3話 イチまたまた失禁 本日の強制エンコ詰め会場 パーティを追放(以下略)14

  「やめろ! やめてくれ! 私がなんでもしてやる。イチに手出ししないでくれ!」

  パルテルラットは無駄だと知りつつも男達に懇願するしかなかった。ピィピは縛られたままパルテルラットに縋りつきガタガタと震えている。既に叫ぶ元気すら失ってしまったらしい。

  パルテルラットは自分と恋仲であるピィピが自分の隣で乱暴されただけでも深い絶望を味わったのに、この上さらに仲間であるイチが暴行を受けるのに耐えられないのだろう。

  そこにはいつも朗らかに笑う英雄型の女の面影はなかった。

  しかし男達は縛られたまますがりつくパルテルラットを蹴り飛ばして黙らせると、興奮状態のまま口汚くホーイッツや

  男達を罵るイチを引きずるようにして連れて行ってしまった。

  

  ◆

  イチが連れて行かれたのは二段ベッドが2台並んだ部屋で、広さは庶民の寝室ほどか。天井からオイルランプが吊るされて部屋を仄かなオレンジ色に照らしている。恐らくシーツなどに染み込んだ男たちの汗や体液の臭いがイチに不快感を与えた。そのやさぐれた部屋の雰囲気はどことなく刑務所の監房のような雰囲気だった。ピィピとパルテルラットもここで乱暴されたのだろう。

  「放せ! 放せよちくしょう! 汚い手で触るな!」

  イチはホーイツを含む男4人に部屋の中央にある椅子に無理やり座らせられると、縄を解かれて一瞬身体の自由が蘇ったが、全身を力づくで押さえられ腕を机の上に伸ばされた。

  「くそ! どうするつもりだ! 放せってば!」

  イチは己の首や肩、そして腕を机の上で押さえつける男達の太い腕を見ても尚抵抗の意志を失わなかった。山賊の男達は薄着だったので彼らの体臭が嫌でも鼻を突く。それは無駄なあがきではあるが、未だ怒りで興奮している彼女にはそうせずにはいられなかった。

  「しかしホーイツよ。いいのか?指を切っちまったら、不便だぜ」

  山賊の男達の中でも一層危険な雰囲気を漂わせる男、カーンは獣のようにギョロギョロとした目を輝かせて笑みを浮かべている。どうやら彼は過去に旧魔王国での内戦に傭兵として参加していた過去があるらしく身体も他の者より屈強で、他者を加害する事に良心の呵責を覚えないタイプの人間であった。

  カーンが言う『不便』とは別にイチの事を思いやっているわけではない。これから自分たちがイチの身体を使って満足するのに不便だと言っているのだ。

  この事からも人の心の希薄な人物であると伺える。

  「別に、手が使えないだけでやる事は同じだろう」

  「ははっ! ちげえねえ!」

  カーンはホーイッツの言葉に笑った。そのやりとりを聞いていたイチはホーイツが結局は山賊連中と同じ類の精神性を持っている事に納得しつつも、やるせない怒りを覚えた。

  

  ____こいつら、人を、女をなんだと思って………!

  悔しさに涙が溢れてきそうになったが、男達に泣き顔を見せたくないという彼女のプライドが歯を食いしばらせ全身に力を再度込めさせた。

  「やってみるか? ホーイツ」

  「あぁ、俺が言い出した事だからな」

  ホーイツはカーンに答えると、腰の袋から折り畳みナイフを取り出し、サディスティックにイチの目の前に突きつけた。

  イチは激しい怒りと興奮のあまり恐怖は感じておらず、ホーイツを罵倒するだけの元気もあった。

  「ホーイッツ! 貴様、絶対に許さないからな! 絶対にだ!」

  「おいおいホーイッツ。まだ準備ができてねえよ」

  しかし、カーンが準備と称してそこらから布の切れ端を集め、イチの手の下に敷き始めた時にイチは遂に恐怖を覚え始めた。これから自分がされる事のリアリティを感じられたのだろう。

  「やめろ! おい! 放せ! 放せよ!」

  イチの声に段々と震えが混ざってきている。

  無理もない。18歳かそこらの少女がこれから無理矢理に指を詰められようとしているのだ。

  むしろイチでなければ泣き叫んでいただろう。

  「最初はどこからいく?」

  カーンの楽し気な問いかけにホーイッツは事も無げに答えた。

  「人差し指からいこう。得意の早撃ちももうできなくなるな」

  「いいだろう」

  カーンはイチの指を無理やり広げるとホーイッツが切りやすいようにしてやった。イチは精一杯指を握ろうと力を込めたがビクともしない。

  「ホーイッツ! やめろ! ふざけるな! やめろって! この糞野郎!」

  唾を飛ばしてわめくイチの人差し指の付け根に、ホーイッツのナイフが伸ばされ、そしてゆっくりとその肉を切り裂いていった。

  「いっ________、うっ________、うわああああああああ!!!」

  ホーイッツがゴリゴリとナイフの刃を前後させる度にイチは凄まじい苦痛に絶叫した。流石に涙をこらえる事ができず、激痛に顔を歪めるイチ。

  しかしホーイッツはイチの指を切り落とそうとしたが、骨は固く切断できず、溢れる血で刃もすべる。

  「________ホーイッツ! やめ____、っ、あ、ぐうううううううううう!!!」

  痛みに耐える為か自然と歯を食いしばるイチ。

  気が付くとホーイッツの額にも汗が浮かんでいる。彼自身、人の指を切断するなど初めての経験だったので上手くゆかず焦っているのだろう。

  「ははは。ホーイッツ。なってねえな。俺が見本を見せてやろう。代われ」

  カーンはイチの指を押さえつける役を無理矢理ホーイッツに代わらせると、部屋にある自分の荷物から爪切りを取り出した。爪切りとは言っても現代で売っているような爪を単純に切るためのものでなく、その形はどちらかといえばニッパーに近い。

  「旧魔王領のな、内戦に参加した時にこいつは役に立った。爪切りとしても中々の切れ味で伸びすぎた爪を切るのに役に立つんだ」

  カーンはわざとイチの目の前でその爪切りが開閉する音を聞かせ恐怖を煽ると、彼女の顔に手を伸ばした。

  「爪だけじゃない。他にも色々切れる。伸びすぎた耳、伸びすぎた鼻、伸びすぎた舌。便利だろ?」

  カーンがイチの耳や鼻の目の前で不気味な金属音を聞かせる度にイチは恐怖心を煽られ「ひっ」と短い悲鳴が不随意に出てしまう。

  「痛みも一瞬だ。もう銃も撃てなければ冒険もできないが、まあ、女は生きてるだけで価値があるからな」

  カーンはサディスティックな笑みを浮かべ、イチの耳を切り落とすふりをして何度も鋭い金属音を聞かせた。

  カーンの残虐性に、今までイチを支えていた怒りも流石にしぼみ、怒りがしぼんだぶん今度は内臓を圧迫するような恐怖が彼女の心を占領し始めた。

  「い、嫌だ。やめてくれ____たのむ、せめて、せめて他の指に________」

  イチの感じている恐怖は、単に痛みを味わう事の恐怖ではなく、自分の指が失われ冒険者としての道が絶たれる事への恐怖である。

  それは冒険者を生きがいとしているイチにとっては、死ぬことよりも恐ろしい。

  「他の指? 他の指が先でもいいがな、どうせ全部切っちまうんだから、関係ないだろ。なあホーイッツ」

  そう言ってカーンは笑った。

  そのカーンの恐ろしさにホーイッツは何も答えられない。

  所詮ホーイッツは修羅になれるほどの人物でさえもないからだ。

  「なんだ、ビビってんのか? まあ、慣れだよこういうのは」

  カーンは調子を変えずに爪切りの音をジャキジャキとたてながら刃先をイチの人差し指の付け根にゆっくりと近づけた。

  「いやだ、やだ、やめろ____たのむ、やめてくれ。他の事をしてやるから、お願いだ、やめて________やめてくれ」

  遂にイチはカーンに屈してしまった。

  しかし18歳の少女が今から指を切り落とされようとしているのだ。誰が彼女を責められよう。しかし、カーンはそんなイチの哀願をせせら笑った。

  「ダメで~~~す。他の事は指を全部切り落としたあとでやってもらいま~~~~す」

  カーンはそういうと遂にイチの人差し指の付け根に爪切りの刃を当てた。あとは彼が思いきり手を握れば、神業のような射撃術を産むイチの右人差し指は切り飛ばされるだろう。

  「3秒待ってやる。自分の指にお別れしておくんだな。今のうち綺麗な爪とか、ちゃんと見ておいたほうがいいよ」

  「待って、嫌だ、待って、待ってくれ」

  「さ~ん」

  「嫌だ! 嫌だよ! やめろ! 頼む、やめてくれ!」

  イチはポロポロと涙を流しながら身体をよじって抵抗するも屈強な男達に身体を拘束されて僅かに首を振るしかできなかった。歯はガチガチと鳴り、脚は地面が揺れていると錯覚するほどにガタガタ震えている。

  「に~い」

  「やめ____! はっ____誰っ____か、誰か助けっ____! いやっ____あっ____いやだ」

  イチの視界は暗くなり、全ての音が遠く聞こえる。あまりにも激しく脈動する心臓のせいか、息苦しさで呼吸さえままならない。ストレスのあまり自律神経に異常をきたしているのだろう。一気に血の気が失せ、極度の緊張で失神さえしそうであった。

  「い~ち!」

  「あ____、____はっ___やめっ_____やめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

  イチが恐怖と緊張に耐えきれず小水を失禁し、カーンがイチの指を切り飛ばすために力を手に伝えようとしたその瞬間である。

  拷問室と変わったその部屋の扉を蹴り開け、小さな少女が手の平に収まるような小さな銃を片手に踏み込んできた!

  「全員動くんじゃあないわよ! 今すぐその子を放しなさい!」

  子供のような、いや、実際子供同然のハーフエルフの少女であり、イチ達の勇敢な仲間。赤い瞳に穢れのない反抗の色を灯した少女、タオ・メイメイであった。