暗殺者が少年に助けられて更生していくお話

  「逃げたぞ!追え!!」

  かなりの深さのある森で大声で沢山の人が叫んでいる。

  大勢で追いかけているのは、

  「クソッ!!しつけぇんだよ!!」

  と叫ぶ黒装束を着た空色と白の毛皮が目立つ狼であった。

  この狼は暗殺者であり、幾度と無く人を殺めて来た。

  そのためお尋ね者になり、ギルドに狙われる羽目になった。

  狼はまるで忍者のように、素早い動きで逃げている。

  「よし、ここまで来れば・・・」

  と、余裕にしていた狼であったが、突然ものすごい速さで火球が飛んできた。

  「ぐあっ!?」

  おそらく魔法であろう物が狼に命中した。

  「く・・・・」

  かなりのダメージがあったようで狼はまともに立つことができずに居た。

  奥の方から足音がした。

  どうやら、追っ手が来ている様だった。

  くそ、こんなところで捕まってから死んでたまるか。

  どうせなら、自害した方がマシだ。

  そう思った狼は、フラフラと森の奥地へと向かった。

  追っ手が来たときにはもう狼の姿は無かった。

  「くそ!あいつ森の奥地に?」

  「追いかけるぞ」

  と言った虎を獅子が引きとめた。

  「やめろ、この森はかなり深い。

  無理に奥地に行くとかえって危険だ」

  それに対して虎は反論した。

  「けどよ、どうするんだ?逃げられる可能性は0じゃないだろ!?」

  「たしかにそうだが、お前は森から出られずに死にたいのか?

  それに・・・この森はあまり解明されていないからな」

  虎は納得は行かないものの渋々承知した。

  「いったん引き返すぞ」

  その合図と共にギルドの一員たちは、踵を返しこの森から抜け出した。

  一方変わって狼は、未だにフラフラと歩き続けている。

  「畜生・・・」

  そう言って、近くの木に寄りかかる。

  「意識が朦朧としてきた・・・」

  狼の視界はぼんやりとぼやけ始めていた。

  「くそ・・・」

  急に悪寒がした。

  不意に辺りを見回す。

  しかし、気づいたときには遅かった。

  「な・・・」

  狼が驚くのも無理はない。

  辺りには魔物が居た。

  4匹と少ない数なのだが、今の狼の状況では倒すことも逃げることもできないだろう。

  醜悪な魔物は、口から涎を垂らしていた。

  「くそ・・が・・!」

  狼は体を動かそうとするが、まともに動きそうに無い。

  その魔物のリーダー格であろう魔物が狼に飛び掛った。

  ああ、俺はここで死ぬのか・・・。

  そう思い狼は死を覚悟し目を閉じた。

  その時だった。

  銃声が轟き、魔物のリーダーの体は吹き飛んでいた。

  下品は悲鳴が反響する。

  更に銃声が3発ほどし、おそらく魔物に発砲したのだろう。

  魔物の急所である箇所に的確に打ち込まれていた。

  もう魔物が動いていなかった。

  ゆっくりと足音が狼に近付く。

  「だれ・・・だ・・」

  狼は顔を確認使用とした。

  が、意識が持たずにその姿を確認できずに気を失ってしまった。

  [newpage]

  狼は、目を覚まし、体を起こす。

  「ここは・・・」

  辺りを見回して確認すると小屋であることが分かった。

  2階まである分、少し大きいが。

  狼はベッドで寝ていたことに気づき更に自分に包帯が巻かれていたのに気づく。

  体がまだ痛む、なぜか背中がヒリヒリする。

  「目、覚めた?」

  突然扉が開き、少し高めの声がした。

  狼は驚き身構えるが、その姿を確認すると警戒を解いた。

  「・・・誰だ?」

  「自分のこと?ここで暮らしてる人間が妥当かな?」

  「・・・・」

  ニコニコしながら喋っているのは人間の少年だった。

  黒い髪、赤と橙の瞳とあまり見ない組み合わせが何処となく目立っている。

  身長は狼と比べると親子に匹敵する身長であった。

  「ビックリしたよ、いきなり気絶するんだもん」

  「・・・助けたのはお前か?」

  「あー・・・うん、引きずってだけど」

  狼は背中が妙に痛むのはこいつの仕業と確信した。

  「お前以外に誰か居ないのか?」

  「・・・居ないよ?ここにいるのは自分だけ」

  狼はそれ以上は何も言わなかった。

  突然部屋の向こうから大きな音がした。

  「また爆発した!」

  「は?」

  狼の口から間抜けな声が漏れた。

  は、爆発?

  「うわ、うわ!煙が!」

  と言いながら少年は向こうの部屋へ向かった。

  手を額に当てつつ狼はため息をついた。

  暫くして、少年は戻ってきた。

  「ごめんね、パン焼いてたんだけど、

  なんせトースターが旧式のものだから壊れちゃって」

  「なんで買い換えないんだ?」

  「だって、近頃魔物が増えてるし、いろいろと物騒じゃん」

  むしろ狼はその物騒な人の方なのだが。

  「そんなことより、ハイこれ」

  と渡されたのは、シチューが入った容器とスプーンだった。

  シチューの見た目は至って普通だが、食べてみないと味は分からない。

  狼は恐る恐るシチューを口にした。

  「うめぇな」

  普通においしい。

  狼は近頃は干し肉しか食べていなかったためか、余計においしく感じられる。

  「口にあってよかった」

  とニッコリと笑みを浮かべる。

  「おい、チビ」

  「あ、ハイ、どうも」

  と言って少年は食器を受け取って向こうの部屋に向かった。

  と思ったのだがすぐにこちらの部屋に戻ってきた。

  「じゃあもう一回ベッドに寝て」

  「寝ろって・・・」

  「いいから!」

  と言って無理やりに狼を寝かす。

  「よし準備完了!」

  「・・・はぁ」

  少年は目を閉じ両手を狼に近づけると、何かをぼそぼそと口に出した。

  狼はそれを知っていた。

  治癒魔法である。

  体の再生力を高めて体を治癒する魔法である。

  「かの者に癒しの光を・・・レストア!」

  すると、狼の傷は一瞬で癒えて更には体調も最高にいい

  狼は驚いた。

  驚いたのには理由がある。

  レストアは最上級呪文であり、かなりの魔力が無いと使うことができない。

  習得するのにも時間がかかり最低でも3年はかかると言われているからだ。

  もちろん、その効果は代価を見払ったものもあり、あっという間に傷が完治すると言う効果である。

  「お前・・なぜこの術を」

  と狼が少年に聞こうとしたが、少年が不意に狼の方に倒れこんだ。

  狼はとっさに少年を支えた。

  「・・・寝てんのか?」

  少年は疲れ切った顔で寝ていた。

  おそらく魔力を使った疲労感によるものだろう。

  「おい!・・・駄目か」

  狼は少年をベッドに寝かした。

  「(こいつには悪いが、もう行くか)」

  とそう思い包帯を解き、部屋から出ようとする。

  すると、写真たてに入っている写真につい目が行った。

  「お・・・おい・・・」

  少年の方に目を向けた。

  「こいつ・・・まさか・・」

  と考えていたが少年の寝言に考えが中断された。

  「・・・みんな・・どこ?」

  「さびしいよ・・・ひとりに・・・しないで」

  先程まで明るい少年とはかけ離れていた。

  ふと目を見ると、涙を流していた。

  「・・・仕方ねえな」

  狼は少年の隣に入った。

  「一日くらい一緒に居てやるから泣くな」

  そう呟くと狼を瞳を閉じて、再び意識は闇の中に落ちていった。

  [newpage]

  「うん・・・」

  少年は目を覚ました。

  そして目を覚ますと、目の前で狼が寝ていることに気づいた。

  「・・・・・・(にやり」

  嫌らしい顔をして作戦を企てるとすぐに実行した。

  「起きろ~!」

  と言って狼に抱きつく。

  「のわっ!?」

  狼もビックリして起きる。

  そして、当たり前にベッドから落ちた。

  「何すんだよ!?」

  「えへへ、おはよう!!」

  と笑みを浮かべた。

  狼は顔を赤めたが、少年を引き離そうとした。

  「バカ、離れろって!!!」

  「ホントは嬉しいくせに~」

  「うるせぇ!!」

  意外としぶとい。

  「いいじゃん、このままでもモフモフさせてよ」

  「止めろって、それくすぐってんだよ!!」

  「じゃあ遠慮なく」

  「いい加減にしろ!!」

  と本気で殺気をぶつけた。

  流石に少年もこれには吃驚していた。

  「悪ぃが、俺はもう行くぜ」

  狼はそういって部屋から出ようとした。

  「・・・人殺しに行くんだ」

  「・・・・何時から気がついていやがった」

  「・・・最初から」

  狼は特に何もせずに、少年を見つめた。

  少年も特に何もせず、狼を見つめた。

  「・・・父さんと、母さん殺したのも君でしょ」

  「・・・それも何時からだ」

  「写真見て驚いていたから」

  「じゃあ、寝ていたのも寝言も演技か」

  狼は少年が自分のことを見抜いているのだろうと確信していた。

  「で?俺を殺すのか?」

  「・・・・・・」

  少年は戸棚から拳銃を取り出して狼に向けて構えた。

  「お前の好きにすりゃいい」

  「・・・・・・」

  狼は黒装束を脱ぎ、何も持っていないことを少年に確認させた。

  「ほら、撃てよ」

  「・・・・」

  少年は拳銃のトリガーに指を掛けた。

  そして――――――

  銃声が轟いた。

  少年は、狼の反対方向に発砲した。

  「・・・なんで俺の撃たねぇ」

  「・・・2発殴らせて」

  「は?」

  少年は狼の腹に1発、顔に1発ずつ本気で殴った。

  「ぐおっ!?」

  少年は再び明るい笑顔でこう言った。

  「母さんと父さんを殺したことこれでチャラね」

  「なんで、殺さねぇ!」

  狼がそう言うと、少年は拳銃を戸棚に直し、狼に近付いた。

  そして抱きしめた。

  「どういうつもりだよ」

  「・・・とりゃ!!」

  「のうっ!?」

  と言ってベッドに押し倒された。

  「毛皮が気持ちいいな~モフモフ」

  「やめろってくすぐってぇよ!!」

  少年は顔を狼の胸に埋めると、こう呟いた。

  「さびしいのはね、演技じゃないよ」

  「・・・・・・」

  「本当に寂しいしこんな森の奥に誰も来ないし」

  「・・・・もういい」

  と言って狼は少年を抱きしめた。

  「お前が羨ましいな・・・」

  「は?」

  少年は顔をしかめた。

  「俺とお前はいわゆるトランプってやつだ」

  「トランプ?」

  「ああ、お前が表、俺が裏だ」

  「・・・」

  少年は狼のことを見つめる。

  「だからお前が羨ましい」

  少年はニッコリとすると狼にこう言った。

  「じゃあさ!!一緒に表になろう!!」

  「は?」

  「殺しやそういうのからさ、足を洗おうよ!!」

  「・・・無理だな、俺はお前のように真っ直ぐじゃ・・・」

  「手伝うからさ!!」

  少年は何時もの様に、ニッコリとしていた。

  「一緒に旅をしよう?」

  「・・・・・・・」

  狼は黙り込んだ。

  暫くの間沈黙が二人を支配した。

  「俺は・・・」

  その時だった。

  外が騒がしいことに気づく。

  「お友達が君のこと迎えに来てるよ」

  「嫌なお友達だ」

  と会話しているうちに、少年はマスケット銃を取る。

  狼は黒装束を着て、少年から装備を受け取った。

  「いっとくけど殺しちゃだめだからね?」

  「へいへい」

  少年は玄関の扉に立ち、待ち構えていた。

  マスケット銃は相手の死角に置いた。

  すると、ノックする音が聞こえた。

  「はーい」

  そう言って少年は扉を開ける。

  「・・・」

  「・・・」

  扉の先には獅子が立っていた。

  周りには20人はいるだろうか、ギルドの一員が居た。

  「珍しいなぁ!!久々に人が来た!!」

  「あの、僕?1ついいかな?」

  「な~に?」

  「黒装束を着た狼を見なかったかい?」

  「うん、君等しか見てないよ?」

  「そうか、では家の中調べてもいいかな?」

  「どーして?」

  「中に匿っているているかどうかを調べたいんだよ」

  「匿うって?」

  「・・・」

  「それよりさ!パパとママに話してくるね!!」

  といって少年は扉を閉めた。

  「・・・・」

  獅子は立ち尽くしていた。

  「子供の扱いはどうもな・・・」

  少年はマスケット銃を手に取り階段を駆け上げる。

  「パーパー!!!マーマー!!!」

  わざと叫んで親が居るように見せかける。

  「・・・とここなら聞こえないかな」

  「どうだったか?」

  「20人辺りかな、どうする?」

  「・・・1人ずつ仕留めるか」

  「気絶でよろしく」

  少年は再び階段を下りた。

  「さてと・・・」

  「俺も行動しねぇとな」

  [newpage]

  少年は玄関の扉を開けた。

  「どうしたのかな?」

  「た、大変!大変!」

  「なにかあったのか!?」

  突如、2階の窓ガラスが割れる。

  「あいつは!!」

  狼はきれいに地面に着地した。

  「よう、また会ったな」

  「まさか、この小屋に潜伏しているとは・・!」

  と言いながら獅子が動こうとする。

  すると、銃声が響き、獅子の足元に穴が開いた。

  「な・・・・」

  「動かないで」

  少年はマスケット銃を構え獅子に突きつけていた。

  「本当はこんなことしたくないけど、邪魔するなら・・・倒します」

  「ギルド長!!」

  「さあ、遊ぼうぜぇ?」

  そう言って狼は素早く動き、一員に鳩尾を素早く狙う。

  ものすごいスピードで1人、また1人と気絶させていく。

  「(・・・・・?)」

  獅子は何か疑問に感じた。

  すると、あっという間に10人倒されていた。

  「チッ、この程度かよ・・・」

  他の奴等はと言うと狼に恐れをなしている。

  しかし、獅子と虎は特に動じる様子も無かった。

  「つまんないなぁ・・・」

  と言って少年はマスケット銃を構え残り10名となった一員達に照準を合わせた。

  「おねんねしててね!」

  少年が叫ぶと同時に、トリガーを引いた。

  銃口から10個のレーザーが一員を狙った。

  見事に命中し、レーザーが貫く。

  貫かれたものは一瞬で気を失った。

  「最初使え!!」

  狼の声が轟く。

  獅子はこの隙を逃すはずがない。

  獅子は少年を押さえつけた。

  「うわ!離せ!変態!!」

  「誰が変態だ!」

  そんなことしてる間に虎と狼が戦っていた。

  「おーい、何処狙ってんだ?」

  狼は素早く動き、相手を翻弄して挑発している。

  「てめっ・・・本気でぶっ殺す!」

  「早く来い、つまんねぇよ」

  虎が剣を振りおろす。

  しかし。

  「・・・出直して来い」

  狼はいつの間にかに虎の鳩尾を素早く撃った。

  「な・・・・」

  虎は何も言わず倒れた。

  「おい、そのチビを放せ」

  「・・・どうしてだ?」

  「俺はこいつに救われた」

  「・・・・」

  獅子が黙り込む。

  「更には俺のことを更生するとかほざきやがった」

  「・・・・・」

  「だから俺はこいつと一緒に旅をすることに決めた」

  「!!」

  獅子は驚いていた。

  「俺はこいつと同じ表になって生きていこうと思う。

  だから、邪魔すんな」

  獅子は少年を離した。

  「少年」

  「・・・はい」

  「あいつをよろしく頼んだぞ」

  「はい!」

  少年は狼の傍に行った。

  「さあ、行こう」

  「ああ」

  少年は狼を先導するように前に進んだ。

  狼は獅子の方に振り向いた。

  「じゃあな・・・親父」

  「ああ・・・バカ息子」

  狼は少年を追いかけた、振り返ることも無く。

  [newpage]

  「へぇ・・・お父さんだったんだ」

  「ああ・・・」

  狼は少年の顔を見つめた。

  「何?」

  「うまくいったな」

  「だね!」

  狼も少年も互いに笑顔を見せた。

  「さぁ!行こう!」

  「・・・ちょっと待て」

  「ん?」

  「互いの名前、しらねぇよな?」

  少年は頷く。

  「そうだね、じゃあ自分から」

  「名前は梨」

  「変わった名前だな」

  狼は笑った。

  「あ、酷いそっちも教えてよ」

  「俺の名前は名月」

  「そっちも変わっているよ」

  梨は笑った。

  「梨」

  「何?名月」

  名月は梨に手を出した。

  「行こう」

  「・・うん!」

  2人は駆け出した、まだ見ぬ世界を見て回るために・・・

  

  Fin

  [newpage]

  後書きとか

  ここまで読んでくださってありがとうございます。

  これからキャラクターの紹介になります。

  

  少年→梨(ナシ)

  名前の由来は果物の梨。

  身長はハガ●ンのエ●よりか小さい。

  能天気に見えるが、頭脳派。

  かなり鋭く、隠し事はまず通らない。

  戦闘では銃を使用。

  攻撃は魔力を込めた銃弾で攻撃。

  魔力は以外に高い。

  本編では怒らなかったが、切れると怖い。

  実は天然ぽさは演技。

  本当は大人しくて優しい性格。

  こんな感じ

  「少しくらい周りを見ようよ」

  「どうしたの?何かようかな?」

  今まで「よし!じゃあ行こうか!」

  「ふーん、それはこういうことでしょ!」

  戦闘では本気、基本ふざけない。

  「あれを狙って!!」

  「避けてから攻撃して!」

  梨から見た名月の第一印象は、やさしいお兄ちゃん。

  

  

  狼→名月(メイゲツ)

  名前の由来はリンゴ。

  暗殺者の割には意外と友好的。

  梨の両親を過去に依頼で殺している。

  魔法の事もいろいろと知っているため博識。

  こちらも頭脳派。

  戦闘能力はかなり高い。

  梨と同じく洞察力は高い。

  意外とやさしいが、自分に干渉されすぎると切れる。

  若干ツンデレ要素あり。

  「はぁ・・・しかたねぇな」

  「おい・・・本気で殺すぞ?」

  戦闘では意外と余裕をかます。

  しかし、非常事態や強い奴は本気になる。

  武器は巨大な手裏剣なのだが、

  本編では登場しなかった。

  「かかってこいよ?」

  「チッ・・!こんなときに!!」

  「殺すつもり行け、じゃねぇと死ぬぞ」

  本編で語られていないが、魔法は使える。

  意外と魔力は高い。

  名月から見た梨の第一印象、やさしい弟。

  

  

  おまえら、爆発しろ。