破壊の調理

  彼はもう、声を出す力すら残っていなかった。

  何度射精させられたか分からない。何度、内側から神の液と呼ばれる熱い粘液を注ぎ込まれたかも。身体のあらゆる器官がぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、拷問にも似た快感の波に溺れ続けていた。

  ロシュ――狼の獣人。狩人であった男の肉体は、今や“調理”された獣肉のように、うつろな目をして石の台座に縛られ続けていた。

  その前に立つのは、異界からやってきた神のような存在――アングリマス。

  人の形をしながら人でない。神の威厳と獣の欲望を合わせ持つ異形の捕食者。

  その肉体には二本の陰茎があり、一つは腹部から生えた前方のもの。もう一つは背後にうねるように伸びる、まるで巨大な蛇のような第二の陰茎――後方陰茎。

  前方陰茎は獲物を「壊す」ために使われる。

  そして後方陰茎は、「喰う」ためのもの。

  だが“喰う”とは単に飲み込むことではなかった。

  アングリマスにとって、それは――喰うための“調理工程”その二であり、完全な“破壊”を加えるための段階だった。

  ロシュの肉体は既に完成していた。

  絶頂を繰り返し、前立腺は何度も叩かれ、気絶できない呪いのもとで心がヒビ割れ始めていた。

  彼が横たわるその下半身に向かって、うねるように伸びるもう一本の陰茎――後方陰茎が、ゆっくりとその姿を現す。

  その先端は蛇の頭のように広がり、うっすらと開いた口のような尿道口が蠢いていた。

  滴る銀の粘液が床を濡らしながら、まるで匂いを嗅ぐかのように動くそれが、ロシュの臀部にゆっくりと迫っていく。

  「――や、め……やめて……もう、壊れ……てる……」

  かすれた声。泣きながら懇願するロシュの視界に、腹の上へと迫る黒い“口”が映る。

  それはもはや陰茎というよりも、獲物を喰らう捕食器官そのものだった。

  「まだだ。おまえの中は、壊されたが――“奥”はまだ生きている。深く、届くところまで潰してやろう」

  アングリマスが低く告げたその瞬間、後方陰茎の口がぐぽ、と音を立ててロシュの肛門をくわえ込む。まるで意志を持った生物のように、吸いつくように絡みついたその入り口が、ずるりと侵入を開始した。

  前方とは違う――これは“押し込む”のではなく、“喰い込む”感覚だった。

  「ひぎっ……あ゛っ!!」

  奥まで届いた瞬間、またしても前立腺が突かれる。

  だがそれは前方陰茎での突きとは異なり、吸い込みながら奥をこすり潰すような上下動だった。

  突き→絞り→広げ→吸い上げる。

  その動きに合わせ、ロシュの体内が焼け付くように熱を帯びていく。

  「あ、あ……っまた……またイク……やだ……ッ!」

  だが彼の肉体はすでに限界を越えていた。

  前立腺を撫でられただけで、まるで噴水のように陰茎からガマン汁がクジラの潮吹きのように噴き上がる。

  身体は拘束されて動かずとも、絶頂だけは止まらない。

  アングリマスの動きが激しさを増していくと、ロシュの腹が不自然に波打ち始めた。

  後方陰茎が内部で蠢きながら、まるで腸壁を掴むように動き、締め上げ、奥の奥へと入り込んでいく。

  「――注入する」

  その言葉と同時に、内側からドプッと圧が走った。

  前方陰茎の注入とは違い、後方陰茎のそれは一発ごとの量が桁違いだった。

  一発目で、肛門から喉まで一気に満たされ、

  二発目で、口から噴き出すどころか、鼻孔からも銀の粘液が噴き上がった。

  「ぼ、がッ……ごぼっ、ごぼおおおっっ……!!!」

  三発目、口から逆流する液が勢いを増し、顔面全体を焼くように銀の奔流が走る。

  喉の奥、胃の内部、腸の壁、すべてがねちっこく粘液に焼かれていく。

  ロシュは、もはや何も言葉を紡げなかった。

  出せるのは、銀の液と、よだれと、喘ぎだけ。

  四発目、五発目と続くたびに、彼の身体は内側から変形していった。

  腹が異様なほどに膨らみ、呼吸のたびに銀の泡が喉元で跳ねる。

  顔は真っ赤に染まり、目は涙と快楽でぐちゃぐちゃだった。

  そして――アングリマスは呟く。

  「“最後の合図”だ」

  六発目。

  その量は通常の五倍。

  一気に押し込まれた神の液が、体内の限界を超え、逆流する圧力でロシュの口から巨大な噴水のように噴き上がる。

  ドプッ、ブボォォォォオ――ッ!!!

  天井まで届く勢いで、銀の液が音を立てて噴き出した。

  喉を焼き、肺を圧迫し、視界を真っ白に染める。

  ロシュの口からは、言葉ではなくただの“吐出”しか出なかった。

  内側から壊され、注がれ、絞り尽くされ、

  最早“肉体”ではなく、“容器”と化していた。

  後方陰茎がずるりと引き抜かれると、肛門からは途切れることなく銀の粘液があふれ出し、床に染みを作っていった。

  アングリマスはその様子を、芸術品を見るように目を細めながら言った。

  「ようやく“破壊調理”が終わった。これで、喰える」

  残されたロシュの意識はもう燃えかすのようだった。

  だがその眼だけが、恐怖の名残を宿していた。

  そしてアングリマスの背後、さらにもう一つの口が開かれる。

  消化のための“本当の口”――

  彼の喉の奥に繋がる丸呑みの器官が、ゆっくりと開いていく。

  宴は、まだ終わらない。