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ショタ化した狼ケモヒーローと。

  一人。駆ける黒い狼。ヴィランの臭いがする。狩らなければ。

  体が止まらない。これは下された命令には無かった。しかし、それでも。

  毛並みがぴったりと皮膚に張り付くほど速く。まるで弾丸のようなスピードで。

  黒い狼―牙は基地の中を駆け抜けていく。

  今回下された命令は出来るだけ被害を少なくヴィランの基地を制圧する事。その上で中間の拠点とすること。

  ヴィラン達を追い払えばそれで終わりなのだが。

  「グォォォォォ!!」

  獣のような遠吠えを上げ、牙は駆ける。憎い。奴らが憎い。

  大切な家族を殺したあいつらが。憎くて、腹の中が千切れそうだ。

  叫べ、吼えろ。全てを切り裂く手段がお前にはある。

  そんな声が聞こえた気がした。

  切り裂け、殺せ、全て屠れ。

  それは恐らく、自分の中の自分。植え付けられた本能という名の束縛。

  牙はそれに身を委ねてしまっていた。しかし。

  「牙ッ!!」

  彼を追いかけながら同じ狼のヒーロー―ハウルは彼の名を叫んだ。

  命令無視。独断専行。それは彼に良く見られた傾向だ。それのおかげでハウルは今こうしてここにいるのだから多少は見過ごしていたが…

  今日はいつも以上に様子がおかしい。何かに憑りつかれたような。そんな気配。そう、催眠で操られていた自分を見ているような気がしたのだ。

  ここは敵の基地。もう戦闘員達の気配はしないがわずかにヴィランは残っている。罠が張られている可能性も十分にあり得た。

  それぐらい、今日の作戦はうまく行き過ぎていたのだ。

  全速力で追いかけるがそれを上回る速度。牙の背中を見ながらハウルはふぅ、とため息をついた。

  「あんまやりたかないんだが…ねッ!」

  両脚を地面につき、そして四肢に思い切り力を込めた。瞬発的な速度。それは牙をも上回っていたようだ。

  牙の上をとり、そのまま牙を抑えつける。

  がごんっ、と地面の砕ける音が響いて。ハウルは牙の頭を抑えた

  「離せっ!俺は!俺はッ!あいつらを!!」

  暴れ狂うその姿は。

  ハウルはぐっ、と少しだけ頭を抑える手に力を込めた。

  「落ち着け!作戦は終わった!ヴィランは撤退!基地は制圧!追う必要は無い!」

  「うるせぇっ!あいつらを!俺は!殺すッ!生かしておくかっ!くそっ!クソォォッ!!!」

  目は血走り隆起する肉体はいつもよりも大きく。ハウルの体すら揺らすものだ。

  なんとか必死に抑え込むハウルだったが…牙はうつぶせのままごきっ、と音を鳴らしながら肩の関節を自ら外し、そして。

  「邪魔だぁぁぁぁ!!」

  あり得ない方向へ腕を回し鋭い爪でハウルの腕を切り裂いた。

  ぶしゅう、と鮮血が噴き出し一瞬力が緩む。それを見逃すことなく牙はハウルを振りほどきぴょん、と軽く跳躍すると四つ足をつきふぅぅぅ!と荒く威嚇するような呼吸をした。

  苦痛に顔を歪めるハウル。どくどくと溢れる血が地面にぽたり、と垂れ、膝をついたとき。

  牙ははっ、としたような表情を浮かべた。今、自分は…

  「ハウル…さん…」

  目の前で膝をつくハウルに牙は呆然としたようにつぶやいた。肩に走る痛みも忘れるほどに。

  そんな牙の様子を見るとハウルはふぅ、と安堵のため息をつき苦笑いする。

  「ったく。少しは落ち着いたか?いつつつ…」

  「俺…俺が…」

  自分の手が真っ赤に汚れていることに気が付く牙。わなわなと震えているが…

  ハウルは頬を吊り上げ牙に近づく。そしてこつん、と軽く頭を叩いた。

  「こんなん傷にもはいんねぇよ、安心しろ。それに、お前今自分で肩外したろ。治せ治せ。」

  牙は震えながらもこくり、と頷きごぎゃん、と肩をはめた。

  とてつもない痛みではあるのだが…今はそれ以上に恐怖を感じていた。

  自分の中の自分が暴れることは度々あった。しかし、これまでは抑えきれていたのだが…

  抑えることが出来なくなっていた?それはつまり、自分を失う、ということ。

  それを恐怖に思う。

  ハウルは何も言わないが…何かを察したのか努めて明るい声をあげた。

  「ま、迅速に作戦成功。独断専行と命令無視は今の肩関節でチャラにしといてやっから!ほれ、帰るぞ!」

  「ハウルさん…俺…」

  「いいから、気にすんなって。まぁ、また命令無視したら次は俺の全力の拳骨な。」

  ばしばしと無遠慮に牙の頭を叩くハウル。その笑顔は、明るい。

  牙は不安が消えていくのを感じて少しだけ頷いた。

  そして、一歩踏み出す。

  その時だった。

  ハウルの眼光が鋭く光る。耳がピンっ、と立ち何かを察した。

  何かがこちらを狙っている。なんだ、わからない。何かが来る。牙めがけて。

  「あぶねぇっ!」

  咄嗟にハウルは牙を抱きかかえると何かに背を向けた。どんっ、と音がしてじゅうと皮膚が焼けるような熱さが走った。

  「ガァッ…!」

  尻尾をビンッ、と立てハウルは苦悶の表情でうめき声をあげる。

  「は、ハウルさんっ!」

  「ぐっ…だ、大丈夫だ…!それよりっ!」

  振り向く。しかしそこにはすでに誰もいなくなっていた。

  走り去る音だけが聞こえる。

  「…すいません、俺が…」

  「そういう時もあるさ。とりあえず、今は戻るぞ。」

  「背中、大丈夫ですか?」

  「あぁ。一瞬すっげぇ熱かったけどな。今はなんともねぇ。ただなんか張り付いてるかもしんねぇ。確認してくれ。」

  そう言ってハウルは牙に背を向ける。何かが直撃したところの毛並みが剥げてしまっているがそれだけだ。

  火傷の跡も無いし、機械や虫の類もついていない。念のため触ってみる。

  「ちょ、ちょっとくすぐってぇ。」

  ぞわぞわと背中をくねらせながらハウルは苦笑する。

  牙は頷き手を離した。

  「大丈夫そうです。」

  「そか。よし、じゃあ今度こそ戻るぞ。」

  

  報告を終わらせ寮に戻ってきた。ハウルはふぅ、とため息を吐く。

  報告中…いや、報告をする前からなんだか頭がぼう、とするのをハウルは感じていた。

  だるさなどそういう類ではない。ただ何も考えたくない。考えるほどの力がないというべきか。

  「ハウルさん?」

  「…あぁ?」

  あぁ、今自分は呼ばれたのか。それに気が付くのにも時間が必要なほどだ。

  どこか虚ろな目をしながらハウルは牙の声の方へ顔を向ける。

  その表情はとても心配そうなものだった。

  「大丈夫ですか?もしかしてさっきの…」

  それのせいなのだろうか。分からない。あれ、さっきのって…

  駄目だ、頭がぼう、とする。

  「いや…つかれてんだ…たぶん…ねる…」

  なんとか言葉をひねり出すとハウルはふらふらと自分の部屋へと向かって歩き出した。

  その腕を牙が掴む。明らかに様子がおかしい。

  「ハウルさん、一応医務室に行きましょう。今のハウルさん、ちょっと変です。」

  心配そうな表情で力強く言葉を放つ牙。

  何を言っているのか分かるけど、分からない。この感覚は、なんだろう。

  

  足元がおぼつかない。目の前にいる黒い狼。

  

  「あぁ…?」

  

  誰だっけ…

  頭が動かない。

  

  

  「ハウルさん!?」

  がくんっ、とハウルが膝をつく。だらり、と力なく牙の腕からハウルの腕が垂れさがる。

  ハウルは虚空を見つめ、その場からまったく動こうともしない。明らかに異常だ。

  牙はハウルの肩を掴み耳元でハウルの名前を呼んでみる。しかし、やはり、リアクションがない。

  「ハウルさん!!」

  大きな声でも、ピクリとも動かない。反射すらしない。どうしてしまったのだろうか。

  混乱し、動揺する牙。と。

  「ぁ…んんぅぅぅぁぁぁぁっ…!?」

  突如としてハウルがうめき声を上げ始めたのだ。

  そして同時にごきん、ごきんと凄まじい音が響き始める。

  「ハウルさん!」

  「ァァァァッ!!グゥゥゥゥ!!」

  先程まで虚空を見つめており虚ろだった表情が苦痛に歪んでいく。

  ごきん、ごきんと音は繰り返される。その度にハウルの体がどんどんと変形していった。

  大きくせり出していたマズルが、しゅるしゅると小さくなっていく。

  筋肉に覆われていた体が穴の開いた風船のようにしぼんで。

  みるみる内にハウルの体は小さくなっていき…

  牙は絶句した。

  音が止んだ後、そこに残っていたのは。

  「…おれ…?」

  ぶかぶかになってしまったシャツだけを身に纏った、小さな狼の少年だけだった。

  

  [newpage]

  

  「まぁ、多分だけど、さっきの基地であたった攻撃がげーいんだろうな。」

  部屋に入るとハウルは腕を組みうむ、と頷いた。

  その口調は舌っ足らずでどこか愛嬌を感じてしまうほどだ。

  牙はがっくりとうなだれため息を吐く。自分のせいでここまでハウルに迷惑をかけてしまうとは。

  「すいません、ハウルさん…俺のせいで…」

  「だから、きにすんなって。うんうん。」

  牙の座り込んでいるベッドをよじ登るとハウルはにっこりとほほ笑み小さな手で牙の頭を撫でた。

  小さくほっそりとした手。そして柔らかな肉球が牙の頭を心地よく刺激する。

  「それに、なんかおれは楽しいぞ。なんでかわからないけど。」

  そう言うとハウルは牙の膝の上にちょこんと座り込んだ。

  小さな、とても小さな体はぴったりと牙の体に密着して暖かく。

  「ハウルさん…」

  少し微笑みを取り戻した牙にハウルもにっこりと笑った。

  「そのうちなおるさ。ね、きばにーちゃん♪」

  いたずらな言葉。ハウルは尻尾をふるふると振り牙の腹を撫でる。

  「そう、ですね。」

  

  次の日。

  体調の変化があっても大丈夫なように牙とハウルは一緒のベッドで眠っていた。

  先に目を覚ますのは牙。腕の中にはすやすやと安らかな寝息を立てながら眠る小さな狼の少年。それはまぁ、ハウルなのだが。

  あぁ、愛おしい。

  「んぅ…とーさん…かーさん…」

  夢で両親に会っているのだろうか。呟く言葉はとても幸せそうで柔らかだ。

  勇壮な姿と、淫乱な姿と。両方を知っている牙でも見たことのない姿。

  ぎゅう、と少しだけ強く抱きしめながら牙はハウルの耳の裏を爪の先でかりかり、と掻いてふぅ、と息を吹きかける。

  「ぁっ…♪」

  その刺激にハウルは意識こそ取り戻さないものの少々艶っぽい声を上げた。

  暖かい。こんなに暖かい気持ちになったのは、いつ以来だろう。

  「ん…♪」

  ハウルは耳をぴこぴこ、と動かしながら目の前にある牙の胸に抱き着いた。

  小さなマズルがすりすりと押し当てられて、時折乳首に鼻先があたる。

  「うぁっ…」

  びくっ、と震える牙。その衝撃にハウルはん、と眉をしかめると眠たげに目を開いた。

  「…おはよ…きば…」

  「お、おはようございます…ハウルさん。その、気分はどうですか?」

  「ん…ねむい…」

  目をごしごしと擦りハウルは何とか起きようとするがまた目を瞑ってしまう。

  流石にそろそろ起きて医務室に行き、原因の調査などをしないといけないし、報告もあるのだが…

  「ねるぅ…ふぁぁぁ…」

  思い切り欠伸をするとハウルはすぅすぅとまた寝息を立ててしまった。

  牙はハウルの頭を優しく撫でる。その頭によぎるのは遠い思い出。

  弟と一緒に眠り。一緒に過ごしていた。光に満ちていた。

  その姿を思い出す。今のハウルと重なって。

  「おやすみ…」

  優しいつぶやき。ハウルに届いたのだろうか。わからないけれど、ハウルはにこっ、と笑った。

  失ってしまった光は戻らないけれど。

  新しい光は。

  

  

  「ハウルさん!」

  「お願いします!」

  ハウルの前に立つのは複数のヒーロー達。ハウルは困惑した顔をしているが…

  今の自分にできることがない事も分かっているので。こくり、と頷いた。

  「頑張って、おにーちゃんたち!」

  にっこりと笑いヒーロー達に激励を送るハウル。

  少年らしい無邪気さ、可愛らしさに。

  「「「ぉぉぉぉ!!!!」」」

  …団員たちの士気、うなぎ上りである。

  幼くなってしまったハウルはあれ以降外に出ていない。当然ヒーローとして戦うことも出来ないからだ。

  最初は軽く指揮を出して頑張れ、というぐらいだったのだが。

  一部のその、少年好きなヒーロー達の提案からこんな風に声をかけているのだ。

  やる気全開。エンドルフィン全開。

  張り切って出ていくヒーロー達を見送って…ハウルはため息を吐いた。

  記憶はあるのだが、どうにも精神がそこまで追い付いていないようで。

  「ひまだなぁ。」

  ぶぅ、と唇を尖らせてハウルは椅子にぼすん、と座り込んだ。

  皆が出て行ったあと、特にやることもない。とかく子供というのは退屈が嫌いなのだ。

  最初は見るものすべてが新鮮で大きくて楽しかったのだが、本部の中も歩き回ってしまった。

  外に出て思い切り走りたい。遠くにちょこっと見える窓の外を見ながらハウルはぼんやりとそんなことを考えていた。

  「とりあえず、へやにもどろう。」

  ここでこうしていても特に何も起きないのも分かっている。ハウルは立ち上がり自分の部屋に向かった。

  と。牙の部屋の前を通った時。

  「あれ、ドアあいてる。」

  いつもはしっかり鍵を閉めてあるのに、今日は急いで出ていったのだろうか。ドアがわずかに開いていたのだ。

  ハウルはにやっ、と笑うと迷うことなくその部屋の中に入っていった。

  カーテンが閉めてあり薄暗い。部屋の中は必要最低限の物だけが置いてありさみしいものだ。だが。

  「きばのにおい…」

  くんくんと鼻を動かしながらハウルはゆっくりと部屋の中を進む。

  初めて小さくなって寝たとき、牙に抱きしめられたまま眠っていた。とても暖かく、心地よくて。

  「…んっ…」

  ハウルはベッドにとびこむとタオルケットに顔をうずめた。

  安心する臭い。雄の臭い。牙の臭い。いろいろな臭いが混じって。くんかくんかと何度も臭いを嗅いでいると。

  僅かに粟の花の臭いがした。それは、おそらく。

  自慰で出てきた精液の臭い。

  記憶が掘り起こされる。快楽を思い出してしまう。

  牙の部屋。駄目だと頭で分かっていても。幼いハウルにはそれを抑えることなど、出来る訳がなかった。

  「はぁっ…」

  頬を紅潮させ、ハウルはズボンを下ろした。生殖器も当然のごとく幼くなっている。

  小さく皮を被った可愛らしいペニス。それは天を突いてぴくぴく、と時々震えていた。

  ドキドキしてゾクゾクする。いけないことをしている。こんなことしちゃいけない。

  わかっているのに。

  ペニスに向かって小さな手を伸ばす。指先がそっと先端に触れるとそれだけでびくり、と背筋を震わせて。

  とぷとぷとあふれ出す先走り。ハウルの小さな肉球をねちょり、と濡らした。

  どくんどくんと心臓の音が痛いほどに聞こえる。はぁはぁと呼吸が荒くなって。

  竿を指先でつまみ上下に動かす。たったそれだけで…

  「きもちっ…いぃ…♪」

  可愛らしい声で呟きハウルは一心不乱にペニスを擦る。

  先走りの量が徐々にその量を増してにちょにちょと卑猥な水音を立てた。

  こんな姿見られたら。どうしよう。そんなことすら頭から消えていく。

  白く、白くなって。もっと気持ちいいこと、したい。

  ベッドにうつ伏せでに倒れ込み、腰をわずかに浮かせて。

  牙の臭いが染みついたマットレス。タオルケット。それらを身に纏って。

  「あんっ…んぅぅっ…!」

  腰が痙攣して、ハウルは舌をだらしなくはみ出させた。

  ペニスの根元が熱くなってくる。小さな睾丸がきゅぅ、と縮み上がって。

  「あっ、だめっ、んぅぅっ…!れちゃっ…!!」

  悲鳴に近しい嬌声を上げるとハウルは全身を激しく震わせながら絶頂に達した。

  ぴゅるぴゅるっ、と薄くそこまで量も多くない精液が溢れてマットレスを汚してしまった。

  しばらくその体勢のまま熱に浮かされた瞳で宙を見つめているハウル。

  そして少しずつ絶頂から抜け出すと…しまった、というような表情を浮かべた。

  マットレスにこびりついた精液。ハウルは震える腰でなんとか立ち上がると部屋の中を漁り始めた。

  幸運なことにティッシュはベッドのすぐ近くの机に置いてある。すぐにそれを手に取る。

  「あれ?」

  そこで一つの写真を目にするハウル。そこに映っているのはとても幸せそうに笑う、4人の人。

  両親に幼い兄弟。とても仲が良さそうで、眩しくて。

  詳しく聞いたことはない。だが、ハウルは直感でそれが牙の家族だということに気が付いた。

  そうか。彼は…

  「ヒーロー、か。」

  そのつぶやきの意味するところは。

  自分でもわからない。ハウルはなんとなく胸に痛みを感じ写真から目を離して、事後処理を行った。

  

  [newpage]

  

  牙とハウルは街に繰り出していた。ヴィランに現状を知られると非常にまずいのだが…

  ハウルの幼い精神では限界があるというもので。

  「そとでたい!!!!」

  とまぁ大騒ぎ。今まではなんとかなだめすかしていたのだが、それも限界。

  で、本日非番だった牙と一緒に出掛けているのだ。もちろんばっちり牙も変装済。

  久々に吸い込む外の空気。そしていつも見慣れているはずなのにすべてが新鮮に見える街。

  ハウルは目をキラキラさせながら首を動かしていた。

  「すげぇ!ビル!たけぇ!人!でけぇ!」

  「ハウルさん、落ち着いて…」

  騒ぎ動き回るハウルに牙は苦笑する。なんていうか、手を離せばどこにでも行ってしまいそうだ。

  ハウルにもこんな一面があるんだな、と思いつつそれをたしなめて。

  口を尖らせ、不満そうに頬を膨らませるハウル。

  「だってひさびさのそとだし。ってか牙…あー、いや、おにーちゃん、けいごきんしってはなし!」

  思い出したように指を差すハウル。確かに少年に敬語とさん付けはちょっと怪しいだろう。

  なので、二人は兄弟、という体で外に出ることにしていた。

  「す、すいま…あ、いやわりぃ、癖で。…じゃあ行くか、ハウル…」

  「ん!」

  手をぎゅっと握って。まるで本当の兄弟のようで。二人は上機嫌に歩き出した。

  ざわざわとにぎやかな街並み。人が大きくて空が広くて。

  歩いているだけで何故かワクワクしてくる。

  ハウルは耳をピコピコ動かし尻尾をぶんぶんと振りたくっていた。

  「まちってすげぇな!おれ、こんなたのしいのひさしぶりだ!」

  大人の記憶を持ちながら、子供の精神。それはとても不思議だけど、そんな不思議な気持ちも吹き飛ぶぐらいに。

  「…どこ行こうか。」

  目的もなく歩いてもいいのだが、当面の目的地を決めた方がいいだろう。

  呟き腕を組む牙の脚にぎゅっと抱き着くハウル。

  牙の顔を見上げ。

  「おにーちゃんとなら、どこでも!」

  その言葉の響き。どこか懐かしく。そして、ずきりと胸が痛む。

  牙は笑顔に少しだけ暗い色を混ぜて。けれど真っ直ぐにハウルを見つめる。

  「分かった。じゃあ、公園、行こう。弁当買って、な。」

  「うん!」

  大きなデパートに入る。やはりこちらもにぎやか。

  広場で休む人たち。談笑する人たち。

  「あ、ソフトクリーム!」

  その中でちょっとした屋台のような所でソフトクリームを売っているのを発見したハウルが指さした。

  いつもならきっと素通りしていただろうが…今のハウルには無視しがたいものだ。

  「たべたい!ソフトクリーム!おいしそう!」

  尻尾は激しく振りたくられて、千切れてしまいそうな勢いである。

  牙は苦笑いしながら頷いた。

  「わかった。」

  「やったー!!」

  両手を上げて。全身で喜びを表すとハウルはてとてとと屋台に近づく。

  様々なフレーバー。バニラに、チョコに、イチゴに…

  「なににしようかな?ぜんぶたべたいなぁ!」

  「一つだけな。全部は腹壊すからダメ。」

  「あ、そうだね…うーん…じゃあ…おにーちゃんはなにあじ?」

  「んー…俺だったらチョコかな。」

  「じゃあ、チョコにする!」

  即断即決。売り子の人に注文して。

  ぐるぐるととぐろを巻くソフトクリームをじぃっと見つめる。

  当然尻尾はさっきっからずぅっと振られっぱなし。

  「はい、チョコソフト。気を付けてね。」

  「ありがとー!」

  受け取ったソフトクリームはハウルの手には大きいものだ。

  にっこりと笑い頬を紅潮させて牙の顔を見つめる。とても幸せそうで。

  ぱく、と一口頬張り。目を細める。

  「おいしい!」

  牙はじっとその笑顔を見つめていた。懐かしく。そして、痛い。

  溢れていく思い出に。消えない笑顔。重なった。

  とても賑やかな場所なのに。しん、と耳の奥が静かになる。

  見える景色が色を失う。遠くに見える鏡。そこに映るのは自分。

  白黒の世界で、紅く染まった自分。誰の?何の血?

  家族の。自分の。ヴィランの。

  「にーちゃん!」

  ばしっ、という体に響く音と声に牙は現実に一気に引き戻された。

  背伸びをして、ソフトクリームを差し出すハウルがそこには居て。

  「はいっ!一口!」

  純真無垢な笑顔。牙は微笑み返し一口ソフトクリームを頬張った。

  甘く、チョコレートの香り。冷たく、心地よい。

  「んっ、美味しい。」

  「ねっ!いつもはこんなのくわないけど、すごい!」

  ぱくぱくと口の周りにべったりとソフトクリームをつけながら夢中で食べるハウル。

  牙はティッシュを取り出しハウルの口の周りを拭き取る。

  「ほらほら、そんなに急いで食べちゃ駄目だぞ。」

  「んっ!」

  あの頃と重なって。安らいでいく。先程までの幻影は、嘘のように。

  もしゃもしゃとコーンまで口に含み、頬を膨らませる。

  「じゃあおべんとう!」

  「あぁ。」

  

  [newpage]

  

  弁当や飲み物も買った。ざわつく街並みを抜けて、広い公園。

  街程人は居ないがそれでもそれなりに人がいる方だ。

  「ひろーい!!!」

  「あ、ちょっと!」

  我慢しきれず走り出したハウルに牙は声をあげた。

  小さな足を懸命に動かして走る。と。

  「あぅっ!」

  ずるっ、と足を滑らせ、ハウルは見事に転んだ。そりゃあもう完璧な転び方である。

  「大丈夫か!?」

  急いで近寄る牙。ハウルはすくっ、と立ち上がりぱんぱん、と服にくっついた土埃などを払って笑う。

  膝に擦り傷が出来ているが、あまり気にしていないのか。

  「ん!だいじょうぶ!ほら、あそぼう!」

  「…あぁ!」

  二人のヒーロー…いや、二人の兄弟は公園を走り回る。

  ただそれだけのことが、楽しくて。全てを忘れて。

  「ほら、こっちこっち!」

  遊具に昇り広場を見渡すハウル。遊具の大きさ的に上がれそうにもない牙はそれを下から眺めて。

  「すげぇ!ひろい!たかい!」

  「気をつけろよー。」

  ハウルの目に映るのは、いつもと同じ変わらない。静かで平和な街の姿。

  けれど、今は全てが光って見える。同時に。

  自分たちがこの街を守らなければ、この光は失われてしまうのかと。

  難しいことは今のハウルには分からないけど。でも。

  「おれ、ぜったい、まもるんだ。」

  舌っ足らずに、でもしっかりとした口調で。ハウルは決意を固める。

  その言葉は牙にも届く。そうか。彼と自分では戦う理由が似ているようで違うのか。

  ずきん、と。感じていた心の痛みが強さを増す。忘れていたのに。忘れていたかったのに。

  それでも。牙は頷いた。

  「そう…ですね。」

  暗い光が、瞳に見えて。ハウルは…とう、と遊具から牙に向かってジャンプした。

  「うりゃっ!」

  「あ、ちょ、うわっ!?」

  なんとか落下してくるハウルを抱きしめるが…バランスを崩して牙は尻もちをつく。

  ハウルはははっ、と声を出して笑った。

  「ほらほら、もっとあそぼ!まだじかんは、いっぱいあるよ!」

  日が暮れるまで。

  それまでは、彼らはヒーローではないのだから。

  太陽が天高く昇った。少し遅めの昼食をとる。ちょっと奮発していいお弁当を買った。

  二人でのんびり食べる。

  また遊んで。ちょっとだけ昼寝をして。爽やかに吹く風が毛並みを揺らす。

  ずっとこんな時間が続けばいいのに。

  やがて太陽が沈み始める。そうか。夢みたいな時間はもう終わりなんだ。

  「帰ろうか。ハウル。」

  静かな牙の声にハウルは一拍置いて頷いた。分かっている。何もかも忘れてこのままいるなんて出来ない事。

  楽しかった。この時間はみんなの物。それを守るのは自分たちなのだから。

  「うん…」

  耳を畳み、尻尾を力なく垂らす。そんなハウルの頭をぐしぐしと撫でて牙は微笑んだ。

  「きっと、終わるから。大丈夫。また遊ぼう。」

  ヴィラン達との戦いが終わって。その時自分がいるか。どうなっているか。何も分からない。

  「うん!ぜったい!」

  指切り。固い約束。

  手を繋いで寮に戻る。また、いつも通りに。

  帰り道の途中で。

  牙はぴんっ、と耳を立てた。ぞわりと背中に寒気が走る。感じる。

  ヴィランが近くにいること。少しだけ遅れてハウルもその気配を感じ取った。

  「ハウルさん…!」

  「あぁ…いってくれ、牙。いまのおれじゃ、あしでまといだ。」

  「はいっ!」

  しゅばんっ、と音が聞こえた。そして牙の姿が消える。

  うむ、と腕を組み頷くハウルだったが。

  「…あれ?」

  一人になった途端。周りの景色が変貌したように感じた。

  沈みかけた太陽が半分ほど姿を隠し、紫色に辺りを染める。

  まだ明るいと思っていたのに、暗い。街灯の光すら心もとなく。

  じじじ、と虫の飛ぶ音。見慣れた街が。恐ろしい何かに変わっている?

  「あ…」

  記憶はある。寮までの道も分かる。なのに。一歩も踏み出すことも出来ない。

  この街灯の下から離れた所に恐怖を感じるのだ。

  ぎゃあぎゃあと鳴くのは烏か。遠くに聞こえるざわつくような人々の声も。

  そういえば、子供の頃は怖がりだった。友人の家から帰る時が苦痛で仕方なかった。

  様々な記憶が掘り起こされて。

  ハウルは街灯の下に座り込む。歩けば帰れる。分かっている。理解している。

  何もない。それも頭では分かっている。しかし、幼い精神が暗闇へ行くことを拒んでいる。

  「かえらなきゃ、かえらなきゃ…」

  何度もつぶやいて、自分に言い聞かせても。足はただ震えるばかり。

  尻尾が丸まり、耳が折りたたまれる。今にも泣き出しそうな大きな瞳。

  やがて太陽は完全に沈み、辺りは月明りで仄かに照らされる程度になってしまった。

  どうすればいいのか分からない。小さなとき、自分はどうしていたのだろうか。

  「だれ…か…」

  道には誰も通らない。自分一人だけが世界から取り残されてしまったようだ。

  涙が溜まり、視界が滲み始めて。

  「…ぅぅぅぅぅ…!」

  泣いてはいけない。涙を見せるのは。座り込み膝に顔をうずめる。

  けれど、自然と溢れそうになった。その時。

  街灯と月明りが何かに遮られる。

  大きな影。何かがハウルに近づいていた。

  「ひぅっ…!」

  思わず出す悲鳴。それにかけられるものは。

  「ハウルさん!?大丈夫ですか!?」

  驚いたような声。ハウルは恐る恐る顔を上げた。そこにいるのは。

  汗をかき、しっとりと毛並みをわずかに濡らした牙。

  はぁはぁと息を荒げる彼の姿に。

  「良かった。びっくりしましたよ。寮に戻ってみたらいないし…」

  少し苦笑いをする彼の姿に。

  緊張の糸が切れた。

  「…ぁぁぁぁぁっ!!うぁぁぁぁぁ!」

  かっこ悪い。自分でも分かっているのに涙が止まらない。

  声を出して泣くなんていつぶりだろう。そんなことを頭の片隅で考えながらもハウルは泣いた。

  驚き戸惑う牙だったが…やがて優しい笑みを浮かべて泣きじゃくるハウルを抱きかかえた。

  そして頭をぽんぽん、と軽く叩きぎゅっと抱きしめる。

  家族をなくしたあの時より大きくなった手で。

  「一人にしてごめんな。もう大丈夫だから。」

  「あぁぁっ、ひぐっ、あぅぁぁぁぁっ!」

  これだけ涙を流したのは、いつぶりだろう。

  暖かく包まれた全身。守られるという事。

  それの意味が、少しわかった気がした。

  

  [newpage]

  

  戻ってきたヒーロー達。それを笑顔で迎え入れるハウル。

  ざわざわとにわかに賑わうロビーの中で。

  少し離れた位置に牙を見つけた。その表情は浮かなく、そして本能的に恐怖を振りまいているようだ。

  「なぁ、シェン。」

  「ん?」

  「牙、きょうはどうだった?」

  東洋龍のヒーロー―シェンに問いかけるハウル。シェンは腕を組みううむ、と唸った。

  「いつも通りっちゃあいつも通り。…独断専行。まぁ細かい命令は出てなかったからよかったが…あんまり続くと不味いな。」

  「そうか。ありがと。おつかれ。」

  「あぁ。」

  やはり、牙はまだ何かに囚われているのだろう。

  てとてとと牙の方へ駆け出す。とても鋭く、冷たい雰囲気。近づくだけで膝が自然と震えた。

  でも。

  「牙。」

  「…」

  何も答えない。牙はどこか一点を見つめている。その目は血走り、今にも暴れだしそうだ。

  もう一度声をかけても反応は同じ。…はぁ、とハウルはため息をつき。

  「おりゃっ!」

  牙の太ももに全力のパンチをかました。

  まぁ、子供の力だ。たいした威力ではない。だが。

  「いてっ!?」

  突然の衝撃に牙は思わず情けない声をあげ太ももに手を当てた。

  ハウルはにっ、と笑い牙の腰のあたりを撫でた。

  「シェンから聞いたぞ。つぎ、めいれいやぶったら全力のげんこつっていったよな、おれ。」

  「ハウルさん…」

  「いまのでかんべんしてやる。ほら、はやくやすめ。それともめしにするか?」

  「…いや、部屋で休みたいです。」

  「よし、じゃあいこうぜ。」

  ハウルは牙の手を取って。肉球と肉球が触れ合う。

  どきっ、とした。頬をわずかに赤くして牙とハウルは歩き出した。

  牙の部屋。牙は部屋に入りベッドに座り込んでうなだれた。

  「いま、コーヒーいれるからな。」

  気を使い、ハウルはケトルに水を入れるとそのスイッチを入れた。

  こぽこぽと水の沸く音。それだけが部屋の中を支配する。ドアを閉めて。

  夕日が差し込む部屋は、どこか切ない暗さ。

  「…ハウルさん。」

  「ん?なんだ?」

  「いや、その…やっぱり、何でもないです。」

  顔を上げ、すぐに下げてしまう牙。喉に言葉が突っかかってしまったように。

  言えない、言いたくない事なのかもしれないが。

  ハウルはてこてこと牙に近づきベッドに乗ると牙の背中に抱きついた。

  「いまのおれは、こどもだ。ヒーローじゃない。だから、なんでもいってみろ。ぜんぶ、わすれるから。しらない、わからないから。」

  あたたかなことばに、暖かな腕に。

  牙は表情を歪ませる。口の端を噛んで。

  「なんで貴方はそんなにっ…!」

  「まもりたいから。いっしょに、たたかって、まもりたいから。おまえも、みんなも。」

  真っ直ぐな言葉。それは光に満ちていた。

  眩しくて、眩しすぎて。牙はぎりっ、と歯ぎしりをする。

  「俺、分からなくなるんです。自分が本当に自分なのか。こうやって今、ハウルさんと話してる俺が偽物で、ヴィランを殺して、何もかもぶっ壊そうとしてる俺が本物なんじゃないかって。怖いんです。俺が俺で無くなるのが。」

  「うん。」

  「暴れて暴れて。復讐は何も生まない。けれど、俺にはそれ以外に何もない。その先も、何も。真っ暗で。」

  「うん。」

  「もし俺が俺じゃなかったら。俺が…みんなを…」

  泣きそうな声。震える体。ハウルは少し力を込めてぎゅっ、と牙を抱きしめた。

  「そのときは、おれがなんとかしてやる。それに、おまえはおまえだ。だいじょうぶ。おれはしんじてる。おまえなら、ぜんぶこえられるって。おれには、おまえがなにをかかえてるか、わかんないけど。でも、しんじてる。」

  その言葉が。

  痛い。

  「ならっ…!」

  牙の中のどす黒い感情が、爆発する。全てを壊して、全てを砕いて、全てを己のものにしようとする。感情が。

  牙は今までにハウルが見たことのない邪悪な笑顔を浮かべながら振り向き、ハウルの体を押し倒す。

  突然の出来事に、ハウルはそのまま受け身も取れずどさっ、とベッドに倒れ込んだ。

  「うぁっ!?」

  倒れ込んだハウルの腕をつかみ、ベッドに押し付けると牙―いや、黒い狼はぺろり、と舌なめずりをする。

  「どうしたって、構わねぇよなぁ?」

  ぞくり、と背中に冷たいものが走り抜けて。

  黒い狼は血走った眼付きでハウルをにらみつける。それでも。

  「…あぁ。なにをされても、おれはおまえをしんじる。」

  ハウルはにっこりと満面の笑みを浮かべて黒い狼を受け入れる。

  じっと真っ直ぐに見つめる。黒い狼が浮かべる瞳と真逆の暖かさで。

  それが黒い狼を苛立たせる。

  「気に入らねぇ…!てめぇっ…!そうやって!善人面して!」

  ギリギリと音がするほど強くハウルをベッドに押し付けて。

  痛みに顔をしかめるハウル。だがすぐに表情を笑顔に戻す。

  街灯の下で震えていた少年。今も泣き出してしまいそうなほどに怖いはずなのに。

  信じているから。きっと、手は差し伸べられる。

  「…うん」

  「助けられなかった!俺は!誰も!あいつも!家族も!」

  「うん。」

  「だったら、俺はなんなんだ!全部ぶっ壊してぇ!てめぇも犯してぇ!全部俺のものだ!」

  「おまえは、ヒーローじゃないのか?」

  「違う!俺は…!ただの…復讐者…!全部ぶっ壊す!それしか俺には!」

  「ちがうよ。」

  いつの間にか溢れていた涙を掬い取り、ハウルは牙の頭を撫でた。

  「おまえはヒーローだ。だれかをすくえる。すくなくとも、おれはすくわれた。」

  「それ以上に俺は!」

  「せかいのすべてをすくうなんて、だれにもできない。だから、すこしずつすくって、たすけて。」

  「壊してきた!守れなかった!掌の上だって!」

  「それはそのときのおまえだ。いまのおまえはちがう。てのひらのうえだってすくえなくても。すこし、たすけられた。」

  「俺はッ…」

  「そうやって、≪ヒーロー≫になるんだよ。たぶん、な。」

  黒い狼―牙はボロボロ零れる涙を、自分で拭った。

  「おれも、わかんねぇよ。なんも。だから、いっしょにあがこう。」

  「…はいっ…」

  「あ、あと…」

  ハウルは笑顔を歪めて…瞳を潤ませた。

  「かた、いたい…」

  「あ、あっ、す、すいません!」

  急いで牙は手を放し立ち上がった。そしてハウルを見下ろす。

  緊張の糸が切れたハウルは、うぇぇぇ、と声を上げて泣いた。

  よっぽど痛かったのだろうか。その姿が愛おしくて。あの時守れなかった家族を思い出す。

  今の自分でも救えたか分からないけれど。

  きっと救う。

  自分と向き合え。背を向けるな、流されるな。

  真っ直ぐに、真っ直ぐに。

  牙は改めて決意を固め…ハウルの横に倒れ伏す。

  そしてハウルの頭を優しく撫でた。あの時、あの瞬間。弟に出来なかった分を取り戻すように。

  「ごめん。痛かったな。」

  「ぅぅぅ…おれ、かっこわるい…いだい…」

  「そんなことない。良く我慢した。えらい、偉い。」

  「…うぅん…」

  ゆったりと時間が流れる。

  

  

  「いや、迷惑かけた。」

  いつも通りの姿に戻ったハウルは頭を下げた。

  それに対しハウルを囲むヒーロー達ははぁぁぁ、とため息をついた。

  「もうちょっと小さいままでよかったんじゃないか?」

  「素直でやんちゃないい子だったなぁ…」

  「もうあの元気な姿を見られないのか…」

  迷惑をかけられたとかそういう理由でため息を吐いたのではなく、残念で仕方がない、という意味だったらしい。

  記憶は残っているのかハウルはほんのり顔を赤くする。

  「も、もう忘れてくれ!あれは俺…だけども!俺じゃねぇ!」

  「『頑張って!』ってなぁ…牙もそう思わねぇか?」

  なれなれしく牙の肩に腕を乗せる龍のヒーロー。牙は苦笑いしながら頷く。

  「確かにそうですね。俺もそう思います。ハウルさん、ちっちゃいころ可愛かったんですね。」

  「だぁぁ!もうやめやめ!ほら!いくぞ!おにーちゃん!」

  「「…えっ」」

  素で出てしまったようだ。未だに幼児化の傷は癒えず。

  全員の空気がハテナに包まれたのに疑問を抱くハウル。そしてすぐに自分の発言を思い出し、顔を真っ赤にした。

  「い、いくぞ!!!!ぜってぇぶっとばぁぁぁす!!!」

  …彼らの戦いは、まだまだ続くのだった。

  

  おしまい。

  

  [newpage]

  

  

  

  おまけ。

  「ねぇ、おにーちゃん、たのしいことってなにするの?」

  小さな狼―幼児化したハウルは首を傾げながら腕を熊のヒーローに引かれながら歩いていた。

  その表情はあどけない。それもそのはずだ。今のハウルはハウルであって、ハウルでない。

  どうやら時間が進むにつれ、記憶まで退行してしまったようなのだ。

  熊のヒーローはにこっ、と―少し邪な色を混ぜて―笑う。

  「すぐ分かるよ。きっとハウル君も好きになることだよ。」

  説明になっていない説明。それにハウルは疑問を抱くも否定することは出来ずこくりと頷いて歩く。

  寮の廊下を進み、普段人があまり寄り付かない倉庫方面へ向かう。

  「ここ、こわいよ…」

  尻尾を縮こまらせるハウルの頭を熊は撫でた。

  「大丈夫、怖くないよ。俺もいるし。」

  そして目的地についたのか、熊は足を止める。目の前には少し錆び付いた扉。

  倉庫に備え付けられている準備室のような空間。

  「入るよ?」

  「え、あ…」

  がちゃり、と扉を開ける。ハウルは一歩後ろに引くが熊がそれを許さない。

  中に入ると…薄暗い部屋。

  例えていうなら清潔な体育倉庫、だろうか。

  頼りなく蛍光灯が室内を照らし薄暗い。

  そして甘ったるい臭い。それに、嗅いだことの無い、不思議な臭い。

  ハウルは眉をしかめ鼻を押さえる。

  「このへや、へんなにおい…」

  「ちょっと慣れるまではそうかな。ほれ、連れてきたぞ。」

  ドアにがちゃ、と鍵をかけると熊は部屋の中にいる存在に声をかける熊。

  中にいるのは屈強なヒーロー達だ。全身には傷が残りより精悍に見える。

  虎に獅子に、ハイエナ…その姿は下着だけと非常にラフなものである。

  そしてにっこりとそのいかつさには釣り合わない笑顔を浮かべた。

  「おぉ、よく来たね、ハウル君。」

  「おにーちゃん…なんでこんなところにいるの?」

  頭を撫でる獅子にハウルは疑問を投げかけた。

  当然だ。こんな辺鄙でせまっ苦しいところに集まっているのだから。

  「ハウル君と仲良くなって、楽しいことをしたいからね。だからだよー。」

  そう言うと虎はハウルの体を軽々と持ち上げた。

  「たのしいこと…?」

  「そうだよ。その前に、ほら、ハウル君。ジュースだよ。」

  目を細め紙コップを差し出すハイエナ。その中に入っている液体はオレンジジュース。

  虎はハウルを立たせて、ハイエナの方に歩かせる。

  「あ、ありがとう。」

  少し怯えながらもハウルはそれを受け取りぐびぐびと飲み干した。

  「ほらほら、こっち来てお兄さんたちとお話ししようよ。」

  ぱんぱん、とマットを叩き獅子はハウルに座るよう促す。

  ふらふらとハウルは促されるまま言われるがままにマットにちょこん、と座る。

  「いやー、やっぱハウル君可愛いなぁー」

  耳を畳み座るその姿に獅子はにんまりと満足そうな表情を浮かべハウルの頭に顎を乗せすりすりと鬣をこすり合わせた。

  くすぐったそうにハウルは身をよじらせて。獅子の屈強な肉体がマズルに触れると、汗の臭いがしてくる。

  くらくらとしてしまいそうだ。呼吸をする度に熱い空気が肺を満たす。

  「あ、お前だけとかずりぃぞ。」

  熊も笑いながらハウルの近くに座りハウルの尻尾を摩った。ふかふかの毛並みがふぁさ、と音を立てる。

  「ひゃうぅっ!?」

  びくびくっ、と身を震わせながらハウルはかわいらしい声を上げた。

  「あー、いいねー、ハウル君。ほんと可愛い。食べちゃいたい。」

  「お前の場合は冗談に聞こえないんだよ。ねぇ?」

  虎とハイエナの軽快な会話にハウルは頷く事しか出来ず。

  薄暗く、狭い空間で。ただ会話をしているだけの時間。

  コップに緋色の液体を注いでぐびりと獅子はそれを一気に飲み干す。アルコールの臭い。

  ぶはぁ、と酒臭い息を吐きだして。

  「やっぱ仕事の後の一杯はたまんねぇ!」

  「正義のヒーローったって、息抜きできるときはしとかねぇとな。」

  「まったくだ。そう思わない?」

  「あ…う、うん…」

  オレンジジュースを飲みながらハウルはどこかうつろな表情で返事をした。

  どくんどくんと心臓の音が五月蠅い。体の奥が熱い。頬が火照っているような気がする。

  とろんとした目つきでコップを置くとハウルはパタパタと手で自分の顔を扇いだ。

  熱い。

  「どうしたの?ハウル君。」

  優し気に声をかける熊にハウルははぁっ、とため息をつく。

  「あつい…からだ…なんで…?」

  「大丈夫?ほら、ここに横になって?」

  「あっ…らめぇっ…」

  獅子に触れられ、ハウルは全身を細かく痙攣させた。

  ただ触られただけなのに、くすぐったい…?いや、わからない。今のハウルは知らない感覚が全身を走る。

  「だいじょうぶ…だから…」

  体が熱くて暑くてたまらない。着ている服が煩わしい。シャツを脱ぎ、ズボンも脱いだ。

  下着一枚になりハウルはマットに横になる。それでもまだ体が熱く。

  「どうして…?あついよぉ…からだぁ…ぼく、へん…」

  「風邪かな?大丈夫かな?」

  心配そうに話しかける虎。その後ろでハイエナはいやらしく微笑みながら部屋の端にある机に向かった。

  置いてあるのは瓶と…加湿器だろうか。水蒸気が煙となって部屋を覆いつくしている。

  そこに瓶から数滴、滴を垂らす。ぽた、ぽた、と。

  「はぁっ…はぁぁっ…あついのぉ…なんれぇ…?」

  蕩けた瞳に熱い吐息。ハウルは全身を悶えさせながら虚ろにつぶやく。

  自分の体に起きている変化の理由など知る由もないハウル。それを安心させるために―そして、自分たちの計画を遂行するために。

  熊はハウルの胸板に手を当てた。

  「ひゃぅっ…」

  「大丈夫だよ。これはね、男の子ならなっちゃうものだから。」

  「ふぇ…?」

  そして熊はゆっくりと胸板から腹部へ。そしてハウルの下着に手をかけてするり、と脱がせた。

  ピン、と小さなペニスが天を突く。いつもより大きくなっているそれに対しハウルは頬をさらに赤くさせた。

  「やっ、らめぇ、はずかしいよぉ…」

  「大丈夫大丈夫。ほら、こうやって。」

  何が大丈夫なのか良くわからないが熊はハウルのペニスを太い親指と人差し指で優しく扱き始めた。

  皮が剥け、亀頭が露出するとハウルはびくびくと腰を浮かせ甲高い声をあげる。

  「んんっ、んぁっ、あひゃぁっ?!」

  「いいねぇ、可愛いなぁ。ほら、こうやってやるとね、おちんちん、気持ちよくなってくるよー?」

  人差し指の先で裏筋を撫で回すとぴくぴくとハウルのペニスは反応し、とろりと先走りを垂らした。

  「やっ、やらぁっ、なにこれぇ、へんになっちゃうぅぅ!」

  「変じゃないよ、みんなこうなるんだよー。」

  にんまりと笑顔を浮かべながらペニスの裏筋を撫で回し、睾丸を弄ぶ。

  きゅう、と締まった肛門に指を宛がわれた時。

  「あっ、あぁっ、なんかっ、なんかきちゃうぅっ、んぁっ、あんんぁぁぁぁっ!!」

  目をぎゅっと瞑り全身を痙攣させるハウル。ペニスが大きく跳ねて。

  ぴゅるるっ、ぴゅるっ。

  勢いよく精液が溢れ出た。量も濃さも当然子供並みであり、大したことはないのだが。

  熊は自分の手についた精液を舐めとり満足そうにうなずいた。

  「初めての射精おめでとう。どうだった?」

  「はっ、はぁっ…わ、わかんないよぉ…あたま…あついのぉ…からだもぉ…おかしいよぉ、へんだよぉ、ぼくぅ…♪」

  肩で息をしながら答えるハウル。しかしその表情には僅かに淫靡さが宿り始めていた。

  完全に精液を舐めとり終えると、熊は自分の下着をずらした。

  ぼろんっ、と勃起しきりびくびくと跳ねる肉棒を曝け出す熊。それにハウルは息をのんだ。

  「えっ…お、おちんちん…おっきい…」

  「大丈夫、お兄さんたちもね、おちんちんこんなになっちゃってるんだ。だからさ、ハウル君もおんなじようにやってみてよ。」

  「あっ、てめぇ、抜け駆けは許さねぇぞ。ほらハウル君、こっちも。」

  顔に獅子と熊の肉棒が押し当てられる。自分とは全く違う肉棒。

  そして汗をかいていたのだろうか、今までに嗅いだことのない雄の臭いがハウルの敏感な鼻につく。

  先走りがねちょり、と黒い鼻を濡らした。

  「ど、どうすればいいの…」

  「んーっとね…こうやって。」

  言うと熊は自分の肉棒をハウルの右手に握らせた。当然ハウルの手に収まりきるわけもない。

  どくんどくんと脈動する血液の感触が手に伝わる。

  「握ったら、こうやって手を前後に動かして。」

  「こ、こう…?」

  恐る恐るといった風にハウルは右手を動かし始め、上目遣いに尋ねる。小さな手。柔らかな肉球。上質な毛並み。

  その感触はとてももどかしいものだが、間違いなく心地よいものだ。

  熊はぞくっ、と背筋を震わせながらうなずいた。

  「そうそう、上手だよハウル君。」

  「こっちはね、お口で咥えてほしいなぁ。できる?」

  ぬちゃぬちゃと成長途上のマズルに肉棒を擦り付ける獅子。

  流石に抵抗感があるようで…ハウルはくぅぅん、とのどを鳴らした。

  「そうだよね、やだよね。じゃあお兄さんが先に咥えてあげるね。」

  肉棒を離すと獅子はハウルの肉棒を咥え込んだ。

  暖かくねっとりとした粘膜。ざらざらとした舌が射精したばかりで敏感になっているハウルのペニスを刺激する。

  びくびくと震えながらハウルは首を横に振った。

  「つぅぁぁぁぁっ?!」

  「うんうん、いい反応だね、可愛いよ。はむっ…んぶっ…」

  わざと大きな音を鳴らしながら獅子はハウルのペニスをしゃぶる。

  精液と混じった唾液が恥垢を溶かし。尿道に残った精液を吸い上げると…

  「んひゃぁぁぁぁっ!」

  ハウルはまた全身を痙攣させて絶頂に達した。

  ぴゅるぴゅると精液を吐き出し。獅子はそれを飲み込む。

  「んぐっ…ぷはっ…ん、いいね、可愛いね。気持ちよかったね?」

  獅子の質問にハウルは首を縦に振った。

  「うん?…これ…きもちいいの…?へんなのぉ…からだが…むずむずってぇ…」

  「そうだよ。だからもっともっと気持ちよくしてあげるから、お兄さんたちも気持ちよくしてほしいなぁ。」

  「あっ…あはぁっ…♪」

  口の周りについた液体を拭いながら獅子はもう一度ハウルのマズルに血管が浮き出ている肉棒を近づける。

  ハウルはにぃ、と頬を釣り上げるとぱく、と獅子の肉棒の先端を咥え込んだ。

  そして先ほどまで動きを止めていた両手を動かし熊の肉棒を扱く。

  「んぶっ、あむっ、ぷぁっ、あふっ…あんっ…」

  小さな舌と口で必死に獅子の肉棒を舐めまわし雁首をかぷ、と噛む。

  どんどん溢れてくる先走りをハウルは飲み込むことが出来ず、口の端からどろどろと唾液とともに垂れ流していた。

  ぽた、とマットを汚す。そして、それまでにやにやとした笑みを浮かべながら見ていただけのハイエナと虎もハウルに近づいた。

  「尻尾もね、気持ちいいんだよー。」

  「じゃあ俺はケツ穴使わせて貰うかなぁ?」

  「ふぇ…?」

  頭が動かないハウルの尻尾の先端を掴み、ハイエナは自分の肉棒に絡みつかせた。

  そしてそれが性器であるかのようにハイエナは腰を振り始める。

  「あっ、らめぇぇっ♪しっぽ、らめぇっ♪」

  「じゃあ次はお尻の穴もねー。」

  嬌声を上げ始めるハウルの肛門に虎はローションでたっぷりと濡らした指をつぷ、と少しずつ挿入していく。

  「んぁぁぁぁぁぁっ!!!」

  ひときわ大きな嬌声。

  「あひゃぁぁぁっ!らめぇぇっ!あらまぁ、おかひくなっひゃぅぅっ!」

  「気持ちいいねー、お兄さんたちも気持ちいいよー。」

  びくびくっ、と大きく跳ねる肉棒。先走りが大量にあふれ出す。

  ハウルは頭がパンクしそうなほどに与えられる感覚―快楽に壊れたように笑い始めた。

  「きもちぃっ!あっ、おしりっ、らめっ!おちんちん、きちゃぅっ!らめぇぇぇぇっ!」

  「それをねー、イくっていうんだよー。ほら、イくって言ってみて?お兄さんたちも言うから。精液出そうなときにね?」

  「あんっ、ううぁぁぁぁっ!らめぇっ、イくイくっ♪いっちゃうぅぅぅぅ!!!」

  ぴゅるぴゅるっ、とすっかり薄く、量も少なくなってしまった精液を吐き出しながらハウルは何度もその言葉を口にする。

  それだけでまた快楽が頭を焦がす。

  「あっ、お兄さんもそろそろイくねっ!ほらっ!ォォォっ!」

  小さな手で扱いていた熊の肉棒が大きく跳ねると…

  どぶぶびゅるるるっ、びゅるるるっ、びゅぅぅぅっ!

  まるでゼリーか何かのような精液がハウルの顔をいっぱいに覆いつくした。

  「んびゃぁぁぁぁっ♪あちゅっ、あちゅいぃぃっ!らめぇ♪くしゃいのにぃぃ、らめぇっ、いっちゃうのとまんにゃいにょぉぉぉ♪」

  「俺もっ!でるっ!」

  「こっちもだっ!ォォッ!」

  尻尾を使い肉棒を扱いていたハイエナも、ハウルの口を支配していた獅子も。

  ほぼ同時に絶頂に達する。

  マットに白い水溜りが出来てハウルはそこで跳ねた。

  「おひっ、あひぃぃっ♪」

  いきすぎた快楽にハウルは白目を剥き嬌声をあげる。

  しかしまだ終わりではない。肛門をほじくりまわしていた虎の指が更にハウルの奥深くへと侵入してきたのだ。

  こりこりと前立腺を突くと。

  「んやぁぁぁっ♪もうやぁぁぁぁっ♪やらぁぁぁっ、イくのとまんないのにぃぃぃ♪ほじっちゃやらぁぁぁぁ♪」

  「ここが好きなのかなぁ?こことここと?」

  的確にハウルの感じるポイントを抉り。ごりゅごりゅと虎の太い指が腸壁を押し拡げて。

  「んんあぁぁぁぁぁっ♪イグイグイグイグっぅぅぅっっ!!!」

  もはや精液を出すこともできず。ハウルは舌をはみ出させただただ精液の水溜りを跳ねまわる。

  全身に張り付いた精液を飲み込むと、胃の中が満たされ、肺の中が青臭い臭いで満たされる。

  にゅぽっ、と音を立てて肛門から虎が指を抜くと…ごぽっ、と腸液があふれ出した。

  「気持ちよかったねー。ハウル君は?」

  「んへっへへぇ…♪おひっ、はひぃっ♪」

  精液に溺れながらハウルはただ笑う。そんな彼を見つめて雄たちもまた、笑った。

  

  「おにいちゃん、たのしいことしようよ。」

  女性用の下着一枚。全身には拘束具。乳首と耳にはピアス。

  淫靡な笑みを浮かべる。

  「いいよ。ほら、ハウル君。いつもの。」

  熊はハウルの頭を撫でると椅子に腰かけ肘をついた。

  ハウルははぁっ、と熱い吐息を漏らし下着をずらした。

  下着をずらすと極太のバイブを入れた黒ずんだ肛門と先走りを垂らすペニスが露出する。

  太ももを抱え上げてそれらをみせびらかすように開脚する。

  「きもちいいのすきっ♪だからっ、おちんちん、ねじこんでぇ♪」

  

  

  「…っていうのを想像してた」

  「よしちょっとこっち来い。正義のヒーローとしてそんな事を考える悪党を成敗しないとならんな。」

  「待ってハウルちょっとほんとにまってってそんなぼきぼき拳を鳴らすなってほんと」

  「五月蠅い黙れ」

  「ショタ化したヒーローがいたらそりゃこんな想像するぐらいいいだろやめっ」

  「うわぁ、ミンチよりひでぇや(棒)」

  「牙さんどうしました?顔、真っ赤ですよ?」

  「いや、想像したら…ちょっと…」

  「…もっと和やかなものを想像しましょう。ほら、ご飯を一緒に食べる、とか。」

  「そうですね。」

  

  [newpage]

  

  

  おまけその2

  夜も更けた。空には半月が頼りなく浮かんでいて。

  「おにいちゃん…」

  小さくなってしまったハウル。それの面倒を見るのは牙だ。

  最初の頃こそ記憶もあったようだが…今では精神も記憶も退化しており、牙の事を兄だと思っているようだ。

  ベッドに座り寝ようとしていたところに声をかけられ牙は優しく微笑んだ。

  「どうした?」

  「…こわいゆめみて…その…」

  もじもじとするハウル。牙はベッドに寝転がると自分の真横にスペースを作りポンポン、と軽くそこを叩いた。

  「一緒に寝よっか。ほら、いいぞ。」

  ぱぁ、と明るい表情を浮かべハウルは牙の横へと飛び込んだ。

  「おにーちゃんのにおいする♪」

  そして鼻を動かすと無邪気に笑った。その心からの笑みに牙も綻ぶ。

  優しく頭を撫でて。ハウルはぴこぴこと耳を動かした。

  「くすぐったいよぉ。でも、きもちいい。」

  「俺も気持ちいい。耳の裏、柔らかい。」

  頭から耳へ。耳から耳の裏へ。人差し指で耳の裏をなぞり親指で耳の中の産毛をくすぐる。

  柔らかな毛並みが牙の指に絡みつく。ハウルはぞくぞくと背筋を震わせた。

  「あっ、おにいちゃん、そこ、だめぇ…」

  上気した頬。恥ずかしそうな表情を浮かべ上目遣いに牙を見つめて。

  牙は手を離す。だが代わりに。

  「ごめんな。」

  ぎゅっと強く。強く。折れてしまいそうなほど強くハウルを抱きしめた。

  逞しい腕。胸板がハウルを圧迫する。

  苦しそうにしているハウルだが…すぐにその表情が恥ずかしそうなものに変わった。

  「おにいちゃん…その…お、おち…」

  「ん…あっ…」

  ハウルの指摘に牙は顔を真っ赤にした。そう、ハウルを抱きしめた際に細い指が股間にあたり…

  肉棒が膨れてしまっていたようだ。それが見事ハウルの腹に直撃。

  急いで距離を置く。じっと見つめあった。

  「そ、その…えぇっと…ね、寝るか」

  ようやく言葉をひねり出す牙だったが、ハウルは首を横に振った。

  そしてパジャマのボタンを外す。少しずつ露わになる体。牙はぼふんっ、と頭から煙を出した。

  ハウルはというともじもじしながら恥ずかしそうに真っ平らな胸をちらちらと見せる。誘惑してるってやつかこれ。

  「え、えと…その、おにいちゃんが、そうなったら、こうしたらいいって、ヒーローのみんなが…おしえてくれて…」

  なんつーことを教えてんだという思い半分、正直グッジョブという思い半分。

  いやまて落ち着け。相手は子供だぞ。というか行為できる年齢でもないだろ。いやでもまて、ハウルは一応30代前のはず。なら別にやっても。あ、いや、やるってそうじゃなくって。

  とかとか。なんかいろいろ頭をよぎってそれどころじゃないらしく動きを完全に止めた牙。

  ハウルはすりすりと近寄り、牙の腹筋をつぅ、となぞった。

  「そ、その…え、えっちなこと…す、する?」

  「あ、いや、その、えと、あーっと、あのだな、あれだ、いや、その」

  しどろもどろに返す牙。しかしハウルは止まらない。

  マズルを近づけくんくんと牙の臭いをかぐ。

  「なんかね、おちんちん、むずむずして、へん。ぼく、えっちでいけないこ。だけどね、えっと、おにいちゃんのもってるえっちなほんみて、その…してみたいって…だめ?」

  尻尾を縮こまらせ涙目になりながら頬を赤らめ上目遣い。露骨だ。露骨すぎる。

  言葉通りにハウルの股間部もちょっぴり盛り上がってるし。ちらちらとぴん、とたち綺麗なピンク色の乳首も見える。

  理性がぷちーんとはじけた。そう。

  据え膳食わぬは男の恥!

  というか合法だ!これは合法!お互い承知!相手は30台手前!こっちは18!いける!

  「ダメな訳ないだろ!あぁぁぁ!もう!」

  「あぅっ!」

  ハウルを押し倒し、牙はするするとズボンを脱いだ。

  バキバキに勃起しグロテスクに絡みつく血管を浮かび上がらせた肉棒が外気にさらされる。

  ハウルはそれを見たとき、怯えたような表情をしていたが…すぐににこ、と笑った。

  「すごいおっきい…♪ぼくのと、ぜんぜんちがう…♪」

  ハウルも続けてズボンを下す。まだ皮を被っているいるがピン、と可愛らしく天を突くペニス。

  とろとろと先走りが溢れていた。

  「えっとね…その…はじめてだから…いたく、しないで…ほしいな…」

  「それは無理かも。でも頑張る。」

  「う、うん。よ、よろしく…お願いします…」

  綺麗な肛門。これに今から自分の肉棒を入れるのか。そして自分の思うままに出来るのか。

  辛抱たまらん、という状況である。鼻を鳴らし、牙は指を唾液で湿らせるとハウルの肛門に指を宛がい、そしてそのままつぷつぷと挿入していった。

  「あうぅっ…」

  びくんびくんと震え、ハウルは目を瞑ると牙に抱き着いた。口を開きはぁっ、と息を漏らす。

  牙はもう片方の手の指をハウルのマズルに近づけると口の周りを撫で回した。

  「可愛い。ほんとに可愛い。」

  「あむっ…はむっ…ちゅぶっ…」

  ハウルは甘えるように喉を鳴らし牙の指を咥えると夢中でしゃぶり始める。

  口腔内の粘膜をかき回し、少し長い舌をなぞって。

  「んぶっ…あふぁ…」

  恥ずかしそうだった表情が徐々に蕩けていく。

  ぬちゅぬちゅと肛門に入れた指の抽送を繰り返しながら牙はハウルの薄い胸板に顔をうずめた。

  どこか甘く、陽向を想像させるような匂い。マズルの先端でくすぐり、乳首を軽く舐る。

  「あんっ…あっ、ぶはっ…そこっ…らめぇ…」

  口から指を離し上ずった声を上げるハウル。しかしもう牙はその程度では止まらない。

  ピンと立った乳首をひたすらに舐めまわし、肛門に入れた指で腸内をかき回す。

  ハウルの唾液にまみれた指で可愛らしいペニスを摩ると…

  「あっ、んぁっ、なにっ、なんかっ、きちゃうっ、やっ、やぁぁぁぁっ!」

  びくんっ!と体を跳ねさせハウルは口を大きく開き唾液を零しながらペニスからぴゅるるっ、と勢いよく精液を吐き出した。

  それは腹部を汚し牙の顎下まで飛び散る。粟の花の臭いだ。青臭く、そしてどこか淫靡な臭い。

  「はぁっ…はぁっ…♪」

  ぺろり、と長い舌でまとわりついた精液を舐めとりながらも牙は頬を釣り上げたままぐちゅぐちゅと腸壁をさらにかき混ぜる。

  絶頂を迎えたことによりより敏感になったハウル。

  「あっ!あひゃっっ!?やらぁっ、らめぇぇぇっ!あたま、ふっとーしちゃうぅぅ!」

  「んっ…じゃあ…」

  にゅぽん、と音を立てて指を抜く牙。

  与えられていた快感がなくなり、肛門がひくひくと蠢くのがわかる。ハウルははぁはぁと息を荒げながら腹についた精液を手で拭った。

  牙はおもむろにベッドの下に手を伸ばすと、そこからボトルを取り出した。

  蓋を開けると独特の臭いが漂う。傾ければ出てくるのは粘度の高い液体。それをたっぷりと自分の肉棒に塗りたくり。

  そうそれは。

  「よし、もう俺我慢できない。挿入れる。」

  「ふぇっ…!?」

  ぴと、と肉棒の先端を宛がう牙。その肉棒はあまりにも大きく、太く、圧倒的な存在だ。

  ハウルはふるふると首を横に振った。

  「む、むり、そ、そんなおっきいのはいんないよぉ…!」

  震える声で否定しようとするハウルだが、その尻尾はゆらゆらと揺れどこか期待しているようにも見える。

  牙はにゅぶ、と先端を僅かに肛門の中にねじ込んだ。

  明らかに肛門は拒絶している。しかし、ローションと腸液と先走りで濡れた肉棒を受け入れて…

  ハウルは全身を硬直させた。来る。来る。

  「んんっ…あひゃぁ…♪」

  耳をぺたんと畳み惚けた視線を牙に送るハウル。そう。わかってしまったのだ。

  これを挿入される痛みと、そしてそれを遥かに上回るであろう幸福感と快感を得られることを。

  ずぶずぶと少しずつ少しずつ。ゆっくりと肛門を拡げながら肉棒が腸内へと侵入していく。

  「ぉ”っ…あぉっ…!!」

  まるで酸欠になってしまった金魚のように口をぱくぱくと動かし、唾液を垂らしながらハウルはうめく。

  牙もまた口の端から唾液を零し、未成熟な胸を貪った。

  同時に与えられる快楽は頭を焦がし。ペニスから先走りがとぷとぷと溢れ出る。

  牙の肉棒を半分ほど飲み込み、膨れた腹をハウルは愛おしそうに撫で回す。

  薄い肉越しに触れる肉棒は確実な存在感を保っており、下手をすれば腸壁が破れてしまいそうだ。

  だが。笑う。ハウルは笑う。

  「んへへぇっ…♪おにいちゃんの…おちんちん…ここに、いっぱぁい…♪」

  「もっと奥まで挿入れるぞ。」

  「はやくぅ…♪」

  互いに我慢の限界だ。中を早くかき回してほしい。無茶苦茶にしてほしい。

  どくんどくんと肉棒の根元が疼く。解き放ちたい。幼く、しかし妖艶な笑みを浮かべる少年の中に、自分の欲望をすべて。

  さらに奥へ、奥へ。限界を超えてハウルの奥深くへ。

  太く硬い肉棒が腸壁を圧迫し苦しい筈なのに。

  「きもちいいのぉ…♪」

  舌をはみ出させてそう呟くハウルの表情に苦痛の色はまるで無い。

  ただただ悦びだけが全身を駆け巡っている。それは牙も同じようだ。

  きつくきゅうきゅうと締め付ける肛門。それと異なり柔らかく、しかししっかりと吸い付く腸壁。

  動かず、既に絶頂に達しそうになる。これでもし、激しく抽送をしたら…?

  想像する。それは恐らく、極上の。

  「動くぞ。」

  耳元で優しく囁き、牙はゆっくりと腰を引いた。

  じゅるじゅると腸が引っ張り出され、雁首が腸内を抉る。

  「ぉ”ぉ”っ…♪」

  ぐるん、と僅かに白目を剥きながらハウルは声にならない声を上げた。

  尻尾は激しくバタつき背筋は仰け反らせ。声にならない分、全身で快楽を表現しているようだ。

  牙もぐぅぅぅ!と喉を鳴らし頬を釣り上げながらハウルの中を堪能しているようだ。

  半分ほど肉棒を引き抜いたところで牙はまたゆっくりとハウルの中に肉棒を挿入していく。

  「~~~ッ!!!」

  獣のような遠吠え。

  びくんっ、とハウルの体が跳ねて。

  びゅるびゅるっ、とペニスから精液が溢れ出る。たったこれだけの行為で絶頂に達してしまった。

  もっと欲しい。もっともっともっと。

  その願いを叶えるように。牙もまた獣のように唸りながら肉棒を抜き取り、引き抜き。

  ゆったりとしていた動きは、やがてその速度を増していく。

  肛門が拡がり、腸液とローションが充分に肉棒をコーティングしたおかげだろう。

  ずちゅずちゅぐちゅぐちゅごりゅごりゅと水の音と肉のぶつかる音。

  そして。

  「あひっ、ひぐっ、ひぐひぐっ、ひっひゃぅぅぅぅ!!」

  もはや止まらない絶頂。繰り返され、上塗りされていく快楽にハウルは嬌声を上げ続けていた。

  頭の中が快楽を追い求めることだけに塗りつぶされて、ハウルは無意識のうちに牙の腰に足を絡め、自らも腰を振っていた。

  「グゥゥゥ!!グォォォォォ!!」

  動くたびに具合が良くなるハウルの中に、牙は更に腰の動きを速める。

  肉棒を締め付けられ、裏筋を腸壁が撫で回す。

  鈴口に前立腺の感触が確かに伝わって。グルグルと肉棒に絡んだ太い血管の中を熱い血液が通りまわる。

  凄まじい勢いで睾丸が膨れて、中で欲望がどんどんと生産されるのが互いに分かった。

  抽送を繰り返されめくれ上がった腸壁は綺麗な赤色。

  牙の黒ずんだ肉棒と真逆の美しさ。それを犯す。背徳。

  しかし、その行為にも終わりが近づいている。

  びくんびくんと肉棒が跳ね、牙は全体重をハウルに乗せながらハウルの頭を強く抱きしめた。

  「出すぞっ…!全部っ!中に!俺の種ッ!」

  「らひれぇぇえぇっ!はやくっ、はやくぅぅっ!」

  くぐもった、まるで悲鳴のようなおねだり。牙は限界を迎えた。

  「ぐぉっ、ォォォォォン!!!」

  最も深く。先ほどまで入りきることの叶わなかった肉棒の根元までハウルの中にねじ込むとそこで牙は吼えた。

  静寂。しかし。

  どぶぶぶびゅぶぶぶるるっ、どぶぶぶぶぶっ!びゅるるるびゅるぅっ!

  「あぁぁぁ!!!あひゅいぃぃっ、らめっ、ひぎぃぃぃぃぃっ!ひぐぅぅぅ!!」

  暴力的なその射精量にハウルは完全に意識を飛ばし反射で体を激しく痙攣させる。

  だがそれを牙は抑えつけ精液をすべてハウルの中に注ぎ入れる。

  体の中に精液が溢れ、ぐるぐると回る。地獄のような、至上の快楽。

  いつ終わるかも分からない射精。精液の海に溺れながら牙もやがて意識を失っていた。

  

  「おにいちゃん…」

  その声に目が覚める。どうやらずっと眠ってしまっていたようだ。

  おかげでベッドも体も精液でガビガビ。ハウルもそれは同じようで。恥ずかしそうにもじもじと動きながら膨れた腹を撫でる。

  「い、いっぱい…おなか…♪」

  「…すまん!俺、頭真っ白になってた!」

  冷静に考えてみればとんでもない事態だということに気が付き牙は頭を下げる。

  まぁ、誘ってきたのはハウルではあるのだが。

  なので…

  「い、いいの。でも、ね、その…きも、きもちよかったから…」

  耳をたたんで、上目遣いに。頬を赤らめ。淫靡な姿のまま。

  「ま、また、して…ほしい…の…♪」

  ぐわっしゃーと頭の中で取り戻していた理性が砕け散る音が聞こえた。

  牙はくわっ、と目を見開きハウルにとびかかる。

  「今すぐにぃぃ!!」

  「うわっ、わぁっ!?」

  

  

  

  「おい牙」

  「んへへぇ、はうるぅぅ…」

  「一発ぶん殴っておくかこいつも。おい牙っ!」

  「はっ、ハウル…さんっ!」

  「お前今とんでもない想像してただろ!」

  「してないです!全然!全く!これっぽっちも!小さくなって記憶退行したハウルさんが欲情した俺に襲われて行為に及んだ挙句気絶するほど気持ちよくなっちゃう想像なんて全然ぶべらっ!?」

  「俺を淫乱ショタビッチにすんじゃねぇぇ!!」

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