽのこすり合いを始めます。

  相手が見つからない子は、ペアに混じって、三人で行うところもありました。

  気がつけば、うさぎくんの周りには、しっぽをこすり合う子でいっぱいになっていました。

  それも、ほとんど、うさぎくんとねずみくんを中心に、取り囲むような形に。

  しっぽをゴシゴシこする音と、うーんうーんという苦しそうなうめき声が、すべての方向から聞こえてきました。

  (なに? なに? いったい、なんなの?)

  うさぎくんには、何が何だか、分かりませんでした。

  でも、みなさんはお分かりでしょう。

  だれもがみんな、おちんちんをがまんしていることを。

  うさぎくんは、転校生です。

  うさぎくんは、初めての合宿です。

  うさぎくんは、まだまだおちんちんの小さな子供です。

  うさぎくんは、まだ、おちんちん遊びを知らない、子供なのです。

  だれもがみんな、そう思いこんでいました。

  それで、うさぎくんの前で、あんな激しい行為をしてはならないと、申し合わせたわけではないのに、自制していたのです。

  いぬくんとろばくんだって、恋人とつながることを半年間もがまんしていたのに、お預けを食らっています。

  子供たちの中には、しっぽをこすり合いながら、

  (ちくしょう、だれか、おっ始めないかな。)

  こんなことを考える子まで出てきました。

  みんな、今にも爆発してしまいそうなほどおちんちんをギンギンにしているのに、だれも、それをいじりませんでした。

  自分が最初の一人になってしまったら、カッコ悪いからです。

  お預けを食らっているのは、うさぎくんもです。

  せっかく夢にまで見たねずみくんのおちんちんが目の前にあるのに、だれもそれをいじる知識を持っていません。

  だれもがみんな、おちんちんを大きくしているのに、だれもそれをいじる知識を持っていません。

  大きくなっていない状態でさえ、あんなに大きなおちんちんが、今どうなっているのか、見ることもできません。

  みんな、苦しそうにうめいているのに、だれも、その気持ちを抑える方法を知りません。

  触ればいいんだよ、と言うことはできません。

  だって、お父さんは、うさぎくんに、

  「郷に入っては郷に従え」

  と言いました。

  それは、よそから来たものは、その場所のしきたりに従わなければならないという意味です。

  ここでは、どうやら、しっぽのこすり合いで発情を落ち着けるのが常識らしいのです。

  それなら、よそから来たうさぎくんは、勝手に、その常識を、破ってはならないのです。

  それでも。

  (すごい。シャツ、びしょびしょになってる。)

  ねずみくんのおちんちんに被せられているに違いない体操服のシャツには、先走りと思われる大きなしみが、広がっていました。

  「う、うぅ、ん……。」

  そうして、こんなに苦しそうな声を出しながら、次々と、新しく、先走りを出しては、しみを大きくしています。

  「はぁ、はぁ……。」

  「うぅ……。」

  「んんんー……。」

  周りのみんなも、熱に浮かされたように、苦しそうな声を出しています。

  しっぽのこすり合いでは、完全に、抑えきれないようでした。

  うさぎくんは、つらい気持ちになりました。

  どうにかしてあげたい。

  この苦しさから解き放ってあげたい。

  気持ちいいことを教えてあげたい。

  喜んでもらいたい。

  なんとかしてあげたい。

  笑ってもらいたい。

  でも、

  「はぁ……。あぁ……。」

  どんなにねずみくんが苦しそうでも、やっちゃいけない。

  男の子のおちんちんに興味があるなんて、バレちゃいけないから。

  男の子が好きだなんて、ぜったいに、バレちゃいけないから。

  「う……うぅぅ…………。」

  ねずみくんは、とても苦しそうでした。

  「うぅ……くぅぅ……っ。」

  歯を食いしばって、がまんしていても。

  悲しそうに、くちびるをゆがめていても。

  ぷるぷると、ふるえていても。

  涙ぐんでいても。

  小動物のような目で、見つめていても。

  その目から、涙が、こぼれても……。

  (いいや、そうじゃない。)

  うさぎくんの心の中で、何かがはじけました。

  この子の顔に、こんな表情は、似合わない。

  涙なんて、似合わない。

  この子の力になりたい。

  優しくしてくれたみんなの、力に!

  「ねえ。」

  うさぎくんは決意しました。

  「見てて。」

  うさぎくんは、体操服のズボンとパンツに手をかけ、脱いでいきます。

  する、するする、ぴんっ。

  うさぎくんのおちんちんが、元気よく飛び出しました。

  せいいっぱい背伸びした、これでも元の学校では一番大きかったおちんちんが、元気よく。

  ねずみくんが、見ています。

  それどころか、周りの子も、見ています。

  しっぽをこすり合っていた手を止めて、みんな、うさぎくんの勃起を、見ていました。

  うさぎくんは、恥ずかしさをこらえ、自分のおちんちんに手を触れます。

  そうして、みんなに、いいえ、特にねずみくんに見えるよう、皮をむきます。

  「み、みんなと比べたら、ちっちゃいかもしれないけど……。」

  そう言いながら、おちんちんを、こすり始めます。

  ちゅく、ちゅく、にちゅ。先走りが絡んで、エッチな音をひびかせながら、腰を突き出し、

  「これでも、一人前の、ちんちんなんだっ。」

  うさぎくんは、みんなの前で、白い液体を発射してみせました。

  可愛らしく跳ねるおちんちんから、ピュッ、ピュッ、ピュッ、ねずみくんのすぐ横を通り過ぎ、砂浜に飛んでいきました。

  発射して、少し気持ちが落ち着いたとたん、うさぎくんは、もうれつな恥ずかしさにおそわれました。

  みんなの前で、こんなことをするなんて、どうかしていると。

  でも、後悔はしていません。みんな、これで、分かったはずです。

  こうしたら、発情が抑えられるということを。

  おちんちんをいじると気持ちいいということを。

  それでも、恥ずかしいのは恥ずかしいので、うさぎくんは、おちんちんをにぎったまま、顔を上げることができませんでした。

  ですが、服を脱ぎ始める音、何かをこする音、それから、気持ちのよさそうな声が、うさぎくんの耳に入ってきました。

  (よかった、これで、みんな、苦しそうな顔にならなくてすむ。)

  うさぎくんは、満足でした。

  ちょっと恥ずかしい思いをしましたが、みんなの力になることができたのですから。

  そんなうさぎくんの視界に、にゅっと、何やら棒状のものが入ってきました。

  それから、両足が。

  それは、ねずみくんのものでした。

  ねずみくんが、おちんちんを手に、うさぎくんの横に、歩いてきたのです。

  「おまえ……。」

  と、それだけ言って、うさぎくんを見つめていました。

  うさぎくんは、のどをごくりと鳴らしました。

  (で……でかい……。)

  ねずみくんのおちんちんは、想像よりも、もっとずっと大きかったからです。

  長さも、太さも、力強さも、うさぎくんのおちんちんとは、比べものになりません。

  うさぎくんは、吸い込まれるように、手を伸ばしていました。

  自分でもおどろくくらい、自然に。

  だれかにあやつられているんじゃないかと、思ってしまうくらい。

  それくらい、うさぎくんは、ねずみくんのおちんちんを、求めていました。

  伸ばされた手が、触れました。今にも破裂しそうなほど張りつめた亀頭(おちんちんの先っぽのことです。)を、包み込みました。

  (あ、熱い。大きい。ドクドクしてる……。)

  うさぎくんは、もうそれしか見えていませんでした。

  手にあまるほどの大きさのおちんちんを、気持ちよくすることしか、考えられなくなっていました。

  そうして、うさぎくんの手によって、ねずみくんのおちんちんが、こすられました。

  その様子を、うさぎくんは、食い入るように見ていました。

  自分の手によって、他人のおちんちんが、動いている。

  手の動きによって、皮が、前後している。

  破裂しそうなほどパンパンにふくらんでいる亀頭が、出たり引っ込んだりしている。

  うさぎくんは、またひとつ、ゴクリとのどを鳴らしました。

  (もっと、近くで、見てみたい。)

  それくらいは不自然じゃないだろうと、うさぎくんは、しゃがみました。

  しゃがみこむと、ちょうど目の高さにおちんちんがありました。

  皮をむききった時に見える亀頭の段差が、自分のそれよりも、くっきりしている。

  むききって裏返った皮に、血管が見えている。

  先走りで、てかてかしている。

  先走りが、泡になっている。

  皮をむくたび、エッチな音がする。

  泡がはじけて、エッチなニオイがする。

  ごくりと、のどを鳴らしました。

  (なめたい、なめたい、なめたい。)

  閉じようと思っても、ひとりでに、口が半開きになってしまいます。

  おりに閉じ込められたハンバーグを見ているしかないように、次々と、よだれが出てきてしまいます。

  言い訳ができないほど近寄ってしまいそうになります。

  でも、その時。

  ねずみくんのおちんちんが、うさぎくんの方を向いたのです。

  横向きでこすっていたおちんちんが、真正面から、突き出されていたのです。

  おしっこが出る穴も、そこにたまった透明な液体も、はっきりと、見えるようになりました。

  (これって……。)

  うさぎくんがチラリと上を見ると、ねずみくんは、何も言わず、恥ずかしそうに目をそらしていました。

  (きっと、そうだ。)

  うさぎくんは、半開きの口を、前に進め、そうして、ぱくっ。

  夢にまで見たおちんちんに、口をつけました。

  (や、やっちゃった。ついに!)

  先っぽにキスをしたまま、うさぎくんは、感動にふるえました。

  口の中に、ねずみくんの体温を感じました。

  どくんどくんと、脈打つのを感じました。

  とくんとくんと、先走りが出てくるのを感じました。

  うさぎくんは、そのしょっぱさを、おいしいと感じました。

  半開きの口では、先っぽしか入りません。

  自分から口を大きくしないと、前には進めませんでした。

  先走りで、くちびると舌が、せっけんのようにすべりました。

  先走りが、くちびると舌に、濃厚に絡みつきました。

  舌の上で、亀頭がすべっていきました。

  亀頭の裏で突っ張っている筋の感覚がありました。

  うさぎくんは、ねずみくんのおちんちんをなめ回しました。

  筋の部分をなめ、おしっこの穴の周りをなめ、亀頭の段差の部分をなめ、血管をなめ、それから、また亀頭をパクリ。今度は、ブジュッという水音が立ちました。

  チュ、グジュッ、チュッ。

  うさぎくんが口を往復するたび、ねずみくんのおちんちんは、そんなエッチな音を立て、

  「んっ、あっ、あっ。」

  ねずみくんも、そんなエッチな声で可愛らしく鳴いています。

  (おれの口で、気持ちよくなってくれてる。)

  うさぎくんは、うれしくなって、さらに往復を早くしました。

  「や、やば、口、はなせ、出ちまう……!」

  と、ねずみくんが余裕のない声で言いますが、

  「んーん。」

  と、うさぎくんは、おちんちんをほおばったまま、首を左右に振りました。

  今のは、

  「いいよ。」

  と言ったつもりでしたが、口いっぱいにおちんちんがあるせいで、

  「んーん。」

  になってしまったのです。

  「お、おまえ……。」

  それでも、ねずみくんには伝わります。

  「わかった、おまえが、そう言ってくれるんなら。」

  ねずみくんは、両手でうさぎくんの頭を包みます。

  その両手で、頭を軽くなでなでして、両方の耳を、操縦かんみたいににぎります。

  「えんりょなく、口の中に出すからな。」

  がっしりとつかまれた状態で、ねずみくんは、自分から腰を前後させ始めました。

  ねずみくんの亀頭が、舌と上あごを強く圧迫しながら往復します。顔の皮ごと、前後します。

  うさぎくんは、口の中を無理やり広げられる感覚に、少しだけ戸惑いましたが、ねずみくんが、

  「あぁ、あぁ……。」

  と、可愛い声を出しながら、

  「はぁ、はぁ……っ。」

  と、息をあらくして、気持ちよくなることだけを考えて、必死におちんちんを出し入れしている様子を見れば、だれだって、うれしくなるものでしょう。

  だれだって、おちんちんの先っぽから、ピュッピュッ、と可愛らしく発射するのが、待ち遠しく感じるものでしょう。

  うさぎくんは、舌を持ち上げます。

  おちんちんへの圧迫を、強くしてあげたのです。

  「はぁ……んんっ、や、やばい……っ。」

  ねずみくんの往復が早くなりました。間もなくだとうさぎくんは感じました。

  ついに、自分のじゃない、他人の体液をその口で味わうことができる。早く、早く出して……!

  「やば、やばい、もう……っ!」

  ねずみくんのおちんちんの動きが速くなり、そうかと思えば不規則に遅くなり、

  「もう、出る、出る、ぞ……っ!」

  ガシッと、うさぎくんの頭を強くつかんで、

  「出、る……っ、うっ、うぅぅぅぅぅあああああっ!」

  うさぎくんの口の中で、おちんちんを爆発させました。

  「んぐっ!?」

  うさぎくんは何が起きたか理解できませんでした。

  〝なにか〟が、ものすごい勢いでもって、口の中に流れ込んできたのです。

  ひどく面食らい、反射的に顔を離そうとしましたが、亀頭の段差部分に歯が当たり、抜けませんでした。

  おちんちんをくわえているうさぎくんの口から、その〝なにか〟が飛び出してきます。

  びゅ、どぴゅっ、びゅっ。

  それは白い液体でした。

  うさぎくんが待ち望んでいた、ほかの男の子の、体液でした。

  でも。

  (な、なに、なんなの、この量!)

  うさぎくんの想像では、ピュッピュ、だったのが、実際には、ビュッ、ビューッ、ドビューッと、口の中でおしっこでもされたのかと思うくらい、激しい勢いだったのです。

  うさぎくんの口の中は、あっという間に満タンになり、ねずみくんのおちんちんがビクンビクンと跳ねるたび、行き場をなくした体液が、うさぎくんの歯の隙間をとおって、口の外に飛び出しているのです。

  その飛び出す勢いも、うさぎくんと比べて長いねずみくんのおちんちんを超え、ねずみくんのおなかに直撃するほどのものでした。

  混乱しているうさぎくんは、さらに混乱します。

  ねずみくんが、おちんちんを奥に突っ込んできたのです。

  「んっ、んんんっ!」

  亀頭が通るのでせいいっぱいだった口の中には、もはやすきまなんてありません。

  ビュッ、ごくん、ビュッビューッ、ごきゅ、ビュッビュッビュッ、ごく、ビュッ、ごくん、ビュッビュッ、ごきゅっ、ビュッ、ごく、ビュ、ごく、ビュッっ……。

  うさぎくんは、大きくのどを鳴らしながら、ねずみくんの放つ体液を、最後まで飲み干しました。

  おちんちんが跳ねなくなって、勢いよく飛び出してこなくなって、うさぎくんは、ようやく呼吸ができるようになりましたが、激しく鼻呼吸をしながらも、口の中で、どく、どく、どろ、どろ、粘りのある液体が流れ続けているのを感じていました。

  鼻を通る空気は、濃厚な精液のニオイでした。

  紛れもなく、自分と同じ、白くてネバネバしている、精液でした。

  ただ、その量が、自分のものとは大きく違いました。

  「はぁ、はぁ、あぁぁーー……。」

  ねずみくんが、やり遂げたような満足のため息を吐き、まるでおしっこの最後にするみたいに、おちんちんをキュッとして、中の液体を出し尽くしました。飲み干して空っぽだった口の中に、また、ピュッと、最後の精液が飛び出しました。

  それが、油断していたうさぎくんののどを直撃し、

  「げほっ、ごほっ、ごほっ。」

  うさぎくんは、少し、むせてしまいました。

  水泳で、水が入った時のように、鼻が痛くなりました。

  でも、そうしながらも、

  (この量、やばい。すごすぎるよ……!)

  うさぎくんは、ひどく興奮している自分に気が付きました。

  うさぎくんのおちんちんは、もちろん今口の中にあるものに比べると見劣りしますが、それでも持てる力の限りに大きくなっていました。

  「あ、わ、悪いっ。」

  ねずみくんが、あわてておちんちんを抜きます。

  歯に引っかかっていた亀頭が、すぽんっと抜け、ぶるんっと跳ねながら出てきたおちんちんには、白い液体が濃厚にまとわりついていて、ぽたぽたと、しずくが垂れていました。

  「無理やり、飲ませちまった。」

  はあはあと呼吸をしながら、うさぎくんは、

  「ううん、ぜんぜん。」

  と、いまだに気持ちの整理がついていないまま、どうにか笑顔を浮かべました。

  それにしても。

  (やばい、みんなの前で、ちんちんなめちゃった。ど、どうしよう。)

  うさぎくんは、がまんができなくなって、つい、ねずみくんのおちんちんをなめてしまいました。

  こんな普通じゃないこと、見られてしまった。

  みんなには、手でいじることしか教えていないのに、やばいものを見せてしまった。

  これじゃ、変態だって思われちゃう。

  どうしよう。

  「でも、おまえ……。」

  ねずみくんの声に、びくっとしてしまいました。

  続けて出てくる言葉が、こわくてたまりませんでした。

  「知ってたんだな。びっくりだ。」

  でも、ねずみくんの言葉は、うさぎくんを非難するものではありませんでした。

  それどころか、

  「それならそうと、言ってくれりゃ、よかったのに。」

  むしろ、うれしそうでした。

  (えっ?)

  うさぎくんは、ねずみくんを見上げようとした時でした。

  「あっ、あっあっ、やばい、それやばいよう!」

  くまくんが、ねこくんに亀頭をペロペロなめられながら、手で激しくおちんちんをこすってもらっていました。

  別の場所では、

  「一緒に、一緒に出ひまひょうっ。」

  「うん、一緒にっ。」

  と、寝そべったさるくんと、上に乗るしかくんが、おちんちんをしゃぶり合っていました。

  また別の場所では、

  「オラっ、まずは軽く一発だ。全部飲めよっ!」

  「んっ、んんんんんんんーっ!」

  と、たぬきくんが、きつねくんに無理やりおちんちんを突っ込んで、盛大に発射していました。きつねくんの口から、鼻から、ドバドバ、ブシューッと、ものすごい勢いで体液が逆流していました。

  みんな、上も下もはだかになって、おちんちんをしゃぶったり、しゃぶられたり、こすられたりしていました。

  (え、え、え……?)

  戸惑ってキョロキョロするばかりのうさぎくんの目に、さらにおどろきの光景が飛び込みます。

  「おまえのちんこ、気持ちよすぎだってえ! あぁぁぁぁぁ!」

  ぶたくんの大声におどろいて、うさぎくんがそちらを見てみると、

  (え、え、えっ? ちんちん、どうなってんの?)

  立ったままのぶたくんのおしりに、うまくんのおちんちんが、ずぶずぶと埋められていました。

  その状態で、前に、後ろに、前に、後ろに。

  そのたびに、ぶたくんのおちんちんから、どろっ、どぷっ、びゅるっ、白い液体のかたまりが飛び出てきます。

  うさぎくんは、何が何だか分かりませんでした。

  さらに、

  「んああっ!」

  すぐ近くで、そんな大声がひびいたので、うさぎくんは、全身を跳ねさせておどろきました。

  (なになに、いったいなに?)

  ろばくんが、砂浜に寝ていました。あお向けで、両足を軽く上げて。

  いぬくんが、ろばくんの両足を持ち上げながら、

  (ちんちん、入れてる……?)

  そのおちんちんを、ろばくんのおしりに、ずるずると、突き刺していきました。

  「やば、気持ちいいっ。おまえのけつ、やっぱ、サイコー!」

  いぬくんが、たまらなくうれしそうに、おちんちんをガツンガツンとろばくんに刺します。

  「あっ、あぐっ、あっ!」

  ろばくんは、長い顔を振り乱し、大口を開けてもだえます。

  表情こそ苦しそうでしたが、

  「うあああ、出る、出る!」

  ろばくんのおちんちんから、信じられないほどの勢いで、白い花火が打ちあがりました。

  うさぎくんは、この世のものとは思えないものを目の当たりにしたように、口をぽかんと開けて、固まっていました。

  うさぎくんは、おどろきという言葉では足りないくらい、おどろいていました。

  量の多さに、濃さに、勢いの強さに、それから、おちんちんの大きさに。

  あんなに大きいと思っていたねずみくんのおちんちんは、むしろ一番小さな部類でした。

  ろばくんのおちんちんなんて、うさぎくんの二倍以上もありました。

  右を見ても左を見ても、巨大なおちんちんが立ち並び、右へ左へ、そこにだれかがいようがお構いなしに、発射しまくっています。うさぎくんの周りに、白い液体が飛び交っています。

  「ほら、おまえも。」

  「うひゃっ!」

  背後からの声に、うさぎくんは、変な声で跳ね上がりました。

  振り返って見ると、ねずみくんが、うさぎくんにおしりを向けていました。

  「口で気持ちよくしてもらったしな。」

  と、長いしっぽをくねくねさせて、呼んでいました。

  「え、あ、あ……。」

  それがどういう意味なのか、理解するのに少しかかりましたが、

  「いや、う、うんっ!」

  と、ねずみくんのおしりに近づきます。

  うさぎくんの接近に合わせ、ねずみくんは、砂浜にひざをついて、四つんばいになります。

  おしりを突き上げ、ねずみくんのおしりの穴が、丸見えになります。

  (お、おしりの穴って、こんなに大きかったっけ?)

  うさぎくんは昔、鏡で自分のおしりの穴を見たことがありますが、もちろん、シワシワでキュッとすぼまっているのは同じなのですが、なんとなく、シワの長さも、数も、多いような気がしました。

  それに、明らかに違うなと思ったのは、シワのある部分が、こんもりと、丘のようになっているところです。

  (こ、ここに、入れるの? ちんちんを?)

  指でつつくと、まるでイタズラをされたウミウシのように、キュッと縮こまり、そうかと思えば、すぐにふくらみを取り戻します。

  「おいおい、もったいぶってくれるじゃんか。」

  「え、えへへ。」

  うさぎくんは、心を決めます。

  分からないことはたくさんありますが、

  (入れたら気持ちいいし、気持ちよくなってもらえるんだ。)

  と、周りの様子を見て思いました。それで、

  「それじゃ、気持ちよくしてあげるからね。」

  なんて、知ったかぶって、言ってみせました。

  あれだけ知ったふうな顔をして、みんなの前でおちんちんをこすって見せたのです。いまさら知りませんでしたなんて、そんなこと、ぜったいに知られてはいけません。

  うさぎくんは、さも慣れた手つきで、おちんちんをおしりの穴に近づけます。

  ぷっくりふくれた穴は、まるで、キスをせがむくちびるのようでした。

  そのくちびるに、うさぎくんのおちんちんが、キスをします。

  ビンビンになっても少し被り気味だった皮には、液体がたまっていました。

  その液体が、ぬるり、つつ、いい感じに糸を引きます。

  おしりの穴が、とたんにエッチに見えてきたうさぎくんは、そえた手で皮をむきながら、する、する、おちんちんを入れていきました。

  (な、なにこれっ。)

  まだ先っぽを入れただけなのに、うさぎくんは、感動していました。

  穴は、おちんちんをしゃぶるときの口のように、大きく開き、亀頭の段差部分を、パクリとくわえました。

  シワのすべてが、亀頭を包みこんでいました。

  (あったかい。それに、気持ちいい。)

  うさぎくんは、おちんちんがキュッとなるのを感じました。

  (このまま、おくまで入れたら……。)

  背筋とおちんちんに走るゾクゾクが、うさぎくんを、もう一歩先へと進ませました。

  にゅるん。ほとんど抵抗なく、うさぎくんのおちんちんは、ねずみくんのおしりの中に、全部飲みこまれていきました。

  (これ、すっごい。あったかいっていうより、あっつい!)

  まるで、おちんちんの部分だけ、お風呂に入っているみたいな感覚でした。

  (やばい、がまんできない!)

  うさぎくんは、我を忘れたようにおちんちんを抜き差ししました。

  きついかなと思っていた穴は、意外なほど圧迫を与えてきませんでした。

  でも、むきだしの亀頭が、やわらかな肉にヌルヌルとこすられているだけで、うさぎくんには快感でした。

  それに、穴に入って少し進んだあたりに大きくふくらんだ部分があり、その部分を通り過ぎる時に、わずかばかりの圧迫の増加がありました。

  (おしりにちんちん入れるのって、ほんとに、気持ちいいんだ。)

  うさぎくんは感動しました。

  それにしても。

  (あれ、気持ちよくないのかな?)

  うさぎくんは、ねずみくんの反応が薄いことが気になりました。

  ろばくんや、ぶたくんのことを思い出してみると、大声で気持ちがいいと言っていました。気持ちよくて、おちんちんから体液を発射までしていました。

  でも、ねずみくんは、吐息の音こそ聞こえるものの、声は出さず、おちんちんも、揺れるばかりで、何も出てきません。

  「ねえ、気持ちいい?」

  うさぎくんは、聞いてから、しまったと思いました。だって、そんなことを聞いてしまったら、経験がないことが、バレてしまいますから。

  「ん、あ、ああ、大丈夫、ちゃんと気持ちいいぜ。」

  それを聞いて、うさぎくんは、微妙な気持ちになりました。

  ちゃんと、ということは、あんまり気持ちよくはないけれど、その中で、気持ちいい部分も確かに存在している、というような意味に取れます。

  それならと、負けん気を起こしたうさぎくんは、おちんちんの抜き差しを速めました。絶対に気持ちよくしてやるんだ!

  でも、うさぎくんは、意気ごむあまり、出し入れが浅くなったり、おちんちんが何度も抜けたり、いいところをひとつも見せられません。

  そのうちに、

  「なあ、体勢変えようぜ。」

  と、ねずみくんに言われてしまいました。

  ねずみくんは笑顔でしたが、それはたぶん、気持ちよくなかったという意味なんだとうさぎくんは思いました。

  ふと、ろばくんの方に目を向けます。

  いぬくんとろばくんは、上下が反対になっていました。

  さっきは入れられる側だったろばくんが、今度は上に乗っていたのです。

  角度も大きく変わり、今は、二人のおしり側がうさぎくんの方に向いていました。

  いぬくんの広がったおしりの穴も、長くて大きなおちんちんが、ズボズボと出たり入ったりする様子も、はっきりと見えました。

  ろばくんのおしりの穴からは、いぬくんが出したものとしか考えられない[[rb:白濁液 > はくだくえき]]が、ドロドロと、ドクドクと、垂れ流しになっていました。

  二人の顔と顔が、くっついているようでした。その中で、いぬくんは、くぐもった声で快感を叫んでいました。

  二人のおなかの間にはさまれていたいぬくんのおちんちんが、爆発したようでした。

  おちんちんの大きさだ、とうさぎくんは思いました。

  自分のおちんちんが小さいから、気持ちよくないんだと。

  「心配すんなって。」

  力強い声がしました。

  ねずみくんは、うさぎくんを安心させるような笑顔で、砂浜の上にあお向けになっていました。

  「ほら、来いよ。」

  股を開き、足を上げ、うさぎくんを招きます。

  これ以上カッコ悪いところは見せられないと、うさぎくんは、ねずみくんのおしりの穴に、おちんちんをズブリと挿しました。

  「ん……。」

  ねずみくんのおちんちんの先から、白い液体がどろりとこぼれました。

  「いいぜ、おまえのちんこ、気持ちいいぜ。」

  と、ねずみくんは、うさぎくんのほっぺたをなでながら言いました。

  うさぎくんは、さっきよりもおしりの中の圧迫が強くなっているように感じました。

  穴に入って少し進んだあたりにあるふくらんだ部分が、あお向けになったことで、下りてきていたのです。

  そして、おちんちんでそこを押すと、ねずみくんから声が出て、ねずみくんのおちんちんからは、じわりと、白い液体がこぼれてくるのです。

  (そうか、ここが、気持ちいいんだな。)

  それに気が付いたうさぎくんは、そこばかりを攻めることにしました。すると、

  「ん……んぁ、あっ……あっ!」

  と、みるみるうちに、ねずみくんから気持ちの良さそうな声がもれてきました。

  (やっぱり、ここだ。えいっ、えいっ。)

  うさぎくんは、自分が気持ちよくなることよりも、ねずみくんを気持ちよくすることだけを考えましたが、

  (ここ、ぶにぶにしてて、すごく気持ちいい。)

  そうすることで、うさぎくん自身も気持ちよくなることができました。それに、

  「う、ぉ、うっ、く、んあぁ……っ!」

  ねずみくんが気持ちよくなってくれていることで、うさぎくんのおちんちんも喜んでいました。うれしくて、おちんちんの出し入れが速くなりました。

  みるみるうちに、ねずみくんの表情がゆがみます。発射をがまんしている顔だということが、うさぎくんにも分かりました。

  うれしくなったうさぎくんは、気づけば体を前に倒していました。

  それにより、ねずみくんの足が頭側に移動して、おしりが持ち上がり、

  「あーーーーっ、それやばっ、それやばいっ!」

  ねずみくんの気持ちのいい部分をが、強くえぐられることになりました。

  さらに体を倒します。大口を開けて叫ぶねずみくんの顔と、キスができそうなほど近づきます。

  ねずみくんは、うさぎくんを見ます。

  切羽詰まった顔で、苦しそうな顔で、泣きそうな顔で、うれしそうな顔で。

  うさぎくんは、吸い込まれるように、顔を近づけます。

  「あ、あっ、あっ……。」

  と言いながら、ねずみくんも、口をすぼめます。

  二人の口が、近づいていきます。

  そして、口と口が、ちょうど触れ合う、その瞬間、

  「うぅ、あっ、で、で、でっ、出るっ!」

  ねずみくんが発射して、飛び出した体液が、二人の口に直撃しました。

  おしりが持ち上がっていたねずみくんは、おちんちんの先が、ちょうど二人の顔に向いていたのです。

  うさぎくんのあごに、ねずみくんのあごに、首に、そして、触れ合う口に。

  白濁したファーストキスをしながら、うさぎくんは、ねずみくんのおしりの中に、発射しました。

  なぜだかタイヤのように硬くなったおしりの中を、グリグリと往復していたおちんちんから、ピュッピュッピュッ。ねずみくんは、ビュッ、ビュッビューッ!

  二人は、ほぼ同時に射精しました。

  そうしながら、チュッ、チュッ、チュッ、二人は口を付け合い、それから、もう一度飛びこんできたねずみくんの精液を、口の中で混ぜ合わせるように、にゅる、ぬる、べろん、舌を、絡ませ合いました。

  うさぎくんのうれしさは、最大になっていました。

  好きな子のおちんちんをなめることができたどころか、口の中に出してもらえて、しかもその量がハンパじゃなく多くて、それどころか、〝交尾〟までできて、それにとどまらず、キスまでできるなんて。

  あまりにもうれしくて、うさぎくんは、キスを続けながら、ねずみくんのおしりの中に、もう一度発射しました。

  それでも、その二回分を合わせても、少し離れたところでいぬくんの中に発射したろばくんの量には遠く及びませんでしたが……。

  いぬくんのおしりの穴からは、まるでシェイクしたペットボトルから炭酸飲料がふき出すように、ろばくんの体液が逆流していました。

  (いいなあ、あの量。おれも、あんなに出せたらいいのに。)

  おちんちんを抜いたうさぎくんは、ねずみくんのおしりの穴から垂れてくる少量の体液を見て、悲しくなりました。

  「気持ちよかったぜ。」

  でも、ねずみくんの笑顔を見て、少しなぐさめられた気持ちになりました。

  二人は、もう一度キスをしました。

  キスをしながら、うさぎくんは、おちんちんがウズウズしているのを感じました。

  昨日よりも、発情の度合いが強くなっていました。これくらいでは、まだまだ足りません。

  うさぎくんは、お願いされたわけでもないのに、自分から四つんばいになり、おしりを向けました。

  次は、ねずみくんのおちんちんを入れてもらう番だと思ったのです。

  おちんちんを使いたい気持ちはあるものの、おしりにおちんちんを入れられながら発射するのも、きっと、いいえ、とんでもなく気持ちがいいに違いないと思ったのです。

  ねずみくんは、愛でるようにおしりをなでた後、おちんちんをくっつけます。

  「それじゃ、いくぜ。」

  「うん。いいよ。」

  ですが……。

  「んっ。……んっ? んんんっ! いたい、いたい、待って!」

  「あれ?」

  ねずみくんのおちんちんは、うさぎくんのおしりの穴に入りませんでした。

  「おかしいな、なんで入らないんだろう?」

  と、ねずみくんは、首をかしげます。

  確かに、ろばくんや、うまくんなど、大きなおちんちんを持っている子は、だれにでもおちんちんを入れることはできず、探さなければ相手が見つかりません。

  きつねくんに至っては、入る相手が一人も見当たらない始末です。

  でも、ねずみくんのおちんちんは、うさぎくんと比べると大きいですが、ほかの子供たちと比べると、二番目くらいに小さなおちんちんです。それが入らないなんて、ねずみくんは考えもつかなかったのです。

  「おれ、ちんちんだけじゃなく、ここもちっちゃかったんだ……。」

  うさぎくんは、今度こそ立ち直れないほど落ち込んで、泣いてしまいました。

  ねずみくんが、

  「おいおい、気にすんなって。」

  と言っても、

  「男の器はこんなもんじゃ決まらねえよ。」

  となぐさめても、

  「ありがとう。」

  と、表面上は立ち直って見せましたが、うさぎくんの心は、晴れることはありませんでした。

  そして、ほかの子におちんちんを入れられて、自分の時よりも大声で叫びながら発射しているねずみくんを見て、うさぎくんは、そっとその場を離れました。

  うさぎくんたちの行為は、全体の中のほんの一部です。

  だれもが所かまわずおちんちんを入れ合っている光景の、ほんの一部です。

  その一部の始終を、たぬきくんは逃さず見ていました。

  きつねくんの口やおしりをめちゃくちゃにしながら、うさぎくんとねずみくんのやり取りを、いえ、特にうさぎくんのことを、ずっと見ていたのです。

  そのたぬきくんが、翌日、全員に、ある提案をしました。

  [newpage]

  

  「木工?」

  と、さるくんがたずねます。

  「ああ。[[rb:薪 > たきぎ]]の方も安定しただろ。さっさとやっとこうぜ。」

  と、たぬきくんはいつもの腕組みポーズで言いました。

  「まったく、ビーチバレーだって、木工だって、きみが、やりたいだけでしょう。」

  と、さるくんは、あきれて見せましたが、言っても聞かないことを知っていますし、だめだとは言いませんでした。

  そういうことで、木工をすることになりましたが、レクリエーション用のコテージハウスの広さは、各学校が使うほかのコテージハウスと同じです。

  つまり、六十一人全員が入るのは不可能ということで、入れ替わりで使うことにしました。

  「まずおれたちからな。」

  と、たぬきくんは勝手に決めます。

  やっぱり、たぬきくんがやりたいだけなんじゃないかと、大部分の子がそう思いました。

  赤星小学校がレクリエーションコテージを使っているあいだ、ほかの学校の子供たちは、[[rb:薪 > たきぎ]]を集めたり、食材を集めたり、各々ができることを始めました。

  うさぎくんは洗濯をすることにしました。

  洗濯場所は、コテージとコテージの間にあるくぼみの部分です。午前中は日陰になります。

  テントが立ち並んでいるところの反対側なので、目的が無ければあまり人は立ち寄りません。

  そこに、人の気配がありました。うさぎくんの耳が、変な声をとらえたのです。

  最初、苦しそうな声のように思いましたが、がんばって押し殺しているような声だったので、緊急性はないと判断し、

  (もしかしたら、だれかがエッチなことをしているのかもしれない。)

  と、うさぎくんは、こっそりと近づくことにしました。砂浜は、ちょっとしたことで足音が出てしまいますから、ゆっくりと、慎重に。

  そうしてコテージの角からのぞき見てみると、うさぎくんの目に、いきなり、だれかのおしりが飛びこんできました。

  さるくんでした。

  おや、とうさぎくんは思います。

  さるくんは、洗濯係ではありません。

  去年は洗濯係だったと、ねずみくんから聞いていますが、今年は、違います。

  同じ三班の洗濯係は、うさぎくんなのです。

  そのさるくんは、はだかになって、班員の洗濯物を、抱きかかえていました。

  洗濯係でもないのに、洗濯物に用があるのでしょうか。

  はい、用と言えば用ですが、普通の用ではありません。

  もうお分かりですね。

  うさぎくんに見えているおしりが、上下に動いていました。

  抱きかかえて丸めた洗濯物に、おちんちんを突っ込んでいたのです。

  洗濯物の中には、もちろん、昨晩の入浴前に脱いだ、うさぎくんのトランクスも混じっていました。

  「ちょっと。」

  おどろきのあまり、つい、声をかけてしまいました。

  「はっ!?」

  さるくんは、おもしろいくらい飛び上がり、くるりと回転してうさぎくんの方を向きます。

  「こ、これは、誤解です!」

  何が誤解なのか分かりませんね。でも大丈夫、さるくん自身にも分かっていませんから。

  「けっして、真っ昼間から発情して恥ずかしいからコソコソしているとか、下着のニオイに興奮しているとか、この中に出してやろうとか、考えていませんからねっ!」

  「言ってるじゃん……。」

  うさぎくんは、ちょっとドン引きして言いました。

  「違います、誤解ですっ! ああ、なんてことでしょう……。」

  去年洗濯係だったさるくんは、よく班員の洗濯物を嗅ぎながらその中に体液をぶちまけていましたが、だれにも見られないよう細心の注意を払っていました。

  でも、今年はついにバレてしまいました。

  「見られてしまえば仕方ありませんね……。きみにお願いがあります。」

  「大丈夫、みんなにはヒミツにするから。」

  「おちんちんを嗅がせてください。」

  「へ?」

  てっきり、このことはみんなには言わないでほしいというお願いかと思ったうさぎくんは、びっくりして耳が立ちました。

  後ずさりしそうになったうさぎくんの手を、さるくんは捕まえます。

  「ま、待って、嗅ぎたいなら嗅げばいいじゃん。ほら、いつもやってんでしょ、その、ゆうべみたいなこと。」

  「ぼくは学級委員です。」

  と強く言い、うさぎくんは完全にコテージの陰に引っ張りこまれました。

  自分は学級委員なのだから言うことを聞け、という意味なのかと思ったうさぎくんですが、それは違いました。

  「そのぼくが、こんな……。」

  するりと、うさぎくんの体操ズボンとパンツが下ろされます。

  「男の子のおちんちんを嗅いで喜ぶ変態だなんて、思われたくないのです。」

  さるくんは、むくむくと大きくなりつつあるおちんちんに鼻を近づけ、うっとりした目で甘い息を吐きます。

  (じゅうぶん変態だと思うんだけどなあ。)

  と、うさぎくんは、ゆうべのさるくんの姿を思い出します。

  しかくんと口の中に出し合ったり、誰彼構わずおちんちんを求めて手を伸ばしたり、欲張って二人分のおちんちんをしゃぶろうとしたり、我を忘れたような乱れた姿は、どこからどう見ても変態でしょう。

  でも、どうやら本人は、あれでも変態じゃないと思っているようです。

  自分の姿に気が付いていないのか、それとも独自の基準でもあるのか、それはうさぎくんには分かりませんが、

  「まあ、嗅ぎたいなら、いくらでも……。」

  「本当ですか!」

  発情に苦しむ子を見るのは辛いですし、それに、少しムラムラしているのは自分もですし、それに、すっかり自信を失っていたおちんちんでも、だれかの役に立つのなら……と、そう思う気持ちもありました。

  手で皮をむいたさるくんは、亀頭の段差に鼻をくっつけ、すうすうと呼吸をします。生暖かい空気が、むき出しの亀頭を温めます。

  「普段は嗅がないの?」

  うさぎくんは聞きます。嗅ぐチャンスなんていくらでもあります。

  「なめるついでに嗅いではいますが、ずっと嗅ぐわけにはいきません。それを目的にしていると思われたくないのです。」

  「うーん、よく分からないなあ。」

  「あぁ……。やはりこのニオイ、たまりませんね。ゆうべ出したものが、一晩という時を経て熟成され、芳醇な香りを放つに至る……。ああ、なんという神秘。ああ……。」

  やっていることは変態そのものですが、なにやらソムリエみたいなことを言っていますね。

  ですが、その余裕げな態度も、うさぎくんが自分からおちんちんをこすりつけ始めると、とたんに変わります。

  「ああっ、そんな、グリグリされると……ああっ、だめです、だめです、いけませんっ!」

  なんて、口では言いながら、過呼吸になるほど息を吸って吐いています。

  「だめです、だめです、もっと……ああ……っ!」

  パンパンにふくらんでいる亀頭が、さるくんの鼻で形が変わるくらい強く押し付けられています。

  出てきた先走りが鼻にぬりたくられ、その先走りごと、さるくんはおちんちんのニオイを吸い込みます。

  「いけません、いけません、そんなことをされたら……ああ、出て、しまい……あああっ!」

  なんと、さるくんは、おちんちんのニオイを嗅いだだけで、発射してしまいました。

  手探りで取り上げた洗濯物を、おちんちんに押し当て、その中で、ビュー、ビュー、ビューと。みるみるうちに、洗濯物の色が変わっていきます。

  ブルーのトランクスが、ダークブルーに……。おっと、そのトランクスの持ち主は?

  「それ、おれのパンツ……。」

  「え、あっ。」

  たまたま拾い上げた洗濯物が、うさぎくんのトランクスだということを知ったさるくんは、

  「これは、なんという、失礼を……。」

  と言いながら、ビュー、ビュー、ビュー、発射をやめません。

  それどころか、さらにパンツをギュッとにぎって、おちんちんを包んでいます。

  そうしながら、どんどん重くなっていくパンツを見て、さげすんでいるような、ドン引きしているような、そんな目を向けるうさぎくんをチラリとうかがうように見上げて、

  「ふぅ、ふぅ、ふぅ。ああ、まだ出る……。」

  と、余計に興奮していました。

  とうとう、発射のほとんどをうさぎくんのパンツの中で果たしたさるくんは、

  「し、失礼を……致しました……。」

  と、なんてことをしでかしたんだというような顔になり、おちんちんを包んでいたパンツを開きます。

  それを見たうさぎくんは、目の玉が飛び出そうなほどびっくりしました。

  ただでさえ濃厚なさるくんの体液ですが、染み込みやすい水分がパンツに移動したことで、残った体液が、さらにさらに濃厚になっていたのです。

  「い、今、きれいにしますので……。」

  もはや固体と呼べそうなそれを、さるくんは、ペロペロとなめ始めました。

  その異様な光景を見ていると、そして、それを情けない顔でやっているさるくんを見ていると、うさぎくんは、とてもいけない気持ちになってきて、おちんちんを、そこに突っ込んでしまいました。

  さるくんは、それも仕事と言わんばかりに、自分の出した体液をすすりながら、おちんちんを一緒に吸って、なめて、また吸います。

  それがなんとも情欲をかきたてられ、うさぎくんは、強くおちんちんを押し付け、知らず知らず、パンツも一緒に押し付けていました。

  それに気がついたうさぎくんは、むしろパンツごとおちんちんを押し付け、自分から腰を振りました。

  さるくんの顔は、パンツで隠れてしまいました。

  ですが、その中のドロドロ具合は、おちんちんから伝わる感触で分かりました。

  濃厚すぎるぶよぶよのゼリーに包まれながら、そしてさるくんの顔、時たま舌に包まれながら、うさぎくんは、その中に発射しました。

  おちんちんの先っぽは、ちょうど、パンツが強く押し付けられている鼻と口の部分にありました。

  その部分に、ピュッピュッピュ。

  「ん、んっ、んんんんむんんん!」

  おちんちんから飛び出す液体に気付いたさるくんが、苦しそうな声を上げます。そして、

  「んんんんんんん!」

  そのまま、発射してしまいました。

  今度はさえぎるものがありません。ほぼ真上に飛び出したそれは、うさぎくんの目の高さまで打ちあがりました。

  ほかの子より勢いが弱めなのは、それだけ、さるくんの体液が濃厚だということです。

  手を出すと、いくらかを空中でキャッチできました。

  白の水玉は、やはりぶよぶよしていて、まるで、理科の教科書で見たことがある水銀のように、しっかりとした形を保っていました。

  さるくんのおちんちんからは、未だに液体が飛び出しています。

  うさぎくんは、発射を終えてしまったおちんちんを抜き、発射を続けるさるくんのおちんちんに近づきます。

  ビュッ、ブリュッ、ビッ。実際に音が伴うほどの発射の合間をぬって、パクリ。

  うさぎくんの口の中に、ねずみくんのものよりもはるかに濃厚な体液が、飛びこんできました。

  発射の終わり際だったので、口いっぱいになるほどではありませんでしたが、それでも、ずっしりと確かな重みを感じました。

  ぶよぶよで、どろどろで、舌触りは、まるで本物のゼリーのようでした。

  そして、のど越しも、胃に下りていく感覚も、ゼリーのそれと同じでした。

  (すっご。こんなの出されたら、一発でニンシンするでしょ。)

  さるくんは、うさぎくんのおちんちんが抜けたあとも、顔がパンツに覆われたままでした。

  ずり落ちそうになっていたのを、さるくんが、自分の手で押さえ続けていたのです。

  その状態で、スー、ハー、ペロ、ペロ、スー、ハー、ペロ。

  「出したての液体も、また、なかなかにいいものです。」

  やがてパンツから顔を離したさるくんは、ドロドロの顔で言いました。

  「罪深いことをしている自覚はあります。でも、この液体を前にすると、どうにもがまんができません。」

  「がまんしなくていいんじゃない?」

  「ですが、おちんちんを触ってはならないと、大人たちに言われています。」

  「うーん……。」

  「なんと魔性の液体なのでしょうか……。」

  「え、液体って……。」

  変態のくせして、正式名称で呼べないさるくんをおかしく思いました。液体って呼ぶ方が、むしろ変じゃないかと。

  ですが、違いました。

  「おちんちんから出てくるナゾの液体。いったい、何なのでしょうか。」

  「えっ?」

  それを聞いて、うさぎくんは開いた口がふさがりませんでした。

  「ちょっと待って、[[rb:精液 > せいえき]]を知らないの?」

  「せいえき? きみは、これを知っているのですか?」

  そんなまさか、とうさぎくんは思いましたが、さるくんの顔は、真剣そのものです。もっとも、その真剣な顔も、鼻がヒクヒクしだしたかと思えば、またもや変態の顔になって、パンツをなめ始めるのですが。

  (交尾の真似事までしておいて、精液を知らない? そんなことって、ある?)

  うさぎくんは、そう思いましたが、

  「学校で、習わなかった? おれ、去年習ったけど。」

  きっと、まだ習っていないだけなのだと思いました。

  うさぎくんの読みは正しく、さるくんは、

  「まだです。」

  と、パンツから顔を離しながら言いました。付着したさるくんの精液は、もうすっかりなくなっていました。

  「精子って呼ぶこともあるけど、正確に言うなら、精子っていうのは、精液の中にある赤ちゃんのもとだよ。」

  「赤ちゃんの……もと?」

  「うん。女の子の卵子とくっついたら、それが子供になるんだよ。」

  「女子からも、こんな液体が出るのですか?」

  「そうじゃないよ。女の子の中に[[rb:射精 > しゃせい]]……えっと、精液を出すんだよ。……っていうか、ほんとに知らないの?」

  「だれも知りません。自分でもいろいろと調べてはみたのですが、見つかりませんでした。」

  調べ方が悪いんだな、とうさぎくんは思いました。

  みんな、四年生になって、やっとスマートフォンを買ってもらえたような環境です。

  それなら、知らないのも仕方がないと。

  (でも、だれも知らないなんて、そんなこと、あるのかなあ?)

  親やきょうだいから教えられることもあるはずですし、買ってもらったばかりとはいえ、自力でセーフサーチの外し方に辿り着ける子だっていてもいいはずです。

  「調べ方、教えてあげよっか?」

  洗濯物を片付け、きれいに干した後、うさぎくんは、さるくんにこう言いました。

  「本当ですか? ぜひお願いします!」

  コテージに入り、さるくんは、置いてある荷物からスマートフォンを取り出し、うさぎくんに渡します。

  うさぎくんは、お父さんに取り上げられているので、自分のスマートフォンを持っていませんが、使い方は、ちゃんと覚えています。

  ですが。

  (あれ? ないぞ?)

  セーフサーチの設定が見当たりません。

  機種が違うからかなと思いましたが、似てはいるので同じような場所にあるはずです。

  でも、探せども探せども、そんな設定は見当たりません。

  (おかしい。どうして?)

  ブラウザ側に設定があるのかもしれないと思い、勝手にブラウザを開いてみると、検索履歴が目に入ります。

  おちんちん、液体、発射。おちんちん、液体、正体。などなど。

  なんとも、用語を知らない子の努力がうかがえます。

  ブラウザや検索サイトにも設定が見当たらないので、うさぎくんは、試しに、その履歴を再検索してみました。

  すると。

  (えっ?)

  真っ先に出てきてもいいはずの有名情報サイトが出てきません。

  そして、やはりセーフサーチが効いているのか、アダルトサイトも出てきません。

  あるのは、おちんちんの出来物の対処など医療系のサイトだけです。

  おちんちん単独で検索しても、射精のことについての記述が一切見つからず、性行為の説明をしているサイトはありません。

  何よりおかしい部分がありました。

  (ヒット数そのものが少なすぎる。なんだこれ?)

  うさぎくんは、続けてエストレイン・キャンプと検索してみました。その結果は。

  (…………どうして?)

  学校が公開しているウェブサイトの行事紹介のみ。それ以外はゼロでした。

  次に、発情と検索してみます。

  すると、得られた情報は、おおよそが合宿のしおりに書かれている程度のものしかありませんでした。

  発情の原因も、うさぎくんが知っている発情の治め方も、どこにも載っていません。

  それならと、精液と検索しようと文字を入力した時、

  (あれ?)

  変換候補に精液という字がありません。

  「どうですか、できそうですか?」

  と、さるくんに声をかけられ、うさぎくんはおどろいてしまいました。

  (あんまり、人のスマホをいじるのもよくないな。)

  そう思ったうさぎくんは、入力途中の文字を消し、

  「ううん。やっぱり分からないや。ごめんね。」

  と、スマートフォンを返しながら言います。

  「いえいえ、とんでもありません。知らなかった用語を知ることができただけでもありがたいです。」

  「あ、そのことなんだけど……。」

  うさぎくんは、キョロキョロと周囲を見回したあと、小声で言います。

  「精子とか卵子とか精液とか、それから赤ちゃんができることとか、今は言わないでほしいんだ。」

  「どうしてですか?」

  「いや、ほら、おれだけ知ってたっていうのも……その……。」

  どう説明していいか分からないうさぎくんは、自分のおちんちんを見つめながら言います。

  「みんなと違いすぎることって、ちょっとさ。」

  「なるほど、理解しました。きみが元の学校で習ったのなら、ぼくたちも、そのうち、習うことになるでしょう。足並みはそろえたほうがいいでしょうね。」

  「ありがとう、助かるよ。」

  「礼には及びません。それに、いいものを嗅がせてもらいましたし。」

  「あはは。あれくらいなら、いつでもいいよ。」

  「それは助かりますね。」

  二人はそれから、何事もなかったかのようにコテージを出ましたが、うさぎくんの心の中は、おだやかではありませんでした。

  (情報が……ブロックされてる……。)

  検索結果の違和感。子供たちの性知識のなさ。それでいて、強すぎる性機能。

  お父さんは、どうしてスマートフォンを取り上げたのか。

  どうして、この街に引っ越したのか。

  うさぎくんは、背筋に寒いものを感じました。

  (この街は、なんかおかしい。)

  それは、お昼ごはんの後にも感じました。

  もうすっかり慣れてしまっていましたが、食後の薬を飲もうとした時に、そういえばと考えます。

  学校の先生は、出発前、しつこいくらいに薬を持ったかを聞いていました。

  子供たちはみんな、自慢げに、もらったばかりの新しい薬を見せました。

  もらったばかり。つまり、新品です。飲んでいる最中の薬があっても、その続きでなく、新品を持っていくのです。

  (ほんとにノミとかを退治する薬なの?)

  と思い、うさぎくんは、こっそり、カプセルを割って、中のニオイを嗅いでみました。

  そのニオイは、いつも飲んでいる薬とは違うものでした。

  (いったい、何の薬? どうして、合宿中は、別の薬になってるの?)

  うさぎくんは、気味が悪くなって、薬を飲む気になれませんでしたが、

  「なにやってんだ。ちゃんと飲めよ。」

  と、見つかったろばくんに言われ、仕方なく、粉の状態で飲みました。

  ひどく苦く、どれだけ水を飲んでも、舌に残った苦味はしばらく消えることはありませんでした。

  「苦いだろ。だからカプセルなんだよ。」

  と、ろばくんは言いましたが、それならどうして中身が変わるのか、うさぎくんは、言おうとして言いませんでした。

  たくさん水を飲んだせいで、おしっこが近くなってしまったうさぎくんは、トイレにかけこみ、そこでも違和感を覚えました。

  トイレの壁にあるウォーターガンです。

  (寄生虫対策って、それ、ほんとうなの?)

  その本当の目的について、うさぎくんは、すぐに思い当たります。

  (おしりをきれいにするためだ。)

  おちんちんを入れることを考えるなら、おしりはきれいな方がいいでしょう。

  でも、普段はあんなことをしていません。もしくは、うさぎくんが知らないだけで、しているのかもしれませんが。

  それを習慣づけているのは何のためか、うさぎくんにはわかりませんでした。

  それからもうひとつ、別の目的があることに、うさぎくんはあとで気が付きます。

  それはトイレから出て、少し歩いた時のことです。

  「おい。」

  「ひゃっ。」

  考え事をしていたうさぎくんは、背後からかけられた強い声に、ひどくおどろいてしまいました。

  「ひゃっじゃねえよ。別に取って食ったりしねえって。」

  それは、たぬきくんでした。

  いつものうで組み姿……と思いきや、たぬきくんは、両手の指の間に木細工をはさみこんでいました。

  「見ろ。これがおれの力作、こけし十兄弟だっ!」

  たぬきくんは、木工のレクリエーションで、こけしを作っていたのです。

  その出来栄えは見事なもので、木製なのに、陶器製と思ってしまいそうなほど、つやがありました。

  目の粗いヤスリから始め、ていねいに、順序良く、手を抜かず、細かいヤスリまでしっかりとかけていることがうかがえます。

  ただ、昨年作った木彫りの鯉と比べると、装飾が地味なぶん、見劣りするかもしれませんが、うさぎくんはそれを知りません。

  それよりも、別のことが気になりました。

  「十兄弟って、あとふたつは?」

  たぬきくんの手の指は、もちろん五本です。その指の間の数は、両手合わせて八つということになりますね。

  その指の間に一体ずつこけしをはさんでいるので、こけしは八体しかありません。

  それなのに、

  「こけし十兄弟!」

  だなんて、おかしいに決まっています。

  でも、たぬきくんは、

  「こまけえこたぁ気にすんな。」

  と、ごまかすように言いました。

  「それにしても……いや、なんでもない。」

  うさぎくんは、つい口走ってしまいそうになって、あわてて止めましたが、

  「なんだよ。おれのイメージに合わないって?」

  「そ、そんなこと……。」

  たぬきくんにはバレていました。

  だって、作っているあいだ、周りの子、特にとらくんからは、

  「そんなナリして、こけしって、受ける。」

  と、からかわれていましたから。

  たぬきくんは、そんなことは承知のうえで、

  「宮大工にはな、手先の器用さが求められんだよ。」

  と言い返して、いつもと違って怒ることなく、真面目な顔で、次々と新しいこけしを作っていきました。

  たぬきくんには、たとえ周りの子にからかわれても、しなければならないことがあったのです。

  「で、そのこけしがどうしたの?」

  それは……。

  「下脱げ。けつ出せ。」

  「えっ?」

  「いいから。」

  「発情してるの?」

  「ちげえよ。少ししてるけどそうじゃねえよ。」

  「まあ、いいけど……。」

  外で服を脱ぐのは恥ずかしかったので、ちょうど人の目が少ないコテージの陰に隠れながら、うさぎくんは、ズボンとパンツを下ろしました。

  そうして何をされるかと思えば、

  「いっ!?」

  たぬきくんは、うさぎくんのおしりの中に、こけしを突っこんだのです!

  「ちょ、ちょちょ、何して……?」

  「動くんじゃねえ。じっとしてろ。けつに力入れとけよ。」

  ただでさえ何が起きているか理解ができないのに、たぬきくんは、続けて何か布切れのようなものを出しました。

  長い布でした。白くて、長くて、それからひものようなものも見えます。

  そうして、中途半端にズボンとパンツを下ろしている足のすきまに、その布を通します。

  「ななな、なになに、なに?」

  その布は、うさぎくんのおちんちんを包みこみ、こけしを包みこみ、そうかと思えば腰に巻かれ……。

  (これ、ふんどしだ!)

  そう、たぬきくんは、うさぎくんに、ふんどしをはかせたのです。でも、なんのために?

  それは、すぐに分かりました。

  うさぎくんのおしりに、こけしを完全に固定するためです。

  「ほらよ。」

  と、ふんどしをしめ終えたたぬきくんは、残りのこけしを全部うさぎくんに渡しました。

  よく見れば、それぞれのこけしは、少しずつ、太さと長さが異なっていました。

  たぬきくんは、ゆうべ、ねずみくんのおちんちんを受け入れることができずに落ちこんでいたうさぎくんを見て、今日、どうしても、こけしを作ろうと思ったのです。

  具体的にどうしろとは言いませんでしたが、それらを使って、少しずつ、無理をせず広げていけということなのです。

  それを恩に着せることもなく、たぬきくんは、うさぎくんのおしりをポンポンたたいて、

  「じゃあな。」

  と去ろうとします。

  「ありがとう。きみって、いいやつだね。」

  うさぎくんは、にっこり笑って言いましたが、

  「かんちがいすんなよ。」

  たぬきくんは、強い目つきと口ぶりで、

  「おれのちんぽを、入れるためなんだからなっ。」

  と言って、ズンズンと歩き去っていきました。

  なんだか、たぬきくんの可愛い一面を見られた気がして、うれしくなったうさぎくんでした。

  くすくすと笑みをこぼしながら、

  (そうか、そういうことか。)

  と、うさぎくんは気が付きます。それは……。

  (普段からトイレで太いの入れてるから、みんな、簡単に入るんだ。)

  トイレに設置されたウォーターガンの、もうひとつの目的でした。

  おちんちんをおしりに入れることを見越して、そういう習慣づけを行っているのです。

  でも、そうなると?

  (……まさか。)

  うさぎくんは、おそろしいことに思い当たります。

  (大人たちは、何もかも、知っている?)

  だって、そうでなければ説明がつきません。

  レクリエーションコテージに向かいながら、うさぎくんは、心の中で、複雑な気持ちが渦巻いているのを感じました。

  それを振り払うように、

  (郷に入っては郷に従え。郷に入っては郷に従え。)

  と、こればかりを考えていました。

  世の中には、知らないほうがいいこと、知るべきではないことがあります。

  また、知るべきことでも、時期が来るまでは、知らないほうがいいこともあります。

  [newpage]

  

  子供という生き物は、可能性の塊です。

  知識の吸収速度も、体の発達も、大人とは比べものになりません。

  それは、うさぎくんのおしりも例外ではなく、若いだけあって、おしりの穴は、みるみる広がっていきました。

  レクリエーション中に何度もトイレに行き、ひとつずつ、ひとつずつ、大きなこけしに交換していきました。

  うさぎくんは、あれだけ気持ちがよさそうにしている光景を目にした後ですから、おしりを刺激することは、とんでもなく気持ちのいいことだと思っていました。

  でも、こけしがおしりの中を圧迫する感覚は、うさぎくんが期待していたほどではありませんでしたが、気持ちがいいと思う感覚も、押すと気持ちのいい部分も、確かにありました。

  うさぎくんは、いすに座りながら、ぐりぐりと、気持ちのいい角度を探しました。

  それが、徐々にサイズアップしていくと、ただ座っているだけで、なんとなく気持ちのいい感覚が、ずっと続くようになりました。

  おかげで、うさぎくんのふんどしは、先走りや、押し出された精液でびしょびしょになりました。

  「おまえ、寝てる間に出ちゃったのか?」

  と、いぬくんに言われ、ニオイが漏れていることに初めて気が付いたうさぎくんは、周囲の鼻のいい子のおちんちんを、どれだけ苦しめていたか知りました。

  いぬくんも、おおかみくんも、苦しそうにおなかを押さえていましたが、それが、大きくなったおちんちんの逃げ場を作っているのだと、分かります。

  「ご、ごめん。大丈夫?」

  「まあ、うん。」

  と、いぬくんは答えます。

  発情の度合いは、夜ほどではないようで、みんな、意識をすれば、がまんができているようでした。

  そんな中、ろばくんは、平気な顔をして木工に勤しんでいました。

  「発情は、大丈夫?」

  と、うさぎくんは、こっそり、ろばくんにたずねます。

  すると、ろばくんは、

  「うん。おれ、発情しないんだ。」

  と、小声で、答えました。

  それを聞いて、うさぎくんは、おどろきました。

  (発情しない? まだ子供だから?)

  と思いましたが、すぐに、思い直します。

  (いいや、大人と同じ機能は持ってるはず……。それじゃ、どうして?)

  うさぎくんが首をひねっていると、ろばくんは、

  「おれ、おかしいのかもしれない……。」

  と、しょんぼりしたように言います。

  「そんなことないよ。ぜったい、大丈夫。」

  と、自信たっぷりに元気づけました。

  いぬくんのおしりの中に、あれだけ出すことができるのですから、もし発情をしない体質だとか病気だとかいう事情があったのだとしても、じゅうぶん、子供を作ることはできるはずですから。

  それに……。

  (そうだ。もしかすると……。)

  と、うさぎくんは、さらに小声でたずねます。

  「きみと同じ種族って、この街に、どれくらいいるの?」

  それに対する答えは、うさぎくんの予想通りで、ろばくんと同じ種族は、ほかの種族と比べて、少ないようでした。

  実は、ろばくんは、発情をしない体質なのではなく、きっかけがないせいで、発情できなかっただけなのです。

  このことは、ちゃんと、四年生で習うことになるので、先に言いますが、発情というのは、女性から出るフェロモンの作用によって、引き起こされるのです。

  ですから、街に女性が少なければ、それだけ、発情の機会は、限られてしまうということになります。

  それについて、うさぎくんは、ろばくんに言おうと思いましたが、言わないでおきました。

  それで、

  「じゃあ、大丈夫だよ。そのうち、発情するようになるよ。ちゃんとね。」

  「本当かな。」

  「ぜったい、大丈夫。ぜったいだよ。おれを信じて。」

  理由は告げず、さらに自信満々な顔で、はげますだけにしました。

  うさぎくんの顔を見たろばくんは、納得はできないものの、確かに、元気づけられた気持ちになりました。

  世の中には、知らないほうがいいこと、知るべきではないことがあります。

  また、知るべきことでも、時期が来るまでは、知らないほうがいいということもあります。

  そして、世の中というのは、何を知っているかということと同じくらい、何を言うべきか、または、何を言わないかということが、大事なのです。

  うさぎくんは、それを、少しずつ、理解し始めていました。

  そして、この街がおかしいのではないことにも。

  この街の大人たちは、だれもがみんな、子供たちのことを本気で大事に思っています。

  それは、この街に来て間がないうさぎくんにも、じゅうぶんすぎるほど、伝わっていました。

  それならば、うさぎくんが、おかしいな、と感じたことは、すべて、子供たちのためにしていることになります。

  そう考えたとたん、何もかも、合点がいったのです。

  情報の規制も、性教育の遅さも、ウォーターガンも、内容は分からないにしろ、お薬も。

  そうやって、この街の社会は、うまく回っているのです。

  郷に入っては郷に従え。

  外から来た自分は、それを乱してはならないと、うさぎくんは、強く思いました。

  やるべきことは、知識をひけらかすことではありません。仲間に混ざること。溶け込むこと。

  できることがあるとすれば、ろばくんにしたように、安心させてあげることくらいでしょうか。

  各々が抱えている不安を、大丈夫だよ、安心して、と。

  [newpage]

  

  夜ご飯を食べ終えるころには、みんな、発情の度合いが高まっていました。

  その理由を、うさぎくんだけが知っています。

  合宿に来た時、バスから降りた駐車場で、うさぎくんは、街のある方を向き、鼻をくんくんさせながら、

  (おれも、かなり来てるな。)

  と、感じていました。発情の経験は浅いものの、この街に漂うフェロモンは、相当に濃いものだと感じました。

  それから、じまんの耳をすましてみると、いくつかの遠ぼえをキャッチしました。

  その声色は、不安や寂しさではなく、歓喜によるものに違いありませんでした。

  (屋内じゃなく、屋外で? もしかして、街のそこかしこで? エスト・ウィークって、もしかして?)

  うさぎくんは、街で行われているかもしれない光景を想像し、少しだけ怖くなりましたが、

  (ああ、だから、こういう合宿があるんだな。子供だけで過ごさせるのも、大人から遠ざけるためで、男女で分けているのも、知識がない時期に、間違いが起きないようにするためなんだ。それから、大人になった時、ちゃんとやれるように。)

  ということに考えが及び、ほっと安心しました。それと同時に、これまでの常識からすれば、どう考えてもおかしいことですが、街全体がそういう空気なのであれば、それはそれは楽しいことに違いないと思いました。

  (ってことは、この合宿でみんながこういうことをしているのは、ぜんぜん、悪いことじゃないんだな。)

  と、うさぎくんは、そう結論づけましたが、テントのある砂浜に戻ってみると、子供たちはみんな、発情をがまんしているようでした。

  発情は、いけないことじゃない。

  おちんちんを触ることも、いけないことじゃない。

  やりたいことをやっていい。

  エスト・ウィークは、最上の喜びを追求する期間なんだ。

  「みんな!」

  夕日をバックに、ふんどし一丁になったうさぎくんは、言いました。

  「やろうよ!」

  うさぎくんに集まっていた視線が、それぞれ、近くの子に移ります。そして、目と目が合ったとたん、爆発するように、抑えていた気持ちをぶつけ始めました。

  みんなから遠いところにいたので、うさぎくんには、ペアがいませんでした。

  うさぎくんは、ねずみくんを探しました。

  ねずみくんは、すぐに見つかります。ねずみくんも、うさぎくんの方に歩いてきていたからです。

  近くにいる子ではなく、わざわざ、遠くのうさぎくんの方に向かって。

  ビンビンになったおちんちんを、歩くたびに左右に揺れるおちんちんを、いじってもらいに。

  手が肩に触れました。

  手が背に回りました。

  二人はキスをしました。

  そして、うさぎくんは、ふんどしを解きました。

  「ねえ、見て。」

  うさぎくんは、おしりに入ったこけしを、ねずみくんに見せました。

  それから、ううん、と力を入れると、入っていたこけしは、トス、という音とともに、砂の上に落ちました。

  「お、おまえ……。」

  何もなくなったおしりの穴が、ヒク、ヒク、と誘っています。

  「きっと、入るよ。」

  うさぎくんは、ねずみくんのおちんちんを求めていました。

  ねずみくんが、感動したように目を細めます。

  そうして、ねずみくんは、うさぎくんのおしりに、おちんちんを……。

  「ちょっと待てぇい。」

  近づけようとした時、存在感のある声が、二人の間に割って入りました。

  うさぎくんがそちらを向くと、ものすごい存在感が、立ちはだかっていました。

  大きなおちんちんが、それから、大きすぎる陰のうが、うさぎくんの視界を、埋め尽くしていたのです。

  もちろん、それは、たぬきくんのものでした。

  うで組みポーズのたぬきくんは、うさぎくんと同じように、ふんどし一丁でしたが、そのふんどしをずらして、おちんちんを出していました。

  そうして、すごみを利かせながら、

  「先にそいつに入れるのは、このおれ様だ。」

  と、威圧的に言いました。

  ねずみくんは、反射的に、うさぎくんに抱き着きました。

  「な、なに、勝手なこと言ってんだ。」

  うさぎくんを守るように、ギュッと。

  「そのこけしはな、おれが、やったモンだ。おれのちんぽを入れるためにな。」

  「あれ、本当だったんだ。」

  ちょっと見直したのに、とうさぎくんは思いました。

  「なんだよ。おれが、そんな、お人好しだとでも思ったか?」

  たぬきくんは、ずいっと、おちんちんを近づけます。

  濃厚な精液のニオイがしました。

  たぬきくんのふんどしは、うさぎくんのふんどしと同じように、びしょびしょでした。

  (す、すごいニオイ。)

  さるくんではありませんが、なんだか、いけない気分になりそうでした。

  「待てよ。こいつの気持ちを尊重しろよ。」

  ねずみくんは、うさぎくんを引き離しながら言います。

  「なあ、おれは、おまえに入れたい。おまえはどうなんだ?」

  ねずみくんの表情は、いつになく真剣でした。うさぎくんは、

  「おれも、きみに入れてもらいたい。でも、恩があるのも確かだし……。」

  と、どっちつかずに答えます。

  「ほらな。おれが入れる。」

  「いいや。おれが入れる。」

  二人はどちらもゆずりません。

  うさぎくんがはっきり望みを言えればいいのですが、どちらの気持ちも分かるので、何とも言えません。

  そうなると、道はひとつですね。

  「じゃあ、勝負で決めようじゃねえか。」

  「のぞむところだ!」

  というふうに、うさぎくんのおしりの穴をかけた戦いが、始まってしまいました。

  たぬきくんは、大きなおちんちんの皮をむきながら、

  「飛ばしっこしようぜ。遠くまで飛ばした方が勝ちな。」

  と、意地の悪い笑みを浮かべながらルールを提案しました。なんて意地悪なたぬきくんでしょう。たぬきくんの男としての機能は相当なものです。勝てる子なんて、そうそういません。

  でも、たぬきくんは、

  「おまえも、なにか考えろよ。両方やろうぜ。引き分けなら、おれの負けでいい。」

  と、男らしいことを言いました。

  またちょっと、たぬきくんを見直したうさぎくんでした。

  ねずみくんは、

  「わかった。」

  と言って、こういうルールを提案しました。

  「どっちが長くがまんできるかにしようぜ。」

  と、強すぎる性欲が災いするようなものです。

  ですが、ふたつのルールを合わせると、それは見事なものになります。

  遠くまで飛ばすには強く興奮することが大事ですが、興奮しすぎれば先に射精してしまうことになります。

  たぬきくんは、

  「おもしれえ。やってやろうじゃねえか。」

  と、自信たっぷりに言いました。

  二人のやり取りを見ていたうさぎくんは、

  「じゃあ、おれが、手でしてあげるよ。」

  と、二人の間に入り、おちんちんをにぎりながら言いました。

  自分だけかやの外のような気がして、役に立とうと思ったのです。

  ですが、

  「じゃあ行くよ。スタートっ。」

  うさぎくんが二人のおちんちんをこすり始め、いくらもしないうちに、

  「あぁ、やば、気持ちい……。」

  ねずみくんは、早くも快感に負けてしまいそうになっていました。

  「なんだあ? もうへばっちまったかあ? 情けねえなあ。」

  「んなわけ、ね、うあ……。」

  でも、それも仕方のない話です。だって、おちんちんをこすってくれているのは、自分の好きな相手なのですから。

  うさぎくんは、自分の気づかいが仇になっていることに気がつきました。

  (どうしよう。負けてほしくない。)

  なにか方法はないかと考えるうさぎくんですが、両手はふさがっています。できることといったら、口で何かをするくらいです。

  でも、おちんちんをなめるのはだめです。射精の妨げになっては、飛距離が測れません。それでは、とても勝ったということにはできません。

  なにかないかと見回すうさぎくんの目に留まったのは、たぬきくんの胸でした。

  「ひぁっ!」

  たぬきくんが変な声を上げました。

  「おまえ、なにやってやがんだ!」

  うさぎくんは、たぬきくんのふくよかなおっぱいに、吸い付いていたのです。

  ちゅうちゅうと、陥没している乳首を吸い出して、ペロペロペロと、なめ回します。

  「いっ、おま、そん、そんなトコっ、なめてんじゃ、あ、ん、んぬぁああああああっ!」

  あんなに余裕そうにしていたたぬきくんは、うさぎくんに乳首を吸われてほどなく、大きなおちんちんを激しく跳ねさせ、射精してしまいました。

  ですが、その勢いは、いつものたぬきくんを知っている者ならば、だれもがおかしいと思うほど、ひかえめなものでした。

  いつもであれば、ビクン、ビクン、と力強く跳ね、力の限りをこめた射精を毎回繰り返すのですが、今回の跳ね方は、ヒクッヒクッヒクッ、という小刻みなものです。

  もちろん、その一回ごとに、ものすごい量の精液が飛び出してはくるのは間違いないのですが、その飛距離は、いつもの半分以下というところでした。

  「うっ、うお、うおっ……。」

  それでも、相当な快感が発生しているようで、たぬきくんは、膝をつき、半ばうつろな表情になりながら、ビュクビュクと目の前に射精をし続けました。

  砂浜だというのに、一箇所に放たれ続けた精液は、見事な水たまりになりました。

  対して、ねずみくんは、やはり好きな相手にいじってもらっている喜びにより、ブーストがかかります。

  それに加え、

  「お、おまえ、そんなとこ、なめ……あっ、あっ……!」

  調子に乗ったうさぎくんに乳首をなめられたことで、いつも以上に興奮してしまい、

  「んあぁああああぁあっ!」

  たぬきくんを大きく上回る、とんでもなく強い射精となりました。

  量もさることながら、勢いも強く、高くふき上がった精液は、沈みかけた夕日を受け、キラキラと美しく輝き、総勢七人に降りかかる大射精となりました。

  たぬきくんは、しばらく荒い呼吸でぼうぜんとしていましたが、

  「きょ、今日は、調子が悪いみてえだな。」

  と言い訳をして、すごすごと去っていきました。

  どうしてたぬきくんの射精の勢いが弱かったのか、二人にはわかりませんでしたが、とにかく、引き分けでの勝利ではない、完全な勝利を収めることができました。

  うれしくなったねずみくんは、うさぎくんに抱き着き、熱烈なキスをしました。

  出したばかりでぬるぬるになっているおちんちんが、うさぎくんのおなかに当たりました。

  「よし、それじゃ、改めて。」

  「うんっ。早く入れてよ。」

  やっと、願いが叶います。昨日、あんなに悔しい思いをしたうさぎくんでしたが、今度こそ、ねずみくんに気持ちよくなってもらうことができそうです。

  おちんちんでは気持ちよくしてあげることはできませんでしたが、こっちなら、きっと。

  四つんばいになったうさぎくんは、早く入れてもらおうと、自分からおしりの穴を広げて見せました。

  ねずみくんは、自分のおちんちんをにぎりました。

  まずは、根元を。すると、中に残っていた精液が、ジワリと顔を出します。

  そのまま、おしっこの穴のところでふくらんでいる水玉を、うさぎくんのおしりの穴にくっつけます。

  ぴと、ぬる、ちゅくっ。

  まるで、好きを伝えるソフトキスのように。

  (もう、もったいぶってくれるじゃん。)

  おしりの穴がうずく、初めての感覚がしました。

  早く入れてほしくて入れてほしくて、うさぎくんは、おしりの穴を、キュッキュ、としました。

  穴が、ねずみくんのおちんちんをパクパクして、たまっていた精液を、取りこんでいきました。

  ねずみくんは、うさぎくんのおしりの穴に、おちんちんをくっつけたまま、おちんちんの根元をにぎっていた手を、先っぽの方にスライドさせていきます。

  すると、おちんちんの中に残っていた精液が、ビュルっと、穴の中に送りこまれることになります。

  その感覚こそしませんでしたが、おかげで、うさぎくんは、痛みを覚えることなく、おちんちんを受け入れることができるようになりました。

  (あ、力入った。入る。入ってくるっ。)

  ねずみくんのおちんちんが、ぬる、ずる、ずる、大きな抵抗もなく、入ってきます。

  (すごい、入ってる。ちゃんと入ってる!)

  こけしのおかげで、穴はちゃんと広がりました。

  (あ、この感覚、先っぽが通りすぎたんだ。)

  全神経をおしりの穴に集中させているうさぎくんは、亀頭の段差が穴を通りすぎる感覚を、しっかりと受け取りました。

  (すごいすごいすごい、どんどん、入ってく! あ、あ、やばい……!)

  律儀にサイズアップしたこけしのおかげで、ねずみくんのおちんちんは、奥の方までちゃんと入っていきます。

  (やばい、やばいやばいやばい、なに、これぇ……。)

  強くなる圧迫感で、うさぎくんは、

  「あ、ああ……あぁぁぁ……。」

  といううめき声を抑えられないくらい、感じていました。

  やがて、ねずみくんのおちんちんは、行き止まりに当たります。

  そこまで到達しても、ねずみくんのおちんちんは、根元まで入り切ってはいませんが、

  「やった、うあ、やっと、い、入れて、もらえたぁ……。」

  「ああ、やっと、おまえに……。」

  二人は、まぎれもなく、つながっています。

  その喜びは、ほかの何にも代えがたいものです。

  「きつくて、あつくて、何もしてないのに、出ちまいそうだ……。」

  うさぎくんのおしりの中は、ねずみくんのおちんちんに、すきまなくピッタリと密着しています。

  何せ、始めから中が広かったほかの子と違い、うさぎくんのおしりの穴は、広がったばかりなのですから。

  「初めての、相手が、きみで……。」

  うさぎくんは、息も絶え絶えに、言います。

  「ほ、ほんとに、よかった……。」

  その気持ちがいいに違いないおしりを、好きな相手に味わってもらうことができる。これ以上ない喜びです。

  「おれも、おまえの初めての相手になれて、ほんとによかった。」

  ねずみくんは、うさぎくんのおしりを、二度、三度、ヨシヨシします。

  うさぎくんの体温と喜びが、おちんちんごしに、ねずみくんに伝わります。

  感動にひたっていたねずみくんも、もうがまんの限界です。

  「思いっきり、おまえの中に、出してやりたい。」

  と言って、うさぎくんの腰に、手をやります。

  「うん。いっぱい、出してよ。」

  と、うさぎくんは、笑ってみせます。

  ついに、動きます。

  そこにあるだけで気持ちがいいおちんちんが、動き始めます。

  奥深くのおちんちんが、まず外に。

  体の中身が引きずり出されそうな感覚がしましたが、それは最初の一回だけでした。

  続けて再び挿しこまれるおちんちんは、体液のなじんだスムーズなものになります。

  最初に送りこまれた精液に加え、おちんちんに加わる締め付けにより、次から次へと新しい先走りが出てきて、全体に塗り広げられるからです。

  (すご、これ、すごい。やばい、なにこれ、気持ちいい……!)

  うさぎくんは、こけしとは違う本物のおちんちんから与えられる感覚に、感動さえ覚えていました。

  予想と違って、ほかの子のように、射精したり、突き入れのたびに押し出された精液が飛び出てくることもありませんでしたが、うれしくて、気持ちよくて、心の底から満たされる、素晴らしい快感でした。

  そんなにうれしいのに、残念なことがありました。

  それは、ねずみくんが、苦しそうにしていることです。

  ねずみくんは、うさぎくんの体にかかる負担を考えて、動きを抑えていたのです。

  気持ちいいに違いないのに、がまんしているのです。

  「あぁ、あぅ、うぅ……。」

  と、泣きそうな声で、うめきながら、すんでのところで、セーブしているのです。

  もし少しでもきっかけがあれば、すぐに糸が切れてしまいそうな、限界のところで行われるがまんです。

  「ねえ。」

  うさぎくんは、顔を半分だけ後ろに向け、言います。

  「好きだよ。」

  と、快感にゆがむ顔を、笑い顔にして。

  可愛い笑顔と、可愛い声。それは見事にねずみくんの心を射抜きました。

  ねずみくんの顔が、泣きそうにゆがみました。

  「おまえ、それ、反則だからぁ……。」

  ガシッと、腰をつかむ力が強くなりました。

  「あぐっ。」

  うさぎくんの思惑通り、ねずみくんのおちんちんが、強く入ってきました。

  「ご、ごめん、むり……。」

  ねずみくんは、あやまりながら、おちんちんの突き入れを激しくします。

  想像以上の激しさに、うさぎくんはすぐに姿勢をくずしてしまいました。

  あわてて姿勢をもどそうとするうさぎくんでしたが、横倒しのまま、ねずみくんは我を忘れたように、おちんちんを押しつけてきます。

  もとの四つんばいにもどれそうにないと思ったうさぎくんは、足を上げ、あお向けになりました。

  すると、ずるんと入ってきたおちんちんが、よりスムーズに奥に入るようになりました。

  しかも、うさぎくんの気持ちのいい部分を、強く強くこすりながら。

  うさぎくんのおちんちんからは、ほかの子に比べると少量ですが、押し出された精液が、漏れ出ていました。

  「ごめん、ごめん、ごめん……。」

  ねずみくんは、もはやおちんちんのことしか考えられなくなりながらも、うさぎくんにごめんと謝り続けます。

  「い、いいよ、いいよ……。」

  うさぎくんは、ねずみくんを安心させるように、優しい声色で言います。

  「もっと、はげしくても、いいんだよ。もっと、もっと、気持ちよく、なっ……て……。」

  奥の行き止まりを突かれると痛いですが、ピッタリサイズのおちんちんが、うさぎくんの気持ちのいい部分を押し広げるたびに、確かな快感を得ることができます。それに加え、

  「あぁ……うぁぁぁ……!」

  ねずみくんが、もうどうすることもできないような声を出しながら、おちんちんをめちゃくちゃに動かしているのを見て、心の底からうれしくなりました。

  自分のおしりでちゃんと気持ちよくなってもらえている。そして、これから、がまんをせずに、最高に気持ちのいい射精をしてくれる。それがうれしくて、うさぎくんの心は、おあずけされていたハンバーグを食べることよりも満たされました。

  「ご、ごめん、もう、もう……っ!」

  ねずみくんが、切羽詰まった声を出します。

  「いいよ、来て、来て!」

  うさぎくんが、切羽詰まった声を返します。

  そうしてついに、その時が来ました。

  「んううぅぅぅぅぅぅぅぅああああぁああぁぁあっ!」

  大絶叫を上げながら、ねずみくんはとんでもない射精をしました。

  おちんちんの跳ね方は、おしりごと持ち上げてしまいそうなほど強く、うさぎくんの小さな体に、明らかに不釣り合いな量の精液を、ドプッ、ドバーッ、ドビューッ、次から次へと送りこんでいきました。

  (う、うわっ、やばっ!)

  精液のかたまりが行き止まりに衝突した感覚は、おちんちんの突き入れと錯覚しそうなほどの勢いでした。

  ビュッ、ビュッ、ビューーッ。

  おちんちんは浅い位置にありましたが、たっぷりあるはずの空間が、すぐにいっぱいになりました。

  (すごい、どんだけ出るの……。)

  ピッタリサイズのおちんちんは、穴をピッタリふさいでいます。

  ビューッ、ビューーーーッ。

  いっぱいになっても出続ける精液は、おしりの中の圧力を高めます。

  (あ、出ちゃう、出ていっちゃう……。)

  ピッタリふさがれていた穴から精液が飛び出し、中の圧力が下がっていきます。

  もったいないと感じたうさぎくんは、おしりの穴に力を入れます。

  また、おしりの中がいっぱいになる感覚に安心しました。

  ビュッ、ビュッ、ビュッ。

  なおもねずみくんは射精します。

  うさぎくんに対する想いと共に、いいえ、射精そのものを想いの代わりにするように。

  「なあ。」

  ビュッ、ビュッ。射精しながらねずみくんは言います。

  「お、おれも、おまえが……。」

  ビュ、ビュッ。

  「おまえが、好きだ。」

  ビューーーーッ。

  そうして、熱いキスをしながら、ありえないほどの射精を、最後の最後まで、うさぎくんの中に、果たしました。

  それはそれは、頭がヘンになりそうだったと後で言うくらい、気持ちのいい射精でした。

  [newpage]

  

  さて、彼らの夜はまだまだ終わりません。

  うさぎくんの周りは、いつしかおちんちんが取り囲んでいました。

  前の夜には受け入れることができなかったおしりに、おちんちんが入ることを知った子たちが、列をなしていました。

  でも、子供たちの中で二番目くらいに小さなねずみくんのおちんちんが入るようになったばかりですから、ほかの大きなおちんちんを受け入れるには、まだまだ時間が必要です。

  うさぎくんは、さるくんや、やぎくんなど、小さめのおちんちんを持つ子を選んで、おしりを差し出しました。

  小さい順から、徐々に大きく。

  そう、うさぎくんは、こけしの代わりに、おちんちんでおしりを広げてもらおうと思ったのです。

  そうしながら、おしりに入らないのならせめて……と、おちんちんを手当たり次第にしゃぶります。

  うさぎくんのおしりに入らないおちんちんは、ねずみくんが率先して引き受けました。

  ねずみくんも、手と口を使い、大きなおちんちんが、うさぎくんの方を向かないよう、しずめていました。

  そうすることで、うさぎくんのおしりを、守ってあげたのです。

  人だかりは、いつしか輪になっていました。

  おちんちんを二人に向け、軽くこすりながら、順番待ちをしていました。

  待ち切れない子同士で、行為を始めることもありました。

  みんな、うさぎくんたちに、夢中になりました。

  「きみのおしりは、こんなに、気持ちがいいのですね。」

  と言いながら、さるくんは、狂ったように、うさぎくんのおしりにおちんちんを入れました。

  さるくんは、変態のくせに強い性欲を持っています。いいえ、性欲が強いからこそ変態なのです。

  その強い性欲でもって、強く、速く、激しく、猛烈な勢いでおちんちんを出し入れします。

  ねずみくんよりも小さいおちんちんなので、なんとか耐えられましたが、それでも、ピンポイントで気持ちのいい部分を突かれまくったせいで、うさぎくんは、頭がヘンになりそうなくらい、感じてしまいました。

  つらいといえばつらいですが、気持ちがいいことは確かです。でも、

  「あっ、あっ、あっ、あーっ!」

  と、つい苦しそうな、助けを求めるような声になってしまって、ねずみくんを心配させてしまいました。

  ねずみくんは、おしりにおちんちんを引き連れたまま、うさぎくんの顔をのぞきこみます。

  うさぎくんは、だいじょうぶだよ、と言いたかったのですが、射精してもなお腰を振り続けるさるくんのおちんちんが気持ち良すぎるせいで、声が言葉になりません。

  言葉にできないならと、うさぎくんは、ねずみくんに口を近づけます。

  ねずみくんは、うさぎくんを安心させようと、熱く優しい口づけをしました。

  「んー、んー、んーーー……。」

  快感にあえぎながら、おちんちんの相手をすることも忘れ、二人で、むさぼるようにキスをしました。

  そこに、ストロボの音と光がしました。おおかみくんが、二人のキスを撮影したのです。

  変態のさるくんと違い、同じ写真係でも、おおかみくんは、大事な思い出を形にする責任感で、発情を抑えこんでいたのです。

  そうはいっても、丸出しのおちんちんは、よだれを垂らしてヒクヒクし、もう爆発寸前です。

  おおかみくんは、背徳感で背筋をゾクゾクさせながら、うさぎくんのねずみくんの熱い口づけの間に、おちんちんをもぐりこませました。

  二人は、おちんちんに割りこまれながらも、口を、舌を、亀頭の上で滑らせながら、お互いの口を求め続けました。

  その様子を、おおかみくんは、息をあらくしながら、撮影します。

  うさぎくんは、撮影されることがむしろうれしいみたいに、はむはむ、ぴちゃぴちゃ、おしゃぶりとキスを両立させました。

  口に入りきるかあやしいほど大きなおちんちんですが、それでも、一本のうちは、どうにか相手にキスが届きました。

  ですが、

  「おもしれぇことやってんじゃねえか。」

  と、目ざとく見つけたたぬきくんにより、おちんちんが追加されました。

  たぬきくんは、うで組みをしながら、ふんどしの横から出したおちんちんを、おおかみくんのおちんちんに、近づけていきます。

  亀頭と亀頭が、二人の口の間で、密着しました。

  「先に出した方が負けな。」

  なんと、たぬきくんは、こんなところで勝負をしかけたのです。

  「いいけど、なんで、ふんどしつけたままなんだよ。」

  たぬきくんは、

  「へっ。じきに分かる。」

  と言って、亀頭に加える力を強くします。

  ぐにぐにと、くにくにと、亀頭同士が不規則にこねくり回されました。

  二本のおちんちんにより分断された恋人たちが、どうにかすきまをかいくぐろうとします。その舌の動きが、快感を手助けしました。

  「やべ、出る。」

  たまらず、おおかみくんは射精してしまいました。

  射精の瞬間に腰を引いたので、おおかみくんのおちんちんから飛び出す精液は、ほとんどがたぬきくんのおなかや胸、それからおちんちんにかかりました。

  「へっ、えらく早いじゃねえか。」

  と、勝ちほこったように、たぬきくんが言います。

  「まあ、今日初めてだからな。」

  と、おおかみくんは、特に恥じることなく言いました。

  「相変わらず、意識たけえんだな。まあ、おまえのそういうところ、おれは、好きだぜ。」

  と言いながら、たぬきくんは、おちんちんが減ったことで口づけを再開する二人に向かい、

  「そらよ、キスがしてえんなら、ぞんぶんに、やりやがれ。」

  二人の頭を押さえつけ、顔を密着させます。

  そうして、せまくなった口のすきまに、グリグリと無理やりにおちんちんをねじこみながら、

  「おれが出すところ、ちゃんと撮れよ。」

  と、おおかみくんに命令し、

  「おらっ、出すぞっ!」

  と、触れ合う二人の口の中に、盛大に射精しました。

  その勢いは、やはりねずみくんと行った勝負の時のように弱いものでしたが、量はむしろいつもより多く、あっという間に二人分の口をいっぱいにしました。

  二人は必死になってそれを飲みこみましたが、たぬきくんの勢いはそれを上回りました。

  飛びこみ、飛びこみ、飲みこみ、飛びこみ、たまって、飛びこみ、飛びこみ、なおも飛びこみ。ついに、ごぽっと、二人の顔の間ではじけました。

  二人の顔面が真っ白に染まる瞬間を、おおかみくんのカメラは見事にとらえました。

  頭から、鼻から、口から、舌から、あごから、たぬきくんの精液にまみれました。

  それでもなおドロドロのキスを続ける様子を、また撮影します。

  「やっぱり、おれも、そこに出したい!」

  と、ねずみくんにおちんちんを入れている子が言いました。

  それはいぬくんでした。

  いぬくんは、今まさにねずみくんの中に射精を始めたところでした。

  おちんちんを抜き、ビューッ、ビューッとうさぎくんとねずみくんの頭の上に射精しながら近づき、二人のキスの間におちんちんをくっつけます。

  うさぎくんとねずみくんは、ほっぺたをくっつけ合いながら、ビュービュー際限なく飛びこんでくる精液を、受け続けました。

  そうして、何もでなくなったところで、改めて二人は口を付け合い、口に溜まった液体を、ひとしきり混ぜ合って楽しんだあと、ごくりと飲みこみました。

  同じように、そこにさるくんが割りこんできて、二人に濃厚な精液を提供しました。

  この後、二人がかりでおちんちんをなめてもらうのが、しばらくブームになりました。

  口の数が減ったことで、当然、順番待ちが激しくなります。

  もうがまんができない子供たちは、口に出している子のおしりに入れたり、おしりに入れている子のおしりに入れたり、さらにそのおしりに入れたり、見境なく行為を広げました。

  みんな、前回よりも強い発情で、近くにいる子がだれであれ、おちんちんを入れたくてたまらない気持ちになっていました。

  おちんちんを入れられる側だったとしても、おちんちんを入れる時と同じような快感を得ることができたので、だれも、文句は言いません。

  だれもがみんな、手当たり次第におちんちんを入れ、おちんちんを入れられ、そこかしこで甘い声を上げ続けます。

  そんな中、ひときわ大きな快感の声を上げている子がいました。

  ぶたくんでした。いつもは、うまくんにおちんちんを入れられていますが、そのうまくんは、おしりから大量の精液をあふれさせながら、横たわっていました。

  ぶたくんのおしりに入れていたのは、ろばくんでした。

  おや、とうさぎくんは思います。

  聞いていたわけではありませんが、いぬくんとろばくんが恋人であることは、何となく気が付いていました。

  現に、昨日はほとんど二人で行為をしていたと記憶しています。

  それが、今日はどうでしょう。

  お相手のはずのいぬくんは、さっきはねずみくんに入れていて、今は、たぬきくんに入れられて、叫びながら射精しています。

  ろばくんは、我を忘れたように、ぶたくんのおしりをガツンガツンと突きまくっています。

  ぶたくんのおちんちんから、精液がビュルビュルと飛び出しています。

  射精しているわけではありません。押し出されている精液です。

  でも、それが、勢いよく飛び出してしまうほど、ろばくんの突き入れが激しいのです。

  やがて、ぶたくんのおしりから、ドバドバと大量の精液がこぼれ落ちます。

  それと同時に、力尽きたぶたくんは、うまくんに折り重なるようにして倒れこみました。

  ろばくんは、未だおちんちんをピクピクさせながら、相手を探します。

  そうして、きつねくんに入れていたとらくんのおしりを、同じようにむちゃくちゃにします。

  その激しさは、直接入れられているわけではないきつねくんが射精してしまうほどで、それを直接受けたとらくんは、きつねくんのおしりから精液をあふれさせながら、そして、自分のおしりから精液をふき出しながら、倒れこんでしまいました。

  ろばくんは、また次の相手を探します。

  ちょうど、ねずみくんのおしりの穴が、ろばくんの方を向いていました。

  理性を失ったように、ろばくんは、その穴に向かっていきます。

  ゆらゆらと、ふらふらと。

  「おれ、どうしちゃったんだろ。なんか、おかしくなっちまった……。」

  はーっ、はーっ、はーっと、ろばくんは、ひどく興奮していました。

  そうか、と直感したうさぎくんは、自分を取り囲んでいるおちんちんをなめる合間に、

  「だいじょうぶ、きみも、発情したんだよ。」

  と言って、安心させるように、にっこり笑って見せました。

  「発情……? これが?」

  「なにもおかしいことじゃない、なにもヘンじゃない。やりたいこと、やっていいんだよ。」

  そう言って、うさぎくんは、ねずみくんとの共同作業を再開しました。

  そのねずみくんのおしりに、ろばくんは、おちんちんを押し付けました。

  ですが、

  「いっ、ち……ちょ、無理、入らねえよ。」

  ねずみくんのおしりは、ろばくんのおちんちんを、受け入れることができませんでした。

  ろばくんのおちんちんは、子供たちの中で一番大きなうまくんに匹敵するほどです。入る子は限られています。

  その限られた相手は、発情したろばくんの強すぎる性欲によって、ほとんどが腰砕けになってしまいました。

  「へっ。そろそろ、出番だな。」

  たぬきくんは、いぬくんからおちんちんを抜きながら、言います。

  それを聞いたうさぎくんは、てっきり、今こそ、恋人であるいぬくんの出番なのかと思いましたが、どうやら、違うようでした。

  たぬきくんは、なぜだかずっとつけていたふんどしを、しゅるしゅると、ついに解きました。

  そうして、はだかになったたぬきくんは、ろばくんに見えるように、おしりを向けます。

  ちょうど見える位置にいたうさぎくんは、おどろきの光景を目の当たりにしました。

  「ほら、よっ。」

  なにもないところから、こけしが現れ、ドス、と重そうな音を立て、砂浜に突き刺さりました。

  (え、どこから出てきたの?)

  いいえ、なにもないところからではありません。

  (まさか……。)

  たぬきくんの、フジツボのようなおしりの穴が、すべてを物語っていました。

  「来な。おれが、相手をしてやるよ。」

  たぬきくんのおしりの穴は、ろばくんのおちんちんを、軽々と飲みこんでしまいました。

  (そうか、そういうことだったんだ。)

  うさぎくんは、すべてを理解しました。

  ふんどしをつけっぱなしにしていたのは、うさぎくんが入れていたものよりも、ずっと大きなこけしを入れていたからで、そのふんどしがびしょびしょに濡れまくっていたのも、こけしの刺激で射精をくりかえしていたせいなのです。

  (それで、こけし十兄弟だったんだ。)

  八体しかないこけしに十兄弟なんて名付けるはずはありません。

  残りの二体は、たぬきくんのおしりを広げるためにあったのです。

  ここにはありませんが、もう一体は、どこかに置いてあるのでしょう。

  (待てよ、それじゃあ……。)

  さらにうさぎくんは、別のことにも思い当たります。

  (あんな勝負をしかけてきたのも…………。)

  それは、ねずみくんに突き付けた勝負のことです。

  たぬきくんの射精は、いつもよりも勢いを落としていました。

  おしりの穴とおちんちんのヒクつきが連動していることは、みんな知っています。

  あんな太いこけしが穴をいっぱいにふさいだ状態で、他人と勝負ができるような射精ができるはずがないのです。

  つまり、たぬきくんは、始めから分かっていて……。

  (やっぱり、いいやつだったんだな。)

  うさぎくんは、胸がいっぱいになりました。この街には、大人も子供も、悪いやつは、一人もいない。

  この街に来てよかったと、心の底から思いました。

  「んぐ、おぉ、う、んぉお……おっ……。」

  その〝いいやつ〟は、ろばくんの激しすぎる交尾で、四つんばいの手をガクガクさせながら、快感に耐えていました。

  ろばくんが激しく前後するたび、ゆっさゆっさと前後に揺れるたぬきくんの動きに合わせ、おなかとおっぱいが、たゆんたゆん、ぶよんぶよん、前後に揺れていました。

  うさぎくんは、

  「ねえ。」

  と、ねずみくんを誘って、左右から、たぬきくんのおっぱいを、口にふくみました。

  「んひぁっ、お、おい、んぁ、だから、そこ、なめん、じゃ……んっ、ひぃ……っ。」

  陥没した乳首を吸われ、舌でもてあそばれながら、たぬきくんは、弱々しい口調で、二人を止めようとしますが、

  「んんんぃぃいぃ……っう、うあああああああっ!」

  それより早く、たぬきくんが射精してしまいました。

  ドバドバと、ドプドプと、おちんちんから、精液が、あふれてきます。

  おしりと乳首の同時刺激で、たぬきくんは、射精しながら、よだれを垂らしてしまうほど感じてしまいました。

  「ふぎっ。」

  その口に、おおかみくんが、おちんちんを突っ込みました。

  おおかみくんは、吐き出せないようにしっかりと頭を抱え、おちんちんを、ズボズボしました。

  たぬきくんは、もはや、がまんする力もなくなり、ろばくんがめちゃくちゃにおしりを攻めるのに合わせ、精液を垂れ流しにすることしかできませんでした。おおかみくんがのどの奥で射精するのを、必死に飲むしかできませんでした。

  やがて、ろばくんが射精するころには、たぬきくんの体の下には、何人もの精液が混ざった水たまりができていました。

  たぬきくんは、その水たまりに、力なく倒れます。おしりを突き出した体勢で、上半身を、どしゃ、と。

  おしりからは、たった今注がれたばかりの大量の精液が、こんこんと、湧き出ています。

  無数のシワに取り囲まれた、開きっぱなしの穴が、白い液体を、吐き続けています。

  それを、おおかみくんは、ばっちり撮影しました。

  すべての力を使い果たしたかに見えたたぬきくんでしたが、

  「へ、へっ、どうってこと、ないぜ。」

  と言いながら、ガクガクする手で、体を起こします。そうして、

  「ちんぽのでっかいやつは、ここに来い。おれが、まとめて、相手をしてやらぁ!」

  と、たぬきくんは、ある一人を強く見つめました。

  いきなり強い視線を送られ、肩をビクッと跳ねさせたのは、きつねくんでした。

  子供たちの中で、一番太いおちんちんを持っているきつねくんは、今日も、だれにもおちんちんを入れることができず、みんなのおちんちんを入れてもらうことしかできていません。

  「おまえだよ、おまえ。さっさと来い。」

  とまどうきつねくんでしたが、近づいたおおかみくんが、何かを耳打ちしました。

  それを聞いたきつねくんは、感動したように見開いた目で、たぬきくんを見ながら、歩き始めます。

  そう、たぬきくんがおしりの穴を広げた本当の理由は、きつねくんのおちんちんを受け入れるためでした。

  前の合宿で、だれにもおちんちんを入れることができずに悲しがっていたきつねくんを、だれよりも心配していたのは、たぬきくんだったのです。

  きつねくんは、だれにも入ることのない立派すぎるおちんちんを、ためらいがちに、たぬきくんに入れてみました。

  すると、

  「は、入る、入るよぉ……!」

  と、感動の声が上がります。きつねくんの太いおちんちんは、少しきついものの、しっかりと、たぬきくんの中に入ったのです。

  「当然だ。おれは、ちんぽもでっかいが、器もでっかいんだ。」

  「こんなに……気持ちいいんだ……。」

  半分あきらめていた望みが叶って、感動したきつねくんは、おちんちんをめちゃくちゃに入れまくりました。

  ただでさえ太いそれが、おしりの中で暴れまわるのです。たぬきくんは、それでも音を上げることはありませんでしたが、声にならない声を上げながら、目をかっと見開いたまま、歯を食いしばり、強すぎる快感に耐えていました。

  うさぎくんは、胸を打たれました。

  みんなのためを思って行動できる男らしさに対して。

  そして、自分のおしりを広げてくれたことへの感謝に。

  「ねえ。おれに入れてよ。」

  どうにか恩返しがしたくて、うさぎくんは、今まさにめちゃくちゃにされているたぬきくんに、おしりを向けました。

  だれの精液と呼ぶこともできないくらいたくさん出されたおしりの穴を、パクパクさせながら。

  ですが、やはり慣れないのに無理をしすぎたのでしょう、たくさんのおちんちんが出入りした穴は、少し赤みを帯びていました。

  それを見たたぬきくんは、

  「へっ。」

  とだけ言って、うさぎくんのおしりの穴に、口をつけました。そうして、ペロペロ、なめ始めたのです。

  予想だにしていなかった行動に、うさぎくんは、

  「ひゃっ。」

  と声を上げて、おどろきました。

  舌が、穴をなでていました。ペロペロと、使いすぎた穴を、いたわるように。

  舌が、穴に入ってきました。ベロベロと、気持ちのいい部分を、押さえるように。

  「まだまだ、こんなんじゃ、おれのちんぽは、入んねえよ。」

  というセリフは、ただのごまかしです。

  気づかいに感動したうさぎくんは、舌が気持ちいいこともあって、おしりをなめられながら、射精してしまいました。

  あまりにもおしりを攻められすぎて、まったく気づいていませんでしたが、何気に、この日、初めての射精でした。

  「でも、まあ。」

  たぬきくんは、うさぎくんの腰をつかんで引き寄せながら、

  「出すだけ、出してやるぜ。」

  と言いながら、おちんちんを、うさぎくんのおしりの穴にくっつけます。

  そうしながら、きつねくんのおちんちんにより起きてしまう射精を、うさぎくんのおしりの中に、注ぎました。

  大きすぎるおちんちんにより、穴は完全にふさがれています。

  たぬきくんの多すぎる精液は、どんどんと、どんどんと、うさぎくんの奥に、流れこんでいきます。

  うさぎくんは、奥に奥に入ってくるそれに、若干の苦しさを覚え、たぬきくんの射精が終わったあと、おしりをぺたりと下げました。

  「んぇっ、……えっ?」

  そこには、だれかの顔がありました。

  さるくんでした。さるくんが、いつの間にか、そこにいました。

  あお向けになって、顔だけを、もぐりこませていました。

  二人の間に入って、いいえ、正確には、二人の間で揺れ動くたぬきくんの陰のうの下に入って、ニオイを嗅いでいたのです。

  そのもぐりこませていた顔に、うさぎくんの股間が、乗っかってしまったのです。

  厳密に言えば、おしりが乗ったわけではありませんが、おしりから流れ続けるたぬきくんの精液が、さるくんの顔面を白く汚していました。

  「あっ、ご、ごめ……っ。」

  と言いながら、うさぎくんはおしりを上げようとしますが、

  「うわっ。」

  たぬきくんが、上から押さえつけたせいで、今度こそ、さるくんの顔に、おしりが乗ってしまいました。

  力が入ってしまったために、おしりからは、さらに大量に精液が逆流してきました。

  それを、さるくんは、ビクン、ビュクンと射精しながら、なめ回していました。

  そこをなめるのが仕事と言わんばかりに、さるくんは、必死になって、なめ回していました。

  うさぎくんは、なんだかいけない気持ちになりながら、その心地よさに浸りました。

  やがて、きつねくんが、たぬきくんの中に射精します。

  たぬきくんは、その大量に精液の入ったおしりを、さるくんの顔に乗せて、きれいにしてもらっていました。

  そのあと、地面につきそうなほど垂れている陰のうを、さるくんに被せると、さるくんは、ずっとふんどしの中で熟成され続けた強すぎるニオイのせいで、何もしていないのに、射精が止まらなくなりました。

  それは、ちょっとした名物になりました。

  みんな、うさぎくんとねずみくんの口におちんちんを割りこませたり、うさぎくんのおしりに入れたり、ねずみくんのおしりに入れたり、たぬきくんのおしりに入れたりしました。

  転校生ということもあるのでしょう、うさぎくんは、みんなの人気者でした。

  何本ものおちんちんに囲まれて、同時に相手をしながら、うさぎくんは、大満足でした。

  今夜こそみんなの役に立つことができたと、報われた気分になったのです。

  それに、おちんちんではだれかを満足させることができないと思っていたのに、みんな、うさぎくんのおちんちんを、ちゃんと、可愛がってくれました。

  うさぎくんとねずみくんがしていたように、二人がかりでなめてもらうこともありました。

  ますますみんなのことが好きになりましたが、それでも、やっぱり一番はねずみくんです。

  ちょうどおしりが空いたので、うさぎくんは、ねずみくんにおしりを向けました。

  うさぎくんのため、おちんちんを入れたい欲求をがまんしておしりをみんなに向けているねずみくんのために、おしりを使ってもらおうと思ったのです。

  ねずみくんは、顔を見ながらやりたいと言いました。

  うさぎくんは、あお向けになります。ねずみくんは、おちんちんを入れます。

  だれかが、ねずみくんのおしりに、おちんちんを入れます。

  だれかとだれかが、二人のキスの間に、おちんちんを入れます。

  何人もの射精を顔に浴びながら、おしりにたくさん注がれながら、だれかの手にたくさん射精しながら、うさぎくんは、いつの間にか、電池が切れたように、眠ってしまいました。

  [newpage]

  

  だれよりも早くにダウンしてしまったせいでしょうか、うさぎくんは、翌朝、だれよりも早くに目を覚ましました。

  始めのうち、そこがテントの中ということに、気づくことができませんでした。

  でも、完全な真っ暗闇というわけではなく、ごくごくわずかな光が、テントを通り抜けていたおかげで、なんとなく、理解ができました。

  (すごいニオイ……。)

  テントの中には、乾いた精液のニオイが充満していました。

  ぶたくんも、さるくんも、ねずみくんも、死んだように眠っていて、みんな、体を洗っていないようでした。

  たぶん、みんな、そんな体力が、残っていなかったのでしょう。

  おや、とうさぎくんは思います。同じ班のろばくんがいません。

  そっとテントの入り口をめくってみると、薄明りの正体が、日の出前の空の色だったことが分かりました。

  群青色が、少しずつ明るさを増していき、オレンジへとグラデーションしています。

  その淡い光を受け、いぬくんとろばくんが、テントの近くで抱き合ったまま眠っていました。

  二人には、布団がかけられていて、そのシルエットから、どうやら、最後には、また二人で仲良く交尾をするようになり、その最中に眠ってしまったことがうかがえます。

  (そうだ、服。)

  うさぎくんは、服を遠くに脱ぎ捨てていたことを思い出します。

  (ちょっと、恥ずかしいけど、だれも、起きてないよね。)

  仕方なく、はだかのまま、くつをはいて、取りに行くことにしました。

  暗がりの中を、キョロ、キョロ。だれもいないことを、確認しています。

  ゆうべ、はだかになって、あんな激しいことをしていたのに、一晩たってみれば、恥ずかしい気持ちが復活します。

  少し歩くと、服のある場所に到着しました。

  でも、うさぎくんは、それを着る気にはなれませんでした。

  全身の毛が、ハリセンボンかと思うくらい、ツンツンになっています。

  それに、ものすごいニオイです。

  洗濯前の服の方が、まだきれいだと断言できます。

  どうせ洗濯前なのですから、構わず着ればいいようなものですが、何となく、抵抗がありました。

  (今日は、みんな、シャワーを浴びるところからかな。)

  と思いながら、うさぎくんは、砂浜に足を投げ出して座ります。

  体と同じように精液まみれになったくつは、まだ乾いていません。

  重いくつを左右に揺らしながら、うさぎくんは、ゆうべの出来事を思い返します。

  いきなり、頭の中に、何本ものおちんちんが現れました。

  太くて、大きくて、力強くて、タフで、ものすごい量の精液を出す、すさまじいおちんちんたち。

  うさぎくんは、全身で感じたそれを、はっきりと思い出すことができます。

  亀頭の舌触りを、くちびるがすべる感覚を、先走りの味を、打ち付ける精液の感覚を、味を、のど越しを、ニオイを。

  それから、おちんちんをおしりに入れられる感覚を。

  ねずみくんのおちんちんの感覚を思い出したとたん、うさぎくんのおしりが、キュンとうずきました。

  腰のあたりが、くすぐったくなりました。

  むくむくと、おちんちんが大きくなってきました。

  なんとなく手を伸ばしたうさぎくんでしたが、一人でするのはもったいないと思い、引っ込めます。

  自然にそう思ってしまうほど変わってしまった自分に気がつきますが、ぜんぜん、いやな気持ちにはなりません。

  (この街では、男の子を好きになってもいいんだ。)

  もう、それが、分かっているからです。

  男の子を好きになってもいい。

  男の子のおちんちんを好きになってもいい。

  男の子と交尾ごっこをしてもいい。

  こんな素晴らしいことがあるでしょうか?

  うさぎくんは、皮をむいたおちんちんで、ひんやりとする朝の風を感じながら、また、この街に来てよかったと、しみじみと思いました。

  「おはよ。」

  と、ねずみくんが、やってきました。

  「おはよう。」

  あいさつを交わし、となりに座ります。

  うさぎくんと同じように、ねずみくんも、はだかです。

  重いくつをはいて、ぷらぷらと左右に揺らしながら、ピッタリと、肩をくっつけます。

  おちんちんをいじることもなく、キスをすることもなく、手をにぎり合う、ただそうするだけで、心が満たされる気持ちになりました。

  でも、恋心と性欲は、簡単に結びついてしまうものです。

  何もしなくても、勝手にふくらんでいくおちんちんに、二人は、何も言わず、お互いのおちんちんに、手を伸ばしました。

  それは、射精を目的としたものではなく、単なるスキンシップでした。

  時間をかけて想いを伝えるための、ひとつの方法です。

  その間に、ほかの子も目を覚まし、二人のもとにやってきました。

  服を着ている子は、いませんでした。

  おおかみくんが、カメラを向けながら、

  「おまえらさ、せっかくそういう関係になったんなら、アレ、やっとこうぜ。」

  と言いました。

  「やりたい。」

  と、ねずみくんは言いますが、

  「アレ?」

  と、なんのことか分からないうさぎくんは、首をかしげます。

  「釣り堀んとこ行こうぜ。ちょうど日が昇るのが見えそうだ。」

  おおかみくんの勧めで、二人は歩き始めますが、ねずみくんは、歩きながら、うさぎくんのおちんちんを、いじり続けました。

  うさぎくんも、同じようにやります。

  二人は、外で寝ている子、起きてはいるけど座っている子の横を、おちんちんをいじり合いながら、通りすぎました。

  みんなの視線が集まります。

  でも、恥ずかしくはありませんでした。

  みんなはだかだからというのもありますが、一人じゃなく、二人、しかも、恋人になったばかりの相手が一緒なのです。

  うさぎくんは、むしろ、ほこらしい気持ちで、可愛らしいおちんちんを、見せびらかすように歩きました。

  「おお、ほんとだ。すげえ。」

  釣り堀に着くなり、ねずみくんが、目を輝かせながら、言います。

  その目は、本当に輝いていました。水平線から顔を出す太陽から、希望の光を受けていたからです。

  ねずみくんが、うさぎくんのおちんちんをしゃぶり、射精させます。

  うさぎくんが、ねずみくんのおちんちんをしゃぶり、射精させます。

  いったいなにをするのか、うさぎくんには、もう分かっていました。

  おおかみくんが、カメラを構えます。

  そうして二人は、おちんちんをくっつけ合いながら、お互いの精液を含んだ口で、キスをしました。

  口と口が、おちんちんとおちんちんが、それぞれ糸を引きました。

  おおかみくんの写真は、二人にかかったそれらの橋が、朝陽を浴び、美しく輝く様を、見事にとらえていました。

  それはきっと、この先の二人にとって、かけがえのない宝物になるでしょう。

  こうして、正真正銘、みんなの仲間になることができたうさぎくんは、落ち込むことなど一切なく、百パーセントの笑顔のまま、合宿を最後までやりとげることができました。

  合宿が終わるまでのお話……それは、たとえば、うさぎくんとねずみくんが、五十九人の男の子たちから、祝福のホワイトシャワーを浴びせてもらうお話だとか、さるくんが、自分の乱れた様子を写真で見せられ、ショックを受けるお話だとか、それで吹っ切れて完全に変態になってしまうお話だとか、すっかりたぬきくんのことが好きになってしまったきつねくんが、たぬきくんに猛烈なアタックをかけ続けるようになるお話だとか、たくさんあります。

  人物それぞれに、ドラマがあります。

  でも、それは、ここではお話ししません。

  いぬくんも、ろばくんも、うさぎくんも、ねずみくんも、それから、ほかのすべての子供たちも、みんな、強く、たくましく、立派に、成長しました。

  ですから、お話しするべきことなんて、もうほとんど残っていないのです。

  このお話は、これを読んでいるあなたが、彼らのような、立派な子供に成長してもらうためのものですから。

  これを読んでいるあなたは、言いつけを守ってくれたとするならば、きっと、彼らより一年ほど年上くらいなのでしょう。

  あるいは、もっと上の年代かもしれませんが、べつに、それは、問題ではありません。

  言いつけを守らず、同年代だったとしても、まだなんとか問題にはなりません。

  問題なのは、彼らよりも若い年代です。

  そんなことはないと信じていますが、もしもこれを読んでいるあなたが、彼らよりも年下であれば……。

  それは、けっして許されることではありません。

  許されることではありませんが、ここまで読んでしまったのであれば、もう手遅れです。

  世の中には、知らないほうがいいこと、知るべきではないことがあります。

  また、知るべきことでも、時期が来るまでは、知らないほうがいいということもあります。

  手遅れとは言いましたが、そう、だれにも言わなければ、だれにも知られることはありません。

  うさぎくんも、少し先を知りすぎましたが、彼は、言うべきことと、言うべきでないことを、きちんと理解しています。

  合宿中の出来事について、帰宅後、お父さんには無難なことだけ伝えましたし、お父さんがなぜか腰を痛めていることについても、深く問い詰めることもしませんでした。

  スマートフォンを返してほしいかという問いに対しても、「その時」が来たら返してくれるのなら、今すぐ、どうしても返してほしいとは思わないと言いました。

  どうか、あなたも、彼を見習って、[[rb:分別 > ふんべつ]]のある賢い大人に、なってくださいね。

  それでは、あなたの健やかな成長を、心からお祈りします。

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