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※波の音
後輩「わぁー先輩先輩!海ですよ海!」
先輩「……流石に、こんな時間に人はいないわね」
後輩「それに冬ですし。こんな時間と時期にくるのは、私たちぐらいですよ」
後輩「折角だし、少し遊ぼうかな!」
※砂の上を走る。海の中に入る
後輩「うー!冷たい!やっぱりこの時期は寒いなぁ」
先輩「……ねぇ、本当にいいの?」
後輩「ん?何がですか?」
先輩「私が誘ったとはいえ、こんな遠くで一緒にって……」
後輩「なんですか先輩、急に怖くなったんですか?」
先輩「そうじゃない……でも……」
※波の音
先輩「ここまで来て思ったの。貴女は、帰った方がいい」
後輩「……帰りません。帰るつもりはありません」
先輩「どうして……私たち、ただの先輩後輩でしょ」
先輩「今からやろうとすることに対して、あまりにも関係が浅すぎる。なのにどうしていいって言ってくれたの?どうしてここまで来てくれたの?どうして……そんなに笑っていられるの?」
後輩「……やっと、私は家族から離れることができる。そう思ったんです」
後輩「母は言いました。父が私たちに与えるこの痛みは愛情だって。でも、それが間違ってるってわかる。だから逃げたかった。そんなの時に、先輩が誘ってくれました」
後輩「そうです。私たちはただの先輩後輩。だけど、私にとって先輩は救世主です。そんな人に……一緒に海に入ろうって誘われたら、付いて行っちゃいますよ」
先輩「それがおかしいのよ。なんで、付いて来ちゃうの……本気で言ったわけじゃないのに」
後輩「でも私は先輩の誘いを受けました。カバンに、学生らしいものを入れて。でも、中には学生らしくないものも入れて」
後輩「住んでいた場所から、一番、一番遠いところに先輩と一緒に向かって……目的に着けば何をするかわかってるのに。それが酷く楽しみで」
後輩「ねぇ先輩。先輩にとっての愛ってなんですか?」
先輩「え……」
後輩「私は、愛する人と共に死ぬことだと思ってるんです」
先輩「……それが今、どう結びつくの……?」
後輩「鈍いですね先輩。それとも、わかっててわざと言ってるんですか?
後輩「私は、先輩のことが好きです。愛してます。だから、先輩と一緒に海に入ることは、私の愛なんです」
先輩「……貴女、おかしいは」
後輩「結構やばい家に居たんで、自分が普通じゃないのは自覚してます」
先輩「……後悔も、恐怖も、何もないんだね」
後輩「はい。今私にあるのは、高まる感情だけです」
先輩「そう……じゃあ、手を繋ぎましょ」
後輩「はい」
※手を繋ぐ
※海に入っていく
先輩「あー……冷たいな……」
後輩「先輩……」
先輩「ん?」
後輩「愛してます」
先輩「……そう、ありがとう」
※水に落ちる音
※沈んでいく音
【完】
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