龍虎逢瀬

  「龍虎逢瀬」

  

  

  1

  

  世は僅かな安寧の中にあって、いまだ麻の如く世が乱れる前の――穏やかなるひと時。

  甲斐の国と越後の国は親密な交流が続いており、猛田家と永尾家はその家臣共々まるで最初から親族であるかの如くの付き合いをしていた。

  ある時、猛田家は交流のある諸大名を招いて親睦会を開き、それに応じて永尾家もそこに参ったのであった。

  さすがに甲斐の守護。

  猛田伸虎はその威勢の良さと、甲斐の国の威信にかけて、いろいろな食や珍しい品物で諸大名らをもてなし、甲斐に猛田伸虎ありと示すのでった。

  

  「のう、猛田殿。これほどに諸大名らが揃って笑いおうておる。いつもは互いの隙を伺っているお歴々がまるで竹馬の如くに」

  

  とくに、猛田家と家族ぐるみの付き合いになっている越後の竜人が、伸虎の傍に座って酒宴の光景に満足そうに呟いた。

  

  「猛田殿はまことに大きなお方じゃ。近いうちに甲斐の虎獣人が、この天下を取るかもしれぬのぉ」

  

  「何を申しておる永尾殿。越後の竜人の頭領は、もっと派手な暮らしをしていると聞くぞ?」

  

  わははは、と二人の男は腹から笑って酒を酌み交わす。

  

  

  そんな大人たちのことなどいざ知らず、子供たちは子供たちで庭で、幼い者同士誰ということもなく遊んでいた。

  地面に絵を描く者、追いかけ合う者、公家を真似て蹴鞠で遊ぶ者、それぞれが思い思いのことをしているだけ。

  まだ元服前の童たち。

  だが、そんな中に一際体格の秀でた虎獣人の童が吼えた。

  

  「どいつもこいつもガキのままだな!」

  

  それを聞いた他の童たちは、その童の前に集まった。

  

  「俺は、猛田伸虎が次男! 勝千世だ! このようなガキくさい遊びを我が庭で行うは野暮というものぞ!」

  

  「じゃあ、どんな遊びをすれば良いのさ? 父上たちが酒を飲んでいる間は大人しくしていろって言われてるだろ」

  

  それぞれ大名の子息たちである。

  呼ばれた宴の席で、父親の恥になるようなことは出来ぬのだ。

  しかも相手はこの宴の主催の子息であった。

  言い返すにしてもそれがやっとのこと。

  

  「お前が猛田の子であっても、大人しくしておらぬとダメなんだぞ」

  

  「ふん、つまらぬ奴らめ。それでも各々大名の子か?」

  

  「なにっ?」

  

  気色ばんだ他所者の子らに、ニヤリと不敵な笑顔をすると、猛田伸虎の息子、勝千世は大きなよく通る声で言った。

  

  「ここは武家に生まれた男らしく、力比べというこうではないかッ!」

  

  その一声だけで、猛田の家臣の子ら、つまりは勝千世の子分らが地面に円を描いて、急拵えの土俵を作る。

  こうあっては童らも諸大名の子息たち。それに応じぬは恥になる。子の恥は親の恥。ひいては彼らの国許の恥になる。

  

  「はっけよーい、のこった!」

  

  言うだけのことはあって、勝千世は童らの間では強かった。

  各藩の大名の子息を次々と打ち破っては、土俵の外に投げ飛ばした。

  その騒ぎを聞きつけて、酒宴に耽っている親たちが、庭で起きている子供たちの戦いを酒の肴に観戦へと洒落込んだ。

  

  「ほうほう。さすが伸虎殿の御子じゃ。あっぱれな腕力ですな」

  

  自分の子の不甲斐なさを責めるのは酷なことだと誰しも思っていた。

  なにせ勝千世は元服前であるのにも関わらず、すでに大人に近しい体格の持ち主。

  まだ成長しきらぬ細い体の、他子息たちが相手にするには荷が勝ち過ぎる。

  子供たちの気持ちを知ってか知らずか、大人たちはやんややんやと無責任な煽りを入れて、この相撲を見ていた。

  そこに――

  勝千世とは少し違って軽く痩せてはいるが、筋肉質の竜人の子が、土俵の中に入ってきた。

  竜人の子は勝千世と年の頃も同じ、身長も同じくらいで、他の子息たちより頭一つ抜きんでいた。

  その竜人の童に比べても、僅かに筋肉が大きく、体が一回りほど大きく見える勝千世。

  それに怯えることもない堂々とした態度の竜人の子に、勝千世から声をかけた。

  

  「越後の竜人の頭領。永尾為陰の子、虎千夜とはお主か」

  

  無口で静かな少年は、勝千世のその声に無言で頷いて応じた。

  諸大名の子らをすべて投げ飛ばした勝千世は、気を大きくしてまるで横綱が胸でも貸すように、大きく腕を広げて――

  

  「来るがよいッ!」

  

  と、竜人の子虎千夜を迎え打とうとした。

  そこに、虎千夜は目にも止まらぬ速さでぶつかっていき、一瞬、体格では上回っているはずの勝千世すらも背中が仰反る。

  

  「こ、この――ッ」

  

  今までにない相手の攻撃に戸惑う勝千世。

  この竜人、虎千夜は力こそ勝千世には及ばないがそれでも他の大名の子息たちとは雲泥の差であった。

  しかも、ぶちかます時のタイミングが微妙にズレていて、勝千世も受け切るので精一杯。

  己の重心は取らさずに、勝千世の重心をうまくいなそうとしてくる。

  つまり、相撲が上手いのだ。

  子供ながらに大人顔負けの技巧派であった。

  

  「――こんなことで、お客人たちの子息たちに恥をかかせてせてどうするのです?」

  

  虎千夜は、勝千世だけ聞こえるような小さな声で呟いた。

  

  「お、お前こそ! 主催の猛田伸虎の子である俺に恥をかかせる気かッ?」

  

  虎千夜のあまりの相撲上手に、思わず焦る勝千世。

  彼もまた小声で呟いて虎千夜に応じた。

  そう。勝千世は自分で大口を叩いて皆をけしかけた以上、負けるワケにはいかないのだ。

  そんなことになれば、父伸虎にどんな叱りを受けるか――

  勝千世の父、猛田伸虎は苛烈な男であった。

  粗暴で傲慢なこと甚だしい。

  諫言してきた家臣を手打ちにすることなどは度々。

  だから、勝千世は父が恐ろしい男であることをよく知っていた。

  弱いことをひどく嫌う――

  そんな男であった。

  実は、勝千世は伸虎から何故か疎んじられていて、この機に父の気をひこうとして、この様なことをしたのだった。

  もし、それが『負け』で終わると、後でどのような――場合によっては、その場で切腹を言い渡されてもおかしくない――そんな父親である。負けるワケにはいかない。

  

  「――ッ!」

  

  必死に体勢を立て直して、無理矢理腕力だけでがっぷりと四つに組み直す。

  

  「――ッ! ほ、ホントに信じられない腕力ですねッ!」

  

  そのまま円――土俵の外に投げ飛ばすつもりだった虎千夜は、大人もかくやという怪力で踏みとどまった勝千世に呆れ半分、驚愕半分といった感じだった。

  

  「お、お前だってなんて相撲上手だよッ! 俺の力をここまでいなせる奴なんて今までいなかったぞッ!」

  

  「私とて父上が見ているものでね」

  

  永尾家の頭領――越後守護代の永尾為陰は、やはり激しく野心溢れる人物で、三男の虎千夜を疎んじているフシがあった。

  つまり、両者共に譲れぬ事情があるのだった。

  組み合ったまま、眼だけを動かして大人が騒いでいる方を見ると、先ほどまで笑い合って酒を酌み交わしていた両方の父親が、鬼のような形相でこちらを睨みつけていた。

  盃に口などつけずに、勝負の行く末を見つめていた。

  

  「ま、負けたら切腹とか言い出しかねないな、あの顔……」

  

  「お互いこの若さで死にたくはないなあ」

  

  ははは、と乾いた笑いが虎千夜から漏れてくる。

  

  「な、ならばッ!」

  

  「応さッ!」

  

  二人は全身の力を込めて、相手を投げ飛ばそうとする。

  が、勝千世の純粋な力は虎千夜の技によって、虎千夜の技は勝千世の圧倒的な腕力で、お互いに相殺されて決着がつくことが無かった。

  組み合ったまま動きが絶えてしばらくが経った。

  そこに、ふと――

  猛田の家臣の子が、何かに気がついて組み合って動かなくなった二人の体に触れてみた。

  

  「……こ、これは――」

  

  力を抜くことなく、お互いに拮抗状態を維持したまま、勝千世と虎千夜は――気を失っていた。

  

  それを知ると大人たち――諸大名らは拍手喝采。

  童の遊びとはいえ、ここまでに至るとは天晴れ至極。

  とうの童たちも二人の戦いに、感じ入るしかなかった。

  それを見ていた甲斐の伸虎と、越後の為影はホッと胸を撫で下ろして、次いで笑顔でお互いを見やった。

  

  「多少、賢しくて疎ましい子とはいえ……このような酒宴の席の余興で、自分の子に切腹を申しつけることがなくて幸いでしたな」

  

  「ええ。お互いに……しかし、勝千世どのは末恐ろしいですのぉ」

  

  深くため息をつきながら、越後の竜人が呟いた。

  

  「越後ではうちの虎千夜を負かせるものはおりませなんだ。あれを抑え切るとは……いやはや、あのような童がおるとは」

  

  自分の子の自慢なのか、それとも勝千世を純粋に賞賛しているのかよく分からないことを言いながら、為影は伸虎の顔を見た。

  

  「勝千世殿はきっと立派な甲斐の頭領となりましょうな」

  

  

  「……ここは?」

  

  やっと目が覚めた勝千世は、いつの間にか天井を見つめている自分に気がついた。

  

  「……いかんな……切腹か」

  

  覚えてはいないが、目覚められばここでこうして寝ている以上、負けたのだろうと勝千世は考えた、

  まだ元服前だというのに切腹になってしまうのかと考えるが、逆に無性に清々しい自分がいることに気がついて、はははっと笑った。

  

  「まさか、あのように強い奴が俺以外にもいたとは」

  

  きっとアイツに投げ飛ばされて気を失ったのだろうと思った勝千世は、負けたのにも関わらず、どこかなにかが愉快だった。

  

  「まあよいわ。俺より強い奴に負けたのだからな!」

  

  「……ご家来の童らのお話を聞いたところでは、お互いに負けてはおらぬようです……『引き分け』になったとか」

  

  最後に耳に残っていた強敵の涼しい声が、真横から聞こえた。

  ハッとして首を動かすと、そこには横に寝かされた竜人――虎千夜がいた。

  

  「……お互い、組み合ったまま気を失っていたのだとか」

  

  「『引き分け』……となると、切腹は?」

  

  「……とりあえずお互い生き延びられたようで」

  

  つまり、父親の不興を買うことは無かったということであることを、二人は長いため息で示した。

  

  「……そちらも大変そうだな? 虎千夜」

  

  「そちらこそ……勝千世どの」

  

  二人は手を伸ばして拳を突き合わせる。

  

  「虎千夜は、いつまで甲斐の国に居られるのだ?」

  

  急にそんなことを言い出す勝千世に、面食らった顔のまま、虎千夜は素直にそれに答えた。

  

  「……父上の言うには、今しばらくは猛田の家に逗留されるとか。越後と違って、甲斐の国は気候が穏やかなので――」

  

  「それは良い!」

  

  それを聞いた虎獣人の子、甲斐の国の勝千世は跳ね起きるように上半身を起こすと、満面に笑みを貼り付けて、胸を張って座った。

  

  「俺は、俺とタメを張れるほど強い同じ歳の童を他に知らない! お前を友としたい! どうじゃッ?」

  

  その清々しい意気を見て、虎千夜も身を起こしてそれに応えた。

  

  「私も、私とこんな相撲を取れる相手がいるとは思ってもいませんでした。こちらこそ、友と呼ばせていただきたく」

  

  ガッと腕を組んで、お互いに友の存在を確認して、笑顔を溢した。

  甲斐の国、守護である虎獣人猛田伸虎の子、勝千世。後に甲斐の虎と戦国の世で名高い『猛田 心玄』

  越後の国の守護代、竜人永尾為陰の子、虎千夜。後に『越後の竜』または『軍神』として戦国の世に名を轟かす『上椙 謙真』

  二人の初めての出会いの日であった。

  

  

  2

  

  

  月日というものは否応無く流れていくし、否応無しに流れていくのであれば、人は年月に乗って育っていくもの。

  

  「うわ……これは一雨くるぞ。早く帰らないとこれは雨に打たれてしまう」

  

  勝千世が天を見上げながら呟いた。

  鈍色の空は、今にも一気に降り出しそうな気配。

  「まったく……あんまりにも早駆けするから、共の者たちもどこにいるのやら」

  

  馬に乗ってブラブラしよう、と勝千世に言われて着いてきてみれば、ブラブラどころか早駆けでどこまでも走っていくので、すっかり二人だけになってしまった。

  そのことに文句をブツブツと言いながら、虎千夜はキョロキョロと辺りを見渡した。

  こんな山の中では、雨宿りが出来そうな民家などは無い。

  

  「困ったな……このままだと本当に雨に降られてしまう」

  

  「お前の鱗なら雨を弾くから別にイイだろう?」

  

  「これでも冷えると風邪をひくんですよ? 馬鹿と一緒に風邪をひくのだけはゴメンです」

  

  そんな軽口を言い合いながら、二人は偶然見つけた洞穴へと逃げ込み、そこに見計らったように土砂降りの雨が降ってきた。

  

  「これは……しばらくはここから動けないなぁ」

  

  いつものように時を忘れて遊ぶ予定が台無しになったことに憮然として、勝千世は洞穴の入口から天を見上げた。

  

  「仕方ありませんよ。いくら愚痴を言ったところで止む時にしか止んでくれません。それが雨です」

  

  同い年だと言うのに既にどこか達観したような口振りの虎千夜に、勝千世はちぇっと軽く舌打ちで返した。

  

  「しかし……濡れ鼠は避けられたものの、冷え込んできたな……」

  

  山の天気は変わりやすい。

  雨が降ったことで一気に気温が変わり、勝千世の毛皮で覆われた体でも、少しばかり寒いと感じる。

  

  「……さすがにこれはマズイですね。暖を取らないと」

  

  乗ってきた馬たちは、近くの樹の下に繋いであるから雨に打たれることはあるまい。

  だが、勝千世と虎千夜は雨に打たれてはいなくてもこう寒くては体が保たない。

  

  「……虎千夜、お前脱げ」

  

  「は?」

  

  脱げ、と言いながら既に自分も脱ぎ始めている勝千世に、虎千夜は眼を丸くしたまま何を考えている? と言った顔で固まったままになった。

  

  「こういう時は、抱き合ってお互いを暖め合うのが良いと、環助が言うておったのを思い出したのだ」

  

  「……着物は着たままでも良いのでは?」

  

  「脱いで肌を密着させた方が『効率が良いし、手っ取り早い』と環助が言うておった」

  

  「……『何が手っ取り早い』のかはよく分かりませんが、猛田家軍師の山元環助殿が言うことであれば……」

  

  虎千夜は立ち上がって渋々ながら着物を脱いでいった。

  二人は下帯だけの姿になって抱き合って暖をとる。

  

  「……寝るなよ。共の者たちに見られたくはない姿だからな」

  

  「……だったらこのようなことを言い出したりしなかった方が良かったのでは?」

  

  「風邪をひくよりはイイと思ったのだ」

  

  二人はお互いに体を見ることはこれが初めてでは無かった。

  風呂も一緒に入ったことがある。

  川遊びもしたこともあった。

  しかし、こんなにも近くでお互いの体を見ることは初めてだった。

  しかも抱き合うことなど――。

  

  「あ、案外筋肉質だな……もっと痩せておるかと。そう見える」

  

  自分よりは一回り小さく見える虎千夜が、意外にも豊かな筋肉を纏っていることに気がついて、勝千世はなぜか心臓の鼓動が早くなった。

  

  「か、勝千世どのこそ……見た目以上に……逞しいのだな……」

  

  抱き合っている相手の、見知っている筈のお互いの体が、何かいつもとは違う気がして、虎千夜はつい視線を逸らしてしまった。

  

  「……さ、触ってイイか?」

  

  勝千世の言っていることの意味を、遅れて理解した虎千夜は黙って頷いた。

  それを見て、勝千世は震える指先でゆっくりと、そっと、虎千夜の下帯の前に触れてみた。

  布越しにもそれが硬くなり始めていることが分かった。

  

  「わ、私も触ってみても?」

  

  勝千世の喉がゴクリと動いて、首を縦に小さく頷いた。

  手を伸ばしてそれに触れてみると、自分と同じように硬く大きくなりかけている。

  

  「お、[[rb:女子 > おなご]]と……したことは?」

  

  「あ、ありませんよ。元服前ですよ?」

  

  明け透けな物言いの勝千世に、虎千夜も真っ直ぐに答えて返した。

  

  「……お、男の方が気になると言ったら……へ、変か?」

  

  「……多分、変じゃありません……私もですから」

  

  どちらからということもなく、二人の唇が重なった。

  互いに握った股間のモノは、はち切れんばかりに硬く大きくなっていた。

  

  「お、俺は初めてだから何をしたらいいのか分からぬ」

  

  「わ、私だって分かりませんよ。ずっと一緒に育って、こんなことになるとは思ってもいませんでしたし」

  

  勝千世の指が、景虎の下帯の隙間から中に入って硬くなったそれに触れると、ビクンと大きく全身が跳ね上がった。

  

  「……ヌルヌルしておる」

  

  指の感触が伝えてくるそれを、口に出して言ってみるとたまらなく興奮していく自分を、勝千世は発見した。

  

  「あ、あなただって下帯をこんなにして……」

  

  勝千世の下帯の前が、恥ずかしい染みが出来ていくのを、景虎の指が弄んだ。

  

  「くッ」

  

  自分で扱いて遊ぶことは、二人は既に経験していた。

  が、他人の指がこんなにも気持ちいいとは知らなかった。

  一人遊びとは格段に違った快感の嵐に、二人は夢中になって、互いの男根の先を指で弄ぶ。

  そうして、いつの間にか二人は下帯を外して生まれたままの姿になっていた。

  

  「虎千夜……」

  

  「……勝千世」

  

  お互いの硬くなったイチモツを握りしめて、普段自分で自分にしていることを相手にしてみる。

  

  「こ、こんなことしてみたかった……」

  

  「こんな風にされてみたかった……」

  

  荒く優しく細かく大胆に、二人の手は自身ではその動きを止めることができない。

  

  「お、まえ、こんなことを――」

  

  「あなただって――こん、なことを」

  

  自分にだってそんなイヤラシイことをしたことはない、ということをお互いの体に、男根にヤる。

  だが、それは不快ではなく、それどころか今まで感じたことが無いほど気持ち良かった。

  一人で慰めていたのが馬鹿らしく感じるほどに。

  そして気がつく。

  自分の気持ちに。

  どんなに自分が相手を求めていたのかを。

  

  「と、虎千夜――」

  

  「か、勝千世――」

  

  国が違う。

  種族が違う。

  今の二人にはそんな事はどうでもよかった。

  勝千世は虎千夜の乳首にそっと舌を這わせた。

  

  「あうッ」

  

  初めての感覚に小さな声が漏れた。

  

  「……ここが感じるのか?」

  

  その反応に、勝千世はニヤリとして果敢にそこを責め始めた。

  

  「あ、あなたはそうやってすぐ――」

  

  「すぐ、なんだ?」

  

  ザラリとした舌が執拗に虎千夜の乳首を舐めあげる。

  

  「くっ!」

  

  まさか自分の体にそんな弱点があるとは知らなかった虎千夜は、反撃すべく勝千世の亀頭を手のひらで包み込むようにして掴み、撫で回すように動かした。

  

  「のわッ!」

  

  鋭い快感が男根の先から走り、全身を仰け反らせる勝千世。

  自慰で精を漏らす時よりも強い快感で、危うくイキかけたが、それをグッと堪える。

  房事で主導権を取られるのは、男子の恥。。

  ならば! と、意を決して勝千世は虎千夜の股間の前に顔を移した。

  初めてのことで聞き齧りではあるが、環兵衛が小姓にさせているということを試してみることにした。

  

  「南無三――」

  

  自分のモノとさほど大きさは変わらない――多分、巨根――と思えるモノを口で咥えた。

  

  「あ! か、勝千世それは――」

  

  汚い、と言いかけて虎千夜は息を飲んだ。

  信じられないほどの快楽が生じて、一気に全身を包み込んだ。

  圧倒的な快感の嵐に声を失ってそれを貪る。

  声を失って、時折遠慮がちに腰を突き出してくる虎千夜に、その股の間から伸ばした手で尻を抱き抱えて「素直に腰を使って悦べ」と促す勝千世。

  それを察して、虎千夜は遠慮など忘れて勝千世の口を犯した。

  

  「す、すまない――小姓にさせるようなことを」

  

  そんな言葉に、勝千世は一度咥えていたモノから離れた。

  

  「馬鹿者……し、したいからしているのだ」

  

  それだけ言うと、再び虎千夜の股間に顔を埋めた。

  

  「勝千世……」

  

  それを聞いた虎千夜は、体勢を変えて自分もまた虎千夜のいきり勃っているモノを、恐る恐る咥えてみた。

  

  「むぐぅ」

  

  己のモノを咥えたまま、勝千世が呻くのを聞いて、同じ快感を相手が感じていることにひどく興奮を覚えている自分に気がつく。

  二人は、互いの男根を咥えて快感を与え、その快感を受けていることにさらに興奮した。

  それはまるで、最初から自分たちは一つの快楽を貪る一つの生き物であるかのようだった。

  初めて男のモノをしゃぶっているのに全然嫌な感じがしない。

  そうするのがさも当然であるかのようだった。

  しゃぶりながら腰が自然と動いて互いの口を犯す。

  長々とそうしていると、我慢できなくなったのか虎千夜が最初に言葉を発した。

  

  「も、もうそろそろイってくださいよ! わ、私もイキたいのです!」

  

  「さ、先にイケるかよ! お前こそ先にイケよッ!」

  

  「い、イヤですよッ! 先にイクなんて男子として――」

  

  「こっちだって先になんか――」

  

  そう言ってから、二人は全力でお互いのモノをしゃぶり合った。

  派手に湿った音を立てて相手を煽る。

  

  (こ、この強情もんが!)

  

  (さ、先にイッたら今後ずっとどうなることか!)

  

  だが、まだ性を知ったばかりの二人がそれほど耐えられるものでもなく。

  

  (や、ヤバい! い、イクッ!)

  

  (だ、だめです! もうこれ以上はッ!)

  

  我知らず相手の口を犯している腰の動きが速くなっていき、互いに互いの最後が近いことを知る。

  もう意地とかそんな余計なことは頭の中から消えてしまい、自分の、そして相手の快楽を引き出してやることだけになってしまった。

  

  「「――ッ!」」

  

  それは同時にやってきて、同時に相手の口の中に放たれる。

  二人とも同時に腰を一番前に突き出して、一番奥――喉の中に射精した。

  不思議と嫌な感じはなく、それどころか甘露があるならこれこそが――と思った。

  いまだ沸き続けるそれを、一滴も逃すまいと吸い続けて、もっと欲しいとばかりに刺激する。

  まとわりつく舌の動きが、信じられないほどの快感となってまたしても射精を促した。

  

  (ま、またイクッ??)

  

  同時に口の中を相手の精が満ちていき、それを自然に嚥下する。

  それは何度も繰り返されて、二人はいつしかそのまま疲れて寝てしまっていた。

  

  

  「――勝千世、勝千世」

  

  どこかで誰かが自分を呼んでいる声が聞こえた。

  

  「起きなさい。猛田 勝千世」

  

  夢の中から呼び起こされ、勝千世は眼を開く。

  口の中に、もう硬さを失っている虎千夜のモノを咥えたままの自分に気がついた。

  

  「ど、どうした? 虎千夜――」

  

  口の端から涎を垂らしながら勝千世は虎千夜の股間から離れて、身を起こした。

  

  「急いで着物を。人の気配がします」

  

  「なッ?」

  

  やはり口の端の唾液を手で拭う虎千夜もまた、勝千世のモノを咥えたまま寝ていたのであろう。

  よく人の気配などに気がついたものだ。

  そんなことを考えながら、片してあった互いの着物を取り、手渡して急いで着る。

  

  「こんなとこを見られるワケには――」

  

  それは虎千夜とて同じことではあったが、今は急いで何も無かったようにしなければ。

  

  「馬がここに! 若は! 若は何処におられるか?」

  

  家臣の者の声が聞こえてきたところで、虎千夜を見ると、先にきっちりと整えたすまし顔が訊いてきた。

  

  「勝千世、よろしいか?」

  

  「お、応う」

  

  手短にそう応えると、無言でコクンと頷いた虎千夜は、辺りを探し始めた家臣たちに向かって声を上げた。

  

  「猛田勝千世と永尾虎千夜はここぞ!」

  

  その声に気がついて、家臣の者たちがワラワラとこちらにやってきた。

  

  「若様方、ご無事か? どこぞ怪我などはございませんな?」

  

  「ただの雨じゃ。我ら二人ともなんとも無い。ただ雨宿りをしておっただけのこと」

  

  ニコリと笑いながら心配顔の家臣たちに接する虎千夜。それに合わせて頷く勝千世。

  繋いであった馬が寄せられて、それにそそくさと乗り込む二人。

  ようやく城に向けて帰路に着く。

  

  「……虎千夜、先ほどのことは――」

  

  馬上の二人にしか聞こえない声で呟くと、同じように抑えた声が返ってきた。

  

  「分かっている……」

  

  「……虎千夜」

  

  「なんだ?」

  

  「その……」

  

  「それも分かっている……また時間を見つけよう……」

  

  それだけ言うと二人は後はもう言葉は要らぬとばかりに、静かに馬に揺られるだけだった。

  

  

  3

  

  

  秘め事を覚えた若い二人は一日一度、時には数度、人目を忍んで房事に耽るようになった。

  それは相手を求め合う者たちにとっては自然なことだった。

  だがある日、いつもの行為が全て終わった後で虎千夜の言い放った言葉に勝千世は愕然とした。

  

  「越後に帰る……だと」

  

  何度も何度も肌を重ねた二人に、いつまでもこんな毎日が続くと思っていた二人に、それは唐突にやってきたのだ。

  いや、予想通りではあった。

  元服だ。

  一足先に元服を迎える虎千夜は、越後の国でその儀を執り行うとのことだった。

  三男とはいえ、一国の頭領の子息の元服である。まさか親交が深いとはいえ他国で行うワケにはいかないのは当然のことであった。

  

  「……そうなれば、甲斐の国には戻って来ることは無いと思う」

  

  裸になったままで寝転がり、天井を見つめている虎千夜は静かに言った。

  甲斐の国の国境の山中に、人目につかぬように二人だけでひっそりと建てて、逢瀬を楽しむだけの小屋。

  その中でだけ二人は本当の自分を、お互いに晒し、そのお互いを愛し合った。

  

  「い、いまさらそんなことが――」

  

  それは虎千夜とて同じ気持ちだろうと気がついて、勝千世はそこから言葉を告げることができない。

  

  「……ここは、そのままにしておいてください」

  

  「?」

  

  「どうせあなたも私も、忘れることも我慢することも出来ない……ならば、時折文を出しますゆえ――」

  

  その先の言葉を勝千世の口が塞いだ。

  舌を差し込んで、相手の舌を絡めとる。

  しばらくお互いの舌を貪った後で、勝千世は虎千夜の気持ちを確かめられずにはいられなくなって口を開いた。

  

  「……ずっと、逢ってくれるのだな?」

  

  「……あなたこそどうなのです? ただの遊びであったのならこれは良い機会ですよ?」

  

  そんな言葉を返してくる虎千夜の股間をギュと握って、勝千世は笑って応えた。

  

  「俺を見ているだけでこんなに硬くするような奴が、何を言うか」

  

  「その言葉、そのままお返しいたします」

  

  勝千世の股間に手を伸ばすと、同じように硬く大きくそそり立ったモノがそこにあった。

  

  「ふむ。二人ともまだ[[rb:射精 > だ]]し足りないようだのぉ」

  

  「しばらくはおあずけになりそうですから、存分に存分を重ねましょうか」

  

  そう言って、二人は時の経つのも忘れてお互いの肉体を貪りあった。

  

  

  永尾家一族が、甲斐の国を発ったのはそれから数日もしないうちであった。

  その日から勝千世は越後の国の方角を眺めることが多くなり、虎千夜は甲斐の国の方角を向いて考えに耽ることが多くる。

  その後、二人はそれぞれの国にて元服を迎え、晴れて大人の仲間入りを果たすことになった。

  

  だが、その前に――

  

  一途な虎千夜――元服して名を『影虎』と改めた――が悶々としながらも我慢の日々を過ごしている時。

  勝千世――名を改めて『晴伸』――は、影虎恋しい心を紛らわす為に、小姓に手を出したりなどしていた。

  

  「源之介、俺はお前だけを愛しておるのだよ」

  

  「……若様、同じようなことを他の者にも仰っておいでだとか」

  

  「な、なんの話だ?」

  

  「……源之介は、若様にケツを貸すだけの阿呆ではございませんよ。若様が他の小姓たちにも手を出されているのは承知しております」

  

  小姓衆の中でもとくに美形の猫獣人の源之介にそんなことを言われて、晴伸は引き攣った笑顔のまま言い訳を口にした。

  

  「ち、違うのだ! 他の者たちは――俺の気をひこうとしてだな――」

  

  「若様を誑かしたと? となるとその者らは手討ちにせねばなりますまいな」

  

  「た、誑かされてなど――い、いやしかし」

  

  「大丈夫です。この源之介、相手に痛みも感じさせずに首をはねてみせる自信がございます」

  

  そう言いながらユラリと立ち上がった源之介の眼は座っていた。

  

  「若様を誑かすような不埒者とはいえ、痛みを与えぬのは武士の情けというものでございます」

  

  春日源之介は、才覚もあって美形ではあったが、少々嫉妬深くて重いのが玉に瑕、な男であった。

  

  「お、落ち着け。源之介落ち着け。ほ、ほら、こちらで茶菓子など一緒に食べよう」

  

  座った眼のままで、つっと部屋から出て行こうとする源之介を抑え込んで、晴伸はなんとか落ち着かせようとする。

  

  「源之介はこのような茶菓子くらいで――わ、若様……」

  

  茶菓子を口移しで移されて、そのまま舌が絡め取られ、押し倒されてしまう体に抵抗する力が入らぬ源之介。

  こうなってしまえばこっちのものとばかりに、晴伸は袴の隙間から手を入れて源之助の股間に触れた。

  

  「……なんだ……もう、俺が欲しいのではないか」

  

  晴伸はそう言いつつ、さらに下帯の隙間から手を忍びこませて直接その硬くなったモノを握った。

  

  「――ッ」

  

  思わず声に出しそうになったのをギリギリで堪えた源之介は、それでも恥ずかしさにあまりに、両手で顔を隠した。

  

  「お前の綺麗な顔が好きなのだ……隠すな」

  

  自分の仕えている相手にそう言われると、反抗することなどかなわない。

  源之介は真っ赤になっている顔を隠している手をどけて、そのまま晴伸に抱きついた。

  

  「うい奴め」

  

  「他の小姓にもこのようなことをするのは……イヤです」

  

  か細い声でそう呟く源之介の下帯を、ウンウンと応えながら解いていく晴伸は明らかに手慣れている様子だった。

  

  「お前だけだよ……源之介」

  

  明らかに遊び慣れている手つきでことを運んでいく晴伸。

  影虎――虎千夜がいない寂しさを小姓に手を出すことで紛らわしていたら、案外楽しくなって止められなくなっている自分がいた。

  止めようとは思うが、どうしても止められない。

  

  (どうせ影虎も越後で楽しんでおるだろうよ……)

  

  そんなことを思いながら、目の前の美しい[[rb:顔 > かんばせ]]をした、どこか影虎に似た小姓を犯すことを晴伸は愉しんだ。

  

  その頃――

  

  「父上……何を考えておいでですか?」

  

  越後の国は激しい内乱の嵐が吹き荒れていた。

  あろうことか、[[rb:越後守護 > えちごしゅご]]・上椙房由――つまり守護代である永尾為影の仕えるべき相手を――自刃に追い込んだのだ。

  そして、関東管領であった養子の上椙秋定をも討ち取り、次の守護となった上椙貞実を、

  傀儡として操るという、不実な卑怯を嫌う影虎からすればまさに暴挙に至ったのだった。

  そんな父を、影虎は諌めようと問いかけるが、返ってくるのは到底影虎には理解できない戯論であった。

  

  「お前は三男の身で、この父に意見する気か?」

  

  武家においては、だいたいにおいて嫡子以外はタダ飯喰らいでしかない。

  どんなに優秀であっても、家督を継ぐことの無い者の言葉は軽んじられる。

  表面は平静を装いながら、影虎は牙が軋む音を隠すのに苦労した。

  

  「父上の政に意見する気は毛頭もございません。しかし、上杉家に仇なしてまでやることでは――」

  

  「僭上!」

  

  仕える相手である上杉家に対してこれほどの暴挙を行なってもなお、越後の国を平定できない苛立ちから――そこを突かれて、為影は声を荒げた。

  元より、この出来すぎる三男を疎ましく思っていたのだからその怒りは尚更であった。

  

  「差し出がましいにも程があるぞ! 影虎!」

  

  父、為影の気性は知っている。

  これ以上踏み込んだことを口にしたら、三男である自分の首などどうなるか分かったものではなかった。

  

  「失礼……」

  

  それだけ言うと、影虎は口を黙み部屋を後にした。

  

  「……若、あまりこの真狗郎の肝を冷やされるな。さっきのは生きた心地がしませんでしたぞ」

  

  為影の部屋から出てきた影虎の背後を、小姓の青沼真狗郎が呟いた。

  犬獣人の若侍ではあったが、どこか大人びていて、自信満々な様は勝千世――晴伸に似ていた。

  

  「……すまぬ。だが、今父上を抑えねばいずれ上杉家の残りの者たちが糾合して反旗を翻し、我ら永尾家と戦さになるやもしれぬ……」

  

  「そうなると――越後は麻の如く乱れますな」

  

  無駄なく進んでいた影虎の脚が、ふと、止まった。

  

  「……」

  

  この様な戦乱――内乱など意味がない。

  こんなことが起きてはアヤツ――晴伸に逢う暇が作れない――。

  顔には出さずに、静かに考える影虎。

  

  (……いや、その前になんらか理由をつけて私を亡き者にするやも……)

  

  父ならやりかねない、と考えて策を案じる。

  そう、あの父ならやりかねない。いや、一族郎党の上に立つ武将とはそういう気質の者。

  

  (……それに戦さとなれば、恐らくは三男でである私は、これを初陣とされて……)

  

  良くても討死にする――そう読んだ影虎は一計を案じた。

  こんなほぼほぼ謀反の内乱で討死など御免こうむる。

  そうなれば晴伸と逢えない。逢えないどころではない。

  

  「ならばいっそ――」

  

  影虎の脳裏にある人物のことが思い起こされた。

  幼い頃に、仏の教えと武の道を説いてくれたある御坊の姿がハッキリと。

  

  「……真狗郎、私は出家するぞ」

  

  「へ?」

  

  「これから林泉寺の天室住職の元に行き、そこで仏門に入る」

  

  「な、なッ?」

  

  若様は言い出したら一歩も引かないことを知っている青沼真狗郎は、唖然としながら、ズンズンと進んでいく己が主の背中を追いかけた。

  

  

  「は?」

  

  一方、影虎からの文で、その出家のことを知った晴伸はその達筆を見ながら呆気にとられていた。

  

  「あ、アイツは阿呆か?」

  

  出家となれば色事など出来ぬではないか!

  いや、そもそもが越後の国はどうなっている?

  ――と、思いかけて甲斐の国の現状を考えてみる。

  見せかけの安寧は終わりかけており、甲斐の国もまた乱国状態になりかけていた。

  父、猛田伸虎は甲斐の国平定をかけて国内外の諸勢力と敵対し、それは後一歩というところまで来ていた。

  

  「兄が亡くなっていなければ、俺もまたタダ飯喰らいの身……」

  

  そうなれば口減らしの為に碌な具足甲冑もも与えられずに戦場に出されていたかもしれない――そう考えると、出家という選択は賢いものかも知れなかった。

  

  「……いざとなれば還俗してしまえばいいだけだしな」

  

  まあ、アイツは信心深い故にそんな軽いことは簡単にはせんだろうが。

  と、影虎が何を考えているのかをだいたい把握している自分に気がつく。

  僅かに口元が緩んで、しかし、すぐに真面目な顔に戻った。

  

  「……しかし、これは俺の初陣も近いかもしれんなぁ」

  

  キナ臭くなってきた国内の事情に、晴伸は考えを巡らす。

  この頃の武家は、元服後すぐに初陣を飾るのが慣しでもあった。

  その時はもうすぐ側まで来ている気がした。

  

  「……派手に飾らんとなぁ」

  

  父上の命次第でもあるが、その父に疎んじられている以上、戦働きで見返すしかなかった晴伸は、絶好の機を望んでいた。

  

  「……戦乱か」

  

  武家に生まれたからには避けては通れないこと。

  分かってはいたことだが、一抹の不安を晴伸は感じていた。

  

  「……まさかな」

  

  遠く越後の国を見つめる。

  この向こうに、同じように遠くを見つめる眼があることをまるで感じとっているかのように。

  

  

  「しかし、御仏は不殺を説かれておいでです。ならば、武の道とはやはり修羅への道なのでしょうか?」

  

  影虎は、師である天室蜜育に素直に問うてみた。

  

  「人には務めというものがございます。御仏には御仏の、武士には武士の、農民には農民の、それぞれの務めと言うものが」

  

  天室住職は、影虎のその問いに澱むことなく答えた。

  

  「たとえどの様な道であろうと、御仏を信じて為さねばならないことを一心不乱に為せば、それは御仏の意志に叶うことになるでしょう」

  

  その静かでありながらも燃えるような言葉は、影虎の心の奥深くに染み込んでいく清水のようでもあった。

  

  「ただひたすら座る――これも御仏の道であれば、ただひたすらに邪念を滅し万人の為の政を行うのも、また御仏の道となるのです」

  

  「ただひたすらに……」

  

  ならば、父伸虎の行っている政は御仏の意志にかなっているんだろうか?

  そう口を開きかけるが、これは訊いてはならぬ問いであることに影虎はハッと我に返った。

  仏門――寺の中とはいえ、父に繋がる者がいてもおかしくはない。

  上杉家所縁の寺とはいえ、その上杉に半ば謀反を起こしているのが自分の父なのだ。

  今は雌伏の時であって、慎重でなくてはならなかった。

  

  「今宵はここまでと致しましょう」

  

  師からそう言われて、頭を下げる影虎。

  

  特別の講義を受け終わって部屋を下がり、自室に戻る廊下は、寒さで息が白くなった。

  だが、講義ぬ集中している間は気が付かなかったが、影虎は自分の火照った体が、余計に息を白くしていることを悟る。

  

  「……もう数年が経った……御仏に仕える身だと言うのに――」

  

  知ってしまった情欲と恋慕の煩悩は、はそうそう簡単には収まってくれないことを、自分の体が知らせてくる。

  

  「あんまり無理はしない方が良いですよ……若」

  

  暗闇に紛れて身を隠しながらも、影虎の警護の為に一時も離れないでいる真狗郎が、ついっとどこからともなく姿を表す。

  

  「……お前、元は素っ破者なのか?」

  

  「知り合いにその手の者がおりましてね。見よう見まねでして」

  

  真狗郎の隠れている陰へ移動して、辺りを伺う影虎。

  人の気配は無い。

  皆寝静まっているようだ。

  

  「……まだ何も言っておらんぞ」

  

  人気を気にしている主の着物を隙間から手を伸ばして、恋慕で猛っているモノを取り出そうとしている小姓に、それでも影虎は抵抗はせずに呟く。

  

  「どうせ機を伺って還俗するおつもりなのでしょう? なら女犯でもなし、単なる慰め遊びでございますよ。お気にめされるな」

  

  そう言いながら、真狗郎はさも楽しそうに影虎のモノを咥えた。

  

  「しかしだな――」

  

  「お綺麗な顔をしながら欲は強いのですから、時折処理しませんと、お体に障りますぞ」

  

  それだけ言うと、深く深く咥え込んで影虎の快楽を引き出すことだけに専念し始める真狗郎は、どこか晴伸に似ていて余計に抵抗する気になれない。

  

  「あ、くっ」

  

  危うく声を上げそうになるのを抑える。

  

  「……坊主は坊主たちで乳繰り合っておりますから気にせんでもよろしいのに」

  

  「……黙ってしゃぶっておれ」

  

  自分が仕込んだとはいえ、あまりに晴伸の舌使いを真似させ過ぎたことを少し後悔する。

  これでは余計に晴伸が恋しくなるではないか……。

  それに自分付きの小姓であるとはいえ、晴伸の代わりに使うのは、本当は気がひけた。

  しかも今は仏門にいる身。武士ではないのだから、小姓相手など――。

  だが、若い体はキチンと処理をしないと爆発しそうになる。

  過剰に自制をして気が触れる者も、たまにいる。

  最初から機会をみて還俗する腹積りであった影虎は、肉体も精神も健全であらねばならなかった。

  小姓の口を使っているが、徐々に快楽と気分の盛り上がりで腰が動きだす。

  ただしゃぶられているつもりだけだったのが、いつの間にか真狗郎の口を犯しだす。

  晴伸――と声に出しそうになるが、それは必死で堪えた。

  

  「う、あっ」

  

  自分の竿に絡まるように動く真狗郎の舌が、影虎の息を弾ませた。

  延々としゃぶらせ続けていた影虎は、背筋にゾクゾクとしたものが走り、その時が迫ってきたのを感じる。

  

  「あ、だ、出すぞ」

  

  無言でしゃぶり続ける真狗郎は、微かにコクンと頷いていよいよ刺激を強めた。

  

  「くッ!」

  

  そのまま一気に喉の奥まで突き込んで精を放つ。

  影虎は真狗郎の頭をがっちりと抑え込んで自分の股間に押し付けた。

  放たれた精をそのまま喉を鳴らして飲む真狗郎。

  

  「ま、毎回毎回……好きものめ」

  

  「……若の精ですぞ? 溢してなるものですか、勿体無い。強い男の精を飲めば強くなれる。小姓とは、その為にするものです」

  

  サラッと言い放ちながら、着物を整えのす影虎の手伝いをする真狗郎。

  

  「どちらの方が若の心を射止めたのかは存じませんが、その方とご一緒でない時は、若の精は我らが小姓衆のものでございます」

  

  いっそ清々しいまでに言い切る真狗郎に、一瞬呆気にとられるが、すぐに自嘲気味の顔をする影虎。

  聞こえるか聞こえないかの小さな声でボヤいた。

  

  「……誰かは知っておろうに」

  

  「……主の誠の恋心は、知らぬフリが臣下の務めでございますよ」

  

  自分とさして変わり無い歳のわりに、ずいぶんと世間擦れした小姓の真狗郎に、微笑む影虎。

  

  「お前が私の小姓でよかったよ――人が来た……いけ」

  

  それだけで、闇夜に溶けたように消える真狗郎を確認して、影虎は人の気配がする方を向いた。

  寺の小坊主が、眠そうな眼を擦りながら厠に向かって歩いて来る。

  

  「……さて、私も眠るとするか」

  

  明日もまた務めに講義に、隠れて励んでいる剣の稽古に、やることは山積している影虎であった。

  

  

  「信濃攻めに従軍せよ、との御達しでございます」

  

  父伸虎から、とうとう初陣の命が下った晴伸は、いよいよかと拳を握った。

  

  「平地の少ない我が甲斐の国にとって、信濃を奪うのは悲願だからな」

  

  豊かな領地獲得は猛田家の為だけではない。

  ひいては甲斐の民の為であった。

  これは侵略ではあったが、勝てねばならない戦さなのだ。

  晴伸は、御家のことよりも民の為にこれを成し遂げなければならないと感じていた。

  

  「それに――父上に認めて貰うには、初陣で手柄を立てれば……いくらなんでも俺を認めてくれよう」

  

  父伸虎は、長男であった武松が夭折したおりは大変悲しみ、次男であった自分を可愛がったものだが、三男である次郎丸が生まれてからはその寵愛が移り、晴伸を疎んじるようになった。

  晴伸はこれまで幾度も父の気をひこうとしたがうまくいかず、良い戦働きをすれば父の眼をきっともう一度振り向かせることが出来ると信じていたのだった。

  

  「となると、戦に集中できるように毒気を抜いておかなくては……源之介はおるか?」

  

  「若様、お呼びですか?」

  

  「うむ。戦の前に毒気を抜いておきたい。昌行も呼んで貰えぬか?」

  

  毒気を抜くと聞いて眼を輝かせた源之介の顔がにわかに曇っていく。

  

  「……昌行殿も混ぜるのですかぁ?」

  

  「そ、そんな顔をするな。これは戦の前の儀式のようなもの。愛している相手といたすモノとは違うのだ」

  

  「……戦場で若の背後を護るのは、この源之介だということを、分かっておいでですかぁ?」

  

  「こ、怖いことを申すな。その綺麗な顔が台無しだぞ」

  

  「影虎様には負けますがねぇ」

  

  「い、いや、お前の方が綺麗だぞ?」

  

  「ホントですかぁ?」

  

  「ほ、ホントだ。嘘は申さぬ」

  

  「……儀式、ですね?」

  

  「――儀式、だ」

  

  「……では、若が初陣を勝ち戦で飾る為には仕方ありませぬな」

  

  少々不機嫌な顔をしたまま源之介は、昌行を呼びにいった。

  

  「……似たような顔の小姓を選んだが、影虎とは気性がまったく違うものよのぉ。やれやれ」

  

  そうは言いながらも、ヤキモチを焼く小姓にまんざらでもない様子でニヤつく晴伸。

  そこに源之介と真田昌行がやってきた。

  祖父の代から仕えてきた狼獣人の真田家の若侍であった。

  美形と名高い源之介と比べても遜色のないその容姿は、やはりどこか影虎に似ていた。

  

  「若、お呼びで?」

  

  「うむ。俺の初陣が決まった」

  

  「それはそれは、おめでとうございます」

  

  「なのでこれから戦に集中できるよう、毒気を抜きたい」

  

  「……なるほど……今からでございますか?」

  

  「うむ。今からだ」

  

  「ならば、失礼仕ります」

  

  以前にも手を出されている昌行は、テキパキと着物を脱ぎ始めた。

  それと同時に源之介も脱ぎ始める。

  美形の小姓ではあっても、武家の若者。

  日々の鍛錬は欠かしていないので、その着物の下は実によく鍛えられた体があった。

  

  「やはり、こういう綺麗な顔に鍛えられた体の男が、一番良いのぉ」

  

  そう言うと、晴伸は立ち上がって自らも着物を脱いだ。

  

  「そういう若様こそ、見事なお体で」

  

  昌行が惚れ惚れとした眼で見つめる先には、隆々とした筋肉で鎧われた晴伸の姿があった。

  

  「猛田家は勇猛をもって名を馳せる武の家だ。いずれ家督を継ぐ俺は、並の鍛え方では足らんからな」

  

  晴伸は腰の下帯を外すと、自慢の巨根を二人に晒した。

  長さ太さ、どれをとっても一級品の男根であった。

  

  「さて、二人とも心して俺の毒気を抜いてくれよ?」

  

  「心得ましてございます」

  

  そう言うと、源之介がすぐにその巨根にむしゃぶりついた。

  同じように昌行も晴伸の股間に顔を埋める。

  

  「俺はお前たち二人分の毒気を抜かなければならないゆえ、頑張らねばな」

  

  手を伸ばして、晴伸のイチモツに舌を這わせている二人の乳首をを摘んでやる。

  

  「あうッ」

  

  「くッ」

  

  晴伸によって随分と敏感になっている二人は、甘いため息を溢した。

  

  「やはり、女子よりも男の方が楽しいな」

  

  ガハハと笑いながら晴伸は裸のままで、寝床の方まで移動する。

  それに併せて四つん這いで追いかける二人。

  

  「よし。昌行はそのまましゃぶれ。源之介は俺の顔に跨るのだ」

  

  晴伸は二人に命令して快楽を貪るために寝床に横になった。

  

  「よく解しておかなくてはな」

  

  そう言って、目の前にある源之介の穴に舌を這わせる。

  

  「あうッ」

  

  ザラついた晴伸の舌が、言いようもない快楽を生んでいく。

  湿った音をさせながら、腰を微妙に動かして昌行の口も同時に犯す。

  

  「わ、若様……源之介はもう――」

  

  「お前は辛抱が足りぬの。まあ、そこが可愛いのだがな。昌行、変われ」

  

  晴伸の合図で二人の位置が入れ替わる。

  今度は昌行の穴を舐め始める晴伸。その晴伸のイキリ立ったモノの上に、源之介を腰を降ろしていった。

  

  「あ、ううう、太い……」

  

  ずいぶん晴伸に可愛がられたせいで、すっかりその巨根の太さに慣れてしまった源之介は、それでもゆっくりと慣らすように挿れていく。

  

  「は、はぁッ……」

  

  源之介は肉の快楽で、思わずため息が漏れてしまう。

  同時に、昌行もまたため息を漏らした。

  晴伸の舌が奥まで入ってきたのだ。

  

  「あ、あ、あ、若様――」

  

  「わ、若様ッ」

  

  二人切ない声が、晴伸の耳を楽しませる。

  

  「慌てる慌てるな、夜はまだ長いぞ。それに俺の絶倫なのを知っておろう? 先にイクと辛いのはお前たちだぞ?」

  

  イヤラシイ笑いを浮かべながら二人を見つめ、晴伸は腰を動かして下から突き上げた。

  

  「ああ! 若様ッ!」

  

  源之介が甘い声を漏らすのと同時に、目の前にある昌行の穴に指を挿れる。

  

  「あ、あ! そんな!」

  

  小姓たちの体は知り尽くしている。

  どこをどう責めれば女子のように腰を振り出すのか、声を上げるのか。

  

  「これが女子ではなく、男がそうなるからやめられぬのだよ」

  

  一応晴伸には許嫁もいて、それなりのことをしてみたが、やはり男の方がたまらなかった。

  武士とは男の中の男である。

  普段の凛とした姿から、誰がこんなに乱れると思うだろうか。

  

  「二人ともあんまり良すぎてオンナになるのではないぞ? 俺も後ろも前も両方楽しみたいからな」

  

  それを聞くと二人とも蕩けそうな顔をしたまま晴伸に頷く。

  

  「勿論ですとも。若様があられもない痴態を晒すまで責めます」

  

  「そうです。私たちをこんな風にしたのですから、こんな風になって悦んで貰わなくては」

  

  二人とも前も後ろも仕込んだ甲斐があったというもの。

  そんな威勢のいい言葉を聞いた晴伸はさらに責めを激しくした。

  腰はもっと力強く、指は内側のあちこちを動き回る。

  その度に二人からは悲鳴にも近しいヨガリ声が漏れた。

  

  「どうしたどうした? そんな様子では戦場で心配だのぉッ!」

  

  それを聞いて、まるで馬にでも乗っているかのように上下に動いて晴伸の肉棒をケツで貪っていた源之介が、その片手を伸ばして晴伸の股ぐらに持っていく。

  そしてそのまま指を晴伸の秘穴にズブリと挿し入れた。

  

  「ぬおッ!」

  

  想像もしていなかった責めに、晴伸の腰が一瞬止まった。

  

  「げ、源之介、それはズルいぞ?」

  

  「ですが若様、穴をそのように嬉しそうに締め付けては……源之介の指も悦んで、ほら、このように――」

  

  奥にある晴伸の[[rb:堕 > 、]][[rb:ち > 、]][[rb:る > 、]][[rb:場 > 、]][[rb:所 > 、]]が指の先で撫で回すように刺激される。

  

  「そ、そこは――」

  

  そこはダメだッ! と言いかけた瞬間に、昌行が晴伸の乳首を舌で舐め上げた。

  

  「おわッ!」

  

  イチモツとケツ穴の奥と、乳首から雷が奔ったような快感で目が眩む。

  晴伸は危うくイキかけたのを必死に我慢した。

  家臣に早漏と侮られてはたまらない。

  

  「お、おのれッ」

  

  晴伸は「床もまた戦場」と思っているような類いの男だった。

  ――こんな形で意図せずにいきなりイカされてたまるものか!

  口の端から涎を垂らしながらも、強く腰を突き上げ源之介を悶絶させ、昌行の穴を指で弄くり回して吼えさせた。

  源之介と昌行の二人も、この程度で精を放っては晴伸の絶倫さについていけなくなるので必死に堪える。

  

  「あ、あ、あ――」

  

  必死に腰を上下させながら、尻の穴を締め付けて自ら貪りつつ晴伸の快楽を引き出そうとする源之介。

  

  「お前はそんな綺麗な顔をして、淫乱だのぉ」

  

  乱れに乱れつつ、誰がそんな風にしたのかと源之介は晴伸を見おろしながらキッと顔を顰める。

  昌行の股ぐら越しにその表情をニヤニヤしながら晴伸は見つめた。

  

  「げ、源之介どの、私ももう辛抱が――」

  

  散々弄り回されている昌行は、もはや指だけでは満足できないようになっていた。

  まだ腰を振るのを続けていたいらしく、口惜しそうな顔をしながら源之介は場所を交代する。

  既に準備は整っている昌行は、それでもゆっくり腰を落とした。十分に晴伸の極太さを味わいたいのだ。

  

  「あ、あ、こんな太いモノが入ってくる――」

  

  少し腰を浮かせて、代わりに覗き込むように前屈みになりながら、自分の中に入っていく晴伸の巨根を見ながら、昌行は興奮しているのを抑えられない様子だった。

  

  「すごいのぉ。俺のイチモツをケツの穴で飲み込んでいくようだ」

  

  自らもそれを覗き込んで、その様子をワザと昌行に聞かせる。

  

  「俺のこんな太いモノを苦もなく飲み込んでいくとは。女子でもこうはいかんぞ?」

  

  「ああ! そんなことを仰られると――」

  

  もう堪らないのか、そのまま淫らに腰を左右へと降り始めた昌行。

  

  「ふははっ。この姿を真田家の他の者たちにも見せてやりたいのぉ」

  

  「ああ! そんな!」

  

  「真田の知恵者が、こんな痴態を晒しておると知ったら皆どんな顔をするかのぉ?」

  

  幼い頃から晴伸の傍で仕えてきた昌行が、顔を真っ赤にしながら、それでも腰を振るのを止められない。

  そんな昌行の腰の動きに併せて、そのイチモツが揺れているところに、源之介の口がそれを咥えた。

  己のモノを晴伸に跨って咥えさせながら、空いた口で昌行を責め立てて、とっととイカせて自分と交代させたいのだ。

  

  「だ、ダメです! 源之介どのッ!」

  

  まだ晴伸の極太をケツで味わっていたい昌行は源之介を制止しようとするが、気持ち良すぎて腕に力が入らない。

  その下で、それなりに大きい源之介のモノを咥えながら、晴伸はそれそれ! と腰を突き上げる。

  

  「ダメです! ダメですッ! そんなに突かれては――」

  

  イキかけたところを寸でのところで腰を浮かせて引き抜き、自分の腕を噛んで必死に堪える昌行。

  

  「わ、若様、今度は私を犬のように――」

  

  そう言って四つん這いになって尻を突き出した源之介。

  それを晴伸は体を起こして、迎え撃つ。

  

  「なんじゃ? 俺にモノをしゃぶらせておきながらすぐに尻を責めよと言うのか? 小姓でありながら我儘な奴め」

  

  「だって――」

  

  源之介は晴伸の六人の小姓の中でも、特に気に入られてケツの中を捏ねくり回されて、すでにもう感じまくるように仕上がっている。 本人は無意識だが、他の男を見る時はまず股間を確認してから顔を見るようにまでなってしまっていた。

  

  「まあ良いわ――お前の尻は具合が格別だからな」

  

  そう言いながら、晴伸はまだまだ綺麗な色のままの源之介の菊門に己の極太のイチモツを押し当てた。

  源之介の息を飲む音が聞こえてくる。

  こじ開けるようにゆっくりと侵入していく晴伸。

  

  「あ、あッ、ああッ!」

  

  興奮したせいなのか、さっきよりも幾分大きく太く硬くなった晴伸の巨根は、容赦なく奥へ奥へと突き進む。

  

  「では、私はもう一度源之介どのの口を楽しませて貰いましょう」

  

  手隙になった昌行が、源之介の前に立ってその口に自分のモノを押し込んだ。

  

  「ああ、やはり若様の仕込みのお陰なのか、これほどの尺八は若様以外では源之介どのが一番ですなぁ」

  

  惚けるように空中に眼を泳がせながら、源之介の舌技を楽しむ様子の昌行。

  

  「こやつは男のイチモツが大好きな淫乱小姓だからのぉ。好きこそモノのなんとかだよ」

  

  ガハハと笑いながらいよいよ腰を動かし始める晴伸。

  それに併せてくぐもった声が源之介の口から漏れてくる。

  尻を犯されながら口も犯される悦ぶで、ヨガリ狂っているようだった。

  

  「仕方ありませぬ。若様に[[rb:お > ・]][[rb:手 > ・]][[rb:つ > ・]][[rb:き > ・]][[rb:さ > ・]][[rb:れ > ・

  ]][[rb:て > ・]][[rb:は > ・]]どんな男もみなそうなります故」

  

  自分もそうであるように、小姓六人ともに男好きになっているから、実感がこもった昌行の言葉だった。

  

  「いーや。お前たちがみな淫乱なだけじゃ」

  

  「ならば若様は淫乱小姓たちの総大将となりますな」

  

  「はははっ! 淫乱なだけでは無いぞ? 今回の初陣でそれを証明してくれるわ!」

  

  戦の話で興奮したのか、晴伸の腰の動きが速くなっていく。

  その動きに併せて前後に動く源之介の口に、昌行も調子を合わせて腰を突き入れる。

  

  「ああ、たまりませぬな。なんたる儀式か」

  

  「だろう? この場にいれば他の四人も呼んだものを」

  

  晴伸の小姓その他四人は、今夜は城の警護で出払ってここにはいなかった。

  

  「居ればもっと淫なことこの上も無い儀式なったのだがな」

  

  がははっと笑う晴伸に合わせて昌行も笑った。

  

  「皆、若様の大太刀の奪い合いになりますな」

  

  さもあらんと言おうとすると、咥えていたモノを吐き出して源之介が顔を真っ赤にしながら抗議してきた。

  

  「み、皆一度気に一緒に、はやりすぎです! 本来なら私だけで十分ですッ!」

  

  そう言って菊門を締め付ける源之介。

  

  「なんだ? 皆と一緒は嫌か?」

  

  「嫌です!」

  

  「しかし、俺が用事で居ない時には他の五人に、自分の尻の世話をせがんでいるそうではないか?」

  

  「そ、それは??」

  

  キッと昌行を睨む源之介。昌行は明後日の方に視線を泳がす。

  

  「良い良い。俺の小姓たちは仲ようしてくれぬと俺が困る」

  

  そうでないと、ここまでの名器に仕上がってはくれぬしの、と言いかけてそれは心にしまっておく晴伸。

  

  (ま、影虎の尻には届かぬがな)

  

  それもまた仕舞いこんで、黙々と源之介のケツを犯す。

  

  「あ、あ、こんな! こんなことッ! 若様ッ!」

  

  あまりの快感なのか源之介は少しばかり涙目になりながら歓喜の声を上げた。

  

  「これこれ、源之介どの。城内ですぞ? はしたない……これでも咥えておりなされ」

  

  もう一度自分のモノを源之介の口に押し込んで、深いため息をつく昌行。

  

  「はぁ、極楽」

  

  それを見ながら、晴伸の腰の動きがますます速くなっていき、とうとうイク寸前の速さになる。

  

  「よ、よし! そろそろイクぞ? 中に出す――」

  

  そう宣言するように言うと、猛烈な勢いで腰を何度も前に突き出した。

  

  「イクッ! イクイクッ! イクぞッ! 中に出して孕ませてくれるッ!」

  

  そう叫ぶと、最後に大きく奥まで一突きして、全身をブルブルと震えさせる晴伸。

  自慢の筋肉があちこちピクピクと勝手に動いていた。

  かなりの時間静止していたのは、その分大量に放っているのだろう。

  源之介の腹が微妙に膨れているように見えるのは、そのせいだろうか。

  そんな晴伸を見ていた昌行も、昂ってしまったのか容赦なく源之介の口を犯して、もう絶頂を迎えようとしていた。

  

  「若様のイクのを見ていたらもう我慢が――源之介どの! 御免! イキまするッ!」

  

  ドンっと喉の奥まで突き込んでそこで精を放つ。

  昌行の精汁をそのまま嚥下して、トロンとした顔になる源之介。

  

  「どれどれ? ちゃんと種付けできたか確認せねばな」

  

  そう言って、ゆっくりとイチモツを尻から引き抜き、そこから溢れて垂れていく自分の精を、満足そうに見つめる晴伸。

  

  (ああ、影虎の尻もこうやってポッカリと開くまで犯して、こうやって俺の精が漏れて垂れてくるのを眺めたいのぉ)

  

  同じようにゆっくりと源之介の口からモノを引き抜いた昌行は、未だ硬いままの自分の肉棒を扱いて見せた。

  

  「今度は若様の番ですか? それとも私めの尻を犯しますか?」

  

  「まだヤリ足りぬ。昌行、ケツを貸せ」

  

  「承知」

  

  そう応えると、昌行は仰向けになって大股を開いて菊門を晴伸に晒した。

  ヒクヒクと動くそれは、欲しくて欲しくて堪らなさそうだった。

  

  「うい奴め――お前も先に女子に堕としてくれるわ」

  

  菊門に当てがった亀頭がズブリと中に沈みこんでいく。

  

  「は、はぁッ! なんたる太さ硬さ――」

  

  口で咥えるのとケツで咥え込むのとでは全然違う。

  昌行は仰け反りながら、それが己の中にどんどん入ってくるのを感じていた。

  と同時に、乳首を舐められる。

  

  「んあああああッ!」

  

  予期していなかった快感に大声を上げる昌行。

  

  「……はしたないですよ、昌行どの」

  

  晴伸に犯されて四つん這いのまま突っ伏していた源之介が、いつの間にか戦線復帰をし、昌行の乳首に吸い付いていたのだった。

  

  「あ、あ、若様、源之介どの……」

  

  今の一舐めで一気に女子に堕とされた昌行は、ズブズブと入ってくる晴伸の極太の感触に、ブルブルと身を震わせた。

  

  「あ、相変わらず、す、すごいッ――」

  

  まだ奥まで入ってくる、まだ奥まで――

  やっと晴伸の腰が昌行の尻に密着する。

  

  「ふう。やっと全部入ったか……お前の尻はまだ小慣れていないからゆっくりせんとな」

  

  ゆっくり浅く突きまわしながら、徐々に深く速く奥に奥にと攻めこんでいく。

  

  「ああッ! ああッ! そんなッ! そんな奥までッ!」

  

  昌行はどんどん自分自身ですら触ったこともない奥まで晴伸の極太の男根が入っていくのを感じていた。

  

  「どうじゃ? 己が主の陽根がお前の中を犯していくのは?」

  

  「ご、極楽ですッ! こんな極楽があったとは!」

  

  「まだだぞ? こんなの序の口じゃ。熟れてくればもっともっと極楽になっていく」

  

  冷静沈着な男で通っている昌行が、尻を掘られて狂ったようにヨガっているのが、晴伸には楽しくて楽しくて仕方なかった。

  

  「もっと狂わせてやるぞ!」

  

  とうとう全力で男根を出し入れし始めた晴伸。

  

  「ああ! もっと! もっとやってくだされ!」

  

  あまりにヨイのか、昌行のガチガチに硬くそそり立ったモノの先から透明な液が止めどもなくダラダラと漏れて、昌行自身の腹を濡らしていく。

  源之介はその液を手に取って、昌行の亀頭を包み込むように握ってグリグリと動かす。

  

  「ひいッ!」

  

  するどい快感が亀頭から全身に奔った。

  

  「昌行どのは亀頭を責められるがお好きですからね。ねえ、昌行どの?」

  

  乳首と尻、そして亀頭を同時に責められては、眼を堅く閉じて無言でウンウンと首を縦に振るのがやっとだった。

  そんな昌行は、目の前に源之介の男根があることに気がついて、それを咥えた。

  

  「あ、う……う、うまくなりましたね」

  

  小姓としては新参の昌行は、晴伸が男同士の色事を手解きされてからそう日が経ってはいない。

  しかし、結構その舌で男根に奉仕する技の覚えは早かった。

  

  「尻で締め付ける技も覚えるのだ。そう、そのように包み込むように――上手いぞ」

  

  どんどん慣れていき、最初の堅さは消え失せて、[[rb:女陰 > ほと]]の如き感触に変わるのにそんなに時間はかからなかった。

  

  「うむ、いい具合じゃ。極楽極楽!」

  

  多少源之介が怖い顔をしているが、また挿れて散々突き回してやれば良いだけのこと。

  

  「あ、あ、あッ! そ、そこ――」

  

  少しだけ手前側を突いてやると、昌行のヨガリ具合が変わった。

  

  「ここか? ここがお前の中の弱い場所か?」

  

  その場所を徹底的に突きまくると、昌行は泣き出しそうな顔になってヨガリ狂った。

  

  「そ、そこです! そこでございますッ! 昌行はそこがたまりませぬぅッ!」

  

  一層尻穴が締まってまるで晴伸を奥に引き込もうと吸い付いていく。

  

  「おお! ここじゃな?? どれ、このまま真田昌行をやっつけてくれるわッ!」

  

  ガシガシと腰を大きく荒く速く動かして、昌行を犯しこんでいく晴伸。

  

  「わ、若様ッ! ダメです! このままでは昌行はッ! だ、ダメですッ!」

  

  そのまま尻でイキそうになるのを止めようとして、晴伸の動きを制止しようよするが、晴伸はそれを無視して腰を動かし続けた。

  

  「ならぬ! このままお前をやっつけることにした! 素直に覚悟致せッ!」

  

  主にそう言われてしまっては抵抗することはできない。

  昌行は観念して、ケツでイクことを受け入て、全身の力を抜いた。

  

  「ああ! 男に犯されて、若様に尻を犯されて、昌行は! 昌行はッ! ケツでイキ申すッ! イグゥゥッ!」

  

  源之介に弄られてはいても、自分が男根ではなくて、ケツの中の感じる場所を突かれてイッてしまったのを昌行はハッキリと感じ取っていた。

  

  「わはははッ! 尻でイキよったわいッ!」

  

  それを見ていた晴伸は、天井に届きそうなまでに精を噴き上げた昌行を、天晴れと誉めてやった。

  

  「では、昌行にも種付けしてやるかの」

  

  そう言い放つと、晴伸の腰の動きが速くなった。

  

  「あ、あ、あ」

  

  大きく出し入れが繰り返される昌行の尻穴。

  それが少しばかり内側から捲れるほどに太い晴伸のモノが、吐精の前兆でさらに大きく硬く膨れあがる。

  

  「イクぞ! 孕むように奥の奥でイッてやる!」

  

  ドンドンと肉と肉とがぶつかる鈍い音が何度か繰り返されると、晴伸が吼えた。

  

  「イク! イクぞッ! イクイクッ!」

  

  一番奥まで突っ込んで腰の動きを止めると、ビクンビクンと晴伸の背中が震えた。

  

  「ああ! 中が! 中が熱い! 若様の種が! 種が入ってくるッ!」

  

  感無量という顔で晴伸の顔を見つめる昌行。

  晴伸も昌行を満足そうに見つめ返した。

  しばらく繋がったままで、その粘膜で繋がる感触を楽しんだ後、物欲しそうにしている源之介の方に眼を移した。

  

  「どれ、今度は今一度源之介をやっつけてやろうかのぉ」

  

  それを聞くと、源之介は待ってましたとばかりに昌行の隣で仰向けになって同じように大股を開いた。

  先ほど散々突き回し、先に種を付けたこともあってか、源之介の尻穴は少し開いて、まさに女陰の如き様相になっていた。

  

  「まさしく[[rb:女陰 > ほと]]……いや、[[rb:男陰 > おとこほと]]よな。種付けのし甲斐があるわい」

  

  また種を貰えると聞いて、源之介はウットリとした顔になった。

  その源之介にズブズブと挿れていき、一番奥まで届いたところで、そこを掻き回すように腰を動かす。

  

  「ああッ! たまりませぬ! その腰使い、たまりませぬ!」

  

  まだまだ男同士の交合いを覚えたばかりに昌行と違って、源之介は腹の奥でも感じるようになっていた。

  女子であったならそこには子宮があるような位置。

  

  「奥の奥――そこで感じるようになってしまっては、女子との交合いでは満足出来ぬ体になってしまうからのぉ」

  

  かく言う、晴伸も影虎にここを感じる体にされてしまっていた。そして影虎も晴伸に。

  

  「挿れて挿れられてなぞ、男同士でしか出来ぬこと。こんな楽しいことなどあるものかよ」

  

  男同士の交合いに酔いしれながら、ふと思い人のことを思い出す。

  

  (影虎が傍にいたのならば、こんなにもフラフラとあちらこちらと手を出さぬものを――)

  

  寂さを紛らわす為の行為ではあったが、真の意味で満足できないので止めることが叶わない。

  

  (女子に堕ちる部分を突かれても尚漢のままヨガった影虎――やはり俺は影虎でないと――)

  

  だが、その相手は今は傍にはいない。

  だったら小姓たちでなんとかするしかない。

  

  「そ、そんなに激しくされたら――わ、若様ッ! こ、壊れてしまうッ!」

  

  源之介のヨガリ声とも叫び声とも分からない言葉でハッと我に返る。

  

  「お、おお! すまぬすまぬ。少し耽りすぎたか」

  

  やはり己の全力を受け止めきれるのは影虎だけなのを再認識して、腰の動きを緩める。

  よく見ると源之介はすでに何度か尻だけでイッたようで、自分の腹の上と言わず胸の上と言わず、その綺麗な顔までも自分の精で汚していた。

  

  「なんだ? そんなによかったか?」

  

  白いモノで汚れているのも構わずに口を吸ってやると、源之介は辛抱たまらぬといった感じで吸い付いてきた。

  

  「も、もうください……中にください」

  

  それだけ言うのが精一杯といった様子の源之介。

  

  「では、くれてやるかの」

  

  ニヤリとして、晴伸は腰の動きを速くした。

  源之介の耐えられる限界のとこまでで。

  

  「お、おわッ! わっ、若様ッ!」

  

  あまりに正確に源之介の一番感じるところを突きまくるので、またしてもイッってしまったようで、その尻穴がキュキュ! っと締まる。

  だが、歯を食いしばって耐えているお陰なのか、今度は無様に精を漏らしたりはしなかった。

  

  「おお! よく締まるよく締まる! どれ、そろそろ中に出すぞ!」

  

  熟れて晴伸の極太のイチモツでも易く受け入れられるようになってはいるが、キチンと締まりも良いなかなかの名器に仕上がっている源之介の尻穴。

  そこはもうたしかに[[rb:男陰 > おとこほと]]と言っていいものだった。

  

  「イクぞ? イイか? 一滴も漏らすで無いぞ? 今宵が終わるまで俺と昌行の全ての精を溢してはならぬぞ?」

  

  無言でウンウンと首を縦に振る源之介を見て、いよいよ腰の動きを速くした。

  

  「おお! たまらぬ! イクぞ! イクイクッ! 中に出すぞ! 孕ませてくれるわッ!」

  

  ドンッと最後の大きな一突きと共に、一番奥に精を放つ晴伸。

  今宵三発目であるのにも関わらず、最初と変わらぬ量が放たれているのを自覚できてしまう。

  

  「ああ! すごいッ! すごいいっぱい中に出されているのが分かる! 若様の熱さが腹の奥からジンワリとッ!」

  

  思わず嬉し涙すら薄っすらと溢しながら、感極まった源之介の男根からダラダラと白いモノが溢れ出てくる。

  

  「またイキよったか」

  

  その様子をニヤニヤしながら見ていた晴伸の尻穴をベロン、と生温かい感触がなぞった。

  横になって休んでいた昌行がいつの間にか背後にいて、その舌で舐めたのだ。

  

  「お次は若様が女子にされる番ですぞ」

  

  「ほほう? 俺を簡単に女子に出来ると思うなよ?」

  

  不敵な笑みを作って、晴伸はゴロンと横になり、二人がやったように大股を開いて尻穴を昌行に見せつけてやった。

  

  「若様のモノに比べれば見劣りしますが――」

  

  猛田の家臣の者らの中では巨根自慢できるほどのイチモツを、昌行は自ら扱いて硬さを整える。

  ――影虎のモノと比べればそんなモノ、と言いかけて慌てて口を閉じる晴伸のその様子に、察しのよい昌行はすぐに気が付いて――

  

  「竜の若様のモノと比べるべくもないモノでございましょうが――」

  

  「ふん。気にするな……それよりも早く俺を女子に堕としてみせよ」

  

  そう言いながら「ほれ!」とばかしに両脚を持ってさらに尻穴をよく見えるように晒す。

  

  「――なんともイヤラシイお姿。若様の小姓になれて、昌行は幸せ者でございます」

  

  ありがたや、とばかりに両手を合わせて拝む昌行。

  

  ひとしきり拝んでんから、そこにイキリ立ったモノを、ズブリと射し込んだ。

  

  「くっ! こ、これは??」

  

  犯しているはずの昌行の顔が歪む。

  

  「俺のは――名器中の名器だぞ?」

  

  なんせ影虎も誉めてくれたからな――と、心の中で晴伸は呟いた。

  

  「た、確かに名器でございます。ございますが、以前よりもさらに名器に磨きがかったと申しますか、これは――」

  

  「おう。暇があれば源之介や他の小姓に掘らせておるゆえ、磨きがかかっておるだろうな」

  

  こともな気にそう言うと、キュキュその名器の尻穴で昌行の男根を締め上げてやった。

  

  「こ、これは――若様を女子に堕とすのには少々骨が折れますな」

  

  それでも言った手前、見事堕としてみせねばなるまい。

  昌行は意を決して腰を動かし始めた。

  

  「おう。中々な腰づかいだ」

  

  余裕を見せつけて、晴伸は自らも腰を使った。

  

  「くっ。これはたまりませぬ」

  

  主の淫さは小姓たちの想像の上を行っていた。

  

  「名高き武家の猛田家に生まれた男子、これくらいでなくてはな」

  

  武家の男子は、時折床での勝負に及ぶこともある。

  どのような決着であったかは口外されることは無いが、そこで男としての序列が決まることもしばしばある。

  武家の男子は何事も強く在らねばならぬのが掟なのだ。

  自ら昌行に腰を打ち付けながら、晴伸は煽った。

  

  「どうしたどうした? 俺を楽しませてくれぬと儀式に――毒気を抜くことはできぬぞ?」

  

  そう言う主に、昌行はさらに動きを速くしながらどこか感じる場所はないものかとあちこち突きまくってみた。

  ビクン!

  と、顔色は変わることは無かったが明らかに体が跳ねた瞬間があった。

  

  「ここ、か――」

  

  少し奥ではあるが、確かにプクンと膨れたような感触のある場所を突いてみる。

  

  「あ、う」

  

  それまで変化の無かった主の顔に快感と焦りの表情。

  昌行は得たり! とばかりにそこを責めまくり突きまくった。

  

  「よ、よせ! そこばかりを――」

  

  そこばかりを突かれてはたまらぬ、といった表情が晴伸の顔に浮かぶ。

  

  「どうしました、若様……どこぞお顔が女子のような感じになりましたが?」

  

  「う、うるさい! 黙って突きまくれ! そう! そこじゃ!」

  

  晴伸のその言葉のまま従う昌行。

  

  「く、くそう! たまらぬ! これだから男同士はたまらぬ!」

  

  女子はこんなことはしてくれないし、男同士でしか分からぬものがそこにはあった。

  男の体は男にしか分からない。男を責めるには男でしか分からない術があるのだ。

  

  「普段勇ましいことこの上もない若様が、このように女子のようなヨガリ顔に――」

  

  「い、言うな! 小っ恥ずかしいッ!」

  

  本来ならばこんな顔は影虎以外には見せたくなかった。

  だが、アヤツがおらんのだから致し方なし。

  そう自分に言い聞かせて、快楽のままに蕩け顔を晒した。

  

  「若様、今度は四つ這いになってくださいませ」

  

  そう言って男根を引き抜く昌行。

  素直に従って尻を突き出す晴伸。

  その眺めに、思わず感嘆のため息を漏らす二人の声。

  

  「壮観ですな……」

  

  「……若様の尻穴がポッカリと」

  

  源之介の昌行が口々に感想を呟く。

  

  「い、いいから早く俺の尻を犯せ!」

  

  命令しながら晴伸は尻を左右に振ってせがんだ。

  

  「まあまあ、待たれませ」

  

  急かす晴伸の尻穴を指で弄くり回しながら、昌行は焦らしに焦らす。

  穴の縁を指でなぞり、ゆっくりと奥に差し込んではプクリと膨らんだ男の感じるところを撫で回したり突いてみたり、軽く弾くように動かし手みたり――

  

  「は、早くせぬかッ!」

  

  さしもの晴伸もこれには堪らなかった。

  影虎との日々によって敏感にされてしまったそこは、源之介以上に男陰となっているのだった。

  

  「それでは、ご無礼つかまつる――」

  

  主を犬のように四つん這いにして犯すのは、さぞ興奮するのだろか。昌行の男根の先端からは透明な汁が溢れ出ている。

  それと同じように、自分の小姓に犬のように犯されるのは興奮するのだろう。晴伸の巨根の先端からも、透明な汁が溢れ出て床に大きな染みを作っていた。

  

  「勿体ない――」

  

  そう言って源之介が下に回って、晴伸の極太を咥えた。

  

  「あううッ」

  

  咥えられると同時に自分の中に侵入してきた昌行の男根が、正確に晴伸の感じる場所に当たる。

  

  「……良い具合のようですな――しからば」

  

  男でありながら、中に入られる快感で仰け反る晴伸のその様子を見てとり、昌行は最初はゆっくりと動き、徐々に速く強く激しくしていく。

  

  「あ、ああッ!」

  

  軽快で途切れない拍子で腰を振り、己が主の尻を犯していく昌行。

  その動きで晴伸の口からは、ヨガリ声が漏れるのを止められない。

  

  「ああ! たまらぬ! たまらぬぞっ!」

  

  「若様の尻穴のなんと極上なことかッ! これぞ極楽でございますッ!」

  

  「そ、そこじゃ! そこを突きまくれッ!」

  

  言われるままに腰を突き出し続けると、晴伸がそれに併せて腰を前後に動かして、さらに快楽を貪る。

  

  「淫乱淫乱! まっこと淫乱でございますなッ!」

  

  淫乱と罵る度に晴伸の尻穴がキツく締まって、昌行の男根を締め上げた。

  

  「お、おのれッ!」

  

  口の端から唾液をとめどもなく垂らしながら、晴伸は背中を仰け反らせて尻は肉棒を受け入れ、股間は小姓の口を犯す為に小刻みに動く。

  

  「り、両方同時は――うおッ!」

  

  両方同時はズルいぞ――と言いかけて、源之介が摘んできた乳首の快感が加わり、晴伸急激にのぼり詰めていった。

  

  「あ、そんな! ああッ!」

  

  込み上げてくるものはもう止められない。

  

  「イクッ! イッてしまうッ! ああ! 尻でイッてしまうッ! イクイクッ! イグぅッ!」

  

  そのまま源之介の口の中に大量に放つ。あまりに勢いが強かったのか、隙間から晴伸の精が漏れてきた。

  

  「ううッ! なんたる締め付け――ま、昌行も失礼して」

  

  そう言い放つと昌行は、全力で腰を晴伸の快感で震えている尻に打ち付け続けた。

  

  「た、たまらん! イキまするッ! 若様に種付け致しますッ! イクイクッ!」

  

  突然、天を見上げるようにして動きが止まった昌行は、声にならない声をあげて己の精のありったけを、主の中に注ぎ込んだ。

  

  「くっ……たんまりと[[rb:射精 > だ]]しおったの……」

  

  腹の中に広がっていく昌行の種の熱さが、かなりの量がることを悟らせた。

  

  「ふう……やっつけたはずの昌行にやっつけられてしまったか」

  

  「わ、若様も儀式が終わるまで一滴も零されますな」

  

  「当たり前だ。そんな勿体ないことをするものかよ」

  

  この当時は、強い男の精を体内に摂りいれることは、強さを受け継ぐこととされていて、男同士の交合いでは、相手の精を溢すのは不粋であった。

  

  「今度は私の精を受けてください!」

  

  晴伸の精を口で受け止めて、それを美味しそうに飲んでいた源之介が、今度は俄然張り切って晴伸の股間に回ってくる。

  

  「おう。綺麗な顔の男にヤラれるのは、なんとも言えぬ気持ちになるからな。しっかり努めよ」

  

  「是非もなきこと!」

  

  今度は仰向けにとばかしに晴伸を転がして、昌行と入れ替わりなる。

  

  「ああ、昌行どのの汁がうまい具合に滑りを良くして――た、たまりませぬッ!」

  

  ブルブルと全身を震わせながら、源之介が晴伸の中に入ってきた。

  

  「くうッ――武士然とした男に尻を犯されるのもたまらぬが、お前のような綺麗な顔の男に犯されるのは、もっとたまらぬな」

  

  源之介の顔に影虎の顔が重なっているのは、内緒である。

  

  「私は――若様のような屈強な男に無茶苦茶にされるのも、無茶苦茶に犯すのも、大好きでございます」

  

  そう言いながら、源之介がソロリソロリと動き始めた。

  源之介は多少早漏の気があって、気を抜いてはすぐにイッてしまう。

  それでは主――晴伸を悦ばすことができないので、最初は慎重に慎重に動かすのだ。

  

  「ケツも早漏で前も早漏なのが、可愛いからそれでも良いのだがなぁ」

  

  「な、なりませぬ! 他の小姓のように若様を男鳴きさせられなければ、この源之介、不甲斐なさで死にそうになりますッ!」

  

  そう言って毎回頑張るので、実は十分以上に愉しめている。

  ではあるのだが、煽ってやると益々気張る性分の源之介なのを晴伸は承知していて、それを利用した。

  

  「それそれ、突きまくれ! 俺の男陰を突きまくれッ!」

  

  そう言って淫に腰を左右上下にゆらゆらと動かす晴伸。その実、イヤというぐらいに感じているのだった。

  

  「そ、そのような淫な――若様、淫らにも程があります!」

  

  そう言って嗜めはするが、腰つきは悦でんでいる以外のなにものでもない源之介。

  

  「こ、これでもか! これでもか!」

  

  まさに晴伸を退治――やっつけるつもりかのような形相と勢いで尻を犯し続ける。

  

  「頑張れ頑張れ! もっと腰をふれッ!」

  

  平気な顔をしているが、半ば気を失いそうな程に、尻の中からものすごい快楽が体全体に広がっていく。

  

  「くッ!」

  

  晴伸の顔を真っ直ぐ見つめたまま、源之介の腰の動きが加速していった。

  

  (そ、そのような顔でこちらを見たまま、尻を犯されては――)

  

  そう思った瞬間、中から雷のように快楽が溢れ出した。

  

  「あ、ああ! あああああッ! げ、源之介ッ!」

  

  男ぶっていた分、崩れると一気に女に堕ちる。晴伸は、この若侍に女に堕とされる屈辱とその快楽に痺れた。

  

  「た、たまらぬ! たまらぬぞぉッツ!」

  

  ギュウっと穴全体で締め上げると、源之介の硬いモノの形がハッキリと感じ取れた。

  

  「さて、頃合いですかな」

  

  そこに休んでことを見ていた昌行が、ここぞとばかりに晴伸の乳首に吸い付いて舐め上げた。

  

  「あッ! よ、よさぬか??」

  

  「でも――良いのでしょう?」

  

  ニヤリとして晴伸の顔を見上げるそれが、雄そのものの、野生味を帯びた微笑みだった。

  

  「あ、ああッ! イクッ! 尻でイッしまうッ! 乳でもイクッ! 男の俺が、男にイカされてしまうッ! ケツが! ケツが! イクイクイクイクッ! イクゥゥゥゥッ!」

  

  「わ、若様! 私ももう――若様の中に! 若様に種を注ぎますッ!」

  

  そう叫んでグンっと腰を突き出して仰反る源之介。

  突然、温かいものが晴伸の中に広がっていく。

  

  「ああッ! 源之介の種汁が俺の中に! 極楽じゃ! これぞ極楽じゃ!」

  

  その瞬間、鍛えられて盛り上がった晴伸の胸――乳首を、昌行が軽く牙を立てて甘噛みした。

  

  「ああああああッ! 乳でイクッ! また乳でイッてしまうッ!」

  

  乳首の先から、まるで男根でイクような、尻でイクような、そんな鋭い快感が迸った。

  刹那、晴伸の乳からも白いものが飛び出した。

  

  「おおッ! 女子のように盛り上がって大きいばかりか、かように乳汁まで出すとは! ここまで淫乱な男は他にはおりますまいぞッ!」

  

  影虎とヤル時にも、これはよく揶揄われた。

  なので、影虎も乳が出るようにしてやったが。

  小姓たちにまでこのようなことになるのは初めてだった。

  

  「や、やはり初陣を控えて興奮が抑えられないのだな」

  

  「ならば、まだ毒気を抜きまするか?」

  

  「当たり前じゃ! 朝まで続けるぞ! 今度はお前らが俺の精を受け止める番じゃ! さっさとその尻を貸せいッ!」

  

  この夜晴信は、都合――源之介と昌行に八回づつ種付けされ、自分は二人に合わせて十回づつ種付けし、他にも飲ませたり飲んだり、顔にかけたりと散々やり尽くした。

  が――

  

  「くそッ! もう朝か! まだ[[rb:射精 > だ]]し足りぬと言うのに!」

  

  と叫んだとか。

  

  その日の朝、数刻後に、晴伸はいよいよ初陣として父伸ぶ虎に従軍して、海ノ口城に向かった。

  

  一方の影虎もまた、運命の歯車が急に動き出していた。

  

  「な、なに? 父上が病死じゃとッ?」

  

  越後の国平定まで今少しというところで、呆気なく父の訃報を届けられた影虎は、突然のことに固まったようになるしかなかった。

  

  「つきましては、兄上様――晴影様より、還俗するようにとの仰付けでござます」

  

  いずれは、とは考えてはいたが、あまりにも早すぎることに――いや、それよりもあの父が病死したことに、影虎は動揺を隠すことが出来なかった。

  

  「父上が、病死――」

  

  この世の有様である盛者必衰の理とは言え、あの壮健であった父が……。

  さすがに腰から崩れるようにその場に座り込む影虎。

  

  「私を認めることもなく……逝ってしまわれたか……」

  

  影虎の胸から深いため息が溢れてしまった。

  

  「若……」

  

  「……分かった……還俗いたす……この影虎が父上を送ろう……」

  

  武門の習いに従い、影虎は甲冑を着けて剣を持ち、父を見送った。

  兄晴影は力及ばず、越後の国の国政をうまく執ることが出来ず、内乱はあちこちで起こる。

  そんな中で、越後の豪族の一つが謀反を起こし、永尾家栃尾城に攻め込んできた。

  これを初陣として、影虎は戦うことになった。

  

  「我が手勢を二手に分け、一方を陽動、残りの一方を敵陣の背後から急襲させる」

  

  軍議の間において、影虎は自分の策を家臣たちに伝えた。

  

  「その混乱に乗じて本隊を突撃させて、これを壊滅に追い込む――」

  

  実に鮮やかな軍策に、家臣たちは唸り声を上げるしかなかった。

  その策はそのまま採用となって、皆が英気を養う為に寝静まった頃――

  天守閣から広がる光景には――進軍してきた豪族どもの軍の松明の群れが、眼下に広がっていた。

  

  「……明日には初陣か」

  

  不思議と怖くは無い。

  むしろ、天室禅師より教わった毘沙門天の加護が、自分にはあるものだという確信めいたものが、自分の心を静かにしていた。

  しかし――

  

  「……だがしかし、一人の男が恋しくて下半身が滾るとは。私もまだまだだな……」

  

  越後の国の夜風は身体に良くないが、その滾りが蒸気のようになって影虎の身体を包み込んでいた。

  

  「おやおや。初陣前で眠れないのでございますか?」

  

  どこに隠れていたのか真狗郎がいつの間にか背後に立っていた。

  

  「……真狗郎……すまないが、この滾りを鎮めたい」

  

  「では、いつものように口で――」

  

  「すまぬ……今夜はそれでは収まりそうにない……尻を貸してくれ」

  

  「おや。お珍しい……そちらはどちらかのお方の為に取ってあったのでは?」

  

  「……スッキリして明日の戦に集中できるようにしておきたい」

  

  「では、寝所に――」

  

  「ここでいい」

  

  影虎はそう言うと袴を下ろし始めた。

  

  「……へいへい。仰せのままに」

  

  そう言いながらも真狗郎は嬉しそうだった。

  きっと、心底傾倒して尊敬している若様――影虎に尻を使って貰えるのが嬉しいのだろう。

  そういう顔つきだった。

  

  「しかし、口で咥えるのもキツイ大きさのイチモツを、尻でとは――」

  

  「難しいか?」

  

  「いえいえ。これでも、嗜みとして男の味も知っております故。しかしながら、その大きさは初めてなだけでございます」

  

  「……私は少し、手荒いぞ? なにぶん、相手が相手だっただけに、そういうやり方を覚えてしまった……」

  

  「……覚悟致します」

  

  真狗郎も袴を無造作に下ろして、着物を捲って、柱に手を着き尻を突き出した。

  

  「いざ参られませ」

  

  「すまぬ……」

  

  片手でできるだけ己が穴を解し、ついで乳首を弄って気分を出して、呼吸を吐き出す。

  体の力を、とくに尻穴の力を抜かないと男同士の交合いは怪我の元になる。

  先端に玉ような露が浮かんだ極太の男根を、真狗郎の尻穴に当てがう影虎。

  ズブリ、と亀頭が押し入った。

  

  「こ、これは予想以上に――」

  

  大きい、と言いかけて真狗郎は息を飲み込んだ。

  あまり声を立てては、誰ぞに見つかるかもしれない。

  慌てて口を手で塞いだ。

  その間にも影虎がどんどん奥へと入ってくる。

  だが、不思議に痛みを感じない。

  口で奉仕することはあったが、頑なに尻を見る素振りすらなかった主に初めて犯される。 その喜びが勝ったのか――いや、それよりはこの竜の若様が上手いのだと悟った時には、それはもう一番奥まで届いていた。

  

  「こ、こんな――」

  

  若干、自分の腹が膨らんでいるように見えた。

  

  「……慣れたら動かす……申せ」

  

  「た、たまりませんので、もう動いてくださいませ」

  

  「それでは――」

  

  どうしてこの人は、一度も使ったことのない私の尻の良い場所を知っているのか?

  真狗郎はもう少しで女のようなヨガリ声をあげるところだった。

  パンパンパンと小気味いい音が連続で響いた。

  

  「あ、あ、あ――」

  

  「苦しいか?」

  

  そう言うと、影虎は動きを止めて、真狗郎の乳首を背後から摘んできた。

  

  「あ、そんな――」

  

  まるで何年も体を重ねてきたかのように、影虎は真狗郎の弱いところを的確に刺激した。

  肉棒と尻穴で繋がってから、僅かしか経っていない。

  だが、真狗郎はすでに自分が女に堕とされているこを悟った。

  

  「……真狗郎、あとで私の尻も犯して貰う故、女に堕ちすぎるなよ」

  

  耳元で低く囁く声が、真狗郎の背中をゾクゾクさせた。

  

  「わ、私めに尻を貸してくださるので?」

  

  「……そう言っている」

  

  再び動き出した影虎の腰の動きは徐々に激しくなっていった。

  

  (こ、これで女に堕ちるなとは、難しいことを言ってくれる――)

  

  確かに激しい犯しかただ。しかし、どこか丁寧で、しかも相手の弱いところを素早く探し出してそこを徹底的に責めるやり方。

  しかも押し引きの駆け引きが上手い。

  徹底的に弱点を突きまくったかと思うと、ワザとそこを外して静かにゆっくりと抽送を繰り返したりする。

  

  「お、あ、も、もっと――」

  

  「もっと――なんだ?」

  

  「――ッ」

  

  もっと男根を突き込んで欲しい、などとは言えなかった。

  それを口にしてしまうと、きっと後で男に戻れぬほどに堕ちてしまう気がしたのだ。

  そんな真狗郎の気持ちを察してなのか、再び影虎の腰の動きが激しくなる。

  

  「ああ!」

  

  影虎が真狗郎の尻を使ったのは初めてであるにも関わらず、真狗郎の全てを知っているかのような責め方動き方だった。

  明らかに遊び慣れている者の手練手管である。

  よほど想い人と肌を重ねていたのであろうことが、これだけでも分かった。

  鍛錬の賜物で、優美なれど筋肉で覆われているその体の、その力強い腰の動きは真狗郎の尻を突くたびにドスンドスンと重く鈍い響きを立てる。

  

  「な、並の男ならば、これは、男に戻れぬな――」

  

  真狗郎の息を弾ませながら途切れとぎれに吐く独り言が聞こえてくるが、構わずに影虎は犯し続ける。

  

  「お前は並ではないだろう? そうであろう?」

  

  「こ、こうして若にお仕え、致しておりますからな」

  

  「よし。ならば精をくれてやる。いつもの様に口からではなく、尻穴から中で受け取れ」

  

  「ぎょ、御意!」

  

  ますます激しくなっていく影虎の腰の動きに、全力で壁に手をついて押し返さないと潰されてしまいそうになる。

  それでも踏ん張っていると、いよいよその時がやってきたようで、まるで男根で中を殴るようにドン突きが繰り返された。

  

  「イクぞ――イクッ! むぐうッ!」

  

  人目を忍ぶので大声は上げられない。

  低く唸るようにして、影虎は己の精を全て真狗郎の中に叩きつけるように放った。

  その感触と熱さを感じ取った真狗郎もまた尻だけでイってしまった。

  

  「はぐぅッ! あ! あ! 尻でイクッ!」

  

  勢いよく飛び出した後、いつまでもボタボタと白いモノが床にこぼれ落ちていく。

  

  「……バカ者、これでは私の尻を――」

  

  犯せぬではないか――と皆まで言わせずに、いまだ硬く大きいモノを自分から離れて引き抜く真狗郎。

  そのまま何ごともあらんとばかりに、真狗郎は振り返った。

  そこにはまだ硬いままで屹立している陽根が、己の吐き出した精汁でテラテラと濡れて光っていた。

  

  「若の尻を掘れって良いとなれば、まさか一発ごときで萎えるワケがないでしょう」

  

  内心恋焦がれていた相手が、ただ排泄して鎮りたいだけ、とは言え体を開いてくれると言うのだ。

  男としてここは萎えるはずがなかろう、とその顔に書いてあった。

  

  「……うむ。ならば、好きにするがよい」

  

  真狗郎の意気に応えて、影虎は着物を捲って尻を晒し、さっきまで真狗郎がそうしていたように壁に手をついて尻を突き出した。

  永尾の家の者でも、禁欲的に過ぎると言われている男が、こうも情欲的であることを知っているのは、恐らく真狗郎だけだろう。

  

  「それでは、遠慮なく――」

  

  遠慮なく、とは言ったものの本音は遠慮などするつもりは最初から無かった。

  こんなことはきっと千載一遇の機会であろう。

  この戦が終わって越後が平定されれば、きっとこの人は想い人――きっとあの甲斐の国の虎の若様と仲睦まじく――

  

  「……少々、嫉妬で手荒くなりますのを許されませ」

  

  「嫉妬?」

  

  真狗郎は、己の放った精をいきり勃つ肉棒に塗して、ついでに影虎の穴にも塗して、ゆっくりと突き入れた。

  言った通りに荒々しく、多少強引にいきなり奥まで[[rb:侵入 > はい]]っていく。

  

  「むぐッ! ひ、他人の尻だと思って強引な――」

  

  「……このご様子ですと、もっと太くて大きなイチモツを挿れられたご経験があるようですな。ならば問題無いでしょう?」

  

  痛い、とは一言も言わない影虎の様子でそこを使われ慣れていることを察した真狗郎は、最初から激しく腰を振った。

  

  「あ、あ、あああ! し、真狗郎、少し手加減を――」

  

  「若に手加減を? 剣の稽古の時はそれでかなりのお叱り受けましたので、この真狗郎、若相手に手加減は致さないことにしております」

  

  昔、まだこの若様が影虎――虎千夜と呼ばれていた頃――稽古で手を抜いて相手をしたら、こっぴどく叱られたことを言っていた。

  

  「し、真狗郎、意外と根に持つのだな?」

  

  「永尾の家臣の中では、一番竹を割ったような者だと言われておりますよ」

  

  そんな軽口を叩きながらも、あちこちを突いて影虎の反応を探る。

  その時――

  ビクン、と体が反応する場所があった。

  無言のままだが、確かに反応した。

  試しにもう一度そこを突いてやると再び体全体が大きく跳ねる。

  

  「……ここでございますか」

  

  「……」

  

  無言であることが何よりも雄弁に真実を語っていた。

  真狗郎は俄然そこを突きまくった。突きに突き、ここぞとばかりに自分の主を責め続けた。

  

  「あ、ぐッ! おあッ!」

  

  壁に顔を向けているので表情は分からない。

  だが、きっといつもの凛々しい表情は無くなって、女のように蕩けたものになってしまっていることだろう。

  それを想像すると、真狗郎の腰の動きはますます激しくなった。

  

  「これだから――男とするのは……男を女に堕とすのは、やめられない――」

  

  そんな言葉も今の影虎には届いていないのか、女呼ばわりされたことに反発することもなく、低く抑えたヨガリ声を上げ続けているだけ。

  

  「しかし――なんとも言えない、見事な味わいの尻穴でございますな。まさに名器」

  

  真狗郎は、女とヤルよりも男と交合う方が好きだった。

  なので、あちこちで若い者どころか目上の者まで犯して遊んでいたが、これほど具合の良い尻は初めてだった。

  柔らか過ぎずキツ過ぎず、包みこむように締め付けるかと思えば、綿にでも突っ込んでいるかのごとき時もある。

  どこをどうしているのか知らないが、まるで舌が動き回っているかのような感触まであった。

  

  「極上――」

  

  まさにその一言に尽きた。

  

  「だ、黙って犯しておれッ」

  

  少しばかり影虎の声が裏返っていた。

  相当にヨいのであろう。

  ヘイ、一言だけ応えて真狗郎は黙々とその尻を犯し続けた。

  

  「あうッ! ああッ! はぐうッ! がッ! あああああッ!」

  

  突かれる度に理性が一枚一枚剥げていくのか、徐々に自ら腰を振り始める影虎。

  やがて、かくも淫乱だったことを隠していたのか、と問いたくなるほど腰を振って乱れていく。

  

  「もっと――もっと、だッ!」

  

  これ以上激しくしたら、イってしまう――だが、主命とあれば致し方なし。

  そう覚悟を決めた真狗郎は、最後の全力を注ぎ込んだ。

  

  「存分に種をつけさせて貰います故、お覚悟を!」

  

  今までに無いほど激しく動いて、影虎の中の、一番弱い場所を責めまくった。

  

  「た、たまらぬッ!」

  

  半分、イッているのか――影虎の未だ萎えていない男根の先から白いモノと透明な液とが混ざったものがダラダラと溢れ続けていた。

  もう幾分かすると影虎もそのまま尻でイクのが、影虎自身にも分かった。

  その背中がブルブルと震えるのを見てとると、真狗郎も影虎にトドメを指すべく腰を打ちつけた。

  

  「ああッ! イクッ! イッてしまうッ! 尻で! 尻でイクッ!」

  

  指一本自分の男根に触れても触れさせてもいなかった。尻だけを責めさせていた。

  女のように挿れられて、犯されて、イこうとしていた。

  その感触は普通に男根でイクよりも切なく、もっと奥深く、何もかもさらけ出して明け渡すような根本的な官能――快楽だった。

  

  (ああ! 本当なら晴伸にだけ――)

  

  だが、戦である。

  勝つ自信はあるが、負けない――死なないとは限らない。勝って死ぬ場合とてある。

  だから、戦の前には思う存分悦んでおかねば。

  想い人ではないにしても、思う存分。

  

  「い、イグぅッ!」

  

  尻の奥にある感じる場所から、まるで稲妻が疾るような感触が背筋を伝わって頭の芯にまで閃く。

  それと同時に自分の男根の先から、二発目だと言うのに勢いよく、しかも大量に白い精が飛び出していく。

  そのあまりの快感の強烈さの反動で、尻穴がギュウっと締まると、真狗郎の方もさすがに耐えられなくなった。

  

  「わ、若――」

  

  「な、中にだせッ! 中にくれッ!」

  

  「しからば失礼――イクイクイクッ! 種付けいたしますッ! 孕ませますぞッ!」

  

  自分でもビックリするほど放出しているのだろう。必死な表情と驚愕の表情が同居しているのが分かった。

  膝をガクガクとさせながら、それでも奥へ奥へと腰を突き出す。

  やっと動きを止めて影虎の背中に覆いかぶさるようにして、その体を抱いた。

  

  「ま、満足されたでしょうか?」

  

  「――このまま、本当に孕んでやっても良いくらい満足しているぞ」

  

  「……それはそれで、お家騒動になってしまいますな」

  

  二人ともクスクスと笑いだした。

  

  「……このまま二発目に入ってよろしいでしょうか?」

  

  未だに萎えないそれを影虎に突き刺したまま、小刻みに動かしておかわりを所望する真狗郎。

  

  「……では、もう一回……私もヤルぞ?」

  

  同じくまだ萎えていない大きなイチモツを揺らすようにして、腰を左右に振りながら影虎が答えると、真狗郎は再び腰を動かし始めた。

  

  「今度こそは、若を完全に女に堕としてみせましょうぞ」

  

  「ふん。返り討ちで私の男妾にしてくれるわ」

  

  二人は戦の前夜を、生きるために全力で生を謳歌するのであった。

  それが同等の者の愛、とは少し違った――単なる主従の関係のものだったとしても。

  

  

  終章 「生きた、愛した、戦った」

  

  

  「……まさか、影虎と戦うことになるとはな……」

  

  目の前には『毘』の旗が眼前いっぱいに広がっていた。

  

  「……こんなことになるとは……晴伸」

  

  『[[rb:疾如風徐如林侵椋如火不動如山 > 風林火山]]』の染め抜かれた旗が無数に蠢いていた。

  初陣からここまで、二人は運命に導かれるかの如くにここ、川中島までやってきた。

  上椙の家督を継いだ影虎は、今は上椙兼真と名を変えていた。

  『軍神』とまで言わせるほどの武将となって。

  かたや猛田の家督を継いだ晴信も今は猛田心玄と名を改めている。

  

  「……どこでこんなことに……いや、戦国の世にあってはこれも定めの一つか」

  

  心玄の信濃侵攻によって追われてきた小笠原長刻が、兼真に救いを求めてきた時から嫌な予感はしていた。

  一方、心玄も父を猛田の領地より追放した時から、運命が狂い初めていることをどことなく悟っていた。

  

  「まさか、俺たちが――ここで幼き日より共に遊んだ二人が雌雄を決することになるとはな……これは読めていたか、影虎?」

  

  遠く遠くに、想い人が甲冑を纏って座っているのが見えた。

  遥か遠くだというのに、その口元が動いているのが分かった。

  

  「……そうだな……あい分かった」

  

  言葉を交わさずともお互いに何が言いたいかを、自然と察することができたのだ。

  似たような境遇の二人だからなせる業なのであろう。

  その夜、睨み合いとなって動かぬ両陣営から、ひっそりと誰にも悟られずに馬に跨って出ていく影が一つづつ、合わせて二つあった。

  

  

  山奥の中に、誰にも気が付かれない道の外れの森の奥――一軒のあばら家があった。

  結構古くに作られたそれは、雨風をしのぐだけの簡素なものだった。

  そう、心玄と兼真が誰にも知られずに逢瀬を交わす為に幼き頃に二人で作ったあの小屋だった。

  そこに一人の男が馬に乗ってやってきた。

  

  「残っておったか……」

  

  あれから随分月日が経っている。

  人が居ない家屋というものは荒んでいくもの。

  幾分心配していたがそれは奇跡的に、まるで刻が止まっていたかのように、記憶に残っていたそのままの姿を止めていた。

  馬から降りた男が、月夜の光の中に姿を晒した。

  心玄であった。

  

  「馬を飛ばしに飛ばしてやってきたが……間に合ったようだな……」

  

  この場所は、心玄と兼真しか知らない。

  ここでなら――

  

  「少しばかり陣を抜け出るのに苦労しましたが、どうやら間に合ったようで……」

  

  背後からの声に振り返ると、そこには幼きころよりもさらに立派な武者姿になった兼真が立っていた。

  

  「おう。永尾虎千夜――いや、今は永尾兼真か」

  

  「上椙兼真です……猛田――心玄殿」

  

  「殿、はよせ。それにお前が俺より格式が上の上椙家を名乗るは癪だ。お前は永尾兼真でよい――なあ、虎千夜……」

  

  「まったく、あなたは……そんなにバカデカくなって猛田の家督を継いでも、昔のままなのですね? 猛田心玄――勝千世」

  「酒も持ってきてやったぞ。この前の塩の礼じゃ」

  

  「あれは卑怯なことが嫌だっただけです。それに塩を甲斐の国大量に売り捌いたので――実質、儲けた」

  

  「それでもあの塩が無ければ、今頃甲斐の国のの民草も俺も今頃あの世だ――こうして最後の逢瀬に来ることも出来なかったはずだ……」

  

  「……」

  

  「時間は十分にある……影武者に俺が帰るまで開戦するなと申し付けてある。後三日ほどは睨み合いを続けることだろう」

  

  「こちらも影武者にそのように。三日あれば存分に語り合えますな……」

  

  「語るだけか? 俺はヤリまくるつもりで来たのだぞ?」

  

  「……ヤルに決まっているでしょう……野暮なことを口にしないでください」

  

  「ふははっ。では、小屋の中に入ってまずは童心に戻るとするか」

  

  そう言って二人は小屋の中に入ってしまった。

  

  中に入ると、着けていた甲冑を――どころか着物も全て脱ぎ捨て、下帯も外して真っ裸になって、二人は向かい合って座り、その辺の器で酒を飲み始めた。

  甲斐の国で特別に戦の陣中で振る舞われる酒であった。

  かなり強い為に、痛み止めにも使われるほどのモノであった。

  そんなモノを二人はグビグビと飲み干していく。

  

  「仏門に入って出家したと聞いた時はアホかと思ったぞ? 俺とヤルのがイヤになったのかと」

  

  「いえ。少しばかりイヤになったのは事実です。なにせ伝え聞く話だと、あなたは何人もの小姓たちと仲良くしておいでと聞いたもので――」

  

  「あ、あれは……お前に会えぬから――」

  

  「なんと? 私の代わりに小姓たちを抱いて抱かれてをしていたと? ふしだらな」

  

  「なんだと? お前こそ真狗郎とか言う俺に似た小姓を傍に置いているそうではないか? どうせ俺とお同じことをしていたのだろう?」

  

  「……酒が不味くなります。話題を変えましょう」

  

  「あ、ズルいぞ」

  

  そんなやり取りをしながら酒を酌み交わす二人。

  床こそなにも敷物すら無い板間ではあるが、雨風がキッチリしのげるように作ってあるせいで寒くも暑くも無かった。

  月の灯りだけが小屋の中を照らす。

  

  「父が亡くなった辺りから人生の潮目が変わってしまった気がします……まさか恋しい男と戦で殺し合いとは……」

  

  「俺も父上を追放した辺りからだな……言うてもせんなきことだが、こんなことになってしまうとは……」

  

  お互いの視線が絡み合い、自然に横になっていく。

  

  「この三日間を終えたら、後は殺し合いだな」

  

  「戦国の習わしです。仕方ありません」

  

  「うむ。残り三日――寝ずに酒を酌み交わし語り明かし、そしてヤリまくるぞ。玉が空になっても続ける、竿が擦り切れても続ける、穴が腫れあがっても続けるぞ……」

  

  「そのつもりで来ました。異存はありません……」

  

  そこまで告げると、二人は唇を重ねた。

  互いの舌をこれでもかと貪り合う。

  二人はお互いが初めて会った時の名前で呼び合った。

  

  「虎千夜……相変わらず、乳首が感じるようだな……」

  

  既に硬く小さく勃っているそれを、優しく指で転がしながら心玄――勝千世は囁いた。

  

  「それはあなたこそ――いや、小姓どもに弄り回されていた分、もっと感じるようになっているようだ……」

  

  「それを申すな……お前恋しさのあまりのことだ。お前こそどうなのだ? 巷の噂では女も抱かぬ、小姓にも何もせぬ『聖将』だとか言われておるぞ?」

  

  「愚かなことを……あなた恋しさを紛らわしていたに決まっているでしょうに。似ている小姓を選んだのですから、当然ですよ」

  

  「その綺麗な顔で欲が強いのは変わっていないようでなによりだ」

  

  そう言って勝千世は、虎千夜の乳首を強く摘んだ。

  

  「んあッ」

  

  少し強めの具合いの方が、この綺麗な顔が快楽に歪むのを知っている勝千世は、なんともいえないニンマリとした顔をした。

  

  「お前が――乳首を少し強い具合いに扱う方が好みなのは、まだ俺だけが知る秘密か?」

  

  「……慰めに体を開いている小姓も、このことは知りませんよ」

  

  虎千夜のその言葉を聞いた勝千世は、満足気に頷いてそのまま乳首に吸い付いた。

  

  「んんんッ!」

  

  何年振りかの逢瀬であったが、虎千夜の弱い場所と悦ぶ責め方は変わってはいなかった。

  

  「くッ」

  

  虎千夜は、クラクラするほどの快楽の中で勝千世の好きな責め方を震える手で行った。

  乳首の一番先端を触れるか触れないかで優しく、手のひら全体で転がす。

  

  「あぐッ!」

  

  悲鳴にも似た声が勝千世の口から短く小さく漏れる。

  

  「ば、馬鹿! 乳首を甘噛みしてる時にそんなことしたら――もし噛み切ってしまったらどうする?」

  

  「あなたがそんなヘマするワケ無いでしょうに」

  

  勝千世の盛り上がった胸の筋肉全体を撫で回すようにして、その乳首を転がす虎千夜。

  

  「ああ! このやり方は誰にも教えなかったぞ!」

  

  「当たり前です。このやり方をあなたにしていいのは私だけなのですから」

  

  それから胸を揉みしだき、そのまま手を下ろしていき、勝千世のいきり勃ったモノまで下ろして強く握った。

  

  「これをどれだけ待ち望んだことか……相変わらずバカでかい……」

  

  「……お前のとだいたい同じような大きさだ」

  

  「いえ、私のが少しだけ太いです」

  

  「なッ? 俺のはお前のよりも長いぞ??」

  

  「なら、証明してくれますか?」

  

  勝千世を押し倒すようにして、虎千夜はその上に跨った。

  そして、そのイキリ勃ったモノを自分の尻穴に押し当てさせた。

  

  「ずいぶん早いの……そんなにこれが欲しかったか?」

  

  「……長さを証明しろと言ってるだけです」

  

  そう言われて、勝千世は腰を動かして虎千夜の中に自分のイチモツを押し込んでいった。

  

  「あ、ぐッ! やっぱり太い……」

  

  それほど変わらぬ巨根同士。しかし男とは変なとこで見栄を張る生き物であった。

  子供の頃の素直な心に戻ってもそんなところは変わらなかった。

  

  「好きだろ? この太さ……」

  

  「ああ、上反りしていてたまりませぬよ」

  

  ズズズっと勝千世の巨根が虎千夜の尻穴の中に入っていく。

  

  「ひ、久しぶりだと言うのに強引な……」

  

  「昔、この尻は俺のモノだと誓ったではないか? 今でもそうなのであろう? だったら好きに使わせてもらおうか」

  

  「誓いましたが、私の尻なのですよ? もっと大事に――」

  

  「大事に大事に――これから極楽を見せてやろうと言うのだ」

  

  勝手知ったるとばかりに、勝千世はゆっくりと、しかし一気に奥の奥まで突き入れた。

  

  「んあああああああああッ! お、奥まで届くッ!」

  

  虎千夜の一番感じるところまで到達すると、一呼吸つくまで動きを止めた。

  

  「どうだ? ここまで届くヤツはおるまい?」

  

  その言葉に、既に余裕が無いのか無言で首を縦に振る虎千夜。

  欲しかったモノが欲しかったところに届いたおかげで、体が小刻みに震えるほどに歓喜していた。

  その様子に――下から様子を窺っている勝千世が訊いた。

  

  「そんなに欲しかったのか?」

  

  無言のままで首が二回縦に振られる。

  

  「ふむ。では、長さの証明はできたようだな。ならば動かすぞ」

  

  感極まっていてすぐに尻でイッしまわないように、確かめながらゆっくりと動かしていく。

  実のところ、自分もまた感極まっていてすぐにイッてしまいそうになっているので、ゆっくりから始めないとなのだが。

  

  「あ、あ、ああ!」

  

  奥まで突っ込んでいたものを一度完全に引き抜ける直前まで引き抜いて、また再び奥まで突き込む。

  この一度だけで目も眩むほどの快感が生じて、虎千夜は漏れてしまう声を抑えることが出来なかった。

  確かに、長いのである。

  太さも自分の男根とそう変わりはないから、出し入れだけで相当の深い快感が味わえてしまうのだ。

  

  (た、単に想いがあるからというワケではない――たまらなく相性がよいのだ)

  

  実際には虎千夜は、勝千世以外には真狗郎ぐらいしか男を知らない。

  だがそれでも、勝千世の男根と自分の尻との相性の良さが最高なのだと、本能的に察していた。

  一方、勝千世もまた自分の男根と虎千夜の尻との相性の良さに内心驚きを感じていた。

  

  (わ、分かってはいたが――他の男とは比べものにならない程の相性――いや、これは名器と言うべきなのか)

  

  徐々に動きを速くしていき、数年振りの想い人の尻を犯していく。

  その肉のあまりの快感に、犯している自分が逆にヒーヒー言いそうになっている程の快楽だった。

  

  「ひ、久しぶり故ゆるりといこうか。時間もまだあるしな」

  

  イキそうになっているのを、そう言い訳して一度動きを止める勝千世。

  

  「そ、そうですね。慌ててヤルだなんて子供みたいですしね」

  

  危うく尻でイキかけていたのを、動きを止めてくれたお陰で回避できた虎千夜も、作り笑顔で応えた。

  一呼吸おいて、上に乗っていた虎千夜は仰向けになって大股を開く。

  そこに再び勝千世が挿入して、抽送を開始した。

  ガチガチに硬くなった男根が尻穴を出たり入ったりを繰り返す。

  

  「た、たまらぬなぁ」

  

  心底たまらないという顔と声をさせて、勝千世は腰を動かして虎千夜の尻を犯し続けた。

  

  「たまらない――ほ、本当にたまらないです」

  

  目を硬く閉じて両手で勝千世を抱きしめながら、虎千夜は心の奥から快感を感じていることを伝えた。

  

  「やはり想いの相手とヤル方が途方もなく良いのぉ」

  

  「……それでも小姓とヤルのは止められないでしょう、あなたは」

  

  「あ、アレらは……単なる挨拶のようなものでだな――お前、そんなに嫉妬深かったか?」

  

  「どうでしょう? それよりも、ほら、腰が止まっていますよ!」

  

  まるで急かすように腰を振る虎千夜に、勝千世は驚いた。

  

  「淫乱なのは知っていたが、その淫乱さに磨きがかかっておらぬか、お前?」

  

  「さ、寂しい時間が長かっただけです!」

  

  腰を尻に打ちつけながら、勝千世がくくくッと笑った。

  

  「な、なにがおかしいのです?」

  

  「いや、すまない。こんな時間をどんなに焦がれていたかと――それが自分だけではなかったと思ってな」

  

  ますます激しく速くなっていく腰の動き。それに合わせるように虎千夜も尻を振った。

  

  「ああ! ち、乳も、乳首も摘んでください!」

  

  お互いの最初の絶頂がもう少しでやってくるのが分かった。

  されたかったことを素直に口にする虎千夜。

  

  「俺に尻を犯されがら、乳を弄られたかったか?」

  

  込み上げてくるものが大きすぎて声が出なくなり、虎千夜は首を縦に振って応えるしかなかった。

  

  「俺の種が欲しかったか?」

  

  またしても無言で首を縦に振る虎千夜。

  

  「俺もお前の中に、存分に[[rb:射精 > だ]]したかったぞ」

  

  勝千世の顔がだんだんと上気して紅くなっていく。

  もうすぐ達してしまう前触れだった。

  

  「よし! イクぞっ! これから終わるまで俺が注ぎ込む種汁は終わりまで一滴も溢すでないぞッ!」

  

  そう言うと、勝千世の腰の動きがいよいよという速さになって虎千夜の尻に打ち付けられた。

  

  「イクぞッ! イクッ! イクイクイクッ! イクぞぉッ! ふぬううううッ!」

  

  まるで内臓まで飛び出てしまったかのように感じるほど大量に放って、虎千夜の中を汚し満たしていく。

  あまりの快感で、腰をピッタリと尻に押し付けたまま、背中を仰け反らしてピクピクとしている勝千世は、気をしっかりと持っていないと気を失いそうだった。

  そこまでの快感であった。

  

  「し、尻で――尻だけでイクのがこんなに気持ちイイだなんて……」

  

  一方の虎千夜もまた、腹の中に精を放たれると同時に尻だけで達してしまい、大量に噴き出して、自分の腹と言わず胸と言わず、顔も、頭の向こうまでもその精で汚していた。

  その胸の上の白い汁を手で掬い取って、勝千世は自分の口に運んだ。

  舌で舐めとり、ウットリとした表情になる。

  

  「ああ、こればかりは恋しい相手のもので無いとやる気にはならん……旨い」

  

  「……後からお好きなだけ口から直に飲ませてあげますよ」

  

  「当然だ。お前の精は全部俺のものだからな――お前の小姓からも取り立ててやる」

  

  「呆れた」

  

  二人は大笑いしながら、位置を変えた。

  

  「今度は俺がお前の女になる番だな」

  

  「あなたのような野蛮な人を女に堕とすのは、本当に大好きですよ、私」

  

  再び口を吸い合い、唾液で繋がったままで離れていく。

  

  「お前のは本当に太いから――俺の尻を壊すなよ」

  

  「その尻は私のものなので好きなように致します」

  

  キッパリ言い切った虎千夜。

  勝千世の太い脚をを持ち上げて開かせながら、言葉を繋げた。

  

  「――それに、遠回しにご自分のモノを太いと申しているので? 確かにそう変わりませんが」

  

  「単純に、小姓たちにそんなバカでかいイチモツを持ったものがおらんかったから、一応ゆっくりやれと言っておるのだ、馬鹿者」

  

  そうこうしているうちに、勝千世の尻穴にその巨大な亀頭が押し当てられた。

  

  「ではゆっくりと――いきますよ?」

  

  一発[[rb:射精 > だ]]して落ち着いている為、さっきにようにすぐに達してしまうようなことは無いだろう。

  これからが本番なのだ。

  本当は欲しくて欲しくて仕方なかったのだろう。ヒクヒクと動く勝千世の穴。

  そこにに自分の極太を埋め込んで、次第に奥に入っていく。

  

  「――侵略すること火の如く、ってあなたの十八番をやったら壊れそうなほどに堅く締めつけてきますよ」

  

  きっと無意識にやっているのだと察して、ワザと様子を伝え聞かす虎千夜。

  

  「う、うるさい! 黙って入ってこいッ!」

  

  言われるままに押し込んでいくと、やがて全てが飲み込まれて、虎千夜の巨根の根元が勝千世の尻へとピッタリとくっついた。

  

  「やはりこの穴の方が――イイ……」

  

  しみじみと呟く虎千夜は、感動しているようにすら見えた。

  

  「真狗郎とか言う小姓の穴と比べているのか? あんなのと俺の穴とは比べ物にならんだろ?」

  

  「……戦にあっては常道ではありますが、お互いに間者を送るのは止めましょう……」

  

  「う、うむ」

  

  そう言うと虎千夜は、久しぶりに想い人の尻の味を楽しむように、ゆっくりと腰を動かし始めた。

  

  「ああ! やはりこの竿は最高じゃッ! たまらぬッ!」

  

  「この穴の感触……これがどんなに恋しかったかッ!」

  

  二人は我を忘れて行為に耽った。

  ただただ犯す。ただただ犯された。

  

  「おわッ! ひッ! あひいッ!」

  

  虎千夜の極太のモノが出し入れされるたびに中がゴリゴリと刺激される。それはもう極上の快感と化して勝千世を乱れさせた。

  

  「た、猛田の大将の俺が――敵に、敵の大将に尻穴を犯されて、感じて、いるッ!」

  

  どんな妄想に耽っているのやらと思いながらも、虎千夜はその妄想に乗っかってやった。

  

  「敵大将どころか、足軽にまで輪姦されてしまいますよ? 負ければ我が軍総出で輪姦して差し上げます」

  

  「あ、あうううッ! そ、そんなッ!」

  

  「どうしました? [[rb:輪姦 > まわ]]されたいのでしょう?」

  

  「ま、輪姦されたいが、負け戦は、イヤじゃ!」

  

  「贅沢ですね……ならば、勝ってから輪姦されたら良いでしょう」

  

  そう言いながらソロリソロリと男根を抜き始めた虎千夜。

  

  「ば、バカ! ここで止められたら気が変になってしまうッ!」

  

  「……ではせめて、これからどうして欲しいかくらいは、その口で仰しゃいませ」

  

  もうすぐ完全に抜け出てしまう直前で、虎千夜はそのまま止まってしまった。

  しばらくそのまま身動ぎすらせずに、勝千世の言葉をじっと待つ。

  

  「……かせ」

  

  「なんと?」

  

  「……犯せ、と申した」

  

  「誰を?」

  

  「お、俺に決まっておろうッ!」

  

  「はて? あなたは男なのでは? 男の私が男のあなたを犯せと?」

  

  「く、くどい! 犯せと申しているッ!」

  

  「あなたのどこを犯せと?」

  

  「お、お前――意地の悪いにも程があるぞッ??」

  

  「どこを犯せと?」

  

  もう泣きそうになっている勝千世の言葉を無視して、虎千夜はあくまで冷静に訊いてきた。

  その喉がゴクリと鳴る。

  実際のところは、虎千夜も我慢の限界寸前なのだ。。

  

  「……し、尻を! 俺の尻の穴を犯せッ! これで良いかッ?」

  

  辛抱堪らなくなって先に言葉にしたのは、勝千世であった。

  その瞬間、虎千夜は一気に奥までその男根を打ち込む。

  

  「が、があああッ!」

  

  「もう少し早く素直になりなさい……待っているこちらも堪らない」

  

  後はドスドスと鈍い音を立てながら、腰を動かし続ける。

  それに合わせて尻が振られた。

  

  「な、中がッ! 中がたまらぬッ!」

  

  「ええ、中がなんとも極上な感触です」

  

  どのくらいそのまま繋がっていただろうか。

  何度か位置と体位を変えながら、それでも一度も離れたりはしない。繋がったままだった。

  

  「こ、このままずっとこうしていたいのでずが、流石にもうイキそうです」

  

  一時も動きを止めなかった虎千夜は、そろそろ絶頂を迎えようとしていた。

  

  「お、俺も尻が、尻だけでイキそうだッ! このまま尻だけでイカせてくれッ!」

  

  その言葉で、虎千夜は猛然と腰の動きを速くして勝千世を犯した。

  

  「はぎいいッ!」

  

  すでにイキかけているのだろう。

  勝千世の男根の先からは白いモノがチョロチョロと何か別のモノに混ざって漏れてきた。

  

  「……まさか、猛田の大将が尻を掘られてお漏らしですか?」

  

  「う、うるさい! 出てしまったのだ!」

  

  その言葉に、虎千夜は思わず嬉しすぎて勝千世の首筋に甘噛みしてしまった。

  

  「ああッ!」

  

  「このまま――女に堕ちてイキなさい……私もそのままイキますッ! イクッ! イキますッ!」

  

  ドスン!

  

  という最後の一際強くて大きな突きが、勝千世の奥まで届いた。

  そこは、他の誰も――虎千夜の男根だけが届く場所――勝千世しか犯せない、汚せない場所だった。

  

  「そ、そこが一番感じ――い、イクッ! イグうッ! 尻で! 腹の中で! イグッ! イグうよぉッ!」

  

  腹の中で虎千夜が精を撒き散らしているのを感じながら、今度こそ混じり気無しに勝千世は尻だけでイッってしまった。

  いつまでも精を放ち続ける虎千夜の男根が、ビクンビクンと蠢くのに合わせて、勝千世もまた精を放ち続けてビクンビクンと男根を跳ねさせた。

  

  「……阿呆みたいに[[rb:射精 > で]]ますねぇ」

  

  「お、お前こそ!」

  

  一瞬、二人はお互いの眼を見つめ合って止まり、次の瞬間爆笑した。

  

  「相変わらずの量ですね」

  

  「お互いにな」

  

  笑いながら虎千夜が萎えないままのそれを引き抜くと、ポッカリとして開いたままの穴がそこにあった。

  

  「溢したらいけませんよ」

  

  「誰が溢すか――我が陣まで抱えていくに決まっておろう。お前だってそうだろう?」

  

  「当たり前です」

  

  それを聞いて勝千世は、思い切り力を込めて開いた穴を、なんとか一滴も溢すことなく閉じることに成功した。

  

  「どれ……一休みしながら酒でも飲むか」

  

  そう言って二人は一旦盃を酌み交わすことにした。

  

  

  酒に、持ってきた碁石を――昔、床に小刀で線を引いて描いた碁盤の代わりにした線の上に乗せながら、二人は全裸で対局していた。

  

  「……乱暴がさつでいて、結構教養人なのがあなたの面白いところです」

  

  「なーに、単なる嗜みよ。なんでもこなせぬと舐められるでな」

  

  「武士は舐められたら終わり、ですか」

  

  「お前のところだとて同じだろうに」

  

  「……まさしく」

  

  時折の言葉以外では、パチンパチンという音だけが響くが、二人の顔は実に楽しそうであった。

  またパチンと音がなる。

  

  「……お前はあれだな……『軍神』とか言われる割には、碁の策は――直情的だな」

  

  「あなたこそ――性格と違って色々策を巡らす……」

  

  パチン

  

  「ふん……色々とやらねばならぬだけよ。毘沙門天の生まれ変わりとは違っての……お前ほどあちこちの武士に頼られている者は他におるまい」

  

  パチン

  

  「……私はあなたこそが、この戦国の世にあって私の一番の脅威だと思っています……」

  

  「ふん……そうであろうとも」

  

  パチン

  

  「よし……俺の勝ちだ! 『軍神』永尾虎千夜羽討ち取ったりッ!」

  

  そう宣言してニカっと笑う勝千世に、呆れ笑いの顔を向ける虎千夜。

  

  「今は――上椙、上椙兼真です」

  

  「俺の前では永尾虎千夜だ。上椙の名は――認めぬ」

  

  そう言って唇で虎千夜の口を塞いで、再び床に押し倒した勝千世。

  

  「二回戦、開戦だ」

  

  「おう――参られよ」

  

  今度は最初から勝千世が、虎千夜の上から跨った。

  腰を徐々に降ろしていき、その極太のモノを尻で咥え込んだ。

  

  「さすが『軍神』……馬にしても極上の乗り心地」

  

  「お互い『馬並み』だから存分に楽しめます」

  

  そう言うと虎千夜は下から突き上げた。

  

  「はあッ! もう尻も十分解れたというのにまだ腹の奥に響くッ!」

  

  「解れていますが、なんとも極上な締め付け具合いッ!」

  

  しばらくそうしていると、勝千世は自分の尻からそれを引き抜いて立ち位置を変え、今度は虎千夜の両脚を持ち上げた。

  そのまま一気に突き込む。

  

  「ぬおッ!」

  

  「お前こそ、あんなに責めてやったのにこの締め付け様はなんだ? これ以上に具合いの良い尻はないぞ??」

  

  最初からドスンドスンと全力で突き込むことを繰り返し、イキそうになる直前で引き抜いて、虎千夜の横に四つん這いになった。

  それを心得たとばかりに、虎千夜が背後に回って、一気に突き入れる。

  掘って掘られて、犯し犯されてを立て続けに繰り返す。

  

  「ああ! たまらぬ! 気がくるいそうにたまらぬ! 気持ちイイッ!」

  

  「こ、これほどに良いのはあなたしかおりませぬッ! 本当に気持ちイイッ! 前も後ろも極楽ですッ!」

  

  四つん這いの勝千世を犯していた虎千夜が、今度はその横に四つん這いになった。

  

  「お前もか! よい!」

  

  すぐに膝立ちになって、さっきまでの自分のように虎千夜を犯す。

  

  「ああ! そんな奥までッ!」

  

  「奥を掻き混ぜてくれるわッ!」

  

  勝千世は腰を密着させて『の』の字を描くように腰をくねらせる。

  

  「そ、そんな奥をそのようなッ! き、気がくるうッ!」

  

  一番弱い場所を直接野太いモノが動き回って、虎千夜は頭を抱えた。

  それほどの快楽が生じていた。

  グルングルンと大きく掻き回した後でドンドンドンと大きく突きまくり、今度はヨガリ声をあげていた虎千夜の横に仰向けになって、自ら両脚を持ち上げて大きく開く。

  もはや言葉は要らなくて、無言で場所を入れ替えて勝千代の晒した尻穴に一気に突き込んで、そのままガスガスと突きまくった。

  

  「ご、極楽! 極楽とはまさにこのことッ!」

  

  「ええ! 極楽ですともッ!」

  

  ただの掘立ててある荒屋の中は、二人にとっては極楽そのものになっていた。

  いや、お互いの体――存在が極楽そのものであった。

  

  「今度は――しゃぶってください」

  

  そう言って引き抜いたものを勝千世の目の前に突き出す。

  それを愛しそうに咥えると、喉の奥まで飲み込んで、そのまま締め付けながら首を前後に動かした。

  

  「はあぁぁぁぁッ! たまらない!」

  

  勝千世の後頭部を押さえ込んで、力を込める。

  咽せることもなく咥え続けるその姿がたまらなく愛おしかった。

  

  「わ、私もあなたのモノを――」

  

  そう言って体勢を入れ替えて、勝千世のイキリ勃ったままの巨根を、同じように喉の奥まで咥え込む。

  しばらく二人の舌と唾液ののたうつ湿った音だけが小屋の中に響き続けた。

  

  「だ、ダメだ! もう尻に欲しい! 尻を犯してくださいッ!」

  

  最初に辛抱できなくなったのは虎千夜だった。

  仰向けになって両脚を持ち上げて、さっきの勝千世のように大股を開いてヒクヒクしている穴を晒す。

  

  「おう! 俺ももうお前の尻を犯したかったとこだッ!」

  

  もはやソロリソロリとなどしなくても良くなった尻穴は、それでも極上の味わいであった。

  

  「た、たまらぬッ! 穴どころか中全部で締め上げよるッ!」

  

  男根を突き入れているのか、男根を中の肉全体で包み込まれているのか。

  ワケがわからない程の快感の中で、勝千世はとにかく腰を振った。

  

  「入ってくるッ! こんなに奥まで入ってくるッ!」

  

  勝千世以外には届かない場所が、まさに勝千世の男根によって突きまくられて、犯されていた。

  

  「お、俺のはよかろう?」

  

  気を張っていないと意識がどこかに飛びそうな快感の嵐の中で、勝千世はそれでも余裕ぶって虎千夜に訊いた。

  

  「た、たまりません! すごくイイッ! 私の、私の尻はどうですかッ?」

  

  「最高じゃッ! これほどの尻は他には無いぞッ!」

  

  そう言いながらグルンと横に転がって、今度は虎千夜が相手の尻に男根を突き込んだ。

  

  「ぐあああああああッ!」

  

  「わ、私のはどうです? よいでしょう?」

  

  奥まで、虎千夜しか届かない場所に突き込み、そのまま小刻みにドドドッを素早く動かして犯した。

  

  「た、たまらぬ! 最高じゃ! こんな肉棒はお前しかおらぬッ! ここまで俺を狂わせるのはお前以外におらぬッ!」

  

  互いに誰も届かない程の奥の奥を犯しながら、体を入れ替えてはまた犯した。

  そうやって犯し犯されを延々と繰り返す。

  

  「な、何発めだ?」

  

  ふと、勝千世が訊いた。

  

  「な、中でかれこれ十発は――尻でイクのは……ずっとイキ続けるので数えられません……」

  

  「俺もお前の中で十二発、尻でイカされたのは――俺も数えられない」

  

  男としてイッた数は数えられても、女にされるとずっと尻でイキ続けるので数えられない。

  二人はそれでも延々とイキ続けた。

  互いの中で。

  互いに尻で。

  

  「ど、どのくらい時間が経った?」

  

  かなりの時間交合い、酒を飲み、話に耽り、また交合った。

  それこそ一睡もせずに。

  お陰で勝千世は時間の感覚がおかしくなっていた。

  

  「さ、三日めの朝がやってきます――」

  

  さすがにしっかりと陽の上がる回数を数えていた虎千夜が答えた。

  

  「で、では互いに中で残りの全てを吐き出して、終わりとするか」

  

  「そ、そうしましょう」

  

  まずは勝千世が、虎千夜の尻穴に一気に突き込んでそのままの勢いで犯した。

  

  「ああ! 今までの俺の汁でもうグチャグチャになって――こんな極楽は他に知らぬッ!」

  

  信じられないほどの快楽が己の男根から脳髄へと奔り抜けていた。

  ジャブジャブと音を立てて隙間から精が溢れて尻を伝って床に落ちていく。

  

  「ま、まだ硬い! こんなに射精したのにまだ硬い! 気持ちイイッ!」

  

  突き込まれるたびに尻でイキ、男根からは精を吹き出し続ける虎千夜。

  それを見ながら、とうとう最後の雄としての行為の瞬間がやってきた。

  

  「イクぞッ! 最後にタップリと射精してやる! 種付けしてやる!」

  

  その宣言にさらに大股を開いて応える虎千夜。

  

  「こいッ! 思う存分[[rb:射精 > だ]]しませッ!」

  

  尻でイキ続けて精を撒き散らしながらも、勝千世に応えた。

  

  「イクぞッ! イクイクッ! イッてしまうッ! イクぞぉッ! があああああああッ!」

  

  大きな雄叫びを上げながら、勝千世は虎千夜の中に精を放った。

  

  「私もイキますッ! 尻でイクッ! ああッ! 尻でイッてしまうッ! イクイクイクッ!」

  

  同時に虎千夜もまた決定的に尻でイキ、大きく大量に精を放って自らの体どころか、覆いかぶさるようにしている勝千世の体も汚した。

  しばらく繋がったまま動きを止める二人。

  そして、体全体を上下させながら荒い息をしている勝千世を横に倒して、体勢を入れ替える。

  

  「……大丈夫ですか?」

  雄としての全力――全てを出し切り、自分にぶつけて中に放ってくれた相手に、労いの言葉をかける虎千夜。

  

  「つ、次はお前の番だな」

  

  勝千世は荒い息をしたまま、両脚を抱えるようにして持ち上げた。

  

  「最後はその綺麗な顔を見ながら犯されて、尻でイキたい……」

  

  「……私もあなたの漢らしい顔を見ながら犯して、中に放ちたい」

  

  そい言うと虎千夜は、未だに萎える兆しもない自分の硬くて太いイチモツを、一気に勝千世の中に侵入させた。

  

  「あ、あんなに精を漏らしておって、まだこんなに硬いのか――」

  

  「あなたのあんな淫らな姿を見ていたら、全然萎えることなく――」

  

  中にある自分の精が、ネットリとイチモツに纏わりつき、さらには勝千世が全力で包み込むように締め付けるので、動かすたびに気が遠くなるくらいの快感が生じていた。

  

  「こんな――こんな極上の穴……永遠にヤリ続けられる気がする……」

  

  仰け反りながら腰を突き入れ、ほぼ全て抜き出してまた全部突き挿れる。

  そんな強烈な突き込みの連続を受けながらも、勝千世は先ほどの虎千夜同様、尻だけでイキ続けて盛大に精を撒き散らし続けた。

  

  「ご、極楽だ! こんな極楽は他にはないッ!」

  

  徐々に速まっていく虎千夜の腰の動きは、ますます尻の快感を引き出していく。

  

  「ひ、ひいッ!」

  

  あまりの快感で、とうとう勝千世が半ば泣き声のようなヨガリ声をあげた。

  

  「ああ、あなたのような漢が、そのような淫ら極まりない声をあげたら――も、もうダメだッ!」

  

  絶頂を抑えることができない虎千夜は、とうとううち放つ為の速さで腰を動かした。

  

  「ああッ! イクッ! 尻でイクッ!  イッてしまう!」

  

  「わ、私を見てくださいッ! 私を見ながら女のように尻でイクのですッ!」

  

  乱れまくる勝千世にそう命令する。

  それに応えて勝千代が視線を絡ませると、虎千夜は満足気に微笑んだ。

  

  「そ、それでいい。それで――」

  

  射精直前の腰の動きが延々と続いた。

  しかし、それも永遠には続かない。

  

  「ああ! イキます! イキますよッ? あなたの中に全部[[rb:射精 > だし]]ますッ!」

  

  「こ、こい! 俺の中に全部射精してしまえッ! 俺の尻でイッて全部ぶちまけてしまえッ!」

  

  ドスドスドスっと続いていた肉のぶつかる鈍い音が、突然止まった。

  

  「イクッ! イクイクッ! ああ! イクッ! 全部あなたの中に! イクぅッ!」

  

  「ああ! 俺の中にお前の全部がッ! がああッ! 尻でイクッ! 尻でイッてしまうッ! イグよぉッ!」

  

  大量に中でイッているのが、放っている本人にも放たれている者にも分かった。

  そして、勝千世は尻でイキ、これでもかというほど大量に精を撒き散らし、それは小屋の天井にまで届いて汚した。

  それが滴り落ちてきて、二人の体全体を汚した。

  

  

  「存分も存分、存分過ぎるくらいにヤリまあくったのぉ……向こう百年くらいはもうヤラんでもイイくらいだ」

  

  「嘘仰しゃい……明日には小姓相手にやるつもりでしょうに」

  

  わははっと二人は笑って同じ空を見つめた。

  あの向こうには川中島がある――

  不退転の意志を示す為に、二人は逢瀬に使っていた小屋に火を放ち焼放っている。

  それを見ながら――

  

  「玉は空っぽになったが、こっちは腹いっぱになったのぉ……まるで腹ぼての女子のようだな」

  

  「……本気でそのまま一滴も漏らさずに陣中まで抱えて帰るおつもりですか?」

  

  精汁で膨れた腹を、愛おしそうに撫で回す勝千世に虎千夜は訊いた。

  

  「なんだ? お前もそのボテ腹のままで帰るのだろう? まさかどこぞで出すつもりか?」

  

  「ご冗談を。そんな勿体無いことをするワケがありません――それに」

  

  「それに?」

  

  「……このままあなたの種汁を抱えたまま帰れば、もしかして赤児を授かるやもしれませんし」

  

  愛しそうに膨れた腹を撫でながら虎千夜が言ったその言葉を、眼を丸くして勝千世は聞いた。

  

  「ほ、本気で言っておるのか?」

  

  「冗談です」

  

  だが、どこかその顔にはなにか本気めいたモノが見てとれた。

  

  「ぐ、『軍神』じゃからな……も、もしかしたら――」

  

  「さて、次会う時は戦場になりましょうな、勝千世――いや、猛田晴伸心玄どの」

  

  「……その時は、手加減もできないし、殺し合いだ虎千夜――永尾輝虎兼真」

  

  「上椙です」

  それには応えずに、一度だけ強く兼真を抱きしめる心。

  それに応えるように自然と兼真は心玄を抱き止めて、より強く抱きしめた。

  

  「どちらが勝っても、負けた方が三途の川で待つ、……それで良いな?」

  

  コクリと頷く兼真を確認して、心玄は満足そうな笑みを零した。

  

  「では、戦場にて……存分に」

  

  「……戦場にて、存分に存分を重ねましょう……」

  

  ヒラリと馬に乗った心玄は、自分がきた道に馬を走らせた。

  それを見送りながら兼真は、馬に乗ると反対に方向に向かって走らせた。

  

  次の逢瀬は完全に、切った張ったの戦場の中になるだろう……。

  

  

  

  「ふ……ふはははははッ! あっぱれ! あっぱれだッ! 兼真ッ!」

  

  幾重にも張り巡らせた策と、複雑で高機動な猛田軍の騎馬隊を含む用兵を、兼真は車懸かりの陣形で突破してきていた。

  怒涛の進撃に心玄までは、もう僅か――手にも届きそうな距離まで迫って来ていた。

  

  「……律儀にも、本当に本人が乗り込んでくるとは――馬鹿か天才か、本当に分からぬ奴だ」

  

  だが、それこそが兼真らしいと、心玄は考えていた。

  ――約束通り、来おった

  心のどこかで歓喜に震えている自分を見つけてしまう。

  

  「猛田の総大将、心玄公とお見受けする! 如何にッ?」

  

  心玄が夢のような時間に歓喜しているところに、功を焦った上椙の将の一人が刀を構えて立っていた。

  やっとのことで辿り着いたのだろう。

  満身創痍ではあったが、その戦意は瞳を真っ赤に燃え上がらせていた。

  しかし、無粋にも兼真との逢瀬の戦場に上がり込んできたこの武士を、心玄は汚いこのでも見るかのように傲然と座ったまま相対した。

  

  「……如何にも」

  

  ここまでやってきた相手だ。

  普通の武士ならば尋常に勝負してやるのが筋だが、心玄は冷たい眼で見返すだけだった。

  

  (どこの馬鹿だ? 俺と兼真の時間に割り込んできよって――)

  

  そのあからさまな態度に、激昂しながら若侍は吠えた。

  

  「その首、頂戴仕るッ!」

  

  振り下ろされる太刀を、軍配で受け止める心玄。

  だが、さすがに敵陣を突破してきただけのことはあった。

  心玄が力で押し負けて、そのまま吹き飛ばされた。

  恐ろしいほどの膂力であった。

  

  「ぐッ」

  

  戦場にて、ここまで転がされたことは初めてのことだった。

  ――この若侍は強い。

  心玄して、そう思わせるほどであった。

  若侍が上段に大きく太刀を構える。

  これはもう避けきれない――そう思った心玄は覚悟を決めた。

  

  突如、血飛沫が上がったかと思うと、若侍は縦に真っ二つに裂けて地に倒れ伏せた。

  その先には、返り血で真っ赤に染まった兼真が立っていた。

  

  「な、何をしている兼真? 家臣を斬るとは! 気でも触れたか?」

  

  鬼の形相で立つ想い人を、しかし心玄は叱咤で迎えた。

  

  「そのまま斬らせてしまえば良かったではないか? 俺の首を掲げて勝ち鬨をあげれば良かったではないか??」

  

  負けてやっても良かった。

  お前になら、勝ちを譲ってやっても良かった――

  

  「黙れぇッ!」

  

  大声で吼えた兼真は、心玄が言わんとしていることは分かっている顔をしていた。

  

  「私とあなたは――お互いで、この手で決着を着けないといけないのですッ!」

  

  竜人の眼からは大粒の涙が溢れて、流れ落ちてきた。

  

  「他の何人たりとも――それこそ毘沙門天、菩薩、如来であっても邪魔はさせませんッ!」

  

  「兼真……」

  

  よく見ると、兼真の甲冑は新品のようで傷ひとつ付いていない。

  

  「……俺のために……この二人の時間の為に特別にあつらえたモノか」

  

  「……あなたも、同じのようで」

  

  心玄も新しい鎧甲冑に身を包んでいた。

  どこまでも似たもの同士の二人は、どこまでも心を同じくしていながら、刃を向ける以外の運命を受け入れるしかないことを悟っていた。

  

  「……お前の言うとおり、この戦の決着は俺とお前の二人の手で着けるのが正しい在り方だな」

  

  「応とも」

  

  二人の顔に歓喜が満ち満ちていく。

  愛する人と、二人だけの戦の時間。

  誰にも邪魔されず、魂の全てでお互いに相対することができる――あの夜の逢瀬と無限に等しい、黄金の時間であった。

  

  「ならば、いざ尋常にッ!」

  

  「いざ尋常にッ!」

  

  この先に語られる二人の顛末は、後世に残される『史実』ではあったが『事実』は誰も知る人はいない。

  この話は『偽史』とされた。

  ただ、彼らを支えた若侍の一人――小姓の一人だけがこの話を、後の太平の世に細々と伝えた。

  

  

  

  了

  えいげい 快