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一度別れてから約二時間後、シーベアーの船室の扉が叩かれてフェカトが戻って来た。
愛耶は手際良い作業で料理を完成させており、ダインとしても異世界の客人を迎えるのに十分な準備が出来たと思う、最もこの世界の文化レベルは未知数なので欲を言えばキリがないが、今シーベアーの機材を使って出来る事という条件においてこれ以上は不可能だろう。
愛耶 「熊造のワインも有りますけど、お出ししますか?」
ダイン 「基本遊魔は飲みませんからね、有効に機能するなら有効活用しましょう、中程度の物で様子見ですね」
愛耶 「はい、一本用意しておきます」
ダイン 「それぐらいで準備はいいですね、ならお招きしますよ」
そう言って扉を開けた先にはフェカトと他二名の女性が立っていた、ダインは三人をシーベアーの船室に迎え入れて、用意したテーブルの席に座って貰う。
ダイン達遊魔の面々も長方形テーブルの各面の席に座り、場の全員に緊張した雰囲気が流れる。
ダイン 「先ずは食事で交流を深めましょうか、実は今日の晩餐は私の国を代表する食文化、寿司を用意しています、あちらの世界でも独特な食文化として認知されていますので無理はなさらなくて結構ですよ、ちゃんとパンなども用意してますから」
確かにテーブルには手巻きパーティーの準備と、湯気が漏れているホットプレートが用意されており、生の海産物が食べれ無くても他の食事も用意されている。
フェカト 「変わった料理ですよね、白いのは炊いた穀物の様ですが酢の匂いがします」
ダイン 「はい、この海苔という海藻を干して作った物に米を持って、好きな具材を乗せて包んで頬張ります、その際、この醤油という調味料を使うとより海産物の味が引き立つんですよ」
ダインは説明がてらに作った手巻きに醤油を付けて頬張る、その様子をアーグルの面々も興味深気に見守っている、そして咀嚼して飲み込んだダインが乾燥を漏らす。
ダイン 「美味しいですね、愛耶の料理はどれも格別ですが、この寿司と魚は一味違う気がします」
愛耶 「一見唯の手巻きですが、ネタには愛耶也の仕事を施してます、ちょっとした手間で生の海鮮は劇的に美味しさが変わるんですよ、皆さんもお試し下さい」
ダイン 「そうですね、異世界の皆さんへは愛耶に給仕を頼みますよ」
愛耶 「はい、愛耶がこの場の大将ですから、最高のおもてなしを披露しますよ、愛耶握りにも自信有りますから」
ダイン 「それは凄い、なら客人と私はお薦めで頼みます」
愛耶 「いきなり異世界人に握りは難しく無いですか、他人が手で触った物には抵抗有ると思います」
ダイン 「それも有りますね、抵抗無ければ食べてみて下さい」
フェカト 「大丈夫ですよ、料理は手掴みですから、薄い生地を焼いた物に食材を巻いて食べるのが一般的ですから、ダインさんの食べ方には抵抗有りません、生の魚は余り食べませんけど」
そう言って、フェカトはダインを真似て手巻きを作るが、確かにその手際は手慣れている、海苔の上に米を延ばして具材を乗せて包んで頬張る。
フェカトは咀嚼して飲み込むと笑顔を浮かべて感想を口にする。
フェカト 「正に異世界の味でしたが、初めてという感じでも有りませんね、テテドアという地域の料理に似ていますね、あの辺りはガドーアを生で食べますから」
ダイン 「ガドーアがどういう物かは解りませんが美味しく食べれるなら問題有りませんね」
フェカト 「はい、二人も食べてみて下さい、生のガドーアよりクセは無いですから」
フェカトの言葉に残りの二人も手慣れた手付きで手巻きを作ると食べ始める、彼女達にも手巻きは好評の様で直ぐに次の準備を始める。
ダイン 「問題無い様ですね、なら私達も頂きましょうか」
愛耶 「はい、ちゃんちゃん焼きものも出来上がってますよ、鮭の半身で作りましたので、こっちも食べて下さい」
愛耶がホットプレートの蓋を取ると味噌とバターの焦げた食欲を唆る香りが立ち込める、最後の仕上げで鮭の身を解すと小皿に取り分けて全員に給仕してくれる。
ダイン 「これも美味しそうですね、この味噌の焦げたところが美味しいですよね」
愛耶 「白米に良く合うんですけどね、でも、今日のコンセプトは鮭を食べ尽くそうですから、あら汁も作る気でしたが、ダイン様が真鯛持って来たので諦めました」
七実 「鯛も美味しいですよ、七実はお刺身で食べてます」
愛耶 「新鮮な鯛はぷりぷりして美味しいですよね、で、寝かしても美味しいんですよ、半身は寝かせてますので、違いを堪能して下さい」
真夏 「愛耶さん料理上手ですよね、肉だけかと思ってましたけど、魚まで捌けるなんて」
ニア 「魚本当に美味しいです、ニャアは魚大好きなので今日は大満足です」
ファービ 「ファービは肉派なんですけど、魚も思ったよりも美味しいですね、なんかもっと臭いと思ってました」
愛耶 「魚料理は下ごしらえなんですよ、匂いだけで駄目だって人も多いですから、そしてそういう人は酢も苦手ですから、魚を美味しく食べて貰うのは難しいんですよ」
ダイン 「確かにこの酢飯は酢の匂いが薄いですね」
愛耶 「柑橘の絞り汁も加えてますからね、酢が苦手でも蜜柑大好きな人は多いですから」
ダイン 「確かにレモンが苦手という話は聞きませんね、唐揚げレモンは別ですが」
七実 「アレ難しいですよね、甘いレモンは大丈夫ですけど」
真夏 「何で?油臭さが消えてサッパリしますよ」
ダイン 「食の好みは人それぞれですからね」
その後も和やかな雰囲気もまま晩餐の時間は過ぎて行く、シーベアーには発電機も有って冷蔵庫の使用可能なので冷たく冷えたデザートなども振る舞われ、その衝撃的な美味しさにアーグル側の人間は目的を一時忘れて何度もお代わりしてしまった。
そして、皆が夕食に大満足した後、ようやく遊魔とフェカトの話し合いが始まる。
フェカトは先ず大きな地図を拡げて、場所の確認から入る、現在地のククジアは確かに大きな国らしいがダインの見立てではこの地図はそれ程正確にこの世界を表現した物では無さそうで、位置確認ぐらいにしか使え無さそうだ。
フェカトの説明は丁寧で解り易かったが、同時にそれが上部の説明だと言う事をダインは直ぐに見抜いていた、そしてフェカトはなかなかダイン達を召喚した理由を語ってくれない、余程後ろ暗い事が有るのだろう。
ダイン 「大体の状況は掴めました、ですがこれはポロルグ家から見て都合のいい説明ですよね」
フェカト 「はい、それは認めます、今ポロルグはとても微妙な位置にありますからね、私の従姉妹が王位に就けば勢力が増大して、他の者が王位を継げば唯の地方貴族、いえ、王に与し無かった厄介者ですね」
ダイン 「話は解りますが、我々が何のお役に立てるんですか?」
フェカト 「王の選定はマギガントによる協定戦で決まるんですよ、そしてマギガントを操るには高い魔力が必要です」
ダイン 「つまり、私達に外の巨人に乗って戦えという事ですね」
フェカト 「はい、その為に皆さんには上級騎士待遇以上をお約束します」
ダイン 「正直、それがどの程度の位置に有るのか解りませんね」
フェカト 「そうですね、ポロルグ領の人口は約百二十万人、その中でも上級騎士の地位に有るのは五十名程度です、全てポロルグの黒豹騎士団に属しており、外のマギガントも黒豹騎士団に属する物です」
ダイン 「先程見た中で空を飛ぶ物も有りましたが、アレもそうなんですか」
フェカト 「アレの機体と乗り手は違います、空を飛ぶマギガントに乗れる者はごく一部なんです、天翔ける処女と言われてますね、実は私にも資格が有りまして、今日上空にいた物には妹達が搭乗していました」
ダイン 「なるほどそれは興味深いですね、領主の娘が乗り手とは」
フェカト 「あらゆる意味で特別で、貴方方を招いた原因は私共の力不足に有ります」
ダイン 「空を飛べて力不足なんですか?」
フェカト 「はい、他家が召喚した勇者と呼ばれる異世界は飛びながら戦闘が可能なんですよ、私達には飛ぶだけで精一杯なんです」
ダイン 「それは問題ですね、ですが私達で何とかなるんですか?」
フェカト 「他家が召喚した勇者は、三名で十二万の魔力を誇っていたとの話です、ですがダインさん達は六名で二十八万、平均値で彼女達を上回ります」
ダイン 「数値はあてになりませんよ」
フェカト 「理解はしているつもりです、ですがダインさんには他の才能も感じます」
ダイン 「他の才能ですか」
フェカト 「はい、初めにお話した時に色々お話しましたよね」
ダイン 「確かに私には貴方方には無い知識が有ると思いますが」
フェカト 「だから私達は共に戦えると思います」
ダイン 「それはありがたい申し出ですよ、正直我々は何をしていいのか解りませんからね、この世界の事がよく解るまではフェカトさんのお世話になります」
フェカト 「はい、ダインさん達は当家が食客としてお世話します、出来れば色々とお手伝いして貰えると有難いです」
この点は両者とも利害が一致しているのですんなりと話が纏まる、取り合えず衣食住の確保は優先課題であり、落ち着いていなくてはちゃんとした判断も出来ないものだ。
ダイン 「取り合えず私達はここで暮らせばいいんですか?」
フェカト 「いえ、お望みでしたら直ぐにでも屋敷を用意致します、皆様六名に側使い、あと護衛も必要ですね」
ダイン 「先程も話に在りましたが異世界人はかなり存在するものなんですか?」
フェカト 「この世界から観測して召還されたのは皆様で二例目です、通常とは違う大きな魔力で無いとそもそも観測なんて出来ませんから」
ダイン 「偶発では無く故意の召還なのですね、それならある程度の要求は聴いて貰えますね」
フェカト 「はい、可能な限りは」
ダイン 「なら、人質代わりにポロルグ娘を一人頂けないでしょうか、別に政略結婚という形でもいいですよ」
フェカトはその要求に唖然としている、貴族待遇などの金銭で可能な事なら応えようがあるが、正直、その能力が未知数なこの連中にそこまで厚遇が出来るわけが無い。
フェカト 「流石にそこまでは無理ですよ、本人の意思も有りますから」
ダイン 「フェカトさんはどうです、私の事はお嫌いですか」
そう言って目を合わせたダインの姿にフェカトはドキドキしてしまう、原因こそよく解らないが、ダインに嫁いで両勢力の架け橋になる事はとても有益な事に思えるのだ、それに怪しく魅力的なこの男は妹達には荷が重いだろう。
フェカト 「私とダインさんが結婚ですか、でもダインさんにはこんなにたくさんの女性がいますよね」
愛耶 「男が全ての女性を幸せに出来るなら、女性の数なんて問題じゃ有りませんよ、それに私達もこの幸せを他の女性にも体験して欲しいですから」
フェカト 「ダインさんは異世界の君主だったのですか、だから複数の女性を囲っているのですか」
ダイン 「いえ、私は唯の平民ですよ、愛耶は貴族かも知れませんけどね」
愛耶 「そうなんですよ、私達ダイン愛奴はダイン様に愛して貰える事が一番の幸せですから、でも、最近ダイン様がお強くなって私達五人でも十分に満足して貰えて無いんです、ですからまだ何人かはダイン様の妻に慣れますよ」
愛耶の言葉にフェカトは何か惹かれるモノが有った、男を知らないフェカトにこの空気は刺激的過ぎるモノで有ったが、興味が無いわけではない。
フェカト 「どちらにせよ、私の一存では決めれない事です、今日はこれぐらいで一旦終了して、また明日伺います」
ダイン 「そうしましょう、一人の女性の人生に関わる事ですから、急がなくてもいいでしょう、私にはこの娘達がいますからね」
その言葉に娘達が頬を赤らめる、フェカト達が帰った後の事を想像しているのだろうが、ウブなフェカトには余りにも刺激的な雰囲気だ。
フェカト 「では私はこれで、今日の提案なども協議する必要が有りますので、明日に夕刻ぐらいにまた参ります」
ダイン 「解りました、今後とも良き関係を続けられればいいですね」
フェカト 「はい、なるべくご要望に沿うよう努力いたします」
フェカト達はそのままシーベアー号を去って行く、その姿を見た愛耶がボソリと呟く。
愛耶 「あの子、堕液が効いて無いんでしょうか、愛耶なんて直ぐにダイン様好きになっちゃってましたけど」
七実 「それは無いですよ、フェカトさん濡れてましたから、アレは絶対帰ってからオナニーしないと鎮まりませんよ」
真夏 「まぁ自分で美味しいって食べてたから仕方ないよね、真夏はダイン様の為に作ったのに」
ダイン 「いいじゃ無いですか、真夏の母乳は尽きる事が有りませんから、それとも私に直飲みされるのは嫌ですか、真夏成分が足りていないので今にも頂きたい気分です」
ダインの言葉に真夏は即対応する、上着を捲ると胸を露出させてダインを誘うとそれに応えたダインが貪り初めて、異世界でも変わる事なく遊魔達の夜の営みが始まるのだった。
オマケ
異世界アーグル
ダイン達遊魔一行が召喚された世界、進んだ魔術文明を持つが文化水準は現代日本より低い、人の価値が魔力で決まる為に変わった人間が多い、何故なら魔力は想像力(妄想力)が高い人間ほど高くなる為。
アーグルの人間と地球人は同じ人間種では有るが、地球には存在しない人種である、肌は白色人種と黄色人種ぐらいの間にバリエーションが有り、地球人との最大の違いは頭髪の色の種類だ、様々な色の頭髪を持つ人間がおり、ピンクや緑など存在するが、何故か黒髪はいない、陰毛なども頭髪と同じ色で有り、黒い毛を生やした人間は基本存在していない。