歌姫の進化、新たな下僕の誕生

  場所:ドクターキマイラのラボ

  「パパぁ……! パパ、聞いてよぉ!」

  カナリーは涙目でドクターキマイラの白衣にしがみついていた。

  いつもの計算高い「あざとさ」ではない。本能的な死の恐怖が、彼女を震わせていた。

  「イノシシ君もカラスさんも殺されちゃったんでしょ!?

  あいつら(ヒーロー)、私の歌を聞いても止まらないかもしれない……。

  ライノ君やアルマジロ君が負けちゃったら、次は私が殺されちゃうの!?」

  「落ち着きなさい、カナリー。君には最強の親衛隊がいるじゃないか」

  「イヤッ! 足りないの!

  もっと……触れただけで相手が死んじゃうくらいの、絶対的な力が欲しいの!

  私自身が『兵器』になりたいのよぉッ!!」

  カナリーの瞳に、生存本能と、ドス黒い力が宿る。

  ドクターキマイラは、その貪欲な姿勢に口角を吊り上げた。

  「……良いね。そのハングリー精神こそがトップアイドルの条件だ。

  愛らしさだけでは生き残れない。君には、一度噛み付いたら絶対に離さない、致死性の『毒』が必要だということだね」

  ドクターは冷蔵保管庫から、紫色の禍々しいカプセルを取り出した。

  その中には、とぐろを巻くキングコブラの遺伝子データが封印されていた。

  「これを使おう。猛毒の王、コブラの因子だ。

  これを君の体に混ぜれば、君の歌声は神経毒となり、そのキスは死への招待状となる」

  「毒……! 素敵……!

  パパ、早く! 早く私を『猛毒アイドル』にしてっ!!」

  2. 毒と歌の融合手術

  場所:第1手術室

  カナリーは自ら手術台に上がり、期待に胸を膨らませていた。

  ドクターの手により、コブラの毒腺と、しなやかな筋肉繊維が彼女の体内に移植されていく。

  チュドォォォッ……!!

  紫色の薬液が血管を巡る。

  激痛が走るはずだが、カナリーは恍惚の表情でそれを受け入れた。

  「アッ、アァッ……♡ 熱い……痺れるぅ……!

  体の中が、ドロドロの毒で満たされていくぅ……ッ!」

  彼女の黄色い羽毛の一部が抜け落ち、代わりに宝石のように輝く紫と黒の鱗が皮膚を覆い始めた。

  脊椎が柔軟に変化し、人間離れした動きを可能にする。

  そして、愛らしい口元からは、鋭く尖った二本の毒牙が伸び、先端からポタリと紫色の液体を滴らせた。

  「歌声(ボイス)もアップデートだ。

  君の超音波に、神経毒の霧(ポイズン・ミスト)を乗せる器官を追加する!」

  脳内には、コブラ特有の「一点を見つめて威嚇し、瞬時に急所を噛み砕く」捕食本能がインストールされた。

  3. 再誕:毒蛇アイドル ポイズン・カナリー

  シュウゥゥゥ……ッ。

  手術室に紫色の霧が充満する。

  その霧の中から、新たな衣装を纏った歌姫がゆらりと現れた。

  毒蛇アイドル ポイズン・カナリー (Poison Canary)

  • 外見: 黄色のアイドル衣装をベースに、毒々しい紫色の装飾と、ヘビ皮のコルセットが追加された。背中の翼は残っているが、羽毛の隙間から鱗が見え隠れする。

  • 特徴: 瞳孔が縦に裂け、舌先が二股に分かれている(スプリットタン)。可愛らしさの中に、ゾッとするような妖艶さと危険な香りが漂う。

  • 能力:

  • ヴェノム・ボイス: 歌声と共に神経毒の霧を散布し、聴衆を麻痺・呼吸困難にさせる。

  • デス・キス: 噛みつき、またはキスによって致死性の猛毒を注入する。

  • スネーク・ダンス: 骨がないかのようにクネクネと動き、あらゆる攻撃を回避する。

  「生まれ変わった気分はどうだい? ポイズン・カナリー」

  ドクターの問いに、彼女は長い舌をチロチロと出しながら、妖しく微笑んだ。

  「最高よ、パパ……♡

  身体中が毒で疼いてる……。誰かに噛み付きたくてたまらないわ……シャーッ♡」

  4. 猛毒の試運転

  「ピピッ……あ、ケンジ君だ♡」

  ポイズン・カナリーは、心配して手術室の前で待っていた親衛隊長、**アイギス・ライノ(ケンジ)**を見つけると、音もなく滑るように近づいた。

  「カナリー! 無事ダッタンダナ!

  ……ン? 何カ雰囲気ガ……」

  「ねえ、ケンジ君。

  私の新しい『愛』……味見してみて?」

  カナリーはライノの太い首筋に抱きつくと、大きく口を開け、その毒牙を深々と突き立てた。

  ガブリッ!!

  「ブモォォォッ!? イ、痛ッ……熱イッ……!?」

  ドクドクと毒が注入される。

  それは本来なら象をも即死させる猛毒だが、改造されたライノの巨体には、強烈な麻痺と痺れるような快感として作用した。

  「アッ、アァッ……! 体ガ、痺レル……!

  動ケナイ……デモ、気持チイイッ……!!」

  ライノはその場に崩れ落ち、白目を剥いて痙攣した。毒によって筋肉が強制的に収縮と弛緩を繰り返し、立っていることすらできないのだ。

  「あはっ♡ すごい!

  あんなに頑丈なケンジ君が、私の一噛みでこんなにトロトロになっちゃった!

  これなら……あのヒーローたちもイチコロだね! ピピッ♪」

  ポイズン・カナリーは、毒に侵されピクピクと動くライノを踏みつけながら、高らかに笑った。

  「待っててね、ブレイブ・レンジャー。

  私の『痺れるような愛(猛毒)』で、心臓が止まるまで愛してあげるから……♡」

  可愛く、そして確実に相手を殺す。

  最凶の毒蛇アイドルが、ステージ(戦場)へと舞い戻った。[newpage]

  場所:郊外・特設野外ステージ

  『みんな〜! 私の新しい愛、たっぷり吸い込んでね〜!

  肺が溶けるまで、一緒に盛り上がろ〜! シャーッ♡』

  ポイズン・カナリーの裂けた舌が妖しく蠢く。

  彼女がマイクに向かって『ヴェノム・ボイス』を響かせると、ステージ上の巨大スピーカーから、歌声と共に濃紫色のミストが噴き出した。

  「ウオォォッ! カナリーちゃ……グフッ!?」

  「あがッ……息が……喉が焼けるぅ……!」

  最前列のファンたちが、次々と喉を掻きむしって倒れていく。

  コブラの神経毒を含んだ霧は、彼らの呼吸器を麻痺させ、至福の幻覚を見せながら緩やかに命を奪っていく。

  それはライブというより、公開処刑であり、大規模な駆除作業だった。

  「あははっ♡ 凄いすごい!

  みんな私色に染まって、ピクピクして可愛い〜! ピピッ♪」

  カナリーは倒れ伏す人々の山を見下ろし、優越感に浸りながらステップを踏んだ。

  2. ノイズの存在

  だが、その紫色の地獄絵図の中で、たった一人、立っている男がいた。

  会場の中央付近。

  くたびれたトレンチコートを着た、無精髭の男だ。

  周りの人間が泡を吹いて倒れている中、彼は紫の霧を煙草の煙のように鬱陶しそうに手で払い、つまらなそうにステージを見上げていた。

  『……ん?』

  カナリーの動きが止まる。

  (何あいつ? まだ倒れてないの? 私の毒、吸い込んでるよね?)

  彼女は彼を狙い撃ちにするように、マイクを向けた。

  『そこのお兄さ〜ん! 突っ立ってないで、もっと熱くなってよ〜!

  私の毒のキス、プレゼントしちゃうぞッ! フーッ♡』

  彼女の口元から、高濃度の毒霧弾が発射され、男の顔面を直撃した。

  普通の人間なら顔の皮膚がただれ落ちるほどの猛毒だ。

  しかし――。

  男は顔についた紫の液体を、汚れた雑巾でも拭うように袖でゴシゴシと拭き取ると、あろうことか大きなあくびをしたのだ。

  「……ふわぁ。毒蛇演歌か。趣味じゃねえな」

  プチン。

  カナリーの脳内で、何かが切れる音がした。

  3. 歌姫の癇癪(かんしゃく)

  「は……はぁぁぁぁぁ!?

  何なのあいつ!? 生意気! 可愛げがない! ムカつくぅぅぅッ!!」

  アイドルの仮面が剥がれ落ち、コブラの凶暴性が顔を出す。

  自分の「最強の猛毒」が、あんな薄汚い男に通用しなかった。その事実が、彼女の肥大化したプライドをズタズタに引き裂いたのだ。

  「ケンジ君ッ!!」

  「ブモォッ! ココニ!」

  ステージ袖から、親衛隊長**アイギス・ライノ(サイ)**が飛び出した。

  「あいつを捕まえて!

  私の毒が効かないなんて許せない!

  八つ裂き……いや、生け捕りにして! 私の部屋でじっくり『解毒(おしおき)』してやるんだからァッ!!」

  「御意!! カナリーヲ侮辱スル奴ハ、万死ニ値スル!!」

  4. 鋼鉄の拉致

  ズドォォォォン!!

  アイギス・ライノが客席に飛び込み、戦車のような突進で一直線に男へ向かった。

  男は気だるげに振り返ったが、時すでに遅し。

  「確保ォォォッ!!」

  ライノの巨大な手が、男の胴体を鷲掴みにした。

  「ぐっ……!? なんだこの化け物は……!」

  男はコートの内側から何か武器を取り出そうとしたが、ライノの怪力で腕を封じられ、抵抗できない。

  「離せ! 俺はただ通りがかっただけだ!」

  「問答無用! 女王(カナリー)ノ命令ハ絶対ダ!」

  「よくやったわケンジ君! そのままパパのラボへ直行よ!

  あいつのふてぶてしい顔、恐怖で歪ませてやるんだから……シャーッ!!」

  ライブは中止(というより観客全滅により終了)。

  カナリーは怒り心頭で、尻尾のように伸びた脊椎を振り回しながら、要塞への帰還を命じた。

  5. 驚異の耐性

  場所:ドクターキマイラのラボ・分析室

  男は手術台に厳重に拘束されていた。

  ドクターキマイラが、男から採取した血液データをモニターに映し出し、驚嘆の声を上げた。

  「……ほう。これは驚いた」

  「パパ、どうなの!? こいつ、何で私の毒で死なないの!?」

  カナリーが苛立ちながら、男の頬を鋭い爪でツンツンと突く。

  ドクターは眼鏡の位置を直し、興奮気味に解説した。

  「彼は生まれつき、異常なほどの**『毒物代謝能力』**を持っている。

  体内に侵入した毒素を、瞬時に分解・中和する酵素が常人の数千倍も分泌されているのだ。

  いわば、歩く『万能解毒剤(アンチドート)』だよ」

  「へぇ……。つまり、私の毒が効かないんじゃなくて、すぐに消されちゃってたってこと?」

  カナリーの表情が、怒りから、粘着質な好奇心へと変わっていく。

  彼女の蛇の瞳が細められ、手術台の男を舐め回すように見つめた。

  「ってことはさぁ……。

  この人になら、私の毒……**『出し放題』**ってことだよね? ピピッ♪」

  「ひっ……!」

  男の顔が初めて引きつった。

  殺される恐怖ではない。捕食者に見初められてしまった、生理的な悪寒だ。

  「素敵……♡ 今までのおもちゃは、すぐに壊れてつまんなかったけど。

  貴方なら、私がどれだけ噛み付いても、どれだけ毒を注ぎ込んでも、壊れずに受け止めてくれるんだ……♡」

  カナリーは男の胸板の上に乗り、その耳元で、二股に分かれた舌を這わせた。

  「名前は? ……ま、いっか。

  今日から貴方は私の『毒袋(サンドバッグ)』よ。

  毎日毎日、私の毒で溺れさせてあげる……覚悟してね? シャーッ♡」

  毒が効かないが故に、永遠に毒を注ぎ込まれる地獄。

  男――**毒耐性者・鉄(テツ)**は、猛毒アイドルの新たなお気に入りとして、エヴォリュートの闇に囚われることとなった。

  「無駄だよ。俺の体はどんな神経毒も数秒で分解する。あんたがどれだけ噛み付こうが、俺は死なないし、屈しない」

  手術台に拘束された鉄は、目の前に立つポイズン・カナリーを見上げ、不敵に笑った。

  彼の体内では、常人の数千倍の解毒酵素がフル稼働しており、カナリーの猛毒さえもただの栄養ドリンク程度にしか感じていなかった。

  「……生意気。可愛くない」

  カナリーは不機嫌そうに尻尾(脊椎)を揺らし、鉄の胸板にヒールを突き立てた。

  「でも、パパ(ドクター)が言ってたわ。

  『毒が効かないなら、毒の種類を変えればいい』ってね。

  貴方のその得意げな顔……今すぐトロトロのアヘ顔に変えてあげるから♡」

  2. 聴覚からの侵入

  「ヘッドセット、装着」

  ドクターキマイラの指示で、鉄の耳に特殊な機械が取り付けられた。

  「な、何をする気だ?」

  「貴方の体は毒を分解する。でも……**『脳』に入り込む『音の毒』**はどうかしら?」

  カナリーはマイクを手に取ると、鉄の耳元に唇を寄せた。

  『ねえ……私のこと、好きでしょ? 好きになって? ピピッ♪』

  キィィィン……!!

  「ぐあぁっ!?」

  彼女の口から放たれたのは、可聴域を超えた超高周波の**「強制催眠音波(ヒプノ・ボイス)」**だった。

  それは鼓膜を震わせるだけでなく、聴神経を介して脳の大脳辺縁系に直接干渉し、思考能力を破壊する信号だ。

  「や、やめ……頭が、割れる……!」

  「ダメ。もっと聞いて。私の声で、頭の中をいっぱいにして……♡」

  カナリーは甘く、粘着質に囁き続ける。

  鉄の自慢の解毒能力も、物理的な音波攻撃には作用しない。彼の理性の壁に、ヒビが入っていく。

  3. 改良型・依存性猛毒

  「仕上げよ。貴方のために特別に調合した、致死性ゼロ、**依存性1000%**の『愛の毒』……味わってみて?」

  カナリーが大きく口を開ける。

  毒牙の先端から滴るのは、紫色ではなく、禍々しいピンク色に発光する液体だった。

  それは毒ではなく、脳内麻薬物質を極限まで濃縮した、強力な**「媚薬」**だ。

  「い、いやだ……よせッ……!!」

  ガブリッ!!

  カナリーの牙が、鉄の頸動脈に深々と突き刺さる。

  「ングッ……! チュ……チュルルッ……♡」

  「あ゛ッ!? が、あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」

  ピンク色の液体が血管に奔流となって流れ込む。

  鉄の体は反射的に解毒しようとするが、これは「毒(害)」ではないため、免疫機能が反応しない。

  強烈な快楽物質が、血液脳関門を突破し、脳の報酬系を焼き尽くす。

  「どう? 気持ちいいでしょ?

  私の毒がないと、もう生きていけない体になっちゃえ……♡」

  「アッ、ヒグッ……熱イ……頭ガ、溶ケルゥゥゥッ……!」

  鉄の瞳孔が開き、焦点が合わなくなる。

  抵抗の意思が、「もっと欲しい」「もっとちょうだい」という渇望へと塗り替えられていく。

  4. 陥落

  「ハァ……ハァ……カナリー……様……」

  数分後。

  鉄の表情からは、あのふてぶてしさは完全に消え失せていた。

  彼は拘束が解かれると、自らベッドから転がり落ち、カナリーの足元に這いつくばった。

  「欲シイ……毒ヲ……貴女ノ愛ヲ……下サイ……ッ!」

  禁断症状に震える手で、カナリーのブーツにすがりつく。

  ポイズン・カナリーは、勝ち誇ったように舌なめずりをし、彼の顎を爪先でクイッと持ち上げた。

  「ふふっ♡ やっと可愛い顔になったね。

  いいよ。私の可愛いワンちゃん。

  これから一生、私の毒牙(キス)がないと正気を保てないように、たっぷりと愛してあげる」

  「ハイッ! アリガトウゴザイマスッ!

  俺ハ、カナリー様ノモノデスッ!!」

  カナリーは再び鉄に口づけをし、さらなる依存毒を注ぎ込んだ。

  毒耐性を持っていたはずの男は、皮肉にも**「世界で最もカナリーの毒に依存する男」**へと堕とされたのだ。

  5. 新たなる忠犬:ヴェノム・ハウンド

  ドクターキマイラが満足げにデータを記録する。

  「素晴らしい。毒を無効化する肉体を持つ彼なら、カナリーの出す猛毒の霧の中でも活動できる。

  命名しよう。カナリー親衛隊・遊撃隊長……**『ヴェノム・ハウンド』**だ!」

  「ワンッ!!」

  鉄――ヴェノム・ハウンドは、人間としての言葉すら忘れ、ただ主を守る狂犬としての咆哮を上げた。

  「よしよし、いい子ねぇ。鉄くん」

  ポイズン・カナリーは、足元に侍る鉄の頭を撫でていた。

  鉄は洗脳によって忠実な下僕となっていたが、その体はまだ生身の人間だ。

  「でもパパぁ。この子、毒には耐えられるけど、ヒーローのパンチ一発で死んじゃいそう。

  これじゃあ、私の『最側近』としてはちょっと不安かなぁ」

  カナリーの不満げな声に、ドクターキマイラが頷く。

  「その通りだ。彼の特性(毒耐性)を活かしつつ、君のスピードに追随し、敵を切り裂く敏捷性が必要だ。

  そこで……この因子を使おう。**『ジャッカル』**だ」

  ドクターがモニターに映し出したのは、鋭敏な聴覚と嗅覚を持ち、執拗に獲物を追い詰める狩人、ジャッカルの姿だった。

  「死を司る神・アヌビスのモデルとも言われる獣だ。

  猛毒の死神(君)の隣に立つ『番犬』として、これ以上の素材はないだろう?」

  2. 忠誠の改造手術

  場所:第2手術室

  「鉄くん。貴方をもっと強くしてあげる。

  もう二度と人間には戻れないけど……私のために獣になれる?」

  カナリーの問いに、鉄は恍惚とした表情で即答した。

  「はいッ! カナリー様!

  俺の肉体など不要! 貴女様をお守りする牙と爪になれるなら、喜んで人間を辞めます!」

  「いい心がけだ。では、ジャッカルの因子と、君の毒耐性を攻撃転用する**『毒素循環システム』**を組み込もう」

  ズギュゥゥゥン!!

  漆黒の薬液が注入される。

  鉄の骨格がミシミシと音を立てて変形し、しなやかで細身の獣のフォルムへと変わっていく。

  全身から黒い体毛が生え、耳が尖り、顔面が前へと突き出す。

  「ア゛ア゛ア゛ッ! 力ガ……力ガ漲ルゥゥッ!!

  コレデ……コレデ、カナリー様ノ敵ヲ、皆殺シニデキルッ!!」

  そこには、紛れもない「ジャッカル」そのものの頭部を持つ獣人が立っていた。

  • 頭部: 漆黒の短毛に覆われた、ジャッカルのリアルな頭部。

  • マズル(口吻): スラリと長く伸びた、洗練された形状。鼻筋は通っており、先端の黒く濡れた鼻鏡(びきょう)が、微かな空気の動きも捉えようとピクピク動いている。

  • 口元: 引き締まった口角の隙間から、鋭利な白い牙が覗く。興奮すると、口内から紫色の涎が糸を引く。

  • 表情: メカの無機質さはなく、耳の動きや鼻の皺寄せで、忠誠や興奮といった感情がダイレクトに伝わってくる。

  • 毒の摂取: マスクではなく、その鋭敏な嗅覚で毒霧を直接吸い込み、時には長い舌で舐め取って摂取するスタイルに変更。

  シーン変更:至近距離の忠誠

  「わぁ……♡ こっちの方が断然いい!

  ねえジャッカル、お顔見せて?」

  ポイズン・カナリーが手を伸ばすと、ヴェノム・ジャッカルは従順に頭を下げ、その美しいマズルをカナリーの掌に擦り付けた。

  「クゥン……。カナリー様……」

  「んっ、鼻先がひんやりしてて気持ちいい……♡」

  カナリーの手のひらに、濡れた鼻の感触と、ハァハァという熱い吐息が伝わる。

  間近で見ると、黒い毛並み一本一本の質感や、鼻翼がヒクつく様子、そして獲物を狙う肉食獣の鋭い眼光がはっきりと分かった。

  「ねえ、私の毒、欲しい?」

  カナリーがわざと、ジャッカルの鼻先に向けて毒の息を吹きかけた。

  フゥーッ……♡

  「ッ!!」

  ジャッカルの耳がピンと立ち、マズルの筋肉がギュッと収縮した。

  彼はマスク越しではなく、その剥き出しの鼻で直接猛毒を吸い込んだのだ。

  「ハァッ、ハァッ……! 最高デス、カナリー様……!

  鼻ノ奥ガ、痺レルゥゥゥッ!!」

  彼は恍惚の表情を浮かべ、口元から紫色の涎を垂らしながら、カナリーの手にさらに強く鼻面を押し付けた。

  無機質な機械では表現できない、生々しい獣の反応がそこにあった。

  「あはっ、可愛い♡

  これからはマスクなんかに邪魔されずに、私の匂い、いっぱい嗅いでね? ピピッ♪」

  「ハイッ! この鼻ト舌デ、カナリー様ノ全テヲ感ジ取リマス!!」

  美しいマズルを持つ忠犬の誕生に、カナリーは以前にも増して満足げな笑みを浮かべるのだった。

  [newpage]

  場所:地下格闘技場

  「オラァッ! かかってきやがれ!」

  歓声と熱気が渦巻く地下リング。そこで無敗を誇るチャンピオンがいた。

  身長2メートル、体重150キロの巨漢、剛田(ごうだ)。

  全身が筋肉の鎧で覆われ、相手の攻撃を全く意に介さず、一撃で粉砕する「動く要塞」だ。

  彼は強すぎた。そして、心の奥底で退屈していた。

  (誰も俺を倒せない。俺を力ずくでねじ伏せ、悲鳴を上げさせるような『強者』はいないのか……?)

  その時、リングにハイヒールの音が響いた。

  「あら、いい体。殴り甲斐がありそうね」

  グリフォン・ミストレスが現れた。

  剛田は本能的に察知した。この女はヤバい。そして……美しい。

  「女ァ? 俺のリングに何しに来……」

  ドォォォン!!

  剛田の言葉は続かなかった。

  ミストレスが瞬きする間に懐に入り込み、その華奢な拳で、剛田の鳩尾(みぞおち)を突き上げていたのだ。

  150キロの巨体が宙に浮き、リングの床に叩きつけられる。

  「ガハッ……!? な、なんだ……この重い一撃は……!?」

  「立てよ、デクの棒。

  貴方のその分厚い筋肉……私の『サンドバッグ』になるために鍛え上げたんでしょう?」

  ミストレスが冷酷に笑い、倒れた剛田の顔面をヒールで踏みつけた。

  痛み。屈辱。そして……圧倒的な支配感。

  剛田の股間が、かつてないほど熱く疼いた。

  (ああ……これだ。俺は、この女に踏まれたかったんだ……!)

  2. 猛獣への改造

  場所:ドクターキマイラのラボ

  「素晴らしい素材だ! スレイブ・レオン(ライオン)にも劣らぬパワーとタフネス!」

  ドクターキマイラは、剛田の肉体を見て狂喜した。

  「彼には、地上最強の猛獣の一つ、**『グリズリー(灰色熊)』**の因子を与えよう。

  その圧倒的な質量と剛力で敵を粉砕し、しかし女王の前では愛らしい『テディベア』となるのだ!」

  ズギュゥゥゥン!!

  剛田の体に、荒々しい灰色熊の遺伝子が注入される。

  筋肉がさらに膨張し、丸太のような腕と、鋼鉄の爪が生える。全身は剛毛に覆われ、顔は凶暴なグリズリーそのものへと変貌した。

  だが、改造は肉体だけではない。

  ミストレスの要望により、彼の下半身には**「絶対射精禁止」の去勢レベルの楔が打ち込まれ、代わりに「直腸性感帯」**が異常発達するように神経が繋ぎ変えられた。

  「グオォォォッ……! オ尻ガ……オ尻ガ熱イッ……!!」

  3. 誕生:重虐剛熊 グランド・グリズリー

  「ウオォォォン!! 女王様ァァァッ!!」

  改造を終えた怪人は、恐怖の化身のような姿をしていた。

  重虐剛熊 グランド・グリズリー (Grand Grizzly)

  • 外見: 全長3メートルを超える、二足歩行の巨大なグリズリー。分厚い灰色の毛皮と、筋肉の塊のような肉体を持つ。首には極太の鎖が巻かれている。

  • 装備: 股間には、ライオン以上に厳重な、トゲ付きの**「完全封鎖貞操帯」**が装着されている。出口がないため、物理的に射精は不可能。

  • 性格: 敵に対しては無慈悲な殺戮マシーンだが、ミストレスに対しては甘えん坊でドMな「メス熊」。

  「お座り、クマ公」

  ミストレスが指を鳴らすと、巨大なグリズリーは地響きを立ててその場に正座した。

  「ハァ、ハァ……! 女王様、イイ子ニシテマシタ!

  オ尻……オ尻ヲ虐メテクダサイ……ッ!」

  4. メスイキの調教

  「ふふ、正直なオスね。

  前のほうはガチガチに固めて使えないから、後ろでイくしかないものね?」

  ミストレスは巨大な特注の**「電撃警棒(バイブ機能付き)」**を取り出した。

  「スレイブ・レオンは『焦らし』の美学だけど、貴方は『開発』の美学よ。

  その大きな体で、小刻みに震えてオスの尊厳を捨て去りなさい」

  ブブブブブブッ……!!

  「アッ、アッ、アァァァァッ!!

  ソコッ! 前立腺ガッ! 熊ノ前立腺ガァァァッ!!」

  ミストレスが警棒を容赦なく突き入れると、グランド・グリズリーは白目を剥いて絶叫した。

  射精できない絶望と、後ろから突き上げられる未知の快楽。

  彼の脳内で回路がショートし、新たな快感原則が確立される。

  「出ナイノニ、イッチャウ!

  オスナノニ、メスノ声ガ出チャウゥゥゥッ!!」

  「ンアァァァァ〜〜〜〜ッ!!(メスイキ絶頂)」

  巨体がビクンビクンと痙攣し、口から大量のヨダレを垂らして崩れ落ちた。

  射精は一滴もしていない。しかし、彼は脳内で完全に達していた。

  5. ライオンとの対面

  そこへ、騒ぎを聞きつけたスレイブ・レオンがやってきた。

  「ナ、ナンダコイツハ……!? 俺ヨリモデカくて、俺ヨリモ変態ナ匂イガスル……!」

  「紹介するわ、レオン。新しい弟分のグランド・グリズリーよ。

  彼は『後ろ』専門の変態クマさんだから、仲良くしてあげてね?」

  ミストレスが紹介すると、グリズリーはヨダレまみれの顔を上げ、恥じらいながら(?)モジモジと内股になった。

  「ヨ、ヨロシクオ願イシマス……兄貴……。

  俺、前ハ使エナイ役立タズデス……デモ、穴ダケハ誰ニモ負ケマセン……ッ!」

  「ウオォォッ!? コイツ、筋金入リダ……ッ!

  負ケテラレルカ! 俺ダッテ前ヲ封ジラレタラ、後ろデ感ジルグライデキルッ!」

  百獣の王ライオンと、地上最強の熊グリズリー。

  二大猛獣が、ミストレスの足元で「どっちがより変態的にイけるか」を競い合う、地獄のような光景が完成した。

  「壮観ね……♡」

  ミストレスは、ひれ伏す二頭の巨獣の背中にそれぞれ足を乗せ、女王の高笑いを上げた。

  場所:グリフォン・ミストレスの私室・耐水仕様フロア

  「ウッ、グゥッ……! 女王様……オ腹ガ……オ腹ガ裂ケソウデス……ッ!」

  グランド・グリズリーは、部屋の隅で巨体を丸め、脂汗を流して震えていた。

  連日の「後ろ」への開発により、何度もドライオーガズム(空射精)を繰り返した結果、出口を塞がれた彼のタンクには、致死量に達するほどの精液が溜まりきっていたのだ。

  鋼鉄の貞操帯は、内側からの圧力でギチギチと悲鳴を上げ、赤熱している。

  「あら、限界? 随分と溜め込んだわね、クマ公」

  ミストレスはワイングラスを置き、ゆっくりと近づいた。

  「本来ならこのまま自爆させて、中身を撒き散らす様を楽しむところだけど……。

  せっかく作ったおもちゃが壊れるのは惜しいわね」

  彼女は懐から、黄金に輝く鍵を取り出した。

  「特別よ。……その汚いモノ、全部吐き出しなさい」

  カチャリ。

  鍵が差し込まれ、重厚なロックが解除される音が響く。

  「アッ……! カ、解放サレル……ッ!?」

  ガコンッ!!

  拘束具が外れ、床に落ちた。

  その瞬間。

  「グオォォォォォォォォォッ!!!」

  グリズリーの絶叫と共に、物理法則を無視した**「爆発」**が起きた。

  ドォォォォォォンッ!!!

  「ヒグッ!? 出ルッ! 止マラナイッ!?」

  誰かが触れたわけでも、擦ったわけでもない。

  ただ「解放された」という事実と、内圧だけで、彼の巨根から白濁した奔流が消防ホースのように噴出したのだ。

  ドピュルルルルルルルルッ!!!

  「ア゛ア゛ア゛ア゛ッ! 熱イッ! 魂ガ出テイクゥゥッ!!」

  それは射精というより、放水だった。

  凄まじい勢いで噴き出す液体は、天井まで届き、部屋の壁を白く塗りつぶしていく。

  溜めに溜め込んだ数リットルものエネルギーが、一気に放出される快感。

  グリズリーの白目は完全に剥き出しになり、巨大な体は感電したようにバタバタと床をのたうち回る。

  「あらあら、すごい量。私の部屋がプールになっちゃうわ」

  ミストレスは、降り注ぐ白い雨を傘(翼)で避けながら、その壮絶な光景を冷ややかに、しかし楽しげに観察していた。

  「ンアッ、マダッ、マダ出ルゥッ!! 奥カラッ、内臓ゴト出チャウゥゥッ!!」

  第一波が終わっても、彼の痙攣は止まらない。

  前立腺が完全にバカになっており、ポンプのように収縮を繰り返して、最後の一滴、脊髄液すらも絞り出す勢いで排出し続ける。

  数分後。

  「……ブモッ……」

  最後に空気の抜けるような音と共に、グランド・グリズリーは動きを止めた。

  部屋は一面、白濁の海。

  その中央で、以前より一回り体が小さくなったように萎びたグリズリーが、ピクリとも動かずに横たわっていた。

  「……スッキリした?」

  ミストレスが爪先で彼の鼻をつつくと、彼は虚ろな目で、しかし幸せそうに力なく舌を出した。

  「アリガトウ……ゴザイマス……。

  天国……見エマシタ……」

  「それは良かったわ。

  じゃあ、また明日から『封鎖』するから、しっかり溜め込みなさいね?」

  ガチャン!!

  無慈悲な音。

  空になったタンクに、再び鋼鉄の蓋がされた。

  「ヒィッ……♡ 御意……」

  一瞬の天国と、永遠の地獄。

  グランド・グリズリーは、その空虚感と拘束感に震えながら、深い眠りへと落ちていった。