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ヒグマ獣人高校生柔道部男子が監禁されて弱みを握られる話

  「それじゃあ、今日はここまで。最近夕方まで日が出てるからって寄り道せず帰れよ」

  体育館に敷設の柔道場。ビニール製の畳の上で素足の男子達がすこし拠れた柔道着に身を包み整列していた。

  その前で、一人の男性が物静かながらも威圧感のある声で、そう告げた。

  「はい! お疲れ様っしたー!」

  揃って帰る生徒達の声に「買い食いくらいは良いけどな」と少し茶目っけのある笑みを浮かべた男性――柔道部の顧問は、解散する獣人人間が入り交じる生徒の中の一人に声を掛けた。

  「椿、お前ちょっと居残りな」

  椿と呼ばれたのは、体は殆ど大人になっている男子高校生の中でも取り分けガッシリとした体を持っているヒグマ獣人の生徒だった。

  柔道着から覗く胸板は、短い深茶の被毛が脂肪の程よく乗った筋肉にふっくらと膨らんでいる。全体の均整があり、日々の練習を真面目に取りくんでいるのだろう事は目に見えて分かった。

  「また外周サボったろ」

  だが、顧問教師の口から出たのは、そんな評価とは真逆のそれだった。熊獣人の生徒は、後頭を掻きながら手招きする教師の前にとてとてと歩いていった。

  他の部員達はそんな彼に慣れた様子で苦笑して道場を出ていく。珍しい事でもないのだろう。

  「えっと、……」

  「たく、妊婦さんの買い物帰り手伝ったんだって?」

  「え、なんで知ってるんすか?」

  「見てた人から学校に連絡があったんだよ。感心したから怒らないでやってくれって」

  そう言うと、はあ。と顧問はため息をついた。

  「そりゃあ、人助けを咎めはせんけどな……」

  「だって困ってる人がいたら放っておけないっすよ」

  「特撮ヒーローみたいな奴だな。正義感があるのはいいが、利用してやろうっていう悪い奴もいるわけだ」

  「そんな奴こそ投げ飛ばしてやりますよ」

  「そういう事じゃあ……まあいいか。人助けはまあ、良くやった」

  ちゃんと気を付けろよ。と言って顧問は、腕まくりをして筋肉を見せる熊生徒の肩を叩き、道場を出ていった。

  「お疲れ様っす」

  去り際に「お前最寄り道するなよ」と言い残した顧問にそう返した熊生徒は、見知らぬ誰かに善行を褒められたという擽ったい喜びを胸に、着替えをしに部室へと向かったのだった。

  ◇◇◇

  久間里 椿は、高校2年の柔道部員だ。

  地区大会では優勝常連、県大会にもなると中堅程度の実力。

  元々柔道を始めたのは、アニメの警察官が柔道で悪人を捉えた所に憧れてだったが今は生活の一部になっている。正義は悪に勝つ。そんなお決まりの話だったが、根の真っ直ぐな椿には、とても刺さるものがあった。

  「ん……」

  椿はそんなアニメの夢から目が覚めた。なぜか体が窮屈だ。

  「え、なんだこれ……」

  もぞりと腕を動かせば、両腕が後ろ手に縛られている事が分かった。いや、それだけじゃない。

  あぐらをかくように座っている脚にも結束バンドが巻き付いて動けないように拘束されている。

  しかも、着替えたはずの椿の学生服はなく、ボクサーパンツだけの姿で縛られていたのだ。

  「よお、起きたか?」

  見知らぬ声に椿は顔を上げた。

  知らない部屋、リビングなのだろう、ソファに座ってスマホを弄っていた人間の男が椿を見ている。

  やっぱり知らない人間だ。とそう思ったが、立ち上がる男の顔になにかぼんやりした記憶が蘇ってくる。

  着替えた後帰る途中、道ですれ違おうとした男が鞄を落としてしまい、飛び出た中身を集めるのを椿が手伝おうとしたその時、痛みを感じて――そこから何も覚えていない。

  スタンガンか薬か分からないが、この男が椿になにかして、縛ったのは明白だった。

  近付いてきた男がしゃがみこんで視線を合わせてくる。

  「お前誰だよ、こんな事してどうなるか分かってんだろうな!」

  「分かってないのはお前だろ?」

  「は? ……なに、ぅ……」

  何言ってんだ。と言おうとした言葉は男が椿の首に顔を埋めた奇行によって遮られた。

  すう、と匂いを嗅ぐ鼻音が首から上がってきて、悪寒が椿の全身の毛を逆立てさせていた。

  「お前、キモ……何して……っ」

  「匂い嗅いでんだよ。はあ、くっせえなあ。あの学校、シャワーないんだっけか?」

  「……ッ」

  男が首から鼻を話して馬鹿にしたように言った言葉に気色ばむ。

  新陳代謝の激しい思春期の男子だ。当然、敏感にならざるを得ない体臭を指摘されて、嫌悪感が一気に高まる。

  頭が煮えくり返りそうな怒りに、もし自由の身であったなら既に男を殴り飛ばしていただろう。

  「そんなに睨むなよ、椿くん」

  「……、なんで俺の名前」

  「身重の女助けてたろ? その時名乗ってたじゃねえか。俺感激してさあ……」

  「な、あの電話……まさか……」

  褒められたと思っていた相手が、こんな変質者だった。

  そんな事実に椿は思わず閉口する。その間も男は嫌味な笑みを浮かべて、椿の頬をベタベタと撫でくってくる。それが気持ち悪く、睨みつけてやればむしろ嬉しそうな表情を浮かべるのが更に気味が悪く、先程からずっと寒気が止まらない。

  「ぅ……気持ち悪ぃな……」

  「はは、椿くんみたいなデカくてカッコイー獣人の若い子が嫌そうにすんのが、おじさん最高に気持ち良いんだよ」

  「ぅ、げ……」

  そう言いながら鼻を近づける男から、椿は逃れるように顔を背ける。そのままキスでもされるんじゃないかと考えるだけでも吐いてしまいそうだ。

  この男に名前を呼ばれる度に、自分の名前がまるで嫌なものに変わっていくような気がして、只管に男の声も聞きたくなくなってくる。

  「椿くん、でけえ図体してる癖に、可愛い顔してるよなあ」

  「うるさい……!」

  「なんだよ、気にしてんのか? 良いじゃねえか、童顔なトコも可愛いぜ、椿くん」

  「うるさいって言ってんだろ! いい加減にしろよ。大声出してやっても良いんだぞッ!?」

  男に向けて吠えた。

  椿は男に監禁されている。そんな状態でもまだ冷静でいられたのは、その手段が残っているからだった。柔道部で鍛えた椿が本気で叫べば、男だろうと近隣住民が事件性を感じ取ってくれるだろう。

  「は、……ハ、ハハハッ!!」

  隠し持っていた懐刀。そんな切り札を切った椿に、しかし男は少しキョトンとした顔をした後、あろうことか腹を抱えて爆笑し始めていた。訳がわからない。得体のしれなさを感じる椿に男は叫ばれる事を少しも恐れていないように椿に顔を近づけていた。

  「防音くらい完璧にしてるっての。じゃなきゃ、監禁なんてできねえだろ? だからガキってのは堪んねえんだよ」

  低い声。耳の中に毛虫を突っ込まれたような不快感のある声で囁かれた。その瞬間。べちゃり、と生暖かい感触が頬に擦り付けられていた。

  「へ」

  ゾッと血の気が引く。

  男の顔が近くにある。まるで、椿の頬を唾液に塗れた舌で舐めたような感触――いや、紛れもなく椿は男に舐められたのだ。それに気づいた瞬間、大声で叫ぶということも忘れて、恐怖が椿の胸の内に巣食い始める。

  同じ人間でも顧問や級友とは全く違う、訳の分からない生き物に凌辱されているという恐怖。

  「……やめ、ろ……ぅぐ、やめろよッ、おい!!」

  犯罪者だ。間違いようもなく、コイツは捕まえて警察に突き出すべきクソ野郎だ。そう分かっているのに、椿の体は動かない。拘束は、見事に椿の関節の自由を奪い去っている。

  椿には、本当に為す術がない。そうと分かっている男は、図々しく、無遠慮に、椿の被毛を唾液でベタベタに汚していく。ただただ気持ちが悪かった。

  男の口で泡立った唾液が首筋に滴り落ちる。男の唇が椿の乳首に吸い付いては、丸く脂肪と筋肉に膨らんだ腹をねちっこい手付きで撫でられる。椿の若い乳房は吸い付かれることにも慣れてなく、サラサラとした露出する肌の舌触りを男は一通り楽しんでいた。

  そして。溢れた唾液が腹にまで滴るのを見た後、男の指は折り畳んだまま縛られている椿の足を擦る。

  節くれだった人間の指が足指の間に入り込んできて、その谷間を撫でる。妙に艶めかしい手付きに、呼吸するのを拒むような嫌悪感が肺に充満して、ぎゅぐ、と喉が変な音を響かせていた。

  男は、その音にクツクツと肩を震わせながら、まるで椿に土下座するように体を折り曲げていく。土下座して謝罪する、なんて事のはずがない。椿はひっくり返した岩の裏側に無数の虫が這いずっていたような嫌悪感と共に、まさか、と男のしようとしている事に思い至ってしまった。

  「やめ、おい……ひっッ」

  その予想は、不幸にも外れることはなく。

  ヌチャア、と。

  ゆっくりと見せ付けるように足に近づいた男の舌が椿の足裏を舐めていた。

  ビニール畳の匂いと汗の匂いが染み付いた足裏の肉球を、舌先が丹念に唾液で濡らしていく。被毛と肉球の間をなぞっていったかと思えば、弾力を楽しむようにブニブニと舌で押さえつけて離れる。

  舌に乗っかる塩気を口の中で転がした男は、深く肺に充満する椿の足裏の匂いを耽溺するように吐き出している。

  思春期の雄の匂いだ。刺激的な香りが肺から全身に行き渡って最終的に股間の玉袋へと凝縮されていく。

  「くっせえな、ちゃんと洗ってんのか? ホント、ガキの汗ってのはくせえよなあ」

  「きしょい……ッて、なあ!」

  上から降ってくる声にジクジクと快楽物質が脳から分泌されるのを実感しながら男は、乳離れを知らない赤子のように椿の足に吸い付いていく。

  丸く削られた爪ごと親指にしゃぶりついた。濃い匂いの染み付いた肉球を舌で押し潰しながら、ぐちゅぐちゅと音を立てながら口の中で唾と柔道部熊男子高校生の足裏成分のジュースを作って、喉に流し込んでいく。

  舌がひりつくような塩気と生暖かさ。喉を通る瞬間に脳を焼くような刺激が突き抜けていく。

  「ぅ、ぐ……っ」

  左の親指から一本ずつ。十の味を堪能した後に指股に残った雫を吸い取りながら、溢れた唾液で濡れた足の籠もる匂いを鼻を押し付けるようにして嗅ぐ。

  「なんだよ」

  男は、屈めていた体を少し起こして椿を見上げる。

  抵抗の言葉をこそ上げる事はなくなっていたが嫌悪に溢れるBGMを口から垂れ流していた椿は、男を親の仇とでも言うような表情で睨み下ろしていた。

  「良い目じゃねえか、椿くんは俺が嫌いだよな、気持ち悪いよな。俺の唾液でベタベタになってんの最悪だよなあ」

  「……」

  「俺と会話すんのも嫌か。ははッ、良いじゃねえか。好きだぜ、そういう男の子っぽい感じ」

  反抗的な目を曇らせもしない椿に男は嬉しげに肩を震わせる。

  ゾクゾクとした期待が沸き立つ。不安だろうに、犯罪者への怒りで自分を保っている。そんな強い雄が屈服するとすれば、その時は最高の気分になるだろう。

  男は、企てを胸に椿の下着に手を伸ばした。そのボクサーパンツの前開きに指を差し込み、そして。

  「ちょ、それは……マジで……ッ」

  「椿くんのちんちんはどんなかなあ? ご開帳ー!」

  二枚構造になった前開きから椿のまだまだ成長途中の雄肉が露わにされた。ずっしりと子種の詰まった袋と萎みきって里芋のように縮んだ竿が男の手の上に乗せられる。

  「皮に引き篭って可哀想になあ。仕方ねえから、俺が元気にしてやるから感謝しろよ?」

  「やめろって、それはやばいから。なあっ、止め――ひぅッ」

  止める声も意味を為さず、椿の男子として最重要な宝物が変質者の口に吸い込まれていった。

  「っ、ァ゛……っ!? ん、くうぁ、なん……っ」

  男の舌で転がされ刺激される男子高校生の敏感で旺盛な陰茎は、瞬く間に男の口の中でムクムクと育っていく。

  性欲が強い年頃の悲しい性か。ただ気持ち悪い嫌悪感しか感じない変態のクズ男が相手だといくら思っていても下半身は言う事を聞いてはくれない。

  「離せ。離せって、なあ……ッ」

  グチュ、ぬぐちゅ、と口から逃れようと腰を揺する椿だが、縛られている状態で動ける範囲など高が知れている。すぐ後ろの壁に手がぶつかりそれ以上後退も出来ないまま、男の巧みな舌遣いに快感を感じてしまう屈辱と、最大にまで勃起している上に舐られる事で徐々に何かが腰の奥から這い出てこようとする感覚に焦りが募っていく。

  こんな男に射精させられる。全身をベトベトにした唾液に塗れながら、男の口で初めての性行為を果たしてしまうなど。そんな事はあってはならないことだ。

  そう思っているのに、健やかな男子高校生の体は絶頂へと否応なしに向かっていく。

  「ッ……ァ゛……っ」

  声を絞り出しながらすぐにでも解放してしまいそうだ。男の舌遣いが上手い事にどうしようもなく苛立ちを覚えながら、遂にその決壊が目前となった、その時。

  「ぷぁー……」

  「ッは……ぁ! は、あ……っ、んぐ……!?」

  「おーおー、椿くんの勃起ちんこ、歳の割には大きいじゃん」

  「はぁ……っ、は……」

  肩で息をする椿に男の問いに答える余裕はなかった。コイツにイカされたくない。それだけで耐えた椿は安堵の中で一抹の後悔――そのまま気持ちよく精液をぶち撒けたかったという後悔から目を逸らすので精一杯だった。

  「どうだった椿くん、俺みたいな変質者にちんこしゃぶられて気持ちよかったろ? このまま『イかせてください!』って言やイかせてやってもいいぜ?」

  「誰が……お前みたいな奴に……っ」

  「そうだよな。そうでなくっちゃ、椿くんは」

  絶対に屈してやらない、と。

  椿の言葉に男は満足げに頷いたと思えば、そのまま椿の勃起したままの若茎に舌を這わせる。皮を被っていたそれは、男の口の中で剥けあがり唾液でてらてらと輝いている。その根本から溢れる先走りを掬うように舐め上げた男は、先端から吸い付くように再びその屹立を口に咥え込んだ。

  「ひっ、ぁ……っ、や……ッく、ぁあ……ッ、はあ……ッハア、ッ……!」

  そしてイキそうになる寸前で男は口を離し、少し落ち着いたら再びしゃぶりついていく。

  「んんッ……ぁ、ふぐ……、ん……っ、ぁ、ァアっ……、くぅ、……ふ……ぁ……っ」

  もう少し刺激されれば射精してしまう。その寸前で口を離される。

  「あッ! ……ッ――く、……っぁあ……、ふっ……く、ぁ……あ……」

  あと少し、もう少しだけ刺激されれば射精してしまう。射精してしまえる。

  椿の中で膨らんでいく射精欲に、時折嬌声の中に戸惑いが滲んでいくのに、男は手応えを感じていた。

  「椿くんのちんちん、ビクビク脈打ってんじゃん。トロトロ先走り垂らしてさ、イキたいだろ? ビュービューッ、てザーメン発射したいよな?」

  「……ッ、んなこと……っ、なぃ、ぁあッ!?」

  言葉の途中でパクリと男にチンコを咥え込まれて、ビクンと身体を跳ねさせる。

  そのまま舌で裏筋を強く擦って、鈴口をグリグリと虐めれば、椿は仰け反りながら快楽に苦痛の声を上げる。

  次第に椿の弱い所を熟知してきたらしい男のフェラに、閾値まで高ぶる感覚が短くなっていくのに、もうすぐでイけるという所で繰り返しお預けを食わされる。

  椿の頭の中でこのまま出してしまえばいいと悪魔の声が囁きかける。男にそう懇願すればイかせてもらえるんじゃないか。

  「ぁ……ッ、また……っ」

  「また? おいおい、俺みたいな悪人にイかされたくないんなら、そんな残念そうな声出すんじゃねえよ、椿くん」

  男は、止めどなく流れる先走りを竿を刺激しないように啜りながら、椿を挑発する。

  「それとも、イかせてほしいのか? ちんちんグチュグチュにしゃぶって、くせえガキちんぽ汁を俺の口にぶちまけさせてくださいって言ったら考えてもいいけどな」

  「……っ」

  誰がそんな事をとは、即答出来なかった。

  目の前の男が反吐が出る程に憎い。好き嫌いなどではなく、人として、生物として許せない程に憎悪している。

  イキたい。

  それでも、頭を快感に浸された椿は、その若い衝動と己の理性の間で揺さぶられていた。

  「ほら、言ってみろよ。椿くんは、変質者の薄汚い男にちんちんどうされたいんだ?」

  「……っ、ぁ……あ」

  ダメだ。そう分かっているのに、口が自然と空いてしまう。いや、実際それが自分の意思だと分かっている。

  「イか……イかせて、ください……ッ」

  言っちゃダメだ、そんなの、絶対にダメだ。分かっていても椿の口はその欲望を口にしていた。

  寸止めを繰り返されたせいか、それとも、男の言いなりに射精を懇願するという自分の情けなさにか。目尻に涙を浮かべる椿。

  あの反発的に睨んできた健全な男子高校生が性欲に負けて、全身唾液に塗れてちんこをビクビク震わせながら「イかせてほしい」と頭を垂れた。

  「……っは」

  足の先から脳天まで、歓喜の震えが競り上がる。今すぐにズボンの中で絶頂してしまいそうな快感。

  屈辱に塗れながら、手綱の握れていない色情に翻弄される高校生の熊獣人。己より確実に力があるだろう若い雄が、へりくだって乞うている。

  「そうかそうかぁ、イかせてほしいか」

  無駄に動けばその刺激で今すぐ逝ってしまいそうな興奮を抑えながら、男は立ち上がり。

  「ん、ぁ……?」

  椿の顔面にバキバキに硬くなった男のペニスを突き付けていた。ズボンを脱ぐ手間も惜しいと前開きから直接取り出したそれは、ムワリと蒸れた男の匂いを直接椿に叩きつけていた。

  「な、なん……」

  「しゃぶれ」

  「は、ッ……?」

  椿の若いそれとは違い、使い込まれて黒く染まった大人の剛直。思わず顔を背ける椿の閉じた口に、先端を無理やり押し付ける。

  「ご奉仕だよ。イかせて欲しいなら、俺のチンコをしゃぶってイかせろって言ってんだ」

  「……っ」

  男が早くしろと椿の頬にその肉棒をぺちぺちと叩き付ける。

  当然、喜んでその汚い他人のちんこなんてしゃぶるはずもない。絶対にやりたくない。だが、椿は今やもうただ射精をしたい欲に負けた弱者だ。

  嫌だ、嫌だと思いながらも、椿はその醜い肉の塊に口を開いていた。

  「ん、……ぅげ、……ぉッ……ぇ」

  ぶよぶよとした気持ち悪い感触と匂いが一気に充満する。瞬間的に嗚咽が上がり、嘔吐感が迫りくるのを必死に抑えながら、マズルで剛直を挟む込む。

  「ほら、舌使えよ。お前も弱いだろ? 裏筋コリコリして悦ばせんだ」

  「んぶ……ッ、ぉえ゛……、んぐッ……」

  「ああー、イイなあ。お前みたいなガキしつけてチンコしゃぶらせんの、イイわあ。なあ、椿くん、もっと味わえよ」

  必死で込み上げる吐き気に抵抗しながら、舌で奉仕する椿に返事をする余裕はない。そんな椿に男は腰を押し付けてイマラチオに持ち込んでいた。

  止めどなく溢れる唾液が、ヒグマのマズルからボトボトと滴っていく。次第に泡立っていくのは男の肉棒で唾液とカウパーがかき混ぜられているせいだろう。

  「おぐ、っ……ん、ッ」

  「あー……っ、来る……おい、イクぞイクぞ……ッ、零すなよっ?」

  「ん、ッンン゛っ!」

  「ォお……ッ!! ン、ングォオお゛おォおッ!!」

  「ンむ、っん――!!」

  雄叫びと共に熱した鉄のようなドロドロとした液体が椿の口の中へと溢れ出した。

  むせ返るような塩素が腐ったような匂い。顔を引いてそれから逃れようとした椿の後頭部に壁がぶつかった。

  「おいおい、何逃げてんだ」

  男はマズルに勃起したままの剛直を突っ込んだまま、苦しそうに息をする熊鼻を摘んで気道を塞いでいた。

  「んッ……む……っ!! んんッ!」

  「零すなつったろ。飲み込まねえと息できねえぞ」

  「ンッ……、……っむ、ぐ……」

  数秒の間、椿が懇願するように見上げて震えるように首を振るが、男は取り合わない。

  椿もそれ以外方法はない事が分かったのだろう。

  ぎゅきゅ、ぐきゅ、とまるで吐き出した嘔吐物を無理やり押し込むように数回喉を動かした後、何かを訴えるように見上げる椿に、ようやく男は屹立をマズルから引き抜いた。

  「ちゃんと飲めたな、偉いぞ椿くん」

  「っ……づ……ッ」

  ただ噴出する感情を押し潰すようにくぐもった荒い息を吐き出す椿をひとしきり嘲笑った後、半分ほど萎えた雄茎を再び咥え込んだ。

  「んッ!? ぁあッひ……っ、んぁ゛ああッ」

  再開したフェラは、先程の寸止めを前提の刺激とは全くの別物だった。椿の性器を誰よりも――本人よりも知り尽くしている男から受ける強烈な快感に縛られた体を震わせながら、雄々しい嬌声を上げる。

  「っぁあ、ッ壊、れ……ッ気持ちぃ゛い……っ」

  もはや誰にしゃぶられているかもどうでもいいのだろう。

  ただ与えられる快楽に身を委ねて待ち侘びたその感覚が体の奥から一気に押し寄せてくる。その感覚のままに、ブビュぅッ! と椿は盛大に子種を男の口へと放出した。

  一度だけではなく、若気のままに玉袋を空にするような勢いのまま、あれだけ嫌っていた男の口に精液を撃ち込んでいく。

  「若いと量がすげえなあ、自分じゃあ抜いてねえのか?」

  「……っぁ、はぁ……、は……ぁ……ッぐ、あ……お、俺……」

  椿の目の前で、白濁に濡れた口を見せつける男に、己がした事を呆然と目の当たりにする。椿の子種が、男の口の中で咀嚼されてグチュグチュと泡立ちながら、飲み込まれる。

  瞬間、冷静になった椿の脳に、後悔と屈辱が一気に溢れかえってきた。

  性欲に負けて、己はあろう事か、こんな悪逆な人間に絶頂させて欲しいと懇願してしまった。だが、放心する椿に、男は猶予など与えてはくれなかった。

  「まだまだ元気じゃねえか」

  「ぇ、ぃぐ!?」

  と男がまだ天井に向けてビクビク震えている椿の薄紅の亀頭を覗かせる肉棒を握り締めていた。

  射精したばかりの敏感な雄茎を男は構う事なしに扱き上げる。空いた手で、精液の残り汁に濡れる亀頭を重点的に責め立てられ、もはや痙攣のようにその強すぎる快感から逃れようとする椿は、射精とは別の何かが込み上げてくる感覚に気付いた。

  射精よりも、より親しみのある感覚。抑えようとしても、男の手で暴走するその感覚はもはや止まらない。

  「ひぎッぁあ、ああ゛ぁあ゛あ!! や゛め、ッ……ぅうッ、ううぅう゛ッ、今、でちゃう、出ちゃ、出……ちゃ、出ぁッ、ぁ……ッアアぁあ!?」

  勃起していた肉棒の先から、透明な液体が弧を描いて勢いよく飛び出していく。正面で亀頭を責めていた男の顔に、服に、股間にと飛び散っていくそれは、紛れもなく潮吹きだ。

  もしかすると部活の時から小便をしていなかったのかもしれない。相当量の潮を噴出しながら、徐々に小さく萎れていく正義感の強い男子高校生のおもらしチンコ。それはうなだれるように完全に下を向いて、情けなくぴゅ、ぴゅ、と最後の絞り出しを床に滴らせた。

  「ぁ……っく、ぅ……ぅ」

  「あーあー、床までびしょびしょじゃねえか。気持ちよすぎてお漏らししちゃったなあ……、ほれ、自己紹介しろよ、『俺はおもらししちゃう変態熊です』って」

  「ぉ……れは……ッお、れ……っ」

  と、釣られて口にしかけた言葉は、しかし、喉を締め付けるような息遣いに攫われて消えた。

  「ぅ、……ぐ……ッ……っ……!」

  「どうした椿くん、気持ちよすぎて泣いちゃったか?」

  「ッ……、っ……ッ!」

  「はは、でも泣いちゃあ、――お母さんに心配かけちゃうぜ」

  「……ぇ、は?」

  このまま、脅して解放してやろう。

  そう思っていたが、声を殺して泣き出した椿に、男は更にこの雄を虐めてやりたいと言う欲求に襲われていた。

  先ほど椿に精を吐き出した男根は再び屹立し、彼の顔目掛けてロックオンしたように鈴口を向けている。

  椿に差し出したのは、他でもない――学生服のポケットに入れていた『椿のスマホ』だった。

  

  ◇◇◇

  「ドブに落ちた人助けてたら、……服ドロドロになって、洗濯してもらってて……」

  椿は男に押し付けられたスマホへと言われた通りの嘘の設定を言う。

  顔認証で簡単にロックを外されたスマホは、最早男の思うがまま。家族構成も、友人関係も、男のスマホへと転送された後だった。

  怪しんで欲しいと思いながらの言葉に、しかし、母親は呑気な声で「あら、もう……却って迷惑かけてないわよね?」と疑いもしていなかった。

  「うん、大丈夫……」

  男は片方の手でスマホの画面を椿に向けて、ニヤニヤと笑っている。画面の中で椿は射精したばかりのチンコを責められ悶絶している。

  いつから撮っていたのか、なんて聞くまでもない。初めからに決まっている。

  もし、今スマホの音量を上げられてしまえば、椿自身の喘ぎ声が電話にも乗ってしまうだろう。

  母が怪しんでいない事に安堵しながら、それでも、何か気付いて欲しいと思う気持ちも嘘ではなかった。

  「……お礼にご飯食べさせて貰えるって、もうちょっと遅くなる……かも。うん、いや牛丼……そうそう、うん、じゃあ」

  気をつけて帰ってくるのよ。と明るい声。淡い期待は、日頃積み上げた信用が最悪の形で作用し崩れ去った。

  これ以上何に気を付ければいいのか。顧問教師へ言ったように投げ飛ばしてやれたのなら。

  もし、そんなことをしてしまえたのなら「動画データがネット上に流れちまうかもな。そうすりゃ、学校も家族もぐちゃぐちゃだ……可哀想になあ。お前のせいで、部活仲間も顧問も後ろ指さされて、親兄弟は蔑みものだ」という男の言葉が現実になるのだろう。

  椿は、ギリと拳を握り締めた。

  「お、柔道着まであんじゃねえか。プレイ用衣装までバッチリだな」

  縛ったままの椿の耳を舐めながら、男は二チャリと笑みを浮かべる。逃げられないのだと、見えない真綿が首に巻き付くような絶望が心臓の中に染み付いていく。

  「なあ、椿くんよ」

  結束バンドが鋏で断ち切られる。自由になっていく体。それでも、椿は見えない拘束にガッチリと締め付けられている。そんな気がした。

  転がされた帯で縛った柔道着に手を伸ばす。

  家族や部活を守る、その為だと思わないと壊れてしまいそうな悔恨の中。椿はただ汚されると分かっている柔道着に身を包んでいった。

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