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たっぷりと寝て散歩して。3日ほどそんな生活をしたところ。
「よし、もう走っても大丈夫そうだな。よく我慢したぞ、えらいえらい」
頭を乱暴に撫でるトモ先生に私は尻尾を振った。
そういえば、あれから一度もタケル達は来なかったな。
子供というのはまぁ飽きっぽいところもあるから仕方ないか。
「じゃあ…学校に連れて行くかぁ。しかし本当に大丈夫なのかね。」
トモ先生の呟きに私はバゥ、と吼えてみる。
この大きさの犬…というか狼が小学校の飼育小屋に入る。やっぱり想像がつかないのだ。
「まぁ考えてもしょうがねぇな。」
頭をバリバリ掻いて、トモ先生は私の檻にかかっている鍵を開けた。
首輪を繋ぎ紐を持ち。私達は学校へ向かうこととした。
外はやっぱり気持ちがいい。しかし今走ってしまえばトモ先生がついて来れないだろう。
トモ先生が居ない状態では私も目的地へ着けないし、下手したら保健所行きなのだ。
うずうずする足をなんとか押さえつつ歩く事数分。
小さな校舎が見えてきた。いまどき珍しい―というか建築法とかは大丈夫なのだろうか―木造校舎だ。
時間的には休憩時間なのだろうか、校庭は子供達の声で満たされていた。
校門につく。…そこでミク先生がきょろきょろとあたりを見渡していた。
そして私達の姿を確認するとニッコリと微笑み手を振る。
「トモ先生~、ウルウル~。こっちです~」
「わざわざすいません。」
トモ先生も微笑む。そしてトモ先生はミク先生に私の紐を渡した。
紐を受け取るとミク先生は私の頭を撫でて微笑む。
「これから、よろしくねぇ。」
「ガゥッ!」
「いい子ねぇ」
「じゃあミク先生。また。…時々こいつの様子、見に来ますから。」
「よろしくお願いします。お忙しい中、ありがとうございましたぁ」
トモ先生は微笑み、最後に私の頭を撫でて学校を去っていった。
それを姿が見えなくなるまで見送り、ミク先生はまた私に微笑んだ。
「じゃあ、いきましょうかぁ」
私はがぅ、ともう一度吼えた。
歩き出すミク先生の後について私も歩く。そこで子供達に見つかった。
子供達は一瞬何事かと動きを止めるが…すぐに目を輝かせ私に飛び掛るがごとく勢いで近づいてきた。
「わんちゃんだー!」
「でかいね!すごいもふもふ!」
「しっぽ!しっぽ!」
そして私はもみくちゃにされた。正直な話噛み付いてやろうかとも思ったが…
泣かれても面倒だし、なにより保健所行きは勘弁して欲しい。
ウゥゥ、と唸り威嚇してみるが、意味はなかったようだ。
もみくちゃにされる私。それを見ていたミク先生が手をぱんぱんと鳴らした。
「は~い、そこまでぇ。それ以上やっちゃうと、ウルウルが噛んじゃうわよ~?」
「えっ、このわんちゃん噛むの?」
「いい子にしてれば大丈夫。だからもう離して上げてねぇ?」
さすが先生というべきか。ミク先生の一声で子供達は私から手を離した。
全身の毛がめちゃめちゃになってしまったな。まぁ別に気にするものでもないが。
「そろそろ休み時間もおしまいだし、教室に戻ってねぇ?」
「はーい!」
「ちゃんと手洗いうがいもするのよぉ?」
子供達は私へ手を振ったりばいばい、と言いながら教室へと駆けていった。
ミク先生はふぅ、とため息をつき私に苦笑する。
「ごめんねぇ?みんな良い子なんだけど…」
気にしないで欲しい。私はその意味を込めてくぅん、と鳴いた。
子供ならまぁあれぐらい元気なほうが良いだろう。むしろ怖がられなかっただけマシというものだ。
歩を進めるミク先生。着いた先は飼育小屋だ。
そういえば私が小学生の時もあったな。鶏とウサギを飼っていた。
ウサギがすぐ脱走するもんで一回大騒ぎになった事があったな。
遠い思い出に浸っていた私だが…首を引っ張られる感覚ですぐに現実に戻される。
比較的大きめな飼育小屋の中は鶏とウサギのスペース。それと何もいない空白のスペースがあった。
「別々のほうが良いわよねぇ。なんだかウルウル、この子達食べちゃいそうだし。」
さすがにそんなこと…しないとは言い切れないな。
現に今鶏とウサギの匂いをかいだら腹が減ってしまったのだ。
人であったときなら顔をしかめてしまいそうな臭いのはずなのに…
自分でも無意識のうちに生のまま頂いてしまいそうだ。
空白のスペース。そこの扉をミク先生は開けて私を中に入れた。
中には首輪とそれに繋がる鎖。扉を閉めて私の首輪を外すとミク先生はその首輪をつけた。
…正直少しきつい。前の首輪は大分ゆるめだったのだろうか。
「少しきついかしらぁ?でも我慢してねぇ。またもう少ししたら来るからここでまっててねぇ?」
「バゥ」
吼える私に微笑みミク先生は飼育小屋を後にした。
檻越しの空は快晴でとても気持ちいい。しかし。暇だ。
「ガゥッ…」
隣の鶏やウサギに向かって吼えてみる。すると彼らはびくっ、と体を震わせて私から離れた。
それもそうだ。今の私は彼らにとっては天敵である。
檻の中をうろうろ歩き回って。
そうしてても仕方なく、私はその場で体を丸めた。
土は思ったより温度が高く、私の体をじんわりと暖める。
まるで岩盤浴みたいだ。そんなことを思いながら私は目を閉じた。
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