第一部 1/3 妊娠獅子王と妊娠虎王の雄妊娠ご会談!

  ~獅子の国 王官邸~

  私、獅子国第73代王であるシシド・ノヴェルは王宮の執務室のデスク前で椅子に座りながら困惑していた。大きく膨らんだお腹を撫でながら。

  

  少し白髪が混じってきた美しき金色の毛皮に覆われた身体を持つ。

  若き頃はハンサム王子として名を馳せた私も、幾多の王としての経験を経て、皺が刻まれた険しい顔つきになったが、威厳とすごみを放つ渋さがあると、我ながら惚れ惚れしている。

  獅子獣人最大の特徴である首回りのタテガミの毛並みは揃えられ、歳のせいかちらほら見えてきたタテガミの白髪は、王としての威厳を誇るために毛染めを使って整えている。

  私のタテガミでうっすら黒いメッシュのようになっている部分がある。治療して消せるものではあるが、まだ若き王子時代に王国を救うため犯し合いの戦いをした時に、魔法で受けた名誉の負傷として残している。

  タテガミの下には広い肩幅、そして身体の筋肉はただ鍛えたのではなく、王として泥にまみれて犯し合いの実戦を幾度も経験して培われた。他の兵士達と並んで戦った名誉でもあり、実用的な身体つきがセクシーでもあると自負している。

  普段なら威圧感ある姿だが、今回は違う。なんせ腹が妊娠しているのだから。

  私は王であり兵として、兵士達を鼓舞するべく前線に立ち、敵の虎王国の国王とお互いを犯し合い、戦線が膠着する中で撤退した。

  朝起きたら突如としてこの状態だ。食べ過ぎでもなければ、私は元々お腹が出ているわけではない。まるで赤ん坊が生後何ヵ月の状態でお腹にいるようだ。

  官邸の会議室、獅子の国の官僚や将軍達を集めて会議が行われた。長机に集まる雄の獅子獣人達、彼ら全員のお腹が膨らんでいた。

  シシド王「それで、状況は掴めたかね?」

  獅子大臣A「はい…医師達によると間違いなく皆妊娠しているそうです」

  獅子将軍B「前線の兵達も妊娠しており作戦行動がとれないと報告が出ています。だが王のご命令とあればどうにかして動く、と申しています」

  獅子将軍C「虎王国の方でも同様らしく、野戦病院では虎王国の騎士達も妊娠した腹を抱えて助けを求めに来ているので受け入れているとか…」

  獅子大臣D「虎王国が獅子軍人を捕虜にしたと言ってきてるのだが、どうも妊娠した獅子軍人を受け入れてるらしい」

  シシド王「予備の兵達は?」

  獅子将軍E「皆妊娠した者達の世話にかかりきりでとても動く余裕などありません。しかも予備兵達も妊娠してまして…後方の兵も国民全員も動員した大決戦でしたから…」

  シシド王「う…講和条件を探さねばなるまい…虎王国の大使を呼びつけろ、虎国王との会談の準備だ」

  私が要求した二ヶ国トップの話し合いはその日のうちに実現した。虎王国も同じ状態で困っており、講和条件を探そうとしてきたのだ。

  二ヶ国の中間地点にある町、そこの貴族の屋敷の中で、私と虎王国のタイガス王は会談に望んだ。

  会談用の部屋、そこには会談用の机や椅子の他に、大きなベッドがあり、気分を高めるアロマキャンドルやシャンデリアが幻想的な雰囲気を出していた

  会談には様々は方法があるが、中でも獣人世界の和平交渉はベッドの上で身体を絡ませて行われるのが普通だ。

  私が妊娠した大きな腹を抱えて椅子に腰掛けていると、扉が開かれてお付きのものに囲まれた虎王国のタイガス王が入ってきた。

  黄色と黒の縞模様がフサフサの毛並みに覆われ、元々の白い毛以外に歳を重ねた白毛も増えてきている。

  ガッシリした顎と逞しく鍛えた身体は、王としても前線の犯し合いの戦いに参戦している者ならではの凄みを感じさせる。

  鋭い眼光と歴戦の戦いを感じさせる傷痕、耳は少し欠けている部分があるが、これは王が一兵卒として前線での犯し合いに参加した時に魔法で受けた名誉の負傷らしく、簡単に治せるが治していないそうだ。

  本人は普段なら威圧感ある姿だが、今回は違った。なんせ腹が妊娠しているのだから。

  タイガス王は普段威厳を感じさせながら肩を揺らしてノッシノッシと歩いてくるのだが、今回ばかりは腹を抱えて、お腹の子供を気にして慎重に歩いているようだ。

  おまけに、私の側もタイガス王側にもいるお付きの者達も皆妊娠している。タイガス王が部屋に入ると、どちらのおつきの者達も妊娠した腹を抱えて部屋から出ていき、私とタイガス王の二人になった。

  私は椅子から重い身体を持ち上げて立ち上がり、嫌々ながらもタイガス王に握手を認める。タイガス王は不服そうだが儀礼上仕方なく、私の手をとり握手が交わされる。

  握手で近づいたことで、私とタイガス王の妊娠した腹同士はぴたっと触れ合い、張り詰めた空気の中で妙な雰囲気にさせる。

  シシド王「ふん、お前がこのような姿を晒すとはな」

  タイガス王「貴様こそ同じ腹の癖にな」

  私は自分の腹を撫でて、腹の中にいる生命を感じながら、この生命の源となった精子の持ち主、タイガス王を睨む。

  シシド王「昨日まで戦場でお互いを激しく犯し合っていたというのに」

  タイガス王も、自身の妊娠した腹を撫でながら、タイガス王を妊娠させた私を睨んでくる。

  タイガス王「貴様のせいでワシの腹はこんなに膨れたんじゃ」

  シシド王「私が犯すのに抵抗出来なかった自分自身のせいではないですかな?」

  タイガス王「なら貴様の妊娠も貴様自身のせいだな、ワシのチンポを受け入れて精子を飲み込んだ淫乱な身体のね」

  シシド王「何を!?だいたいお前の国が猫科連合の覇権を獅子国から奪おうとするから戦ってるんだぞ!」

  タイガス王「元はといえば、猫科連合の覇権は虎王国にある、それが分からないから戦ってるんだ!」

  私とタイガス王の会談は初っぱなからピリピリとした雰囲気が漂っていたが、二人の睨み合いはそう長く続かなかった。

  シシド王「ううん!?」

  私の腹を内側から衝撃が襲い、よろめくようにバランスを崩してしまう。私は椅子の背もたれを掴み、お腹を押さえてかかんで痛みに耐える。

  シシド王「くっ!こ、これは…まさか虎王国が会談前に痺れ毒でも盛ったか?」

  タイガス王はそんな私を面倒くさそうに見下ろしながら喋る。

  タイガス王「ふっ、馬鹿馬鹿しい、ワシがそんな卑怯な真似するはずが…うがっ!?」

  タイガス王は突然腹を押さえてかがみ、椅子の背もたれをつかんで痛みを耐え始めた。

  タイガス王「獅子国め、痺れ薬でも飲ませたか!?」

  シシド王「私がそんなことをする人間に見えるか?そんなわけな…ううっ!!痛い、なんだこの痛みは…」

  私とタイガス王は痛みに耐えながらお互いを見るが、結論はどうみても一つだ。お腹にいる赤子が腹を蹴ってきているのだ。

  私もタイガス王も、多忙で子作りをする余裕がなかったので、どちらの王室にも世継ぎはいなかった。

  シシド王「おい…お前、今まで妊娠したことはあるか?」

  タイガス王「ない、今まで色んな雄を妊娠させようと思ったが世継ぎの種をばらまくことになると慎重でな。貴様は?」

  シシド王「私もだ、私に挿入するより、挿入されたい者が多い。私が王家でなければ色んな相手を妊娠させたかったが、私自身は一度も…」

  タイガス王「じゃあこの腹の痛みは初体験か…」

  シシド王「よりにもよって、お互いの精子で産ませた赤子に蹴られるとは…」

  タイガス王「さすがワシの子じゃ、敵であるシシドを攻めているのじゃな」

  シシド王「私のお腹にいるのは、私の子でもあるんだぞ!お前の腹にいる私の子は敵が分かっているようだ、お前を蹴るとは」

  タイガス王「このお腹にいるのはワシの子であるというのに…」

  シシド王「と、とりあえずおつきの者を呼ぶか…」

  タイガス王「こ、こんな姿をお互い周りに見られたらどうなる!?ワシらは二ヶ国の将来を決める会談中だというのに」

  シシド王「まあ、私の国民はタイガス王が腹の痛みに苦しんでる今こそチャンスだと攻めいるだろう、私もそう主張するさ」

  タイガス王「お互いに妊娠したまま戦うなんて無理だからこの会談をしてるというのに…まあワシもワシの王国民達も『シシド王が腹を痛めている今こそ好機!』と主張するぞ」

  私とタイガス王が痛みに耐えながら椅子の背もたれを掴んでいるが、タイガス王が掴んだ椅子の背もたれには私の手があり、私とタイガス王は無意識に手を繋いで椅子の背もたれを掴んでしまう。

  シシド王・タイガス王「「あっ…!!」」

  二人の手が触れ合い、お互いを見てしまう。私達は戦場で犯し遇って対決してきた仲だから身体に触れ合うことは珍しくはない。

  しかし冷や汗を流しながら腹の痛みに耐える空いての姿を見るとは思わなかった。

  いつも戦場でタイガス王を犯す時に、掘られて苦悶の表情を浮かべているのはとワケが違う。

  私とタイガス王が強く手を握り、お互いのフサフサの毛並みと触り心地のよい少し湿った肉球から、痛みに耐える震えを共有しあっている。

  いつも対決しているが、今回ばかりは同じ腹の痛みに協力して耐える戦友のような気がしてくる。

  手を強く握り合うと、お腹の中の赤子は大人しくなったのか、私とタイガス王の腹の痛みは収まった。

  緊張から解放され、お互いに思わずはみかんでしまうが、私とタイガス王は握っていた手を恥ずかしく感じてしまう。私達は急いで手を離そうとする。

  シシド王「お前と握り合うなど…不本意極まりない!」

  タイガス王「こ、これはお腹の子供のせいだ!ワシの意思ではない!」

  私とタイガス王はお互いを睨むが、またもや身体の中から腹を蹴る痛みが出る。

  シシド王・タイガス王「「うっ!!!!」」

  私とタイガス王は再び手を握り合って痛みに耐え始めたが、今度はすぐに収まった。

  シシド王「はあ…おちおち罵ることもできんとは、なんてわんぱくな赤子達だ」

  タイガス王「赤子達はワシらの会談を邪魔する気かのう」

  シシド王「どうする?これでは手を離せないぞ」

  タイガス王「手を繋ぐと、赤子達が互いの親に安心して大人しくしてたのかのう」

  シシド王「じゃあこのまま…手を握り合えば…」

  タイガス王「まあそれなら…手を握っててくれんじゃろうか?」

  シシド王「…そうだな、頼みとあらば仕方ない」

  タイガス王「ふん!貴様も頼もうとしてたくせに」

  私とタイガス王は手を握り合って椅子に腰掛け、互いの国の状況を話し合い始めた。お互いに和平を結ぼうとする意志があるのか、探り合う必要がある。

  シシド王「ほう、それでは私達の兵士を妊娠させたのは不幸な事故だと?」

  タイガス王「そうじゃ、お互いの国の秘密兵器である媚薬が合わさったことで妊娠させあっただけじゃな」

  シシド王「しかし、それでは我が国民も納得しない、誠意として虎王国の肥沃な大地をいただきませんとな、媚薬の栽培にうってつけだ」

  タイガス王「そう言うと思っていたさ。ワシの国民も、勝手に妊娠させられて、はいそうですか、と引き下がるか。貴様の国の豊かな土地を貰おう、媚薬がよく育つ土だろう」

  シシド王「引き下がるのはお前の国では?」

  タイガス王「何を言う、貴様らに落ち度があるじゃろ?」

  シシド王「落ち度?なんのことやら?土地をお互い譲り合えばいい取引になるだろ?」

  タイガス王「お互い媚薬栽培に土地が必要とは難儀だな、しかも土地それぞれの土質が違うからお互い奪い合おうとするとは」

  シシド王「仕方あるまい、そういう土地だ。私の国の媚薬にはお前の国の土質、貴様の国の媚薬には私の国の土質がぴったりだ」

  私もタイガス王も少しでも自分の国にとって有利な条件を求め、議論は平行線だ。互いに妊娠させられてしまったことも、

  会談の場では交渉条件の一つだ。交渉が難しければ、すぐさま戦を再開することになるだろう。

  しかし、話してる限り、お互いに和平となる可能性はありそうだ。虎王国が提出した資料によると、タイガス王が求めてくる土地は私の国にとっての価値が比較的低い、私の国がギリギリ呑めそうな条件を突き出している。獅子国と交渉したフリをして、見返りを求め国民を納得させたいようだ。

  それは私の獅子国も同様で、虎王国に求めている土地は、虎王国が明け渡しに納得しやすそうな比較的価値が低い場所であった。