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桜吹雪に錦を飾る【FANBOX試し読み】

  [chapter:サンプル]

  「クソッ!」

  彼は苛ついていた。この世の全てや、能天気に生きるクラスメイト、そして自分を律しようとする大人の存在に。

  「タバコくれー俺の自由だろ。ギャーギャーギャーギャー騒ぎやがってよぉ」

  彼の名前は鳥崎和士(とりさき かずし)。彼は所謂不良と呼ばれる存在だった。ただそれは自分自身が好きに生きてきただけでしかない。だからこそ、和士は親や教師から注意され学校内では半ば村八分になっている今の状況が理解できなかった。今日も校内での喫煙を親に咎められて憤りを見せていた。

  しかし彼はまだ青く、ルールを守る事の重要さを、自由に生きるだけでは生きてはいけないことを知らない。和士にとってそんなものは煩わしいノイズでしかないのだ。

  「高校出たらこんなとこ出てってやるからな……今日はとりあえずゲーセンにでも行くか……」

  そうぼやきながら煙草のフィルターに火を点ける和士。しかしその火は急に吹いた突風とともに消えてしまう。今日は春にしては風が強く、せっかく綺麗に咲いていた桜もすぐに散ってしまいそうなほどだった。

  「あークソ、鬱陶しいな」

  そう呟きながらまたライターで煙草に火を点ける。しかしそんな彼を戒めるかのようにまた吹いた風が煙草の火を再びかき消してしまった。

  「……チッ! あーなんなんだよクソがっ!」

  叫びながら煙草を地面に叩きつけなじる。革靴が灰で汚れることも厭わず、煙草をすり潰すかのように踏み荒らす。残り火に巻き込まれた桜の花弁が焦げを作っていた。

  「あーしらけるぜ、ったく……うおっ!」

  さらに風は強くなる一方で、口の中に桜の花弁まで入りそうになる始末だった。とても煙草など吸える状況でもなく、自分のやりたい事ができない和士はさらに苛立ちを増していた。

  「なんなんだよ、今日はよ……!」

  ふと、和士の瞳に大きな幹が映る。彼の目の前にあったのはこの町でも有名な大きな桜の木だった。この桜が咲く自然公園でこのシーズンはよく花見が開かれる。彼も小さい頃はこの桜の前で花見をするのが好きだったのだが、それも物心つかぬ幼子の頃の記憶。今の彼にはそんなものはただの思い出の残響でしかなかった。

  「畜生! テメェのせいだ!」

  和士は八つ当たり気味に桜の木を思い切り蹴り上げる。すると枝の桜がいくつかはらはらと舞い散り彼のセットした金髪を汚す。そのことでさらに和士は逆上した。

  「ザケんなっ! 死ね、死ねッ!」

  口汚く叫びながら桜の木を蹴り続ける和士。しかし彼は知らなかった。この木が何千年もこの場に立ち続けている神木ということに。

  昔はこの木の前で悪さをすると神罰が下るという言い伝えがあった。しかしこの現代でその言い伝えも風化し、ただの大きな桜の木としか言われなくなっていた。だからこそ、彼はこの桜の怒りに触れてしまった。

  「この……! うおっ!?」

  突如、今日最大の猛烈な突風が和士を襲った。全身を貫かれるような勢いの風は彼の戦意を否応にも削ぐ。風に圧され防御体勢を取る和士だったが、この風は普通の風とは違う。彼を罰する神力が込められている。彼の両腕など盾にもならなかった。

  その瞬間、彼に異変が訪れる。

  「なんだっ!?」

  風に当たった所から、和士の制服がボロボロに崩れ落ちていく。形を崩し構成を失い少しずつ破れ去っていく。靴下やパンツでさえ例外ではなく、風化していくかのように少しずつ彼の肉体から離れていく。

  「俺の服が!」

  しかもそれだけではなかった。花弁になっているのだ。彼の破れた服の破片が。彼が着ている衣服の全てが薄桃色の桜の花弁となって風と共に散っていく。まるで今の彼にはもう必要ないかのように。

  服を全て桜に変えられながら和士はみるみるうちに裸になっていく。あっという間に鍛えられた筋肉と使い込まれたであろう黒ずんだ逸物が露わとなった。

  「なっ、なんだよこれ……!」

  流石の和士でもこの状況は理解できないようで困惑の表情で顔を赤面させる。露出した下半身を押さえようとしたが、体の内側から迸ってきた真っ赤な感覚によってそれは中断された。

  「あふっ……な、なんだ……あっ!」

  脳の芯から突き抜ける快感が和士を襲った。ふと下を見た和士は快感の喘ぎとともに驚愕の声をあげた。露出した逸物が勃起していたからだ。しかも先走りすら出そうな勢いで屹立しているのだから彼としては困惑するほかなかった。

  「ううっ、なんで勃ってんだよ……クソッ!」

  そう言いつつも頭の中ではこの突如襲ってきた快感を鎮めることしか考えられなかった。しかし、この状況でオナニーをしてしまえば負けだと彼のプライドが心の中で叫んでいた。

  しかしその強制的に起こされた生理現象は、彼のちっぽけなプライドなどすぐに粉々に砕いてしまう。

  「ぐっ、あっ……はっ……クソ、ダメなのに……止まんねえ!」

  和士の手は勃起したソレを慰めることに注力していた。しばらく擦っていると鈴口からは先走りが飛び出して手のひらでグチュグチュと音を立てる。その滑りが彼の快感をさらに増幅させた。

  「やっ、やべっ……ダメだっ! 出るっ!」

  そしてとうとう彼は絶頂に至った。いつもの二倍ほどの大きさに勃起した逸物から白く濃い臭いを放つ精液が飛び出し地面を汚した。しかしその精液は風によってあっという間に塵と化して消えてしまう。そしてその突風は彼にさらなる快感をもたらした。

  「あぁ……何で出したのに……またっ、ぐあっ!」

  ビンと立った逸物は一度射精したにも関わらず萎えるどころかさらに勢いを増していた。それどころか、その形を変えていっているのだ。

  「お、俺のチンポが!」

  スルスルとひとりでに皮を剥かれていく。その包皮は根元まで剥けていき、いつしか真っ赤で長い逸物へと変化していた。さらに根元にグリグリと何かが蠢く嫌な感覚を彼は感じていた。

  「うぐっ、うっ、ああう!」

  逸物の根元が固さを持ちながら膨らんでいくと、ゴリゴリと、どんどん大きくなりいつしか二つの肉の瘤を形成した。

  「俺のチンポッ、どうなって、出るっ!?」

  変化した逸物から唐突に精液が発射された。突然襲ってきた射精の快感に和士の脳はシェイクされる。一瞬、自分が何を考えていたかすら分からなくなっていた。

  「はぁはぁ……また出ちまった……どうなって。うぐっ!?」

  その変化から彼の変化はさらに加速を極めていくこととなる。まるで壊れた蛇口のように、リズミカルに精液を発射するようになった和士の逸物。その度に彼の肉体が人ならざるものへと変化していく。

  まず手のひらに肉球ができると、そこから焦茶色の体毛が体に生えはじめた。その変化のタイミングはちょうど射精を終えたタイミングではじまっており、まるで精液を睾丸から出すほど彼の体が変化していくかのようだった。

  「いやっ……なんだコリャ、ムズムズして、ぬあっ!」

  臀部から毛が勢いよく生えてくるとそれは細長い尻尾となって彼の下半身に鎮座した。和士といえばその時の快感に口を窄めて甲高い奇声をあげながらまた射精していた。その瞬間、彼の変化は顔にまで及んでいた。

  「ぐっ、ぐががっ……があっ!」

  耳が頭頂部に移動すると大きく膨れ上がり、ペタリと垂れ下がる。口の中は歯がボロボロと抜け落ちており、下からは何やら別の歯――いや、牙が生え変わっているようであった。それと同時にゴキゴキと音を立てながら顎が前へ突き出しまるで獣のように発達していった。和士の目は変化の痛みで涙を流している。

  「な、なんだよぉ……俺が何したっつーんだよぉっ!」

  口周りは焦茶の体毛とは違い黒く染まっている。鼻は犬のように黒く濡れている。いや、これはように――ではなく、そのものであった。

  不良少年の鳥崎和士は、二足歩行の犬そのものと化していた。

  「はあっ、はあっ……」

  身体中を襲う倦怠感にまるで犬のパンティングのように息を荒げる。しかし彼の逸物はまだ萎えず元気に勃ち上がっている。つまり、変化はまだ続くのだ。

  「あぁっ……まだ勃ってる……出ちまう、俺の全てが、出るっ!」

  宣言とともに何度目か分からぬ射精をする。すると体がぐんぐんと大きくなりはじめた。心臓がドクドクと荒く打ち付けられる太鼓の如く鳴り響く。その苦しさに爪先だけになった後ろ足を踏ん張りただひたすらその感覚に耐えるしかできない和士。

  その変化は成長……というよりも加齢に近いものだった。顔には皺が増えて余った肉がダルンダルンと垂れ下がる。細く剃っていた眉はボサボサに伸びていきスポンジの裏側のような太いゴワゴワなものになっていた。

  全身鍛えていた筋肉は体を支えその大きくなる体に相応しい剛健なものへと発達を遂げる――反面、同じくらい脂肪も増えていった。まるでそれが彼に必要なものかのように。

  「やっ、やめっ……あうぅ!」

  彼の必死の抵抗も定期的に襲い掛かる射精により阻止される。その度に和士の肉体は大きく太く改造されていった。

  彼の変化が落ち着く頃には和士は二メートルを超える巨大となっていた。脂肪も筋肉も十分なほど付けられ幾分か老けた顔は威厳や貫禄を漂わせる。

  「んっあ……」

  金玉がゴリッと蠢く感覚に和士は呻く。その声は低く太い見た目に相応しいものとなっていた。その面影は一切ないと言っていい。

  ものの数十分で人間の不良だった和士は、巨漢の犬人間になっていた。しかもその見た目は明らかに齢五十を超えた中年のものだ。垂れ下がった耳や黒い鼻先、その出で立ちから彼は土佐闘犬の獣人になったのだと推測できた。

  「あぁ……」

  全身焦茶色の体を眺めながら和士は愕然とする。こんな姿になって、これからどうやって生きていけば良いのだろうかと思う。しかしその道も最早自分で決めることはできない。それどころか、この世界に居る事も、もう叶わない。それを彼は知らなかった。それが神に逆らった罰であるのだから。

  『心配する事はない。お前はすぐお前のための世界で、馴染む』

  突如、和士から声が聞こえてくる。耳から直接ではなく、頭の中に直接話しかけてくるかのような声だ。それは間違いなく神の声だった。これからの彼の運命を導く桜の神の。

  「なんだテメー……気安く話しかけてんじゃ……ぬおぅ!」

  と、声を荒げた途端、急に射精する和士。大量の精液が地面に散らばった後やはりすぐ風にさらわれてしまう。

  『不届き者が。我は神なるぞ』

  「神じゃと、そんなものいるわけが……

  !? 儂の口調が!? うぬぅ、元の口調で話せぬ……」

  射精した途端、和士の口調が見た目に相応しい大人びた口調に変わる。さらにはじめからその口調でいたかのようにその喋り方しかできなくなっていた。まるで魔法にかけられたかのような現象に、和士の脳はさらに混乱する。

  「嫌じゃあ、儂を元に戻しとくれ!」

  『ならぬ。貴様はこれからこれまでみだらに蓄えてきた全ての魂を土に還すのだ』

  「なんじゃと!」

  神の言う事を理解できぬまま、和士のさらなる変化がはじまる。まず手始めと言わんばかりに和士の両手がピンと直立し動かなくなった。

  「体が……動かぬ!」

  『これから、貴様は基本の動きを極め、穢れし魂をこの世に還していく。よいな』

  「いいわけないじゃろ……ぬっ!?」

  まるで操り人形の如く体を自分勝手に動かされる和士。まず両腕を垂直に開いた体勢になり、股を大きく開きはじめる。その時点で真っ赤な逸物が露わになっていて、そこから目を逸らさざるを得ない。

  『さあ、始めろ』

  開いた足の膝に手のひらを打ちつけると、そのまま片足を大きく開き片足だけで踏ん張る体勢になった。これは明らかに相撲の動作のひとつである、四股だった。

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