「ザドラ、お前は今日限りでパーティーを解雇だ」
突然俺の耳に伝わる解雇という言葉、俺は今パーティーメンバーのリーダーであるダリオによる発言だった、ここは宿屋にあるパーティーメンバーの部屋にて俺は三人に呼ばれてやってきてダリオに解雇を言われた。
「ど、どうしてなんだよ!?」
俺は意味がわからず困惑してしまう。
「どうしてかって?お前の体型見ればわかるだろデブ!」
そう言われると俺の姿を見る、余分な肉がついていて鎧はパツパツで腹が異様に目立って鎧越しに肉がインナーを来ても少し出ている。
「お前みたいなデブがいると足手まといだ、俺達『[[rb:炎銀の杯 > えんぎんのはい]]』にはデブは必要ない!」
「そうそう!暑苦しいし邪魔よ!」
「食費だって大変ですしいるだけで迷惑です!」
ダリオだけでなく魔導士のラリアと治癒師のレリムにも言われてしまう。
「あ~あ!俺達のパーティーに入った時はスリムだったのによぉ~!」
「今は見る目もないわね」
「同感です」
三人に睨みつけられ俺は何も言えなかった。
「なのでお前はもうパーティーのお荷物だ!さあ出てってもらおうか!」
「後は自分で稼いで痩せるようになれば~?」
「アイテムは置いて行ってくださいね、お金だけはあなたの分がありますが後は自分で稼いでくださいではさようなら」
「わかったよ…お世話になりました…」
そう言い俺はこれまでパーティーで集めたアイテムが入った麻袋を置き部屋から出て行った。
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「はあ~」
俺はため息をつきながら町を歩く…歩くたびに揺れる肉、どうしてこうなったのだろうか?
五年前俺は一八歳の時にギルドで冒険者として活動しそこから『炎銀の杯』のリーダーであるダリオに出会って『炎銀の杯』のメンバーとして加入した、今はSランクパーティーである『炎銀の杯』はタンクを任されたのが俺…ザドラ・エイスカッシュである。
守り系のスキルが多く俺はパーティーのタンク役だ、五年前は痩せていてこんなにも太っていなかった。
何故俺がこんなにも太ったのか…それはダリオの提案で俺は沢山食べて鍛錬はしたりしていた、しかし俺の食べる量がメンバーより多く食べきるのも大変だった。
それでも俺は食べまくりというよりは鍛錬より食事の時間が多かったように思う、しかしパーティーの守りもよく後衛二人の魔法の詠唱を魔物に妨害されないように守り貢献したように見えた、だがそれが解雇で片づけられこのありざまだ。
ため息つけても仕方ない、これからどうするべきか…この町を出て別の場所に行くか、幸い朝食食べてきて金もある準備して行くか、俺はそのままアイテムや食材と調味料を買い出しに行ってギルドには寄らずそのまま出発することにした…俺が太っているのか受付嬢からなんか視線が冷たかったのもある…はあ…。
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町の検問を出て俺は歩き出す、荷物はアイテムボックスがありいつでも取り出すことができる。
武器は背中に背負っていて自分の背丈より大きい斧が俺の武器だ。
「次の町は確かここから南西か…だけどグラレド岳を通らないとだったな」
俺は地図を警戒しながら見てすぐに戻す、魔物がいつ現れるのかわからないためいつでも警戒はしないといけない。
ちなみに俺の出た町の名はエリティア、次の町…レイサが次の目的地だ。
地図などのスキルがあれば道を進められるのだけどな…だが俺のスキルは防御系スキルのため探索系のスキルは皆無である。
「ついた…でもここを登らねぇと」
着いた俺はここから登ることになる、太っているから体力的にバテそうだ。
「行くしかねぇか…」
俺は進み登っていった。
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「はあ…はあ…」
山道を登り数分、マジでバテました…こんなことなら鍛錬の時間もっと増やせばよかった、自分の体型が妬ましい。
「疲れた…」
俺は岩に腰掛けようとしたその時、座った途端岩が崩れて俺は転げ落ち。
「しまっ!?」
そのまま崖に落ちていく。
「くそっ!プロテクタ!!」
俺は防御スキルの一つプロテクタを発動させ俺の身体を橙色のオーラを纏わせ衝撃に備える。
「うぐっ!」
底まで落ちてしまったが幸いプロテクタによってダメージを抑えることができて頭に当たってなかったので内心ホッとした。
「い…てぇ…だけど助かったのか?」
どこまで落ちたのかわからないが暗く上を見ると外が小さく見える。
「進むか…」
俺はアイテムボックスからランタンを取り出して火の明かりを頼りに進んだ。
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「はあ…はあ…どこまで続いているんだ?」
バテながらも俺は歩き出す、奥まで進んだら洞窟みたいなとこに入ってきちまったし、それに…。
「腹減った…」
腹も減っていた、ここで食事といってもいつ魔物が襲ってくるのかわからない。
「こんなことだったら鍛錬で痩せるようにすればよかった」
もはやデブになったことに後悔してしまう、そう思いながらさらに進んでいくと。
「これは!?」
するとそこは草木が生えて外に出られたのか空洞には青空が広がりさらに目の前には大きな湖があった。
「すげぇ…」
思わず見とれてしまうがここで行き止まりのようだ。
「にしても…」
湖の割には色んな果物やら木の実やらが生えていて俺の腹の虫が食べたいと衝動が鳴る。
「うぅ…」
食いたい…でもこんなに生えているのに食べて痩せにくくなってさらにデブになる不安、そして脳裏に浮かぶパーティーメンバーの言葉。
[b:『お前みたいなデブがいると足手まといだ、俺達『炎銀の杯』にはデブは必要ない!』]
[b:『そうそう!暑苦しいし邪魔よ!』]
[b:『食費だって大変ですしいるだけで迷惑です!』]
デブになってしまった後悔…俺だってパーティーに貢献したのに俺がデブだからこうなった。俺ってば何やってんだろう…。
そう頭の中で葛藤しているその時。
「誰だ?我の住処に無断に入ってきたのは?」
ふと声が聞こえる、俺は腹が減るのを我慢し背中の斧を取り出して構える。
「ほう~何やら体格のよき人間が現れたものだ」
湖から水が大量に出されそこに現れたのは細目で水色をしたでかいドラゴンだった。
「なっ!?ドラゴン!?」
「如何にも、我は古水龍エンシェントアクアドラゴンだ!」
古水龍!?確か古代龍の一匹だということは聞いたことあったがまさかその一匹がこんな場所に!?
「ほお~我が古水龍と知った割には構えるとは、貴様中々の覚悟だ」
「覚悟ってわけじゃない…俺はこんなデブだけどそれでもな」
確かに強さでは負けは確定だ、だからこそやるしかないのだから。
「ふむ、肉付きがいいのにその覚悟は褒めてやる」
古水龍が俺をあざ笑うように睨む、くっ、防御系スキルがあっても古のドラゴン相手では、だがそれでも。
「やるだけやってやる!」
そう活きこんでいると。
「うぐっ…」
こんな時に腹の虫が鳴る。
「ほお~?その割にはなんとも言えぬ音が鳴っているようだな?」
「う、うっさい!お昼とかまだ食ってねぇんだよ!」
恥ずかしがりながら武器を構える。
「ほう……」
「……」
古水龍は見下しながら俺を見る静寂が辺りを包み込む相手は強者だ、負け覚悟で臨んでいるのだから。
「くっくっくっ、貴様面白いな」
「は?」
そう言いながら古水龍は警戒を解く、え?戦わないのか?
「そう警戒するな貴様がそんな状態で戦ってもつまらんからな」
「そうかよ」
気まぐれだなこのドラゴン、まさか戦わないとは。
「だが貴様は何やら死ぬ覚悟よりは迷いもあるように思える」
「……」
そう言われて俺は黙る。
「貴様は何を迷っている?死の覚悟よりは何かに悩んでいるように見えるな」
「ドラゴンがまさか悩みを見抜けられるとはな」
まさかドラゴン相手に俺の悩みを見抜けられるなんて俺も内心驚いていた。
「話を聞くぞ?ここに来たのも何かの縁だ」
「……」
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俺は古水龍にこれまでの事を話した。
「ふん、人間はお前の体格を見て見捨てるとはな」
「俺が鍛錬より食事の方に甘えていただけだ」
古水龍は俺の話を聞いてくれた、なんでだろう…ドラゴンなのに人の話を聞いてくれるなんて。
「だが貴様がこのような体格でも何かしらよかったのはあったのでは?」
そう言われて思い返る。確かに防御スキルもあってかタンクという役割はガタイのいい者でないとできない役割だ、しかし。
「確かにあったよ、だが太った分体力の消費やバテたりが多い長期での耐久ができないんだ」
そう、よいのもあるが悪い部分もある…体力的に痩せていた方が有利に思える。
「なるほどな…なら方法がある」
「方法?」
何やら方法があるみたいだがそんな方法があったらやっているだろうが一体何を考えているんだ?
「ここにある木の実や果物、我の加護を豊富に詰まっていて食べることで貴様に我の加護と力そしてスキルが身につく勿論貴様がその体格だからこそできることに変えられる」
マジかよ…ここに生えてある木の実や果物にそんな効果が!?痩せる効果あるかどうか。
「それなら料理を作ってもいいか?アイテムボックスに食料や調味料がある、これらを使えば効果がつくのか?」
「ふむ…つくはずだ、その料理とやらをやってみるがいい」
古水龍の許可を得て俺は料理する準備をする。
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さて、アイテムボックスから材料や湖に生えている木の実や果物も加えて早速料理を開始する。
「果物はそのままの方が大丈夫か、木の実は細かくしてそれから…」
果物自体はそのままでも食べれるようで木の実は肉と一緒に焼いたりなどまあ多めに作った。
「ふむ、これはうまそうだな」
古水龍も食べたそうに見ていた。
「あんたも食うのか?」
「勿論だ、我も食べたいからな」
まあ食べたいのならいいが。
「さすがに物足りなくないか?」
如何にも大きさなどでかくどのぐらい食うのかもわからない、見た感じはでかいがお腹は細い。
「ふむ、ならば」
すると古水龍の身体が光に包まれそこには。
「これなら何とかなるだろう」
小さくでかい姿とは変わらずサイズが小竜へとなった古水龍がいた。
「へえ~サイズを変えられるのか」
「まあ、我も本当は貴様のような体格が羨ましく思う」
「俺の体格が?」
ふと古水龍は話し出す。
「我は古のドラゴンの中では細い方だ、他のドラゴン達は我より体格がよくてそんな奴らが羨ましい…」
「……」
まさか古のドラゴンである古水龍に悩みがあるとは、俺とは逆のパターンだ。
「いやそこまで羨ましがることか?」
「たわけ!我は太りたくても太れない感じで沢山食べたくても物足りなさがあるのだ!!」
いや十分木の実と果物あるんだが?やはり量的に満たしていなかった可能性もあるだろう。
「なのでサイズを小竜サイズにするのも時間がかかってしまって貴様が来た時にはようやく小竜サイズになれたのだぞ!」
ここまで必死の古水龍に俺はタジタジだった、まさか俺が来る前に。
「そしてすぐさま元のサイズに戻って貴様の前に現れたわけだ」
「は、はあ…」
なんというか…間が悪かったな。
「なんかごめんなさい」
「気にするでない、我は貴様…そういえば貴様の名前聞いていなかったな」
謝って許してくれた、ふと俺の名前を聞いていなかったようだまあ言ってなかったから仕方ない。
「ザドラ…ザドラ・エイスカッシュ、それが俺の名だ」
「ほう…ザドラか、ではザドラよせっかくの料理だ、いただくとしよう」
「そうだな、んじゃ…いただきます」
俺と古水龍は料理を食べ始めた、まず俺は料理に使っていない古水龍の加護が豊富に詰まっている木の実を一つ食べてみる。
「ん!」
うまっ!豊富な水気を吸って実がしっかりしてみずみずしい。
「うまいな」
「我の加護でみずみずしいのだ」
まあ古水龍だから木の実や果物を育てる環境によかったからか。
「では我も…ん~流石我の加護で豊富な木の実だ」
「さて料理もっと…おっ!木の実や果物使ったのかおいしさが増している!」
すげぇ…まさかこんなおいしくなるとは。
「よしっ!我も食うぞ!!」
古水龍はがっついていく、そんな太りたいのだろうか理解できねぇ。
[newpage]
「うっぷ…」
おくびが出てしまうが完食、結構食っちまった…鍛錬をもっとやらねぇとな。
「ふう~こんな食べるとは我も満足だ」
と、若干だがお腹が膨れた古水龍は満足そうに食休みをしていた。
「そういえばザドラよ、貴様はこれから町へ向かうのか?」
「まあな、油断して崖におちてここまで来ちゃったから俺もどうするべきか」
町に向かうのかという質問に俺もここからどうするのか考えていなかった。
「貴様が急ぐ旅でなければ我の頼みを聞いてもらえないだろうか?」
「頼み?」
なんだろうか?
[b:「我を太らせてくれ!」]
…は?
「え?そんなんでいいのか!?」
「いい!貴様の料理はおいしかったし何より我の悩みを貴様がなんとかできるとそんな感じがした」
いやしたと思ってもな…調味料も一応まだ大丈夫だとは思うがまさか太らせてと頼まれるとは。
「ま、まあそこまで言うならやれなくないけど俺も鍛錬とか痩せたいしいいぜ」
「ありがたい、ついでに貴様と従魔契約をしてやろう」
契約…えっ!?従魔契約!!?
「なんだ?我との契約は嫌か?我の頼みもあるのだから付き合ってもらうぞ?」
う…頼まれた以上契約せざるを得ない、しかも相手は古水龍…古代龍の一匹でもあるから驚きでしかない。
「わかった、頼まれた以上仕方ない」
「契約成立だな、ザドラよ!我に名を授けよ!」
今度は名前を決めるのかよ…どうすりゃあいいんだ。
「えっと…」
古水龍だろ?エンシェントアクアドラゴン…う~ん。
「エドアはどうだ?」
「エドア…エドアか…いいではないかでは我はエドアと改めようでは…」
エドアから青いオーラが纏い俺に伝わり俺に青いオーラが纏われた後すぐにおさまりオーラは消える。
「これで契約成立だ」
「んじゃ改めてよろしくなエドア」
こうして俺はエドアと契約しエドアの頼みを聞くことになったのだった。
[newpage]
エドアの住処は木の実や果物は育てる環境によく沢山あり採っても生えてくるのでいつでも収穫できる状態だ、エドアも段々よく食うようになり俺が鍛錬の間は寝転がったりなどただ怠けているように思うが太った後魔物と戦うことになったら大丈夫なのか?と不安はある…それでも頼みを聞いた以上はやるしかないし俺も痩せようと鍛錬を続けた。
そんなこんなで俺がエドアの住処に来て一年となった。
だがザドラはこの時知らなかった…エドアを仲間にしたのとデブなのをきっかけに彼は躍進することをまだ知る由もなかった。