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第一章 罪深きリザードン

  好きな「人」ができた。それだけで、俺はもう人間の言う「天国」には行けないかもなと思った。

  人間が信じている宗教の一つでは、ポケモンと人間が「深い」関係を持つことは罪だとされている。

  いやいやそんなものは迷信だ、ポケモンと人間の関係だって尊いじゃないかと思う者もいるだろう。しかし、よりによって俺が邪な好意を抱いたのは13歳の少年、それも俺のトレーナーだった。

  こうなると擁護のしようがない。人が知れば小児性愛者と罵られるに決まっている。それに俺以外のシモンのポケモンからすればとんだ迷惑だ。

  そんなことは俺もよく解っている。しかし好きという感情は消すことができない。シモンに打ち明けるか、このまま感情を隠し続けるしか選択肢がない。

  シモンに出会ったのは、俺がバンギラスにいびられていたのをシモンがかばってくれたことがきっかけだった。俺は当時シモンの親父のポケモンで、俺がガキの頃、ポケモン転売業者から救い出されたときにゲットされた。俺は実は色違いポケモンで、高値がついていたのだ。

  シモンの親父はなんとヤクザだった。俺を一人前に育てようと、そいつやバンギラスは俺に厳しく当たったが、そのおかげで最強のリザードンとまで呼ばれるようになり、個体値も6V(「すごいとっくん」を受けたことになる)に上がったのだから感謝している。しかし、もしシモンの親父があのまま生きていたら、抗争に駆り出されることになっていただろう。

  シモンの親父の死後、仲がよかったシモンに引き取られた。しかし、シモンの兄貴のレオはシモンに嫉妬し、俺を仲間に引き込もうとした。特訓と称した拷問を受けた。同僚だったカイリューのアルタイルは俺の眼の前で殺された。シモンから離れることを最後まで拒んだからだ。俺はシモンや他の仲間、内通者のおかげで助かった。そして、シモンとともに元いたジョウト地方の実家から、イッシュ地方に逃げてきたわけだ。

  俺はシモンに初めて好意を持って長い間、シモンに告白できずにいる。もう感情をごまかし続けて1年になるだろうか。その間俺は引き裂かれるような思いをして生きてきた。

  シモンは少年らしい瑞々しさを残しつつもラガーマンかプロレスラーのような堂々たる体格をしていた。いわゆるガチムチだ。

  俺は夜もすがらシモンの厚い胸板、少し肉のついた腹、そして自分のそれと比べるとミジンコほどの大きさしかないように思える、シモンの男を象徴するものを妄想しながら、自分を「慰め」た。

  俺はこんな自分の姿を情けなく思った。曲がりなりにもシモンのパーティのエースで、マスコミどもから世界最強のリザードンとまでもてはやされるほどに強い俺が、告白一つできず、夜は人知れず泣きながら自慰をしている。なんとも惨めじゃないか。

  自分が不甲斐ないとは思っていたが、シモンから拒絶され、変態だと罵られる恐怖が邪魔をして、なかなか一歩を踏み出せなかった。しかしある日、俺の性欲が暴発寸前にまで追い込まれた。

  バトルのトレーニングを終えた後。シモンはいつものように俺達を風呂に入れた。俺の眼の前に生まれたままの姿のシモンが現れ、俺の体にシャワーをかけようとしてくれたとき、これはもうだめだと思った。

  俺のスリットが開き、膨張した一物が露わになる。俺は慌ててタオルを掴んでそれを隠す。シモンは何事もなかったかのように俺に大丈夫かと問い、シャワーをかけた。

  そうして俺は自分が罪深い存在であることを受入れ、シモンに告白しようと決心した。覚悟が決まったというより、自分の性欲を抑えきれなくなり、もうシモンへの好意を隠し、泣きながら生きるのはごめんだと思うようになったからだ。[newpage]

  ある日の夜、俺は同僚のポリゴン2、センリを呼ぶ。

  「おい、この機械って確か文字を打てるんだよな? 使い方教えてくんねえか?」

  俺はパソコン(というらしい)を指差す。

  「そうデスネ。私ハ扱い二慣れテいるのでお任せヲ。…ッテ、あなたいつ丿間二文字ヲ覚えタのデスカ!? 」

  「シモンと話したいからだよ。俺はお前みたいに頭良くねえけど、やればできるんだぜ?」

  外出しているとき、街に掲げられている看板を見たり、新聞や本を読んだりして、こっそり文字の勉強をしていたのだ。ポケモンセンターなど、普通の職場で人間とともに働いている奴らからすれば、文字を読めるのは普通だ。しかしバトルに勤しむポケモンは、たいてい文字が読めない。文字を覚えるのは最初は億劫だったが、告白のためだと気を奮い立たせ習得した。

  リザードンを含むほとんどのポケモンは人間の言葉を聞き取れるが発音できないから、シモンに思いを伝えるには文字で書くしかない。俺の指が3本しかない手で字はかけないから、パソコンで打ち出すしかない。

  センリにワープロソフトを開いてもらい、文字を打ち終わったら印刷してもらった。もちろん俺は、打った文章を見せることはしなかった。いよいよ俺の思いをシモンに伝えるのだ。

  寝る時間になり、ガブリアスのドラコはベッドに入り、他のポケモンはモンスターボールに入った。

  (ガブリアスは寒いのが苦手なので、夏でも暖かいベッドに入ったほうがいいらしい)

  俺は先程の手紙をシモンのベッドの上に置く。そこには「あなたがずっとすきでした だから、どうしても二人きりになりたいのです こんや、うらにわのビーチにきてください」と書かれてある。

  何もひねりがなくてバカみてぇだし、シモンからすれば俺の言葉は拙いのだろう。しかし、偽りのない思いを伝えられたので後悔はなかった。

  シモンは困惑しつつも嬉しそうな様子で俺に会いに来る。シモンとは両想いだったのかもしれないという淡い期待が胸に宿る。

  シモンは俺を強く抱きしめた。シモンの唇が俺の首に触れ、シモンの乳首と腹が俺の腹と密着する。

  「シリウス、俺はお前が大好きだ。しかし、他のポケモンたちもいるんだ、そいつ等を裏切ることはできん…」

  俺の予想通りの言葉をシモンは口にするが、もはや他の連中にどう思われるかはどうでもよかった。シモンのズボンに手をかけて下ろしてやると、汗に濡れた白のジョックストラップが姿を覗かせる。そんなエッチな下着を着ているなんて、やっぱり誘っているじゃねぇか、と俺の興奮が高まる。

  「そこまで…俺とやりたいのか?」

  俺はシモンの問いかけに頷く代わりに顔を舐める。

  そしてシモンのジョックストラップを剥ぎ取り、俺の体すべてを投げ出した。もちろん、股間には俺の男を象徴するものが猛り立っている。

  シモンは顔を紅潮させつつも、俺の想いを知って嬉しかったようだ。ためらいながらも、俺の肉の棒を舐め始めた。全く嬉しいことをしてくれるじゃぁないか。俺の一物はすぐに潮を吹いてしまった。ケラケラ笑いながら、お前の聖液はほんのり甘いんだな、と茶化してくるシモンの少年らしい顔を見ながら俺は満足していた。

  しかしここであることに気づく。シモンの股間に目を向けると、男を象徴するものはほとんど勃起していなかった。それが目に入り、先程までの絶頂の快楽が一気に冷めてしまった。

  シモンは俺との行為を望んでいないのか。いや違う、シモンは確かに俺の告白に喜んでいた。それに俺との行為を拒もうとしなかったじゃないか、と頭の中の迷いを打ち消した。

  「俺ときたら恥ずかしいな、ほんの10秒かそこらで逝っちまった」

  そうシモンに話しかけ(言葉は伝わらないけれど)、今度はシモンの裸体をこちらに引き寄せる。

  「もしかして、挿入れてほしいのか?」

  それはまさに俺が待っていた言葉だった。まずはシモンに俺を犯してほしいと思っていた。シモンを犯すのは、シモンがいいと言ってからでよかった。

  シモンは少しずつ俺のスリットに一物を差し込んでいった。

  「もっと激しく、俺を壊す勢いでやってくれ!」

  ジェスチャーでそうシモンに伝えた。俺が受けのときは、激しいセ◯クスの方が良い。痛みを伴うくらいのほうが気持ちいいんだ。

  俺のケツ穴はそれまでは童貞の状態だったから、シモンが腰を揺らすたび一物と激しくこすれ合い、絶大な快感を生み出した。たまらず俺は再び潮を吹いた。ところがその快感は長くは続かない。

  「…シモン、やっぱり俺との行為は嫌なのか?」

  行為に夢中で気づかなかったが、ここでもシモンの一物は起っていなかった。

  「急にどうした? 何か嫌なことでもあったか?」

  シモンは俺の異変を感じ取ったらしい。

  俺はどうせ言葉が通じないから無駄だと思い、無言で家の中に入った。[newpage]

  翌日、シモンと俺との間には会話がなかった。今回の件は俺のせいだ。俺が性的欲求を満たそうとして年端もいかない少年を誘ったのが悪いのだ。シモンが自分を受け入れてくれなかったのを責められない。

  しかし、なぜシモンは最初から俺との行為を断ってくれなかったのか。実際、シモンは俺とやっている最中、嫌な顔一つせず、むしろ歓喜の声さえ上げていたのに、一物だけは俺の体を頑なに拒んでいるように見えた。ということは、やはり俺はシモンの性の対象じゃなかったのだ。

  シモンは人間の男性や女性に性的な興味を見せたことは一切なかった。だから自分にもチャンスがあると期待していたのに。恐れていたことが起こってしまった。

  シモンと俺との間の事件の後も、他のポケモンたちは何事もなかったかのように過ごすし、特訓もいつものように行われる。その日はある湖畔で、俺とガブリアスのドラコは実戦形式で、「げきりん」の練習を命じられていた。

  俺はその日ずっと上の空だったが、気を取り直して練習に身を入れる。「げきりん」はメガリザードンxにメガシンカできるようになったとき習得して以来、俺の得意技だ。それに好きな技だ。使うと頭が空っぽになるのがいい。

  慣れないうちは「げきりん」を発動すると、頭が混乱して自分や味方を傷つけてしまうことがある。俺はもちろん、そんなことはない…はずだ。

  ドラコとのバトルが始まり、「げきりん」を発動すると、頭の中に悪魔のささやきが聞こえる。

  「お前、13歳の男相手に発情するとかバカじゃねぇの? この性犯罪者。 あっさり振られちゃうなんて惨めだね」

  「いや違う、シモンは俺のことが好きだからこそヤッてくれたんだ、あれはなにかの間違いだ!」

  「好きな相手とヤッてるのに起たないなんてことねぇだろ? まずその出過ぎた腹と細すぎる腕を何とかしてから告白しろよ、デブトカゲ」

  「やめろぉぉぉぉ」

  気づけば俺は自分の容姿を憎み、腹を噛みちぎり、腕をもぎ取ろうとした。そして湖に飛び込んだ。嫌いな自分を傷つけるのは心地よかった。醜い体を捨て、新たな存在に生まれ変わるんだ。

  誰かが俺を助けに来たが、抗った。もう消えたいのだから、構わないでくれ。そしてだんだん意識が遠のいていった…

  つづく

  

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