今日は休日でにゃあにゃあ学園もお休みです。
お休みの日くらいはゆっくり、と言う事でみおちゃんは少しお寝坊さんでした。
「みおー、ご飯作ってほしいんだけど……」
「もう少し寝かせて……」
ここ最近みやちゃんとの戦いも増え、連日の疲れが出たのでしょうか。
いつも早起きするしっかり者のみおちゃんも、今日ばかりはなかなか起きません。
「どうしようかな、みおが起きないとご飯も食べられないや。小学4年生の体じゃ料理も出来ないし……」
正確にはできない事もないですが、単にたまちゃんの料理スキルが低いのでしょう。
「仕方ない、先に台所へ下りて飲み物でも飲んでよっと」
たまちゃんは台所へ行くと冷蔵庫を開け、ついいつもの癖で手前にあった缶を取り出します。
ラベルも確認せず缶を開けると、「プシャ!」と爽快な良い音がします。
「これでも飲んで……ごくごく」
一方、半分夢うつつのみおちゃんは……。
「むにゃむにゃ……お兄ちゃん、大好きー……世界中の皆がお兄ちゃんみたいな、可愛い猫少女ならばいいのにー……」
どうやらたまちゃんの夢を見ているらしく、寝言を言っていました。
「み~おしゃん♪ あたしもらいしゅきにゃんらにゃあ~」
「……あれ、お兄ちゃん? って、変身してる!? これ夢!? じゃないよね……」
みおちゃんはしっかり者なので、すぐに現実だと分かったようです。
「ぷは~、へべれけ~」
「ってお兄ちゃん! その手に持ってるのビールじゃない!」
たまちゃんは冷蔵庫にあったビール缶を手に取り、良くラベルを見ずに飲んでしまったようです。
たまちゃん達の両親は忙しく外出中の事が多いのですが、一応家にはビールの買い置きを常駐しているのです。
「またなの……」
みおちゃんが言う通り、今回が初めてではありません。
たまちゃんは目を離すと、割りと無意識のうちにビールを口にしている事があります。
ただ、そのおかげで分かった事もいくつかあるのですが……。
「まーたお兄ちゃんったら、すっかり別人になっちゃって……いや、猫少女だし別猫? 細かい事はどうでもいっか……」
たまちゃんはお酒が入ると、全くの別人と言ってもいい程ガラリと性格が変わってしまうのです。
しかもやたらとみおちゃんにデレデレになってしまい、可愛いとか女の子である事に喜びを覚える性質になります。
「み~おしゃん♪ あたしのら~いしゅきにゃか~わいいみ~おしゃん♪」
「な、何よ……」
「みおしゃんもねこしょーじょににゃるにゃあ~、ねこしょーじょってかわいいにゃあ~」
「嫌よ、理由もなく変身するなんて……」
「みおしゃんしゅき! らいしゅき! ねこしょーじょのかわいいみおしゃん、らいしゅき~」
「……わ、分かったわよ。変身すればいいんでしょ」
酔っているとは言え、お兄ちゃんにこんな事を言われてみおちゃんも満更ではないようです。
「魔法猫少女! 始動!」
みおちゃんはお兄ちゃんに乗せられてしまい、猫少女へ変身しました。
「これでいい? 満足?」
「ぎゅっ」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん!?」
「み~おしゃん♪ わ~、あったかいにゃあ~」
「や、止めて……いや、止めなくていい……じゃなくて、ダメだってば。こんなの」
お兄ちゃんに「ぎゅっ」とされてしまい、みおちゃんは赤面しながら戸惑います。
「み~おしゃん、ねこしょーじょの活動へ行くにゃあ~」
「え、ちょっと待って。まだご飯も食べてないでしょ!?」
「行くにゃあ~!」
「わー! お兄ちゃん、強引に引っ張らないで! 分かった! 分かったから!」
そして性格の変化以外にも分かった事。
普段猫少女としては雑魚過ぎるたまちゃんですが、お酒が入ると規格外な程に戦闘能力が高くなるのです。
「お兄ちゃん、力強過ぎる……何でお酒が入るとこうなるのかな」
「あたし、ねこしょーじょで良かったにゃあ~、らってこんにゃにかわいいんらもの~」
「これ、絶対本心じゃないよね……お兄ちゃんが本心でこう思ってくれれば良かったのに」
みおちゃんは変身中だから身支度も最低限で済ませて、たまちゃんと外へ行きました。
[newpage]
「み~やしゃんはいにゃいのかにゃあ~。あたし、あそびたいにゃあ~♪」
「みやちゃん、お願いだからどうか今日は出て来ませんように……」
たまちゃんがこんな状態なので、みやちゃんに出会ってしまったらきっと大変な事になります。
……恐らく、みやちゃんの方が。
「あれー、たまちゃんとみおちゃんー?」
「あ、ここねちゃん。こんにちは」
たまちゃん達は人間のねこちゃんと出会いました。
「こんにちはー、今日もいい天気で平和だねー」
「うん……はっ! そういえば今のたまちゃんは……ここねちゃん、逃げて!」
「えー? 急にどうした……の!?」
ねこちゃんはたまちゃんの「餌食」にされてしまったようです……。
「ね~こしゃん、らいしゅき♪ もうはにゃさにゃい~」
「え? え……えー!? わ、私もだよ!? だ、大好きだよ!? たまちゃん……!」
「ぎゅー」
「わわっ! たまちゃんにぎゅーしてもらえたー!?」
「あちゃー……ごめんね、ここねちゃん……」
「何でごめんねなの!? え、私は全然構わないけど!? あ、でもー……だめっ、抑えなきゃ……」
「ここねちゃん……?」
何だかねこちゃんの様子がおかしいです。
彼女はスカートのポケット辺りを気にしているようで、その付近で手をぶらぶらさせていて……。
「ごめん! たまちゃん!」
『ドンッ!』
「みゃっ!?」
ねこちゃんはたまちゃんを強引に押し飛ばすと、何処かへ走って行ってしまいました。
「え、ここねちゃん……? 酔った状態で、凄く力の強いたまちゃんを押し飛ばすなんて……」
みおちゃんはねこちゃんに驚いてしまいました。
「み~おしゃん~♪」
「わー、みおに標的を変えないでー! やるなら家の中で! ね!?」
「おうち帰りたくにゃいにゃあ~、お外でお散歩したいんだにゃあ~」
「でもこんな状態じゃ……お兄ちゃん、何仕出かすか分かったもんじゃないし……」
「らいじょ~ぶらいじょぶ、変にゃ事はしにゃいにゃあ~」
酔ったたまちゃんが言う言葉程信用できないものなんて、恐らくそうそうありません。
「お願いだから……ね? 帰ろ? 美味しい卵焼きいっぱい作ってあげるから……」
「卵焼きと聞いて!」
「わっ! みやちゃん!?」
スマホのみやちゃんアラームが鳴る間もなく、先に出て来てしまった猫少女のみやちゃん。
酔ったたまちゃんの前に出て来てしまったのだから、さあ大変です。
「みやちゃん、一生のお願い! 悪い事は言わないから、今日は素直に帰って……」
「え、何でなのかな? かな!?」
「お願いだから! ね、何も言わずにさ……」
「分かった! きっとみやを除け者にして卵焼きを独り占めするんだね!? そうはいかないよ☆」
「お願いだからー……」
「それより卵焼きちょーだいっ☆」
みやちゃんは一向に引き下がろうとしません。
卵焼きには異常な程喰い付きが良く、それ程みおちゃんの卵焼きが好きなのでしょう。
「そこまでみおの卵焼きを気に入ってもらえて、正直悪い気はしないけど……今はタイミングがね」
「みや、わかんない☆ どーでもいいから卵焼きよこせ☆」
普通に言っても話にならないみやちゃん。
そこでみおちゃんがとっさに取った行動は……。
「ここじゃ一般道だから……とりあえず近くの広場まで逃げるしかない!」
みおちゃんは全力で街の広場まで走り出します。
「あ、みおちゃん待ってよ☆」
「みおしゃん~、待つんらにゃあ~」
みおちゃんは2人に追い掛けられました。
ただみおちゃんとしては、怪我人が出ないように広い場所へ誘導できれば良かったのです。
「はぁはぁ……何でみおがこんな目に……それにお腹も減ったよ」
「みおちゃん、逃がさないよ☆」
「みおしゃ~ん、急にどうしたんらにゃあ~」
「皆ー、待ってよーう……」
いつの間にか猫少女のねこちゃんまでも合流していました。
どうやらみやちゃんが現れたのを察知して、何処からともなくやって来たのでしょう。
「ここねちゃん居たんだ!?」
「え、気付いてもらえてなかったのー? ……放置?」
「いや、違うんだよ……とりあえず今は一緒に来て!?」
ねこちゃんは訳が分からないまま、一緒に走るハメになりました。
まるで街中は猫少女達のかけっこ状態です。
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「はぁはぁ……つ、疲れた……お腹空いた……でも、この辺りまで来ればいいかな……」
「卵焼き、待てー☆ はぁはぁ……」
「待ってよー……」
「みんにゃ待つんらにゃあ~」
「お兄ちゃん、全く息切れしていない……」
みおちゃんやみやちゃんですら息切れしているのに、たまちゃんは全く大丈夫なようです。
「みやちゃん! 言っても逃げなかったみやちゃんが悪いんだからね!? みお、警告はしたからね!?」
「何言ってるか分かんないし! 早く卵焼きー☆」
「卵焼きを食べたかったら……まずはたまちゃんを倒してからだよ!」
「たまちゃんを!? 雑魚なんだからすぐ倒しちゃうし☆ たまちゃん、みやと遊ぼ☆」
「たまちゃん危ないー、バリアー! ……ぜぇぜぇ」
ねこちゃんは疲れ切ってしまったようで、バリアは一切発動しませんでした。
「大変だー、たまちゃんがやられちゃうよー、どうしよ……」
「えいにゃん!」
たまちゃんは軽く一発、小さい魔法弾をみやちゃんに向けて発射しました。
「どうせ痛くも痒くもないでしょー!」
しかし、みやちゃんに当たった魔法弾は……大きく弾けて物凄い魔力を放出します。
『ちゅどーん』
「……みやちゃん、どうか……無事に生きててね」
普段へっぽこのたまちゃんは、何と軽く撃った魔法弾一発でみやちゃんをお空の彼方へ吹っ飛ばしました。
「た、たまちゃん……え? え!? 何が起こったのー!? めちゃくちゃ強いじゃんー……」
「ねーこしゃん♪」
「ぎゅっ」
「わわっ! たまちゃん……!?」
「さっきの続きらにゃあ~」
たまちゃんに再び抱き着かれたねこちゃんは、自分の正体を否定する事さえも忘れて……。
「わ、私もぎゅっ!」
「ね~こしゃん♪」
「たーまちゃん……!」
2人の様子を見て、ぽか~んと目を点にしてしまうみおちゃん。
しかしみおちゃんはどうにか正気を保つと……。
「あー、もう見てられないよ……」
「ね、ねえみおちゃん、今日のたまちゃん、一体どうなってー……」
「たまちゃん、お酒で酔ってるんだよ……」
「え、そうなの……!?」
「ねこしゃん~、ちゅ~」
「わ! ほんとだ!? お酒臭い!」
実はねこちゃん、大のお酒嫌いなのです。
お酒の臭いはともかく苦手で、甘酒すらも飲めない程なのです。
「や、やだ、お酒の臭い……で、でも、これを耐えれば私、たまちゃんとキス……でもでもお酒の臭いがー! わ、私、どうすればー!」
「ここねちゃん! 何訳の分からない事言ってるの! 早くたまちゃんから離れて! 今のたまちゃん、危険だから!」
「やだ……お酒臭いけど、でもたまちゃんだし……私、離れたくない!」
ねこちゃんはたまちゃんから離れる事を、断固拒否します。
「何やってるのここねちゃん! さっきの吹っ飛ばされたみやちゃん見たでしょ! 危ない目に遭うよ!?」
「たまちゃんになら……何されてもいいもん! 殺されたっていい!」
「いやいやダメでしょ……」
「うるさい。黙れ。邪魔するな」
「へっ!?」
「あ……ごめんごめん、何でもないんだよー! ともかく私、離れないからー! たまちゃん、行こっ!?」
「え、ちょっとねこちゃんー!?」
ねこちゃんはたまちゃんの手を引いて、その場から逃走してしまいました。
酒で酔った状態の、あのめちゃくちゃ強いたまちゃんをリードして……。
「一体どうなってるの!? ……と、とりあえず追い掛けなきゃ!」
みおちゃんは逃亡したねこちゃんを追い掛けます。
「お兄ちゃんの向かった方向は……アホ毛センサーが反応してるわ! あっちね!」
みおちゃんはアホ毛をピクピクとさせながら、お兄ちゃんの行方を追います。
[newpage]
「ねこしゃ~ん、しゅき、らいしゅき♪」
「たまちゃん、私もー……うっぷ、お酒臭い……」
ねこちゃんはお酒の臭いに耐えながらも、たまちゃんをぎゅっとします。
ねこちゃんがたまちゃんの事を好きと言う気持ち。
それは生半可なものではなく、どうやら彼女にとってはこれ程本気のようです。
「ねこしゃん~、ちゅ~してい~い?」
「ご、ごめん、ちゅーは……したいんだけどー、今はちょっとー……何で私、お酒はダメなのよー……」
「えー、したいにゃらいいじゃにゃい~。あたし、ねこしゃんの事らいしゅきにゃんらよ~」
「嬉しい、夢みたい……これ、夢じゃないよねー? 夢なら絶対に覚めないでー……」
「ちゅ~」
「わー! ちょっと待ってー! うっ、臭っ! おえっ……」
ねこちゃんはあまりものお酒の臭いで、色々と限界が近いようです。
「た、耐えるのよ私……たまちゃんにこんなに愛してもらえるなんて、この先一生あるか分からないものー……」
「ね~こしゃん♪ あのね~、あたし、ねこしゃんの事ずーっといいにゃ~、って思ってたんらにゃ~」
「え……それ、ほんとに? お酒の勢い、じゃなくてー……?」
「ほんとらにゃ~、ねこしゃんっておっぱいも大きくて~、しょ~じきあたし、劣等感ばかり感じてたんらよ~。でもそれが魅力でかわいいにゃ~って」
「そう想ってくれてたんだ……たまちゃん、ごめんね。今は胸がぺったんこで……でも私、人間状態で発作を起こすといけないから……」
ねこちゃんは何気なく自分が猫少女、と確定的な事を言っていましたが……。
「ねこしゃん、ちゅ~」
酔っているたまちゃんはそれにも気付かず、その事についてはガンスルーでした……。
「たまちゃんお願い、ぎゅっとするだけにしよー? ほんとはキスしたいんだけどー……私、お酒の臭いだけはダメでー……」
「気にしにゃい気にしにゃ~い、ちゅ~するにゃ~」
「やめて、お酒の臭いだけは私、絶対にダメだから……」
「ね~こしゃん♪」
「え、嘘……私、猫少女に変身しているのに……抑えなきゃ……抑えなきゃ……」
お酒の臭いに晒されて、ねこちゃんは何処かおかしくなってしまったのでしょうか?
「ねこしゃんら~いしゅき♪ ぷはぁ~」
「うっ! おえー! うっぷ……げほげほっ! うっ……うぅっ……」
お酒の臭いに耐えられなくなってしまい、いよいよ限界が来てしまったねこちゃんは……。
[newpage]
「アホ毛センサーが強く反応してる! お兄ちゃんはこっちね!」
一方みおちゃんは、アホ毛センサーを頼りにお兄ちゃんの行方を追います。
「居た! お兄ちゃ……え!?」
お兄ちゃんを見つけると……たまちゃんは仰向けに倒れていました。
そしてその場に放心状態のように立ち尽くす、猫少女のねこちゃん。
一体みおちゃんの居ない間に、何があったのでしょうか?
「ここね……ちゃん?」
「……大丈夫だよ。たまちゃん、死んではいないから。あと私、ここねじゃないからね?」
ねこちゃんはそう言うと……その場を去ってしまいました。
みおちゃんは全く状況が呑み込めず、訳が分かりません。
「まさか、あの最強状態のお兄ちゃんを……ここねちゃんが止めたって言うの!?」
みおちゃんは訳が分からず呆気に取られていましたが……。
「はっ! お兄ちゃん、怪我してる!?」
みおちゃんは我に返ると、たまちゃんから少し血が滲み出ている事に気付いて、慌てて治癒魔法を使いました。
「本当に一体何が……あの状態のお兄ちゃんが自ら自滅した、とも思えないし……」
たまちゃんの怪我を治すと、みおちゃんはたまちゃんの胸元に耳を当てます。
「うん、心臓の音は聞こえる……良かった」
気絶しているだけと確認したみおちゃんは、たまちゃんを背負っておうちへ戻りました。
『じーっ』
「お酒で開放される本来の力……とても危険だね。あのみやちゃんをいとも容易く吹っ飛ばすとは」
たまちゃんにばかり気を取られていて、みおちゃんは電柱の陰から見つめる者の存在に気付きませんでした。
「それにしても、ねこちゃんにも驚いたよ。あの子の力を以ってしても、完全に抑え込めないとは……」
ねこちゃんは一体、この者に何を見せたのでしょう……?
「一応みやちゃん、捜しに行った方がいいのかな。多分しょげてそうだし、後でなでなでしてあげよ……」
電柱から見つめていた者は、街中へと消えて行きました。
[newpage]
「んんっ……んにゃ? あたしは一体……」
「お兄ちゃん、気が付いた?」
「んっ……にゃんだか体中が痛いにゃ……」
「みお、治癒魔法使ったんだけど。まだ治りが追い付いてないのかな……それ程の怪我って、お兄ちゃん一体何があったの?」
「にゃにがあったって……あれ、あたし、にゃんで猫少女にゃんだにゃん……?」
「え!? お兄ちゃん……やっぱりそういうオチ!?」
「みおー、あたし、今までにゃにやってたんだにゃん……?」
たまちゃんはお酒を飲んで以降の事を何1つ、一切覚えていない様子でした。
「やっぱり覚えてないのね……お兄ちゃんにお酒は危険だね、隠しておいた方が良いのかも……」
「おでこ、ひんやりして気持ちいいにゃあ……」
「ちょうど良い冷たさかな、良かった。で、お兄ちゃん本当に何も覚えてないの? ここねちゃんと何があったのかも……」
「ねこちゃんと……? えーっと……そういえばあたし、にゃにかとんでもにゃく凄いものを見たようにゃ……」
「とんでもなく凄いもの?」
「記憶がすっごく曖昧だにゃ……あたし、にゃにしてたのか分からにゃいにゃ……」
たまちゃんは「とんでもなく凄いもの」を見た、と言っています。
「お兄ちゃん、もうお酒は絶対に禁止だからね! 分かった!?」
「え、あたし、お酒飲んじゃったんだにゃん?」
「そうだよ、それでもう色々と大変だったんだから。みやちゃんは吹っ飛ばすし、ねこちゃんに迫るし、そしてみおにも……もーう、お兄ちゃんったらー」
みおちゃんはアホ毛をピクピクさせながら、悦に浸ります。
「おーい、みおー……」
「はっ!? え、えっと、何だっけ?」
「あたし、みやちゃんを吹っ飛ばしたの?」
「うん、最強の一撃で」
そう聞いても当の本人は全然ピンと来ないようで、たまちゃんは訳が分からないと言うような顔をしていました。