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俺の足でほぐされる後輩の勃起

  夕方のトレーニングルームは、汗と消毒液とゴム床の匂いが混じる。男の体温が、まだ空気に残っている。俺はこの匂いが好きだ。筋肉が擦れ、息が荒れ、誰かの努力が湯気みたいに漂っている空間。健全で、だからこそ、少しだけ不健全なことを紛れ込ませやすい。

  窓の外は、もう薄暗い。部活終わりの校舎は静かだった。遠くの階段から、誰かの笑い声が一瞬だけ響いて、すぐに消える。そんな時間帯が一番いい。人の気配が薄くなる。

  俺はラックにプレートを戻しながら、床に伸びる長い影を見た。でかい。肩幅が広い。脚も長い。振り返るまでもない。

  「先輩。まだやってたんすか」

  低い声。少し掠れてる。喉を酷使した犬みたいな声だ。俺は笑って、タオルで首筋を拭いた。

  「お前こそ。自主練、今日も長いな」

  「先輩いるなら、やるっすよ」

  そう言って笑う顔は、体格に似合わず素直だ。いや、体格に似合わないわけじゃないか。でかくて、強くて、男っぽい。だけど俺に向ける目だけが妙にまっすぐで、疑いがない。その無防備さが、いつも俺の奥を熱くさせる。

  後輩の名は、真壁。二年。高身長。筋肉質。地肩も強い。背中も厚い。狼みたいな目つきなのに、俺の前だと尾を振る。そんな男だ。

  「今日、腰の入り悪かったろ」

  俺が何気なく言うと、真壁は一瞬だけ止まった。図星を刺された顔。すぐに眉を寄せて、照れくさそうに首の後ろを掻く。

  「……分かるんすか」

  「分かるよ。踏み込みのとき、下腹が詰まってた」

  「下腹?」

  「うん。股関節の手前。腸腰筋と、恥骨まわり。あそこが固まると腰が死ぬ」

  俺は淡々と言った。なるべく、いつもの指導の声で。

  真壁はすぐ信じる。そういう男だ。俺が口にしたことを、まず疑わない。そこに甘えがある。信頼とも言う。俺にとっては、都合のいい盲信だ。

  「マジで最近、突っ張る感じあるっす」

  「だろ。見れば分かる」

  「ほぐせます?」

  「体重かけて踏むのが一番早い」

  言いながら、俺は床の隅にある厚手のストレッチマットを引いた。黒い合皮が、消毒液で少し湿って光る。真壁は迷いなく寄ってくる。大きい。近い。汗の匂いが濃い。トレ後の雄臭さ。首筋の塩気。Tシャツの中で蒸れた胸板の熱。鼻の奥がじんとする。

  「靴脱いで、仰向け」

  「はい」

  返事が短い。素直だ。

  こいつ、たぶん少し嬉しいんだろうなと思う。俺に見てもらえるのが。触ってもらえるのが。犬みたいに分かりやすい。いや、狼か。でかくて強いくせに、懐に入れた相手には腹を見せる。そういう危うさがある。

  真壁はベンチ横に座ってシューズを脱ぎ、ソックスも脱いだ。裸足の足裏が床につく。男の足だ。大きくて、指も太いで、土踏まずまで分厚い。踏ん張るために育った足だ。そういう細部を見るだけで、こいつの体がどれだけ真面目に使われてきたか分かる。俺はそれが好きだった。鍛えられた男の体には、素直さが残る。鍛えた分だけ、触れれば反応する。嘘がつけない。

  「上、脱いどけ。腹の動き見たい」

  「はい」

  真壁はTシャツの裾を掴んで、汗で張りついた布を一気に剥いだ。持ち上がる腹筋。肋骨の下で収縮する呼吸。広い胸。乳首のまわりにうっすら汗が光ってる。脇も濃い。若い雄の匂いが立つ。トレーニングルームの残り香に混じって、こいつ個人の体臭がはっきり浮く。獣じみた温度。鼻の奥が痺れる。

  マットに仰向けになった真壁は、両腕を少し開いて、素直に俺を見上げた。でかい体が従順に寝ている。危険で、ひどく都合がいい。

  「下腹、触るぞ」

  「お願いします」

  俺は膝をついた。硬い腹。皮膚の下で筋肉が細かく震えてる。疲労が抜けきってない。下腹にいくほど熱い。中心に近づくほど、緊張が濃い。俺は指先で恥骨の上をなぞった。真壁の腹がぴくっと跳ねた。

  「ここ、張ってるだろ」

  「あっ……はい。そこ、なんか……変な感じします」

  変な感じ。そう言うだろうと思った。そこはそういう場所だ。理屈をつければいくらでも誤魔化せる。

  「奥の筋が詰まってる証拠」

  俺は静かに言って、ジャージのウエストに指をかけた。

  「少し下げる。圧入れるとき、布が噛むと逆に痛むから」

  「分かりました」

  盲信。信頼。たぶん本人の中では、その二つに差はない。俺はその隙間に、躊躇なく指を差し込む。

  ジャージとパンツを、恥骨が見えるところまで下げる。濃い陰毛。汗でしっとりしてる。根元に熱がたまってる。中心には、すでに分かりやすい膨らみ。でかい。布越しでも隠しきれない存在感が、薄い生地を押し上げていた。

  やっぱりな、と思う。

  練習中から、たぶんそうだった。踏み込みが浅かったんじゃない。下腹が詰まってたわけでもない。単純に勃ってたんだ。若い男が、尊敬する先輩と二人きりで、汗だくで、張りつめた空気の中にいた。しかも俺は最初から、そうなるように言葉を置いていた。

  でも真壁は、自分の体の反応より俺の説明を優先する。そういう男だ。

  「……すみません、先輩。なんか、勝手に」

  「気にすんな。ここが固まると、反射で立つことある」

  平然と嘘をつく。真壁は本気で安心した顔をした。眉がゆるむ。喉が鳴る。かわいい、と思ってしまう。でかいくせに。

  「マジっすか」

  「あるある。男は神経太いから」

  「へえ……」

  納得してる。完全に。笑いそうになるのを、息だけで抑えた。

  俺は自分のシューズを脱いで、ソックスも脱いだ。床の冷たさが足裏に移る。次にマットへ片足を乗せる。真壁の目が、俺の足に落ちた。たぶん、踏むんだな、くらいの認識だ。何を、どこまで、なんて考えてない。俺が正しい前提で受け入れている。

  「力抜け。最初は浅くいく」

  「はい……っ」

  足裏で、下腹の横をゆっくり踏む。腹斜筋の下。体重の一割。二割。真壁の息が細く漏れた。

  「あ、っ……は、はい……そこ、効くっす」

  「だろ」

  もう片方の足もマットに乗せる。バランスを取りながら、じわじわ中心へ寄る。俺の土踏まずが恥骨の際をかする。パンツの中の膨らみが、ぬるい圧で押し潰される。真壁の腹筋がびくっと硬直した。

  「んぐっ……!」

  「力むな。ほぐれない」

  「す、すみません……っ」

  謝る声が震えてる。顔も赤い。耳まで熱い。自分で変だと思ってるんだろう。でも俺が当然みたいな顔をしているせいで、疑い切れない。きっと今、真壁の中ではこうだ。効く場所だから、感じる。感じるのは仕方ない。先輩は分かってやってる。なら、耐えるのが正しい。そういう思考だ。

  かわいそうなくらい従順だ。

  俺は片足の踵を、膨らみの真上にそっと置いた。布一枚越しに、輪郭が分かる。太い。長い。まだ半勃ちなのに、すでに存在感がある。汗と熱で柔らかく蒸れていて、押すたびにじわっと芯が返ってくる。

  「ここが特に詰まってる」

  「そ、そこ……?」

  「恥骨筋膜のライン。響くだろ」

  「は、ぁ……っ、はい……なんか、奥まで……」

  「正常」

  便利な言葉だ。真壁は歯を食いしばって頷いた。

  俺は足裏でゆっくり圧をかけた。ぐに、と布の中で肉棒が潰れて、すぐに硬さを増して返してくる。真壁の喉から低い声が漏れた。

  「ん、ぅ……あっ……」

  「呼吸」

  「はぁっ、は……い……」

  そのまま、踵で円を描くみたいに擦る。電気按摩の前の慣らし。布越しなのに熱がすごい。先走りで少し湿ってきたのか、滑りが変わる。俺の足裏にぬるい粘りがうつる。

  真壁は目を閉じた。唇が開く。胸が大きく上下する。たぶん混乱してる。気持ちいい。だけどマッサージだと思いたい。いや、思わなきゃいけない。俺に触られて、踏まれて、それで勃って喘いでるなんて、自分の中で処理しきれないんだろう。

  俺はその顔を見下ろしながら、踵の位置を少しずらした。今度は竿の根元から先へ、土踏まずで押し流す。布の中の輪郭がぬるりと転がる。

  「ぁ、あっ♡ せ、先輩、それ……っ」

  「流れてるだけ。滞留した血を散らしてる」

  「んぐ……ぅ、っ、すご……」

  すごい、で止まった。何がすごいのか、自分で言葉にしたくないんだろう。俺には分かる。すごいほど気持ちいいんだ。

  俺はジャージの裾をもう少し下ろした。先端はまだ包まれているのに、傘のその先が、布の縁にきつく押し込まれていた。亀頭の形がくっきり出る。先走りで濃く濡れて、色の変わった布が張りついている。

  俺はそこを、親指の付け根でゆっくり押した。

  「っ、あぁっ……!」

  腰が浮く。腹筋が硬くなる。大きい体が、ひどく正直に跳ねた。いい反応だと思う。たぶん真壁は、もう限界に近い。けど、まだ壊れていない。理屈にすがれる程度には、頭が残ってる。

  「先端、神経密度高いからな」

  「は、はい……っ、そこ、めちゃくちゃ……響き、ます……」

  「効いてる証拠」

  またそれを言う。真壁は苦しそうに頷いた。かわいい。完全に気持ちよくされてるのに、必死に治療だと思おうとしてる。その健気さごと、踏み潰したくなる。

  俺は足を少し持ち上げた。真壁がほっと息を漏らす。すぐ次の瞬間、踵を小刻みに震わせた。根元から先端まで、ぶるぶると連続で刺激を入れる。

  「んぐっ、ぁ、あっ、あっ、あっ♡」

  「抜くなよ。呼吸、続けろ」

  「む、むり、っ♡ はぁっ、はぁっ、先輩、それ、やば……っ」

  やばい。そう言った。もう誤魔化しきれないんだろう。俺の足の下で、肉棒は完全に硬くなっていた。布の中でびくびく脈打つ。熱い。太い。若い血が詰まっている。踏むたびに先走りがにじみ、足裏に粘ついてくる。男の汁の匂いが、汗臭さに混じって生々しく立つ。

  俺はわざと、ソックスを脱いだ裸足の指で亀頭の輪郭を挟むようにした。布越しにこすり上げる。ぐちゅ、という湿った音がした。真壁がびくんと全身を震わせる。

  「せ、先輩、布……もう、邪魔かも……っ」

  「そうだな。圧が逃げる」

  「じゃ、じゃあ……」

  「外すぞ」

  「……はい」

  その返事は、ほとんど懇願だった。

  俺はパンツごと引き下ろした。跳ねるように肉棒が解放される。太い。長い。根元まで血が詰まって、表面に筋が浮いてる。亀頭は赤黒く、先端から透明な先走りが糸を引いていた。思ってた以上だ。でかい。しかもいやらしい形をしてる。

  真壁は自分のを見て、顔を真っ赤にした。恥ずかしいんだろう。でも隠さない。隠せない。俺が必要だと言えば、そのまま差し出す。そういう男だ。

  「立派だな」

  「っ、すみません……」

  「謝ることじゃない」

  「でも、先輩にこんなの……」

  「治すためだろ」

  「……はい」

  言い聞かせるみたいに、真壁自身も頷いた。もう自分で自分をそう納得させるしかない。俺はその心理が手に取るように分かる。尊敬してる相手に、無防備なところを全部見られてる。恥ずかしい。でも、その相手が正しいと言うなら受け入れたい。気持ちよさより先に、従いたい気持ちがある。そこがいい。

  俺は足裏を、むき出しの竿に直接乗せた。

  熱い。ぬめる。皮膚の柔らかさの下に、異様な硬さがある。生きた男の肉棒だ。しかもでかい。土踏まずにぴたりと収まらない。少し余る。その感じがたまらない。

  「っ、あああっ♡」

  「そんなにか」

  「だ、だって、直接……っ、はぁっ、やば……♡」

  俺は根元から先へゆっくり滑らせた。足コキだ。けど本人の中では、まだマッサージだ。そう思い込んでる。思い込もうとしてる。その境目で喘いでる。たまらない。

  先端に達したところで、足指で亀頭を挟んで軽く捻る。

  「ぁっ♡ んぅっ、ぅあっ……!」

  「ここ、詰まりやすい」

  「うそ、ほんとに……っ、そこ、だめ……♡」

  だめ、の意味は分かる。効きすぎるってことだ。俺は止めない。何度も根元から先まで擦り上げる。ぬちゅ、ぬる、ぬち、という音が、静かな部屋に小さく響く。真壁の汗の匂い。先走りの青臭さ。ゴム床と消毒液。その全部が混ざる。健全な場所で、男の性だけがむき出しになる。その背徳感が、腹の奥を熱くする。

  真壁は腕で目を隠した。たぶん、見られたくないんだろう。気持ちよくなってる顔を。俺に踏まれて、でかいチンポをしごかれて、声を上げてる自分を。だけど隠した腕の下から、口だけは開いてる。喘ぎは漏れる。腹は震える。脚は勝手に開く。体は全部、俺の足を歓迎してる。

  「イきそうか」

  「っ、わか、んない……でも、なんか……っ」

  「出していいぞ。溜めたままだと余計張る」

  「マッサージで、出して……いいんすか……?」

  「必要ならな」

  真壁はその言葉で、完全に許された顔をした。

  ああ、そうか。こいつにとって大事なのは、俺が許すかどうかなんだ。自分の欲じゃない。俺の指示に従うこと。それなら気持ちよさも正当化できる。ほんとに都合がいい。

  俺は足首を細かく震わせた。肉棒全体がぶるぶる揺れる。亀頭が跳ねる。鈴口から透明な汁が飛ぶ。

  「ぁ、あっ、あっ、あっ♡ 先輩、むり、っ、でる、でるっ♡」

  「出せ」

  「んぁあっ♡ は、はぁっ、あ、あぁああっ♡」

  腹が引きつる。腰が跳ねる。肉棒が俺の足裏に押しつけられたまま、どくどく脈打った。白い精液が勢いよく飛ぶ。腹にかかる。胸にかかる。一本は俺の足首まで伸びて、ぬるく絡んだ。濃い匂いが一気に立つ。生臭い。若い。雄の匂いだ。

  真壁は喉の奥で、泣くみたいな声を出していた。

  「ん、ぅ……♡ はぁっ、はぁっ……」

  「よく出たな」

  「す、すみません……いっぱい……」

  「溜まってたんだろ」

  俺は足をどけず、射精後の敏感な竿を軽く撫でた。真壁がびくんびくん跳ねる。

  「ひぁっ♡ ま、まだ、だめっ……」

  「残りがある」

  「のこり……?」

  「奥の張り。ここから抜く」

  真壁は半泣きのまま頷いた。ここまでされてなお、完全に俺を信じている。もうここまで来ると、信仰に近い。俺が何をしても、意味があると思って受け入れる。だから俺は、遠慮しない。

  俺はしゃがみ込んで、精液で濡れた足裏を自分の手で拭い、そのまま真壁の腹に塗った。ぬるい白濁が腹筋の溝に伸びる。真壁が息を呑む。自分の精液を先輩に触られ、塗られ、その匂いを間近で嗅がされる。羞恥と興奮で、頭がくらくらしてるはずだ。

  「起きろ、真壁」

  「……はい」

  上体を起こさせる。唇が震えてる。目が潤んでる。まだ息も荒い。その顔を見た瞬間、俺はもう我慢しなかった。顎を掴んで、口を塞ぐ。

  深く。いきなり。舌をねじ込む。

  「ん、ぅっ……!」

  「……っ、は」

  抵抗はない。驚いてるだけだ。俺が唇を押しつけ、舌を絡め、口内の唾液を奪っても、真壁は受け入れる。最初の硬直のあと、恐る恐る舌を返してきた。かわいい。従順で、でかくて、男臭くて、キスだけで震える。

  俺は息継ぎもさせずに、何度も角度を変えて貪った。唾液が糸を引く。鼻先が触れる。汗の匂いが濃い。真壁の喉がごくごく動く。飲み込んでる。俺の唾液も、自分のも。

  離すと、真壁は呆けた目で俺を見た。

  「先輩……これ、も……治療、すか……」

  「そう思いたいなら、それでいい」

  「……っ」

  その返事で、こいつは分かったはずだ。これはただのマッサージじゃない。俺が自分を欲しがってる。

  それでも逃げない。むしろ、嬉しそうに喉が鳴った。そういう顔をする。ああ、やっぱりそうだ。こいつ、たぶんずっと俺に触れられたかったんだ。

  「立て」

  「はい」

  立ち上がった真壁の胸を押して、鏡の前に向ける。大きい背中。汗で光る肩。うなじの太い筋。腰に手をかけると、びくっと反応した。さっき出したばかりなのに、竿はもう半分戻っている。回復が早い。若い雄はこれだからいい。

  「脚、開け」

  「……こう、すか」

  「もっと」

  締まった、でかい尻だ。筋肉質で、持ち上がっていて、割れ目が深い。男の尻の匂いがする。汗と下着の蒸れが混じった、むっとする匂い。鼻が喜ぶ。

  俺は指にさっきの精液を塗って、尻穴のまわりを撫でた。真壁が声を噛み殺す。

  「っ、ぅあ……」

  「ここも張ってる」

  「ここも……?」

  「下腹と繋がってる」

  もう何でも通る。こいつは受け入れる。俺は穴の皺を指先で押し広げた。ひくひくしてる。未経験の穴の緊張。けど、嫌がってはいない。体が驚いてるだけだ。指を少し潜らせると、内側がきゅっと締まった。

  「んぐっ♡」

  「力抜け」

  「む、むりっ……でも、先輩……っ」

  「大丈夫だ」

  優しく言う。実際、優しくしてる。ただ、きっちり開いて、気持ちよくして、最後まで俺のものにしたいだけだ。

  指を一本。次に二本。精液だけじゃ足りなくて、唾液も足した。ぬるぬるになった穴は、それでもきつい。腸壁がいやらしく絡みつく。

  「お前、こんな顔するんだな」

  「や、っ……はず……っ」

  「なのに嬉しそうだ」

  「ちが、っ……でも、っ♡」

  違わない。声で分かる。穴で分かる。俺が指を曲げるたび、奥がびくっと痙攣する。気持ちいい場所に当たってる。男の体は分かりやすい。

  俺は自分のジャージを下ろした。勃起はとっくに完成してる。真壁の首筋に唇を当てる。汗を舐める。塩辛い。若い体臭が舌に乗る。

  「先輩、まって……それ、入る……?」

  「入れる」

  「俺、男っすよ」

  「知ってる」

  「でも……」

  「嫌か?」

  「……嫌、じゃないっす」

  その答えに、胸が熱くなった。こいつはほんとにまっすぐだ。怖いはずなのに、俺を優先する。俺に抱かれることを、拒まない。むしろ期待してる。尊敬だけじゃない。たぶんもっと前から、こいつの中にも熱があった。

  俺は亀頭で尻肉を軽く叩いた。ぺち、ぺち、と音がする。真壁が肩を震わせる。割れ目に沿って先端を滑らせ、穴に押し当てた。

  「入れるぞ」

  「……はいっ」

  押す。きつい。熱い。皺が押し開かれる。真壁が鏡に手をついて、喉を反らした。

  「ぁあっ♡ んぐ、ぅっ、は、はいっ、はいっ……!」

  「抜くな。飲め」

  「んぅうっ♡ ふと、いっ……!」

  最後まで沈める。腰が密着する。尻が俺の下腹を受け止める。中、すごい。ぎちぎちだ。腸壁が脈打って、根元にまで絡んでくる。男の穴特有の、熱くて生々しい締まり。腹の底がじんと痺れる。

  俺はしばらく動かなかった。真壁に慣れさせるためでもあるし、このきつさを味わいたかったのもある。鏡の中で、でかい男が涙目で俺に貫かれている。背中は広い。腕も太い。どう見ても雄だ。その雄の穴に自分の肉棒が収まっている。背徳というより、征服に近い興奮だった。

  「動くぞ」

  「っ、はい……♡」

  最初は浅く。すぐ深く。ぬちゅ、ぐちゅ、と湿った音が立つ。さっきの精液と唾液が混ざっている。汗も落ちる。尻肉がぶつかるたび、いやらしい音が増える。

  「ぁっ♡ あっ、あっ、先輩っ、そこ、だめ、っ♡」

  「ここか」

  「んぁあっ♡ そこ、奥、っ……!」

  分かりやすい。俺は同じ角度で何度も突いた。真壁の脚が震える。穴が締まる。腰が勝手に後ろへ逃げる。逃げながら、また求めて戻ってくる。男の本能だ。快感に逆らえない。

  真壁の顔は、もう完全に雄の顔だった。口を開けて、涎を垂らして、涙を溜めて、でも嬉しそうに俺を見てる。

  「先輩、俺……っ、こんなの、しらな……♡」

  「教えてやってる」

  「は、ぁっ♡ やさし……っ」

  「そうか?」

  「やさし、いっ♡ 先輩の、ちんぽ……っ、やさし、いっ……♡」

  体位を変えた。ベンチに片脚を乗せさせて、立ちバックで深く抉る。次はマットに倒して、脚を持ち上げて種付けプレス。汗だくの胸同士をぶつけ、息を混ぜる。途中でまた唇を奪う。舌を絡める。口の端から唾液が垂れて、顎に落ちる。真壁は息もできないほどキスされながら、中を突かれてひくひくしてる。

  「っ、ん、んぅっ♡」

  「飲め」

  「んぐ、っ、は……♡」

  対面座位にもした。向かい合って抱かせると、真壁は俺の首に腕を回してきた。重い。でかい体が全部預けられる。そのまま腰を突き上げると、穴の奥がじかに絡みつく。腹と腹の間で、真壁の肉棒もまた蘇っていた。俺たちの汗で擦れ、ぬらぬら光っている。

  「また立ってる」

  「す、すみません……っ」

  「いい子だな」

  「ぅ、ぁっ♡」

  褒めると締まる。ほんとに犬みたいだ。懐いた相手の一言で、体の反応まで変わる。

  最後はまた後ろからだった。壁に手をつかせ、腰を掴んで、逃がさず打ち込む。もう加減しなかった。ぐちゅ、ばちゅ、ぐっ、という音が響く。遠くで誰かが廊下を走る音がした気がした。でももうどうでもよかった。ここには俺たちの息と、肉のぶつかる音しかない。

  「でる」

  「っ、なか、ください……♡」

  「欲しいのか」

  「ほし、いっ♡ 先輩の、くださいっ♡」

  その言葉で、完全に決まった。俺は真壁の腰を引き寄せ、いちばん奥に押し込んだまま射精した。熱い精液がどくどく流れ込む。真壁の穴が痙攣する。締めつけがひどい。腹の奥まで吸われる感じがした。

  「んぁああっ♡ あ、あっ、熱、ぃ……っ♡」

  「受け取れ」

  「はいっ♡ はいっ……!」

  真壁も同時にイった。腹に、床に、白い精液を撒き散らす。膝が崩れる。俺は抱えるようにして支えた。二人とも汗と精液でべちゃべちゃだった。トレーニングルームの消毒液の匂いなんて、もうほとんど分からない。雄臭さが全部を塗りつぶしていた。

  しばらくそのまま、荒い息だけが続いた。

  やがて、真壁が小さく言った。

  「先輩」

  「ん」

  「これも……体、整えるため、っすか」

  まだそんなことを聞くのか。いや、違うな。確認したいんだろう。自分が何をされたのか。何を受け入れたのか。それを、俺の言葉で定義してほしいんだ。こいつはそういう男だ。

  俺は汗で張りついた前髪を払ってやって、耳元で言った。

  「最初はな」

  「最初は……」

  「今は違う」

  「……はい」

  真壁は少しだけ黙った。たぶん、胸の奥で何かが落ち着くのを待ってる。納得かもしれない。覚悟かもしれない。

  「俺、先輩なら」

  「ああ」

  「何されても、たぶん嬉しいっす」

  「知ってる」

  そう返すと、真壁はくしゃっと笑った。泣きそうな顔のまま。でかくて男らしいのに、俺の前だと本当に素直だ。

  窓の外は、もう完全に夜だった。校舎の灯りが、ガラスに薄く反射している。鏡の中には、乱れ切った俺たちが映っていた。健全な場所に似合わない姿だ。でも、不思議としっくりきた。

  俺は落ちたタオルを拾って、真壁の腹を拭いた。自分のも軽くぬぐう。後片付けまでやってやると、真壁はそれだけでまた嬉しそうにする。ほんとに手がかかる。

  「明日、歩けますかね」

  「たぶん平気だろ」

  「下腹の張り、取れた気します」

  「だろ」

  「じゃあ、また詰まったらお願いします」

  「詰まらなくても呼べ」

  真壁は一瞬だけ目を丸くして、それから、深く頷いた。

  「はい。絶対、先輩にお願いします」

  その返事は、まるで誓うみたいだった。

  静かなトレーニングルームに、二人分の熱だけが残っていた。俺はその温度を確かめるみたいに、真壁の首筋を軽く叩く。こいつはすぐにこちらを見る。狼みたいな目で。なのに、俺に向けるときだけ従順だ。

  たぶん、次も簡単だ。

  理屈なんて、いくらでもつく。

  けどもう、そんなものはなくてもいいのかもしれない。

  真壁は靴下を履きながら、ちらちら俺を見る。その視線に、さっきまでとは違う意味が混じっている。信頼だけじゃない。欲情と期待だ。自分がどんな声を出したか、どんなふうに乱れたか、思い返してるんだろう。それでも離れない。むしろ、もっと近くに来る。

  俺は笑った。

  夜は長い。

  これで終わりじゃない。けど、始まりとしては十分だった。

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