Ad
【171】素敵な喫茶店に輩とオネェとオタクってまぁまぁカオスじゃね?
見た目は輩。自称凄腕の占い師で[[rb:親友 > アキ]]の遠い親戚のおじさん・・その名は五味!
ごめんなさい下の名前は忘れました!
何故に室内でサングラス・・今日も今日とて胡散臭さ全開ですね!
頭の中で生成された返答案がろくでもないものばかりで、内心『逃げてぇ~・・』と現実逃避に走っていたが、愛想よく手招きされてしまっては無視するのもどうかと思い、恐る恐るカウンター席に近づく。
「ど、どうも・・」
「やぁ先日ぶり!奇遇だねぇ。どしたの?こんな場末の喫茶に―「コウちゃん?」ハイゴメンナサイ。得物をこっち向けるのヤメテください」
「次言ったら警告なしで処すわよ?」
「何この人怖ぁい・・」
「ねぇ~綾小路さん?」とオネェさんとの寸劇に巻き込まれてしまったが、その絡みはコミュ症にはキツイっス!
「ははは・・」と無難に愛想笑い未満なぎこちない笑顔を浮かべて頬を引きつらせるしかないワタクシ・・誰かタスケテェ・・
「全く。頻繁にケーキ食べに来て入り浸る癖に」なんて言いながら、オネェさまはくるりと手首を翻してアイスピックを仕舞った。
「アホが絡んでごめんなさいね?アタシも調子に乗っちゃったし、お詫びに飲み物サービスしちゃう♪ケーキは食べる?軽食も色々あるからゆっくり選んでね♪」
「え、あ。ありがとうございます」
『おぉ。飲み物タダは嬉しい!』
遠慮しないのかって?
いやいや。クレクレしたわけじゃないし、この場合の好意は素直に受け取るのが礼儀じゃね?
ほんのりテンション上がりつつ、イマジナリーな観客へ言い訳していると今度は中年男性から話し掛けられた。
「ほら、こっちに座りなよ!おいちゃん常連だから、色々教えてあ・げ・る!」
語尾に「ばちこーん☆」と効果音が付きそうな勢いでウインク?をしたらしい中年男性・・
しかし悲しいかな。どんなウインクだったのか、サングラスを掛けているので全くわからんです。
「ちょっと。ご新規さんに変な絡み方しないの。あ、でも知り合いなのよね。仲良いの?」
「え、いや―「勿論!俺ちゃんてば綾小路さんに滅茶苦茶世話になったのよ!ねっ?!」・・え~っと」
確かにうっかり勢いで命を助けたりもしましたが?!
だからって仲が良いかと聞かれたら首を傾げる程度の付き合いしかございませんです!
会話したのだって今回で2度目だよっ!
「あら。この子はそうは思ってないみたいよ?」
「え。うそん」
「やぁね~空回りしてる中年って。カッコ悪いわ~」
カラカラと明るく笑いながらディスるオネェさまと、反論せずに唇を尖らせてそっぽを向く中年・・
うん・・・・・・何とも二次元(BL)な妄想が捗りそうな風景ですな!
年が近い感じのお二人・・
精神年齢低い中年男性が攻め。
と見せかけて。これはもう完全に計算高い系オネェさまによる外堀埋めの「逃がさんぞ」攻めっっ!
そしてそのうっかり具合から見事罠に掛かった・・けど本音はバッチコイな誘い受け中年のCPですね解ります!
中年男性から1つ空けた席に着く間に脳内で勝手にストーリーが組み上がっていく・・
と同時に、ニヤつきそうになる表情筋をうっすら微笑む程度に固定。
お外で妄想する時は周りに迷惑かけないようにしないとね!
え?まず妄想をするな?
そんな哺乳類に「肺呼吸するな」みたいな事言っちゃう?
腐女子がありとあらゆるモノで妄想するのは[[rb:性 > さが]]っていうか習性っていうか魂にこびりついて輪廻しても付き纏う業っていうか・・
なんかスンマセン。
でもでもっ!
頭の中(時にネットの海)だけで楽しむだけですからっ!
データと物理、どちらもアウトプットする時にはご本人に迷惑掛からないようにしますんで!
どうかお見逃しをっっ!
世間一般から向けられるであろう非難の目を想像して、反射的に脳内で言い訳しつつ土下座をする。
基本腐女子はお天道様に顔向けできない日陰者だと思ってるからね。仕方ないね。
[[rb:一般人 > 非オタ]]への迷惑。ダメ絶対。
頭の中で誰に向けるでもなく独り芝居を繰り広げていると、不意に「飲み物、何にするか決まった?」と声を掛けられた。
驚いて「うぇっ!?」と初対面の人に聞かせたらアカン裏返った声が出てしまう。
「おっととビックリ!ニコニコでメニュー見てたけどもしかして目移りしてる?おいちゃんのおススメにしてみちゃう?」
「い、いえ!もう決めましたので大丈夫です!あの、こちらのセイロンのミルクを、ホットでお願いします」
「セイロンのミルクね♪お砂糖は必要かしら?」
「はい。お願いします」
「りょーかいよ♪少々お待ちくださいね~」
そう言って、背面の棚から茶葉の入ったガラス瓶を取り出すオネェさま。
おぉ・・目が慣れたところでよくよく見てみれば、棚には茶葉とコーヒー豆が入ったガラスの容器がきれいに並んでいてレトロな雰囲気を演出している・・めっちゃ素敵!
つられて店内を軽く見回す。
ステンドグラスのシェードが覆う暖かく柔らかな明りの下、緑の濃い観葉植物と窓辺に飾られたレトロな造形のガラス瓶がイイ感じに配置されていて店の雰囲気を落ち着いたものにしていた。
しかも所々に原石らしい鉱物が置かれており、理科室味のあるガラス瓶も相まって何だか昭和感漂うというかファンタジーな研究室というか・・そんな非日常が体感できる素敵なお店で少しウキウキしてくる。
弦楽器の落ち着いたBGMを聞き流しながら、カウンターの上に置かれていたガラスドームを見て見れば、それは試験管を逆さにしたような形の鉱物標本のようで、下の方に採集地や鉱物の名称が書いてあった。
『[[rb:翠銅鉱 > すいどうこう]]・・ダイオプテーズ?ビリジアンみたいな綺麗な深緑・・』
触れる事無く(落として壊したりしたら目も当てられないし)角度を変えて見れば、キラキラと結晶の表面に当たった灯りが反射して正に「鉱物」といった感じに、子ども心が甦ってワクワクした。
『そう言えば、小さい頃は気に入った小石をポケットいっぱいに拾ってきたりしたなぁ・・』
雨に濡れて艶々したやつだとか、石英が混じっててキラキラしたやつだとか。
母は大人目線ではゴミだろうその小石を、透明なプラスチック容器に入れて飾ってくれたものだ。
いつの間にか石集めはしなくなったけど、こうして眺めていると何だか癒される・・
結晶とかってファンタジー要素強いよね。
オタクで好きな人は多いと思う。
『他にはどんな石があるのだろうか』ときょろきょろと視線を彷徨わせていると、「珍しい?」と話しかけてきた中年男性・・
「アイツ。ここの店主ね。趣味なんだってさ。骨董品のガラスや石なんかを集めてんの。知ってる?コレとか砕いたら絵の具になるんだって」
そう言って中年男性はひょいと目の前に置いてあった青い石を手に取りこちらに渡す。
思わず受け取った石は青に鈍い金色の粒が散っていて、研磨されているらしくつるりとした感触だ。
『青い石で岩絵の具といえば、ラピスラズリかな?』と当りをつけて伝えると、中年男性は驚いた様子で石を回収する。
「良く知ってるね!石とか詳しいの?」
「いえ。そういう訳では・・一応絵描きの端くれなんで、それでちょっと知ってただけ、です」
あとジ○リの「耳を○ま○ば」で出て来てたからなんとなく覚えてた。
序盤のシーンでも石の話があって、とてもワクワクした思い出。
またしても懐かしい記憶に思いを馳せていると、「お待たせしました」の言葉と共にカウンターの高い位置にカチャリと陶器のカップが置かれた。
そのカップの隣に布製のコースターが置かれると、今度はガラスのティーポットが乗る。
「ありがとうございます」
「3分経ったら好みの濃さで注いでね。そうしたら温めたミルクを出すわ」
『おぉ。凄く本格的』なんて感想を思い浮かべながら頷いてカップを手元に下ろすと、オネェさんが「ごめんなさいね?」と一言断って話し出した。
「お話がちらっと聞こえたのだけど、お嬢さん絵描きさんなの?」
「えっ?(お嬢さん?てほど若くないけど・・)・・はい。まぁ・・絵を生業にしてはいますが・・」
描いてるモノと言えば高尚とは程遠い色欲に塗れた俗っぽいヤツばっかですぞ?!
絵に関する事は素直に答えたくはあるが、世間一般的に同人作家が仕事として認知されているとはとても思えない。
強いて言うなら「漫画家」だが、たとえ自称だとしてもプロの方々に申し訳なくて口にするのは憚られる。
『「何描いてるの?」とか訊かれたらどうしよう!』
あり得そうな質問を想像してじわりと背中に冷や汗が滲む中、ちらと視線を返すとオネェさんはぱっと顔を明るくして言った。
「まぁ!もしかして静物デッサンとか描けたりするのかしら?」
「え?はい。まぁ・・一応?」
「凄いわ!是非とも拝見したいのだけど、難しいかしら?あ、無理強いするつもりはないのよ?出来たらで良いんだけど・・」
「えっと・・」
答えに詰まり、『どうしようかな』と考えを巡らせた隙に、中年男性も「俺ちゃんも見たい、見たい!」と勢いよく会話に参加してくる・・
『おぅ・・マジか・・』
キラキラと期待に目を輝かせる2人・・片方はグラサンしてるけど、圧がね?
熱量に圧されるようにして仰け反りつつも、なんとか「い、イイデスヨ?」と答えを返した。
ま、ちょろっとデッサンするくらいならね。
あ。でも紅茶を頂いてからで良いっスか?
Ad